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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

選ばれた存在?

セミ女さん第五話目です。
そろそろ心も変わってきてます。

5、
無味乾燥な授業・・・
くだらない人類の歴史・・・
真剣に聞いている生徒はごく一部・・・
イライラする・・・
私はなぜこんなことをしているのだろう・・・
内職と称して授業とは関係のないことを行なう生徒・・・
手紙のやり取りをして放課後の事を相談する生徒・・・
イライラする・・・
どうしてこの娘たちは整然とした行動ができないのだろう・・・
無秩序の集団・・・
それはまさに人間そのもの・・・
支配・・・
誰かが支配をする・・・
人間を支配する・・・
支配しなくてはならない・・・
人間を支配しなくては・・・ならない・・・

「そこ! 何をしているの? 今は授業中よ」
紀代美は一人の女生徒を指し示す。
その女生徒は紛れも無く机の下でマンガを読んでいた。
「えっ? な、何もしてません。ほ、本当です」
女生徒はすぐにマンガを机の中に開いたまましまいこむ。
「何か関係ないものを読んでいたんじゃない?」
「読んでいません! そんなことしていません!」
首を振る女生徒。
「嘘言いなさい!」
紀代美はつかつかと女生徒のところへ行って、女生徒を立たせて机の中を引っ掻き回す。
「これは何!」
開かれたマンガを机の上に取り出す紀代美。
それは紀代美にとっても初めてのことだった。
今まではどうしても注意することに臆して注意できなかったのだ。
「そ、そんなの知りません。たまたま休み時間に読んでいたままだっただけです」
「黙りなさい!」
パシーンという音が教室内に響く。
唖然として頬を押さえる女生徒。
シーンと静まり返る教室。
紀代美は思わず自分の右手を見つめる。
わ、私は・・・
私は今何をしたの?
私は・・・生徒を・・・
生徒を叩いてしまったの?
ゾクッとするものが紀代美の背中を走り抜ける。
ドキドキと心臓が高鳴る。
ど、どうしたの私は・・・
気持ち・・・いい?
気持ちいい?
はあ・・・
気持ちいい・・・
ざわめき始める教室内。
叩かれた女生徒はまだショックを受けている。
「もういいわ、座りなさい」
「はい・・・」
おとなしく言うことを聞く女生徒。
「みんな静かに! 授業を続けます!」
ざわめきが一瞬にして静まる。
完全にコントロールされた教室。
紀代美の一挙手一投足が生徒たちを支配する。
気持ちいい・・・
なんて気持ちいいんだろう・・・
紀代美は先ほどまで感じていたイライラが消え去ってしまったことを感じていた。

「「そして~私が~迷い込むのは~薄闇の世界~♪」」
五人の声が一つになる。
CDの伴奏に合わせて響く綺麗な歌声。
いつものように体育館脇で練習をしている合唱部の女生徒たち。
紀代美はタクトを振っている。
最初はまったくぎこちなかったものだが、今ではかなり上達した。
歌うのはほとんどがアニメソングやドラマの主題歌。
将来はともかく、まだ部になったばかりの今は歌うことが楽しければそれでいいのだ。
生徒たちはここ最近見違えるほど一体感が出てきていた。
ハーモニーも素晴らしい。
何より、紀代美のタクトに合わせて一糸乱れない姿勢が紀代美を満足させていた。
「ふう・・・少し休憩しましょ」
「「さんせーい!」」
みんなの顔がほころぶ。
木陰にいつものように敷いたビニールシートの上に座り込む。
「疲れたー!」
「うふふ・・・でも気持ちいいわ」
真柴里緒と佐崎綾乃は二人寄り添って微笑んでいる。
「あ、西来さん。私がお金出すからみんなにジュース買ってきてくれないかしら」
紀代美がポケットから財布を取り出す。
「えっ? よろしいのですか?」
西来響子がすぐに紀代美のそばに来てスッと跪く。
「ありがとうございます、先生」
「「ありがとうございます」」
四人もいっせいに跪いて一礼をする。
あ・・・
なんて気持ちがいいのかしら・・・
この娘たちはとても素晴らしいわ・・・
これこそがあるべき姿・・・
これこそが・・・
「いいのよ。私も喉が渇いたから、私の分もお願いね」
財布から千円札を取り出す紀代美。
「かしこまりました」
響子が恭しく千円を受け取る。
「あ、私が行きます、リーダー」
一年の聡里が手を上げる。
いつも部長と呼ばれていたはずなのに、最近はリーダーと呼ばれていることが多い。
「そう、じゃお願いするわ。先生の分をまず第一にね」
「はい」
すっと立ち上がって響子から千円を受け取ると、聡里はすぐに駆け出して行く。
紀代美はその姿が頼もしかった。

「センセー、センセーは電車通勤ですよね? 痴漢とかに遭わないですか?」
ゴクゴクと冷たいウーロン茶を飲んでいる渡鍋美咲。
メガネがとてもよく似合う俗に言うメガネ美人だ。
「えっ? 痴漢?」
紀代美は思わず聞き返す。
紀代美は何回か痴漢に遭っている。
朝の混雑する電車内でお尻を触られたことがあるのだ。
そのときは声を上げることさえできなかった。
紀代美の気の弱さが痴漢に恐怖を感じさせていたのだ。
だけど、それをそのまま言ってもいいものなのかしら・・・
痴漢に遭ったら大声で助けを求めなさいって指導していたはず・・・
教師の私が痴漢に遭って震えていましたなんて言えないわ・・・
「ええ、痴漢にあったことないですか?」
「ハーイ。私ありまーす」
元気よく右手を上げる飛鷹聡里。
さっきドリンクを抱えて走ってきたというのに汗一つかいていない。
「私もあるわ」
部長の響子も小さく右手を上げた。
「西来さんも?」
紀代美は驚いた。
五人中二人も痴漢に遭っていると言う。
これは問題ではないだろうか。
「リーダーはそういう時どうするんですか? 私は次の駅で痴漢と一緒に降りてトイレに誘って殺しちゃいました」
まるで昨日見たテレビの感想でも言うかのようにあっさりと言う聡里。
「ああ、先日のあれは聡里ちゃんだったんだ」
「ええ、音波を使って殺したから、心臓発作としか思わなかったみたい」
「あまり派手にやっちゃだめよ。怪しまれないようにしないと」
缶コーヒーを飲んでいる綾乃が心配そうにする。
「リーダーはどうしたんですか? やっぱり殺したんでしょ?」
「当然でしょ」
こともなげに言う響子。
長い髪をかき上げてペットボトルの果汁ジュースを飲んでいる。
「くだらない人間には死を与えてやるのが当然だわ」
「ま、待って!」
紀代美が口を挟む。
「あなたたちいったい何の話をしているの? 殺すだの殺さないだのって・・・いったいあなたたちどうしちゃったの?」
「先生」
「えっ?」
響子が冷たい視線を向けてくる。
「先生はくだらない人間どもが多すぎるとは思わないんですか?」
「センセーだって殺しちゃいたいクズどもがいないですか?」
「そんなのは殺しちゃえばいいんですよ」
「人間は少しぐらい死んだ方がいいんです」
響子と同じように冷たい表情で笑みを浮かべている少女たち。
それはあまりにも不自然な光景であるにもかかわらず、紀代美には彼女たちには相応しく思えていた。
「そ、それは・・・」
くだらない人間?
殺しちゃいたいクズども?
少しぐらい死んだ方がいい?
ああ・・・わからない・・・
わからないわ・・・
確かにくだらない人間は多いわ・・・
殺しちゃいたいクズだってそばにいる・・・
でも・・・
でも・・・
殺しちゃってもいいの?
殺すことが正しいことなの?
わからない・・・
わからないよぉ・・・
「センセー、センセーは選ばれたんですよ」
紀代美のそばで囁く真柴里緒。
「私たちがお手伝いいたしますわ」
「先生は心の赴くままに支配者として振舞えばいいんです」
「私たちにお任せ下さい」
「「どうか、私たちにご命令を」」
紀代美の前に跪く五人の少女たち。
「い、いや・・・いやよ・・・いやぁっ!」
紀代美はその場を逃げ出した。
少女たちといると、自分の心の奥底に秘められたものが、白日の下にさらけ出されそうだったのだ。

「ハアハア・・・」
心臓がドキドキ・・・しない?
息が切れ・・・ない?
息が切れたように思ったのは人間だったときの感覚を引き摺っているから?
私の躰・・・
「本当に改造されちゃったんだわ・・・」
紀代美は職員室の自分の席に着き、顔を伏せてしまう。
顔の下側になっている右手の指先だけそっと擬態を解いてみる。
つややかな外骨格に覆われた強靭な指先と鋭い爪が現れた。
「綺麗・・・」
どうして逃げ出したのかな・・・
人間なんてどうしようもない生き物・・・
誰かが支配しないとだめなんじゃないのかな・・・
『先生は選ばれた存在なんですよ』
西来響子の言葉が思い出される。
「選ばれた存在・・・か・・・」
何となく嬉しい・・・
改造されたことで選ばれた存在になれたのだろうか・・・
だとしたら私は本当に選ばれた存在なのかもしれないな・・・
「うふふ・・・」
紀代美の口元に笑みが浮かぶ。
気持ちよかったな・・・
国原さんたらすっかりおとなしくなっちゃって・・・
私が叩いたおかげよね・・・
クラスの娘たちも私の言うとおりになって・・・
気持ちよかったな・・・
今度試してみようかな・・・
私の鳴き声で確か言うとおりにさせることが出来たはず・・・
やってみようかな・・・
紀代美の脳裏に彼女の指図どおりに行動する生徒たちの姿がよぎる。
素敵だろうな・・・
「うふふ・・・」
紀代美は擬態を解いた指先をぼんやりと眺めていた。


g-than さんの投稿:
連夜の更新どうも御疲れ様です。日常描写の濃さもさる事ながら
紀代美先生の心の変化が毎回楽しみです。
次はクラスの生徒がターゲットなのでしょうか。
期待してしまいますね~。
4 月 14 日

はるちさんの投稿:
ありがとうございます。。
もうすぐ私ととても仲のよかった友達の命日も。。
彼女も又突然の病気で亡くなってしまったのですが・・・。
忘れないことが何よりも供養ですよね。
励ましてくださってありがとうございました。
しっかり元気になります!
RPGって終わりはあるのですか?
4 月 15 日

舞方雅人さんの投稿:
>g-than様
コメントありがとうございます。
心の変化こそがギャップを感じさせてくれて大好きなので、そこがうまく書ければなぁと思っております。
生徒に対する作戦はg-thanさんのイラストにお任せしますよ。

>はるち様
そうですね。
私も何人か友人を亡くしておりますから、彼らを忘れないことこそが供養だと思います。
強く生きているはるちさんにはいつもこちらこそ励まされますよ。
RPGには厳密には終わりというものはないですね。
強いて言うならキャラの死んだ時かもしれません。
そのうちやりましょうね。
4 月 16 日
  1. 2006/04/14(金) 21:12:26|
  2. セミ女
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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