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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

七日目(1)

いよいよ140万ヒット到達までカウントダウンとなりました。
これもいつも当ブログに足をお運びくださる皆様の応援の賜物ととても感謝しております。

そこで、本日より14日間連続でSSを一本投下いたします。
14日間連続で一本というのは過去例がありませんし、おそらくこれからも難しいかもしれません。
また、本来であれば、140万ヒット達成と同時に公開というのがよかったのかもしれません。

ですが、年をまたぐというのも何か変な気がしましたので、到達前ではありますが投下していこうと思いました。
皆様が楽しんでいただければ幸いです。

タイトルは「七日目」
それではどうぞ。


1、
「何やってんの?」
背後から声がかかる。
可愛らしい声と姿をしているが、彼女は猛獣のごとく残忍だ。
下手に機嫌を損ねないほうが得策だろう。
「いつか行う俺の作戦の準備さ」
俺はにっこりと笑みを浮かべて振り返る。
俺の目の前には首から下を茶色の毛皮で覆い、ネコ型の耳と尻尾を生やし、ビキニ型の金属アーマーとガントレット、それにアーマーブーツを身につけた女が一人立っている。
その両手の先の鉤爪は、いつでも獲物の喉をかき切ってやろうと輝いていた。
「作戦ねぇ。やっぱ元が人間だからそういう面倒なこと考えるわけ? あたしなんかガーッと出てってババーンと暴れてドカーンと破壊すればいいと思っちゃうけどなぁ」
俺は思わず苦笑した。
仮にも機械帝国の女実行部隊長メレールともあろう者が、そんなことでは困るだろうが。

「考えるさ。人間とは物理的破壊のみを恐れるものではない。精神的恐怖が結構大きな割合を占めるのだからな」
俺は穏やかにそういった。
メレールは納得したようなしてないような表情を浮かべ、舌なめずりをする。
「ふーん・・・まあ、いいや。あんたが機械帝国を裏切ることはありえないし。それに万が一裏切ったりしたら・・・うふふふ。わかっているんでしょ、ゴラーム?」
右手の鉤爪をぺろりと舐めるメレール。
俺と違い一から作り出された彼女には裏切りという概念はわからないだろう。
単に俺が元人間だから機械帝国に反する行動をすることがあるかもしれないと判断しているに過ぎない。
「わかっているさ、メレール。俺は死にかけた躰を機械にしてもらった。機械帝国には恩がある。だからこそ人間どもを支配下に置くべく努力しているつもりだがね」
俺は金属の腕を見せ付ける。
そう、俺の躰はほとんどが機械。
機械帝国によって脳以外を機械に変えられていた。
生まれつきの死にぞこないだった俺は、五年前に機械帝国に拾われた。
機械が人類を支配するという目的のため、俺は人間の思考を機械帝国が知るためのサンプルだったのだ。
どうしようもない脆弱な躰を捨て、機械の肉体を得た俺は、機械帝国に忠誠を誓った。
人間であることに未練などなかったし、むしろ機械であることに心地よさを感じたのだ。
今では皇帝も俺に一目置いてくれている。
帝国の参謀の一人としてこの地底城に一室を与えられているのだった。

『ゴラーム、メレール、すぐに謁見の間に参集せよ』
「ん?」
「陛下がお呼びだわ」
重々しい声が俺の部屋に流れ、俺はすぐに謁見の間に向かう。
もちろんメレールもその敏捷性を生かして先を行く。
地底城の謁見の間にはすでに他の幹部たちがそろっていた。
機械博士ヘルブールと、機械将アルマーだ。
頭部に巨大なコンピュータを持ち白衣を着た科学者風のヘルブールは、人類支配のためのメカマジュウを作り出すのが仕事であり、全身をがっちりとした鎧に覆われた機械将アルマーは機械兵団を指揮する将軍である。
その二人がそろって陛下の前に頭を垂れていた。
もっとも、皇帝陛下ご本人が姿を見せているわけじゃない。
壇上の玉座にはただ椅子がおいてあるだけ。
皇帝陛下はお声のみをわれわれに聞かせ、そして支配なされるのだ。
俺はメレールとともに二人の後ろにひざまずいた。

『そろったようだな』
「「ハハーッ」」
俺たちの声がハーモニーを奏で、いっせいに一礼する。
『機械将アルマーよ、報告せよ』
「ハ、ハハッ」
おや?
心なしかアルマーの動きが鈍い。
また何か失態をしたのは間違いないところか・・・
「こ、このたび我が機械兵団は、メカマジュウレンジーンによる“東京温めますか作戦”を行い、一気にヒートアイランド現象を加速させ人間どもを混乱に陥れようといたしましたが・・・ピースコマンダーたちの妨害に遭い失敗。撤退を余儀なくされた次第でございます」
うなだれて敗北を報告するアルマー。
やれやれ・・・
毎回毎回正面切っての攻撃じゃだめだとまだわからないのかな。
『愚か者め』
静かに冷ややかに言葉を投げつける陛下。
その怒りのほどがうかがい知れる。
「お、お待ちくださいませ陛下。作戦の失敗は私にあるのではありません。毎回くだらぬメカマジュウを製造するヘルブールこそ責任を負うべきかと」
「ナ、ナニヲイワレルノカ。ワガハイハマイカイサイコウノめかまじゅうヲサクセイシトウニュウシテイルノダ。サクセンノシッパイハ、ヒトエニキサマノムノウニヨルモノデハナイカ!」
ハア・・・
俺はため息をつく。
こいつらは責任のなすりあいか・・・
協調性のかけらもないやつらだ。
これではいつまでたってもピースコマンダーたちには歯が立たない。

『二人とも下がれ。しばし謹慎するがいい』
「「ハ、ハハーッ」」
神妙にうなだれ、謁見の間をあとにするアルマーとヘルブール。
部屋を出たところでの言い争いが目に浮かぶ。
『ゴラームよ』
「ハハッ」
俺は顔を上げた。
『見てのとおりだ。次の作戦はそちに任せる。存分にやるがいい』
「ハハッ」
俺は一礼する。
さて、今回の作戦を実行に移すとするか。

謁見の間を離れ、自室に戻ってきた俺に対し、なぜかメレールまでが俺の部屋にやってくる。
「へえ、ゴラームが指揮を取るなんてね。大丈夫なのかしらね」
腕組みをしながら壁にもたれているメレール。
意地悪そうにニヤニヤと俺のことを見つめている。
やれやれ。
失敗したら躰をバラバラにされそうだな。
実際のところ俺は作戦の指揮を取ること自体初めてだ。
参謀などという肩書きは、実際のところは皇帝陛下の相談役にしか過ぎない。
人間の知識や思考、さまざまな行動原理などのことを皇帝陛下にお教えし、その相談にあずかるだけなのだ。
過去に一度か二度陛下に作戦指揮を取るようにおおせつかったものの、そのたびにアルマーやヘルブールなどが陛下に取り入って指揮するチャンスを奪われていた。
まあ、指揮など取るつもりもあんまりなかったからいいんだがね。
でも、今回は好都合。
二人は謹慎中だし、このところ温めていた計画を実行してみるのにいいチャンスだ。

「ねえ、ひとつだけ聞かせてよ」
ひとつだけ?
俺はやっぱり苦笑する。
メレールが興味を持ってしまえば質問がひとつだけですむわけがない。
しかも答えが気に入らなければ鉤爪が飛んでくる。
困った女だ。
もっとも、そこが彼女の魅力でもあるのだが。
「何だ?」
俺は今回の作戦を書類にまとめる作業中だ。
背中を向けたままでそう言った。
もし俺が人間のままだったら、即座に首が飛んでいただろう。
「どんな作戦なの? この前アルマーがやった“北海どうでしょう作戦”みたいな感じ?」
俺は吹き出した。
よりにもよってその作戦を引き合いに出すのか、メレール?
「な、笑ったわねゴラーム! その首切り落とーす!!」
瞬時に椅子から転げ落ちる俺。
メレールの鉤爪がたった今まで俺が座っていた椅子を切り裂いていく。
「や、やめろメレール! わかった、悪かった」
俺はこいつのこういうところが可愛いと思う。
だから素直に謝った。
まあ、首を切り落とされたぐらいじゃ修理すればいいだけなのもあるが、本気で跳びかかってくるからな。
「ふん・・・謝るんなら赦してあげる」
ずたずたに切り裂いた椅子を放り投げ、にこっと笑みを浮かべるメレール。
可愛い奴だ。
「だが、お前が悪いんだぞ。あんな作戦と一緒にしないでくれ」
「むーっ! どういうこと? あたしあの作戦はアルマーにしては考えたなって気がしたんだけど」
アルマーにしては・・・な。
いつもいつも力押しのアルマーにしては・・・だ。
食糧生産地の北海道を奴隷化した道民とともに外国に売り飛ばし、北海道が無くなって間抜けっぽくなった日本地図を見た日本人すべてに言いようのない喪失感を与える。
趣旨としては悪くない。
悪くないが、北海道を実際に動かそうとして地下に穴を掘るのはどうかと思うのだがな。
結局ピースコマンダーどもに察知され、メカマジュウドリラーンもろとも作戦は葬られてしまった。
失った機械戦闘員メカデクーの数も膨大で、量産工場をフル稼働させても二週間はかかったほどだ。
「目的に対し手段を取り違えているんだよ。俺ならああいうことはしない」
「ふーん。結構な自信じゃない。いいわ。お手並み拝見させてもらう。でもいい? 失敗したら陛下が赦してもあたしがあんたを始末するからね」
右手の鉤爪をペロッと舐めるメレール。
「ああ、気をつけるとしよう」
俺はそういうとメカデクーの一体に換わりの椅子を用意するよう命じるのだった。
  1. 2008/12/15(月) 20:52:18|
  2. 七日目
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

140万ヒットですか・・・。早いものですね。
2週間連続SSとはまた思い切ったことをしでかしますね。
まぁ、今日はプロローグ的なものみたいなので、これからの展開を楽しみにしています。

ところで、この作戦の名前って・・・。2つ目のネタ元は全国的に有名になってしまったものでしょうけど、1つ目のネタ元は道民以外には解らないのでは…。
  1. 2008/12/15(月) 21:03:34 |
  2. URL |
  3. metchy #zuCundjc
  4. [ 編集]

このペースで14連作ですか?
裏切り、堕ち、様々な展開を準備されているんでしょうね。
じっくり楽しませて頂きます。
  1. 2008/12/15(月) 21:57:43 |
  2. URL |
  3. 神代☆焔 #-
  4. [ 編集]

14日間連続SS楽しみにしてます。

ピースコマンダーの活躍?に期待です。
堕ち的な意味で。

次は”いっぱち●こうよ作戦”と見た!
  1. 2008/12/15(月) 22:30:41 |
  2. URL |
  3. deadbeet #-
  4. [ 編集]

更新お疲れ様です~
140万ヒットまで、あとわずかですね。
こちらもドキドキでございます。

機械帝国の幹部構成が80年代の東映戦隊物を思わせるイメージで思いっきり好みです。

次回も楽しみにしておりますです。
  1. 2008/12/16(火) 00:34:30 |
  2. URL |
  3. g-than #-
  4. [ 編集]

>>metchy様
完結してから載せようと思ったら、結構長くなってしまいました。
作戦名は、もともとはXライダーの“東京フライパン作戦”に端を発したのですが、そこからあたためますかを思いついたのでそっち系に行きました。
知る人が少ないかもしれませんが、にやっとしてくれればOKです。

>>神代☆焔様
14日間このペースです。
なので、ちょっと冗長に感じられるかもしれませんですね。

>>deadbeet様
残念ながらピースコマンダーはあんまり活躍しないのです。
堕ちに関しては・・・
お楽しみにとしか。(笑)

>>g-than様
特撮戦隊モノを大いに意識して書きました。
好みと言ってくださりうれしいです。
今後も楽しんでいただければと思います。
  1. 2008/12/16(火) 20:40:35 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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