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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

脱出艦隊

息つく間もなくまた戦いです。

一年戦争はこのあたりが日程的に非現実感を持ってしまいます。
12/24からの一週間でソロモンとア・バオア・クーを落とさなければなりません。
三年戦争ぐらいのほうが良かったと思うんですけどねー。

ま、とにかくローネフェルトにとっても正念場。
がんばれー

「前方より発光信号多数・・・これは・・・」
「艦長! 前方より接近してくる物体があります!」
双眼鏡を覗いていた監視の兵と、通信兵が同時に声を上げる。
一人でも手があったほうがいいかと、私も対空監視に余念がない。
私はすぐに双眼鏡を監視兵の見ていたほうに向ける。
オレンジ色の信号が次々と見え隠れしている。
あれは何?
ハッ!
私は息を飲んだ・・・
損傷艦?
「きゃあぁぁぁぁ!」
双眼鏡を覗いていた女性兵士が悲鳴を上げる。
無理もないわ・・・
私は暗澹たる思いで双眼鏡を下ろす。
「スクリーン、最大望遠!」
キャプテンシートのリーザが命じる。
すぐに私の見ていた光景が艦橋の全ての人間の眼前に展開された。
「!」
「ああ・・・」
艦橋の全ての人間が息を飲む。
舵輪を握っていた航海長も思わず目をそらした。

そこには、片方の推進器から火花を散らしながらよたよたと航行するムサイ級軽巡や、前部の主砲を吹き飛ばされ、艦橋すら失っているチベ級の重巡、船腹に大穴を開けたままかろうじて推進器が生きているパプア級の補給艦などの小艦隊だったのだ。
しかも、そんな沈没寸前の各艦艇にへばりつくようにしてモビルスーツが取り付いたり、ノーマルスーツの兵士たちが甲板にむき出しでしがみついたりしているのだ。
周囲に寄り添うように航行しているジッコ突撃艇やガトル戦闘爆撃機にすら、ワイヤーを張り巡らして兵士たちが取り付いている。
こんなにひどい状況の艦艇は見たことがない・・・

「な・・・何があったの? ソ、ソロモンは・・・どうなったの?」
「間に合わなかった・・・間に合わなかったんだ・・・」
艦橋にざわめきが走る。
「うろたえるな! 推測だけで状況を判断してはならない!」
リーザの叱咤が飛ぶ。
厳しい表情で前方の艦隊を見据えているのだ。
「旗艦に通信を送れ! 救助活動に入ろうと思うが許可を、と」
「わかりました」
通信兵はすぐにリーザにうなずき、ワルトラントに通信を送る。
「いや、待って!」
私はスクリーンに目を凝らす。
スクリーンのかなたで光が瞬く。
ノーマルスーツの兵士と06F2や09Rがしがみついていた比較的損傷の少ない軽巡が爆発する。
「!!」
「何?」
「トロメル沈没! 味方艦隊の後方に敵艦隊!」
「ワルトラントより入電! ブリュメル及びスタメルは我に続け。敵追尾艦隊を攻撃する。以上です!」
リーザがうなずく。
「最大戦速! ワルトラントに続け!」
私はすぐさま双眼鏡を手近の兵に渡してモビルスーツデッキへ向かう。
「出撃するわ。いいわね?」
「もちろん」
リーザが振り返って片手をあげるのを見ながら、私はエレベータに乗り込んだ。

『モビルスーツ隊発進準備! モビルスーツ隊発進準備!』
私は急いでノーマルスーツに着替える。
この動作ももう慣れたもの。
今では一分ぐらいで着込むことができる。
酸素の残量を確認し、襟元をシールしてヘルメットを取る。
そのままモビルスーツデッキへ向かう私の背中にアヤメとパットの二人が従った。
「味方損傷艦艇に対する敵の攻撃を防ぐわ。いいわね」
『『了解!』』
即座に返ってくる返事。
何か気分がよくなるわね。
二人なら私の背中は安心して任せられるわ。
こんな気分で出撃できるのはいつ以来かしら・・・
私はそう思った。

「発進準備はできているの?」
私はモビルスーツデッキに入るなり怒鳴りつける。
もちろん整備クルーも慣れたもので、ノーマルスーツのヘルメットのバイザー越しの視線がこちらに集中する。
パイロットが現れたことをこれで知るのだ。
『もちろんですよ。大尉殿!』
整備長が私のYMS-15からキャットウォークへ降りてくる。
他の整備員たちもそれぞれの機体から離れて、発進態勢が整って行く。
『いつでも発進できます。ただ・・・』
「ただ?」
私はアヤメとパットをそれぞれの機体に乗り込ませる。
二人はすぐに床を蹴って、自分の機体に向かっていった。
『シールドの予備が用意できません。全弾ぶち込めとは言いましたが、捨てて来いとは言いませんでしたよ』
私は苦笑した。
確かにあんな奇妙なシールドはそうそう準備できるものじゃない。
予備部品のコンテナの梱包を解き、使用できる状態にするには一日仕事だろう。
それよりも整備クルーは機体の整備をするだけで手一杯なのだ。
その苦労を助長しているのが他でも無く私の15。
09Rで統一されていれば整備にもそれほど苦労はないだろう。
しかし、同じツィマッドとはいえまったく違う機体が混じれば、整備は苦労することになる。
「ごめんなさいね整備長。シールドは抜きでいいわ」
『ええ、ですが飛び道具抜きというわけにも行かないでしょう。あれを使ってください』
私は整備長の指差す方を見る。
なるほど。
私の15には腰のところに二本のシュツルムファウストが取り付けてあったのだ。
一発使い捨てのロケット兵器だが、弾頭の巨大なHEATは直撃すればモビルスーツはおろか、連邦のマゼラン級戦艦すら撃沈できる。
もっとも・・・当たれば・・・だけどね。
「ありがとう整備長。行ってくるわ」
私はぽんと床を蹴ってYMS-15に取り付いた。

「システムオールグリーン。アマリア・ローネフェルト、YMS-15ギャン、出る!」
私は周囲のクルーの安全を確認した上でバーニアを吹かす。
ぐんと加速される重量感のある機体。
でも、その重量はまったく感じさせないし、06Fなんかよりよほど運動性はいい。
わずか一年で・・・
私は窓外に広がった宇宙空間に思いを馳せた。
我が国が独立を求めて起こしたこの戦い。
緒戦の勢いは凄まじかった。
私たちはあろうことか人口の半分をこの世界から消し去ってしまったのだ・・・
私は今でもそのことを考えると身震いが起きる。
本当によかったのだろうか・・・
私たちの自由はそれほどまでに犠牲が必要だったのだろうか・・・
連邦の搾取・・・
虐げられた生活・・・
そんなことは考えたことも無かった・・・
でも・・・
父も母も売り上げが落ちたって言っては連邦の無策のせいにしていた・・・
小麦粉の値段が上がったって言っては連邦のコロニー締め付けだって責めていた・・・
ギレン総帥の言いたいことはわかる。
コロニーは自立するべきだ。
けれど・・・
すでにコロニーに人はいない・・・
人の住んでいるコロニーはリーアとジオンだけになってしまったと言ってもいい・・・
そのリーアはちゃっかりこの戦争に中立を表明して受け入れられている。
中立ということは連邦から距離を置くということ・・・
と言うことはリーアはすでに独立しているということではないか・・・
私は苦笑した。
もっとも・・・
それを言うならジオンも同じ。
我が軍はすでに目的を達成しているのだ。
そう・・・1月31日で目的は達しているのだ。
南極条約・・・
条約は国家と国家が結ぶもの。
決して中央政府と地方叛乱勢力が結ぶものではない。
そう・・・
あの時点で連邦はジオンを国家と認めたのだ。
詭弁かもしれない・・・
でも、解釈上はそうなるのだ・・・
では、その後の戦いは一体なんなのか・・・
地球に降下しおびただしい物資と人名を消費し・・・
連邦とジオンの意地の張り合い・・・
私は首を振る。
よそう・・・
私は軍人だ・・・
それを考えるべき立場にはいない。

『アヤメ・ミナヅキ少尉、行きます!』
『パトリシア・ノイマン准尉、出ます!』
二機の09Rがすぐにブリュメルから発進する。
我が艦隊は最大戦速で敵艦隊に向かいつつあった。
前方では敵艦隊の攻撃を受けつつある味方艦隊が、必死の防戦に入っている。
残弾少ないモビルスーツが、次々としがみついていた艦艇から離脱して、敵艦隊へ向かって行く。
「二人とも、いいわね? 遅れないで」
『『了解!』』
二人の声がハモっている。
ずいぶんと仲良くなったものだ。
私の機体を紫に塗ってからかもしれないわね。
アヤメの09Rは通常装備。
ジャイアントバズとヒート剣、それにシュツルムファウストが一本。
一方パットの09Rはジャイアントバズが二本。
さらには肩からマシンガンまで提げている。
ある意味遠距離支援に徹してもらう。
彼女の射撃の腕は間違いない。
命中率の悪いバズーカもしっかり当ててくれるはず。
私とアヤメが突入し、パットが支援をする。
私はこの方針で望むことにしたのだった。

私たちの前方を高速航行している重巡ワルトラント。
私たちの小隊がその脇をかすめて行く。
その時だった。
戦場ではほんのちょっとのことが生死を分ける。
モビルスーツ発進のために艦首の発進口を開いたワルトラントは、その瞬間にビームの直撃を食らったのだ。
前方の脱出艦隊を狙った敵のビームの流れ弾。
それがまさに最悪の瞬間に最悪の場所に着弾したのだ。
発進しようとしていた09Rはなすすべもなく爆発。
その爆発は格納庫を火の海にし・・・
ワルトラントは火球となって轟沈した。
『旗艦が!』
悲鳴のようなブリュメルの通信士の声を聞きながら私は唇を噛む。
あれでは生存者はいないだろう・・・
連邦め!
私は前方をにらみつけた。

必死で逃げ惑う損傷艦艇。
だが、その機動には限界がある。
外部に取り付いている兵やモビルスーツを考えたら、急激な機動など取れるはずもないのだ。
中にはワイヤーを切って兵士たちを虚空に放り出すジッコや、握っていたワイヤーを放り出して敵艦隊に向かって行くモビルスーツなどもいる。
そんな中、連邦の砲撃は緩むことがない。
一隻、また一隻と被弾を重ね、沈んで行く艦が現れる。
これは戦闘ではない・・・
虐殺ではないか!
私は無言のまま15の左手にシュツルムファウストを構えさせる。
モビルスーツは利き腕など関係ない。
ただ、使われる兵器や、パイロットの感覚で、どうしても右手を使うことが多いのだが。
このシュツルムファウストの射程は短い。
充分に接近する必要がある。
今はまだ早い。
私はじりじりしながら距離を縮めて行く。

敵艦隊付近での戦闘が始まっている。
離脱艦隊から死を覚悟して防戦に向かったモビルスーツ隊が敵モビルスーツとの戦闘に入ったのだろう。
敵の数は艦だけでも二十隻はいる。
モビルスーツは五十機はくだらないだろう。
そんな中へ弾薬も推進剤も乏しいモビルスーツが向かって行くのだ。
味方を一機でも多く逃がすために。
はらわたが煮えくり返る。
ソロモンが落ちたのは間違いない。
この損傷艦艇が全てを物語っているだろう。
だけど、こうまで完膚なきまでに叩き潰しに来るとは・・・
すでに戦意を失っている相手をなぶり殺しにするなんて・・・
私は知らずにスロットルレバーを力いっぱい握り締めていた。

『お姉様、来ます!』
アヤメの緊張した声が流れてくる。
すでに私たちの機も敵モビルスーツとの交戦空域に入ってきたのだ。
前方には苦戦中の味方モビルスーツが数機固まり、必死の防戦に努めている。
敵はまるでインディアンが幌馬車を襲うかのように、我が軍のモビルスーツを取り巻き始め、一撃を食らわせては離脱して行く。
そいつらが新たに現れた我が小隊と、スタメルから発進した小隊に気がついたのだ。
わずか六機の援軍だが、囲まれた味方は歓喜の声を上げてくれる。
私はシュツルムファウストを見舞ってやった。


姫宮 翼
敗北に見えている敵を撃ってはならないとは分かるんですが、現地の兵士からすれば何をしてくるか分からないや。捕まったら何をされるか分からないの恐怖心で戦いが続くでしょうね。

ジオンは、コロニー落としましたからね。
あれでコロニー落としとコロニー住民の独立の論争になると泥沼になりますよね。
ジオンが落として連邦や地球に「力」を見せて、逆に二度目のコロニー落としを恐れて連邦は大規模戦争になりましたからこれは論争になります。
ここら辺は一年戦争のサイドストーリーの主人公も考えていたと思います。ちょっと自分の記憶が曖昧になっていますが。
この戦争で一番儲けたのはやはり武器商だと思います。ここはアナハイムでしたっけ?MS開発は。


でも一兵士であるローネフェルトさんは生き延びる事が最優先でしょう。戦争終結が迫ってきたら兵士は生きて家にたどり着かないといけませんから。
ここから先は連邦軍は物量で一気に押し潰しますから戦場から帰るのも至難の技ですね。
補給等がままなら無くなると思いますが生きて帰ってほしいですね。

すいません、なんだか長くなっちゃって。
6月18日 18:16

漆黒の戦乙女
戦争終盤ともなれば、もう歯止めというものが効かなくなるころでしょうね
種のラストでも同じような描写が存在してましたからね…今までの恨みを晴らすと言う感じでしょうか
あれは核ミサイル撃って、反撃は巨大なガンマ線レーザー(Zのジャブロー核自爆のような感じの展開もありましたけど)
閑話休題

もうそろそろ補給線やらも厳しいころでしょうが、がんばってほしいですね
6月18日 22:24

舞方雅人
>>姫宮 翼様
戦いや戦争はやめるのが一番難しいですね。
負けているほうは挽回のためや自己保存のために、勝っているほうも自己保存や負けている側の抗戦のためにやめることができづらいんですよね。
おっしゃるとおりローネは生き残ることが第一です。
それ以外は全て考えなくてもいいと言っていいでしょうね。
とにかく生き延びて欲しいものです。

コメント長いのは大歓迎ですよ。

>>漆黒の戦乙女様
戦闘に歯止めが効かなくなるのは歴史的にも多いですね。
ア・バオア・クーの戦いの後でジオン共和国の一画でパン屋をやっているローネフェルトも見たいものです。
アヤメとパットが店員をやってたりして。(笑)
6月19日 21:31
  1. 2006/06/17(土) 19:39:33|
  2. ガンダムSS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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