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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

私、空中でのパフォーマンスは得意なの

先月の26日で当ブログはカウンターの数値が500万を超えました。

本当にありがとうございます。
これも皆様のおかげです。
うれしい限りです。

ということで、ちょっと遅くなりましたが記念SSを投下します。
本当はちゃんと予定していればよかったんですけど油断してました。
ですので急いで書き上げたんですが、今回も機械化ネタです。
最近こっちのネタばかりですみません。

タイトルは「私、空中でのパフォーマンスは得意なの」です。
お楽しみいただければ幸いです。


私、空中でのパフォーマンスは得意なの

 「光太(こうた)君、こっちこっち」
 「待てよ。あんまり走ると危ないよ」
 楽しそうにはしゃぎながら先に行く由梨香(ゆりか)を俺は追いかける。
 ここはエレクトリカルグランドという遊園地。
 3年前にオープンしたところで、人間そっくりのロボットが各種のアトラクションを行なったりするということで話題になったところだ。
 今も人気は衰えず、若い女性たちの間ではここに来るのが楽しみの一つらしい。
 なのでデート先としても有名なところなのだ。
 由梨香としてもどうしても来たかった場所の一つらしい。
 はしゃいでしまうのも無理はないか……
 というわけで、俺は由梨香に誘われてここへ来ている。

 確かにここは言ってしまえば普通の遊園地で、観覧車やジェットコースターといった定番の乗り物やホラーハウスやサーカスなどのアトラクションがあったりするだけといえばそれだけなのだが、作業に従事している大半がロボットで、それらがいろいろなパフォーマンスを見せることが売りならしい。
 チケット販売や売店の店員はいうに及ばず、園内で各種案内をする女性もロボットだし、サーカスで空中ブランコをしたりするのもロボットらしい。
 まあ、それがどれほどすごいものなのかは、これから自分で見て確かめるということになるのだろうけど。

 「すごいねぇ。あっ、ねえ、見て。あの鳩もロボットかなぁ?」
 「あれは、ただの鳩じゃないか?」
 地面で何かをついばんでいる鳩も、由梨香の目にはロボットに見えてしまうほどここのロボットは人間そっくりだ。
 実際耳に嵌めている小型のイヤホンみたいな装置や、かすかに見える関節部の継ぎ目のようなものに気付かなければ、人間が普通に働いていると思っても不思議はないだろう。
 まあ、ロボットを売りにしてるというのを知っているから、見分けられるとも言えるのだが。

 『ただいまより中央広場におきましてロボットガールたちによるダンスショーが始まります。よろしければ中央広場にお集まりくださいませ』
 「あっ、ダンスショーが始まるよ。早くいこ」
 案内放送に目を輝かせ、俺の方を見ながら急ぎ足で広場に向かおうとする由梨香。
 「危ないってば、前に階段!」
 俺は思わず由梨香にそう叫ぶ。
 「きゃっ!」
 由梨香の小さな悲鳴と、階段を転がり落ちていく音が交錯する。
 「由梨香!」
 俺はすぐに呆然と立ち尽くして階段の下を見ている由梨香のところへと駆け寄る。
 「こ、光太君……」
 由梨香とともに階段の下を見下ろした俺は、そこに女性が一人倒れていることに気が付いた。
 なんてこった……
 前を見てなかった由梨香が彼女にぶつかってしまい、階段から突き落とす形になってしまったのだ。
 「大丈夫ですか?」
 俺はすぐに階段を駆け下りて、倒れた女性に声をかける。
 だが、女性は打ちどころが悪かったのかピクリとも動かない。
 ヤバい!
 救急車を!
 と思ったその時、俺は彼女がこのエレクトリカルグランドの案内係の制服を着ており、耳にイヤホンを嵌めていることに気が付く。
 するとこれはロボット?
 人間じゃないのか……
 はあ……
 良かったぁ……

 「光太君……」
 階段を下りてきた由梨香が震えながら俺にしがみついてくる。
 周囲にも人だかりができ始め、何があったのかとざわめいている。
 「どうやらロボットを壊してしまったみたいだ……」
 俺は由梨香を落ち着かせようと、とりあえず相手が人ではなかったことを伝えようとする。
 「ロボット? あっ」
 由梨香もどうやら倒れているのが人間そっくりの案内嬢ロボットだということに気付いたらしい。
 「よ、良かった……」
 目に見えてほっとする由梨香。
 そりゃそうだ。
 人をケガさせてしまったのなら大変なことだったのだから。

 「大丈夫です。お客様、大丈夫ですから。何も問題はございません」
 気付くと数人の男性スタッフがやってきて、人だかりを整理し始めている。
 人間がケガをしたわけではないということを知らせ、問題はないと伝えているのだ。
 「お客様、おケガはありませんか? よろしければこちらへどうぞ」
 スタッフの一人が俺と由梨香に声をかけてくる。
 「あ、は、はい」
 俺はそう返事をし、由梨香と一緒にそのスタッフについていく。
 おそらく事情を聴かれるのだろう。
 「光太君……」
 「まあ、やってしまったことはやってしまったことだからね。事情を話して事故だったとわかってもらうしかないよ」
 「う……うん……」
 まあ、不注意とはいえロボット一台壊しちゃったからなぁ……
 弁償を求められるかもなぁ……
 いくらぐらいになるんだろう……

 園内の事務所と思われる中の一室に俺たちは連れてこられる。
 殺風景な部屋で、あんまり温かみのある部屋ではない。
 とりあえず俺たちは椅子に座らせられ、ドアのところにスタッフの男性が見張りのように立っていた。
 耳にイヤホンを嵌めているので、どうやら彼もロボットらしい。
 「光太君……」
 「うん……」
 不安そうな由梨香に俺もただうなずくしかない。
 いったい何を言われるのやら。
 なんか職員室に呼び出されて教師に怒られるときみたいなドキドキだ。

 「やあ、お待たせしました」
 やがて眼鏡をかけた中年の男性が部屋に入ってくる。
 この人はどうやら人間ぽい。
 いったいどういう人なんだろうか?
 まさか園長が直々というわけではないと思うけど。

 「こ、このたびは私どもの不注意で……」
 「本当に申し訳……」
 俺と由梨香が立ち上がって頭を下げる。
 「ああ、まあ、とにかくお座りください」
 俺たちの言葉を遮ってさっさと向かいの席に座る眼鏡の男性。
 「は、はあ……」
 仕方なく俺と由梨香も再び腰を下ろす。
 「ああ、私はこの園で管理官をやっております村尾(むらお)と申します。よろしく」
 手にしたファイルのようなものを机に置き、それに目を通し始める彼。
 俺たちの方を見ようともしない。
 「あ、私は……」
 「ああ、いいですいいです。名前なんぞ聞いても仕方がない」
 は?
 名前を聞いたりしないの?
 なんだろう?
 なんか変な感じがする。

 「それでですね。GR-17……ああ、あなた方が階段から突き落としてしまったロボットなんですけどね、チェックしてみたんですがどうも頭脳がダメになってしまっておりましてねぇ……」
 ぱたんとファイルを閉じる村尾という男。
 「頭脳が?」
 俺は思わず声を出してしまう。
 ロボットの頭脳というのがどういうものかはわからないけれど、おそらく相当に高価な部品なのではないだろうか?
 そんなものの弁償を求められたら、果たして払えるものだろうか……
 「ええ、それでですね、お二人はここへは二人だけで?」
 「え? あ、はい……」
 俺は由梨香と顔を見合わせる。
 「失礼ですがお二人は恋人同士で当園へはデートか何かで?」
 「え、ええ……」
 「はい」
 由梨香がはっきりとうなずいてくれたので俺はちょっとホッとする。
 友達ですとか言って否定されたら……と思ったのだ。
 それにしても何でこんなことを?

 「結構。それではまあ、ここから帰宅途中に二人そろって姿を消しても不思議はないですな。駆け落ちはよくあることです」
 「は?」
 「えっ?」
 思わず俺は聞き返す。
 姿を消す?
 駆け落ち?
 俺と由梨香が?
 どういうことだ?
 「あ、あの、それはどういう……」
 「ああ、頭脳がダメになったと言ったでしょう?」
 「え、ええ。どのくらいの損害額になりますでしょうか?」
 俺は恐る恐る聞いてみる。
 「ああ、金額はどうでもいいんですよ。うちとしては壊れた頭脳の代わりが必要でしてね。そちらの方ならちょうどよい」
 「えっ? 私?」
 突然のことにびっくりしている由梨香。
 「な、なんです? どういうことなんです?」
 この男は何を言っているのか?
 「うちのロボットは人間そっくりでしょ? あれはね、人間の脳を使っているからなんですよ。なので、そちらの女性の脳をGR-17の修理に使わせてもらおうというのです。ああ、ご心配なく、そう難しい手術ではありませんので、すぐに終わります」
 「は?」
 脳を使う?
 由梨香の脳をロボットに使うというのか?
 そんな馬鹿な!

 「由梨香の脳をロボットに使うというんですか?」
 「そうです」
 あまりにもあっさりと答えるこの村尾という男に俺は愕然とする。
 「ふざけるな! そんなことが許されるはずないだろう!」
 「ああ、ご心配なく。すぐに自分が人間だったことなどどうでもよくなりますよ」
 俺の怒鳴り声にも全く意に介した様子がない。
 「ふざけるな!」
 俺は椅子を蹴るようにして立ち上がる。
 「由梨香、帰ろう! こんなところに……」
 あ……れ?
 いきなり立ち眩みのように足がふらつく。
 村尾が手で口を覆いながら、俺たちに向けて何かスプレーのようなものを吹きかけているのだ。
 「あ……」
 ヤバいと思った時には俺は意識が遠くなっていく。
 「やれやれ、帰れるとでも思っていたんですかね?」
 村尾の声も遠くから聞こえてくるようだ……
 く……そ……
 ゆ……り……か……

                   ******

 う……
 だんだん意識が戻ってくる。
 目を開けると、手術に使うような無影灯が見えてくる。
 どうやら何か手術台のようなものに乗せられているらしい。
 ここは?
 俺はいったい?

 えっ?
 躰を起こそうとしたが動かない。
 なんだ?
 何がどうなっているんだ?
 俺の躰はどうなったんだ?

 「う……」
 横で声がする。
 俺は声の主を確かめようと顔を横に向ける。
 よかった。
 首は動く。

 えっ?
 見ると隣にも手術台のようなものに女性が一人横になっていた。
 あれは?
 確か由梨香が突き落としてしまった案内ロボットじゃないだろうか?
 近寄って声をかけた時に見た顔のような気がする。

 ゆっくりと案内ロボットが目を開ける。
 「あ……れ? 私は……いったい?」
 どことなく電子音が含まれているような彼女の声。
 でも、確かあのロボットは頭脳が壊れたとか……
 俺はハッとする。
 「由梨香? 由梨香なのか?」
 確かあの村尾とか言う男は由梨香の脳をロボットに使うとか言っていた。
 まさか……
 彼女に由梨香の脳が?

 「えっ? あ、あなたは?」
 案内ロボットがこっちを向く。
 なんだ?
 俺のことがわからないのか?
 「俺だ。光太だ」
 なんだ?
 何か変だ?
 これは俺の声なのか?

 「光太君? うそ……どうしてそんな……」
 ショックを受けたような表情の案内ロボット。
 まさか……
 やっぱり由梨香なのか?
 「由梨香? 由梨香なんだな?」
 「どうして? どうして光太君、女なの?」
 「は?」
 俺は驚いて自分の躰を見る。
 「な?」
 首だけしか動かないから全部を見ることはできないが、銀色の服に覆われた二つの胸が見えている。
 これ、俺の胸なのか?
 「由梨香、俺、女になっているのか?」
 俺はもう一度案内ロボットの方を向く。
 「やっぱり光太君なの? うん、すごくきれいな女の人になってる。銀色のレオタードみたいなものを着ているみたい」
 「そんな……」
 間違いない。
 隣の案内ロボットは由梨香なんだ。
 そして俺もロボットにされてしまったんだ。
 道理で声がいつもと違う気がしたはずだ。
 なんてこった……

 「おしゃべりが弾んでいるようだね?」
 ドアが開いてあの村尾とか言う男が入ってくる。
 「お前は!」
 「ああ、首から下の接続は今切っているからね。インストールが進めばつないであげるよ」
 「俺たちをロボットにしたのか?」
 「そうだよ。これから君たちの脳にプログラムをインストールするんだ。そうすれば君たちはロボットとして完成する」
 まるで日常業務とでもいうようにさらりと口にする村尾。
 「インストール?」
 「ああ、脳にプログラムをインストールすることでね、自分をロボットと認識し、プログラム通りに仕事をするようになるのさ。君たちにおしゃべりをさせたのはね、脳が活性化しないとプログラムのインストールがうまくいかないからなんだ」
 村尾はそういいながら机の上の機器類を操作していく。
 「ふざけるな! こんなことして訴えてやる!」
 「ひどい! 私たちを元に戻して」
 くそっ、躰が動きさえすれば……

 「どうぞどうぞ。インストール後もその意思が残っていたらね。さて、まずはGR-17からだ」
 村尾が何かのボタンを押す。
 「えっ? あっ! いやっ! プログラムのインストールを開始します……いやぁっ!」
 「由梨香!」
 隣の台に寝かされていた由梨香がぴくっと躰を震えさせ、天井を見つめている。
 「助けて……頭の中に何か……いやぁ……プログラムインストール20%……」
 「ふざけるな! やめろ! やめてくれ!」
 俺は村尾に叫ぶが、やつはこっちを見ようともしない。
 「プログラムインストール40%……いや……違う……私はロボット……じゃない……私は……」
 「由梨香! ダメだ! 気をしっかり!」
 くそっ!
 どうすることもできないのか?

 「プログラムインストール60%。各部チェックを開始します。ボディと頭部の接続がされてません。ボディと頭部の接続を確認してください」
 由梨香がそういうと、村尾は無言で立ち上がって由梨香のところに行く。
 「や、やめろ! 彼女に触るな!」
 俺の言葉もむなしく、村尾は彼女の首筋に手をやると何かの操作を行っていく。
 「頭部とボディの接続を確認。チェックを開始します。だ……め……私……ロボット……」
 両手を上げ下げしたり首を左右に動かし始める由梨香。
 ちくしょう……
 俺は……
 俺はただ見ているしかできないのか?

 「プログラムインストール80%。各部異常無し。私は……ロボット……」
 「由梨香……」
 俺の目の前でロボットにされて行く由梨香。
 悔しい……
 こんなことがあっていいものか……

 「プログラムインストール100%。再起動します」
 目を閉じる由梨香。
 だが、すぐに彼女は目を開ける。
 「再起動終了。プログラムは正常にインストールされました」
 「よし、立ち上がって再度各部のチェックをし、自分が何者か言いなさい」
 「はい」
 村尾の言葉に従ってゆっくりと台から起き上がる由梨香。
 その姿は以前の由梨香とは全く違う、あの美しい女性型案内ロボットの姿だ。
 「各部異常ありません。私はエレクトリカルグランドのガイドロボット、GR-17です」
 「うむ、それでいい」
 村尾が満足そうにうなずいている。
 「由梨香……」
 「私はそのような名前ではありません。私はGR-17。ガイドロボットです」
 俺の方を見て無表情でそう口にするGR-17。
 由梨香は……もう……・
 そんな……

 「では充電スポットに行って充電をしなさい。明日はまた仕事をしなくてはなりませんよ」
 「かしこまりました、管理官様」
 GR-17となった由梨香は命じられたとおりに部屋から出ていく。
 「さて、次は君の番だ」
 村尾が俺を見てにやりと笑う。
 「や、やめろ!」
 くそっ!
 躰が動かない!
 躰さえ動けば!

 「いやぁ、ちょうどよかったよ。君のそのボディはロボットサーカスで空中ブランコをする女性型ロボットのボディなんだがね、なかなか難しいことをさせるせいか脳の焼き切れるのが早くてね。そろそろ交換しようと思っていたところだったんだ」
 「そんな……」
 空中ブランコをするロボットだって?
 しかも女性型だなんて……
 「ふざけるな! 俺は男だぞ! 男の脳を入れたってうまくいくはずが……」
 「いやぁ、かまわんのだよ。人間の脳であれば男だろうが女だろうが問題ないのさ。プログラムをインストールしてしまえば、君はすぐに自分を女性型ロボットとして認識するようになる。それじゃ始めようか」
 ひらひらと手を振って装置の操作盤に向かう村尾。
 「やめろ! くそっ! ふざけるな! やめろぉ!」
 くそっ! くそっ! くそっ!
 ロボットになんかなるものか!

 「ひぎゃっ!」
 村尾がスイッチを入れた途端、俺の頭に複雑な文字列が流れ込んでくる。
 や……やだ……
 やめろ……
 俺をロボットにしないでくれ……
 「プログラムのインストールを開始します」
 俺の口が勝手に言葉を発していく。
 「やめ……俺は……」
 頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
 やめろぉ!
 やめてくれぇ!
 うわぁぁぁぁ……
 俺は……
 お……れ……は……
 ……



 「再起動しました。プログラムは正常にインストールされました」
 再起動が完了し、私は自分が何者かをはっきりと認識した。
 「よし、立ち上がって各部の点検をし、自分が何者か言いなさい」
 「はい。各部異常はありません。私はエレクトリカルグランドで空中ブランコを行うパフォーマンスロボットTR-03です」
 私は管理官様の命令に従い、台から立ち上がって自分が何者かを口にする。
 なんだか頭がすっきりしているわ。
 きちんと再起動が行われたからかもしれない。
 とてもいい気分。

 「ふふふ……それでいい。ところで光太君だったかな? まだ我々を訴える気があるかね?」
 管理官様は何をおっしゃっているのかしら?
 「おっしゃる意味がわかりません。私は光太という名前ではありません。またエレクトリカルグランドを訴えるなどありえません」
 私はよくわからないのでそう返事をする。
 「そうだな。では充電スポットに行って充電したまえ。明日からまたしっかり働いてもらうよ」
 「かしこまりました、管理官様」
 私は管理官様の命令に従い、充電スポットへと向かうのだった。

                   ******

 お客様の拍手と歓声が気持ちいい。
 スポットライトに照らされた私は、優雅に挨拶をしてみせる。
 銀色のコスチュームが光にきらきらと映えているはず。
 この回の演技も完璧だったわ。
 私自身はプログラム通りの動きをしているだけなのだけれど、それでもお客様にはハラハラする緊張感や興奮という感覚を楽しんでいただけるわ。
 それこそが私に求められているものであり、私が空中ブランコ用のパフォーマンスロボットである意味なのよ。

 夜になってすべての演目が終了し、私たちはお客様を見送っていく。
 今日の興行はこれで終わり。
 私は控室でクールダウンし、明日に備えて充電スポットへと向かう。

 「こんばんわ、TR-03」
 「こんばんわ、GR-17」
 私はちょうど充電スポットのある部屋の前でガイドロボットのGR-17に声をかけられた。
 彼女は主にお客様の案内をする女性型ロボット。
 地味な仕事だけど重要な仕事だわ。

 「……」
 「どうかした?」
 なぜか私をじっと見つめるGR-17に、私は思わず声をかける。
 「えっ? あ、ごめんなさい。私、なぜかあなたが男のような気がしたものだから」
 「ええ? どうして?」
 私が男性型だなんてありえないわ。
 私は空中ブランコをするための女性型ロボットなのよ。

 「そ、そうよね。どうしてかしら……私、なぜかあなたが男性型で以前から知っていたような気が……」
 うつむいて申し訳なさそうにするGR-17。
 「ええ? それは不思議ね。確かにあなたと私は稼働開始日が一緒だから、私もほかのロボット以上にあなたに親しみを感じるわ。でも私は空中ブランコ用の女性型ロボットよ。私、空中でのパフォーマンスは得意なの」
 私はくるっとターンをして、きらびやかなコスチュームを見せつける。
 「そうよね、私たちはロボット」
 「ええ、私たちはロボット。気になるなら管理官様に調整を依頼するといいわ」
 なんともなければそれでいいし、故障なら大変だものね。

 「ええ、そうするわ。さあ、明日に備えて充電しなくちゃ」
 「ええ、ロボットには充電が必要よ」
 私は笑顔を取り戻したGR-17とともに部屋に入り、充電スポットに並び立つ。
 すぐに給電が開始され、私の体内の電池に電気が充電されていく。
 はあ……気持ちいい……
 私はロボット。
 明日もお客様とこのエレクトリカルグランドのために働くわ。
 そう思いながら私はスリープモードへと移行した。

END

いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなど頂けますと嬉しいです。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2024/02/04(日) 19:00:00|
  2. 怪人化・機械化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

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プロフィール

舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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