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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

仲のいい二人(笑)

本当は二回か三回で終わらせたかったのですが、なんか話が膨らんでしまって今回でも終わりませんでした。

でも、その分楽しんでいただけたらと思います。
それではドゾー。

3、
マスクがかぶせられ麻酔ガスが流される。
「あ、う・・・げふっ」
必死になって呼吸を止める紀代美だったが、苦しさに耐え切れずに呼吸をしてしまう。
「あ・・・」
だんだん意識が遠くなる。
「い・・・や・・・」
だめ・・・
だめよ・・・
意識を失ったらだめ・・・
だが、紀代美の意識は遠くなっていった。

「まったく・・・みんなして私のことを狂っている狂っているって・・・」
口を尖らせているエイミー。
彼女にしてみれば当然の事を行なっているに過ぎないのだ。
「エイミー様はそんなに狂っちゃいないですよね」
「そ・ん・な・に?」
エイミーが振り向くと同時に官子は思わず自分の口を押さえてしまう。
「いいのよ。そんなに慰めてくれなくても。うふふふ・・・」
ムチをしならせるエイミー。
「あ、あはは・・・エイミー様目が、目がすわっていますぅ」
一歩二歩と下がる官子。
「そりゃあ私は毎日毎日手を変え品を変えて生き物とたわむれ、人体改造のことばかり考えているんですものねぇ」
「あ、あはは・・・そ、そんなこと無いですよエイミー様。エイミー様はそれがお仕事ですから・・・」
「そう。そう言ってくれて嬉しいわ、官子。うふふふ・・・」
「ヒイッ!」
エイミーの冷たく怪しい笑みに官子は観念して背中を向ける。
エイミーの短めのムチが空気を切って官子のお尻に当てられた。
「ヒギャァッ!」
「おほほほ・・・お仕置きよ、お仕置き」
「ヒギャァッ!」
一回二回とエイミーのムチが官子のお尻でいい音を立てて行く。
その様子にいつものことと肩をすくめる戦闘員たち。
これはエイミーにとっても官子にとってもいい意味での楽しみなのだ。

「ふう・・・このぐらいで良しとしましょう。改造の方も順調のようね」
シーツを剥ぎ取られ、裸で手術台に横たわっている紀代美の周囲からはいろいろな機器やチューブが伸びている。
ボックスに入れられていたセミたちは液体によってどろどろに溶かされ、そのエキスが紀代美に注入されていく。
細胞を変化させるために光線が照射され、紀代美の細胞がセミのDNAを受け入れて行く。
表皮は硬くなり外骨格を形成して行き、関節には節が作られていく。
頭部の周囲にはカチューシャのようにセミの複眼や口の辺りが作られ、髪の毛を飾って行く。
紀代美の目の周囲にはカバーが現れてサングラスのように保護される。
大学時代には知り合いからミスキャンパスに推薦されそうになり、慌てて断ったという美しいボディラインは外骨格が覆っても変わらずにその流れるようなラインを保持していた。
胸の膨らみも腰のくびれもセミの外皮が覆い、背中からは半透明の美しい翅が伸びて行く。
つま先は指が消え去り、かかとが伸びてハイヒールブーツ状に整えられる。
手の指先には鋭い爪が伸びて、獲物を切り裂く武器となる。
紀代美はいまやセミと人間の合成された改造人間セミ女と変貌していったのだった。

「うふふ・・・素敵だわ。これこそ選ばれたる者の美しさ」
うっとりとした表情を浮かべるエイミー。
その手に持ったムチも喜びに打ち震える。
「あとは脳改造ですね。エイミー様」
機嫌が良さそうなエイミーに思わず官子の表情もほころんだ。
「お黙り、官子。それよりも手配してもらったことはちゃんとできたんでしょうね?」
「えっ? は、はい。もちろんです」
かしこまる官子。
「そう。わざわざトラックにカプセル一式と医療戦闘員を用意したのだから、失敗するはずが無いわよね?」
「も、もちろんです、エイミー様。すでに改造も終わっていますけど・・・でも戦闘員にしては手間をかけていませんか?」
エイミーの顔にゆがんだ笑みが浮かぶ。
「うふふふ・・・いいのよ。これも一つの実験なんだから」
「そうなんですか・・・」
官子はそんなエイミーを見て内心でほくそえんでいた。

薄暗い部屋。
無影灯も機器の灯りも消えている。
「ん・・・」
紀代美はゆっくりと目を覚ます。
「あ・・・こ、ここは・・・」
頭を振ってぼんやりした状態をはっきりさせようとしながら上半身を起こす紀代美。
「ヒッ!」
薄暗い中でも紀代美にははっきりと自分の躰が目に入る。
「あ・・・こ、これは・・・」
変わってしまった自分の両手を見つめる紀代美。
関節ごとに節で区切られ、外骨格に覆われて爪が鋭く伸びている自分の手。
「い、いやぁっ!」
思わず叫び声を上げて両手で顔を覆う紀代美。
「あらあら、そんな素敵な躰になったのに何が不満?」
影の中から現れるエイミーの姿。
「ああ・・・ひ、ひどい、ひどいよぉ。元に・・・お願いだから元に戻してぇっ!」
顔を覆いながら首を振って泣き喚く紀代美。
「うふふふ・・・それは無理よ。改造された躰が元にもどるわけ無いじゃない」
「そ、そんなぁ・・・」
紀代美はすがるようにエイミーを見上げる。
「でも心配は要らないわ。あなたの脳にはすでにその躰の情報がインプットされているの。わかるでしょ? あなたには特殊能力があって、人間体に擬態できるってことが」
エイミーがムチの先でセミ女紀代美の顎を持ち上げる。
「人間体なんかよりもこっちの方が素敵だと思うんだけどなぁ」
「あ・・・」
紀代美は首を振る。
こんな化け物のような姿などいらない・・・
私は人間・・・
人間の姿になるのよ・・・
紀代美は細胞の配列を擬態モードに切り替える。
エイミーが言うとおり彼女にはそれができることが“わかった”のだ。
セミ女としての外骨格に包まれた姿はじょじょに肌色を取り戻し、やがて裸の女性の姿が現れる。
「できた・・・私はいったい・・・」
自分の姿に“戻れた”ものの、こんなことができること自体が紀代美にとってはショックだった。
「言ったでしょ。あなたは我がS・S・Bの改造人間セミ女。その姿はあくまで擬態なのよ」
裸の紀代美にエイミーはガウンを渡す。
「ち、違います。私は恵畑紀代美。聖光女学院の社会科教師です」
ガウンを受け取った紀代美は必死になってそう主張した。
そうしなければセミ女であることを認めたことになってしまいそうだったのだ。
「私はセミ女なんかじゃありません。私は・・・私は恵畑紀代美ですぅ・・・」
「うふふ・・・まあいいわ。あなたがそれほどまでにセミ女であることを嫌がるのなら、私も無理強いは出来ないものね。その姿で暮らしたければそうしたらいいわ」
紀代美はエイミーの言葉に一瞬驚く。
「えっ?」
「はあ・・・どうやら洗脳はうまく行かなかったみたいね。本来ならばあなたは誇らしげに自分がセミ女であることを宣言するはずなのに」
肩をすくめるエイミー。
「そんなことはしません。私はセミ女なんかじゃないわ。私は恵畑紀代美です!」
ガウンを羽織り、いつに無く強い調子で紀代美は言う。
それを紀代美は意識していなかった。
「はいはい。あなたは恵畑紀代美。改造された躰を元には戻せないけど、擬態モードで暮らせば紀代美として生きられるでしょうね」
「そうさせてもらいます」
エイミーをにらみつける紀代美。
「あなたを解放するわ。残念だけど仕方が無い」
エイミーは指を鳴らして戦闘員を呼び寄せる。
「「お呼びでしょうかエイミー様」」
二人の戦闘員がやってきて跪く。
「この女を適当なところで解放しなさい。わかったわね」
「「かしこまりました。どうぞこちらへ」」
「それじゃ失礼します」
恭しく紀代美を案内する戦闘員についていきながら、紀代美はエイミーに対して一瞥をくれる。
「うふふ・・・いつでも戻っていらっしゃい」
「そのつもりはありませんから」
紀代美は振り向くことなく手術室をあとにした。

「エイミー様・・・」
闇の中から官子が現れる。
「うふふふ・・・」
楽しそうに笑っているエイミー。
「どういうことなんですか? 脳改造はしなかったのですか?」
「したわよ。セミ女としての躰のコントロールの仕方など一通りね」
官子の疑問にさらっと答えるエイミー。
「でも洗脳が・・・」
「ええ、洗脳はしていないわ。最小限のセイフティだけ。彼女はこんな目に遭ったというのに警察へ行こうと思ったりはしないでしょうね」
「どうしてですか?」
官子が驚く。
せっかく改造を施したというのに洗脳もしないで放り出すとは危険極まりない。
「これは実験よ。以前別種の生物を寄生させることで肉体を変異させ、思考も変化させることに成功したわ。今回は環境を使って思考を変えさせられるかの実験なの」
得意そうにムチを打ち鳴らすエイミー。
「環境ですか?」
「そう。あの生徒思いの紀代美センセが生徒から・・・うふふふ・・・」
「あ、なるほど。それであれを用意したんですね?」
納得したように官子もうなずく。
「うふふふふ・・・」
エイミーの忍び笑いが手術室に響き渡った。

「夕暮れ?」
解放された紀代美は空を見て驚いた。
どうやら捕らえられてからかなりの時間が経っているようだ。
無断欠勤してしまったことになるのかもしれない。
「はあ・・・」
なんていう一日だったのだろう・・・
S・S・Bなどという組織に捕らえられて改造なんていう目に遭ったなんて・・・
擬態することで自分の姿に戻ることは出来たけど・・・
これからどうしたらいいのだろう・・・
自分の中にはセミ女という肉体が隠れている・・・
それをどうしたらいいのだろう・・・
「考えても仕方ないか・・・」
紀代美は夕べ買ったコンビニのお弁当をぶら下げて自宅への道を歩いていった。


岩賀出 さんの投稿:
 セミ女!いいですねぇ~!改造人間モノは、いつも楽しく読ませていただいてます。
しかも今回のは洗脳しないのですね。この後の展開がどうなるか予想できず、期待せずにはいられません。
 ただ、セミ女にされてしまう悲劇の女性は紀代美さんですか。個人的な話ですが、「きよみ」という名前に非常に親しみがあります。身近に数人いるのですが、皆さんとても気の強い女性ばかりです。
 なので気の弱い紀代美さんには、とても新鮮な感じを受けました。
あっ!でも、これからセミ女として性格も豹変していくのでは!…やっぱり、「きよみ」さんは強いのです。
4 月 13 日

姫宮 翼さんの投稿:
洗脳措置無しですか……。
この手法はゴキブリ女さんで似た様な物がありましたっけ?あっちは潜在部分に組み込んでいて、夫婦喧嘩の五月蝿さを皮切りに目覚めたと思いましたけど……。
今回はどうやら違うみたいですね。装置も出てきていますし、そっちでやるんでしょうか?
4 月 13 日

空風鈴ハイパー さんの投稿:
今度は蝉女さんですね、g-thanさんのブログでこのSSの後日談(?)見てるだけにどう繋がるのか楽しみです。
完全に洗脳しないで解放ってのはゴキブリ女さんと同じパターンですね。
正直私は蝉の方がよいですね、「どうせ顔めがけて飛んでくるなら」(笑)。
個人的見解ですけどね。

こういうSS拝見すると、普段私も妄想するんですが、こう言う形で
「身体的に並外れた力」
「他の人間を操る・洗脳する・悪に染める力」
なんてものを手に入れたとき、人はどうするのか?って事も興味深いですよね。
その力に酔い、闇に染まって自ら悪の手先になる!なんてのも良いですよね。
「自らをMCする」
というかなんというか・・・。
他者に改変されるのではなく、きっかけを与えられる事で悪の快楽に目覚める・・・たまらんですね。
私的妄想なら
「偉大な悪の女帝に僕たる仲間を増やす力を与えられ自らの意思でその足元に跪き忠誠を誓う」
なんて展開好きですねー。

すいません、個人的妄想長文で羅列してしまいました。続き楽しみにしてます。では。
4 月 13 日

はるちさんの投稿:
一度・・・ウルティマオンラインというゲームにはまったことがあります。。ほんの一瞬でしたが(笑)
私は強くなんかないですよ~。
毎日泣いています。
それでも笑っていたいし・・・強がっていたいんです!!!(≧∇≦)ぶぁっはっはっ!!
退院できたときは・・・是非!!!(笑)
4 月 13 日

舞方雅人さんの投稿:
>岩賀出様
紀代美さんの変貌はこれからですが、じっくり心を変えて行きたいですね。
強い女性に変化して欲しいものです。(笑)

>姫宮 翼様
ゴキブリさんと同パターンと言うご指摘はもっともです。
ここから変えていくつもりですので違いを楽しんでくださいね。
装置は・・・まあたいしたもんじゃないです。

>空風鈴ハイパー様
お久し振りです。コメントありがとうございます。
力を得ることでエリート意識が芽生え、他者を見下すようになり・・・
心が闇に染まっていくなんていいかもしれないですね。

>はるち様
コメントありがとうございます。
笑っていたいし強がっていたい。
そう思うことこそ心の強さの証明ですよ。
ぜひ一緒に遊びましょうね。
4 月 14 日
  1. 2006/04/12(水) 21:07:28|
  2. セミ女
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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