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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

気配を感じた

今日は少しですけど帝都奇譚をアップしますねー。

前回の選択肢では1を回答された方が二人ほどおりましたので、1番の「何か気配が・・・」に続きます。

よかったらお楽しみ下さいませー。

14、
「これは? 何か気配が・・・?」
月子は周囲に注意を払う。
何かが・・・
そう、間の気配とも言うべきものが月子の身に感じられたのだ。
「何か・・・居る・・・」
月子は鋭い視線を周囲に注ぎ、気配の元を探ろうとした。
市電や人力車が走り、家路を急ぐ人々の群れ。
そんな中に感じたわずかな気配。
破妖家の中でも抜群といわれた月子だからこそ感じ取れたのかもしれない。
「どこ?」
左右を見る。
人々のざわめき。
交通整理をしている巡査の姿。
何も変わったことは無い。
早足で駆けていく女性。
えっ?
あれは・・・何?
彼女の周囲に立ち昇るどす黒い闇。
魔の気配だわ・・・
月子はすぐに彼女を追う。
メガネをかけたスマートな女性。
美しく知的な雰囲気を漂わせている。
でも・・・
あの魔の闇はどういうこと?
彼女は・・・
月子は指輪に付けられた水晶を覗き込む。
小さな水晶だが、間の存在を確認するには充分だ。
違う・・・
魔物じゃない・・・
けど、取り憑かれているわ。
払わなきゃ・・・
あのままじゃ彼女自身が魔になってしまう。
月子はバッグの中から破魔の札を取り出した。

夕方も遅い時刻。
家路を急ぐ人の群れ。
それはこの市電の中も同様だった。
神田から浅草を経て錦糸町方面へ向かう路面電車。
いつものように帰りの人ごみにまぎれて家路についていた彼女は、さっきから何も考えられなくなっていた。
デパートのマネキンガールという憧れの職業に就き、日々まじめに勤めていた彼女だったが、先ほど見かけた外国の紳士に見つめられてからは、頭の中に霞がかかったようになっていたのだ。
私・・・何をしているんだろう・・・
家に帰らなきゃならないのに・・・
お父さんもお母さんも待っているのに・・・
門限はきちんと守るってことでデパートの勤めるの許してくれたのに・・・
そんなことが一瞬頭をよぎる。
しかし、次の瞬間にはそんなことはどうでもよくなっているのだ。
彼女はただ目の前の背の高い外国人に従い、彼の後についていくことしかできなかった。

銀座の方へ向かっている早足の女性。
頬が上気しているのは早足のためだけではあるまい。
信号で追いついた月子は少し様子を窺う。
間違いない。
彼女は魔に取り憑かれている。
放っておくわけにはいかない。
どうする・・・
こんな街中では・・・
月子は周囲を窺った。
ビルとビルとの間に細い小路がある。
あそこがいいわね・・・
月子は一人うなずくと気を引き締める。
「ちょっと、あなた」
メガネをかけた女性に声をかける月子。
「?」
いきなり声をかけられて、彼女は驚いた。
「手間は取らせないわ。ちょっとこちらへ来なさい」
有無を言わせぬ威圧感で相手を圧倒する。
魔に取り憑かれている相手には細かい話は無用だ。
黙って従わせるに限るのだ。

「な、なんですか、あなたは? 私は急いでいるんです」
月子に背を向け、その場を去ろうとする白鳳雛華。
今しも彼女は三倉に会いに行くところだったのだ。
それなのにいきなり声をかけられたことで、彼女は気分を害していた。
「あなたは今危険な状態なのよ。わからないの?」
黒髪を後ろで束ねた凛々しい女性はそんなことを言うものの、雛華には何が危険なのかわからない。
いや、心の奥底ではわかっているのだ。
これから会う三倉という男こそ危険であることが。
だが、雛華は会うのをやめられない。
三倉に会いたいのだ。
たとえ、それが火に飛び込む蛾のようなものであっても。
「変なことを言わないで。失礼します」
雛華は強引に立ち去ろうとした。
周りの人々も、二人の女性の様子に奇妙なものを感じている。
こんなところで関わって居たくはない。

わかってはいたものの、月子はこの状況に歯噛みする。
見過ごしにはできないが、かといって強制的に彼女を連れ込むわけにも行かない。
やむを得ないわね。
月子は札を一枚取り出すと、印を組んで呪を唱える。
「ハッ!」
そして、その札を去ろうとするめがねの女性に投げつけた。
札は女性に触れる直前で光となり、そのまま彼女の躰に纏わり付く。
「ひあっ」
女性は突然、躰が動かなくなって立ち尽くす。
「ごめんなさい。そのまま行かせるわけにはいかないのよ」
月子はそう言って女性に近づいた。

「ちょっとあんた、何をやっているんだい?」
周囲の人々が不審に思い、その中の一人が声をかけてくる。
札の効果はわからないだろうが、彼女が何かしたのはわかるだろう。
往来の只中で行なったのだからなおさらだ。
「私は宮内省の職員です。職務により彼女を拘束しました。お疑いなら巡査でも呼べばよろしい」
我ながら情けない。
本来ならば闇に姿を隠すのが我らの仕事。
だというのに・・・
だが、ままならないのはこの世の常。
彼女を連れて立ち去るとしよう。
月子はそう一人思い、身動きのできなくなっている女性の手を引いて歩き出す。
札の効果は彼女の自律行動を封じるもの。
コントロールしてやればついて来させることなどたやすい。
あっけにとられている人々をよそに、月子と雛華は小路に消えていった。
  1. 2006/10/27(金) 22:23:05|
  2. 帝都奇譚
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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