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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

パイロットたち

予告

寒風吹きすさぶ白い大地。
ここは惑星ベンエジヴァン。
降り立ったアルティアの目の前に、一癖も二癖もありそうな連中が待ち受ける。
これから先は白い地獄。
雪の大地に火薬が臭う。
次回「パイロットたち」

悪魔は美しい女の姿をしている。


なんて感じでボトムズSSですー。
ではどうぞー

3、
惑星ベンエジヴァン。
寒風が吹きすさぶ荒涼とした大地。
吹雪が舞い、何もかもが白く染まっている。
急ごしらえのシェルター型の居住区画。
ヒーターが赤々と燃えて、中は思いのほか温かい。
ここには今三十人ほどの人間が詰めていた。
ATは六機。
ご丁寧にコンテナに梱包されて、キャリアーに載せられて出番を待っている。
機種はわからないものの、おそらくはスコープドッグの冬季装備型。
雪原用にスノーシューを装備したタイプではないだろうか・・・
何をやるのか知らないが、六機のATを揃えるとは結構なもの。
私は窓の外を吹きすさぶ雪を黙って見つめていた。

「ふん、女がいるとはな」
シェルター内の溜まり場にはAT乗りが集っている。
私は作戦目的なども知らされぬまま、ここに放り込まれていた。
女である私はいつものごとくの言葉を耳にする。
女だ・・・
女のくせに・・・
そんなのばかり。
男どもは女を見るとそう言わずにはいられないらしい。
私は無言でサンドイッチを口にする。
反応するほど付け上がらせるに過ぎないからだ。
「ケッ、お高く留まりやがって」
アルコールのグラスを傾けている男。
筋肉質の巨体を揺らしている。
「やめとけよラートル。これから仲間になるんじゃないか」
片隅で同じようにグラスを傾けていた痩せた男が声をかける。
赤い気密スーツを着込んだ姿は精悍だ。
「こんなのが仲間か? 参ったものだぜ。なあ、ユジン?」
「ん? 僕は構わないよ」
奥の方で本を読んでいた男が顔を上げる。
少年?
一体何者?
私は思わずサンドイッチをぱくつくのをやめた。
「ガ・ユジンです。よろしく頼みます」
少年はにこやかに微笑んでくる。
その笑み波形感心をやわらげる。
「あ・・・はい。アルティア・カディスです。よろしく」
私は頭を下げる。
何となく彼の持つ雰囲気に引き摺られたのだ。
「俺はマ・フォン。こいつはラートルだ。口は悪いがいい奴だぞ」
痩せた男が笑いかける。
「ラートル・メイドンだ、足を引っ張ってくれるなよ」
筋肉質の男が面白くも無さそうに自己紹介する。
「よろしく」
私はそれだけを言う。
腕も性格もわからない相手だ。
傭兵として付き合う以上のことは必要無い。
「それで? あと一人はどうしたんだ?」
ラートルの疑問はもっともだ。
彼らと私、それにターロス大尉を入れてもパイロットは五人。
ATは六機なのだ。
あと一人来るには違いない。
「おそらくもう少ししたら来るんだろう。大尉殿と一緒にな」
マ・フォンが肩をすくめる。
「あなたがたは作戦目的は知っているの?」
私はジュースを口にしながら訊いてみた。
知っているのなら私だけが教えられていないということになりかねない。
「さあ、知らねえな。お前の方があの大尉とは仲が良さそうじゃないか、ええ?」
ラートルがガハハハと笑っている。
下卑た笑いだ。
「僕も聞いていませんよ。ただ、重要な役目だとは聞いていますけど」
小柄な少年といった感じのユジンが答える。
重要な役目ね・・・
「ユジン・・・あなたいくつなの?」
「僕? 十六だよ」
あっけらかんと答えるユジン。
人懐こい笑いに私も思わず微笑んでしまう。
ちょっと待ってよ。
やっぱり子供じゃない。
「こいつの見た目にだまされちゃいけねえぜ。こいつのATを駆る腕前はたいしたものだからな」
ラートルが笑っている。
確かに口は悪いがいい奴なのかもしれない。
こうも簡単にべらべらしゃべってくれると警戒心が薄いのかもしれないわね。
それにしても・・・
こんな少年がATの操縦とはね・・・
私は苦笑した。

バラバラバラと音が響く。
ヘリコプターのローターが風を切る音だ。
この吹雪の中を飛ばされるパイロットには同情を禁じえないわね。
三つのシェルターがコの字型に配置された内側にヘリコプターは着陸する。
吹雪と地吹雪が交じり合って視界はゼロに近くなる。
エイティーフライ型のヘリコプター。
いざとなればAT一機を吊り下げて、戦場に投入することもできるパワーの持ち主だ。
連絡用に使うにも便利だろう。
舞い上がる雪の中、ヘリのハッチが開いて人影が現れる。
赤いパイロットスーツに身を包んだ人物と、ギルガメスの軍服を着た人物。
軍服を着ているのはターロス大尉。
もう一人の赤いパイロットスーツは?
長い髪が激しい風になびいていく。
女?
私以外にもATパイロットの女性が来るとはね。
赤いパイロットスーツの女性は、スマートな物腰で優雅に歩いてくる。
なかなかの美人だわ。
私はふとそんなことを思っていた。

やがて彼らはシェルター内に入ってくる。
「諸君、遅くなった。最後のパイロットを連れてきた」
ターロス大尉が彼女を指し示す。
「シフォン・ドゥーリッチです。以後よろしく」
彼女はにっこり微笑み敬礼をする。
「ケッ、また女かよ。やってられねえぜ」
渋い顔のラートル。
どっかりと腰を落ち着けたままで顔をあわせようともしない。
「マ・フォンだ。これで全員ということだな」
「ガ・ユジンです。よろしく」
残りの二人もそれぞれに挨拶を交わす。
「私は・・・」
私が挨拶をしようとすると、シフォンはつかつかと歩み寄ってきた。
「アイスブルーアルティアですね? 初めまして」
「あ・・・」
手を差し出してくるシフォン。
私は素直にその手を受け取る。
「アルティア・カディス。よろしく」
握り返してきたその手は・・・なぜか力がこもっていた。

「挨拶はそれぐらいでいいだろう。これよりブリーフィングを行なう。シフォンも席に着け」
「ハッ」
ターロス大尉が軍帽を脱いで正面に立つ。
驚いた。
ラートルなんか酒が入っているというのに、すぐにブリーフィングだなんて・・・
ガタガタと音がしてみんながそれぞれ席に着く。
「作戦開始は明0600。目標はヴィスロン平原を走る軍用列車」
どよめきが起こる。
軍用列車の襲撃とはどういうこと?
「静かに。われわれは明日、ATにより軍用列車を襲撃。その後速やかに撤収する」
「どういうことなんです? 軍用列車を襲うなど理由がわかりません」
フォンの言葉が全員の気持ちを代弁しているだろう。
どういう理由で味方の軍用列車を襲うのか?
このベンエジヴァンへ来た時から、ここで何をするのかと思っていたが、まさか軍用列車の襲撃とは。
「理由は明白だ。この軍用列車には武器が積まれている。バララントに通じるゲリラに渡る物だ」
「バララントに?」
「そうだ。この軍用列車を通過させてしまえば、各星系のゲリラは大量の武器を手に入れることが可能と判断することになるだろう。それを阻止するために我々はその軍用列車を阻止しなくてはならない」
熱っぽいターロス大尉の言葉。
「なるほどー。そういうことかい!」
ラートルがうんうんとうなずいている。
「それは間違いないんですね?」
フォンが念を押し、大尉がうなずくのを黙って見ている。
・・・・・・
筋書きはあっているように見えるわね・・・
でも・・・
「報酬はきちんと出るんでしょうね?」
両手を頭の後ろに組んだまま、ユジンがニコニコと笑っている。
そう・・・
金をもらう以上は従わなくてはならない。
それが意に沿わないものであったとしても。
傭兵とはそういうもの。
「それは間違いない」
「じゃあ、いいじゃん」
ユジンの一言にみんながうなずいた。
  1. 2006/10/16(月) 22:46:14|
  2. ボトムズSS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

ほほ~、最後の女性さんライバル視しているのかな?
同時に作戦終了後に目撃者は…とか言って襲わせてきそうな予感もしてますが、考えすぎかな
  1. 2006/10/17(火) 21:24:09 |
  2. URL |
  3. 漆黒の戦乙女 #c4EIgJbw
  4. [ 編集]

>>漆黒の戦乙女様
どうでしょうかねー。
軍用列車の攻撃ということ自体がただではすみそうもありませんね。
シフォンはアルティアにはいい感情持っていなさそうですー。
  1. 2006/10/18(水) 22:20:47 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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