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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

戦艦ビスマルクを撃沈せよ (3)

1941年5月24日午前5時25分(諸説あり)。
ホランド提督率いる英国先遣艦隊はビスマルクとプリンツ・オイゲンの二隻を発見。
見敵必戦の伝統を持つ英国艦隊は波を蹴立ててビスマルクに向かいます。
ただ、そのため本来取りたかったT字戦法を取ることができなくなり、逆にドイツ側がT字戦法を取りやすくなっておりました。

5時52分、両軍は砲撃を開始。
指揮官先頭の英国海軍は旗艦フッドにプリンス・オブ・ウェールズが続行する形となり、前方を航行する二隻のドイツ軍艦に砲撃を浴びせます。
一方ドイツ側は、隊形変換でプリンツ・オイゲンが前に出る形になっており、ビスマルクは後ろ側になっておりました。

ここでこの二隻のシルエットが似ていることが、ドイツ側の有利に働きます。
プリンス・オブ・ウェールズは後方の敵艦こそビスマルクと判断して砲撃を行ないますが、フッドはしばらくの間プリンツ・オイゲンをビスマルクと誤認していたというのです。

ドイツ側を追いかける形となっていた英国側は、船体の前側の大砲しか使えません。
フッドが4門、プリンス・オブ・ウェールズが6門と、主砲全部で18門のうち10門しか使えないのです。
さらにそれが分散し、ビスマルクを狙っている主砲はプリンス・オブ・ウェールズの6門のみ。
しかも、完成したばかりのこの戦艦は、まだ完全に仕上がっていなかったのか、主砲1門が最初の砲撃で故障してしまいます。
結局、英国艦隊の18門の主砲のうち、ビスマルクを撃っているのはたった5門に過ぎなかったのです。

この間、ドイツ側はすべての主砲を先頭のフッドに集中させておりました。
ビスマルクの38センチ砲8門と、破壊力は劣るものの傷つけるには充分なプリンツ・オイゲンの20センチ砲8門が、フッドに集中していたのです。

6時ちょうど、ビスマルクの主砲の一弾がフッドの船体中央部付近に命中します。
すでにいくつかの命中弾を受けていたフッドでしたが、この直撃がフッドに止めを刺しました。
巨大な爆発が船体中央部で発生し、フッドの前半分を吹き飛ばしたのです。

フッドの後方を航行していたプリンス・オブ・ウェールズは一瞬何が起こったのか把握することができませんでした。
われに返ったときにはすでにフッドの姿は海上にはありませんでした。
まさに轟沈だったのです。

フッドの轟沈により、プリンス・オブ・ウェールズは緊急回避を行なわざるを得ませんでした。
その結果、今度はドイツ側が狙いやすい位置に動くことになってしまい、集中砲撃を食らってしまいます。
いくつかのドイツ側の砲弾が命中し、プリンス・オブ・ウェールズを損傷させました。
幸いにして致命傷を負うことはありませんでしたが、それ以上に深刻だったのが相次ぐ主砲の故障でした。
気がつくとプリンス・オブ・ウェールズは、前部主砲の半分ほどが故障で撃てなくなっていたのです。

ここにいたり、プリンス・オブ・ウェールズのリーチ艦長は撤退を決意。
このためフッド乗組員の救出を行なうことができませんでした。

反転回頭したプリンス・オブ・ウェールズは、後部砲塔の4門の主砲をビスマルクに向けて撃ちますが、これは命中せず、かえってまたしても砲塔が旋回できなくなると言う故障に見舞われます。
この戦闘に関しては、最初から最後までプリンス・オブ・ウェールズには故障が付きまといました。

6時10分。
戦闘は終了します。
たった20分ほどの砲撃戦でしたが、英国海軍の完敗でした。
フッドは失われ、ホランド提督も戦死。
プリンス・オブ・ウェールズは満身創痍で戦場を離脱せざるを得ませんでした。

ですが、英国側もただやられたわけではありませんでした。
故障に悩まされながらも、プリンス・オブ・ウェールズの放った主砲弾は三発がビスマルクに命中しておりました。
二発はたいした損害ではなく、今後の戦闘行動に支障のあるものではありませんでしたが、一発が水面下に命中して燃料タンクに損傷を与えておりました。

これによりビスマルクはまたしても燃料のうちの1000トンを使用することができなくなりました。
さらに悪いことに、漏れた燃料が海面に油の尾をはっきりと生じさせておりました。
航空機から見れば、それははっきりとわかるものであり、この油の尾を引いている限りビスマルクがその先にいることを示してしまうものでした。

ビスマルクの艦橋では二人の男が意見を衝突させておりました。

一人はリンデマン艦長。
彼は離脱したプリンス・オブ・ウェールズを追撃して撃沈するべきだと言う意見の持ち主でした。
彼はどうやらプリンス・オブ・ウェールズを本国艦隊の旗艦キング・ジョージⅤと誤認していたのかもしれませんが、英国民の親しんだフッドと英国の誇るキング・ジョージⅤを撃沈することができれば、英国民に与える精神的動揺は計り知れなく、またビスマルクにとっても大いなる名誉だと考えておりました。

もう一人はリュッチェンス提督。
彼はプリンス・オブ・ウェールズ追撃に真っ向から反対します。
もともと艦隊の目的は通商破壊であり、そのために出撃してきたのです。
沈めるべき相手は商船であり戦艦ではありません。
たまたまフッドを沈めたとは言え、本来戦闘は回避するべきものでした。
敵が撤退したのなら、この隙に距離をとって本来の通商破壊任務に戻るべきだと考えたのです。

結局ビスマルクは戦場を離れました。
リンデマン艦長にとっては不満が残るものだったでしょうが、提督の命には従わなければなりません。
こうしてデンマーク海峡での戦いは終わりました。

離脱したプリンス・オブ・ウェールズは、重巡サフォークとノーフォークの両艦と合流。
ウォーカー少将の指揮下に入ることになりました。
ウォーカー少将はこの三隻による攻撃は考えず、トーヴィー提督指揮下の艦隊の到着を待つことにします。
レーダーの索敵範囲ぎりぎりに追尾しつつ、チャンスを待つことにしたのでした。

フッド乗組員の救出のために駆逐艦が戦場付近に到着したのは、戦闘から約二時間後でした。
救出されたフッド乗組員はわずかに3名。
ホランド提督以下1415名が戦死いたしました。

その4へ
  1. 2008/09/22(月) 20:25:44|
  2. ビスマルクを撃沈せよ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

砲塔の並びから考えると、確かに横向きに攻撃した方が効率的ですね。
視覚的には正面から攻撃した方が、当たり難い感じがしますが……。
 
今回の記事を読んで、初めて大砲の弾が放物線を描いて飛んでることを思い出しました(苦笑)
  1. 2008/09/22(月) 21:40:31 |
  2. URL |
  3. 神代☆焔 #-
  4. [ 編集]

ウェールズのリーチ艦長はビスマルク追撃戦で艦橋に砲弾の直撃を喰らいながらも辛くも生き残った強運の人なんですよね(他生存者一名。残りの幕僚や水兵は全身戦死)。

でも、そんな彼の強運も7ヵ月後に極東の海で果て、共にビスマルクから逃れた艦と共に沈んでいきました。
  1. 2008/09/23(火) 00:02:22 |
  2. URL |
  3. いなづまこと@178 #-
  4. [ 編集]

>>神代☆焔様
確かに正面から向かって行けば投影面積が少なく感じますけど、進路の予測とかもされやすいのではないでしょうかね。
また、戦艦は多数の砲で一斉に撃って、その着弾で修正する形ですから、多くの大砲が使えたほうが有利なのでしょうね。

>>いなづまこと@178様
そうなんですよねー。
艦橋に直撃を食らっていたんですよね。
よくも助かったものですよ。
彼が戦死していれば、指揮系統を失ったまま戦闘を継続してしまい、POWもここで沈んでいたかも知れませんね。
  1. 2008/09/23(火) 18:51:33 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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