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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

七日目(8)

「七日目」の八回目です。
四日目後編です。
ようやく後半に突入です。
長いお話をだらだらと続けてしまってすみません。
残り今日を含めて七日間、楽しんでいただければ幸いです。

それではどうぞ。


8、
『そこまでだ! 機械帝国の木偶人形ども!』
『その子たちを解放しろ!』
現れたな・・・
A1たちの正面に立ちはだかるピースコマンダーたち。
赤、青、黄、緑を基調としたスーツに銀のラインが入っている。
『み、みんな・・・』
A1が戸惑いの声を上げる。
おそらくは今一番会いたくない連中だったかもしれないな。
『我らピースコマンダーがいる限り』
『お前たち機械帝国の好きにはさせない!』
『今回は女の姿で私たちを油断させるつもりね?』
『そうはいくかってんだ!』
何もセリフを四人で分け合うこともあるまいに。
『それにお前たちには聞きたいこともある』
『桃野弘美をどこへやった!』
『弘美先輩を返しなさい!』
『コマンダーピンクがいないからって、俺たちピースコマンダーを舐めるなよ!』
『みんな、違うの。これにはわけが』
A1が首を振る。
フェイスカバーのせいで声がくぐもるから、奴らはコマンダーピンクの声と気がつかないのか。
『問答無用! 子供を返せ!』
おいおい、聞きたいことがあるんじゃなかったのか?

『だから、命令が来たらこの子たちは返すって言ってるでしょ! 邪魔しないで!』
『お願いです。私たちをほっといて!』
A2もA4も何とかこの場を切り抜けようとしているようだ。
まさか子供たちを抱えたままピースコマンダーと戦うわけにも行かないだろうからな。
『黙れ! お前たち機械のいうことなんか信用できるか!』
『可愛い声だしたって無駄だぜ!』
ピースコマンダーたちはまったく取り合う様子がない。
『機械って・・・私たちは機械じゃない!』
『私たちは人間です。この格好は理由があって・・・』
メカレディたちが必死に訴える。
『動きが止まったぞ! 今だ!』
俺は息を呑んだ。
コマンダーブルーのビームガンの一撃がA2の胸を撃ちぬく。
畜生!
まさか撃ってくるとは思わなかった。
『キャーッ!』
胸から火花を散らして倒れこむA2。
抱えていた幼女たちが宙に放り投げられる。
『トウッ』
『トウッ』
コマンダーイエローとコマンダーグリーンがジャンプして幼女たちを抱え降りる。
なんて奴らだ。
『A2!』
『A2!』
いきなりのことにA3もA4も抱えていた子供たちを放してA2に駆け寄ってしまう。
くそっ!
なんてこった。
俺も焼きが回ったか。
ピースコマンダーは撃ってこないだろうという甘い認識があったのは否めない。
その認識の甘さがこれか。
俺はこぶしを握り締めて歯噛みした。
「A3、A4、A2の様子はどうだ?」
俺はマイクに向かって怒鳴りかける。
『A3です。A2が胸をやられました。中の機器類がショートしています』
チッ!
装甲をもう少し改良する必要があるな。
「TG17のバルブを閉じるんだ。脳へのダメージを防げ! A1、聞こえるか?」
『聞こえます。ブルー・・・あなたなんてことを・・・』
A1のカメラアイは、撃ったブルーに向けられていた。
「撤収しろ、今回はここまでだ!」
『どうしてですか? A2がやられたんですよ? ブルー・・・赦さないわよ!』
「落ちつけ。今はA2を確保して帰還しろ。いずれやつらには報いを味わわせてやる」
『り、了解』
ふう・・・
だが、A1がここまで怒るとはな。
結果オーライか?

『見ろ! その穴から覗いているのは機械じゃないか! どこが人間なんだ!』
『黙って! 私たちは人間よ。人間なのよ。あなたたちにはわからないの?』
『機械帝国の奴らが何を言う! さあ、その子たちを解放しろ。じゃないと次はお前の躰に穴が開くぞ!』
再びビームガンを構えるコマンダーブルー。
射撃の名手とは聞いていたが、この状況で撃つとはな。
『撃てるものなら撃ってみなさい。私の躰は自動的に遠隔操作されてこの子たちを殺しちゃうわ』
A1・・・だからそれは悪のセリフだぞ。
『A3、A4、A2を抱えて。離脱するわ』
『了解』
『まてっ!』
『えいっ』
A1が抱えていた子供たちをピースコマンダーたちに放り投げる。
無論彼らがちゃんと受け止められるようにだ。
ピースコマンダーたちが子供たちを受け止めた一瞬の隙をついて、メカレディたちは離脱する。
俺はスパイメカを使って電波妨害やかく乱煙幕を張って援護した。
その間にメカレディたちは能力をフルに使って逃走する。
どうやら、逃げることには成功したようだな。
俺はホッと胸をなでおろした。

「A2は、A2は直るんですか?」
「お願いです。A2を助けて・・・」
「何でもします。命令にも服従します。ですからA2を・・・」
帰還してフェイスカバーをはずしたメカレディたちが必死に俺に頭を下げる。
A2はメカレディたちの中でも一番幼いこともあって、可愛がられていたのだな。
「システムをチェックしないとなんとも言えんが、脳が問題なければ大丈夫だ。最悪ヘルブールに俺が頭を下げればすむ」
「ああ・・・」
「よかった・・・」
「ありがとうございます、ゴラーム・・・様」
「「ありがとうございます。ゴラーム様」」
A1もA3A4も一様にホッとした表情を見せる。
俺だってA2は失いたくないからな。
いざとなればヘルブールに頭でも何でも下げてやるさ。

「ふう・・・」
リラックスルームのソファーに腰を下ろす。
とりあえずA2の修理は無事に済んだ。
脳への損傷もまったくなく、部品の交換と外装の張替えで済んだのだ。
当たり所がよかったというべきか。
それにしてもピースコマンダーの武器は恐るべき威力だ。
大砲とは言わないまでも、20ミリクラスの機関砲弾ぐらいなら貫通させない強化ボディをいとも簡単に撃ち抜いてくれるとはな・・・
A2はとりあえず休ませた。
目を覚ましたときのホッとしたような表情がよかったな。
やれやれ。
人間がペットを飼うときの気持ちはこんなものなのかもしれないな。

「ヒアッ」
俺は驚いた。
いきなりオイルジュースのボトルを首筋に押し付けられたのだ。
「むーっ、また浮かない顔してる。そんな顔見に来たんじゃないのに」
「メレール・・・驚かすなよ」
俺は差し出されたオイルジュースのボトルを受け取った。
どうやら俺を驚かせるために、センサーをかく乱してきたらしい。
「なによ! あんたがそんな顔しているからでしょ。そんな顔見たくないもん」
ストンと俺の隣に腰掛けるメレール。
茶色のふかふかの毛皮がなんとなく心地よい。
「ああ、すまない。ちょっとな・・・」
俺はできるだけ笑顔を作ろうとする。
やれやれ・・・
どうも顔に出てしまうのはよくないな。
「今日のことでしょ? だから言ってるじゃない。あたしがババーンと出てってドカーンとやっつけちゃうって」
「そう簡単に行かないのはわかっているだろ。いや、ピースコマンダーの連中との戦いのことじゃないんだ。あそこで撃ってくると想定しなかった俺の作戦の甘さを悔やんでいたのさ」
キャップを開けて一口飲む。
リラックスにはちょうどいいのだが、今の俺には苦く感じた。

「悔やむってなに? ねえねえ、それってあたしにもできる?」
まっすぐにきらきらした目で俺を見つめてくるメレール。
こいつはー・・・
なんて可愛い顔しやがるんだ。
「あのなー、悔やむってのはやってしまったことをしなければよかったなって考えてしまうことなんだ。いやな過去をなくしたいんだよ」
「記憶システム調節すればいいじゃん」
ふっ・・・
俺は思わず吹き出した。
「むーっ! なによー! せっかく心配してやっているのにー!」
シャキンと鉤爪が俺の喉元に伸びてくる。
「いや、違うんだ。お前の言うとおりだなと思ってさ。悔やんでも仕方がない。先を考えたほうがいいってことだな」
俺はうんうんと自分でうなずき、そっとメレールの鉤爪を遠ざける。
「むーっ、なんかよくわかんないけど、わかったんならよし」
自分のほうがなんか納得してないような顔で俺を見つめるメレール。
可愛いなぁ。
俺はついそっとメレールの顔を引き寄せてキスをした。
「なっ!」
いきなり跳び退るメレール。
手の甲で口をぬぐって俺をにらみつけてくる。
「ゴラーム! あたしに今何をしたー!!」
フーッと毛を逆立てて臨戦体勢に入るメレール。
あれ?
キスしたのまずかったかな・・・?
「いや、なにって・・・キス」
「そ、それってどんな攻撃よー!! うあぁ・・・大変だー!! 心臓ポンプが異常活動してるよー! 体温調節機能も作動不能で全身が熱いくらいに熱持ってるよー! うあぁー! あんたあたしを殺す気ね! こっちからぶっ殺ーーーす!!」
「ま、待て!」
俺の目の前で持っていたオイルジュースのボトルが真っ二つに切り裂かれる。
「うがぁー!!」
「待てってばー!」
俺は必死にメレールの鉤爪を避けて行く。
「違う! あれは攻撃じゃない!」
「黙れー! だったら何であたしの心臓ポンプが破裂しそうなのよー! 何であたしの躰がこんなに発熱してるのよー!」
ずたずたに切り裂かれていくさっきまで座っていたソファー。
置き換えたばかりのオイルジュースの保管庫もぐずぐずに切り裂かれる。
やれやれ・・・
「あれはキスといって親愛の情を示す行為だ。お前があまりに可愛いからついしちゃったんだよ」
ぴたっとメレールの動きが止まる。
「親愛の情? 可愛い? それ本当?」
「ほ、本当だよ」
すでに部屋の一角に追い詰められていた俺は、メレールの動きが止まったことにホッとした。
「むふふふふ・・・そうなんだー。あたしってゴラームから見て可愛いんだ」
いきなり抱きついてくるメレール。
「お、おい」
その勢いに負けて俺はしりもちをついてしまう。
「な、なんなんだお前はいったい」
「知らないよー。ゴラームが悪いんだ。あたしにこんな思いをさせるからゴラームが悪いんだよーだ」
ニコニコと笑みを浮かべながらほお擦りしてくるメレール。
やれやれだ・・・
  1. 2008/12/22(月) 20:42:51|
  2. 七日目
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

所詮正義ってそんなものですよね。
道理から外れた行為を行っていれば、理由も聞かずにそれがすべて悪と認識し、危害を加える。(ちょっと強引な解釈かもしれませんが・・・)
自分たちのしてきたことは本当に正義だったのか、A1はかなり悩みそうですね。

4人の気持ちの変化がどう出るのか、面白くなってきました。
  1. 2008/12/22(月) 21:36:00 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

生体脳持って要るのか知らないがメレール可愛いね。
A1とメレールの七日経った時の変化を比べたらかなり面白いでしょうね。
  1. 2008/12/22(月) 22:01:29 |
  2. URL |
  3. mas #-
  4. [ 編集]

感情を理解していないメレールが感情を理解したら、凄く可愛いキャラになるんでしょうね。
  1. 2008/12/22(月) 22:17:34 |
  2. URL |
  3. 神代☆焔 #-
  4. [ 編集]

これは結構精神的に来てるか・・・?
これからの展開期待していきます!

ああ、またジュースがw
  1. 2008/12/22(月) 23:32:03 |
  2. URL |
  3. KANZUKAN #-
  4. [ 編集]

メレールにめっさ萌えるんっすけど。

続きを楽しみにしています。
  1. 2008/12/23(火) 03:29:29 |
  2. URL |
  3. 名無しですー #-
  4. [ 編集]

>>metchy様
正義の概念なんて抽象的なものですしね。
自分の正義を押し付けるだけってのが多いですよね。
じょじょに彼女たちの意識が変わってきていると感じてくださればうれしいです。

>>mas様
メレールは完全機械体なのですが、精巧なだけに疑似感情のようなものがあるようですね。
メレールも変わってきているんでしょうね。

>>神代☆焔様
メレール一体手元に欲しいですよね。
命がいくつあっても足りないようですけどね。(笑)

>>KANZUKAN様
じわじわと思考が変わりつつあることを感じてくだされば作品としては大成功ですので、そのあたりがうまく書けているかどうか・・・
最後まで楽しんでいただければと思います。

>>名無し様
メレールに萌えてくださり本当にありがとうございます。
彼女は書いていてとても楽しいキャラでした。
  1. 2008/12/23(火) 19:31:56 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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