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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

七日目(5)

「七日目」の五回目です。
二日目になります。

それではどうぞ。


5、
二日目。
俺は新たな任務をメカレディたちに与える。
今度の任務で俺は彼女たちにより強いショックを与えてやることにする。
そのための任務なのだ。

「さて、今日は二日目だ。まだまだ任務についてもらうぞ」
俺は整列したメカレディたちの前に立つ。
「今日、日本を代表する電気製品メーカーの重役陣が成田より出国する。K国企業との提携の詰めの作業ということだ。奴らを途中で襲撃し、殺せ」
息を呑むメカレディたち。
まさか今日は殺人を命じられるとは思わなかったのだろう。
だが、ショックを与えて自我を失わせるにはちょうどいい。
成功しても失敗してもメカレディたちが衝撃的な任務につくというだけでいいのだ。
口々に何か言いたそうなメカレディたちだったが、昨日と同じように発声機能をシャットダウンし、何もしゃべらせずに命令だけを伝えていく。
あまりのことに泣きそうになっているA2や、口元に手を当てて驚愕しているA3、そして相変わらずに俺をにらみつけてくるA1。
いずれもショックを受けている。
これでいい。

昨日と同じように俺はメカレディたちにフェイスカバーをつけさせる。
フェイスカバーをつけると、彼女たちがなんとなくホッとするように感じるのは気のせいか?
どちらにしろ、俺は彼女たちの躰を支配し、一切の抵抗を許さない。
「「ギーッ!!」」
右手を胸のところで水平にし、服従の音声を発するメカレディたち。
俺は無言でうなずくと、彼女たちを送り出した。

任務はあっけないほど簡単に終了する。
いくら日本を代表する電機メーカーの重役とて護衛がつくようなものではない。
四体ものメカレディの襲撃に対処できるはずがないのだ。
乗っていた車はあっさりと破壊され、あわてて逃げ出した重役たちも次々と肉塊に変えられる。
わずか数分で、周囲にたまたまいた車や通行人もろとも彼らは皆殺しになっていた。
モニターしていたメカレディたちの精神的抵抗は昨日と同様かそれ以上に激しかったものの、ターゲットである重役や女性秘書などを一人二人と殺していくにしたがって低下して行くのが見て取れた。
A1も最大レベルに近い拒絶反応を示していたものの、自らの手で運転手を始末したあとは拒絶がかなり弱まり、その後は多少の諦めが入ったのか淡々と任務をこなす自分の躰に抵抗しなくなったようだ。
よしよし・・・
いい傾向じゃないか。

「「ギーッ!」」
殺人という大役を果たして帰還したメカレディたちを俺はしっかりと出迎える。
無論褒美の快楽を与えてやることも忘れない。
フェイスカバーをはずした彼女たちは、皆なんとなくホッとしたような困惑したような複雑な表情を浮かべていた。
殺人を犯してきたというのに、昨日よりも苦悩の度合いが多少は低いようにも感じる。
ただ一人、A1は唇を噛み締めて、自らの躰が行った行為を苦しんでいるようだった。
俺は彼女たちにねぎらいをの言葉をかけてやり、控え室に戻らせた。

メカレディたちは控え室にいるときは最低限の制御のみで自由に過ごさせてやっている。
無論控え室の様子はモニターされ、異常があればすぐに俺に知らされる。
俺はモニタールームで少し彼女たちの様子を探ることにした。

『くう・・・どうにもならないのかしらこの躰。自分の躰だというのに自分の思い通りにならないなんて・・・』
ベッドに腰掛けて頭を抱えているA1。
やはりコマンダーピンクとして精神力はかなりのものだ。
『無理ですよA1・・・私はもうあきらめます。脱走したくても躰が地底城から出てくれないし、命令に逆らうこともできないもの』
ひざを抱えてうつむいているのはA3か。
この元OLはわりと精神的にはもろいようで、境遇を受け入れ初めているのかもしれない。
さぞかし企業としては使いやすいOLだったかもしれないな。
彼女たちにはお互いのことをナンバーで呼ぶように制御してある。
たとえ苗字や名前で呼ぼうとしても、発声システムが受け付けないのだ。
今のところはあなたとか私とかでごまかしているようだが、いつまでそうしていられるかな。
『あきらめたらだめよ! 何か方法があるはずだわ・・・ピースコマンダーセンターならこの躰だって元に戻せるかもしれないのよ』
『私は・・・私はもう元に戻れなくてもいい・・・』
『えっ?』
ベッドの上で枕を抱えているA2の言葉にびっくりするA1。
それはそうか。
彼女にとっては人間に戻らなくてもいいなどという言葉は信じられないだろうからな。
『ど、どうして? このままメカとして永遠に奴らの言いなりになってもいいの?』
『だって・・・』
うつむいてしまうA2。
A3もA4も彼女の次の言葉が気になるようだ。
『だって・・・このままならもう受験とか将来のこととか不安に思わなくていいし・・・歳を取っておばあさんになることもないし・・・それに・・・』
『それに?』
『命令されると・・・気持ちいいし・・・』
俺はほくそ笑んだ。
狙った効果が出始めているようだ。
『なに言ってるの? あなた自分が何言ってるかわかってるの? 命令されて人殺しをするのが気持ちいいの?』
A1の表情が険しくなっている。
おそらく心の片隅では自分もそう思ってしまったのだろう。
だからこそA2の言葉に反発するのだ。
『気持ちいいもん! 命令で人殺すの気持ちよかったもん! それに・・・そんなの私のせいじゃないもん!』
うつむいて枕を抱きしめるA2。
『それが奴らの手だってことがわからないの? 気持ちよくさせて言うことを聞かせようとしているのよ。負けちゃだめ。一週間。たった一週間の我慢じゃない。人間として生きるのよ』
『人間? 私たちが人間? 可笑しいわ。私たちが人間なわけないじゃない。この躰のどこが人間なの? 私たちはメカレディよ。機械帝国のメカレディなのよ。もうほっといて!』
ヒステリック気味に叫んで枕に顔をうずめてしまうA2。
そう言いつつも彼女自身まだまだ葛藤があるようだな。
生身の人間の脳とはなんと厄介なものか・・・
だが、悪くない。

メカレディたちを観察した後、俺は一息つくためにリラックスルームにやってくる。
やれやれ・・・
彼女らもそうだが、生身の部分が残っているというのは厄介なものだ。
それがほんの脳の一部だとわかっていても、こうして息抜きを求めてしまう。
もちろん精巧に作られた機械生命体とも呼べる上級幹部たちはやはり息抜きが必要で、メレールもしょっちゅうここでくつろいでいる。
もっとも、彼女の場合はサボっているというのが適当かもしれないが・・・
俺はそんなことを思い、オイルジュースを取り出して口にする。
味など知ったことではないが、飲み物を口にするという行為はリラックスするにはいいものだ。
さて、次にメカレディたちには何をやらせようか・・・

「こんなとこにいた!!」
「へ?」
なにやら強烈な威圧感を感じ、入り口に振り向いた俺のアイカメラに、まさに怒髪天をつくといった感じで毛を逆立てているメレールの姿が映る。
「ゴラーム!! あんたってば・・・むーっ!! ぶっ殺ーーーす!!」
「な、なんだー?」
いきなり鉤爪をシャキンと繰り出し、俺に向かって跳びかかってくるメレール。
尻尾をピンと伸ばし、すらっとしたしなやかな躰が跳躍するさまはとても美しい。
などと見入っているわけには行かない。
思わずカバーに繰り出した右手に握っていたボトルがすっぱりと切り取られる。
やれやれ、まともにジュース飲めないぞ。
俺は紙一重でメレールの斬撃をかわすと、後方に一回転して距離を取る。
これでも機械帝国の参謀という肩書きだ。
ピースコマンダーとも渡り合うぐらいの身体能力は備えている。
だが、メレールは怒りに目を赤く輝かせ、俺の懐にすばやく入り込んでくる。
速い!
さすがは猫をモチーフに作られた実行部隊長だけはある。
俺は再び紙一重で斬撃をかわすものの、服の胸の辺りを切り裂かれ、ボディーに一筋傷がついた。
「メレール、待て待て! これはしゃれにならないぞ!」
「黙れ! あんたなんか・・・あんたなんかの作戦に期待したあたしがバカだったわよーーー!!」
ブンと鉤爪が目の前をなぎ払い、俺の背後にあったオイルジュースの保管庫が一撃で切り裂かれる。
うわー・・・
「ど、どういうことだ? 俺の作戦はまだ始まっていないぞ」
「えっ?」
メレールの振り下ろした鉤爪が俺の数センチ前で止まる。
やばかった。
次の一撃は80%の確率で避け切れなかったのだ。
「始まってないって? うそ? だってちんけな紙切れ奪ってきたり、太った人間殺してきたじゃん。あんなことさせるためにメカレディ作ったんじゃないの?」
「あんなことって・・・昨日今日の一件か?」
俺は恐る恐るメレールの鉤爪をつかんで下げる。
「そうだよ! あんなことさせるぐらいならあたしに言ってくれればいくらでもやってあげるのに・・・むーっ!! 何で言ってくれないのよー!!」
再び振上げられるメレールの鉤爪。
「お前にやってもらったんじゃ意味がないんだよ。あれはメカレディを完全に仕上げるための一環なんだ」
「仕上げるための一環? どうしてそんな面倒くさいことをするの? やっぱり元人間だから? そんなの気にしなくていいのに」
振上げた鉤爪を上空で止めたまま俺のことを見つめているメレール。
まったく・・・
可愛いじゃないか・・・
「そんなことじゃないが、手間をかけるのは理由があるんだ。そのうち話すから」
「じゃあ、じゃあ、ほんとにあんなことのためにメカレディ作ったんじゃないんだね?」
お?
なんとなく機嫌がよくなったか?
「当たり前だろ。金を奪ったり企業の重役殺すだけならこんな手間をかけやしない。それこそお前にやってもらったほうがずっといいに決まってる」
「ほんと? ほんとにそう思う? あたしにやってもらったほうがいいって」
何を思ったのかいきなり顔を近づけてくるメレール。
心なしか目が輝き、何かを期待しているかのようだ。
「ああ、お前にやってもらったほうがいい。殺したり破壊したりは得意だろ?」
パアッと表情が明るくなるメレール。
何なんだ、いったい?
機嫌がよくなったり悪くなったり忙しい奴だ。
どこかにバグでもあるんじゃないのか?
「うん、得意。殺したり破壊したりは楽しいもん!!」
いきなりメレールは俺に抱きついてきた。
やれやれ・・・
なんか知らんが殺されずにすんだらしい。

「今回は赦してあげる。次からはちゃんと言ってね。あたしがすぐに人間どもなんかぶっ殺してあげるから」
ざらざらした舌でペロッと俺の頬を舐めたメレールは、なにやら上機嫌で行ってしまう。
ハア・・・
何なんだいったい?
だからお前にやってもらったんじゃメカレディの仕上げにはならないんだっての。
俺はどっと疲れを感じてソファーに座り込む。
オイルジュースをもう一本とも思ったが、保管庫が叩き潰されていてそれも無理。
やれやれ・・・
俺はメレールに舐められた頬に手をやって、なんとなく苦笑した。
  1. 2008/12/19(金) 20:47:41|
  2. 七日目
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

さっそく一人が堕ちそうですね。
まだ五日ありますから、ほかの3人がどういう変化を見せるか楽しみです。

メレールはやっぱり可愛いですね。ゴラームと兄妹か恋人のような接し方をしている姿は、そっちのほうに目が行っちゃいそうです。

尻尾とか、鉤爪とか。メレールは猫っぽい感じですね。色は・・・黄色かな? (ドラry)
  1. 2008/12/19(金) 21:15:57 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

なんだか、作戦そのものよりもメレールの行動に興味が向かってしまいます。

雰囲気的に、ネフェルーラを可愛くしたような感じになるんでしょうね(笑)
  1. 2008/12/19(金) 21:46:08 |
  2. URL |
  3. 神代☆焔 #-
  4. [ 編集]

>>metchy様
メレールの毛皮は茶色の一色です。
ふかふかして気持ちよさそう(ゴラーム談)だそうです。
メカレディたちがどうなるのかはお楽しみに~。

>>神代☆焔様
それでOKですよー。
メレールとゴラームの掛け合いを楽しんでいただくのもこの作品の見所の一つですから。
メレールは超新星フラッシュマンのレー・ネフェルを参考にしましたです。
(レー・ネフェルはきっしん2007年1月10日にも登場)
  1. 2008/12/20(土) 19:35:03 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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