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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

悪つく最終回

とりあえず「悪の組織をつくろう」は今回で終わりです。
思ったように書ききれなかった面もありますが、とにかく完結できたことに満足です。

謎がいっぱいあったりしますが、こういうもんだと思って読んでやってください。
お楽しみいただければ幸いです。

ジュウジュウと言う音とともにいい香りが台所から漂ってくる。
翔の大好きなハンバーグの焼けるにおいだ。
台所ではハエ女に変貌した母親がかいがいしく食事を作っている。
「グギギギ、ああ、いい匂いですね、首領様」
二階から降りてきたゴキブリ女が入ってくる。
姿が変わり、思考も変わっているが、こうしているといつもの家族団欒と変わらない。
「うん。やっぱりお母さん、じゃ無かったハエ女の作るハンバーグは最高だよ」
「キキキキ、褒めていただけて光栄ですわ、首領様」
人間と変わらぬ口元に微笑みを浮かべ、焼きあがったハンバーグを持ったハエ女がテーブルのそばに来る。
背中の翅をふるふると震わせている姿はなかなかに可愛らしい。
「キキキキ、さあ、召し上がってください。首領様」
翔の前に綺麗に盛り付けられたハンバーグが差し出される。
「わあ、美味しそうだ」
待ち切れなさそうにすでに箸を手に取っていた翔は、早速茶碗を差し出してご飯を盛ってもらう。
「グギギギ、ホント美味しそう・・・でもハエ女、私・・・生ごみとかも結構好きなのよね」
ゴキブリ女となった恵美にとってはハンバーグよりも生ごみの方が食欲をそそるのかもしれない。
「キキキキ、わかっているわ。こっちに用意してあるわよ。ちゃんと腐りかけのをね」
「グギギギ、さすがハエ女ね。ちゃんとわかっているのね」
嬉しそうに台所へ向かうゴキブリ女。
「キキキキ、首領様のご気分を害してはいけませんから私たちはあちらで食べますわ。実は私も生ごみを食べたくて・・・」
「あ、そうなんだ・・・改造したから食べ物も変わっちゃうのか・・・」
ちょっと寂しくなる翔。
食事は一人で食べても美味しくない。
今度は一緒に食事ができる改造獣を作らなきゃ・・・
「キキキキ、それでは失礼しますわ」
そう言ってハエ女はゴキブリ女とともに台所の方へ行ってしまった。
その後ろ姿を翔は寂しく見送り、無言でハンバーグを食べる。
さっきまで美味しかったハンバーグは何か味気なくなっていた。

食事が終わったあとで翔は再び自室でパソコンに向かう。
エミーを呼び出してこのあとのことを考えなければならない。
そういえばハエ女も戦闘員がほしいって言っていたっけ・・・
翔はハエ女用の戦闘員の確保を含めるようにエミーに指示を出す。
『かしこまりました首領様。それではこんな作戦はいかがでしょうか?』
画面上に記される作戦案。
にこやかなエミーの笑顔とともに翔ははいをクリックしていた。

                 ******

カーテンの隙間から差し込む日差し。
ベッドの上で翔はその日差しに起こされる。
「ん・・・あ・・・朝かぁ」
翔は上半身を起こすと、うんと腕を伸ばして背伸びをする。
結局夕べは0時近くまで起きていたのだ。
ハエ女の戦闘員確保と組織の資金調達のために行なったファミリーレストラン襲撃。
ハエ女とゴキブリ女、それに戦闘員たちの働きによって新たにウエイトレス三人を手に入れ、彼女たちはすでに戦闘員へと改造を行なってある。
資金の方も売り上げの15万円を奪ってあり、まずは上々の滑り出しと言っていいだろう。
あとはこの調子で改造獣を増やして・・・
そういえば今日は先生が家庭訪問に来る日だった。
ちょっときつめの顔立ちだけど、美人の部類に入る芹蔵先生。
先生を改造獣にしちゃえば、もうお小言を言われなくて済む。
あとは隣に座っている白糸(しらいと)さん。
結構可愛いし、猫あたりと合成したらきっと可愛い改造獣になるに違いない。
喉なんか鳴らして僕に擦り寄って・・・ふふふ・・・
そこまで考えたところでドアの向こうから声がする。
「グギギギ、首領様、起きていらっしゃいますか? 朝ですよ」
「あ、うん。今行く」
翔は起き上がってパジャマを着替える。
すでにハエ女がいつものように着替えを用意してくれているのだ。
着替えを終えた翔は下のリビングに降りて行く。
そういえば今日は土曜日だったっけ。
時計を見るとすでに9時を過ぎている。
いつもなら休みと言ってもこんなに寝てはいられない。
母親が起こしに来てしまうからだ。
でも今の翔はイレースの首領なのだ。
首領の眠りを妨げる者はいない。
「おはようお母さん、じゃないハエ女。それにゴキブリ女も」
「キキキキ、おはようございます、首領様」
「グギギギ、おはようございます、首領様」
二人ともすっと跪いて一礼をする。
「キキキキ、朝食の用意はすでに整っております」
ハエ女が指し示す先には美味しそうなベーコンエッグとトーストが置かれていた。
「美味しそう。いただきまーす」
翔はテーブルに着くと、手を拭いてトーストを手に取る。
「グギギギ、首領様、今日はいかがなさるおつもりですか?」
「うん、そうだね。今日はお昼に先生が来ることになっているから、三人目の改造獣を作るよ。そのためにも何か用意しておかなきゃね」
翔は芹蔵先生と合成する生き物を考える。
何がいいかなぁ・・・
ハエとゴキブリと来たから・・・
蜂? いやいやクモも捨てがたいよね・・・
そんなことを考えている翔。
TVのワイドショーでは昨夜起こったファミリーレストラン襲撃事件が報じられている。
『全身を特撮で使うような着ぐるみで覆った犯人は被害者の三人を拉致し、信じられないほどの速度で逃げ去ったとのことです』
「キキキキ、おろかな人間どもが昨晩のことをほざいておりますわ。被害者だなんて・・・あの三人も戦闘員になれたことを光栄に思っておりますのにね」
それは本当だ。
すでに三人とも戦闘員へ生まれ変わり、そのつややかな躰を喜んでいる。
でも、翔にとっても夕べの襲撃は驚きだった。
実際やってみるまではドキドキだったのだが、エミーの指示に従って襲撃をさせてみたら、あっけないほどたやすく行なえたのだ。
これからは誰に気兼ねをする必要も無い。
翔は力を手に入れたのだ。
立ちふさがるものは潰してやるのだ。
エミーに従っていれば何も心配する必要は無いのだから・・・

朝食を終えた翔は早速芹蔵先生と合成するための生き物を探しに行く。
本当はサソリとか毒グモとかあればよかったが、近所にそんなものがいるはずも無い。
だから翔は手近な生き物で何かいいものは無いかと探していた。
「あれ?」
翔は通りを歩いていく先生を見かける。
スーツ姿で颯爽と歩いていく芹蔵先生はすらっとしており、肩までの髪をなびかせている。
「そういえば午前中は赤林さんの家に行くって言っていたな・・・」
赤林由美(あかばやし ゆみ)もクラスでは一人で居ることが多く、おとなしい女の子だ。
普段から本を読んでいる姿しか見たことが無い。
でも、翔は一度だけ彼女がスーパーヒロインにあこがれていると聞いたことがあった。
特撮にでてくるような強いヒロインは彼女にとってはアイドルなんかよりも素敵な存在なのだろう。
でも、やっぱり一人で居ることが多いから芹蔵先生が家庭訪問に行くんだろうな。
土曜日だと普通の家は家族の人がいるだろうし・・・
でも今日から先生は生まれ変わるんだよ。
僕が先生を改造獣にしてあげる。
楽しみにしていてね。
翔は一人ほくそえむと、また生き物を探し始めた。

「ふふふ・・・」
翔は捕獲室に入った大きなカマキリを見つめていた。
あのあと探し回ってようやく手に入れたカマキリ。
翔はこのカマキリを芹蔵先生と融合させることに決めていた。
先生はカマキリ女となり、イレースのために働くようになるだろう。
翔はわくわくしながら先生を待っていた。

ピンポーンというベルの音が鳴る。
「来た!」
翔は玄関へ向かって階段を下りて行く。
ハエ女やゴキブリ女にはあらかじめ待機しているように言ってある。
後は先生を家の中へ入れてしまえばいいのだ。
『ごめんくださーい』
ドアの向こうで声がする。
芹蔵先生の優しい声だ。
「はーい」
翔が玄関を置ける。
少し茶色みがかった髪の毛をしたきつめの顔立ちだが充分に美人である。
「こんにちは瀧澤君。お父さんかお母さんはいらっしゃる?」
「こんにちは先生。奥にいますので入ってください」
翔は頭を下げて先生を迎え入れた。
「えっ?」
そのとき翔は玄関の向こう、通りの方に人影を見た。
「赤林・・・さん?」
それはチラッとしか見えなかったが、赤林さんのようだった。
翔は確かめたかったが、先生が待っているのでそうすることができず、結局そのまま扉を閉める。

「お邪魔いたします」
靴を脱いでストッキングの綺麗な足を見せる芹蔵先生。
そのまま廊下を過ぎて居間に入る。
「こんにちは。えっ?」
部屋に入るなり驚きの表情を見せる芹蔵先生。
そこには翔の指示で待機していたハエ女とゴキブリ女、それに戦闘員たちが控えていたのだ。
「な、あ、あなた方はいったい?」
「キキキキ、ようこそ芹蔵先生。我が組織イレースは先生を新たな改造獣として迎え入れますわ。おほほほほほ」
ハエ女が口元に手の甲を当てて高笑いをする。
改造獣として人間を見下すようになっているんだろう。
「あ、あああ・・・」
驚きのあまり口も聞けない芹蔵先生。

と、翔は自分が思い違いをしていたことに気がついた。
先生は恐怖で震えてなどいない。
どちらかというと戦うつもりに見える。
「由美司令! 現れました! 悪の組織のモンスターです!」
先生は突然腕時計に向かってしゃべり始める。
「由美司令?」
翔は何かいやな予感がした。
こういった悪の組織の暗躍には、いつも正義のヒーローが現れるものではなかったっけ・・・
『嘘? ホントにぃ? そんなのいたんだ?』
「はい、今目の前にいます。どうしますか?」
腕時計と会話する芹蔵先生。
そこから流れてくる声はあの赤林由美の声じゃないだろうか。
『もちろん退治よ。そのために私はあなたを正義のヒロインに改造したんじゃない』
「了解しました。変身!」
そう言うと芹蔵先生の姿が光に包まれる。
「キキキキ、これはどういうこと?」
「グギギギ、ちょっとまずいんじゃない?」
ハエ女もゴキブリ女も戸惑っている。
光が晴れると、そこには真っ赤なヘルメットと真っ赤なミニスカート型コスチュームを身につけた芹蔵先生が立っていた。
「悪の組織のモンスターども! あなたたちの野望はこのスーパーヒロイン、“シスターローズ”が打ち砕きます!」
「シスターローズですって? キキキキ、いかがいたしますか、首領様?」
ハエ女が翔の方を向く。
「仕方ない、押さえつけろ!」
「キキキキ、かしこまりました」
ハエ女はゴキブリ女に目配せしてシスターローズに立ち向かう。
でもあのヒロインは只者ではない。
二人係でも倒せるかどうか・・・
翔は二階へ駆け上がってパソコンのキーボードを叩く。
「エミー! 正義のヒロインが現れたよ! どうしたらいいんだい?」
『データを確認しました。どうやら“ヒーロー戦隊を作ろう”で作り出されたヒロインのようですわ』
エミーがこともなげに表示する。
「ヒーロー戦隊を作ろう?」
そんなものがあったなんて・・・
どうしたらいい?
翔はキーボードに打ち込む。
『戦うのです、首領様』
戦う?
『戦うか降伏するかですわ。戦いますか?:はい/いいえ』
翔は一瞬迷ったが、その間にも下ではドタンバタンと音がしている。
はい。
翔ははいを選んでクリックした。
『ふーん、そうかぁ』
突然パソコンから声が流れる。
『瀧澤君があたしの敵なんだね? すごいすごい。ようし、こうなったらもっと正義のヒロインを集めなくちゃ』
「赤林さんなのか?」
翔は画面に向かって話しかける。
『そうよ。私の夢がかなったわ。私ね、戦隊ヒロインの司令官になりたかったの』
「何だって・・・?」
翔はいやな予感が現実になったことにショックを受けていた。
しかもそれはクラスメイトなのだ。
『今日は引き上げるわね。でも覚悟してね。あなたの組織は私が潰すわ!』
一方的な宣言。
どこがおとなしい女の子なんだ?
いつもは猫をかぶっていたのか?
どちらにしてもこちらも対応策を考えなくちゃならないだろう。
新たな改造獣を揃え、ヒロインたちに対抗するのだ。
翔はまた新たな高揚感がわいてくるのを感じていた。
これから悪と正義の戦いが始まるのだ。
負けるわけには行かない。
翔は決意を新たにした。


姫宮 翼さんの投稿:
こうやって大人しい子が正義のヒロインの司令官って言うのもいいですね。
と言うか、悪つくと同じ方法ならまさか家庭訪問に来た先生を・・・・・・。
これでこのお話は終わりですか。楽しく読ませていただきありがとうございました。
3 月 1 日

漆黒の戦乙女 さんの投稿:
あははwやっぱり出てきた正義の味方セットwヒーロー戦隊を作ろうもやり方はやっぱり同じなんでしょうね
姫宮さんも仰ってますがやっぱりああいう方法なんでしょうか…正義じゃない気がするなぁw
なんとなく陣取りのような感じですね、クラスメイトあたりがターゲットだとそれが顕著になりそうですし
何はともあれおつかれさまでした
3 月 1 日

漆黒の戦乙女 さんの投稿:
そういえば、なんとなくホーリードールを彷彿とさせる展開にも見えますよね…もしも同じ方法で正義のヒロインの作成もおこなっていたらw
ますます製作元が気になりますね
3 月 2 日

舞方雅人 さんの投稿:
>姫宮 翼様
はいー。
家庭訪問に来た先生は捕らえられて正義のヒロインにされちゃいました。(笑)
おとなしいというのは見かけだけだったんでしょうね。
ご拝読ありがとうございました。

>漆黒の戦乙女様
まさしく正義じゃないですよねー。
言われるまでホーリードールとの類似性にあまり気が付いていませんでした。ww
きっとこのあとクラスメートの気に入った子を取り合うんでしょうね。
友人同士が片方は改造獣に、片方は正義のヒロインに・・・なんて萌えちゃいますですね。(笑)
3 月 2 日

岩賀出 さんの投稿:
 なんと言うスピーディーな展開!最終回とは思えないくらい物語は膨らんでいきますね!
とても楽しく読ませていただきました。ありがとうございます。
 余談ですが、実は私にも翔くんぐらいの息子がおりまして、もしもこの物語のような状況になったら、
自分としては、カブト虫かクワガタあたりの改造獣にしてもらいたいものです。「おとうさ~ん、団子虫しか
いなかった~、これでもいいよね~。」「ええっ!マジですか~(汗)」なんてことは勘弁してほしいです。(笑)
3 月 3 日

舞方雅人 さんの投稿:
>岩賀出様
そうでしたか~。
息子さんに団子虫にされちゃうのは勘弁ですよね。(笑)
楽しんでいただけたようでありがとうございました。
3 月 4 日
  1. 2006/02/28(火) 22:19:51|
  2. 悪の組織を作ろう
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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