今日は10月10日。
1010(千十 せんとお)ということで、勝手ながら「(特撮・アニメ系)戦闘員の日」というのを提唱させていただいております。
ということで、女戦闘員ネタSSを一本投下いたします。
タイトルは「性処理用女ジャドーガ兵マナミ」です。
実はもともとはこの作品は、基本プロットを「GIGA」様に送ったものだったのですが、どうせなら自分で書こうということで取り下げたものだったんですよね。
今回「戦闘員の日」に間に合わせて書き上げることができ、ホッとしました。
(^o^;)
ということで、お楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。
性処理用女ジャドーガ兵マナミ
「イエローニードル!」
「キキーッ!」
黄色のバトルスーツに身を包んだ女性の持つ細身の剣が、黒い全身タイツをまとったような姿の男の胸を貫いていく。
「レッドハンマー!」
その隣では赤いバトルスーツ姿の男性が、片手振りのバトルハンマーで同じく黒い全身タイツの男を倒していく。
「あとはお前だけだカマキリ野郎! 食らえ! ブルーショット!」
カマキリと人間を掛け合わせたような怪人に対し、青いバトルスーツの男が手にした銃を発射してもうもうたる爆炎が上がる。
だが、射撃を受けたカマキリの怪人は悠然と爆炎の中から姿を現した。
「キシャシャシャシャーッ! 俺様をジャドーガ兵どもと一緒にしてもらっては困る! そのようなもの、このジャドーガ獣カマキリーガには効かぬわ!」
「何っ!」
頭部全体を覆う青いヘルメットから漏れる声にも驚愕が含まれる。
「ならばこれはどうだ! レッドハンマーブーメラン!」
先ほどジャドーガ兵という黒い全身タイツの男を倒したハンマーを、そのまま回転させるようにして投げつける赤いバトルスーツ姿の男。
だが、彼の投げつけたハンマーもカマキリーガとか言うカマキリの怪人のカマによって叩き落されてしまう。
「キシャシャシャシャ……効かぬ効かぬ!」
巨大な複眼をぎらつかせて笑うカマキリーガ。
「それじゃこれはどう? イエローダガー!」
黄色のバトルスーツの女性が三本の短剣を一斉に投げる。
相手がジャドーガ兵たちならいっぺんに三人を倒せる技だ。
だが、これもカマキリーガは三本ともに叩き落してしまう。
「そんな……」
「キシャシャシャシャー! トライパワードの武器など俺様には効かぬと言っておるのだ!」
強靭な外骨格を誇示するように胸を張るカマキリーガの姿に、トライパワードの三人が思わず息を飲む。
必殺技のパワードスパークをぶつけようにも、どこかで相手の隙を生み出さねばならないのだ。
今のままでは必殺技をぶつけてもかわされてしまうに違いない。
いったいどうしたら……
ヘルメットの中の三人の額に汗がにじむ。
『目よ! 目を狙いなさい! あの複眼はそれほど強い防御はされていないはずよ』
その時、トライパワードの三人のヘルメットに声が響く。
「そうだ、目だ! 目を狙おう。いいな、みんな!」
「おう!」
「ええ!」
その声にレッドが答え、ブルーとイエローもそれに応じる。
「ブルーショット!」
素早く銃を抜き連射する青いバトルスーツのブルーパワード。
「グギャッ! グギャァァァッ!」
その射撃が見事にカマキリーガの巨大な複眼に命中する。
「レッドハンマーブーメラン!」
赤いバトルスーツのレッドパワードの手からバトルハンマーが投じられ、回転しながらカマキリーガの首に当たる。
「ゴグァッ!」
たまらず両目をカバーしようとしていたカマキリーガの両手が首を押さえ、両目が再び無防備になる。
「イエローダガー!」
そこにすかさず黄色いバトルスーツのイエローパワードがダガーを投げ込み、カマキリーガの両目に突き刺さる。
「ギヤァァァァァッ!」
ブルーショットで傷ついた個所を的確に貫くイエローダガー。
カマキリーガの悲鳴とともに目の輝きが消えていく。
「よし、今だ!」
「おう!」
「ええ!」
トライパワードの三人がうなずき合う。
「「「パワードスパーーーク!!」」」
三人の声が一つになり、それぞれの胸のところからエネルギー波が放たれる。
赤、青、黄色の三色のエネルギー波が途中でらせん状に絡み合い、そのままカマキリーガへと突き刺さる。
「グギャァァァァァァッ!」
カマキリーガの断末魔の悲鳴が上がり、その肉体が光の中へと消えていく。
あとには塵となった残骸が残るのみだったが、やがてそれも風に吹き飛ばされて散っていった。
「ふう……やったな」
「手強かったな……」
「司令のアドバイスが無かったらどうなっていたか……」
三人が安堵の息を漏らす。
『ご苦労様。ジャドーガ獣の消滅を確認したわ。直ちに本部へ帰還してちょうだい。温かいコーヒーでも用意させておくから』
先ほど聞こえてきた声がまたヘルメット内に流れてくる。
「了解です、司令」
「すぐに引き上げまーす」
三人は手首に付いたブレスレットを操作してバトルスーツを解除し、それぞれ普段の若い男女の姿に戻り、本部へと帰還していった。
「ふう……今回も何とか乗り切ってくれたみたいね」
ドローンから送られてきた現場の中継映像を切り、こちらもホッと息をつく一人の女性。
まだ三十代前半の美しい容姿を、紺色のタイトスカートの制服に包み込んでいる。
名前は真木原愛美(まきはら まなみ)と言い、トライパワードチームの司令官を務めている女性だ。
彼女の明晰な頭脳は幾度となくジャドーガの作戦を打ち破り、トライパワードを勝利に導いてきた。
まさにトライパワードチームの要と言っていい存在だったのだ。
「さ、みんなが帰ってくる前に、美味しいケーキとコーヒーでも用意しておきましょうか」
にこやかに笑顔を浮かべ、軽やかな足取りで司令室を出ていく愛美。
司令官であると同時に、彼女はチームメンバーの頼れる姉でもあったのだった。
******
「ぬおおお! またしても……おのれトライパワードめ! あと一息のところであったものを!」
ぎりぎりと音を立てそうなぐらいにこぶしを握り締める甲冑姿の男。
トゲの付いた鎧で胴体を包み、腕にも脚にもごつい防具を着けている。
頭にもがっしりとしたヘルメットをかぶり、その下の赤く輝く目は怒りに満ちていた。
彼こそ暗黒結社ジャドーガの指揮官ガロム将軍である。
今世紀に入り地球をじわじわと侵略し始めた謎の集団。
動物や昆虫などと人間を組み合わせたような怪人ジャドーガ獣を生み出し、ジャドーガ兵と呼ばれる目だけを出したフルマスクと全身タイツ姿の戦闘員を多数繰り出して暗躍する。
そして重要人物を暗殺したり国家的機密事項を奪ったり破壊したりなどするのだ。
そうして各国の力が弱まったところを一気に征服する。
それが暗黒結社ジャドーガの目的であり、作戦は順調なはずだった。
しかし、ジャドーガの前に立ちふさがったのが特殊戦隊トライパワードだった。
赤、青、黄色の三色のバトルスーツに身を包んだ三人の男女が、ジャドーガの誇るジャドーガ獣やジャドーガ兵たちを蹴散らしていくのだ。
このままでは作戦遂行に支障が出ると考えたジャドーガの首領は、まずこのトライパワードの排除を優先することにし、ガロムを指揮官として送り込んだ。
だが、これまでのところはそのガロムも敗北が重なり、トライパワードに煮え湯を飲まされ続けている有様だった。
個々のジャドーガ獣の能力では決して引けは取っていない。
ジャドーガ兵の数による攻撃も悪くはない。
だが、勝てない。
やつらのチームワークに敗れ、そして指揮分析能力に敗れているのだ。
それを何とかしなくてはならない。
だがどうすれば……
そこがガロムにとっての悩みだった。
「キキーッ! ガロム様」
苦虫を噛み潰したような表情をしているガロムの元に、ジャドーガ兵が一体現れ、右手を上げて敬礼する。
ジャドーガ兵とは、体格のいい男が目の部分以外をすべて黒いナイロンの全身タイツで覆ったような姿をしたジャドーガの戦闘員である。
わずかに目が覗いているマスクの穴の縁取り部分と額の逆三角マークが赤く、、腰に巻いたベルトに付いているジャドーガの毒蛇の紋章の銀色をしたバックルだけが黒以外の色だ。
彼らは数を擁した集団戦闘に長けており、トライパワードのメンバーと言えどもバトルスーツ着用前の状態であればてこずる相手である。
「なんだ? なにか用か?」
今日の敗北にいらだっていたガロムは、思わず口調が荒くなる。
「キキーッ! も、申し訳ありませんガロム様。実は……そろそろ我々ジャドーガ兵たちの性欲が溜まってきており……」
少しオドオドした様子で報告するジャドーガ兵。
「なんだ……そんなことか。そんなことなら人間の女どもを適当にさらってくればいいことではないか」
何か問題でも起きたのかと思っていたガロムはやや拍子抜けする。
ジャドーガの構成員の大多数を占めるのはジャドーガ兵たちであるが、彼らは肉体を強化して戦闘力を高める引き換えに性欲が強まっており、ある程度の間隔でその性欲を発散させてやらなくてはならないのだ。
ただ、人間の数倍の力を持つジャドーガ兵たちの性欲を発散させるには人間の女性では難しく、たいていの女性たちはジャドーガ兵に性欲を発散されると死んでしまうため、そのたびにさらってくるなりして補充しなくてはならなかったのだった。
ジャドーガ兵たちの性欲処理についてはガロムも気にしているところであり、彼らの戦闘力を維持するためにもできれば専用の性処理用の存在を用意したいとガロムは考えていた。
そうなれば任務を終えて戻ってきたジャドーガ兵たちに性欲を発散させるという褒美を与えることもできるのだ。
待てよ……
確かトライパワードチームの司令官は女だったはず……
やつらが強いのはその指揮統制によるところが大きい。
であれば……その女司令官を取り除くことができれば、奴らの戦闘力はかなり低下するのではないか?
そしてその女司令官にジャドーガ兵たちの性処理をさせてやるというのはどうだろうか……
クククク……
これは面白い……
女司令官を洗脳したうえで肉体を強化し、性処理用の女ジャドーガ兵を作るというのも悪くない。
ガロムの口元がにやりと歪む。
「キキーッ! ではそのように」
「おい、待て」
出ていこうとしたジャドーガ兵を引き留めるガロム。
「キキーッ!」
呼び止められたジャドーガ兵はすぐさま立ち止まって振り返り、右手を上げて敬礼する。
「いいことを思いつたぞ。出撃の準備をしろ!」
「キキーッ!」
人間の女たちをさらいに行くつもりだったジャドーガ兵は一瞬落胆したものの、すぐに気を取り直して仲間たちのところへと戻っていった。
******
「お疲れ。トレーニングだったのか?」
控え室に入ってきた賢哉(けんや)に声をかける竜司(りゅうじ)。
彼らは地球を守るトライパワードチームの三人のうちの二人で、レッドパワードが賢哉、ブルーパワードが竜司である。
彼らは基本的には常時この控え室で待機しており、ジャドーガの出現にいつでも出撃できるように備えているのだ。
「ああ、ひと汗かいてきた。そっちは今日も読書か?」
冷蔵庫から缶コーラを取り出して蓋を開ける賢哉。
「ああ、こっちは頭のトレーニングさ」
ソファに横になり、分厚い本を読んでいる竜司。
賢哉もチームリーダーとして充分な程度の知識と教養は備えてはいるものの、やはり知力では竜司の方が上である。
そのため司令部では愛美が、現場では竜司が知力面でのサポートを行うのだ。
もちろんそれを総合的に判断して戦うのが、リーダーである賢哉の仕事でもある。
「愛美司令は?」
缶コーラを飲みながらたずねる賢哉。
彼らはチームワークを良くするため、お互いを名前で呼び合うことにしているのだ。
司令官に対しても彼らは愛美司令と呼んで親しんでいた。
「参謀本部の秘密会議場で会議らしい。そろそろ戻ってくる頃だと思うが……」
賢哉の問いに壁にかかった時計を見る竜司。
予定ではもう会議は終わっているはずだが……
ちょっと遅いな……
なんだかいやな予感が竜司の胸をよぎる。
「大変よ!」
真っ青な顔で控え室に飛び込んでくる一人の女性。
彼女もパワードチームの一人イエローパワードである理沙(りさ)だ。
司令室で待機し、司令の帰りを待っていたところだったのだ。
「どうした、理沙!」
賢哉が声をかけ、竜司も本を置いて起き上がる。
「司令が……愛美司令が消息を絶ったって……」
「なんだって? 愛美司令が?」
賢哉も竜司も驚愕の表情を浮かべる。
「会議を終えてこちらに向かったあと行方が分からなくなったって。司令の車は破壊された状態で見つかったわ」
「しまった!」
右手の拳を左手に打ち付ける賢哉。
竜司もいやな予感が当たってしまったことに表情を歪める。
「俺らが付いていれば……」
「いや、それはかえってジャドーガの目を引くということで、あえて司令は単独で動かれていた。だが、こうなってみると……」
唇を噛む竜司。
やはり目を引いたとしてもガードに付いた方がよかったのかもしれない。
「理沙、司令は消息を絶ったと言ったな? ということは死体が見つかったとかではないんだな?」
「ええ……でもどこに行ったのか……」
理沙が首を振る。
「だったらどこかに身を隠して俺たちの助けを待っているかもしれない」
「あるいは……ジャドーガに連れ去られた……か」
竜司が悪い方の考えを口にする。
あえて最悪の状況を口にすることで、それに対する対処を考えるのだ。
だが、今はまだ状況が不明すぎる。
「とにかくこうしていてもしょうがない。俺と竜司は司令の車の周囲を捜索してみよう。理沙は司令からの連絡があるかもしれないから、ここで待機していてくれ」
「了解だ」
「わかったわ」
こういう決断をすぐに下すところが賢哉のいいところである。
竜司も理沙もうなずくと、すぐに三人は控え室を後にした。
******
「う……こ、ここは?」
ゆっくりと目を開ける愛美。
どうやら気を失っていたらしい。
ここはいったい?
躰を動かすとジャラリと音がする。
気付くと、どうやら両手が鎖で縛られ上から吊り下げられているのだ。
どうりで腕が体重がかかって痛かったはずだ。
愛美はあらためて姿勢を直してきちんと立つ。
これで少なくとも腕への負担は格段に減った。
とはいえ、両手が縛られて吊り下げられているのは変わらない。
周囲は殺風景なやや広めの部屋。
コンクリートがむき出しになっており、ところどころがどす黒くなっている。
もしかしたら血の跡かもしれない。
捕らえた相手を拷問するにはちょうどいい部屋だろう。
愛美の表情が硬くなる。
「フッフッフ……お目覚めかな?」
背後から聞こえてくる重々しい声。
愛美が振り向くと、そこにはトゲの付いた銀色の鎧に身を包んだ体格のいい男が立っていた。
ヘルメットの下から覗く目は赤く鋭く輝き、不敵に笑う口元は顎の傷をさらに目立たせている。
「くっ……ジャドーガ!」
愛美は自分がジャドーガに捕えられてしまったことに気付く。
「そうだ。我らはジャドーガ。真木原愛美よ、ようこそ我がジャドーガのアジトに」
ガロムが目の前の獲物を確認するかのように眺めていく。
トライパワードチームの司令官というわりにはまだまだ若く、制服に包まれたスタイルも悪くない。
彼をにらみつけてくる顔も美しいと言えるだろう。
見た目だけで言えば、この女がジャドーガに何度も煮え湯を飲ませてきたとはとても思えないくらいの美女だ。
「するとあなたがガロム将軍! ジャドーガの指揮官ね」
「いかにもその通りだ。トライパワードの指揮官真木原愛美」
ガロムがゆっくりと近づき、愛美の顎を持ち上げる。
「司令官にしておくにはもったいないくらいのいい女ではないか。クククク……」
「くっ、私を人質にしても無駄よ。トライパワードは私を人質にしたところでジャドーガに屈したりはしないわ。残念だったわね」
ガロムの手を振り切るように首を振る愛美。
「トライパワードチームは常に万一の状況に対応するよう訓練されているわ。それはたとえ司令官を失ったとしても変わらない」
愛美の目がキッとガロムをにらみつける。
ふん……
おそらくこの女の言うことは本当だろう。
ガロムはそう思う。
だが、それでもこの女がいなくなれば大きく戦力ダウンすることは間違いないはずだ。
それに……
ダウンしなくてもそれはそれでまあかまわない。
今回の目的はそこにはないのだから。
「わかったらさっさと殺したらいいわ。私を生かしておくと後悔することになるわよ」
精いっぱいの憎しみを込めてガロムをにらみつける愛美。
残念だが人質にされるぐらいなら殺されてしまった方がいい。
ああは言ったものの、おそらくパワードチームは自分を助けようと必死になるだろう。
だが、それではジャドーガの思うつぼなのだ。
ここで私が死ねば、きっと彼らはその死をバネにしてジャドーガを打ち倒してくれるだろう。
だからむしろ殺されたほうがいいのだ。
殺されれば彼の元へも行ける……
愛美はジャドーガとの戦いで散った恋人のことを思い出す。
命を落とした彼のためにも、ジャドーガは倒さねばならない敵なのだ。
「クククク……」
不意にガロムが笑いだす。
「な、何が可笑しいの?」
「クククク……まあ、そういきり立つな。お前を殺しはせん」
「なっ、わ、私を殺さないと後悔すると言ったはずよ!」
愛美はもう一度相手を挑発する。
人質にされるわけにはいかないのだ。
「クッ」
愛美の顎を再びガロムが手で掴む。
「お前には何度も苦杯を飲まされた。そのお返しをせねばならんのでな」
「だ、だったらひと思いに殺しなさい」
「そうはいかん。お前にはたっぷりと屈辱を味わってもらわねば。ただし……お前自身がそれを屈辱と感じるかどうかは別だがな。クククク……」
にやにやと笑っているガロム。
「これからお前には我らの役に立ってもらう。これが何かわかるか?」
そう言ってガロムは愛美の顎から手を離し、傍らに置いてあった四角い機械のところへ行く。
それは正面にレンズが付いた機械で、まるで何かの映像を投影するようなものに見えた。
「それはいったい?」
「クククク……お前はジャドーガ兵がどのようにして作られるか知っているか?」
その機械を愛美の正面に持ってくるガロム。
「えっ? ま、まさか……」
「そう。こいつは人間をジャドーガ兵にする機械でな。こいつから出るビームが人間の組織を変化させジャドーガ兵へと作り変えるのだ」
「そ、そんな……」
愛美は愕然とする。
それでは今まで倒してきたジャドーガ兵たちは……
「クククク……今までは人間の男ばかりをジャドーガ兵にしてきた。それは女はいくらジャドーガ兵にしたところで男のジャドーガ兵の方が強いだろうからだ。だが……」
「だが?」
「ジャドーガ兵どもは強化した反動で性欲が高まってしまってな。数日おきに“性欲処理”をしてやらねばならんのだ。これまでは人間の女をさらってきて性処理をさせていたのだが、すぐに壊れてしまって使い物にならん。そこでだ……性処理専用に女ジャドーガ兵を作ってみてはどうだろうかとな」
機械をセットしながら笑みを浮かべているガロム。
その笑みが意味するところを愛美は感じ取る。
「ま、まさか私を……」
「そうだ。お前にはこれからジャドーガ兵どもの性処理をする“性処理用女ジャドーガ兵”になってもらう。どうだ? トライパワードの司令官ともあろう者が敵の性処理をするようになるというのは? なかなか痛快だとは思わんかね?」
「そ、そんな……」
青ざめる愛美。
よりによってそんなことをさせるために私を捕えたというのか?
「ふ、ふざけないで! だ、誰がそんなことをするもんですか!」
なんとか自由になろうと必死でもがく愛美。
両手を縛った鎖がジャラジャラと音を立てる。
だが、手首に巻き付けられた鎖は外れようとはしてくれない。
「心配はいらん。この機械から出るビームは、肉体を強化して皮膚をスーツ状に変化させるのと同時に脳にも影響を与え、我がジャドーガの忠実なしもべになるように改造するのだ。次にお前が目覚めたときには、お前はジャドーガの忠実な性処理用女ジャドーガ兵へと生まれ変わっていることになる。クハハハハハ……」
「い、いやっ! やめて! そんなのはいやぁっ! いっそ殺してぇ!」
高笑いをするガロムに対し、鎖をジャラジャラと慣らして身をよじる愛美。
だが、どうしても鎖は外れない。
「さらばだトライパワードの司令官よ。新たな生を楽しむがよい」
ガロムがスイッチを押し、機械のレンズが七色のビームを愛美に浴びせる。
「きゃああああああ……」
愛美の躰がビームに包まれ、虹色の光で覆われる。
「ククククク……」
ガロムはその様子を見つめていた。
「あああああ……いやっ! いやぁぁぁぁっ!」
愛美の着ていた服が消滅し、生まれたままの姿になる。
やがてその躰がじわじわと変色し始め、じょじょに黒く染まっていく。
染まった部分の皮膚はさらにその周囲を染めていき、愛美の躰が黒く覆われていく。
手も脚も黒く染まり、やがて首から下はすべて黒く染まってしまう。
すると、その染まった皮膚が変質し始め、まるでナイロンのタイツのようにと変化していく。
ジャドーガ兵たちと同じく全身タイツ状へと変わっていくのだ。
足の指は消え去ってつま先が一つにまとまり、やがてその上にブーツのようなものが作られていく。
かかともまるでハイヒールのかかとのように固く尖ったものへと変化する。
両手は肘までが黒い手袋を嵌めたような形へと変わり、腰にはどこからともなく現れた黒い蛇のようなものが巻き付いてベルトへと変化すると、その頭部がジャドーガの毒蛇の模様の付いたバックルへと変化する。
愛美の首から下はまさに女性らしいラインのままでジャドーガ兵と同じに変化してしまったのだ。
「ううう……やめ……やめてぇ……」
変化は愛美の頭部にも及んでいく。
愛美の茶色の髪も白い肌もすべて黒く染まっていき、やがて目の周り以外は黒一色になってしまう。
そして黒く変色した部分がすべてナイロンのマスクのようなものへと変化していき、愛美の頭部を覆っていく。
「ああ……あああ……頭が……頭がぁ……いやぁ……」
やがて愛美の頭は目だけが露出したナイロンのマスクのようなもので包み込まれ、そのマスクの目の縁取り部分と額のところに現れた逆三角形のマークだけが赤く染まっていく。
「ああ……ああああああああ……」
そこまで変化したところで、愛美の躰が力を失いその首がガクンと垂れ下がる。
「ククク……終わったようだな……」
腕組みをして見つめていたガロムが機械のスイッチを切り、愛美を縛り付けていた鎖を外す。
両手を縛っていた鎖が外されたことで、ドサッと床に倒れる愛美の躰。
その姿は完全に女性型のジャドーガ兵という姿になっていた。
ぐったりと横たわる女ジャドーガ兵。
だが、その全身タイツに包まれたような形良い胸が呼吸に合わせて上下している。
「起きるのだ」
ガロムが女ジャドーガ兵に声をかける。
マスクから露出している目がかすかにピクリと動く。
「起きるのだ! 起きてお前が何者か言ってみるがいい」
今度はやや強い口調でガロムが命じる。
すると、閉じられていた女ジャドーガ兵の目がパチッと開き、ゆっくりと躰を起こしていく。
そしてそのまま立ち上がると、カチッとかかとを合わせて姿勢を正し、右手をスッと斜めに上げる。
「キキーッ! 私は偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵。ジャドーガとガロム様に心からの忠誠を誓います。キキーッ!」
先ほどまでの愛美からは考えられないような言葉を口にする女ジャドーガ兵。
愛美の身も心も完全に作り変えられてしまったのだ。
「クククク……いいのかな、そんなことを言って? お前はトライパワードの司令官ではなかったのか?」
わざとに意地悪い質問をするガロム。
もちろん返事は決まっているはずなのだ。
「キキーッ! それは先ほどまでの私です。今の私は偉大なるジャドーガの忠実なるしもべ。トライパワードは我らジャドーガに歯向かうおろか者たち。憎むべき敵です!」
はっきりとそう口にする女ジャドーガ兵。
その目はトライパワードへの憎しみをはっきりと浮かべていた。
「クククク……それでいい。お前は今日からジャドーガに仕える性処理用女ジャドーガ兵マナミだ。よいな?」
先ほどと同様にマスクに包まれたマナミの顎を手で持ち上げるガロム。
「キキーッ! 私は性処理用女ジャドーガ兵マナミ。どうぞ何なりとご命令を。キキーッ!」
力強い手で顎を掴まれたことで目がとろんと蕩けるマナミ。
今の彼女にとってガロムは敬愛する上官なのだ。
「クククク……お前は自分が何をするべきかわかっているな?」
「キキーッ! もちろんです。私の任務は偉大なるジャドーガの世界征服の手伝いとして、ジャドーガで働く皆様の性欲をこの肉体で発散していただくよう性処理を行うことです」
マナミは何のためらいもなくそう口にする。
彼女にとってそれはもう当然のことなのだ。
「クククク……男どもの性処理など屈辱ではないのか?」
「キキーッ! とんでもありません。ジャドーガの皆様に気持ちよく働いていただくために、この躰で性処理を行なえることはとても喜ばしいことであり、光栄に思います」
マナミの思考はもうそう思うように変えられてしまっていた。
ジャドーガメンバーの性処理を行うことこそが彼女の喜びになってしまったのだ。
「クククク……いいだろう。ではまずは俺様も処理を行なってもらおうか……」
「キキーッ! かしこまりました、ガロム様」
ガロムが顎から手を離すと、すぐにひざまずいてその股間に頬擦りをするマナミ。
敬愛するたくましく強い上官の性処理をさせていただけるなど、幸せ以外の何者でもないのだ。
今までこのお方と偉大なるジャドーガに歯向かってきた自分は、なんとおろかだったのだろう。
マナミは心からそう思うようになっていた。
ガロムの股間からムクムクとせり出してくる黒いペニス。
男性のジャドーガ兵もそうだが、彼の股間もまた普段は黒いタイツ状のスーツに覆われている。
それが性的刺激を受けることにより、そのままペニス状の突起として伸びてくるのだ。
もちろん先端からは白濁した精液も放出される。
その黒いペニスにマナミは頬擦りし、愛おしそうにキスをしてそのままくわえていった。
女ジャドーガ兵となったマナミの顔は目以外をマスクのようなスーツで覆われ、口も開くことはできない。
だが、マスクの口の部分はかなりの柔軟性があり、まるで口を開けたかのようにそのままペニスを頬張ることができるのだ。
マナミはその機能をフルに生かしてガロムのペニスをくわえていく。
「んん……ん……ん……」
マスクに唾液がにじみ、ガロムのペニスを濡らしていく。
「ククク……いい子だ。気持ちいいぞ」
「ん……んん……」
マナミの目に喜びが浮かぶ。
うれしい……
自分の口奉仕で喜んでもらえるのがとてもうれしくなる。
もっともっと気持ちよくなってもらいたい。
昨日までの愛美なら決して思わなかった気持ちをマナミは感じていた。
「んっ」
ガロムのそそり立つペニスから白濁液が放出される。
「んんん……」
大量の精液がマスク越しにマナミの中へと浸み込んでくる。
「ぷあ……」
思わずくわえていたペニスから口を離し、白濁液に染まったマスクの口をガロムに見せる。
そしてそのまま指で口を撫でるようにして白濁液をさらにマスクへと浸み込ませていく。
「クククク……それでいい。マスクに覆われたジャドーガ兵の口は、もう普通の食べ物を食うことはできない。だが心配はいらん。専用の液状食料を食べる男のジャドーガ兵と違い、性処理用に特別改造されたお前の躰は男の精液が栄養となるのだ。しかも口だけではなく躰中どこでもかけられた精液をそのスーツが吸収してお前の体内へと送り込む。お前が性処理をして男の精液を浴びている限り、お前は飢えることが無くなったのだ。クククク……うれしかろう?」
「ああ……はい……キキーッ!」
ガロムの言葉に喜びの声を上げるマナミ。
精液を浴びて生きていくことができるなんて……
なんてすばらしいのだろうとマナミは心からそう思った。
******
「キキーッ! キキーッ!」
「キキーッ!」
室内に男女のジャドーガ兵の声が響く。
ガロムの命令でマナミはジャドーガ兵たちの性処理をしているのだ。
気持ちいい……
気持ちいい……
ジャドーガ兵同士のセックスがこんなに気持ちがいいものだなんて思わなかった。
マナミは心からそう思う。
後ろから突き込まれるジャドーガ兵のペニス。
それは普段はナイロンの全身タイツのようなスーツに隠れているものの、性欲を感じるとムクムクとそそり立ってくる。
今それが四つん這いになっているマナミの後ろから突き立てられている。
ジャドーガ兵のペニスを感じることで、女ジャドーガ兵であるマナミのスーツにも変化が生じ、股間に性器が作られる。
そしてナイロン状の被膜に包まれた性器同士がセックスをするのだ。
それはある意味ゴムを着けてセックスをするようなもの。
だが、ナイロン状の被膜同士がこすれ合う気持ちよさはその比ではない。
それにナイロン皮膜を通してジャドーガ兵のザーメンが放出され、それをマナミのスーツが吸収して栄養分にするのだ。
マナミにとっては性処理は生命維持活動の一つでもあった。
「キキーッ! キキーッ!」
ジャドーガ兵としての歓喜の声を上げ続けるマナミ。
ナイロン皮膜同士がスリスリとこすれ合って最高の快楽を与えてくれる。
このセックスに比べたら、あの人間の彼とのセックスなど児戯に等しい。
どうしてあのような男とのセックスを気持ちいいなどと思っていたのだろうか。
あの男のことを大切に思い、今まで偉大なるジャドーガに歯向かっていただなんて……
あんな男は死んで当然だし、もっと早く女ジャドーガ兵にしていただけばよかった……
ジャドーガ兵のペニスが与えてくれる快楽に酔いしれながら、マナミはそう思っていた。
「キキーッ! んむっ」
マナミの前にやってきた別のジャドーガ兵が、そのペニスをマナミのマスクに覆われた口のところに当ててくる。
マナミは喜んでそのペニスに頬擦りし、そのままマスク越しに咥え込む。
そして後ろから突かれるリズムに合わせてそのペニスをしゃぶっていく。
「キキーッ!」
ジャドーガ兵が気持ちよさにたまらず声を上げ、それがまたマナミを気持ちよくさせる。
前からも後ろからもペニスを突き込まれ、マナミは最高の快楽を味わうのだった。
******
「くそっ、まだ司令の行方はつかめないのか?」
イラついたようにうろうろと司令室を行き来する賢哉。
「落ち着けよ賢哉。焦ったって仕方がない。今防衛隊もみんな必死で捜索を続けてくれている」
オペレーター席につき、コンソールのモニターを見つめている竜司。
二人ともに司令の行方を心配しているのは同じだ。
「そんなこと言っても、もう十日にもなる……くそっ! まさかもうすでに司令は……」
この世にいないのでは……と不吉な考えを口にしようとして思わず止める賢哉。
「それは大丈夫だ」
「どうしてわかる?」
きっぱりと否定する竜司に賢哉は驚く。
「おそらく司令を拉致したのはジャドーガの連中だ。だとしたら、司令がすでに殺されているのであれば、それを高らかに宣言しないはずがない。宣言したほうがはるかに俺たちや世間に対する衝撃が大きいからな。だが、それをしていない以上、まだ司令は生きているはずだ……」
とはいえ、生存の確率が日ごとに少なくなっていくだろうということは竜司にもわかっている。
「だったら、なおのこと早く司令を見つけなければ……」
「わかってる……だから焦るな。とにかく今は……」
「二人とも大変よ! すぐに来て!」
賢哉と竜司が話しているところに飛び込んでくる理沙。
「どうした?」
「何があった?」
賢哉も竜司もすぐに理沙に反応する。
「そ、それが……ジャドーガから荷物が届いたの」
「「はあ?」」
理沙の言葉に賢哉と竜司は思わず顔を見合わせた。
「これか? その荷物ってのは?」
トライパワードの三人の前にあるのは、床に置かれた大きなトランクケース。
まさに人間一人くらいなら入りそうなくらいの大きさだ。
「内部に入れちゃって大丈夫なのか? 爆発したりとか……」
「それは大丈夫みたい。爆発物反応はなかったわ。でもX線での透視はできないみたい」
竜司の懸念に理沙が答える。
とはいえ、万が一に備えて三人はいずれもバトルスーツを着用し、場所もやや広めの空き部屋に運び込んである。
「それにしても……奴ら一体何を送ってきたというんだ?」
「まさか……な……」
首をかしげる賢哉と不吉な想像をしてしまう竜司。
「とにかく、開けてみましょう」
「ああ、そうだな」
理沙の言葉にレッドパワード姿になった賢哉がトランクケースに近づいていく。
緊張した様子でかがみこみ、横に寝かされたトランクケースの留め具を外していくレッドパワード。
ブルーパワードとイエローパワードも息を飲んで見守っている。
パチンと音がして留め具が外れ、レッドがゆっくりと大きな蓋を開けていく。
「な? こ、これは?」
思わず声を上げるレッド。
「なんだ? 何があった?」
すぐさまブルーとイエローも駆け寄ってきてトランクケースの中を見る。
「これは……」
三人は思わず顔を見合わせた。
トランクケースに入っていたのは一体のジャドーガ兵。
躰を丸めて膝を抱え込むような、まるで胎児のような姿でトランクに押し込められていたのだ。
しかもそのシルエットからは女性のようだ。
「女? 女のジャドーガ兵?」
「女のジャドーガ兵なんて、今まで見たことないぞ」
「いったいどういうことなの?」
困惑する三人。
その時、ブウンと音がして、開いたトランクケースの蓋の裏が光りはじめる。
三人はすぐに後ろに飛び退って距離を取り、身構えて何が起きてもいいような姿勢を取る。
すると、光はやがてトゲの付いた鎧に持を包んだ男の姿を空中に映し出した。
「なっ?」
「貴様は、ガロム将軍!」
現れた姿に驚くトライパワードチーム。
映し出されたのはまさに宿敵ともいうべきジャドーガの幹部、ガロム将軍だったのだ。
『クククク……これはこれは、三人ともお揃いのようだな』
映し出されたガロムが三人を見渡す。
どういう仕組みかわからないが、どうやら向こうにも三人の姿が見えているいるらしい。
「ガロム将軍! 貴様いったい何を!」
「ジャドーガ兵を送り込んでくるなんて、どういうつもり?」
『まあ、待て待て。今日は貴様らに探し物を送り返してやったまでだ』
今にもとびかかってきそうなトライパワードたちを相手に、ガロムは悠然と構えている。
「探し物?」
「どういうことだ?」
レッドもブルーもいらだちを隠せない。
今にも手が届きそうな場所に敵の指揮官がいるというのに、それは単なる映像なのだ。
『クククク……なに、貴様たちが大事な司令官を探していると聞いたのでな? 送り返してやったのよ。ちょっと以前の姿とは違っているがな』
にやにやと意地の悪い笑みを浮かべているガロム。
「な、何っ?」
「えっ? まさか……」
三人の背中に冷たいものが走る。
『クククク……さあ、起きるのだ。起きてお前が何者なのかをこいつらに教えてやれ』
その声にケースの中に入っていた女ジャドーガ兵の目がカッと開く。
そしてゆっくりと起き上がると、立ち上がってトランクの外に出る。
床を踏みしめるブーツのかかとがカツッと音を立てる。
「キキーッ! 私は偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵マナミ。偉大なるジャドーガとガロム様の忠実なるしもべです。キキーッ!」
右手を斜め上にスッと挙げ、忠誠の声を上げるマナミ。
その胸が誇らしげにピンと張られている。
「な?」
「ま、愛美?」
「こ、このジャドーガ兵が愛美司令だというの?」
愕然とする三人のパワードたち。
当然だろう。
今目の前にいるのは、全身をナイロン状のタイツのようなスーツで覆い、腰にはジャドーガの紋章の付いたベルトを締めているまぎれもないジャドーガ兵なのだ。
「キキーッ! 私はもう司令官などではありません。私は偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵マナミ。トライパワードは憎むべき敵です!」
「そ、そんな……」
「愛美司令が……」
「嘘でしょ……」
憎むべき敵とまで言われ、三人は言葉を失う。
探していた司令がまさかこんなことになっているとは……
『くはははは……お前たちの司令官はずいぶんと役に立ってくれたぞ。実はジャドーガ兵は男ばかりでな、定期的にたまった性欲を処理してやらねばならんのだ』
「なんだと!」
「そんな……」
ガロムの言葉に唖然とする三人。
性処理用という意味を、あらためて理解してしまったのだ。
『マナミのおかげでジャドーガ兵たちの性処理もずいぶんとはかどったのでな、二体目三体目もこうして作ったというわけだ』
ガロムの両脇に新たな女ジャドーガ兵が姿を現す。
『キキーッ! 私は偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵ユウコ。私の躰で皆様の性処理をいたします』
『キキーッ! 私は偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵ミユキ。ジャドーガとガロム様に忠誠を誓います』
それぞれマナミと同様に右手を上げて宣言する二体の女ジャドーガ兵たち。
「ま、まさかその二人も?」
「誰かを改造して?」
『もちろんだとも。こっちのユウコは確か結婚したばかりとか言っていたな。こっちのミユキは女子高生だったか?』
『キキーッ! それは私が性処理用女ジャドーガ兵になる前のことです』
『キキーッ! ガロム様、私はもう女子高生などではありません』
ガロムに腰を抱き寄せられ、嬉しそうにする二体の女ジャドーガ兵たち。
おそらくこの二人の夫や家族が見れば、愕然としてしまう光景だろう。
『クククク……というわけだ。今後はいくらでも性処理用の女ジャドーガ兵を用意できることになったのでな、マナミはお前たちが探しているようだから帰してやるというのだ。ありがたく受け取るがいい。くはははは!』
高笑いを残しながら画像が消えていく。
「ま、待てっ!」
「し、司令を元に戻しなさい!」
「待てっ!」
三人が駆け寄るが、映像は消え去り、トランクケースの蓋は発光をやめていた。
「くそっ、逃げられたか!」
「まあ、今のは映像だから、実際に奴がここにいたわけじゃないけどな」
悔しそうにこぶしを握り締めるレッドに思わず苦笑するブルー。
とはいえ、レッドのそういう熱血なところが頼もしくもある。
「だが、それよりもこの状況をどうするかだ」
「どうするか?」
ブレスレットを操作してバトルスーツを解除するブルーパワードの竜司に、レッドパワードの賢哉もスーツを解除する。
「ああ……この人を……彼女をどうするのか……ジャドーガ兵だから倒す……というわけにもいくまい」
竜司の言葉に賢哉も理沙もハッとする。
そうだ……
ジャドーガ兵は人類の敵ジャドーガの手先。
倒さねばならない相手なのだ。
だが……
「た、確かに……くそっ!」
賢哉がマナミの方に振り返る。
「あなたは……あなたは本当に愛美司令なんですか? 本当に?」
「キキーッ! それは以前の私。お前たちとともに偉大なるジャドーガに歯向かったなどとは思い出したくもない過去。今の私は偉大なるジャドーガの忠実なるしもべ。性処理用女ジャドーガ兵マナミ」
誇らしく胸を張り右手を上げるマナミ。
そのマスクから覗いた目が賢哉をキッとにらみつけている。
「そんな……司令、目を覚ましてください! あなたはジャドーガを憎み私たちとともに戦っていたじゃないですか! それにあなたの恋人は……」
「キキーッ! 私は正気よ。偉大なるジャドーガを憎むなどあり得ない。あの男は偉大なるジャドーガに歯向かったおろかな男。そんな男は死んで当然。あの男のことなど思い出したくもないわ」
「そんな……」
きっぱりと否定され、愕然とする理沙。
これがあの凛々しかった愛美司令だというの?
「と、とにかく、俺たちには判断は無理だ。上層部に報告して判断を仰ぐしかないだろう」
「そ、そうだな……」
竜司の言葉に賢哉もうなずく。
まさかこんなことになるとは……
「だが……すぐに結論が出るということも無いだろう……その間をどうするか……」
「ああ……仕方ない。とりあえず司令の自室でおとなしくしていてもらうしかないだろう。俺が見張りにつく」
監視役を買って出る賢哉。
「大丈夫か?」
「ああ……ジャドーガ兵なら俺一人でもなんとかなるだろう。それに……報告と交渉は俺よりもお前の方がいいだろう。頼むよ」
「……わかった」
竜司が決意を込めてうなずく。
なんとしても愛美司令を元に戻す方向で上と交渉するのだ。
「理沙はそのまま待機していてくれ。何かあったらいろいろと頼むかもしれん」
「わかったわ」
理沙もこくんとうなずく。
「さあ、来てください。とりあえず自室にいてもらいます」
「キキーッ! 私はガロム様からここに送り込まれた身。外に連れ出すというのでなければかまわない」
抵抗する様子もなくマナミはすたすたと歩きだす。
賢哉はあらためて彼女の入ってきたトランクを見て、中に何も入っていないことを確認すると、蓋を閉じてそのまま一緒に持って行く。
ここに置いておくよりも、むしろ一緒にして監視していた方がいいだろうと判断したのだ。
そして、さっさと部屋を出て自室へと向かうマナミの後を追っていく。
どうやら以前の記憶はあるようだ。
だが、その思考はすっかり変えられてしまっているのだろう。
その姿を竜司と理沙は暗い表情で見つめていた。
******
「覚えてますか? ここが司令の部屋です」
「キキーッ! 当然覚えているわ。こんなところにいたことなど思い出したくもないけど」
落ち着いた雰囲気でまとめられている部屋を見渡すマナミ。
以前の自分がここにいたことは覚えている。
だが、ここにいたのは以前の自分であって、今の自分ではない。
ガロム様の命令でなければ、こんなところにはいたくもないのだ。
「はは……まあ、なんとか俺たちが以前の愛美司令に戻れるように頑張りますから。ジャドーガの洗脳を必ず解いてみせます」
トランクを脇に寄せ、入り口のドアのところに立つ賢哉。
ここで監視するつもりなのだ。
この部屋は執務室とは違い自室なので、特に重要な機材もない。
司令室との通信機は特に問題は無いだろうし、パソコンは外してあとで理沙に持って行ってもらうとしよう。
とにかく、愛美司令を元に戻さなくては……
賢哉はそう思う。
「ふん……」
奥の扉を開け、寝室へと入っていく女ジャドーガ兵。
机の上のパソコンには手を出さなかったことに、賢哉はとりあえずホッとする。
司令のパソコンである以上、いろいろと機密情報が入っているのは間違いないのだ。
やはりこの部屋じゃないほうが良かったかな……
とはいえ、ジャドーガ兵の捕虜として扱うというのも……
そもそも、彼女をどう扱えばいいのか……
賢哉は悩ましく感じる。
「キキーッ! いつまでそこにいるの? こっちに来たら?」
奥の部屋から声がする。
「い、いや、俺は……」
さすがに寝室に入るのはためらわれ、賢哉は思わず口ごもる。
「私を見張るのではないの? 私はお前たちの捕虜なんでしょう?」
確かにそうかもしれない。
だが、賢哉にとっては尊敬する上官でもあったし、その凛々しさにひそかな憧れを抱いていた相手でもあったのだ。
「見ていないのなら、私は何かするかもしれないわよ」
賢哉の返事が無いからか、やや挑発するような声で語りかけてくるマナミ。
「それは……困ります」
実際に何かされる恐れは少ないとは思いつつも、賢哉は仕方なく寝室の入口へと移動する。
そしてドアのところで見張っていようと中を見た。
「!!」
思わず息を飲む賢哉。
寝室では、女ジャドーガ兵がまるで見せつけるようにそのすらっとした長い脚を組んで、ベッドに腰かけていたのだ。
その躰は全身がナイロン状のスーツで覆われているにもかかわらず、まるでなにも着ていないかのように女のラインを浮き彫りにしており、賢哉の目を惹き付けるには充分すぎるほどだ。
「キキーッ! どうしたの? 女ジャドーガ兵の躰は見慣れてなかったかしら?」
見慣れるも何も、女ジャドーガ兵という存在自体がマナミが第一号なのだ。
見たことなどあるはずがない。
「うふふ……どう? 私の躰……味わってみたいと思わない?」
スッと立ち上がり、腰をくねらせるような歩きで近寄ってくる女ジャドーガ兵。
「だ、ダメです。来ないで」
賢哉はそう言って近寄らせないようにしようとするが、やはりその姿には魅力を感じてしまう。
「いいのよ。私は偉大なるジャドーガの性処理用女ジャドーガ兵。憎い敵でも性処理してあげるわ」
自らの躰を賢哉の胸に預け、その手で彼の股間を撫でるマナミ。
「ふふふ……ほら、もうこんなに硬くなっているじゃない。私がちゃんと処理してあげるわよ」
「だ、ダメです! ダメだってば!」
賢哉はともすれば誘惑に乗ってしまいそうな自分を必死に抑え、彼女の躰を引き離す。
「うふふ……心配しなくてもいいのに。マスク越しでもちゃんと口でするようにおしゃぶりしてあげるし、スーツ越しでも生でするのと変わらないセックスを味わえるのよ」
マナミは見せつけるように指をマスク越しに舐め、もう片方の手の指をスーツ越しに股間に入れていく。
「だ、ダメです! し、失礼します」
賢哉は慌てて彼女から離れると、そのまま机のパソコンを持って逃げるように司令の部屋を後にする。
「ふふ……」
それを見てひそかに笑うマナミ。
案外と初心な男のようね……
ガロム様の指令を実行するのも容易そうだわ……
マナミはそう思った。
「はあはあ……」
「ど、どうしたの?」
小脇にパソコンを抱えて息を切らしながら入ってきた賢哉に、理沙は思わずそう問いかける。
彼は司令の部屋で愛美司令を見張っているのではなかったのか?
「す、すまん、交代してくれ。や、やはり女性の見張りは女性の方がいいだろう……」
「何かあったの?」
赤い顔をして息を切らせている賢哉に、理沙は困惑する。
何かあったのだろうか?
「い、いや、特に……ほら、やはり男だといろいろと問題があるかもしれんだろ?」
「ふーん……まあ、いいけど」
なんだか妙な感じの賢哉だが、まあ確かに女性の部屋で男がいるといろいろと気まずいのかもしれない。
それに、あのジャドーガ兵が愛美司令だとして、元に戻す手がかりのようなものも一緒に居ると掴めるかもしれないとも理沙は思う。
「頼む。まあ……理沙なら大丈夫だと思うよ。俺はここにいるから、何かあったらすぐに呼んでくれ」
「了解」
うなずいて部屋を出ていく理沙を賢哉は見送る。
まさか女性に対してはあのような行動はしないだろうと賢哉は思ったのだ。
それにしても性処理用だなんて……
ジャドーガめ、ひどいことをしやがる……
******
「失礼します」
やはりこの部屋に入る時にはそう口にしてしまう理沙。
今ここにいるのは以前の司令ではなく、敵のジャドーガの一人だというのはわかっているのだが、やはり理沙にとってはこの部屋は司令の部屋なのだ。
愛美司令……
どちらかと言うと上官というよりは先輩という感じが強く、理沙にとっても賢哉同様に司令は憧れの人でもある。
この部屋にも何度かお邪魔させていただき、トライパワードの一員としての話や私的な話もさせてもらったものだった。
「司令?」
部屋に入ってみたものの、中には誰もいない。
だが、奥の部屋に通じるドアが開いているので、おそらくそちらにいるのだろう。
「失礼します、司令」
理沙は奥の扉へ向かうと、中に入る前に一度壁をノックして、あらためてそう言ってから寝室に入る。
ハッとした次の瞬間、黒い腕が背後から理沙の首に巻き付いてくる。
ドアの影に隠れているという古典的な手で背後を取られてしまったのだ。
しまったと思ったものの、すでに腕は理沙の首に嵌まってしまっている。
「キキーッ! 甘いわね。偉大なるジャドーガを舐めているのかしら?」
耳元で女ジャドーガ兵の声がする。
そんな……
息ができない。
急速に意識が遠くなっていく。
薄れゆく意識の中で、理沙はあらためて相手がもはや身も心もジャドーガの一員にされているのだと思い知った。
腕を外すとドサッと床に倒れ込む理沙。
「ふふふ……」
完全に意識を失ったことを確認し、マナミは笑みを漏らす。
この女がイエローパワード……
偉大なるジャドーガに歯向かう、おろかな女。
安心しなさい。
お前は殺しはしないわ。
お前もこれからは偉大なるジャドーガの一員になるのよ。
光栄に思いなさい。
マナミは理沙を軽々と持ち上げると、そのままベッドに運んでいく。
すでに肉体をジャドーガ兵に改造されたマナミにとっては、この程度の重さなどどうということはない。
変身をしていない状態のトライパワードなら、ジャドーガ兵でも対処は可能。
ましてや油断している相手など、赤子の手をひねる様なものである。
マナミはそのまま室内にあった荷造り用の紐で、理沙の両手をベッドに縛り付けていく。
目を覚ましたとしてもこれなら抵抗できないだろう。
もちろんイエローパワードのスーツを装着するためのブレスレットも外しておく。
あとは……
椅子をずらしてその上に自分が入れられてきたトランクケースを置いていく。
バカな連中ね……
このトランクケースが何のためにあるのかもわからずに……
マナミはそう思う。
これで準備は整った。
「はっ!」
頬を叩かれて目を覚ます理沙。
目の前には、頭全体を覆っている黒いマスクから目だけが露出した女ジャドーガ兵の顔がある。
「クッ」
身構えようと思った理沙だったが、両手が拘束されてベッドに寝かされていることに気が付いた。
「キキーッ! 目が覚めたようね。相手が元司令とはいえ油断しすぎじゃないかしら? 今の私は偉大なるジャドーガのしもべなのよ」
「ち、違います司令! 目を覚ましてください! 司令はジャドーガに操られているだけなんです!」
確かに油断していたことは間違いない。
そのことに理沙は臍を噛む。
ここはなんとかこの場を脱出して賢哉たちに応援を頼まなくては。
「キキーッ! 私は操られてなどいないわ。私はガロム様によってジャドーガの偉大さ、素晴らしさを教えていただいたの。ジャドーガこそ地球を支配するのにふさわしい組織。それを邪魔するものは死あるのみよ」
冷たい目が理沙を見下ろしてくる。
「そんな……本当に司令は姿だけではなく心までジャドーガに染まってしまったんですか?」
理沙は悲しくなる。
あれほどジャドーガを憎み、亡くなった彼の無念を晴らすと言っていた愛美司令なのに……
「キキーッ! 何度も言わせないで。お前たちこそジャドーガに歯向かうおろか者たちだわ」
いきなり理沙の頬が張り飛ばされる。
「あぐっ!」
「キキーッ! 安心なさい。お前は殺したりしないわ。むしろお前は喜ぶべきよ。ガロム様はお前にもチャンスをくださったわ。偉大なるジャドーガにお仕えするチャンスをね」
マナミの手が理沙の顎を掴む。
「えっ? それはどういう……」
「お前も私と同じ性処理用女ジャドーガ兵になるのよ。キキーッ!」
その言葉に理沙の顔は青くなる。
そんな……
私をジャドーガ兵にしようというの?
「クッ! そんなことは……」
理沙は必死に身を起こそうとするが、拘束された手首が引っ張られてしまって起き上がれない。
イエローパワードであればこんな荷造り用の紐など簡単に引きちぎれるだろうが、生身の状態ではそれも難しい。
「くっ!」
なんとか身をよじって逃げようとするものの、両手を縛られているのでどうしようもない。
「キキーッ! 無駄よ。そう簡単には外れないわ」
理沙から離れて椅子にセットしたトランクケースのところに行くマナミ。
あとはスイッチを押すだけなのだ。
「キキーッ! 見なさい。このトランクケースには私をこの素晴らしい躰に改造してくれたジャドーガ兵化ビームの発射機が仕込まれているわ。このビームを浴びれば、お前も私と同じように偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵になることができるの。ジャドーガの皆様の性処理を喜んで行うようになるのよ」
理沙に向けられたトランクケースの側面には、確かに小さなレンズのようなものがある。
そこからビームが発射されるようになっているのだ。
「いやっ! そんなのいやです! 私は絶対にジャドーガ兵になんかならない!」
必死で身をよじる理沙。
なんとしてもこの場を抜け出さなければ……
「だ、誰かぁ! 誰か来てぇ!」
お願い……
誰か来て!
「うふふふ……無駄よ。この部屋の防音がしっかりしているのは知っているでしょ?」
小さく笑う女ジャドーガ兵。
確かにこの部屋は司令の私室ではあるものの、場合によっては司令官としてひそかに外部との連絡を行なったりすることもあるため、部屋の外に音が漏れないように作られている。
そのことは当然理沙も知っていた。
「そ、そこまで見越して……」
「キキーッ! ええ、そうよ。ガロム様がわざわざ私をここに送り込んだのは、私がここに詳しいから。お前たちが私を監禁するとすればここにするだろうと読んだとおりだったわ。まあ、違っても別にかまわなかったけどね。ここのことは知り尽くしているのだし」
「くっ……」
あらためて理沙は相手が自分たちの司令官であった人物であり、この本部のことはよく知っているということを認識せざるを得ない。
「司令……」
「キキーッ! おしゃべりはここまで。次に会話をするときにはお前も偉大なるジャドーガを崇拝するようになっているわ」
理沙に向けたトランクのスイッチを押す女ジャドーガ兵。
「いやっ! いやぁっ!」
理沙の躰にトランクのレンズ部分から七色の光が浴びせられる。
「ああっ! ああああああ……」
着ていたものが消滅し、理沙の美しい肢体があらわになる。
だが、すぐにその白い肌が黒く変化していき、全身が黒く覆われていく。
それはやがてナイロンの全身タイツのように変質し、理沙の躰をぴったりと包み込む。
足のつま先は指が消えて一つになり、かかとがハイヒールのように変化してブーツ状に変わっていく。
両手は全身タイツの上に、さらにひじくらいまでの長さの黒革の手袋のようなものが作られ、腰にはヘビの模様のバックルの付いたベルトが巻かれていく。
最後に頭部は目の部分以外がすべて覆われ、マスクをかぶったように変化した。
七色の光線の照射が終わり、ベッドの上には新たな女ジャドーガ兵が横たわっている。
マナミはゆっくりと近づくと、両手を縛っていた荷造り用の紐を解いてやる。
そして、一歩下がると命令を口にした。
「キキーッ! さあ、起きなさい。偉大なるジャドーガに仕える新たな性処理用女ジャドーガ兵リサ」
「キキーッ!」
その言葉に従ってむくりと上半身を起こすリサ。
その目には暗い輝きが灯っている。
「キキーッ! さあ、立ちなさい。立ってお前が何者か自らの口で言うのよ」
マナミの言葉にこくんとうなずき、ベッドから降りて立ち上がるリサ。
その姿はマナミと全く同じ黒い全身タイツに包まれている。
「キキーッ! 私は偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵リサ。この身をジャドーガにお捧げいたします。キキーッ!」
カツッとハイヒールのかかとを鳴らし、気を付けの姿勢から右手を斜めに上げて宣言するリサ。
「キキーッ! それでいいわ。今日からあなたも私と同じ性処理用女ジャドーガ兵。ともにジャドーガのために働くのよ」
マナミも姿勢を正して右手を上げる。
「キキーッ! もちろんです。私のこの身も心もすべて偉大なるジャドーガのもの。ジャドーガのためなら何でもいたします!」
誇らしげに胸を張るリサ。
そこにはすでに先ほどまでの理沙の姿は無い。
「ふふ……それじゃガロム様に新たな女ジャドーガ兵の誕生をご報告しないとね」
マナミがあらためてトランクケースの蓋を開ける。
すると、蓋の裏が光りはじめ、先ほどと同じように空中に精悍なガロムの姿を映し出す。
「キキーッ!」
「キキーッ!」
現れたガロムの姿にすぐさま右手を上げる女ジャドーガ兵たち。
「ほう……」
映像のガロムは目の前に二人の女ジャドーガ兵がいるのを見て、ニヤッと笑う。
「マナミよ、うまくいったようだな」
「キキーッ! ガロム様、新たな性処理用女ジャドーガ兵のリサを紹介いたします。さあ、リサ、ガロム様にご挨拶を」
「キキーッ! 偉大なるジャドーガの大幹部ガロム様。私は新しく性処理用女ジャドーガ兵となりましたリサと申します。これからは偉大なるジャドーガに永遠の忠誠を誓います。どうぞ、よろしくお願いいたします。キキーッ!」
マナミに促されてガロムに挨拶をするリサ。
ジャドーガの誇る大幹部の姿に、思わず緊張してしまう。
「うむ。マナミよ、この女はイエローパワードか?」
ガロムの目がリサからマナミに向けられる。
「キキーッ! その通りですガロム様。リサは先ほどまでは我らジャドーガに歯向かう憎き敵でしたが、こうして私と同じ性処理用女ジャドーガ兵に生まれ変わりました。そうよね?」
「キキーッ! その通りです。先ほどまでの私はおろかにも偉大なるジャドーガに楯突くバカな女でした。ですが、こうして性処理用女ジャドーガ兵に生まれ変わりジャドーガの一員となった今は、どうしてそのような考えをしていたのか理解に苦しみます。偉大なるジャドーガこそがこの世界を支配するのにふさわしい組織。私はジャドーガのためなら何でもいたします!」
あらためてガロムに宣言するリサ。
今のリサにとって先ほどまでの自分は赦されない存在であり、今までの行為を償うためにも全身全霊でジャドーガにために働くのだ。
「ククク……よくやったぞマナミ。これで目障りなトライパワードのうち一人は消えたということだな」
「キキーッ! お褒めの言葉、ありがとうございます。ガロム様」
マナミの胸が熱くなる。
今までトライパワードの指揮官などという愚かな行為をしてきた自分を褒めてくださったのだ。
感激以外の何物でもない。
「では、残る目障りな二人もお前たちの手で葬り去るのだ。できるな?」
「キキーッ! もちろんです!」
「キキーッ! お任せくださいませ!」
二人のジャドーガ兵が目を輝かせる。
「うむ。頼んだぞ。クハハハハハ……」
高笑いを残してガロムの映像は消え去った。
******
『賢哉! すぐに来てくれる?』
控え室で今後のことを考えていた賢哉の下に、スピーカーから理沙の声が流れてくる。
「わかった! すぐに行く!」
賢哉はすぐに飛び出すようにして控え室を後にする。
おそらく何かあったのだろう。
もしかしたら、女ジャドーガ兵にされてしまった愛美司令と戦う羽目になってしまったのかもしれない。
くそっ!
ジャドーガめ!
絶対に赦さん!
「理沙!」
司令の自室のドアを開け、中に飛び込む賢哉。
だが、その瞬間に後頭部に一撃を食らい、思わず床に倒れ込む。
理沙も食らった古典的な手法だが、それだけに効果的な手段でもあるのだ。
「クッ!」
なんとか気を失うことは避けたものの、すぐに黒い影が賢哉の上にのしかかってくる。
賢哉は慌てて引きはがそうとするが、その手を別の黒い影が押さえ込む。
「なにっ?」
どういうことだ?
ジャドーガ兵が二体?
「くそっ!」
必死に抵抗するものの、バトルスーツ装着前ではジャドーガ兵と言えども強敵だ。
一体を相手ならまだしも、二体相手となると賢哉も苦戦は免れない。
それにしてもいったいどこから二体目が?
「ぐあっ!」
腕を固められ、躰をぐるりと仰向けにされる。
そのまま両手を万歳のように上げた状態で抑え込まれ、顔に柔らかいものが押し付けられる。
それが女ジャドーガ兵のお尻だと気付いたものの、振りほどこうにも腰から下をもう一人の女ジャドーガ兵が押さえ込んでいて動けない。
「くっ……むぐっ!」
「キキーッ! うふふふ……私のお尻の感触はどうかしら、賢哉?」
体重を乗せて圧迫してくるお尻に、賢哉の鼻と口が塞がれてしまう。
そしてその声に賢哉は聞き覚えがあった。
ま、まさか……
理沙?
理沙なのか?
「んん……んぐっ! んん?」
「キキーッ! うふふ……私の名前を呼んでいるのかしら? ええ、そうよ。私はリサ。でもイエローパワードだった以前の私ではないわ。今の私は偉大なるジャドーガにお仕えする性処理用女ジャドーガ兵リサよ」
リサはそういうと、賢哉の頭を太ももで締め付けていく。
「んぐっ! んんんん……」
「キキーッ! あらあら苦しそうね。今気持ちよくしてあげるわ」
賢哉の下半身を押さえつけているマナミが、躰で両足を押さえつけたまま賢哉のズボンのベルトを外していく。
そしてそのまま下着ごとズボンを下ろし、股間をむき出しにしてしまう。
まだ萎えたままのチンポがあらわになり、マナミの目がうっとりとそれを眺めていく。
「キキーッ! あらぁ? せっかく女ジャドーガ兵が二人も密着しているというのに、元気が無いわねぇ。うふふふ……」
「キキーッ! 心配はいらないわ。私たちがすぐに大きくしてあげる。あむっ」
あざけるように笑うリナと、そのままマスク越しに賢哉のチンポを咥え込むマナミ。
彼女たちにとって敵であろうとも、チンポはごちそうなのだ。
「むぐっ! むぐぅ……」
必死にもがく賢哉。
リナのお尻が鼻と口をふさいでいるため、呼吸がほとんどできないのだ。
なんとかどかせたいのだが、リナの膝が賢哉の両腕を抑え込んでおり、なかなかどかせることができない。
「キキーッ! 無駄よ。トライパワードと言えども変身前の力では私たちにはかなわないわ」
尻の下でもがく賢哉に、リナはさらに体重をかけていく。
「ん……んちゅ……ぷあ……うふふふ……苦しくても躰は正直。ほら、大きくなってきたわ」
呼吸が苦しいにもかかわらず男としての反応は起きてしまうようで、マナミが口を離すと、確かに賢哉のチンポは勃起を始めていた。
「キキーッ! 彼女のフェラは気持ちいいでしょ? 私たちは性処理用女ジャドーガ兵。偉大なるジャドーガに歯向かうバカな男でもちゃんと抜いてあげるわ」
「キキーッ! ねえ、かわいそうだから少し緩めてあげたら、リサ? せっかく出したくても苦しくて出せないみたいよ」
「キキーッ! そうみたいね。これでどう?」
マナミの言葉にリサが少しだけお尻を持ち上げる。
「む……ぷ……ぷはぁっ! はあはあ……や、やめろ理沙……二人ともやめるんだ!」
少し呼吸ができるようになった賢哉が、またもがき始める。
「キキーッ! うるさいわねぇ。黙って私たちに性処理されればいいのよ。気持ち良くあの世に送ってあげるわ。うふふふ……」
「あむっ……んん……んちゅ……」
再び賢哉のチンポを口に含むマナミ。
「あ……」
賢哉をたまらない快楽が襲う。
マスク越しのねっとりとしたフェラがとても気持ちがいいのだ。
「や、やめてください司令! やめるんだ理沙!」
賢哉はなんとか逃れようとするものの、腕はリサの膝に押さえつけられ、脚もマナミががっちりと押さえ込んでいる。
変身しようにも手首のブレスレットを操作しなくてはならないため、変身もできないのだ。
それでも相手が普通の女性二人なら、トライパワードとして鍛えている賢哉ならなんとでもなっただろう。
だが、今の二人は女ジャドーガ兵として肉体が強化されており、賢哉の力ではどうにもできない。
せめて竜司が戻ってきてくれれば……
「う……うあっ……」
賢哉のチンポから白濁液がほとばしる。
「ん……んぐ……んん」
マスクの口の部分でそれをすべて受け止めるマナミ。
みるみるうちに白濁液はマスクに吸い取られていき、マナミはうっとりと目を細める。
「あはぁ……美味しい。ザーメンは最高のごちそうだわぁ」
濡れた口の周りを指でなぞるマナミ。
彼女にとってはもう普通の食事など意味がないのだ。
精液こそが彼女の飢えを満たしてくれる。
「う、うう……ん、むぐっ」
フェラチオで射精してしまった気持ちよさと情けなさが入り混じる賢哉だったが、その顔に再びリサのお尻が押し付けられていく。
「キキーッ! 気持ちよく抜いてもらえたみたいね。今度は私にクンニしてくれない?」
ぎゅっとお尻で圧迫してくるリサ。
とはいえ再び鼻も口も塞がれ、クンニするどころではない。
「ん……むぐっ……ぐっ」
呼吸ができなくなり、必死に逃れようともがく賢哉。
「うふふふ……ダメねぇ。チンポが萎びたままよぉ。だらしないわねぇ」
マナミがチンポに頬擦りするも、苦しくてそれどころじゃない。
「うふふふ……最後に気持ちよくなれたんですもの、幸せよねぇ? さあ、私のお尻に包まれてくたばりなさい」
ますます体重を乗せて圧迫するリサ。
先ほどまでトライパワードの仲間としてともに戦ってきた気持ちなどは、きれいに消えている。
「むぐ……がっ……」
呼吸のできない苦しさに必死にもがく賢哉。
「ぐぐぅ……う……」
だがその躰もじょじょに力が抜け、やがて動きを止めてしまう。
「うふふ……どうやらくたばったようね」
「ええ、これでレッドパワードはもういなくなったわ」
「うふふふ……」
「うふふふ……」
死体となった賢哉からゆっくりと離れて立ち上がる二体の女ジャドーガ兵。
お互いにどちらからともなく歩み寄り、その躰を抱き合ってお互いの口同志をマスク越しに重ね合う。
「ん……ぷあ……ふふふ……よくやったわ、リサ」
「ありがとうございます。偉大なるジャドーガのお役に立てて光栄です」
抱き合ったままで言葉を交わし合う二体の女ジャドーガ兵。
「これであとはブルーパワードのみ」
「ええ、偉大なるジャドーガに歯向かうものには死を」
「もちろん手伝ってくれるわね?」
「もちろんです。それと、ブルーが戻ってくる前にオペレーターの紗友里(さゆり)ちゃんにも偉大なるジャドーガのすばらしさを知ってもらうのはいかがでしょう?」
「キキーッ! それはいいわね。彼女もきっといい性処理用女ジャドーガ兵になれるわ」
「キキーッ! ガロム様にいい報告ができますかと」
「うふふ……」
「うふふ……」
ゆっくりと離れる二人。
「さあ、行きましょう。偉大なるジャドーガのために」
「ええ、偉大なるジャドーガのために」
「「キキーッ!」」
二体の女ジャドーガ兵たちは向かい合い、右手を斜め上に上げてジャドーガの敬礼をするのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
「戦闘員の日」ということで、女戦闘員化ネタでした。
よろしければ感想コメントなどいただけますと嬉しいです。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/10/10(月) 20:00:00|
- 女幹部・戦闘員化系SS
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