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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

七日目(13)

「七日目」の十三回目です。
残すも今日と明日のみ。
今日はいよいよ七日目です。

それではどうぞ。


13、
七日目。
今日でケリをつけなくてはならないな。
とはいえ、メカレディたちはもうほとんど抵抗心がなくなっているはず。
あとは仕上げるだけと言っていいだろう。

俺はいつものようにメカレディたちを整列させる。
「「ギーッ!」」
黒いレオタード姿で直立する彼女たちは、俺をまっすぐに見詰め右腕を胸のところで水平にする機械帝国の敬礼を行なう。
その表情にはすでにためらいや不安はうかがえない。
すべてを自由にさせているにもかかわらず、俺に反抗する様子はないのだ。
俺は彼女たちの態度に笑みが浮かんだ。

「ゴラーム様、どうなさったのですか?」
「ん、いや、なんでもない」
俺はA1にそう答えると、あらためてメカレディたちを見渡した。
いずれ劣らぬ美女たち。
人間の時も持ち合わせていた美しさに、今は機械の美しさが加わっている。
無論表面上は人間の時の姿に似せてはいるが、内部の機械がその美しさをバランスよく制御しているのだ。
作らせた俺も惚れ惚れするほど。
A1の躍動するしなやかさ。
A2の少女らしさの中の小悪魔っぽさ。
A3の若い女性の持つみずみずしさ。
A4の人妻の持つ妖艶さ。
どれをとっても人間の男は心惹かれるものだろう。
人間世界の中心は、なんだかんだ言ってもまだまだ男が占めている。
そこで工作活動を行うにはこういった女性型がいいのだ。
メカレディたちにはこれからそういった任務についてもらわなくてはな。

「さて、今日でいよいよ七日目だ。今日一日俺の命令に従えばいい。そのあとでお前たちにまだ人間として暮らしたいという気持ちがあるのならば、そのときにはお前たちを解放する」
俺の言葉に互いの顔を見合わせるメカレディたち。
だが、昨日とは違い、その顔には笑みが浮かんでいる。
ほう・・・
この笑みの意味するものは何なのやら・・・
俺は一瞬そう思ったが、彼女たちはすぐに表情を引き締めて俺に向き直る。
「「ギーッ! ゴラーム様、何なりとご命令を」」
俺はメカレディたちにうなずくと、今日の任務を命令した。

任務そのものは単純なものだ。
誰でもいいから知り合いの人間を二人殺すこと。
つまり、かつての自分を知る人間に怪しまれないように近づいて暗殺しなくてはならない。
無論殺したのがメカレディであるということを極力知られないようにしてだ。
フェイスカバーはなし。
あくまでも人間としてターゲットに近づき、暗殺するのだ。
これができればもうメカレディ計画は完成したと言っていいだろう。
やり方は自由。
力任せに首をひねろうが、銃やナイフを使おうが、毒を使おうがかまわない。
ターゲットが気を許している状態で殺せればいい。

一日目にこんな命令を出していたら、おそらく彼女たちは自発的には何もできなかっただろう。
必死で抵抗し、脳が壊れていたかもしれない。
だが、今目の前のメカレディたちは、俺の命令を黙って聞いている。
それどころか、すでにターゲットをメモリーの中から選んでいるはずだ。
そしてターゲットをどのように殺すかも・・・

「ギーッ! かしこまりましたゴラーム様。さあみんな、行きましょう」
「「ギーッ!」」
命令を受け取るとメカレディたちはA1の指示に従って地上に向かう。
殺人を命じられたにもかかわらず、みなその表情は明るい。
任務を命じられたことが嬉しいのだろう。
俺は彼女たちの後姿に満足した。

結論から言うと、メカレディたちは命令を忠実に果たして戻ってきた。

「私は学校の友人だった二人を呼び出しました。そしてハンバーガーでも食べに行こうって誘い、その途中で体内から電流を流して感電死させました」
得意げに話すA2。
友人だったという言葉が今の彼女を象徴しているだろう。
スパイロボで監視はしていたが、その手並みはなかなかのものだった。
「私は以前から誘いをかけてきていた会社の男性同僚を二人。相談があると携帯に送ったらすぐに食いついてきましたわ」
口元に薄く笑みを浮かべるA3。
たやすく人間を罠にかけることができたのが嬉しかったのだろう。
「一人ずつドライブでもと誘い、車内で首を折ってやりました。人間てホント簡単に死ぬんですよね」
「私は夫だった男と姑を・・・」
こちらはぞっとするような笑みを浮かべるA4。
まさに一番身近な人間ではないか。
「喉を潰して悲鳴を上げられないようにしてから、ゆっくりと心臓を握りつぶしてやりましたわ。うふふふ・・・あんな蛆虫どもと暮らしていたなんてバカみたい」
ほう・・・自ら帰る場所を潰したか。
それにしてもまさか自分の妻に心臓を握りつぶされるなどとは思わなかっただろうな。
「私はコマンダー訓練センターで訓練中の後輩を二人・・・」
ちょっと切なそうな顔をするA1。
まだ今回の命令に苦悩があったのか?
「私はおろかにも時々訓練のサポートをしてやっていたんです。現役ピースコマンダーとして・・・」
ぎゅっとこぶしを握り締めるA1。
なるほど。
俺の命令に対してではなく、自らの過去に苦悩したのか。
「だから・・・少しでもそんな過去は消したくて・・・それにコマンダー候補生はいずれピースコマンダーとして私たちの敵となる存在。だから・・・」
「ああ、そうだな。おそらく今頃はコマンダーピンクの代役を模索しているはずだ」
ピースコマンダーとて無敵ではありえない。
死なないまでも怪我をすることは充分に考えられるのだ。
そのバックアップ要員がいないなどということはありえない。
すでにA1が行方をくらませてから十日近くなる。
これ以上日が経てば、おそらくコマンダーピンクの入れ替えが行なわれるはずだ。
その前にこいつを戻してやりたいのだがな。

「うふふふ・・・」
俺はドキッとした。
A1が笑っているのだ。
「簡単でした。彼女たちは何の疑いもなく私の呼び出しに応じたんです。もちろん本部を通して呼び出したりはしませんでした。彼女たちとは個人的に連絡も取っておりましたので」
さすがのピースコマンダーも隊員たちのプライベートまではそう管理できないだろうからな。
ましてや単なる候補生だ。
普段からの管理などは行なわれまい。
「彼女たちは私がいまだに桃野弘美であると疑いもしないおろかな連中でした。私は彼女たちにカラオケに行こうと誘い、途中で始末してやりましたわ。うふふふ・・・」
薄笑いを浮かべているA1を俺はとても嬉しく思った。
後輩をためらいもせずに殺せるようになったのだ。
これで俺の計画は完成だ。

「よくやったぞお前たち」
「「ギーッ!」」
いっせいに服従音を発し、右手を胸のところで水平にするメカレディたち。
以前は俺がコントロールしてやらなければならなかったことだが、今では自ら当然のこととして行なっている。
「これでお前たちに課した一週間は終わった。お前たちは俺の予想以上のできであり、充分に働いてくれた」
俺の言葉にメカレディたちの顔がほころぶ。
「さて、あらためて問おう。人間としての生活に戻りたいか?」
俺はメカレディたちを見回した。

「ゴラーム様、お戯れはおやめくださいませ」
「私たちの結論はもうご存知のはずです」
「私たちが人間に戻りたいなどと考えるはずがありません」
「私たちは栄光ある機械帝国の一員、メカレディですわ」
口々に言うメカレディたち。
わかってはいたはずなのに、なぜか俺はホッとしていた。

「あ~っ、ゴラーム様、まさか私たちが人間に戻りたいって言い出すと思っていたんじゃ?」
「そ、そうなんですか、ゴラーム様? それはひどいです」
「人間なんてあんな下等生物に戻りたいわけありません。血と肉と骨の単なる塊じゃないですか」
「あんな脆弱な肉体だったなんて思うとぞっとします。私、今はメカレディにしてもらえて感謝しています」
こいつら・・・
一週間前とはえらい違いじゃないか。
「ふふふふ・・・・・・ふははははは・・・」
俺は思わず笑い出してしまっていた。

だったらこれはもう不必要だな。
俺はメカレディたちの躰をコントロールするリモコンを取り出すと、思い切り握りつぶす。
ぐしゃぐしゃに壊れたリモコンに、メカレディたちは驚きの表情を見せた。
「これはもう必要ない。お前たちはもはや完全に我が機械帝国の一員だ。コントロールなどされずとも問題あるまい?」
「「はい、私たちはメカレディ。機械帝国の忠実なるしもべです。ギーッ!」」
あらためていっせいに右手を胸のところで水平にするメカレディたち。
機械帝国の新たなる戦士たちの誕生に俺は満足した。
  1. 2008/12/27(土) 20:47:05|
  2. 七日目
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

すごい成長(?)だ…

ついにあの四人はメカレディとしての悦びを得たわけですね。
長かったです。 でも、その分彼女達の真のメカレディ化にゾクゾクしました…
青は結局殺さずか… 続きが気になります。
私はただ、このお話の最終回を待つのみ… です。


余談ですが、『血と肉と骨の単なる塊』という言葉で狂乱家族日記のOASISの
「こんな薄い膜で体を覆っているのかえ?」という台詞を思い出しました。
血と肉と骨を薄い膜で覆っている塊… これじゃ宇宙人の台詞ですね(汗・意味不明だったかな…)
  1. 2008/12/27(土) 21:28:52 |
  2. URL |
  3. いじはち #x/qu6DV6
  4. [ 編集]

彼女たちにとって、人との決別を意味するいい指令だったでしょうね。

メカレディとなった彼女たちへの最初の指令はどのようなものになるんでしょうか。
そして、ゴラームとメレールの恋の行方は?

最終日も見逃せませんね。
  1. 2008/12/27(土) 21:33:00 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

後は、ゴラーム様とメレールのドタバタの決着……ぢゃない、らぶこめで終わりですか?
序でに、第二次メカレディ計画の要員の一人にブルーを入れるんでしょうね。
  1. 2008/12/27(土) 22:01:24 |
  2. URL |
  3. 神代☆焔 #-
  4. [ 編集]

こんにちは,ベルクルドです.

本当に完璧です.
徐徐に変わった彼女たちの行動が良いです.
まさか話がこのまま終りではないでしょう?
期待しています.
  1. 2008/12/28(日) 01:49:06 |
  2. URL |
  3. ベルクルド #-
  4. [ 編集]

>>いじはち様
まさに思考が宇宙人のように異質になってしまったということなんでしょう。
最後まで楽しんでいただければと思います。

>>metchy様
いよいよラストです。
お楽しみに~。

>>神代☆焔様
ブルーは・・・
最後のお話をお楽しみに~。

>>ベルクルド様
彼女たちの変化を楽しんでいただけましたでしょうか。
ラストもお楽しみに。
  1. 2008/12/28(日) 19:02:30 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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