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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

飲み込まれた兵たち

当初、ドイツ軍の進撃は順調に進みました。

「A軍集団」に属する第四装甲軍と第六軍は迎え撃つ(というより時間稼ぎ)のソ連第五十七軍・第六十二軍・第六十四軍の三個軍を押し捲り、その戦力をスターリングラード近郊にまで押し込みます。

後が無いソ連軍はとにかく手持ちの兵をかき集めてスターリングラードに向かわせました。

ハリウッド映画「スターリングラード」の冒頭シーンでもあったように、丸腰の兵をとにかくかき集めたのです。

しかし、ドイツ軍の空陸一体の攻撃はとどまるところを知らず、ソ連軍はついにスターリングラード市街地に押し込められてしまいました。

おそらくドイツ軍将兵の誰もがスターリングラードの陥落は時間の問題と捉えたことでしょう。

しかし、ここからソ連軍は驚異的な粘りを発揮します。

党の偉大な(?)指導者「スターリン」の名を冠したこの都市が陥落することは、ソ連の威信の上からも赦されることではありませんでした。

また、ロシア人にとっては母なるヴォルガ川を失うことは、国民の士気の面からも、赦されなかったのです。

ソ連第六十二軍はスターリングラードを死守するしかなくなってしまいました。

彼らはヴォルガ川を越えて撤退することは赦されませんでした。

ヴォルガ川の河川交通もドイツ軍の攻撃で滞りがちになる中、乏しい補給に苦しみながら抵抗を続ける第六十二軍でしたが、戦局利あらず、ついに市街地の九割を失い、残るは渡船場とわずかな市街地のみにまで追い詰められました。

ところが、ドイツ軍の攻勢もここで力尽きることになります。

「市街地と森は兵を飲み込む」との戦場のことわざどおりに、スターリングラードの市街地はドイツ歩兵を飲み込み続けました。

砲爆撃で崩れた建物は、崩れる前よりいっそう手強い防御拠点となり、あちこちから出没するソ連軍歩兵によって、ドイツ軍歩兵は確実にその数を減らし続けていったのです。

あるときは排気ダクトから、あるときは下水道から、あるときは工場の壊れた機械の中から射撃を受け、ドイツ軍兵士の命が奪われていったのです。

もちろんそれ以上に、スターリンと党中央部の冷酷な戦争指導により、こちらが攻撃をしている間は敵を釘付けにできるということで、幾人もの兵士が二人に一丁しかないライフルを渡されて市街地に投入されました。

彼らはアマチュア同然であり、ドイツ軍の攻撃によって驚くほど簡単に撃ち倒されていきました。

恐れて後退してくる兵士には、容赦なく本来なら敵に向けられるべき銃弾が機関銃によって撃ち込まれました。

一見無意味に思えるこの人海戦術によって、ソ連軍はドイツ軍を市街地に釘付けにし、反攻のチャンスを待ったのです。

ドイツ軍はスターリングラードの早期占領を目指し、市街戦闘のプロフェッショナルである戦闘工兵を投入します。

しかし、養成にかなりの時間がかかる彼ら戦闘工兵は数が少なく、五個大隊しか投入できませんでした。

貴重な貴重なプロフェッショナルたちは、その能力を発揮すべく市街地へ入っていき、そこですりつぶされていきました。

かき集められたほとんど訓練も受けていないようなソ連兵との交換にするには、あまりにも貴重な戦力でしたが、彼らは戻っては来ませんでした。

そうやってソ連軍が血と肉によって時間を稼いでいる間に、ソ連軍はようやく反撃態勢を整えることができました。

いよいよ、ジューコフ将軍の反撃が開始されます。

「天王星」作戦の開始です。


空風鈴ハイパー さんの投稿:
むむ、なんか講談風に盛り上がってきましたね。
そこにちゃちゃいれてる私ですが(笑)。
スターリングラードの焦土戦ですか。
「1度燃えて壊れた建造物はもう燃えない壊れにくい」
ですね。それを踏まえて、自軍の唯一の利点
「戦闘員の数の多さ」
で徹底した泥仕合・消耗戦に持ちこんだソ連のやり口はすさまじいとしか言い様がないですね。
ジューコフ将軍も大戦前の戦争準備の遅れを埋める為には
「湯水のように兵の血と命をつぎ込む」
という苦渋の選択をせざるを得なかったんですよね。
人命も消費資源と割りきれるソ連のやり方ってのもつくづくすごいですよね・・・。
でもそうした過酷な生存競争生き抜いた兵達が文字通り選りすぐりの歴戦の兵として、やがてドイツ兵をも上回る実力を発揮する事になるのはあれですが(苦笑)。
でもって後のベルリン攻略で、今度はソ連側が市街戦でドイツ市民も加わったゲリラ戦術、携行対戦車兵器などで甚大な被害をだすのはまた皮肉なものですね。
なんか独ソ戦ってそういう
「たがいが戦術を学習しあってその成果の応酬」
の側面ありますよね。
3 月 18 日

舞方雅人 さんの投稿:
>>空風鈴ハイパー様
ちゃちゃは大いに結構ですよー。
なんと言っても人的資源の投売り状態でしたからね。
ドイツも倒しても倒しても現れるソ連兵には肝を潰したでしょうね。
なんと言っても百万人単位での捕虜を得た包囲戦を何回も行なっているのに、戦線が崩壊しないんですからね。
ソ連の底の深さは驚異的でした。
3 月 20 日
  1. 2006/03/17(金) 21:39:19|
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  4. | コメント:0
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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