日中戦争や太平洋戦争前半ごろの日本軍の兵器写真を見ると、航空機の機体や戦闘車両の車体に“愛国○○号”とか、“報国○○号”などと書かれているのを見たことはございませんか?
俗に“愛国号”とか“報国号”と呼ばれるこれらの機体や車両。
なぜこういった文字が書かれていたのでしょう。
太平洋戦争前の日本は、決して豊かな国ではありませんでした。
工業化を進め、富国強兵を継続してきましたが、増大する軍事費に取られ、国民生活は厳しいものがありました。
しかし、その増大した軍事費も兵力を増強することに使われ、現状の質を維持するのに手一杯となってしまいます。
軍の質の向上、いわゆる近代化のためには各種の兵器が必要ですが、そういった兵器を買う予算がでないのです。
そういった中で国民は、国防のために自分たちができることをしようという意識の下、献金をするようになりました。
地域単位、会社単位、裕福な場合には個人の資格でとさまざまな形で献金が行なわれ、軍の近代化に役立つようにと寄付されました。
これを国防献金といい、この国防献金で購入された車両や航空機に陸軍は“愛国”、海軍は“報国”の名を与えて国民への感謝の表れとしたのです。
この国防献金によって購入された車両や航空機は結構な数に登り、陸海軍戦力の一端を担ったのは間違いありません。
関東軍などは満州事変時に必要な装甲車を試作する予算が無く、この国防献金によって装甲車を作ったという話さえありました。
ちなみに、“愛国号”及び“報国号”として作られた車両や航空機は、献金した人々へのお披露目として献納式が行なわれましたが、そのときには献納された兵器の絵葉書が送られたそうです。
ただ、実際に献納される兵器を写した写真の絵葉書ではなく、以前に写しておいた同型の兵器に番号だけを当てはめたものだったため、同じ構図の絵葉書の番号が違うだけというものが多数作られ、絵葉書収集家には残念だったらしいですね。
それにしても、国民は生活の一部を犠牲にしても軍に協力していたんですね。
いい悪いはともかく、そういう時代だったんですね。
それではまた。
- 2008/08/19(火) 20:17:26|
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そのニ文字を見ると、黒い宣伝車で『日本国憲法尊守、天皇制反対』とか、訳の解らないことを叫んでいる人達を思い出してしまいます(汗)
天皇制は、日本国憲法で規定されてるんですけど……
- 2008/08/20(水) 15:01:50 |
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- 神代☆焔 #-
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>>神代☆焔様
今はこの二つの言葉ともあまりいい意味で使われていないような気がしますね。
本来はそんなものではないはずなんですけどねぇ。
- 2008/08/20(水) 19:40:26 |
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- 舞方雅人 #-
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