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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

七日目(11)

「七日目」の十一回目です。
六日目の前編になります。

それではどうぞ。


11、
六日目。
やれやれ、なんとなくメカレディたちの顔を見るのが照れくさい。
それにあんなシーンを見ていたなんて知れたらメレールになんて言われることか。

「「ギーッ!」」
いつもと同様に俺の前に整列しているメカレディたち。
だが、その表情が心なしか明るく感じるのは気のせいか?
黒いレオタードに身を包んだその姿も、なんとなく誇らしげに見える。

「さて、今日で六日目だ。精神波モニターによれば、お前たちの一部にはこれでもまだ人間への執着心があるらしいな。このままでは明日いっぱいでお前たちを解放しなくてはならない」
俺の言葉に一瞬複雑そうな表情を見せるメカレディたち。
そっとお互いの顔を見合わせる。
「心配するな。俺は約束は守る。栄光ある機械帝国の参謀だ。嘘は言わない」
まあ、これ自体が嘘みたいなものだがな。
それに精神波モニターではだいぶメカレディであることの抵抗もなくなっている。
明日いっぱいもあれば、彼女らをメカレディにするのは何とかなるだろう。

「あの・・・」
A3が手を上げる。
「なんだ?」
「誰か一人でも人間でいたいと望めば、この四人みんなが解放されるのですか?」
ふふふ・・・どうやらA3はほかがどうあれメカレディでいたいと感じるようになってきたな。
「そうだな・・・一人でも望めばみんな開放してやる。どうせ作戦は失敗だ」
これも嘘だ。
できれば四人いるのが望ましいが、潜入活動など四人揃わなくてもいい場合もある。
「そう・・・ですか・・・」
A3とA2がチラッとA1のほうを見たのを俺は見逃さない。
いい傾向じゃないか。

「今日の任務もお前たち自身に作戦を立ててもらおう。これを見ろ」
俺は背後のスクリーンに建物の写真を映し出す。
「「これは?」」
スクリーンに見入るメカレディたち。
A1も見入っているということはどうやら知らない建物のようだな。
「これは防衛隊装備研究所だ。主に陸海空の防衛隊の装備を研究しているが、そこから派生してピースコマンダーの装備を研究したりもしているらしい」
らしいという、たかだかこの程度の情報を得るのにどれほど苦労させられたことか。
日本は情報がだだ漏れという奴もいるが、ことピースコマンダー関連に関しては情報統制はかなり図られていると言っていい。
「ピースコマンダーの装備もですか?」
A1が驚いたように言う。
まあ、ピースコマンダーの一員とは言え、知らされないことのほうが多いだろうからな。
「ああ、とは言ってもお互いに情報提供しあったりとか、ピースコマンダーの装備をスペックダウンして量産をはかり防衛隊の装備の質的向上を図ったりとかという研究らしいがな」
「なるほど・・・」
うなずくA1。
「それで、私たちに何をしろと・・・」
「ここへ侵入して、コンピュータデータを奪って来い。それだけだ」
A3の質問に俺は作戦目的を言う。
もっとも、データなどは二の次で、真の作戦目的はメカレディたちの潜入工作訓練だがな。

「データをですか? でも、膨大な量になりませんか?」
A4が戸惑いの視線を向けてくる。
すでに作戦そのものには疑問を抱いてない。
実行面での不安を感じているだけだ。
命令に従うことにはもはや問題ないようだな。
「お前たちに取捨選択は任せる。我が帝国に必要だと思えば奪って来い。必要ないデータだと思えば奪うには及ばない」
こんな形で命令すれば、以前であれば侵入することなく、すべてのデータは不要だと判断しましたと言ってごまかしただろう。
人間の不利益になるようなことはしないだろうからだ。
だが、今は違う。
おそらくメカレディたちにこの施設に侵入しないという選択肢は無いだろう。
俺の命令に従うことは、それだけ彼女たちの中でも当たり前になっているのだ。

「私たちが判断してもいいのですか? ゴラーム様にご確認しなくてもいいのですか?」
A2が驚いている。
自分たちに一任されることが信じられないようだ。
「無論だ。それだけの能力はお前たちに与えてある。お前たち自身で判断し行動しろ。すべては任せる」
「ありがとうございます、ゴラーム様。必ずご期待に添えてみせます」
「ありがとうございます」
眼を輝かせているA2とA3。
「施設に関するデータは好きに見ていいぞ。侵入方法その他一切を任せるからな。好きにしろ」
「かしこまりましたゴラーム様。さ、行きましょA1、早速作戦を練らなきゃね」
A3がA1の腕を引く。
「あ・・・そ、そうね。それではゴラーム様、行ってまいります」
「「行ってまいりますゴラーム様。ギーッ!」」
いっせいに服従音を発して右手を水平にするメカレディたち。
やはりあとはA1だけだな。
部屋から出て行く彼女たちの後姿を見送りながら、俺はそう思っていた。

俺はいつものようにモニタールームでメカレディたちの動向を監視する。
やれやれ・・・
まったく我ながら覗き魔になってしまったものだ。
困ったものだな・・・
控え室内のメカレディたちは、早速A1を中心にして侵入工作の作戦を立てている。
その表情は真剣そのもの。
いつになく積極的な雰囲気だ。
やはり少しずつ意識の変容が行なわれているのだろう。
防衛隊の施設に侵入するという人間にとっては大いに不利益となる行動をするはずなのに、メカレディたちは笑みを浮かべていたりもするのだ。
それだけ、彼女たちにとっては難しくない任務ということか。

『それじゃこれで行くわね。みんな問題ない?』
『OKだよ』
『大丈夫』
『任せてくれていいわ』
A1の言葉に三人がしっかりとうなずく。
いずれの顔にもこれからの任務に備えて引き締まった表情がうかがえる。
ふふ・・・
頼もしいことだ。
思わず俺も笑みが浮かんだ。

夜になり、身支度を整えたメカレディたちが控え室を出て行く。
いずれもがフェイスカバーをつけている。
今回は素顔を晒すのは避けたということか。
それがどういう意図で行なわれたのかが気になるところだな。
人間に戻りたいがために素顔を晒したくなかったのか・・・
それとも・・・
俺は精神波モニターに眼をやった。
いずれもが安定している。
無論、これからの任務に備えて多少の興奮は起こっているが、それは問題ない。
ただ、フェイスカバーをつけた瞬間の精神波の乱れが気になった。
ふふふ・・・
どうやらフェイスカバーがわずらわしくなってきたかな・・・

我が機械帝国の地底城は、あちこちに出入り口を張り巡らせている。
そのいずれもが下水道などの人目に付かない場所に通じている。
だからこそ我らは神出鬼没に動けるのだ。
すでに放ってあったスパイロボからの映像を、俺はモニタールームで眺めている。
万一何かあった場合は、すぐにバックアップしなければならないからな。

マンホールのふたを開け、周囲をすばやく探るA4。
目指す防衛隊の装備研究所はすぐ近くだ。
暗闇の中、漆黒のレオタードとロングブーツに身を包んだメカレディたちが、ひそかにマンホールから姿を現す。
装備研究所は郊外に建てられているので、周囲には人家はまばらにしかなく人影はない。
もちろん彼女たちのセンサーもそのことは充分にわかっているだろう。
メカレディたちは、互いに顔を見合わせてうなずくと、それぞれ所定の行動を取り始めた。
音も無く門に忍び寄り、警戒に当たっていた防衛隊員二人を一撃に倒すA1とA3。
首筋への一撃は、おそらく二人を殺してしまったことだろう。
その間にもA2とA4は監視所に忍び込み、中の二人を始末する。
こちらはガスを使ったらしい。
気を失わせてその間に侵入ということか。

『どうしようA1・・・こいつ、死んじゃったわ』
『ええっ? あんなに手加減したのに?』
スパイロボが拾った音声が流れてくる。
なるほど・・・
殺すつもりではなかったということか。
まだまだ甘いが、仕方が無いか。
『やっぱり人間ってもろいのね・・・仕方が無いわ。私もやっちゃったみたいだし』
倒した防衛隊員を確認し、肩をすくめるA1。
『A1も?』
『こんなに人間がすぐ死ぬなんて思わなかったわ。これでもずいぶん手加減したのよ。これで死ぬなんてふざけてるわよ』
ほう・・・
A1の声に苦いものが混じっている。
だがそれはこんなに簡単に死んでしまった人間に対する侮蔑とも言うべき感情のようだ。
悪くない。
『A1、こっちはOKよ。行きましょう』
A4がA1を呼ぶ。
すぐにA1とA3もその場をあとにした。

ここから先は我が機械帝国にも情報は少ない。
小型のスパイロボといえども目に見えないほど小さくできるわけもなく、施設の中を昆虫が飛び回るのも不自然というもの。
せいぜいハエ型のを数匹飛ばしてある程度の見取り図を作成した程度だ。
だから、これからがメカレディたちの腕の見せ所である。
さて・・・

俺の予想以上にメカレディたちの行動は上手だった。
A1とA3、A2とA4がペアを組み、それぞれが相互支援して侵入していく。
持ち前のセンサーで監視カメラやセンサーを識別し、人間の防衛隊員はできるだけやり過ごすようにして、目指すコンピュータルームへ向かうのだ。
その侵入の腕前に俺は感心する。
いつの間にここまで上達したものやら。
となると、こちらも足を引っ張るわけには行かないな。
俺はスパイロボをハエ型の二機だけにして、センサーなどに引っかからないように操作する。
まあ、こういうために作られたものだ。
へまさえしなければ問題は無い。

配電用のケーブルダクトや、通路の天井を使うなどして、メカレディたちはコンピュータルームに忍び込む。
ここまでは上出来だ。
自分の能力を遺憾なく発揮してくれている。
あとはハッキングするのみだが、正直言ってこれは警報を発せられてしまうはず。
あとはいかに手早く撤収できるかだ。
防衛隊員数人ぐらいならば問題なく対処できるはずだが、コマンダーチームが派遣されてくるようでは厄介だからな。
おそらく三十分程度。
それぐらいの時間の余裕しかあるまい・・・

『ここがコンピュータルームね』
『さすがに大きいわ。情報もたっぷりと入っていそうね』
A1とA4が目の前の大型コンピュータに感心している。
『A2、お願い。どうやらまだ嗅ぎ付けられてはいないようだから手早くね』
『了解』
A2がすばやくコンピュータに駆け寄り、腰のポーチからケーブルを取り出す。
そしてコンピュータに接続すると、もう片方の端を自分のうなじにあるソケットに差し込んだ。
『行くよ』
そのまま制御卓に付くと、A2は目にも止まらぬ速度でキーボードを叩き始める。
補助脳がバックアップしているとはいえ、彼女の脳自体が機械の躰に順応しているのだ。
そうでなければこれほど早くできはしないだろう。
その間もA3は周囲の警戒に余念がなく、A4はさらにそのバックアップ体制と役割が決められているようだ。
ずいぶんと成長したじゃないか。

『ふあ・・・』
突然奇妙な声を出すA2。
『何? どうしたの?』
驚いたA1が駆け寄った。
『あ・・・う、ううん。なんでもない』
少し頭痛でも起こしたかのように頭を振るA2。
何だ?
何かあったのか?
まさか逆にコンピュータに何かされたとか?
『そう? ならいいけど・・・』
そう言って離れようとしたA1の腕を掴むA2。
『ね、A1もちょっと味わってみてよ』
フェイスカバーの目がA1を見上げている。
『味わうって? 何を?』
『いいから』
A2は自分のうなじからケーブルをはずすと、それをA1に差し出した。
『付けてみてよ』
『これを?』
不思議そうにしているA1に、A2は無言でうなずく。
よくわからないままにうなじのソケットにケーブルを差し込むA1。
その仕草が妙に美しい。

『ひっ!』
突然声を上げたA1にA3とA4が振り向く。
『あ、な、なんでもないわ。なんでも』
あわてて両手を振り何もないことを示すA1。
いったい何があったというのだ?
A2もA1も妙だろう。
『うふふ・・・どう? 気持ちいいでしょ?』
『A2、あなた』
『私も今知ったの。これがこんなに気持ちいいことだったなんて・・・A1もそう思うでしょ?』
『う・・・す、すごい・・・気持ち・・・いい・・・』
もじもじしているA1。
両手が胸や股間に伸びているのはもしかして・・・欲情しているのか?
『だ、ダメ・・・これはダメ・・・』
『回路閉鎖すればいいのよ。うふふふ・・・でもすごいでしょ。夕べのなんか目じゃないよね』
いたずらっぽく笑うA2。
『う、うん。すごいわ。パルスのやり取りがこんなに気持ちよかったなんて』
『発見だよね。あとでA3やA4にも教えてあげなきゃ』
『そ、そうね。でも今は・・・』
ようやく躰を落ち着かせるA1。
まさかいきなり欲情するとはなぁ。
コンピュータとのデータやり取りが、快楽回路を刺激したということか?

『A1、まだなの? そろそろ敵が来るわよ』
A3が多少の苛立ちを見せる。
敵とは誰のことやら・・・
『ごめん、もう少し。でもたいしたデータはないわね。我が機械帝国の役に立つような・・・って、私いつの間に我が機械帝国なんて・・・』
口元に手を当てて驚きを見せるA1。
いつの間にか機械帝国の一員として考えていることに驚いたのか?
『A1、何? あなたまだ・・・』
A4がA1をにらみつける。
A1がまだ人間にこだわっていることに多少いらついているのかもしれない。
『違うの・・・』
『違う?』
『違うの・・・なんだか妙なの。なんだか・・・すごくうれしいの』
『うれしい?』
首をかしげるA4。
『うん、うれしいの。今ね、すごく素直に我が機械帝国って言えたの。なんだかそれがすごくうれしいの。自分の居場所なんだって気がしたの』
両手を胸に当てて感触を確かめるような仕草をするA1。
なるほど。
ようやく機械帝国の一員であることを深層心理が受け入れたか。
やれやれ、まずはこれで一安心かな。

『A1・・・』
『ごめん、今は任務中だったわね。A2、どう?』
A2に振り向くA1。
『データの確認は終わったわ。A1の言う通りほとんど役に立つようなデータはないわね。持って帰っても意味ないわ。すでに確認されているデータばかり』
『そう、だったら破壊しましょ。こんなもの我が機械帝国の邪魔なだけだわ』
A1は我がに力を込めきっぱりとそう言った。
  1. 2008/12/25(木) 20:53:48|
  2. 七日目
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

メカレディが完成されたらメレールと組ませた作戦などが、展開可能になりますね。
その前に、装甲の強化など様々な仕込みが必要でしょうが……。
  1. 2008/12/25(木) 21:06:23 |
  2. URL |
  3. 神代☆焔 #-
  4. [ 編集]

>>神代☆焔様
それならそっち系の強力なメカマジュウを作ったほうが効果的ですよ。
彼女たちが装甲強化などで人間っぽさを失ってしまったら本末転倒ですから。
これ以上の強化は不要だと思います。
  1. 2008/12/25(木) 21:14:34 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

フェイスガードをするのもまどろっこしくなるほど機械帝国に染まってきましたね。
もう一息です。がんばれ、ゴラーム様!

ところで、メレールが出てこないだけで一気にシリアスなSSになりますね。でも、何となく寂しい…。
  1. 2008/12/25(木) 21:56:13 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

イメージ的に、追加装甲みたいな鎧が転送される等、ヒーロー的なことを妄想してました(笑)
悪の組織がやっていけないわけでもありませんし……
  1. 2008/12/26(金) 02:34:07 |
  2. URL |
  3. 神代☆焔 #-
  4. [ 編集]

>>metchy様
メレールがでてこないと寂しいなんて・・・
書いてた私もこんなにいいキャラになるとは思いもしませんでしたですよー。

>>神代☆焔様
ああ、なるほどー。
そういうのはありですよね。
侵入行動から直接攻撃に移るときにはよさそうですね。
  1. 2008/12/26(金) 19:40:14 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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