18世紀から19世紀にかけて世界の七つの海を制覇したのがイギリス海軍でした。
その主力は木造帆走戦列艦とフリゲートでした。
二層、もしくは三層以上の砲列甲板を持ち、鈍重だが圧倒的な砲撃力を持つ戦列艦は、海軍力の主力として艦隊の主戦力として活躍します。
一方フリゲートは一層もしくは一層半ぐらいの砲列甲板を持ち、速力と操作性に優れた小型の帆走軍艦でした。
世界各地に植民地を持つイギリスは、その植民地と本国を結ぶ通商線がすなわち生命線でした。
もちろんこれはイギリスばかりではなく、フランスやスペインなども大なり小なり植民地との通商線を維持しており、その航路を警備することは海軍の重要な任務の一つでした。
ヨーロッパの戦争は即植民地間での戦争となり、本国と植民地を結ぶ航路は海軍のフリゲート同士が熾烈な通商破壊戦を行なう舞台となるのです。
当時の帆走軍艦は、砲撃をしあっても沈没することはあまりありませんでした。
むしろ、砲撃により帆走能力を失わせ、切り込み部隊による白兵戦で相手の船を拿捕するのが一般的でした。
敵艦の拿捕は、すなわち自軍の戦力の増加と相手の戦力の減少と言う一石二鳥の効果を持つ上、拿捕賞金が手に入るために水兵にとっても特別ボーナスを手にするチャンスでした。
また、これは英軍に限ったことなんでしょうが、実は世界に冠たる英国海軍の戦列艦やフリゲートは造船技術的にはフランスの艦より劣っていたらしいのですね。
そのためスマートで速力も速く防御力にも優れたフランス製のフリゲートを拿捕した場合、英国海軍の艦長たちは何とかその艦を自分の物としようと躍起になったそうです。
拿捕賞金は艦長が一人で全額の二分の一。
残りの半分を士官から水兵に至るまでに階級ごとに分けられていったそうです。
ある艦長はフリゲートで華々しい成績を上げて戦列艦の艦長に抜擢された時に、これで拿捕賞金が手に入らなくなると言って嘆いたそうです。
人類が作り出したもっとも美しくもっとも重労働な乗り物。
それが帆船と言うことらしいですね。
確かに帆をいっぱいに広げて走る様は勇壮であり、また優美でもありますね。
でも、その帆走軍艦同士の戦いは、近代の戦艦同士の戦いに負けず劣らずなものだったのは間違いありません。
そのあたりもいずれ書きたいと思います。
それではまた。
Enne さんの投稿:
帆船話に引かれる私が通りますよ(笑
さて、舞方さんとも帆船小説では盛り上がっているので、こんなのはいかがでしょう?
『海王記』 河原正敏氏(修羅の門が有名ですが)が月間少年マガジン誌で連載中の漫画です。
河原氏自身、商船学校卒だそうで、主人公が駆る帆船はどうやら鋼鉄製のようですが
シップ型というより快速クリッパーを髣髴させる帆船です。
帆船ファンで未見の方は是非。w
1 月 26 日
Enne さんの投稿:
ああ、間違ってますね
河原正敏は× 川原正敏さんが○
海王記は × 海皇記が ○です失礼をorz
1 月 27 日
舞方雅人さんの投稿:
>Enne様
船のことを英語でシップと呼ぶのは、船の一形態であるシップ型帆船が、あまりにも一般的になったからなんですよね。
海皇記は読んだことないんですが、帆船がたくさん出てくるのは楽しそうですね。
また帆船のお話をいたしましょう。
1 月 27 日
舞方雅人 さんの投稿:
上のコメントは私です。
なんか使いづらくなったなぁ。
1 月 27 日
- 2006/01/26(木) 22:08:24|
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