あーつーいー!
0(:3 )~('、3)_ヽ)_
今日はもう暑くて何もしたくなーいと言いたいぐらいなんですが、日曜日は掃除洗濯の日なので朝からバタバタと。
この暑さでは余計に疲れますなぁ。
(>o<")
で、調べてみたら、気象庁のサイトでは今日の札幌の最高気温は32.9度との表記。
そりゃ暑いわけだー。
Σ( ºΔº )
明日は午後から雨とのことで、やや気温は低くなりそうですが、その分ジメッとしてまたつらそうな感じ。
まあ、これも来月半ばくらいまででしょうかねー。
それまでは扇風機で乗り切らねば……
今日は短いですけど、暑いのでこんなところで。
それではまた。
_(:3 」∠)_
- 2022/07/31(日) 17:29:15|
- 日常
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今日は土曜日なのでウォーゲームのソロプレイ。

今日はむちゃくちゃ暑いので、せめて気分だけでも「凍てつく北大西洋」に行こうということで、アバロンヒルの「サブマリン」を遊ぶことにしました。
(*´ω`)

15隻の英国に向かう輸送船団。
それを5隻の護衛艦が守ります。
今回は15席の輸送船全部に「船名」まで付けちゃいました。←(おバカ
(^o^;)

今回も私はフラワー級コルベットの「ダリア」に乗り込んでUボートを迎え撃ち。
なんとか勝ちたいものです。

独軍は今回もⅦC型が2隻。
600隻以上も作られた代表的はUボートですからねぇ。
今回も輸送船には積み荷を載せましたので、各船の点数がやや高くなってしまいましたため、独軍は英軍との得点差を50点つけることとしました。
それ以下なら英軍の勝利です。

しかし、今回も輸送船には次々と魚雷が……
(°ω°) オーマイガー

次々とUボートから放たれる魚雷。
(>o<") ヒー

そして次々と輸送船に命中し、海の底へと沈めていきます。
/(^o^)\ナンテコッタイ

最終的にUボートの犠牲になった輸送船は6隻に達し、15隻の船団の3分の1以上が犠牲に。
今回はダイス目が低い目が多く、命中判定もダメージ判定もいい方に走ってしまったので、損傷だけで済むということが無かったのが沈没の多さにつながりましたね。

しかし終盤、英軍の爆雷攻撃が功を奏してU-91は浮上を余儀なくされて砲撃戦に。
さすがに砲撃ではUボートに勝ち目はなく英軍の護衛艦に撃沈されることに。

もう一隻の方も我が「ダリア」の爆雷が命中。
ダメージが積み重なって沈むことに。
Uボートは二隻とも撃沈となりました。
最終的には独軍の獲得が輸送船6隻と砲撃戦で「エリッジ」に与えたダメージとで98点、英軍がUボート二隻撃沈とUボートが使用した魚雷10本分で62点。
その差が36点で英軍が勝利となりました。
途中タンカーに魚雷が命中しなかったのがあるんですが、そのタンカーが沈んでいたら独軍の勝利だったでしょうね。
なかなかぎりぎりだったという感じです。
(^o^;)
今回もプレイ中のツイートをまとめましたので、よければご覧ください。
22年7月30日のアバロンヒル「サブマリン」をソロプレイした時のツイートまとめ今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/30(土) 18:31:40|
- ウォーゲーム
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オールスターも終わり、今日からプロ野球は後半戦です。
まあ、後半戦と言っても143試合の3分の2近くは終わっているので、どの球団も残りは50試合ほどではあるんですけどね。
(*´ω`)
後半戦のスタートは阪神が甲子園でのヤクルト戦。
日本ハムは仙台での楽天戦から。
どっちもいいスタートを切れればいいのですがねー。
とはいえ、今日明日のDeNA戦が中止になった巨人のように、新型コロナが球界も揺るがしている最中であり、阪神も数人が離脱中。
日本ハムに至ってはかなり戦力的には厳しい状況ではあるのですけど、何とか試合はできそうとのことで中止にはならないようです。
これ以上広がってほしくないんですけど、悩ましいですよねー。
さてさて、最後に笑うのはどのチームか?
残り二ヶ月ほどの勝負です。
がんばれ阪神、日本ハム。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/29(金) 17:29:25|
- スポーツ
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昨日のオールスター第二戦は全パが2-1で全セを下し、これで今年は二試合ともパ・リーグの勝利。
セは阪神の佐藤輝明選手が満塁からの犠牲フライで1点を取るのが精いっぱいで、同じく阪神の岩崎投手がソフトバンクの柳田選手に決勝ホームランを打たれてジ・エンド。
一方清宮選手は昨日は守備で魅せまして、三塁、一塁、左翼の守備をいずれも無難にこなしておりました。
清宮選手にはホント後半のきっかけにしてほしいですな。
私の方はと言いますと、先日こちらを読み終えました。

アリステア・マクリーン氏の「孤独の海」です。
実はもう20年も30年も前に買ったような気がする本なんですけど、なぜかずっと読まずに来てしまったんですよねー。
このまま読まずに済ませるわけにはいかないなと思い、先日「地獄の輸送船団」を読み返したことをきっかけにこちらも読んでみることに。
この作品は短編集で、表紙絵でも描かれているドイツ戦艦ビスマルクの追撃戦のほか、史実に起こったことやちょっとした笑える話などを集めています。
いずれも楽しく読ませていただきました。
(*´ω`)
先日からは「女王陛下のユリシーズ号」を読み始めましたが、こちらも初めて読む作品です。
序盤からなかなか大変な状況のようで、今後どうなるのか楽しみです。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/28(木) 18:42:29|
- 本&マンガなど
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昨日のプロ野球オールスター戦は非常に残念なことに最後の清宮君の打席の前で中継が終了。
おそらくは清宮君が最後のバッターとなって「引き分け」で終了だろうと予想していたので、その後のTwitterの盛り上がりがなんだか「かつがれているような」気がして、素直に信じることができませんでした。
(^o^;) ファンナノニネ
その後Yahoo一球速報や、続いて始まった「報道ステーション」の冒頭でのVTRで、間違いなく清宮君がサヨナラホームランを打ったことを理解。
いやぁ、まさかまさか打ってくれますとは。
ヽ(´▽`)ノ オメデトー
オールスター戦でのサヨナラホームランは1986年の吉村禎章選手(巨人)以来36年ぶり、さらにパ・リーグの打者でということになると、1974年の高井保弘選手(阪急)以来の48年ぶりのことなんだとか。
間違いなく「歴史に名前を刻んだ」選手となったわけですよ。
(*´ω`)
オールスターは不思議なもので、普段さほど活躍しない選手がなぜかオールスターでは打ちまくったり、普段活躍するのになぜかオールスターだけはさっぱりという選手もいたりしますよね。
清宮君にはぜひともオールスターでも活躍するし、普段でも活躍する選手になってほしいものです。
この一本が後半戦に生きてくることに期待したいです。
その清宮君は今日は「1番三塁」でスタメンです。
1番はいいとしても三塁?
清宮君三塁守るのは大丈夫なのかな?
ケガだけは気をつけてくださいよー。
(´・ω・)
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/27(水) 18:09:12|
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今年も来月には「第104回全国高等学校野球選手権大会」、いわゆる夏の甲子園大会が始まりますね。
(*´ω`)
すでに各地では予選大会が行われており、北海道でも24日には北北海道代表が、今日は南北海道代表がそれぞれ決まりました。
北北海道代表は「旭川大学高校」が3年ぶり10回目の出場です。
決勝戦では旭川東高を7-1で破り、出場を決めましたとのこと。
一方南北海道代表は「札幌大谷高校」が初出場となりました。
決勝戦はこれも勝てば甲子園初出場となる知内高校が相手でしたが、7-2と打ち勝っての甲子園出場です。
これで今年の二校が決まりました。
旭川大高も札幌大谷も暑い甲子園での全力プレーに期待したいと思います。
まずは一勝目指して頑張ってください。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/26(火) 17:47:18|
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先週のプロ野球はオールスター前の最後の週でした。
正確にはすでに折り返しは過ぎておりますけど、いわゆる前半戦最後の週です。
昨日の記事でも書きましたように、日ハムにとりましては最後の最後で連敗をストップできましたし、阪神は昨日の試合に勝ったことで最大16あった負け越しをついに0に。
後半戦を五割の状態でスタートできることになりましたねぇ。
ヽ(´▽`)ノ ヤッター
先週の日ハムは7連勝がストップしたところからスタートしており、それがずるずると続いて土曜日までに5連敗。
先週からの連敗は6連敗になり、昨日やっと連敗をストップ。
週の通算は1勝5敗と大きく負け越してしまいました。
とはいえ、連敗をストップできたのは大きいと思いますので、オールスター明けからまた頑張ってほしいですね。
一方の阪神は今週は広島に1勝1敗1中止のあとDeNAに3連勝と4勝1敗の勝ち越しです。
先々週が4勝2敗、さらにその前の週が中止等があって2勝1敗と勝ち越しているので、これで3週連続の勝ち越し。
上記しましたように、ついに最大16あった負け越しを消して五割に戻しました。
いやぁ、すごい。
後半戦は五割からスタートですよ。
やってくれましたねぇ。
(*´ω`)
今週は明日明後日とオールスターを挟み、金曜日から日ハムは仙台で楽天と、阪神は甲子園でヤクルトとの三連戦。
阪神は開幕カードと同じヤクルト戦です。
最初のつまずきを繰り返さないためにも、ここは最低でも勝ち越したいですね。
両チームとも後半をいい形で再スタートしてほしいものです。
がんばれ阪神、日本ハム。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/25(月) 18:34:50|
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今日は阪神がナイターですので、一週間の振り返りは明日に回しますが、まずは連敗ストップの日ハムの試合を振り返り。
いやぁ、なんとか勝ってくれましたねー。
よかったよかった。
(*´ω`)
清宮選手の内野安打はリクエストの結果次第ではアウトに判定されても仕方が無いようなプレーでしたけど、あれをセーフにできたこと、さらにその隙に佐藤選手がホームに突入してくれたことで勝ち越し点となり、試合そのものも勝ちに導くことができたという意味では、今日の試合に関しては「勝ち運」があったということなんでしょうね。
試合は5-4で日ハムの勝利。
これで伊藤投手にも勝ちが付きましたし、連敗も6でストップ。
7連勝のあと6連敗と、非常に厳しい状況でしたが、なんとかストップできたのはホントによかったですねぇ。
これでオールスター前の試合はすべて終了。
37勝55敗と負け越しが18もありますが、後半戦は少しでも減らしていけるように頑張ってほしいです。
まあ、とりあえず連敗のままで後半戦ということにならなくてホッとしました。
がんばれ日本ハム。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/24(日) 17:28:17|
- スポーツ
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今日は土曜日ということでウォーゲームのソロプレイ。

今日はいつものようにアバロンヒルの「Squad Leader」をポイントで部隊編成してソロプレイしました。
(*´ω`)

今回は防御側ソ連軍を1000ポイントで、攻撃側の独軍を1500ポイントで編成しました。
1500ポイントもあると、三突が三輌も出せますし、10-2指揮官なんかも投入できますね。

丘に囲まれた集落にソ連軍を初期配置。
対戦車砲とT-34はいくつか候補ヘクスを決めた後で、ダイス判定する形で隠匿します。

勝利条件は防御側が指定した建物を攻撃側が占領するというもの。
なので、今回はこの建物ということにしました。
奥側にあるので、占領するにはソ連軍の大半を制圧する必要がありそうです。

ということで、独軍は丘を越えて進撃開始。
٩( 'ω' )و GOGOGOGO!

しかし、ソ連軍の対戦車砲とT-34によって、三突三輌のうち二輌を失うことに。
うーむ……なかなか厳しいぞ。
(´・ω・)

今回のプレイで特に印象に残ったのが、この丘に布陣した一輌のT-34。
独軍は左翼(画面上では右側)から9-2指揮官スタックを中核とする部隊を回したんですが、三突の支援が早々に失われたことで、このT-34の前に前進がストップ。
隣接の建物にいるLMGを持った一個分隊とともに、独軍の迂回攻撃を2ターンほど食い止めることに。
対戦車兵器無しでは、たった一輌のT-34と言えどもなかなか接近できませんでした。

最後は一輌残った三突がT-34を撃破しましたが、残りターンが少なくなったことと時間も無くなったので、8ターン終了時でゲームエンドに。
おそらくソ連軍の勝利だったのではないかと思われます。
たった一輌のT-34に負けちゃったという感じですねぇ。
( ˘ω˘)

そして悪い意味で記録的だったのがこのソ連軍の8-0指揮官のコヘノフ政治士官。
ASLと違って特別なルールは無いので、普通の8-0指揮官ではあるのですが、今回なんと6回連続で混乱分隊の回復に失敗するというダイス目の悪さ。(笑)
独軍の射撃を受けない位置にいたのでDMマーカーが付いているわけでもないのに、とにかく最後まで混乱分隊一個を回復させることができませんでした。
/(^o^)\ナンテコッタイ
今日もまたプレイ中のツイートをこちらにまとめました。
22年7月23日の「Squad Leader」をポイントで部隊編成してソロプレイした時のツイートまとめ今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/23(土) 18:59:42|
- ウォーゲーム
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第七波と言われる新型コロナウイルスの感染増加が止まりませんね。
北海道でも今日の感染確認者数が4400人を超えて過去最多を更新。
札幌だけでも2000人を超えました。
うーむ……
悩ましいですねぇ。
現状緊急事態宣言などを行う様子はないですし、重症者数も過去の増加のような増え方にはなっていないようですので、かなり重症化は防げているのかなという気はしますが、それでも発熱外来等はかなりひっ迫しているという話も聞きます。
正直できることは感染予防の手洗い消毒密を避けるということぐらいしかないわけですけど、最近はこの予防がかなり手抜きになっているのではないでしょうか?
今一度、手洗い消毒の徹底とできる限り密を避けることを心がけるのがいいのかもしれません。
とは言うものの、今日から札幌はさっぽろ夏祭り。
大通公園には3年ぶりにビヤガーデンもオープンし、屋外で冷たいビールを楽しむことが可能です。
手指消毒と検温を徹底し、人数もこれまでの50%を上限とし、さらに席にもアクリル板を設けるなど感染対策を会場側も行っているそうですので、ビールを飲むときだけは外し、会話の時にはマスクを付けるを客側でも気をつけるようにしたいものですね。
まだまだ増えそうな感じの第七波。
個々人の心掛けがこれまで以上に重要になると思います。
私も気をつけたいと思います。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/22(金) 17:53:37|
- 日常
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記念日と記念SSのためにちょっとプロ野球記事から離れていたおかげで、おそらく日ハムの今季最良の時間であった7連勝のことに触れる間もなく事態は最悪の状況に。
(^o^;)
ヤクルト等でも広がっておりました新型コロナウイルスの感染が、日本ハムにも直撃です。
新庄ビッグボスをはじめ、選手、コーチ、スタッフで20人以上が陽性反応という大変なことに。
急遽二軍から選手をあげて、山田バッテリーコーチが代理監督を務めるという状況でしたが、なんとその山田コーチも陽性で、昨日は木田二軍監督が指揮を執ることに。
(>o<") ウヒャー
さらにさらに、先日打球を足に受けて骨折してしまったエース上沢投手に続き、目下リーグの打率トップを維持しておりました松本剛選手も自打球を膝に当ててしまい骨折とのこと。
工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工?
ともに4週間ほどかかるということで、8月いっぱいはまず無理ということでしょう。
(>o<") ヒエエエ
なんとも踏んだり蹴ったりです。
ケガにしろ新型コロナにしろどうしようもないことではありますが、これは痛いですねぇ。
うーん……まいった……
( ˘ω˘)
ともあれ起きてしまったことはもう仕方がありません。
一日も早い回復を祈るのみです。
どうかお大事になさってください。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/21(木) 18:23:37|
- スポーツ
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ブログ丸17年達成記念SSの第三段です。
もう一本あったんじゃよ。
(*´ω`)
今日のは昨日までの二本とはうって変わった催眠系のSSです。
タイトルは「あるJKの日常」
いったいどんな日常を送っているのか?
お楽しみいただければ幸いです。
それではどうぞ。
あるJKの日常
「ん……あん……ハア……ん……」
クチュクチュと湿った音がして、指が秘部をかき混ぜる。
すでに授業は始まっているはずなのに、指を動かすことをやめられない。
それは気持ちいいからでもあり、命令だからでもあった。
「あ……あ……んん……」
つま先がピンと伸び、躰が後ろに反り返る。
全身が快楽に包まれ、絶頂を迎えていく。
「ハア……ハア……」
余韻を楽しむ暇もなく、彼女は快楽に蕩けた顔をスマホで自撮りする。
すぐにその映像をLINEで送り、反応を待つ。
その間に濡れた秘部をペーパーで拭ってパンツを上げ、スカートを整える。
「ふう……」
一呼吸整えると、先ほど送った画像に既読が付き、意味不明な記号の羅列が送られてくる。
それを見た瞬間、彼女の中のスイッチはオフになり、彼女はスマホをポケットに入れると、トイレを出る。
そして何事もなかったかのように教室へと向かうのだった。
******
「えっ? なにそれ? 自分じゃない時間?」
帰りのバスの中で、彼女は親しい友人とおしゃべりをする。
「うん……最近なんだかおかしい感じがするの。自分がいつもの自分とは違う自分になったような……そんな感じ」
彼女は最近覚える奇妙な違和感を話していく。
いつ頃からかはわからないが、確かに以前とは違う自分がどこかにいるのだ。
でも、それが不安というわけではない。
むしろ、違う自分になる時は気持ちいいことが多い気がするのだ。
とはいえ、以前の自分と違う自分がいるというのは変なことだとは思うし、理由があるなら知りたいとも彼女は思う。
「ふーん……なんか現実逃避したいことがあるとか?」
「そうなのかなぁ……」
困惑しているであろう友人に、そう返すしかない。
そりゃ、突然いつもの自分とは違う自分がいると言われても、何のことやらとしか思えないだろうなとは思う。
「それじゃね」
「また明日ねー」
自分が降りるバス停に着き、彼女は友人と別れてバスを降りる。
あとは家まで5分もかからない。
いつもの道を家まで歩き、何事もなくたどり着く。
ふと、なぜか家に入ることがためらわれるような気がしたが、なぜなのかよくわからない。
何かがおかしい気もするが、どこがどうおかしいのかもわからない。
彼女は一回首を振り、いつものように玄関のドアを開けて家に入る。
カランカランとドアに取り付けられた鐘が鳴り、彼女の中のスイッチがオンになる。
さあ、ご主人様に戻ったことをお知らせしなくては……
リビングのドアを開ける。
「ん……んちゅ……んむ……ぷあ……あら、お帰りなさい」
ソファの前で床にぺたんと座り、一心にご主人様のおチンポ様をいただいている母。
淫靡な黒下着姿で、ご主人様の目も楽しませているのだ。
母が舐めているのは立派にそそり立つおチンポ様。
それはもう美味しそうでたまらなくて、見ているだけで彼女も欲しくなってくる素敵なおチンポ様だ。
早く着替えてご主人様にご奉仕しなくては。
彼女はそう思う。
「おう、お帰り」
ソファに座って母におチンポ様を舐めさせている太った脂ぎった男。
おそらく、それが彼以外の男であったとしたら、彼女はきっと苦手に思ったことだろうと思う。
でも、彼は別だ。
なんといっても彼は彼女の敬愛するご主人様であり、彼女が身も心もすべてをささげてお仕えする男性だからだ。
「ただいま戻りました、ご主人様」
彼女は笑顔でご主人様に帰ってきたことを報告する。
まるで天使のような微笑みだ。
彼女がこれほどの笑みを見せる男は、おそらくご主人様以外にはいないだろう。
「美羅(みら)も早く着替えて、ご主人様にご奉仕なさい」
「はい、ママ」
母親に言われ、彼女は自分の部屋に着替えに行く。
これからご主人様にご奉仕をするのだ。
それは母と彼女の使命であり喜び。
二人はご主人様にお仕えするメス奴隷なのだ。
自分の部屋に入る彼女。
ベッドの上にはローターやバイブなどが散らばっている。
ご主人様がいないときでも、常にご主人様のことを思いながらメスである喜びを味わわねばならないのだ。
それは母も同じことで、二人は常にご主人様のメスであることをわきまえていなくてはならない。
さあ、急いで着替えをしてしまわねば……
彼女はクロゼットから着替えを取り出していく。
以前はここには自分が好きな、自分が着たい衣装が入っていた気もするが、今ここにあるのはご主人様が見たい、ご主人様が彼女に着せたい衣装が入っている。
その中から彼女は、今日のご主人様が喜んでくれそうな衣装、バニーガールのコスチュームを取り出すことにする。
バニーガールのコスチュームはご主人様がお好きな衣装のトップクラス。
きっと今日もお喜びになっていただけるはず。
そう思うだけで、彼女の胸はドキドキする。
ご主人様に喜んでもらえるのは、メス奴隷冥利に尽きるのだ。
彼女は制服を脱いでベッドに置くと、下着もすべて脱いでいく。
靴下も脱ぎ、全身裸になって新たな衣装に着替えるのだ。
学校に行っていた女子高生から、ご主人様の家でのメス奴隷へのチェンジ。
ここは彼女たち一家の家だった気もするが、今ではご主人様の家である。
彼女と母はメス奴隷として、そして父は犬としてご主人様のお情けでここに住まわせていただいているにすぎないのだ。
だからこそ、全身全霊でご主人様にご奉仕して、喜んでいただかねばならない。
それが彼女の喜びでもあるのだから。
「んしょ」
脚にぴったりフィットするバックシーム付きの網タイツ。
まずはそれを穿いていく。
自分の脚が何か異質なものに変化していくような、妙な感じが心地いい。
網タイツを穿き終われば、今度は黒い袖なしのバニーガールのコスチューム。
ご主人様が用意してくださったもので、結構高価なものらしいので、注意して扱わねばならない。
脚を通して腰の位置までたくし上げ、服のカップに胸を収めるようにして着込んでいく。
自分の胸があまり豊かでないことがやや悲しいが、この胸がいいのだとご主人様が言ってくださったことが、何より彼女にはうれしかった。
コスチュームを着た後は、小物を取り付けていくだけ。
手首にはカフスを嵌め、首には蝶ネクタイを着けていく。
頭にはうさぎの耳を模したカチューシャを嵌め、お尻には白くて丸い尻尾を着ける。
「よし」
姿見に映した自分の姿が、しっかりバニーガールになっていることを確認すると、彼女はコクンとうなずいた。
「お待たせいたしました、ご主人様」
お尻を揺らすように歩きながら、リビングに戻ってくる彼女。
太ったオヤジが、なるで舐めまわすかのような無遠慮な視線を浴びせてくる。
だが、それは今の彼女にとってはうれしいこと。
ご主人様の視線を浴びるなんて、メス奴隷としてとても喜ばしいことなのだ。
「うほっ、やはり美羅はバニーガールが似合うなぁ。かわいいよ」
「ありがとうございます、ご主人様。今日はママが黒下着姿でしたので、私がバニーを務めさせていただきますね」
ぎらつく男の視線を浴びながら、彼女はゆっくりと躰を回して見てもらう。
母同様に美しいその躰は、男がまさに手に入れたがったものだ。
それを彼女は惜しげもなく男に与えているのだった。
「よし、優美(ゆみ)、替われ」
「はい、ご主人様」
やや名残惜しそうに男から離れる母親の優美。
彼女もすっかり男のメス奴隷として洗脳されてしまっている。
彼女にとっての主人は夫ではなく、もはやこの男なのだ。
「失礼します、ご主人様」
男の前に座り、そのむき出しのチンポにキスをする美羅。
ご主人様の大事なおチンポ様には、敬意を払わねばならない。
先ほどまで母が愛しく味わっていたであろうおチンポ様を、今度は彼女が味わうのだ。
「んむ……んちゅ……んん……」
おチンポ様を咥え込み味わっていく彼女。
口の中に広がるご主人様の味がたまらない。
しゃぶっているだけで感じてしまうくらいだ。
「んほっ、いいよぉ……美羅の口は最高だよ」
ああ……うれしい……
彼女は心からそう思う。
自分の口でご主人様を満足させることができるのは、メス奴隷にとって最高の喜びだ。
「まったく、洗脳アプリさまさまだな。こうして美人母娘二人をメス奴隷にできるのだから」
男がスマホを見て喜んでいる。
あのスマホ……
何か……
あのスマホには何かがあったような……
あのスマホを見てから、自分が自分ではなくなったような……
「んちゅ……ぷあ……ん……」
何を考えているのか……
私が私じゃないなんてありえない。
私は私。
ご主人様にお仕えするメス奴隷の私。
この私こそが本当の私ではないか。
彼女はそう思う。
きっと自分は幸せ過ぎるのだ。
ご主人様のメス奴隷として幸せ過ぎるから、そんな変なことを考えてしまうのだ。
そうに決まっている……
「んほっ! 出るっ!」
彼女の口の中に放たれるねばつく液体。
ご主人様の美味しいザーメン。
メス奴隷にとっての最高のごちそう。
それが今、彼女の口の中一杯に広がっていく。
「んんんんん……」
一滴もこぼすまいと、しっかり口を閉じて味わっていく。
美味しい……
美味しいよぉ……
ご主人様のザーメンは最高に美味しいわぁ……
「ふへへ……しっかり味わうんだぞ」
ご主人様の言葉にコクコクとうなずく美羅。
口の中にザーメンを溜めて味わっている。
ご主人様に命じられなくても、もったいなくて飲み込めない。
「ふふふ……それにしても、二人ともすっかり俺のメスになったなぁ」
たぷたぷの腹を揺らし、男が彼女と母を見て笑う。
その手にあるのはスマホ。
以前彼女に見せてくれたスマホだ。
あのスマホを見て……
「私たちはご主人様のメス奴隷ですから……メスであるのは当然かと……」
美羅の背後に控えていた母の優美がそう答える。
その言葉に彼女もうなずく。
私たちはご主人様のメス奴隷。
メスであるのは当然のこと。
なにもおかしなことはない。
「うひゃひゃひゃ……そうなんだよなぁ。いやホントそうなんだよ。ホントにこいつの効果は抜群だ」
スマホに目を落とし笑っている男。
思わず彼女は背後にいる母と顔を見合わせてしまう。
いったい何をお笑いになっていらっしゃるのだろうか?
「あ、あの、ご主人様?」
「ご主人様?」
口の中で味わっていたザーメンを飲み込み、主人を呼ぶ彼女。
「ん? ああ、いや……最初に俺がこの家に来た時には、お前たちは俺を不審者だと思っていたんだぞ。覚えていないか?」
「えっ?」
「ええっ?」
男の言葉に二人は驚く。
ご主人様を不審者だと思うなんてありえないではないか。
ご主人様はずっと彼女たちのご主人様であり、ご主人様にお仕えするのが彼女たちの喜びなのだから。
「ご主人様、悪い冗談をおっしゃられましては困ります」
「ご主人様を不審者に思うなんてありえません」
母も彼女も男の言葉を否定する。
そんなバカな話はあり得ない。
「ふひひ……ホントにすごいな。まあいい。優美はそろそろ晩飯の支度をしろ。美羅は俺のチンポをきれいにした後、俺に躰を自由にさせるんだ」
「かしこまりました、ご主人様」
「はい、ご主人様」
母は命令通りにキッチンへと向かい、彼女は男のチンポを再度舐めてきれいにしようと、股間に顔をうずめる。
男の顔には、下卑た笑みが張り付いていた。
******
「はい、ポチ。ご飯よ」
彼女は器に盛られた餌を父の元へと持っていく。
「ワンワン」
パンツ一枚の姿で四つん這いになっている父の前に器を置くと、待ちかねたようにむしゃむしゃとがっついていく父。
「もう……待ても何もないんだから……このバカ犬は」
思わずあきれてしまう彼女。
もはや彼女の父は、図体ばかり大きくてしつけもなっていない犬でしかない。
「仕方ないわ。働くしか能がないんですもの。まあ、ちゃんと働いてくれればいいわよ」
そう言ってリビングのテーブルに食器を並べていく母。
愛していたはずの夫は、ただの犬になってしまっているのだ。
「ホント、バカ犬なんだから」
四つん這いで餌をがっつく父を、愛憎の入り混じった目で見降ろす彼女。
バカな犬ほどかわいいというものかもしれない。
「さあ、ご飯の支度ができたから、手伝って」
「はーい」
彼女は母とともに美味しそうな料理を盛られた皿をリビングのテーブルに運んでいく。
台所の片隅で餌を食べている父のことなど、瞬時に脳裏から消え失せていた。
「お待たせしましたご主人様。さあどうぞ」
「うほっ。今日も美味そうなおかずだなぁ。やっぱり一人暮らしだと、食事の支度はいろいろとめんどくさくてろくなもん食ってないからなぁ……」
男がとりどりの料理に目を細めて席に着く。
その様子を母は嬉しそうに眺め、微笑んでいる。
きっと作った料理を褒められてうれしいのだろう。
「ありがとうございますご主人様。だいぶご主人様のお好みもわかるようになってきたと思いますわ」
「この家はご主人様のものなのですから、もう毎日好きなようになさってくださいませ。ご飯だってママがいくらでも作りますからね」
「まあ、全部ママ任せなの?」
「えへへ」
苦笑しながら娘を見る母。
思わず彼女も照れ笑いをしてしまう。
「さ、料理が冷めてしまいますわ。どうぞ召し上がってくださいませ」
「そうだな……さて、今日は……」
男が二人に向ける視線を、ドキドキしながら受ける母と娘。
今晩の食事のお相手が選ばれるのだ。
負けられない。
「よし、ジャンケンしろ」
「はい」
「はい」
男の命令に従い、母と娘は向かい合う。
「最初はグーね」
「うん」
うなずき合う母と娘。
その目は真剣そのもの。
「「最初はグー! ジャンケンポン!」」
母の手は開かれ、娘の手は握られたまま。
一瞬で勝負はついていた。
「勝ったー」
「そんなぁ」
喜ぶ母と悔しがる娘。
考えて考えて出した手が裏目に出てしまったのだ。
彼女は恨めしそうに自分の手を見つめるしかなかった。
「うほっ、今日は優美か。じゃあおいで」
男が自分の太ももの上をポンポンと叩く。
この上に座れという指示だ。
「はぁい、ご主人様」
嬉しそうにいそいそと男の元へ行く母。
もちろん男の目を楽しませるために、腰を振るのは忘れない。
「失礼いたします」
男の太ももにまたがるようにして、向かい合わせに座る。
主人とご飯を食べる時の基本的な姿勢だ。
「それじゃ、まず何からがいいかな?」
「はい。今日は豚の厚切り肉を焼きましたので、まずはそちらから」
母親はそういうと、目を閉じて口を開ける。
「うんうん。どれ」
男はテーブルに載せられた豚肉をナイフで切り取ると、自分の口へと放り込む。
そしてくちゃくちゃと咀嚼し、自分の唾液を絡ませたうえで、まるでキスをするように優美の口へと移していく。
男から口移しされた肉を美味しそうに食べる母。
その様子に、娘はうらやましさを感じてしまう。
そのまま食べるよりも、ご主人様に噛み砕いていただいたものを食べるほうが、絶対に美味しいに決まっているのだ。
「美味しいですわ、ご主人様」
男の首に両手を回し、うっとりとした表情を浮かべている母。
残念な気持ちと、次は絶対に負けないという思いを胸に、美羅は自分も席に着くと、料理を口に運ぶのだった。
******
朝、いつもの時間に起き、いつものように階下へと降りていく。
リビングでは、すでに母が朝食の支度をして、みんなが起きてくるのを待っている。
今朝はご主人様がお泊りになったので、朝食も一人分多くなっている。
台所の片隅では、着替え終わった父が四つん這いで餌を食べている。
「ポチ、気を付けないと、ネクタイが汚れるわよ」
「ワンワン」
わかっていると言わんばかりに返事をする父に、彼女は思わず苦笑する。
「本当にわかっているといいけど」
「ほらほら、早く支度して食べちゃいなさい」
「はーい」
いつもの朝のいつもの会話。
いつものように支度をして、いつものように朝食を済ませる。
いつものように服を着替え、いつものように髪を整える。
何らおかしなところはない。
「おはようございます。それじゃ、行ってきます。ご主人様」
「ワンワン」
ようやく起き出してきた男に挨拶をし、上着を着てすっかり会社員の姿になった父と一緒に玄関を出ようとする。
「行ってらっしゃい。気を付けてね。ポチもちゃんと働いてくるのよ」
すでにもう男にしなだれかかるようにして甘え始めている母の姿。
これからしばらくは、母が一人で男のものとなるのだ。
うらやましいけど、彼女は学校へ行くしかない。
「行ってきまーす」
玄関のドアを開けると、カランカランと鐘が鳴る。
その鐘を耳にして、家の外に出ると、彼女の中のスイッチがオフになる。
家であったことはすっかり抜け去り、彼女は普通の女子高生に戻る。
「それじゃ、パパ行ってらっしゃーい」
「おう、美羅も気を付けてな」
いつものように逆方向へと歩き出す父と娘。
父は先ほどまで犬のように過ごしていたことなど思いもしない。
彼女も、先ほどまで早く学校から帰って男に抱かれたいなどと思っていたことなど思い出せない。
ごく普通の父と娘だった。
「おはよー」
「おはよー」
やってきたバスに乗り込み、友人に挨拶する。
「ねぇねぇ、真紀(まき)から聞いたよ。自分じゃない自分がいるってホント?」
「ええ? なにそれ? 私そんなこと言った?」
「真紀から聞いたよ。美羅が自分が自分じゃないときがあるって」
「あー、たぶん気のせいだと思うんだけどね。なんかそんな感じもしたなって言う程度」
うん。
おそらく気のせいだろう。
自分じゃない自分がいるなんて……おかしいものね……
彼女はそう思う。
今日もまた、いつもと変わらない一日が始まるのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなどいただけますと嬉しいです。
これで記念SSは全部吐き出しましたので、次回作はまたしばらくお待ちいただくことになるかと思います。
なるべく早く次作をお届けしたいと思いますので、どうかお待ちいただければと思います。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/20(水) 20:00:00|
- 催眠・洗脳系
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ブログ丸17年達成記念SSの第二弾です。
タイトルは「素敵な伴侶を得た女たち」です。
実はこのSSはもともとは「首魁の定め」氏がpixivに投下した作品(現在は退会されており削除されております)に感銘を受け、イメージをいただいた感じで作った作品です。
その時点では昨日の作品「ゲジゲジ怪人のパートナーにされてしまった人妻」とは、全く何の関係もない作品だったのですが、書いている途中からどうせなら同じ世界観にしてやれと思い立ち、スピンオフ作品のような形になってしまいました。
(^o^;)
ということで、「シュシューッ!」だの「キリキリキリッ!」だの「キチュチュチュ!」だのやかましく読みづらい作品になってしまったかもしれませんが、お楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。
素敵な伴侶を得た女たち
「遅ーい! もう始めちゃってるよ」
「ごめーん。少し残業することになっちゃってさぁ」
居酒屋のボックス席にやってくる一人の若い女性。
背中まで流れる濃いめの茶の髪が美しい。
急いできたのか、少し息が上がっている。
「あるあるー。いきなり残業押し付けてくるのよねー」
「うちはめったにないけど、それでもそういうことはあるなぁ」
すでに席には二人の同年代と思われる女性たちが着いており、片方が今来た彼女が座れるようにとやや奥に詰める。
今来た女性も含め三人とも整った顔立ちの美しい女性たちで、どうやら会社帰りらしい。
「それじゃ奈津美(なつみ)も来て三人そろったし、乾杯と行きますかー」
追加注文の飲み物が来たことで、三人はあらためて乾杯を行なおうとグラスを持つ。
「えーと、先月はお疲れ様でした。今月もなんとかお仕事乗り切りましょう。それと素敵な彼氏欲しいぞー。かんぱーい!」
「私も欲しいー。かんぱーい!」
「かんぱーい!」
三人が笑顔でグラスを合わせ合う。
「ぷはぁー、美味しーい。仕事のあとの一杯は格別ですねぇ」
「香織(かおり)、それおっさん」
「えー? 智里(ちさと)だってぷはぁってやるじゃん」
「まあまあ、最初の一杯はそうなるよねー」
「なるよねー」
三人が笑いながらグラスを傾けていく。
「でも、ホント、いい男欲しいー」
「だったらヒロ君と別れなきゃよかったのに」
「そうそう。香織ったらもったいない」
運ばれてきたつまみに手を伸ばしながら会話が弾む。
「うーん……どうしてもねぇ、ダメだったんだよねぇ。彼はさぁ、お姉さんを求めちゃってるのよ……」
「ああ……そういう」
「それでいて私は頼りがいのある男性が好みだったし……」
「私も頼れる男性がいいなぁ」
「奈津美は取引先にいい男いないの?」
「それがみんなオジさんばかりなのよねぇ」
「うちもそうだわぁ。社内も取引先もみーんなおっさん。あーあ……どこかにいい男転がってないかしら?」
「そろそろいい人見つけてさ、結婚もしたいよね」
「結婚したーい」
「そうよねぇ」
「結婚したらぁ、旦那さんと一緒に仕事するのもいいよねぇ」
「私は専業主婦がいいかなぁ」
「このご時世、なかなかそうはいかないでしょ」
「そうよねぇ。共働きかぁ……」
「まあ、なんにせよ、いい男見つけたいよねー」
「そうだねぇ」
思い思いにしゃべりながら、お酒とつまみを楽しんでいく三人。
大学時代に知り合い、それからずっと仲良くしている三人なのだ。
「それじゃねー」
「それじゃまた来月ー」
「おやすみなさーい」
「香織ぃ、帰りにいい男見つけたからって、フラフラついて行ったらダメよー」
「うるさいわ! いいもーん……ついていかなくたってきっと素敵な王子様が私をさらっていってくれるもーん」
「なんじゃそりゃ」
「アハハハハ……」
楽しく過ごした時間はあっという間に終わり、三人は居酒屋の前で別れていく。
少し寂しさを感じるものの、また来月には会えるだろう。
それを楽しみにまた月曜日からがんばろう。
香織はそう思う。
「ふう……」
いつもは通らないはずの駅からの裏道。
街灯も少なく人通りもほとんどないので、家への近道ではあるものの、普段は遠回りして帰るのだ。
だが、今日は酔いの勢いもあったのか、早く家に帰ろうと思ってこっちに来てしまった。
住宅街ではあるものの、この一画だけがぽつんと空地のようになっている。
なので、この付近だけは家もない。
幸いほかに人の気配はないし、誰かにあとをつけられているようなこともない。
香織はさっさと通り過ぎてしまおうと足を速める。
ヒューーゥ……ガサッ……
「えっ?」
何かの音がする。
まるで空気を切って何かが飛んできたかのような音。
香織は一瞬立ち止まって、後ろを振り返る。
ぽつぽつと街灯に照らされた道には誰もいない。
ヒューーゥ……ストッ……
また音がする。
なにかの足音のようにも聞こえる音。
しかもその音はなんだか近づいているようにも感じるのだ。
香織は思わず逃げ出そうと前を向き、驚愕に目を見開く。
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!」
夜の闇に香織の悲鳴が響いた。
******
「やっぱり未読のままかぁ……」
お昼を終えた奈津美はスマホの画面を見てため息をつく。
何度送っても既読にならないのだ。
昨日の日曜は電話もかけてみたが、呼び出し音はなるものの香織は出ない。
いったいどうしたのだろう……
次回の飲み会の日程を決めるためにLINEを送ったのだが、土曜日も日曜日も、月曜日のお昼になっても既読になることがない。
飲み会の帰りに何かあったのだろうか?
もしかして事故にでも遭ったのではないだろうか。
そうは思うものの、電話もLINEもつながらないのではどうしようもない。
智里にもそのことは伝えてあり、彼女も連絡を取ってみるとは言っていた。
もしかしたら智里の方では連絡が取れているかも。
そう思って奈津美は智里にLINEを送る。
そちらはすぐに既読が付き、返信も返ってくる。
だが、智里の方でも連絡はついていないようだった。
「室内に変死体?」
LINEを閉じ、何か変わったことでもないかとなんの気なしに開いたネットニュース。
その見出しに奈津美は目を奪われる。
しかもそれは香織の家の近くではないか。
どうやら一軒家で変死体が発見されたらしい。
家族全員がすべての血を抜き取られて死んでいたという。
警察では事件とみて捜査中とか。
まさか……
香織も何か事件に巻き込まれていたり……
「そんなこと……ないよね……」
奈津美は首を振る。
きっと考え過ぎだ。
確かに香織の家に近いとはいえ、それでも事件の場所とは結構離れているはず。
でも……
今日は多分残業にはならないだろうから、香織の家に行ってみようか……
うん……そうしよう……
奈津美はそのことを智里にLINEで送り、午後の仕事に向かうのだった。
******
「えーと……確かこのあたり」
数回来たことがあるだけの上、今時期は日が暮れるのが遅いとは言うもののすでに周囲は暗くなっており、奈津美は香織の家を訪ねるのにやや苦労していた。
残念ながら今日は、智里が抜けられない用事があるとかで来られなかったが、仮に来ていたとしても方向に弱い智里は頼りにはならなかっただろう。
それでも記憶と地図アプリを駆使すればなんとかなるのが今の時代。
奈津美もあと少しで香織の家に着くところまで来ていた。
「え?」
地図アプリを見ていたスマホにLINEが届いたという合図が出る。
見てみると香織からだ。
『今どこ?』
この一言のみ。
確かにスマホを見てもらったら伝わるように、家に行くとはLINEしておいてはあったのだが。
とりあえず、もうすぐ着くよと返信する。
『どこ?』
『あ、あれか』
『見つけた』
立て続けにLINEが入ってくる。
「えっ? えっ?」
戸惑う奈津美。
見つけたってどこ?
香織が近くにいるの?
どこ?
周囲を見渡してみる奈津美。
街灯と家々の明かりが道路をぼんやり照らしているが、人の姿らしきものはない。
いったいどういうことだろう?
ヒューーン……
「えっ?」
奈津美の耳に何かの音が聞こえた。
空気を切り裂くような音。
スタッ!
何の音だろうと思った次の瞬間、その音とともに奈津美の目の前に白い人の影のようなものが飛び降りてくる。
「ひぃっ!」
奈津美は思わず小さく悲鳴を上げる。
飛び降りてきたのは白に薄茶色が混じったような色で、人間の女性のような体つきをしているものの、躰は節を持った虫のような表面をしており、頭にも全く毛が無く、黒く丸い複眼が付いている。
口元は笑みをたたえた人間のような感じだが、足にも手にも小さなとげのようなものが密生し、まるで何かの虫と人間の女性が掛け合わさったもののように見えた。
「シュシューッ! こんばんはナツミ。来てくれてうれしいわ。こっちから会いに行こうと思っていたところだったのよ」
「えっ? あ……え?」
人間あまりの恐怖の時には悲鳴も出せないということを奈津美は知る。
目の前に化け物がいるのに声が出ないのだ。
「ナツミ? ああ、怖がらないでいいのよ。あなたから血を吸うつもりはないわ。シュシューッ」
口元に笑みを浮かべて近づいてくる化け物に、奈津美は必死に悲鳴を上げようと口を開ける。
「き……」
だが、奈津美が悲鳴を上げようとした瞬間、彼女の背後から手が伸びて、彼女の口と躰を押さえつける。
「ギシュシュシュ! 騒ぐな」
奈津美の耳元で声がささやくが、口をがっちり押えられた上に躰も抱きかかえられてしまっており、騒ごうにも騒げない。
「むぐ……むぅ……」
奈津美は必死に逃れようと暴れるが、まったく抜け出せない。
それほど相手の力は強いのだ。
「ギシュシュシュ! ノミギーラよ、この女で間違いないのか?」
「ノミゲラン様! わざわざ来てくださったのですか? はい、この女で間違いありません。シュシューッ!」
ノミギーラと呼ばれた虫女が両手の指を胸の前で組み、とてもうれしそうにする。
奈津美を確保するのは一人で充分と思っていたのに、わざわざ手助けをしに来てくれるなんて……
それだけでもうノミギーラは涙が出そうなほどにうれしい。
「ギシュシュシュ! ではさっさと引き上げよう。人間どもが騒ぎ立てるとまずい」
グッと奈津美を抱える腕に力が入る。
「あう……」
そのまま奈津美は意識を失った。
******
「はぁぁぁん……ノミゲラン様ノミゲラン様ノミゲラン様ノミゲラン様ぁ……」
「ギシュシュシュ! おいおいノミギーラ、そろそろあの女が目を覚ます頃だぞ」
「あぁぁぁん……かまいませんわぁ。アタシはこうしてずっとノミゲラン様にしがみついていたいんですぅ」
「ギシュシュシュ! 可愛いやつめ……んんん」
「んんんん……ぷあぁ……あぁん……ノミゲラン様にキスしていただけるなんて、最高に幸せですわぁ」
「ギシュシュシュ! こういう時はお前の口が人間のままでよかったな」
「シュシューッ! はい。人間の部分が残っているなんていやですけど、こうしてノミゲラン様に喜んでもらえるなら……」
「ギシュシュシュシュ! これからもよろしく頼むぜノミギーラ」
「シュシューッ! もちろんです、ノミゲラン様ぁ」
うっすらとした意識の向こうで、語り合う男女の声が聞こえてくる。
あ……ここは?
私は……いったい?
奈津美の意識が徐々にはっきりしてくる。
そうだわ……確か私は虫のような化け物に……
「はっ!」
慌てて起きようとする奈津美。
だが、意識ははっきりとしているのに、躰がまったく起き上がれない。
首から下が何か麻痺したような感じなのだ。
しかも、まったくなにも着ていないようで、裸になっているらしい。
「そ、そんな……」
かろうじて動く首で左右を見ると、何か黄色いぶよぶよのゼリーのようなものの上に寝かされているようだ。
半分躰が沈んでいるような感じである。
どうやら何かカプセルのようなものに入れられているのだろう。
上には半分開いた感じで蓋のようなものがあり、左右の壁は白い格子状になっていて、何か蜂の巣を思わせるようでもある。
これはいったい……
奈津美はとにかく起き上がろうとするものの、やはり躰が動かない。
いったいどうしてこんなことになったのだろう?
私はどうなってしまったのだろう?
いろいろと考えても全くわからない。
「だ、誰か……誰かいますか?」
奈津美は声を上げてみる。
とにかくここから出してもらわないと。
裸ではあるが、この際はやむを得ない。
「ギシュシュシュ! ほら、女が目を覚ましたようだぞ」
近くから声が聞こえてくる。
先ほど意識がはっきりしてくる中でかすかに聞いた声だ。
どこか人間離れしたような奇妙な声。
電子音のようにも聞こえる。
「シュシューッ! はい、ノミゲラン様。彼女の処置を始めますわ」
思わず身を固くする奈津美。
あの声は……あの化け物の声?
奈津美は自分の目の前に現れたあの虫女の姿を思い出す。
するともう一つの声は私を背後から捕まえてきた方の声だろうか?
だとしたら、私は彼らの巣に連れてこられてしまったの?
奈津美はなんとか逃げ出そうと考えるが、躰がまったく動かない。
ああ……
どうしたらいいの?
「ギシュシュシュ! 頼んだぞ。俺はダニゲランに声をかけてくる」
「シュシューッ! はい、行ってらっしゃいませノミゲラン様」
名残惜しそうに躰を離すノミギーラ。
ノミゲランとの甘いキスに、躰がまだ熱を持っているみたいだ。
できればそのまま彼との交尾に移りたかったが、今はナツミの処理をしなくてはならない。
部屋を出ていくノミゲランを見送り、奈津美の入っているカプセルに向かうノミギーラ。
その外骨格に包まれた足がカツコツと音を立てる。
うふふふふ……
待っててねナツミ。
あなたもすぐに私たちバグゲランの仲間になれるわ。
「ひぃぃぃぃぃぃっ!」
ヌッとカプセルをのぞき込んでくる虫女の顔に、奈津美は思わず悲鳴を上げる。
薄茶色の頭部には黒く丸い目が光り、口元は人間のような口が微笑みを浮かべている。
躰は固そうな外皮が覆っているものの、膨らんだ両胸ややわらかなラインは全体的に女性らしいシルエットをしており、まさに虫女と言っていいだろう。
「ば、化け物! いやぁっ!」
恐怖に首を振る奈津美。
「シュシューッ! ナツミ、ナツミってばぁ、そんなに怖がらないで。大丈夫よぉ」
口元に笑みを浮かべている虫女。
「ひぃぃぃっ! どうして? どうして私の名前を知っているのぉ?」
化け物が自分の名前を呼ぶことに、さらなる恐怖を感じる奈津美。
「何を言ってるの? 知ってるに決まってるでしょ。アタシたち友達じゃない。シュシューッ!」
「いやぁっ! 知らない! あんたなんて知らない! あっちに行ってよぉ!」
奈津美が半狂乱になって叫ぶ。
友達?
この化け物は何を言っているのだろう。
こんな化け物の友達がいるわけがない。
「あん……ナツミったらひどいわぁ。アタシたち何でも話し合ったじゃない。金曜日だってみんなでお酒飲んだでしょ? シュシューッ!」
「えっ?」
奈津美の目が見開かれる。
金曜日にお酒を?
えっ?
そんな……
まさか?
「か……おり? あなたは香織……なの?」
恐る恐るそう口にする奈津美。
信じられない。
目の前の化け物が香織だなんて、奈津美には信じられない。
だが、これまでの言葉からはそう思えてしまうのだ。
「シュシューッ! ええ、確かに以前はそういう名前だったわ。でもそれは私がまだ人間だった時の名前よ。今の私は偉大なるバグゲランの怪蟲人(かいちゅうじん)ノミギーラなの!」
誇らしげに奈津美に向かって胸を張るノミギーラ。
その外皮に覆われた形良い二つの胸のふくらみが奈津美の目を引く。
「ノミ……ギーラ?」
「そうよ。私はノミゲラン様のおかげで人間などという下等な存在から生まれ変わることができたの。私は幸せだわ。偉大なるバグゲランの怪蟲人にしていただけたばかりか、ノミゲラン様という素晴らしいオスのパートナーにしていただけたんですもの。シュシューッ!」
うっとりと自らを両手でかき抱くノミギーラ。
彼女にとってはノミゲランこそが理想のパートナー、すべてを捧げても惜しくない存在なのだ。
「怪蟲……人?」
奈津美は変わり果ててしまった友人の姿に目が釘付けになる。
信じられない。
信じたくない。
香織が化け物にされてしまったなんて信じられない。
「ウソ……ウソよ! そんなのウソよ!」
奈津美が首を振る。
そんなのウソに決まってる!
「シュシューッ! ウソじゃないわ。アタシはノミギーラ。心配いらないわ。ナツミもすぐに怪蟲人のすばらしさを感じるようになるの」
「えっ?」
「このカプセルは素晴らしいのよ。人間のような下等な生き物をバグゲランの怪蟲人へと変化させてくれるの。アタシもこのカプセルでノミギーラへと生まれ変わったわ。シュシューッ!」
「そ、そんな……」
愕然とする奈津美。
まさか自分も化け物にされるというのだろうか?
「いやっ! いやぁっ!」
奈津美は必死に躰を動かそうと試みる。
だが、首から下はまったく動いてくれない。
「あん、暴れないで。もっとも首から下は麻痺させてあるから動けないわ。大丈夫。すぐに怪蟲人になってそのことを感謝するようになるから。シュシューッ!」
「ひぃぃぃっ! いやぁぁぁぁっ!」
悲鳴を上げて泣き叫ぶ奈津美に、どうしてこんなに嫌がるのかしらとノミギーラは思う。
そんな下等な人間のままでいたいという方が信じられない。
怪蟲人に生まれ変われば、これがどんなに素晴らしいことかがわかるのに。
ああ……そうか……
そういえばアタシもナツミのように嫌がっていたかもしれない。
うふふ……
バカみたい。
「ナツミ、アタシを信じて。絶対あなたも怪蟲人になったことを喜ぶから。保証するわ。シュシューッ!」
「いやぁぁぁっ! やめてぇ!」
ノミギーラは奈津美の悲鳴を無視し、カプセルの脇の操作パネルに移動する。
ノミゲランよりこの操作方法は教わっているし、すべてのセッティングはバグドレーたちの手で終わっているはず。
あとはスイッチを起動させるだけ。
そうすればナツミもアタシたちの仲間になる。
きっと喜んでくれるわ。
ノミギーラはそう思い、スイッチを押した。
ウィーンという音がしてカプセルの蓋が閉まっていく。
「いやぁぁぁぁっ! 誰かぁぁぁっ!」
奈津美の悲鳴も蓋が閉まっていくにつれて小さくなり、やがて完全に閉まって聞こえなくなる。
それと同時にカプセルに付いている機械がうなりを上げ始め、奈津美の躰を変え始める。
あとは完成を待つばかりだ。
順調に作動し始めたカプセルに、ノミギーラがふうと息をつく。
どうやら問題は無さそうだ。
ノミゲラン様の言うとおりにしたとはいえ、どこかにミスがないかと緊張していたのは確かだったのだ。
よかった。
ノミギーラがそう思っているところに、入り口が開いてノミゲランが戻ってくる。
その背後には、茶褐色の外皮をしたもう一人の怪蟲人がいた。
「ギシュシュシュ! どうだ? 問題はないか?」
「はい、ノミゲラン様ぁ。今始まったばかりですわ。シュシューッ!」
すぐさまノミゲランに駆け寄るノミギーラ。
ノミギーラにとっては、ノミゲランはすべてを捧げるオスなのだ。
「それじゃあとは完成を待つだけだな。ギシュシュシュ!」
抱き付いてきたノミギーラをノミゲランが受け止め、そっと頭をなでてやる。
ノミゲランにとってもノミギーラは可愛いメスなのだ。
「ギリギリギリッ! ここは融合室じゃないか? それにずいぶんと可愛いメスもいる。これはいったいどういうわけだ?」
ノミゲランの背後にいたもう一体の怪蟲人が、その左右に分かれた巨大な顎を交差させる。
「ああダニゲラン。紹介するぜ。こいつはノミギーラ。俺と同種の怪蟲人でな。その……なんだ……俺のメスなんだ。ギシュシュシュシュ!」
ノミゲランが抱き付いていたノミギーラを引き離し、ダニゲランに紹介する。
「ギリギリギリッ! お前のメスだと? 確かに同種のメスのようだが……この野郎、いつの間に?」
交差させていた顎を左右に開いて驚くダニゲラン。
その小さな丸くて黒い目がやや大きくなっている。
「シュシューッ! 初めましてダニゲラン様。アタシはノミギーラ。ノミゲラン様のメスですわ」
ノミゲランに紹介されたノミギーラが、ダニゲランにあらためて自己紹介をする。
なるほどこの方がナツミの……
結構素敵な方ね。
「あ、ああ。俺様はダニゲランだ。ノミゲランにはいつも世話をしてやっている。ギリギリギリッ」
「ギシュシュシュシュ! よく言うぜ。お世話をしているのは俺の方だろ」
たがいに笑い合う二体の怪蟲人。
「それにしてもノミゲランよ、こんないいメスをいつの間に? ギリギリギリッ!」
「ギシュシュシュシュ! そのことでお前をここに連れてきたんだよ。あれが何か知っているだろう?」
ダニゲランに奈津美の入っているカプセルをさし示すノミゲラン。
カプセルは、小さなうなりをあげて稼働中のようだ。
「ああ、融合カプセルだ。俺様もあれで作られたものだぜ」
「ギシュシュシュシュ! 実は今あの中にはこいつの連れてきた人間のメスが入っていてな。新たな怪蟲人ができあがる予定なのさ」
「ギリギリギリッ! 新たな怪蟲人? 人間のメスから?」
ノミゲランの言葉に驚くダニゲラン。
怪蟲人の融合は勝手に行えるものではなかったはずなのだ。
「ギシュシュシュ! 心配するな。ちゃんと首領様に許可は取ってある。実は先日首領様に呼ばれてな、メスが欲しいかと聞かれたのさ」
「聞かれた? メスが欲しいか? 首領様にだと?」
左右の顎が開きっぱなしになるダニゲラン。
確かに任務成功の際などに首領様から呼び出されてお褒めの言葉をいただいたりすることはあるが、メスが欲しいかと尋ねられたなどとは聞いたことも無い。
「ギリギリギリッ! それでそのメスをか?」
「ああ、俺はもちろん首領様に欲しいですと答えたのさ。そうしたら首領様がではメスを与えてやろうと言われてな。それでノミギーラを作り出していただいたのさ。ギシュシュシュ!」
なんとなく照れ臭そうに頭をかくノミゲラン。
「ギリギリギリッ! くぅーっ! いいなぁ! メスをいただくってなんだよそれ? 初めて聞いたぞ。ちくしょー! 俺様もメスが欲しいぜ」
心底羨ましそうに顎を鳴らすダニゲラン。
可愛いメスの怪蟲人など、もちろん欲しいに決まっているのだ。
「それよそれ。俺がお前をここに呼んだのもそれが理由さ。そもそも俺が首領様からメスが欲しいかと聞かれたのも、ゲジゲランさんの件があったからなんだそうだ。ギシュシュシュ!」
「ゲジゲランさんの件?」
ダニゲランもゲジゲランの名は知っている。
同じバグゲランの怪蟲人として先輩にあたる方だ。
「ギシュシュシュ! お前もゲジゲランさんのことは知っているだろう?」
「もちろんだ。最近立て続けに任務を成功させ、首領様の信任も厚いという。ギリギリギリッ!」
「ギシュシュシュ! それそれ、その任務を立て続けに成功させた理由がな、素敵なメスを手に入れたかららしいのよ。メスと一緒に任務に就くことで互いに力を出し合い、これまで以上に成果を上げる原動力となったというんだ」
ノミゲランがうんうんとうなずきながら説明する。
「なんと! メスと一緒に任務に就くことで力を発揮するだと? ギリギリギリッ!」
「そうらしいのだ。ゲジゲランさんのメスはゲジギーラさんというそうなんだが、ゲジゲランさんのためならなんでもするような尽くすメスらしく、その上残忍で人間をいたぶるのが大好きらしい。さらに美蟲だというのだからいうことなしだ。ギシュシュシュシュ!」
「ギリギリギリッ! くぅー! いいなぁ!」
「だろう? だから首領様からメスが欲しいかと聞かれた俺は、欲しいですと即答したのさ。それでこうして俺も可愛いメスを手に入れたというわけだ。ギシュシュシュ!」
そう言ってノミゲランはノミギーラの肩を抱き寄せる。
「ちくしょー! そういうわけかよ。くそーっ! いいなぁ。お前ばかりうらやましいぜ。俺様もメスが欲しいぞ。ギリギリギリッ!」
そう言ってノミゲランの肩に自分の肩をぶつけるダニゲラン。
とはいえ、ノミゲランがメスをもらったことを羨ましがってはいるものの、腹を立てたりしているというわけではなさそうだ。
むしろ二人の仲の良さを感じさせると、傍で黙って見ていたノミギーラはそう思う。
「まあ、待て待て。それでな、どうも首領様はメスをあてがうことで怪蟲人の力をさらに引き出せると見たのか、俺だけじゃなく数体の怪蟲人にメスを与えてみようとお考えになられたらしい。ギシュシュシュ!」
「ギリギリギリッ! お前だけじゃなく?」
「そうさ。あそこで稼働している融合カプセルに何が入っていると思う? ギシュシュシュ!」
やや意地悪そうにカプセルを指し示すノミゲラン。
「何がってさっきお前が言ってただろう? 人間のメスから新しい怪蟲人を作ってるって……は? まさか? いやまさか? もしかして……俺様用のメスか?」
あんぐりと顎を左右に開くダニゲラン。
「その通り。ノミギーラに用意させた人間のメスを、今お前用のメスとして融合させているところだ。ギシュシュシュ!」
「なんと! 本当か? しかし、俺様用のメスといったところで、本当に俺を好いてくれるのか? 俺たち吸血系は人間にとっては嫌われ者だ。人間を基にしたメスで大丈夫なのか?」
うれしさと不安が入り混じるダニゲラン。
人間どもがどう思おうとかまわんが、同じ怪蟲人のメスに嫌われるのはたまらない。
「ギシュシュシュ! 心配いらん。ゲジゲランさんのケースから、融合時により強く精神融合を図る調整が行われたらしい。だからすぐにお前のことを好きになってくれるはずさ。ノミギーラもさんざん俺のことを化け物呼ばわりしていたが、今ではこうだからな」
そう言ってノミギーラを抱き寄せるノミゲラン。
「ああん……それはアタシが愚かな人間だった時のことですわぁ。今のアタシはノミゲラン様の忠実なメスです。偉大なるバグゲランとノミゲラン様に身も心も捧げてますわ。シュシューッ!」
うっとりとノミゲランに寄り掛かるノミギーラ。
「ギシュシュシュ! だから安心して完成を待つといい。おそらくそんなに待たなくてもいいはずだ」
「はい。きっとダニゲラン様好みのメスが完成しますかと。シュシューッ」
「ギリギリギリッ! そいつは本当か? うおお、これは完成が楽しみだぜ!」
ダニゲランは興奮した口調でそういうと、小さな丸い目でカプセルを熱く見つめるのだった。
やがて、まるで電子レンジででもあるかのようにチーンとベルの音が鳴り響き、ゆっくりとカプセルの蓋が開いていく。
「おおっ」
思わず声をあげてしまうダニゲラン。
「ギシュシュシュ! 慌てるなよ。今取り出してやるから」
そう言ってノミゲランは背後に無言で控えていたバグドレーたちに手で合図する。
「キーッ!」
「キーッ!」
すぐに二体の真っ黒な躰をした無貌のマネキン人形ともいうべきバグドレーたちがカプセルに近づいていく。
いずれも豊かな二つの胸を持ち、括れた腰のボディラインをしていることから、この二体が人間の女性を基に作られたバグドレーであることがうかがえる。
彼女たちは肉体を変えられ、ただバグゲランのためだけに働くように改造された存在なのだ。
「キーッ!」
「キーッ!」
二体のバグドレーがカプセルの左右から手を伸ばし、中からゆっくりと一体の怪蟲人を引き上げる。
小さな頭部は固い外皮に覆われ、小さく赤い丸い目が付いている。
胸には同じく外皮に包まれた二つの乳房が付いており、そのままスマートな腹部へとつながっている。
腕と足の間の両脇には細い脚が二本ずつあり、ダニゲラン同様にワサワサと動いている。
背中部分にはやや楕円型をした甲羅のような硬い外皮があり、少々のことでは傷つかない。
茶褐色の外皮に覆われた躰は、全体的には人間の女性っぽさを残しており、まさに人間とマダニが融合したような姿をしているが、唯一口元だけはノミギーラと同じく人間のままと言ってよかった。
「キリ……キリキリ……」
二体のバグドレーに支えられながら、カプセルから外に出る奈津美。
わ……私はいったい……
頭がぼうっとする。
考えがまとまらない。
なにか気持ちのいいゆりかごのようなものに揺られていたような気もする。
ここはどこ?
私……は?
ぶるっと躰を振るわせ、まとわりついていたゼリー状の物体を振り落とす。
ふらついていた足がしっかりして、バグドレーの支えが無くても立てるようになる。
うつむいていた顔が前を向き、その小さな丸い目に輝きが戻ってくる。
「キリ……キリキリキリッ」
無意識に歯が擦り合わされて音が鳴る。
そして、だんだん頭の中がすっきりとして、自分が何者なのかを理解する。
「キリキリキリッ! あはぁん……そうだわ。アタシはダニギーラ。偉大なるバグゲランの怪蟲人ダニギーラだわ。ふふふ……」
誇らしげに自分の名を口にする奈津美。
いや、すでに彼女は身も心も怪蟲人ダニギーラへと変貌していた。
人間のままの口元に笑みを浮かべ、自らの変化した躰を喜ばしく思う彼女。
以前の傷つきやすい柔らかくもろい肉体は、固い外皮に包まれた強靭な躰となり、四本しかなかった手足も短いとはいえ両脇に四本追加されている。
この脚を使えば人間だった時よりもはるかに速く這い回れるはずだ。
なんとすばらしい躰だろう。
アタシはもう人間なんかじゃないわ。
アタシはダニギーラ。
怪蟲人ダニギーラよ。
「なんと! 本当にダニの怪蟲人のメスだ! しかもなんと美しいではないか! ギリギリギリッ!」
「おいおい、言っただろ? お前用のメスだと。ギシュシュシュ!」
驚愕の目でダニギーラを見つめるダニゲランに、ノミゲランが苦笑する。
「いや、それはそうだが……それにしてもいいメスだ。本当にあのメスが俺様のものになるというのか? ギリギリギリッ!」
「シュシューッ! もちろんですわ。今こちらにお連れいたしますね」
まだ信じられないというようなダニゲランに、ノミギーラが微笑みながらダニギーラに向かう。
「ギリギリギリッ! まるで夢を見ているようだ……」
「ギシュシュシュ! 大げさなやつだ」
ノミゲランはやや呆れつつも、そう言えば自分もノミギーラを見たときはそんな感じだったなぁとふと思い出していた。
「シュシューッ! 融合は無事に終わったわ。気分はどうかしら、ナツミ? いえ、今はダニギーラね」
「キリキリキリッ! あぁぁぁん……最高。最高よぉ。こんな素晴らしい躰になれたなんて最高に幸せだわぁ」
ノミギーラの言葉に自らを両手でかき抱くダニギーラ。
二体のメスの怪蟲人の、人間のままの口元がなまめかしい。
「それはよかったわ。これであなたもアタシと同じくバグゲランの怪蟲人。バグゲランのために働きましょうね。シュシューッ!」
「もちろんよぉ。アタシの身も心もバグゲランにお捧げするわ。バグゲランのためならなんでもするの。アタシはバグゲランの怪蟲人よぉ。キリキリキリッ!」
誇らしげに宣言するダニギーラ。
「うふふ……ほら、あなたのパートナーがお待ちかねよ。ご挨拶に行きましょ。シュシューッ!」
「パートナー?」
ノミギーラの指し示す方向に目をやるダニギーラ。
その瞬間、躰にまるで電流が走るような衝撃をダニギーラは感じた。
カツコツと足音を響かせてダニゲランの元に歩み寄るダニギーラ。
その小さく丸い目がらんらんと輝いている。
「キリキリキリッ! 初めまして! ア、アタシは……ダ、ダニギーラと言います。よ、よかったらアタシを……アタシをあなたのメスにしてくれませんか?」
「な?」
いきなり近寄ってきたうえ、まるで初心な女子高生のような告白をするダニギーラに、思わず目を丸くするダニゲラン。
「ギリギリギリッ! マジか? 本当に俺様のメスになってくれるのか?」
「は、はい! もちろんですぅ!」
融合時に行なわれた洗脳によるものではあるが、今のダニギーラにとってはダニゲランこそが求める理想のオスなのだ。
「ギリギリギリッ! い、いいだろう。お前を俺様のメスにしてやる」
言葉にできないほどにうれしいにもかかわらず、やや格好をつけたように“許可”を出すダニゲラン。
「本当ですか? うれしいです! アタシダニギーラは今後バグゲランとダニゲラン様に永遠の忠誠を誓います。アタシをいつでも好きなようにお使いくださいませ。キリキリキリッ!」
両手を組み合わせて祈るようにダニゲランにひざまずくダニギーラ。
その様子をノミゲランとノミギーラがほほえましそうに見つめている。
「ま、まあ、そういうことで……よ、よろしく頼むぞダニギーラ。ギリギリギリッ!」
「はいっ。こちらこそよろしくお願いしますね、ダニゲラン様。キリキリキリッ!」
立ち上がって幸せそうに微笑むダニギーラ。
こんな素晴らしい躰に生まれ変わったうえに、最高のオスにメスとして迎え入れられるなど幸福以外の何物でもないのだ。
ダニギーラは心からそう思う。
「シュシューッ! おめでとうダニギーラ」
ノミギーラがダニギーラに近寄って声をかける。
仲間ができたことはとてもうれしいのだ。
数日前までは二人とも人間だったはずだが、今の二人にはそれは思い出したくもない過去である。
「あぁぁん、ありがとうノミギーラ。あなたのおかげよぉ。あんな素敵な方のメスになれただなんて……いくらお礼を言っても言い足りないわぁ。キリキリキリッ!」
心からの礼を口にするダニギーラ。
「シュシューッ! いいのよそんなこと。それよりも後は……ねえ、ノミゲラン様」
ノミギーラがダニゲランと話しているノミゲランに声をかける。
「ん? なんだ? ギシュシュシュ!」
「もう一人、シラミゲラン様の分のメスもご用意すればいいんですよね? シュシューッ!」
「ギシュシュシュ! もちろんだ。俺とダニゲランにメスがいて、シラミゲランだけメス無しというわけにはいかんだろう。なあ?」
「ギリギリギリッ! おお! あいつにもメスを用意してやるのか。それはいい。やはり俺たち吸血系は三人組だからな」
ノミゲランに話を振られたダニゲランも大きくうなずく。
仲のいいグループで仲間外れは可愛そうだからな。
「シュシューッ! かしこまりました。それでは智里を……うふふ」
「キリキリキリッ! アタシにも手伝わせてちょうだいノミギーラ。きっとあの子も怪蟲人に生まれ変われたら喜ぶと思うわ」
ダニギーラがノミギーラに申し出る。
「ダニゲラン様、よろしいですか?」
振り返ってダニゲランに許可を求めるダニギーラ。
「ギリギリギリッ! もちろんだ。行ってくるがいい」
「あぁぁん、ありがとうございますダニゲラン様ぁ。キリキリキリッ!」
ダニゲランの返事に、ダニギーラは思わず喜びに身をよじってしまう。
少々洗脳の効果が利き過ぎにも見えるが、ダニギーラは強烈な幸福感に包まれているのだ。
「シュシューッ! それじゃ行きましょ、ダニギーラ」
「キリキリキリッ! ええ行きましょ、ノミギーラ」
二体のメスの怪蟲人が足音を響かせて融合室から出ていこうとする。
その口元には同じような冷たい笑みが浮かんでいた。
******
******
「ひゃぁぁぁん! シラミゲラン様シラミゲラン様シラミゲラン様ぁ! キチュチュチュー!」
「わあ、落ち着け! 落ち着くんだシラミギーラよ! ギチュチュチュチュ」
「はいー。アタシはシラミギーラですぅ。シラミゲラン様ぁ! アタシをシラミゲラン様のメスにしてくださーい! キチュチュチュ―!」
「ギチュチュチュチュ! わかった、わかったから」
「あぁぁぁん……うれしいぃぃぃ!」
カプセルから出てきたばかりのメスの怪蟲人がオスに抱き付いていく。
その場にいたほかの四体は思わず苦笑してしまう。
智里は無事に生まれ変わって、怪蟲人シラミギーラへと変化した。
カプセルに入れられる前のあの泣きわめきぶりがウソのようだ。
かなり白に近い褐色の躰は弾力のある外皮で覆われ、ややノミギーラに似ていないことも無い。
やわらかそうなお腹は少しのっぺりとしており、全体的なラインはほかの二体と同じように女性らしいラインを保っている。
彼女もまた口元は人間の時のままに形ではあるものの、他の二体と同じようにのどから針のような器官を伸ばすことで、生き物の血を吸うことができるようになっていた。
「シュシューッ! あらあらシラミギーラったら。でもこれでまた三人そろったわね」
「キリキリキリッ! ええ、これからも三人一緒で仲良くしましょうね」
シラミゲランに抱き付いて離さないシラミギーラの姿をやや呆れたように見つめつつ、ノミギーラとダニギーラはお互いに微笑んだ。
******
******
ドサッと音を立てて足元に倒れ込む男。
その躰はまるでミイラのように干からびており、わずか数分前までは生きていたとは思えない姿だ。
「キチュチュチュ! アタシたちの姿を見て生きていられると思わないでよね」
喉から伸びた針状の器官を引っ込め、口元を外皮に覆われた手の甲で拭うシラミギーラ。
彼女にとって人間の血を吸い尽くして殺すなど、簡単なことなのだ。
「キリキリキリッ! こっちも片付いたわ。これでもう生きている人間はいなくなったわね」
「シュシューッ! 今回の任務はお互いのパートナーとではなく、アタシたちにやらせてもらったけど、アタシたち三人でもこの程度の任務なら充分こなせるわね」
奥の部屋から姿を現すノミギーラとダニギーラ。
そのさらに奥にはいくつもの死体が転がっていた。
「キチュチュチュ! 当然でしょ。アタシたちはバグゲランの怪蟲人よ。下等な人間どもを始末するなど簡単なことだわ」
転がった死体を足で蹴飛ばすシラミギーラ。
「シュシューッ! あらあら……」
お互いに顔を見合わせるノミギーラとダニギーラ。
一番最後に怪蟲人となったシラミギーラだったが、一番残忍さを持っているようだ。
「ふふ……でもまあ、これでアタシたちだけでまた任務をやらせてもらうこともできそうね。キリキリキリッ」
「そうねぇ……これからも月に一度くらいはまた三人で集まりましょうか? シュシューッ!」
「キチュチュチュ! それはいいけど、早く引き揚げましょう。詳しい話はアジトに戻ってからすればいいわ」
シラミギーラの言葉にほかの二人もうなずく。
「キリキリキリッ! そうね。大事なパートナーも待っているしね」
「そう言うこと。キチュチュチュ!」
「それじゃ戻りますか。シュシューッ」
三体のメスの怪蟲人たちは、愛しいパートナーの待つアジトに向かって、闇の中へと消え去るのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/19(火) 20:00:00|
- 怪人化・機械化系SS
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ブログ丸17年達成記念SS「ゲジゲジ怪人のパートナーにされてしまった人妻」の後編です。
ゲジギーラにされてしまった梨帆がどうなっていくのか……
お楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。
******
「ギチチチチチッ! そう不満そうな顔をするな。言っただろう? お前もすぐに怪蟲人であることに慣れるさ」
「キチチチ……そうかしら?」
ゲジゲランについて歩きながらも、ゲジギーラにはとてもそうは思えない。
いや、思いたくないのだ。
躰は変えられてしまったが、心までは変わりたくない。
あの二人にこの姿を受け入れてもらうのは難しいかもしれないが、それでも二人を愛するメスでありたかった。
だが、自分が急速にこの躰を理解し始めているのはわかる。
ギザギザの歯は獲物の肉を噛み裂くのに好都合だし、においを感じるのも鼻ではなく長い触覚が感じ取っているのがわかる。
なにより呼吸も背中にある気門で行っているのだ。
人間とは全く違うこの感覚に慣れることなんて考えられない。
きっと私はこの違和感を覚えたまま、この先怪蟲人として生きるしかないのかもしれない。
ゲジギーラはそう思う。
でも……これはヒロカズさんとヒロキのためなのよ……
「ギチチチチチッ! ここだ」
しばし薄暗い廊下を歩いたところでゲジゲランが立ち止まる。
そこには頑丈な鉄の扉があり、左右にバグドレーが立っていた。
「キチチチ……ここは?」
黒々とした円形の複眼が扉を見つめる。
「ギチチチチチッ! ここは怪蟲人の訓練場のようなものだ。我々とてある程度の訓練は必要だからな」
そう言ってゲジゲランは顎をしゃくり、バグドレーに扉を開けさせる。
そこもやはり薄暗い大きな部屋だったが、ところどころにいくつか器具のようなものが置かれているのがわかる。
怪蟲人用のトレーニング器具なのかもしれない。
「ギチチチチチッ! 来るのだ」
室内に入っていくゲジゲランに、ゲジギーラはついていく。
どうあれ今は彼に従うしかないのだ。
二人を助けるためにも、表面上は怪蟲人として認めてもらうしかない。
「ギチチチチチッ! これを曲げてみろ」
差し出される太い鉄の棒。
「えっ?」
ゲジギーラは驚いた。
こんな太い鉄の棒を曲げられるはずがない。
「キチチチ……む、無理よ。私には無理だわ」
「いいから持って曲げてみるのだ。ギチチチチチッ!」
首を振るゲジギーラにゲジゲランは棒を押し付ける。
仕方なく棒を受け取るゲジギーラ。
曲げろと言われても……
ゲジギーラは棒を両手で持ち、なんとか曲げてみようと力を入れる。
ええっ?
またしても驚くゲジギーラ。
まるで針金を曲げたように鉄の棒が簡単にへの字に曲がったのだ。
確かに少しは力は必要だったが、まさか曲がるなんて……
「ギチチチチチッ! どうだ? 曲がっただろう?」
「え、ええ……まさか曲がるなんて……キチチチ……」
自分でこの鉄棒を曲げたことがどこか信じられない気もする。
だが、確かに鉄の棒は曲がったのだ。
「ギチチチチチッ! それが怪蟲人の力だ。お前は人間なんかよりもはるかに優れた力を持った選ばれた存在となったのだ」
ゲジゲランの言葉にゾクッとする快感を感じるゲジギーラ。
確かにこんな力は人間の時には考えられない力だ。
これが怪蟲人の力……
「ギチチチチチッ! 次はこれだ」
ゲジゲランは今度は鉄の板を持ってくる。
「ギチチチチチッ! 俺様が持っててやる。お前の爪でこいつを貫いてみろ」
「キチチチ……私の爪で?」
「そうだ。お前のその鋭い爪でだ。ギチチチチチッ! 」
言われてゲジギーラは自分の手を見る。
黒とこげ茶のまだらな外皮に覆われた手には、確かに鋭い爪が生えている。
これを使って……貫く……
先ほどまでなら無理だと思っただろう。
だが、今はそうは思わない。
「キチチチ……えいっ!」
勢い良く突き出されたゲジギーラの爪が鉄の板を突き破る。
鋭い爪が板を貫く感触がすごく気持ちがいい。
こんなにすごいなんて……
なんだか胸がすっとするわ……
「ギチチチチチッ! どうだ? 怪蟲人の力はすごいと思わないか?」
「キチチチチッ! ええ、思うわ。とってもすごい。こんなに私の力がすごいなんて……キチチチチッ」
ゲジギーラは自分の爪を惚れ惚れしたように見つめる。
人間だった時とは比べ物にならない力。
こんなに力があるなんてうれしくなる。
ゲジギーラはもっとこの力を試したいと感じていた。
「ギチチチチチッ! ではこれも試してみるがいい?」
ゴトリと置かれるやや大きめの耐火金庫。
普通なら人間が二三人で持ち運ぶくらいのものを、ゲジゲランは一人で持ってくる。
それだけでも怪蟲人の力の強さがわかるというもの。
「キチチチチッ! これにも穴を開けろと?」
「ギチチチチチッ! いや、これはお前の別の能力を試してもらうのだ」
「キチチチ……私の別の能力?」
いったいなんの能力だろう?
「ギチチチチチッ! ここに立ってみろ」
「キチチチ……こ、こう?」
言われたとおりに金庫に向かって立つゲジギーラ。
「ひゃぁん!」
すすっと背後に回ったかと思うと、いきなり腕を伸ばして胸を揉んできたゲジゲランに、ゲジギーラは思わず声を上げてしまう。
「キチチチ……な、なに? や、やめて……はぁぁん」
同心円状の節に覆われたゲジギーラの胸。
その先端から乳首のような突起が顔を出す。
「ギチチチチチッ! やはり思ったとおりだ。ゲジギーラの胸はたまらんぜ」
「や、やぁぁん」
そう言いながらもゲジギーラも胸を揉まれて気持ちよくなってしまう。
「キチチチ……はぁぁん……なにか……なにか変」
「ギチチチチチッ! 怪蟲人に母乳は必要ないからな。メスの怪蟲人のここはたいてい毒液の袋になっているものさ。お前のこれもそうだ」
「はぁぁん……な、なんなのぉ?」
ゲジゲランに揉まれた胸がどんどん気持ちよくなっていく。
それと同時に突起の先端からは紫色の液が垂れてくる。
「ひゃぁぁん」
やがて突起はその液を勢いよく飛ばし、金庫へと浴びせかける。
「あぁぁん……えっ? えええ?」
みるみるうちに溶けていく金庫。
液が掛かった部分がドロドロに溶けていくのだ。
「キチチチ……な、なに? なんなの?」
「ギチチチチチッ! 酸だ。まあ、消化液の一種だな。オスの俺様は口から毒液を吐くのだが、メスのお前はここから消化液の酸を出すというわけだ。酸を出すのは気持ちいいだろう?」
そう言いながらもなおもゲジギーラの胸を揉むゲジゲラン。
「はぁぁん……酸が……キチチチチ……」
ゲジギーラはゾクゾクした気持ちよさを感じていく。
オスに胸を揉まれる快感、溶けていく金庫を見たときの悦楽、人間にはあり得ない胸から酸を噴き出すという快楽。
それらが重なり合ってゲジギーラを愉悦に導いていく。
「ギチチチチチッ! どうだ? もっと揉んでほしいか?」
「は……はいぃ……キチチチチ……」
快楽に歯を鳴らしていくゲジギーラ。
怪蟲人が……
怪蟲人がこんなに素晴らしいものだったなんて……
一通り能力を確認した後に、ゲジゲランに食事に誘われるゲジギーラ。
断ることなどできない彼女は、やむなくゲジゲランと食事を共にする。
人間とは全く異なるペースト状の食事。
ゲジゲランが言うには、これは単なる栄養補給のためのものであり、美味いのは生き物の肉だという。
ゲジゲジは肉食であるから、お前も肉を食うようになるというのだ。
梨帆は別に菜食主義でもなんでもなかったので、肉を食うということに特に疑問に思うことはなかったが、ゲジゲランがそのうちお前にも肉の味を覚えさせてやると言った言葉には、少し楽しみを感じたことも事実だった。
食事のあとはゲジゲランの隣室に案内される。
元の部屋に戻してもらえる様子はなく、どうやらこれからはここが当面の住処になるようだ。
薄暗くひんやりして殺風景ではあるが、どこか感触に合うようで居心地がいい。
ゲジギーラはとりあえず部屋の隅のマットが敷いてある場所に横になる。
なんだか疲れた。
一気に人間から怪蟲人になってしまったからだろうか……
あの二人、ヒロカズとヒロキのことは気になるけど、今はどうしようもない。
いずれ私が怪蟲人として認められればなんとかできるかもしれない。
でも、それよりも……
「キチチチチ……」
ゲジギーラは歯を擦り合わせながら自分の手を見る。
指先から延びる鋭い爪。
この爪があんなに鋭く強いものだとは思わなかった。
鉄の板をも一撃でぶち抜く強さ。
おそらく建物の壁なんかも崩せるだろう。
それに歯の強さも驚いた。
最初に折り曲げた鉄の棒を簡単に噛み折ってしまったのだ。
怪蟲人なのだから当然かもしれない。
でも、その強さが気持ちいい。
「はぁぁん」
先ほどのことを思い出し、ゲジギーラは自分の胸を揉みしだく。
ゲジゲランに揉まれた時の感触がよみがえる。
ヒロカズに揉まれた時もあんなに気持ちが良かっただろうか?
思い……出せない……
「あぁぁぁん……いい……この躰……いい……」
硬い外皮に覆われているはずなのに、ぐにゅぐにゅと揉まれていく二つの乳房。
すぐに先端から突起が姿を現し、とろとろと酸があふれ出る。
気持ちいい。
これならすぐに自由に酸を出せるようになるだろう。
金庫だって溶かせるの強力な酸。
そんな酸を自分が出せることが、ゲジギーラにはうれしかった。
「キチチチチ……あぁぁぁん」
******
腕時計しか時間を知るすべがないが、今はもう深夜。
父に寄り掛かるようにして弘樹は眠っている。
泣きつかれてしまったのだろう。
何も無いこの部屋に閉じ込められてもうかなりの時間が経つ。
化け物が持ってきてくれた自分たちのバスケットの中のお弁当を食べて腹を満たしたものの、それ以外には水も食事も与えられない。
妻の梨帆の分は残してあるが、梨帆は連れ去られたまま戻ってくる気配もない。
せめて別の部屋に監禁されているとかならいいのだがと弘和は思う。
だが、そうだったにしても、何かひどい目に遭わされていたりしていないだろうか?
まさか……
思いたくはない。
妻が殺されたとは思いたくない。
朝になれば化け物が顔を出すかもしれない。
その時妻に会わせてくれるように言ってみよう。
いくらなんでもひどすぎる。
なんとしてもここから出なくては……
その時には三人そろって……
梨帆……
無事でいてくれ……
そうじゃなければ弘樹が……
弘和は息子をそっと抱き寄せた。
******
「キチチチ……私にやってほしいこと?」
ゲジゲランに呼び出されるゲジギーラ。
なんでも彼女にやってほしいことがあるのだという。
「ギチチチチチッ! お前もバグゲランの怪蟲人だからな。お前にも働いてもらうのだ」
「そんな……私は……」
ゲジギーラは違うと言いたかった。
彼女自身はバグゲランに属したというつもりは無いのだ。
これはあくまでもヒロカズとヒロキのためにやっていることであり、喜んでバグゲランの怪蟲人となったわけではないのだ。
しかし、彼女が怪蟲人として認められなければ、二人を解放することができない。
やらないわけにはいかないだろう。
ゲジゲランにちゃんと怪蟲人として認められれば、あの二人を自由にできるのだから。
「キチチチ……それで何をやればいいのですか?」
「ギチチチチチッ! なに、簡単なことだ」
また昨日とは違う部屋へと案内するゲジゲラン。
それにしてもここはいくつも部屋があるらしい。
どうもここはバグゲランのアジトと呼ばれる場所らしく、他にも怪蟲人が何体かいるとのこと。
そのうち他の仲間にも会わせるとは言うものの、今のところ怪蟲人はゲジゲランしか見ていない。
他は全身真っ黒のマネキンのようなバグドレーばかり。
ただ、バグドレーにもオスとメスがいるらしく、ゲジギーラの世話はメスのバグドレーがしてくれるという。
メスのバグドレーがどんな姿をしているのか、ちょっと楽しみではある。
「キチチチチ……ここは?」
ゲジギーラは一瞬ここがあのヒロカズとヒロキがいる部屋ではないかと思う。
だが、鉄のドアを開けて中に入ると、そこには見知らぬ二人の中年男女が怯えるように抱き合っていた。
「ひぃっ!」
「ば、化け物が二体も?」
女性をかばうように抱きかかえる中年の男。
女性も真っ青な顔でゲジゲランとゲジギーラを見上げている。
いったいこの二人は何者なのだろう?
どうしてこんなに恐怖におびえているのだろう?
「キチチチ……この二人は?」
「ギチチチチチッ! こいつらはこのあたりをうろついていたので捕まえてきた人間どもよ。奴隷労働にも向かない連中だ。お前にはこいつらの始末をしてもらう」
「えっ? 始末?」
その言葉にゲジギーラは思わず聞き返す。
「そう、始末だ。こんな役立たずどもを食わせておく必要はないのでな。ギチチチチチッ!」
楽しそうに笑うゲジゲラン。
「そ、そんな……」
ゲジゲランの言っていることは明白だ。
始末とはこの二人を殺せということ。
それをゲジギーラにやらせようというのだ。
ごくりと唾を飲むゲジギーラ。
目の前でおびえる男女は、もしかしたら自分たちだったかもしれないのだ。
この哀れな連中を始末しなくてはならないというの?
だが……ゲジギーラの中で奇妙な興奮が湧き上がってくる。
こいつらは奴隷労働にも適さない無能な連中。
下等な人間の中でもさらに役に立たない連中なのだ。
そんな連中を始末して何が悪いというのだろう。
バグゲランの役に立たない人間など生きている価値はないではないか。
それに……このおびえた表情で見上げてくる目がすごく心地よいのだ。
彼女に自らの優位性をこれでもかと言うほどに感じさせてくれるのだ。
それはゾクゾクするほどの快感。
ドキドキするほどの興奮。
無様で無力な人間をいたぶることのできる楽しさだ。
爪で引き裂くのも楽しそうだし、腕をちぎるのもよさそう。
胸から酸を出して溶かしてしまうのもいいかもしれない。
なんだかすごく楽しそうだわ。
「キチチチチ……」
歯を鳴らしながら女に向かって手を伸ばすゲジギーラ。
「ヒイッ!」
「や、やめろ!」
男が女をかばおうと前に出る。
それがゲジギーラにはなんだかとても癪に障る。
私の邪魔をしようというの?
人間のくせに……
下等な人間のくせに……
人間のくせに私の邪魔をするつもりなの?
「うわぁっ!」
ゲジギーラが軽く払いのけるだけで、男は部屋の隅まで吹っ飛んでいく。
「キチチチチッ! 邪魔をしないで!」
イラついたように怒鳴りつけるゲジギーラ。
人間のくせに余計なことをするからよ。
壁にたたきつけられて頭を抱える男を見てゲジギーラはそう思う。
いい気味だわ。
下等な人間はおとなしくしていればいいのよ。
「ひいーっ!」
グイッと女を引き寄せるゲジギーラ。
中年のさえない女で、確かに何の役にも立ちそうもない。
無様な女だわ。
ゲジギーラは女を抱きかかえるようにして立たせ、その爪で服を引き裂いていく。
「いやぁっ!」
「や、やめろぉ!」
男の声と女の悲鳴が交錯し、それがまたゲジギーラに興奮をもたらしてくれる。
この無様で下等な連中を好き勝手にできるのだ。
なんて気持ちがいいのだろう。
「ギャーッ!」
ゲジギーラの爪が女の肌を斬り裂いていく。
なんて柔らかく無防備な肌。
こんなに簡単に斬り裂けるなんて。
力もほとんどいらないぐらいだわ。
「キチチチチ……」
ゲジギーラは思わず歯を鳴らしてしまう。
血しぶきが飛び女の片腕が引きちぎられる。
ちょっと力を入れてひねれば簡単にもぎ取ることができた。
人間を傷つけるなど簡単なこと。
これこそ赤子の手をひねるようなということなのかもしれない。
硬い外皮に覆われていないなんて、哀れなものね。
女の悲鳴が消え、首ががっくりとうなだれる。
どうやら死んでしまったらしい。
ええ?
こんな簡単に死ぬの?
まだ片腕をもいで内臓を引きずり出した程度じゃない。
なんてつまらないのかしら。
こんなに簡単に死ぬなんて、やっぱり人間は下等な存在だわ。
「ああ……あああ……」
恐怖と悲しみの目でゲジギーラを見る男。
そうだわ。
まだこっちがいたわ。
こっちはオスだからもう少し楽しめるかも。
メスみたいに簡単に死なれちゃつまらないわ。
周囲に広がる血のにおいがゲジギーラを興奮させる。
「キチチチチ……」
ゲジギーラは男にゆっくりと近づいた。
やがて男も動かなくなる。
こっちも死んでしまったようだ。
足と腕をねじ切り、胸を爪で貫いたら死んでしまった。
ふん……
床に転がった男の頭を足で踏みつぶす。
まあ、少しは楽しめたかしらね。
「ギチチチチチッ! よくやったぞ」
ゲジゲランが声をかける。
正直ここまで人間を無残に殺すとは思わなかったのだ。
だが、なんとも頼もしいではないか。
「キチチチ……こんなものでよかったかしら?」
ようやく興奮が収まってくる。
足元の床は血まみれで、死体と肉片が散らばっていた。
「部屋を汚してしまったわ。バグドレーに掃除させなきゃね。キチチチチッ」
そういう仕事も彼らの仕事だということを、ゲジギーラは理解していた。
「充分だ。見事だったぞ。ギチチチチチッ!」
「ありがとう。でも褒められるようなことじゃないわ。バグゲランの役に立たないクズなど始末して当然なんでしょ? キチチチ……」
振り向いて微笑むゲジギーラ。
その笑みがゲジゲランにはとても好ましいものに思える。
「ギチチチチチッ! そうだな。役に立たない人間など始末するに限る。ところで腹は減ってないか? メシでも一緒に食おうぜ」
「いいわね。ご一緒するわ。行きましょ。キチチチチ……」
差し出されたゲジゲランの腕を嬉しそうに受け取るゲジギーラ。
二人は楽しそうに手を取って、血のにおいの充満した部屋を後にした。
******
「キチチチ……いったいどこへ行くの?」
深夜の街中を走る一台のワンボックスのシートで揺られているゲジギーラ。
「ギチチチチチッ! 深夜のドライブと行きたいところだが、一仕事することになったのでな。お前にも手伝ってもらいたいのだ」
向かいの席に座るゲジゲランがその長い触角を窮屈そうに床まで垂らしている。
「キチチチ……それならちゃんと言ってくれればいいのに」
「ギチチチチチッ! すまんすまん。行きたくないと言われたくなかったからな」
キリキリとゲジゲランの爪が頭の外骨格を掻く。
「キチチチ……そんなことしないわ。ちゃんと言われたことはします。キチチチ……」
不満そうに歯を鳴らすゲジギーラ。
もう……別にやりたくないとか言わないのに……
やがてワンボックスはある大学の前で停車する。
「ギチチチチチッ! ここから先が腕の見せ所さ。あの建物まで気付かれないように接近するのだ」
「あの建物まで?」
「そうだ。あそこはこの大学の薬学研究所でな。我々バグゲランには不都合な薬品を開発中という。その研究をつぶすのだ。俺たちの手でな。ギチチチチチッ!」
「キチチチ……そう……そう言うことなのね」
ゲジゲランの説明にうなずくゲジギーラ。
あの建物の中ではバグゲランに不都合な薬品を開発中だという。
それはバグゲランの邪魔をするということ。
バグゲランの活動の邪魔をしようとするなんて……
なんだか怒りが湧いてくる。
人間のくせに……
下等な人間どものくせにバグゲランに歯向かうなんて赦せないわ。
ワンボックスカーの影に隠れるようにして地面を這い始めるゲジギーラ。
躰の両脇にある細い歩脚たちが滑らかに動き、ゲジギーラの躰を進めていく。
はぁん……
なんて素敵なの……
人間風情には絶対に真似のできない動き。
バグゲランの怪蟲人だからこそできる動きだ。
彼女は選ばれたのだ。
偉大なるバグゲランの怪蟲人として選ばれたのだ。
それはゲジギーラにとって、とてもうれしいことだった。
鋭い爪が建物のコンクリートにあっさりと穴を開け、ゲジギーラはその中へと潜り込んでいく。
建物の床下は暗く湿っているが、ゲジギーラにはそれがかえって心地いい。
複眼はかすかな光もとらえるし、それ以上に触覚が周囲の様子を伝えてくれる。
暗闇をこうして這いずり回るのはなんて気持ちがいいのだろう。
「キチチチチ……」
思わず歯を鳴らしてしまう。
気持ちがいい。
どんどん先に這って行ける。
地面を這うのが楽しいのだ。
二本の足で歩くより動きやすいぐらいだわ。
ゲジギーラはそう思う。
自分がゲジゲジだからなのかもしれない。
それにこれからバグゲランに歯向かう連中を始末しに行く楽しさも感じる。
くふふ……
ゲジギーラの口元に笑みが浮かぶ。
彼女の後ろには、その様子を満足そうに見るゲジゲランが続いていた。
研究棟の床に穴を開けて顔を出し、周囲をうかがうゲジギーラ。
彼女の鋭い爪には床に穴を開けることなど簡単なこと。
ここはどうやら研究室の一つのようだが、この時間はさすがに誰もいないようで、室内は真っ暗だ。
もちろんゲジギーラにはその方が都合がよい。
「キチチチ……誰もいないわ」
「ギチチチチチッ! よし、よくやったぞゲジギーラよ」
彼女が室内に這い出ると同時に、彼女の開けた穴からゴソゴソと這い出てくるゲジゲラン。
その言葉にゲジギーラはうれしくなる。
やはり褒めてもらうのはうれしいものだ。
「キチチチ……ありがと。でも私には簡単なことよ」
そう言ってゲジギーラは自分の爪を見る。
本当にこの爪は素晴らしい。
この爪で今度は人間を……
「キチチチチ……」
怪蟲人であることの素晴らしさをゲジギーラは感じていた。
燃え上がる炎。
悲鳴を上げる警備員たち。
研究中の薬品も研究の成果を収めた資料もすべて爪で引き裂き、酸で溶かしていく。
コンピュータを破壊し、データも読み取れなくしていく。
バグゲランに歯向かうおろか者のやることなど消してしまうのだ。
下等な人間どもに報いを与えてやるのは気持ちがいい。
ゲジギーラはゲジゲランとともに研究所を破壊する。
なんて楽しいのだろう……
人間どもを殺すのがこんなに楽しいとは思わなかった。
最高の気分だわ。
鳴り響く警報と窓から吹き出す炎を背にして、ゲジゲランとゲジギーラはその場を後にする。
素早く地面を這い、通りのワンボックスへと戻ってくる。
ゲジギーラは這いずるようにしてワンボックスの側面ドアから車内に入り込むと、手を伸ばしてゲジゲランの手を掴む。
そしてそのまま引っ張り上げるようにして彼を車内に引き込むと、ゲジゲランがドアを閉めた。
「ギチチチチッ! ありがとうよゲジギーラ」
「キチチチ……どういたしまして」
くすっと笑うゲジギーラ。
こんなことは仲間同士なら当たり前のこと。
それなのにお礼を言ってくれるなんて。
ゲジゲランったら律儀なんだから。
ワンボックスカーは深夜の道を走っていく。
遠くでサイレンの音が聞こえてくる。
うふふ……
今頃行ったところでもう遅いわ。
ゲジギーラは仕事を終えた満足感と、それに伴う心地よい疲れを楽しんだ。
******
「「かんぱーい」」
ペコンと軽い音が響き、プラスチックのボトルが軽くぶつかり合う。
ゲジゲランはそのボトルのストローから吸うように、ゲジギーラはそのままボトルを傾けて中身を飲む。
ゲジギーラの口元が人間の時と同じ形状のため、ストローを使わなくても飲めるのだ。
甘い液体がのどを潤す。
少しアルコールも入っているようだ。
「ギチチチチッ! 任務は成功だ。よくやったぞゲジギーラ。これで俺様も首領様にお前を怪蟲人にしてもらうよう頼んだ甲斐があったというものだ」
「キチチチ……ありがとうゲジゲラン。少しでも役に立てたのならうれしいわ」
首領様にはまだお会いしたことはないが、ゲジゲランの言葉ではとても偉大な方だという。
このバグゲランを支配し、すべての怪蟲人の上に立つお方なのだそう。
そんなお方の役に立てるのは光栄であり、怪蟲人として喜ばしいこと。
いつかはお会いすることになるのだろうし、お会いできる日が楽しみだ。
ゲジギーラはそう思う。
「ギチチチチッ! それでどうだった?」
隣に座るゲジゲランが声をかける。
「キチチチ……えっ? どうだったとは?」
「楽しかったか? ギチチチチッ!」
ハッとするゲジギーラ。
確かにゲジゲランの言う通り楽しかったのだ。
壁に穴を開け床下を這いまわるのも、機材を破壊し胸から酸をかけて溶かすのも、爪で逃げようとする人間を捕まえて殺すのも、みんなみんな楽しかったのだ。
だが、それは怪蟲人であるからこその楽しさであり、怪蟲人であるがゆえにできることなのだ。
人間では味わうことのない楽しみ。
そのことにゲジギーラは気付いたのだ。
私は……
私はもう……
心まで怪蟲人になってしまったというの?
「キチチチ……そ、それは……」
ゲジギーラは言葉に詰まる。
楽しくなかったと言えば嘘になる。
それどころか心から楽しかったと言っていい。
でも……
それを言ってしまうと私はもう……
「ギチチチチッ!」
スッと席を立ち、ゲジギーラの前に立つゲジゲラン。
「あ……」
その鋭い爪の生えた手がゲジギーラの顎を持ち上げる。
そしてそのままゲジギーラを立たせると、その身をぐいと抱き寄せた。
「ギチチチチッ! 楽しかったのだろう? 何を思い悩む必要がある? お前はバグゲランの怪蟲人なのだ。楽しんで当たり前ではないか」
「キチチチ……それは……」
違うと言いかけるゲジギーラ。
だが、何が違うというのだろう?
ゲジギーラの躰はもう人間とは全く違うものになっている。
あんな無防備で醜く弱い生き物ではない。
爪の一撃であっさりと死に、身を護る外皮すらない無様な生き物。
そんな下等生物を殺して楽しんで何がいけないのだろうか……
ゲジゲランの言うとおり、私はバグゲランの怪蟲人なのではないだろうか……
「あ……待って……」
抱きしめてキスをしようとするゲジゲランを押しとどめ、顔をそむけるゲジギーラ。
「ギチチチチッ! どうした? 何をためらう? 俺たちはパートナーだ」
「キチチチ……あ……わ、私には……」
「ギチチチチッ! あの人間どもか? なぜあんな連中のことを気にかける? あの連中がお前にとって何だというのだ? くだらぬ下等生物ではないか?」
ゲジギーラがハッとして顔を上げる。
あの二人は私にとって……何?
何だというの?
どうして私はあの人間どもが大事だなんて思っていたのだろう?
以前は私も人間だったから?
でも、今の私はもう人間とは違う……
今の私はバグゲランの怪蟲人ゲジギーラ。
ゲジゲジの怪蟲人よ。
人間なんかとは違う……
「ん……」
ゲジゲランの顎がゲジギーラの唇に重なり合う。
硬い顎がゲジギーラの柔らかい唇に優しく押し付けられる。
なんて素敵な甘いキス。
ゲジギーラはそう思う。
「ギチチチチッ! もうあの人間どものことは忘れろ。お前は俺様のメスだ。俺様こそがお前の大事なオスなのだ」
「キチチチチ……ああ……はい……」
ゲジゲランの言うとおりだ。
私は何をためらっていたのだろう?
私は何を苦しんでいたのだろう?
私は選ばれたのだ。
偉大なるバグゲランの怪蟲人に選ばれたのだ。
人間という下等な生き物だった躰を捨て、このようなすばらしい躰に生まれ変わったのだ。
私はもう人間なんかじゃない。
怪蟲人ゲジギーラ。
この素晴らしい躰にしてくれたゲジゲランこそ、私の大事なパートナーではないか。
「ん……」
あらためて今度は自らゲジゲランにキスをするゲジギーラ。
彼の躰をその手でぎゅっと抱きしめる。
硬い外皮が密着し、お互いの歩脚が絡み合う。
ああ……なんて素敵。
彼こそが最高のパートナー。
私はゲジゲランのメス。
怪蟲人ゲジギーラよ。
「ギチチチチッ! どうだ? 二人で楽しまないか? たっぷり可愛がってやるぞ」
「キチチチ……ええ、喜んで」
ゲジゲランの言葉にゲジギーラがほほ笑む。
「ギチチチチッ! ならば来るがいい」
ベッドルームへと誘うゲジゲラン。
だがゲジギーラは動こうとしない。
「キチチチ……ええ。でもその前にお願いがあるの」
「ギチチッ! お願いだと?」
「ええ。とっても大事なお願いなの。キチチチ……」
ゲジギーラの目には決意が浮かんでいた。
******
「パパァ……」
悲しそうな目で父親を見る弘樹。
お腹が減っているのだ。
とはいえ、弘和にもどうしようもない。
監禁されてからもう数日が経つのだが、一日一回出されるペースト状の味もそっけもないような食い物だけが頼りなのだ。
何度も違う食事を出してほしいことや妻の梨帆に会わせて欲しいとも頼んではいるものの、あの黒いマネキン男どもは言葉が通じているのかも怪しいくらいで、まったく言うことを聞いてもらえない。
いったいどうしたらいいのか……
弘和も頭を抱えるばかりだった。
ガチャリと音がして鉄のドアが開く。
「ひっ」
小さく悲鳴を上げて弘和の影に隠れる弘樹。
いつもの黒いマネキンのようなバグドレーではなく、あのゲジゲジの化け物が入ってきたのでおびえたのだ。
さらに今日はその背後にもう一体、茶色に黒のまだら模様で躰の両側に細い脚をワサワサと動かす二体目のゲジゲジの化け物がいるではないか。
いったいどういうことなのだ?
ゲジゲランとともに二人の部屋にやってくるゲジギーラ。
恐怖に震えて父親の影に隠れている人間の子供と、子供をかばうようにして背後に隠す父親の姿がある。
名はヒロカズとヒロキ。
大事な人間だったはずなのに、こうして会うとそんな気持ちが消えていることがわかる。
こいつらは私にとって何だったのだろう?
私にとって役に立つ存在?
むしろバグゲランの役に立ちそうもないクズにしか見えないではないか。
本当に私はこの下等生物たちを大事な存在だなどと思っていたのだろうか?
逆におびえた表情の二人の顔を見ていると、ゲジギーラはゾクゾクするものを感じてしまう。
こいつらは下等な生き物。
身を護る術を持たない弱い連中。
だから強い私たちにおびえる。
そのおびえた表情を見るのはとても気持ちがいい。
もっともっとおびえさせ、人間をいたぶりたい。
ゲジギーラの心には、そういう感情が生まれていた。
「ギチチチチチッ! まだ元気そうだな?」
「お、俺たちをどうするつもりなんだ? 頼む、開放してくれ。ここのことも君たちのことも絶対に誰にもしゃべったりしない。信じてくれ」
男がゲジゲランに懇願する。
哀れな人間。
強い者にすがることでしか生きられない下等な生き物。
無様な存在だわ……
「ギチチチチチッ! そいつは俺様のパートナー次第だな」
「パートナー?」
「ギチチチチチッ! そうだ。お前らにも紹介しよう。俺様のパートナーで偉大なるバグゲランの怪蟲人ゲジギーラだ」
ゲジゲランが誇らしげにゲジギーラの肩を抱く。
「キチチチ……」
パートナーと言われてうれしくなるゲジギーラ。
彼女にとってもゲジゲランこそ大事なパートナーだ。
そのためにもここでその証を見せたかった。
「そ、そうなのか。なあ、た、頼む。もう子供も限界なんだ。俺たちを解放してくれ。それと妻に……梨帆に会わせてくれ。この通りだ」
必死で頭を下げる弘和に、ゲジギーラはなんだか可笑しくなってくる。
梨帆に会わせてくれ?
梨帆……
それはかつては自分の名前だった気がする。
だが、今ではただの音の並びにすぎないし、それが自分の名前だったなどとも思いたくもない。
そもそもこの男は目の前にいる私が誰なのかわかっているのだろうか?
触覚も持たない下等な人間にはわかるはずもないのかもしれない。
無様な気色悪い生き物だわ……
「キチチチ……ねえ、その梨帆ってメスに会いたい?」
目線を合わせるようにかがみこむゲジギーラ。
弘和の顔が正面に来るが、不思議なほどに何の感情も湧いてこないことに気付く。
この男はもう自分とは何の関係もない男なのだ。
それどころかただの下等な生き物であり、バグゲランの役にさえ立たない男なのだ。
こんな人間が生きていること自体に逆になんだか嫌悪感が湧いてくるようだ。
「会いたい。会わせてくれ。頼む。梨帆に会わせてくれ。妻の梨帆に……ぐはっ」
梨帆梨帆と連呼する男を手の甲で殴り飛ばすゲジギーラ。
「パパ!」
弘樹が父親の元に駆け寄っていく。
「梨帆梨帆とうるさい男ねぇ。梨帆だったらお前の前にいるじゃない。キチチチチッ!」
立ち上がって親子をさげすむように見下ろすゲジギーラ。
こいつらは下等なクズども。
生きる価値などないのだ。
「うう……え? 梨帆? え?」
殴られた頬を抑えつつ弘和はゲジギーラを見上げる。
「梨帆……お前は梨帆なのか?」
信じられない。
あの梨帆がゲジゲジの化け物にされてしまったというのか?
「キチチチチ……ええ、そうよ。でも私はもうお前たちのような下等生物じゃないわ。それにもう梨帆なんて名前でもないの。私はゲジギーラ。偉大なるバグゲランの怪蟲人ゲジギーラよ。キチチチチッ!」
誇らしげに胸を張り歯を擦り合わせるゲジギーラ。
そうよ。
私はもう人間なんかじゃないわ。
私は選ばれたの。
ゲジゲランのおかげで私は偉大なるバグゲランの一員に……怪蟲人ゲジギーラに生まれ変わったのよ。
ゲジギーラは心からそう思う。
悩んでいた自分がバカみたいだ。
自分はなんて幸運だったのだろう。
ゲジゲランがもし自分を選んでくれてなかったらと思うとぞっとする。
彼のような素敵な怪蟲人にパートナーに選ばれたのは最高の幸せ。
私は彼のパートナー。
ゲジゲランこそが私にとって一番大事な存在なのよ。
「キチチチチッ!」
「そんな……まさか……梨帆……げほっ!」
「パパッ!」
つかつかと近寄ってきたゲジギーラに、脚で蹴り飛ばされる弘和。
「キチチチ……お前はバカなの? 言ったでしょ。私はもうそんな名前じゃないと。私はゲジギーラよ」
黒く丸い複眼が冷たく男を見下ろしている。
「う……うう……」
痛みにうずくまる弘和。
弘樹も父のそばで震えていた。
「ギチチチチチッ! ゲジギーラよ、お前の願いというからここに連れて来たが、こいつらにまだ未練があるんじゃなかったのか?」
ゲジゲランは男たちに対するゲジギーラのふるまいにやや驚く。
「キチチチ……ああ、違うの。そうじゃないの。私は自分の気持ちを確かめたかったの……」
驚いたような表情をしたゲジゲランに、ゲジギーラはその身を寄せて腕を絡める。
「ギチチチチッ! 気持ちを確かめるだと?」
「ええ……私の中のこいつらに対する気持ちを……キチチチ……」
ゲジギーラの口元に笑みが浮かぶ。
そう……
ここに来たのは正解だった。
ゲジギーラは目の前の男たちになんの感情も湧かない自分に満足する。
当然ではないか。
私は偉大なるバグゲランの怪蟲人ゲジギーラなのよ。
人間のような下等な生き物に好意を持つはずなどないのだ。
私が好意を持つのは……
うふふふ……
ゲジギーラはゲジゲランの腕をぎゅっと抱きしめる。
この素敵なオスだけよ。
「ギチチチチッ! それで答えは出たのか?」
「ええ、もちろん。ねえ、ゲジゲラン……私、もうこいつらの顔など見たくないわ。キチチチチ……」
冷酷に言い放つゲジギーラ。
「ギチチチチッ! 本当か? こいつらを始末しても本当にいいのか? お前の大事な連中だったのではないのか?」
ゲジゲランが念を押す。
先ほどは男を蹴り飛ばしていたとはいえ、本当に未練が無くなったとみていいのか?
「うふふ……もちろんよ。私にとって大事なのはパートナーのあなた。怪蟲人ゲジゲランなの。キチチチッ」
うっとりと躰をすり寄せてくるゲジギーラに、ゲジゲランはうれしく思う。
ついにこのメスは俺様のものになったのだ。
怪蟲人に改造した甲斐があったというものだ。
「ギチチチチッ! ならばこいつらはお前の手で始末するがいい」
「えっ?」
驚いて顔を上げるゲジギーラ。
「ギチチチチッ! 以前言っただろう? お前が怪蟲人になれば、こいつらはお前の好きにさせてやると」
「キチチチチ……ああ……そう言うことだったのね」
ゲジゲランの言っていた言葉の意味を、今理解するゲジギーラ。
あの言葉はこいつらの処分を任せるということだったのだ。
だったらもう答えは決まっていた。
ゲジゲランから離れ、男たちに近づくゲジギーラ。
「キチチチ……」
そのままゆっくりと自分の胸を揉み始める。
うふふ……気持ちいい……
外骨格の節の隙間が少し開き、乳首のような突起が顔を出す。
酸を出す準備ができたのだ。
はぁぁん……
ゲジギーラが胸を揉みながら、その胸をかつての夫に向けていく。
「あぁぁぁん……キチチチッ!」
外骨格の隙間の突起から酸が勢いよく噴き出していく。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」
酸をかけられた弘和が悲鳴を上げ、その躰が焼けただれて溶けていく。
「パ、パパァッ! うわぁぁぁぁ」
目の前でジュウジュウと音を立てて溶けていく父親に泣き叫ぶ弘樹。
「あはははは……なんて気持ちがいいのかしら。人間を溶かすのは最高だわぁ。キチチチチ……」
悲鳴に重なるようにゲジギーラの笑い声が響く。
「さて、次はお前ね。キチチチ……」
ゲジギーラの複眼が弘樹を捕らえる。
「いやだぁ! ママァッ!」
それはゲジギーラに向けて言われたのではなかったかもしれない。
この場にいない過去の梨帆に向けられたものだっただろう。
「キチチチ……残念ねぇ。私はもうお前のママなんかじゃないの。私はゲジギーラ。人間のガキなんて目障りなのよねぇ」
ゆっくりと弘樹に近づくゲジギーラ。
「ひぃぃぃ……」
ああ、ゾクゾクする……
この恐怖におびえる子供の顔。
これこそが怪蟲人にとっての最高の快楽かもしれない。
ただ酸で溶かしてしまうなんてもったいないわ。
お前は私の爪でたっぷりと切り刻んであげる。
「キチチチチ……」
ゲジギーラはその鋭い爪の生えた手を少年へと振り下ろしていった。
******
鉄のドアを開けて部屋から出てくる二人の怪蟲人。
「ギチチチチチッ! ずいぶんと楽しんでいたじゃないか。自分の子供をあそこまで切り刻むなんて」
ゲジゲランも驚きを隠せない。
人間を殺すのをあそこまで楽しむようになるとは頼もしいじゃないかと思う。
「キチチチ……違うわ。あの下等生物どもと私はもう何の関係もないの。私はただバグゲランの役にも立たないようなカスを始末しただけ。過去なんて思いだしたくもないわ」
誇らしげに胸を張って廊下を歩くゲジギーラ。
これでもう自分が人間だったことなど思い出さなくて済むだろう。
いやな過去は葬り去るに限るのだ。
「ギチチチチチッ! もうすっかり身も心も怪蟲人になったようだな」
「当然でしょ。私は偉大なるバグゲランの蟲人ゲジギーラよ。キチチチチ……」
「ギチチチチチッ! これからもよろしく頼むぜ、ゲジギーラ」
「こちらこそよろしくねゲジゲラン。ねえ、さっきのお誘いはまだ有効なのかしら? 私、あなたとベッドを共にしたいわ。キチチチチッ!」
ゲジギーラがあらためてゲジゲランの腕に自分の手を絡めていく。
「ギチチチチチッ! 俺様でいいのかい?」
「もちろんよ。だってあなたは私の大事なパートナーなんだから。キチチチチ……」
ゲジギーラはゲジゲランの横顔を愛しそうに見つめる。
これからは彼とともにバグゲランのために働くのだ。
ゲジギーラはそう思い、ゲジゲランと躰を重ねるのを楽しみにするのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなどいただけますと嬉しいです。
明日は二本目の記念SSを投下いたしますね。
それではまた。
- 2022/07/18(月) 20:00:00|
- 怪人化・機械化系SS
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今日明日でブログ丸17年達成記念SSを一本投下させていただきます。
タイトルは「ゲジゲジ怪人のパートナーにされてしまった人妻」です。
タイトルを見ておわかりのように、まあ、いつもの私の作品です。
(^o^;)
寝取られ系作品となりますので、苦手な方はご注意くださいませ。
それではどうぞ。
ゲジゲジ怪人のパートナーにされてしまった人妻
「わぁいわぁい」
嬉しそうにはしゃぎながら走りだしていく少年。
軽やかな足取りでみるみるうちに遠ざかっていく。
「こぉら、弘樹(ひろき)! 走ったら危ないでしょ!」
母親の梨帆(りほ)が、駆け出していく息子に声をかける。
「大丈夫だよー!」
少年は一旦立ち止まって振り返るも、そう言って再び走り去っていく。
もう……
まったく言うことを聞かないんだから……
転んだらケガをするかもしれないのに……
梨帆は困ったものだと苦笑しながら、あとをついていくしかない。
「ははは……久しぶりに遠出してきたからな。楽しくてしょうがないんだろ」
梨帆の夫の弘和(ひろかず)が笑いながら、大きなバスケットを持ってついてきている。
もう……あなたったら弘樹には甘いんだから……
梨帆はちょっと口をとがらせる。
いつも小言を言うのは梨帆の役目になってしまっているのだ。
たまには父親が注意をしたっていいのにと思う。
「転んだりしたらケガするわ」
「ははは……少々の傷は男の子には勲章さ」
「それはそうかもしれないけど……」
男親とはこんなものなのだろうか……
ケガによっては取り返しがつかないことだってあるんだし……
まあ、男の子は元気が一番とは言うけれど、ケガをして痛い思いをするのはあの子なのよ。
梨帆はそう思う。
「ねえママー、パパ―、見て見てー!」
先に高台にたどり着いた弘樹が、両親に手を振って呼んでいる。
「おう、今行くぞ」
手を上げて応える父の弘和。
今日は家族でハイキング。
高原の高台までドライブに来たのだ。
ここは景色がいいわりに穴場のようで、今日も三人のほかにはさほど人はいない。
梨帆も朝早くからお弁当を作るのは結構大変だったとは言うものの、ハイキング自体は楽しんでいた。
「わあ、いい景色ねぇ」
高台から広がる景色に、梨帆は思わずそう口にする。
苦労してここまで昇ってきた甲斐があるというものだ。
「まったくだなぁ。周辺にめぼしい施設があるとかじゃないから、あんまり人が来ないらしいけど、景色がいいという話は本当だったな」
夫の弘和も遠くに山並みが広がる景色に感動する。
家族でハイキングに行くのにいい場所はないかと同僚に聞いたのだが、ここを教えてもらえたのはよかった。
弘和はふと隣の梨帆を見る。
ひいき目と言われるかもしれないが妻は美しいと弘和は思うのだ。
決してミスコンテストに出てくるような美人ではないかもしれないが、健康的な美しさがあると思うし、三十代半ばとまだまだ若くもある。
息子の弘樹にとってもいい母親だと思うし、自分にとっても良き妻だ。
そんな梨帆がこうして隣にいてくれることは本当にありがたいと思う。
「ん? どうかした?」
夫の視線に気づく梨帆。
「あ、いや……」
思わず気恥ずかしくなり、弘和は視線を逸らした。
「ねえパパ、あっちにも道があるよ」
そう言って弘樹がちょっと下った位置にある林の中を指さす。
パッと見には見づらいものの、よく見ると確かに小道のようなものが林の中にあるのだ。
だが、小道の先は林の奥へと向かっているような気もする。
「うーん……地元の人の道かもしれんぞ」
「行ってみようよ。何があるか確かめたい」
父はそういうものの、弘樹はウキウキした顔で振り返る。
もう、弘樹ったら……
ただの林の小道じゃない。
何も無いに決まっているのに。
ちょっとした探検をしたくて仕方がないという感じの弘樹に、梨帆はややあきれてしまう。
「そうだな、よし、行ってみるか」
だが、梨帆の思いとは裏腹に、夫の弘和は弘樹と一緒にそっちの道へと降りていってしまう。
「ええ? ちょ、ちょっと」
慌てて止めようとする梨帆。
「大丈夫だって。立ち入り禁止とかじゃなさそうだし、どこかの民家に突き当たったりしたらごめんなさいでいいだろ。弘樹の好奇心を生かしてやりたいし」
そう言いながら、すでに父と息子は丘を下ってその小道へと向かっていくところだ。
「で、でも……」
「大丈夫だって」
なおも梨帆は引き留めようとするが、二人は聞く耳を持つ様子はない。
もう……
弘和さんもこういうところがあるのよね。
林の奥で道に迷ったらどうするの?
道から外れなければ大丈夫だとは思うけど……
梨帆はそう自分を納得させ、あきらめて二人に付き合うことにする。
夫と息子からはぐれないようにしてあとをついていく梨帆。
丘を降りたところから広がる林に、分け入るようにして入っていく。
そこは確かに小道と言えば小道のようで、きちんと踏み分けられている。
林の中の緑の香りは包まれていると気持ちがいい。
木漏れ日も差してとても素敵である。
でも、虫がいそうなのが気にかかる。
虫よけスプレーはかけてきたし、リュックの中にも入れてきてはいるが、梨帆は虫が苦手だったのだ。
「ここならクワガタやカブトムシなんかもいそうだな」
「虫捕り網持ってきてれば良かったね」
「そうだな。今度来る時には持ってこよう」
すっかり男の子二人になってしまったようなそんな会話をしている父と息子。
男同士ってこういうものかもしれないと梨帆はまた苦笑する
でも、捕るのはいいが捕ってきたものを見せられたりしたらどうしよう……
弘樹は梨帆が虫嫌いと知っているはずなのに、きゃあきゃあと悲鳴を上げるのが楽しいのか、嫌がれば嫌がるほど見せようとしてきたりするのだ。
もし今回もそうしたら、きっちり怒ってやるんだからね。
「ねえ……まだ行くの? そろそろ戻った方がよくない?」
道の狭さも変わらず誰にも会うことも無い林の中の小道は、どんどん奥へと誘い込んでいるような気がして、梨帆は夫に声をかける。
こんなところじゃお弁当を広げて食べることもできないだろう。
戻って見晴らしのいいところでお昼を食べたほうがいいのではないだろうか。
「そうだなぁ……この先に何があるというわけでもなさそうだし。弘樹、戻ろうか」
「ええー? 戻るの? もうちょっと行ってみようよ。何かあるかもしれないし」
せっかく父親が戻る気になってくれたというのに、弘樹はさらに先に行ってしまう。
「ちょっと待ちなさい、弘樹!」
梨帆が呼び止めても聞こうともしない。
そのうち道の先がちょっとカーブになっているようで、弘樹の姿は樹々の間に隠れてしまう。
「しょうがないな……おーい、弘樹」
弘樹を追いかける弘和。
「もう……」
梨帆も仕方なくまたあとを追うことにした。
「あれ?」
弘和が驚く。
曲がった道の先に弘樹の姿が無いのだ。
どこに行ったというのだろう?
道を外れて樹々の間に入って行ってしまっただろうか?
「あなた?」
追いついてきた梨帆も、弘和が立ち止まってきょろきょろしていることに気が付く。
「えっ? 弘樹は? 弘樹はどこ? 弘樹?」
梨帆も息子の姿が見えないことに慌てて名前を呼ぶ。
「弘樹? どこにいる?」
二人が息子の名前を呼んでいると、突然樹々の間から数体の黒い人影が現れる。
「わあっ!」
「きゃあっ!」
驚いて悲鳴を上げる二人。
現れたのは全身が真っ黒の全身タイツを着たような格好をした男たちで、驚いたことに目も鼻も耳も無いつるんとした真っ黒の顔をしており、まるで動くマネキン人形のような姿をしていたのだ。
「キーッ!」
「キーッ!」
真っ黒の男たちは口も無いのに奇妙な声を上げながら、弘和と梨帆を素早く取り囲む。
どうやって声をあげているのか想像もつかない。
なにせ人間がマスクをかぶったような凹凸すらなく、黒いゆでたまごのようにつるんとしたのっぺらぼうなのだ。
「な、なんだお前たちは!」
「いやっ、こ、来ないで!」
梨帆は夫の影に隠れるようにして身を縮め、弘和は手にしたバスケットを前で構えて身を護るようにする。
「ギチチチチチッ! お前たち、ここに来たからには黙って帰すわけにはいかんなぁ」
さらに男たちとは違う不気味な声がして、樹々の間から異形の人影が姿を現す。
「うわぁっ!」
「ひぃぃぃっ!」
思わず悲鳴を上げてしまう弘和と梨帆。
特に虫が嫌いな梨帆は、その姿を見た瞬間に気が遠くなりそうなほどだった。
そこにはこげ茶色に黒のまだら模様の節のある躰をつやつやと輝かせ、長い触角をゆらゆらと揺らし、腕や躰の脇、脚の横からワサワサと何本もある細い歩脚を蠢かせた巨大なゲジゲジのようなものが人間のように立っていたのだ。
しかもそのゲジゲジは外側に歩脚の生えた人間のような腕で脇に少年を抱えている。
「あっ、弘樹!」
「いやぁっ! 弘樹ぃ! 弘樹を返して!」
「ギチチチチチッ! どうやらこのガキの両親か。まあいい、ここで騒がれるのはまずい。とにかく連れていけ!」
「キーッ!」
「キーッ!」
息子を取り返そうとした弘和と梨帆に、黒いマネキン男たちが掴みかかっていく。
「くそっ! 離せっ!」
「いやぁっ! 離してぇ!」
必死にその手を逃れようとする弘和と梨帆。
だが、たちまち二人は男たちの強い力で取り押さえられ、引きずられるようにして樹々の間へと連れていかれるのだった。
******
「う、うーん……」
床のひんやりとした感触に目が覚める梨帆。
どうやら気を失っていたらしい。
「梨帆、大丈夫か?」
「ママ!」
目を開けると、心配そうな夫の顔と今にも泣きだしそうな息子の顔が飛び込んでくる。
「あなた、弘樹、無事だったのね?」
梨帆は躰を起こすと二人に抱き着いていく。
弘和も弘樹も一緒に抱き合い、三人で無事を喜びあう。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ボクがもっと奥に行こうって言ったから……」
「泣かなくていいのよ弘樹。あなたのせいじゃないから」
我慢しきれず泣き出した息子を慰める梨帆。
「そうだぞ。悪いのは俺たちみんなを閉じ込めたあいつらだ。それにしても奴らはいったい何者なんだ?」
弘和も息子の頭をなでてやる。
「私……私、化け物を見たわ。おっきなゲジゲジみたいなの……」
梨帆が恐怖とともに思い返す。
「ああ、俺も見た。あれはいったいなんなんだ?」
梨帆と弘和が顔を見合わせる。
あんな巨大なゲジゲジは見たことが無いし、しかも言葉をしゃべっていたのだ。
まるでゲジゲジと人間が掛け合わされたゲジゲジ人間のようだ。
なにか悪いいたずらにでも引っかかったのではないだろうか……
「ボクも見た。いきなり襲われて目が覚めたらここにいたけど……」
どうやら弘樹はいきなり道の先にあのゲジゲジの化け物がいて、悲鳴を上げることもできずに気を失わされたらしい。
「まあ、とにかくみんな無事でなによりだ。さて、問題はここから抜け出せるかどうか……」
弘和が立ち上がって部屋の様子を調べる。
殺風景なコンクリート造りの部屋のようで、椅子もテーブルも何もない。
壁には窓もなく、ドアものぞき窓ひとつない鉄のドアで、弘和が開けようとしてもびくともしなかった。
ただ、天井は照明が埋め込まれているのかうっすらと輝いており、暗闇にはなっていない。
「くそっ、完全に閉じ込められている」
部屋を調べ終わった弘和が、腹立ちまぎれにドアをける。
「あ、そうだわ」
梨帆がポケットからスマホを取り出し、警察にかけてみる。
リュックやバスケットは奪われていたが、身に着けていた財布やスマホは取られていなかったのだ。
だが、すぐに絶望感が押し寄せる。
スマホの電波が遮断されているようで、どこにもつながらないのだ。
外への連絡手段は無いらしい。
「こうなればトイレに行きたいとかなんとか言って人を呼び、そいつに鍵を開けさせて出るしか……」
「そんなの危険だわ。もし相手が武器を持っていたりしたら……それに一人で来るとは限らないし」
弘和の言葉に梨帆は首を振る。
武器だけじゃない。
あの黒い男たちはとても力が強かった。
自分たちの力で勝てるとは梨帆には思えないのだ。
「どうしたらいいんだ……」
力なく床に腰を下ろす弘和。
梨帆にもどうしていいのかわからなかった。
だが、どうあれ生理現象というものは起きてしまうわけであり、梨帆はほどなく尿意を覚えるようになる。
とにかくトイレすらない部屋で影になる場所もない。
あったとしてもそこで用を足すというわけにもいかないだろう。
仕方なく梨帆は夫に尿意を伝えるも、弘和とて何ができるというわけでもない。
結局ドアを叩いて、外にいるかもしれない連中にトイレに行きたいことを伝えるしかなかった。
しばらくするとドアが開き、あの巨大な二足歩行のゲジゲジ人間が入ってくる。
「ひっ!」
「うわっ!」
「わあっ!」
まさかこの化け物が来るとは思っていなかった梨帆たち三人は思わず声を上げてしまう。
「ギチチチチチッ! トイレに行きたいと言ってたな。お前たちも排泄するのを忘れていたぜ」
「あ、ああ……その、妻がトイレに行きたがっているんだ。できれば俺と息子もお願いしたい」
黄色の複眼が輝き、頭部からは長い触角が揺れ両脇の細い歩脚がワサワサと蠢いている、まさに人間とゲジゲジを掛け合わせたような化け物に、弘和は恐る恐るお願いする。
三人一緒にこの部屋を出ることができれば、なんとか機会があるかもしれない。
「ギチチチチチッ! まずは女、来い!」
「きゃっ!」
いきなり腕を掴まれて引き寄せられる梨帆。
「何をする! うわっ!」
ゲジゲジ人間に捕まった梨帆を慌てて引き離そうとした弘和だが、ゲジゲジ人間の腕にあっという間に突き飛ばされてしまう。
「あなた!」
「ギチチチチチッ! お前はおとなしくしていろ」
ゲジゲジ人間は梨帆を部屋から連れ出して、ドアの外にいたあの黒いマネキン男に手渡す。
「そんな……二人にもトイレを」
梨帆はなんとか振りほどいて離れようとするが、マネキン男の力は強くてとても振りほどけない。
「ギチチチチチッ! お前たちはこれでも使っていろ!」
もう一体のマネキン男が持っていた箱のようなものを取り上げ、部屋の中に放り込むゲジゲジ人間。
「くそっ! 梨帆を離せ!」
弘和が追いかけて飛び出てこようとするが、それよりも早く鉄のドアが目の前で閉じられてしまう。
「そんな……あなたぁっ!」
手を伸ばして夫を呼ぶ梨帆。
だが、無情にも夫と息子は部屋の中に取り残される。
「ギチチチチチッ! あれは簡易トイレだ。男だけならあれで充分だろう」
「そんな……ひどい! あんまりです!」
梨帆はキッとゲジゲジ人間をにらみつける。
「ギチチチチチッ! そう言うな。トイレに行きたいんだろう? 連れて行ってやる」
鋭い爪の付いた硬い手で梨帆の顎を持ち上げるゲジゲジ人間。
「ば、場所を教えてくれれば一人で行けます」
巨大な顎を左右に広げるゲジゲジ人間に気を失いたくなるほどの恐怖を感じながらも、梨帆はなんとか目をそらすまいと必死に耐える。
「ギチチチチチッ! なかなかいい女だ。ますます気に入ったぞ。ついてこい」
梨帆の顎から手を離してくるりと背を向けるゲジゲジ人間。
歩くたびに躰の両脇に生えている細い歩脚もワサワサと蠢いている。
本当にゲジゲジと人間のかけ合わさった生き物のようで、虫嫌い、特にゲジゲジのような脚の多い虫は大嫌いな梨帆は恐怖で背筋が寒くなる思いがする。
ゲジゲジ人間が歩いていくあとを、梨帆は腕を後ろ手に押さえつけられたままマネキン男によって歩かされていく。
廊下はすぐ先がまた鉄の両開きドアになっており、そこにはやはりマネキン男たちが見張りをするように立っていた。
よく見るとマネキン男たちの腰にはベルトが巻かれており、大きな虫の顔のような模様が付いている。
いったい何のマークなのだろうか。
見たことも無いマークだわと梨帆は思う。
それにしても廊下にも全く外の見える窓が一つもない。
もしかしたらここは地下か何かなのかもしれない。
薄暗い照明しかないのでよくわからないが、いったい何のための建物なのだろう。
「ギチチチチチッ! ここだ」
ゲジゲジ人間がドアを開け、梨帆を中に入れる。
やはり薄暗く狭い部屋で、床に穴が開いている。
「えっ? トイレ?」
「排泄用の穴だ。使いづらいかもしれんが我慢しろ。ギチチチチチッ!」
そう言ってドアを閉めるゲジゲジ人間。
「えっ? ちょっと……」
なにかを言う間すら無い。
しばらく立ち尽くした梨帆だったが、仕方なくそこで済ませるしかなかった。
「ギチチチチチッ! そっちではない。こっちだ」
トイレを出て部屋に戻ろうとした梨帆を、ゲジゲジ人間は違う方向へと連れていく。
「えっ? ど、どこへ?」
このままでは夫や息子と引き離されたままになってしまうと恐れる梨帆だったが、マネキン男が無言でついていくように促してくる。
逆らったところでマネキン男が簡単に梨帆の躰を取り押さえてしまうだろう。
仕方なく梨帆はゲジゲジ人間のあとについていくしかない。
「わ、私をどこへ連れていくつもり? あなた方はいったい?」
「ギチチチチチッ! 我々はバグゲラン。黙ってついてくるのだ」
「バグゲラン?」
「そうだ。我々はバグゲラン。いずれ我々が世界を闇から支配するのだ。そして俺様はそのバグゲランの怪蟲人(かいちゅうじん)ゲジゲランだ。ギチチチチチッ!」
胸を張り顎を鳴らすゲジゲラン。
梨帆は唖然とする。
バグゲランだの怪蟲人だの聞いたことも無い。
そんな組織が本当にあるというのだろうか?
テレビか映画の撮影ではないのだろうか?
私たちはどうなってしまうの?
『ぎゃぁぁぁぁぁ……』
奥の方から男の悲鳴が聞こえる。
「えっ? い、今のは?」
思わず足が止まる梨帆。
「ギチチチチチッ! 役立たずが処分されたか、実験材料がくたばったかどっちかだろう」
ゲジゲランと名乗ったゲジゲジ人間があっさりと言う。
「ええ?」
役立たず?
実験材料?
いったい何のことなの?
「ギチチチチチッ! 心配するな。俺様はお前が気に入った。お前にはチャンスをやる。先ほど首領様にも許可をいただいた」
青ざめた梨帆を振り返り、ゲジゲランが顎を広げる。
「チャンスを? 私に? 主人と息子は?」
「ギチチチチチッ! そうだな……お前次第ということにしてやってもいい」
「私……次第?」
「ギチチチチチッ! そうだ。おとなしくついてこい」
再び歩き出すゲジゲラン。
梨帆は黙ってついていくしかなかった。
「キーッ!」
「キーッ!」
入口の左右に立っているマネキン男たちが右手を上げてゲジゲランと梨帆を迎える。
入り口のドアを抜けて部屋に入った梨帆は、そこにずらっと並んだ透明なガラスの筒のようなものに気が付いた。
「ひっ」
思わず息を飲む梨帆。
そのガラスの筒には薄いグリーンの液体が満たされ、中に裸の人間が浮いていたのだ。
まるでホルマリン漬けの人間の標本のようではないか。
いや、人間だけではない。
いくつかの中身は半分躰が真っ黒く変色したものや、それこそ今も背後に黙ってついてきているマネキン男そっくりになっているものもある。
中には女性もいるようだ。
これはいったい……
「ギチチチチチッ! これはバグドレーを生み出す装置だ」
ゲジゲランがガラスの筒の列の間を通っていく。
「バグドレー?」
梨帆もそのあとをついていくしかない。
「ギチチチチチッ! そうだ。今お前の後ろにいるやつがバグドレーだ。ここはさらってきた適当な人間をバグドレーに変化させる装置なのだ」
「に、人間を?」
梨帆は愕然とする。
まさかこのバグドレーとか言うマネキン男たちが元は人間だったというの?
梨帆は後ろをちらっと振り返る。
この無言でついてくるバグドレーも、もとは人間だったというのだろうか?
「えっ? わ、私をまさか……」
梨帆はハッとした。
トイレの後でこっちに連れてきたのは、このガラスの筒に自分を入れるつもりだったからなのではないだろうか?
「ギチチチチチッ! 心配するな。こいつらは命令に従うだけの人形のような存在にすぎん。お前をそんなものにするつもりはない」
ゲジゲランはそう答える。
「じゃ、じゃあどうして?」
私をここに連れてきたのだろうか?
疑問に思う梨帆。
「ギチチチチチッ! チャンスをやると言っただろう。お前は怪蟲人になれ。俺様と同じ怪蟲人になるんだ」
「ええっ?」
梨帆の顔が青ざめる。
「ギチチチチチッ! これは人間を蟲と融合させ怪蟲人を生み出す装置だ。いわば蛹のようなもの。この中でお前は怪蟲人になるのだ」
ガラスの筒のならんだ奥に置かれたカプセル状の機器の前でゲジゲランは立ち止まる。
どうやらこのカプセルがその装置らしい。
「か、怪蟲人に?」
梨帆の膝ががくがくする。
私に化け物になれというの?
それも大嫌いな虫に?
「そうだ。俺様は最初に見たときからお前が気に入ったのだ。お前は美しい女だ。そして俺様は以前からメスが欲しかった。お前は俺様のように怪蟲人になれ。怪蟲人となって俺様のメスになるのだ。人間をいたぶり殺すのは楽しいぞ。ギチチチチチッ!」
「そんな……いやっ! いやです! いやぁっ!」
梨帆は真っ青になって首を振り、その場を逃げ出そうとする。
だが、すぐに背後にいたバグドレーが彼女を捕らえてしまう。
「いやよぉ……助けてぇ!」
必死にもがく梨帆。
虫の化け物になんかなりたくない!
「ギチチチチチッ! なぜだ? お前は選ばれた存在になれるのだ。怪蟲人となって俺様のメスになれ! 俺様とともにバグゲランのために働くのだ」
「いやです! 絶対にいやっ! あなたなんかのメスになんてならない! 私には主人も子供もいるの! 絶対にいやぁっ!」
たとえここで殺されても化け物のメスになんてならない!
梨帆は必死に拒絶し、バグドレーを振りほどこうとする。
弘和さんや弘樹を裏切るなんてできないし、虫になるなんて耐えられない。
「ギチチチチチッ! そうか……だが、お前が拒否すればあいつらは死ぬ」
ギラリと光る右手の鋭い爪を見せるゲジゲラン。
「えっ?」
思わず梨帆の動きが止まる。
「お前が拒否すればと言ったのだ。お前がどうしても怪蟲人にならないというのなら、俺様はあいつらを殺す。あのガキなどはさぞかし肉が柔らかくて引き裂きがいがありそうだ。ギチチチチチッ!」
顎を左右に広げて笑うゲジゲラン。
「そ、そんな……ひどいわ! 卑怯よ!」
夫と息子を人質に取られたことに気付く梨帆。
だが、どうしようもない。
ここで拒否し続ければ二人は……
この化け物たちは、それこそなんのためらいもなく二人を殺してしまうに違いない。
梨帆は天を仰いだ。
「わ、私が怪蟲人になれば……二人は開放してくれますか?」
梨帆はキッとゲジゲランをにらみつける。
「ギチチチチチッ! お前次第だ」
「二人を傷付けないと約束してくれますか?」
「ギチチチチチッ! 俺様は手を出さないと約束しよう」
しばらく無言ののち、やがて梨帆はうなだれる。
「わ……わかりました。か、怪蟲人になります」
絞り出すようなかすかな声で答える梨帆。
「ギチチチチチッ! それでいい。なに、お前もすぐに怪蟲人のすばらしさを感じるようになる。人間だったことなど忘れたいと思うようになるぞ。ギチチチチチッ!」
ゲジゲランはそう言って梨帆の肩に手を置いた。
着ているものを全て脱がされ、裸でカプセルの前に立たされる梨帆。
ゆっくりとカプセルが開く。
中には何か黄色いゼリーのようなものが満ちている。
この上に寝ろと言うのだろうか?
梨帆は恐る恐る足を入れてみる。
ずぶずぶと沈み込んでまとわりついてくるような感触だ。
だが、温かくて気持ちがいい。
「ギチチチチチッ! 怖がることはない。その中に横になればいい」
梨帆は覚悟を決めてカプセルの中のゼリーの上に横になる。
躰が半分ほど沈み、なんだかふわふわとした感じで宙に浮いているかのよう。
あなた……弘樹……ごめんなさい……
自分はこれから怪蟲人にされてしまう。
でも、こうしないと二人を助けることができないのだ。
二人を助けるにはこうするしかない。
「ギチチチチチッ! お前は俺様と同じゲジゲジの怪蟲人になるようにセットしておいた。なに、俺様もそうだったが、すぐに怪蟲人になってよかったと思うようになるぜ」
ゲジゲランはそう言ってカプセルの蓋を閉める。
ああ……そんな……
よりにもよってあの化け物と同じゲジゲジだなんて……
梨帆の目から涙がこぼれる。
だが、蓋が閉められて真っ暗になると同時にゼリーがカプセル内に充満し始め、梨帆の顔も躰も覆っていく。
「ぐっ……げぼっ」
鼻も口も覆われてしまい息ができなくなる梨帆。
だが、ゼリーが口から気管に入り込んで肺に達すると、不思議なことに息ができるようになっていく。
うそ……息ができる?
梨帆は驚いたが、じょじょに呼吸に慣れてきて気にならなくなっていく。
それにゼリーに包まれた躰はぽかぽかとしてとても気持ちがいい。
まるでお風呂で全身浴をしているようだ。
でも……これからどうなるのだろう……
だが、どんなことになろうとあの二人だけは……
化け物になったとしても心だけは……
あなた……
弘樹……
******
「パパ……」
部屋の隅で膝を抱えてうずくまっていた弘樹がぽつりとつぶやく。
「ん?」
こちらも部屋の壁を背もたれにして、足を投げ出して座っていた弘和が返事をする。
「ママ……遅いね」
「ああ……そうだな……」
それは弘和も感じていたこと。
トイレに行っただけにしては遅すぎるのだ。
「もしかしてママは……もう戻ってこないの?」
「そんなことはないさ……ほら、ママは女性だからいろいろと時間がかかるんだよ」
自分でも半信半疑ながらそう答えるしかない弘和。
戻ってこないなんて……あるものか……
だが、いったい何をしているのか……
いや、いったい何をされているのだろうか……
悪い想像ばかりが頭をよぎる。
「ママ……」
「大丈夫だ……ママはきっと戻ってくるさ。大丈夫だ……」
父はそう息子に答えるしかなかった。
******
「ん……」
薄く光が差し込んでくる。
頭がぼうっとする。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
カプセルが開いていく。
あれからどのくらい経ったのだろう?
私はどうしてこんなところで寝ていたのだろう?
「あ……」
手をぐいと引かれ、上半身がゼリーの中から引きずり出される。
躰にまとわりついたゼリーがずるずると落ち、躰が外気に触れていく。
外の空気のにおいが感じられ、他にも誰かがいるのがわかる。
誰がいるのだろう?
「キチチチチッ」
変な音が聞こえる。
何の音だろう?
梨帆は不思議に思う。
どこから聞こえてきたのだろう?
「ギチチチチチッ! どうやら融合が終わったようだな。カプセルの外へ出してやれ」
こっちは……
聞き覚えのある声。
なぜかその声が梨帆には心地よく感じる。
ゲジゲジの怪蟲人ゲジゲランの声だわ。
「キチチチチッ」
また……
この音は何?
「キーッ!」
グイッと躰が持ちあげられるような感覚がして、両脇から持ち上げられるようにカプセルの外へと運び出されていく。
だ、大丈夫よ……
ちゃんと一人で起きられるわ。
梨帆はフラフラした脚でなんとか立とうとする。
なんだか自分の脚がまだうまく動かないのだ。
バランスがまだ取れなくて、まるで初めてハイヒールを履いた時のよう。
それに両脇から生えている歩脚も、まだ動きがバラバラでぎこちない。
左右からバグドレーたちが支えてくれるのがありがたく感じる。
バグドレーはこういうときにも役に立つのだ。
ふふ……
便利な連中なのね……
やっと動きが慣れてバランスが取れてくると、彼女は自らバグドレーから離れ、自分の躰を見下ろしてみる。
細かな像がたくさん見えるような気がして見えづらい。
だが、それもすぐに気にならなくなっていく。
とても多くの小さな画像が一つにまとまってちゃんと見えてきたのだ。
目に問題は無いらしい。
つややかに輝くこげ茶色に黒のまだらが混じった外皮。
節が連なったような躰からは、腕や脇の両側に細い歩脚が伸びて蠢いている。
脚の付け根や腰のあたりは互いの外皮が重なった関節のようになっている。
足先はつま先が二つに分かれて硬い爪が生えており、かかとは高いハイヒールのようになっていた。
両手も外皮に包まれ、黒々とした指先には鋭い爪が尖っている。
胸には形の良い二つの丸い半球がこちらもつややかに黒々とした同心円状の節で覆われ、盛り上がっていた。
これが私?
まるでゲジゲジのような躰。
ああ……そんな……
私はゲジゲジになってしまったんだわ……
ゲジゲランの言うとおり、私はゲジゲジにされてしまった……
自分の躰が変わってしまったことに少し悲しみを覚える梨帆。
だが、不思議なことにいやだとは感じない。
それどころか、今の自分の躰が愛おしくも感じてしまう。
少なくともゲジゲジに対する嫌悪感は消えていた。
「キチチチチッ」
まただわ……
いったい何の音なのかしら……
「ギチチチチチッ! おお、なんとすばらしい姿の怪蟲人の誕生ではないか」
ぬっと目の前にあらわれるゲジゲジの怪蟲人。
ゲジゲランの姿だ。
長い触角がゆらゆらと揺れ、両側に生えた細い歩脚がワサワサと嬉しそうに蠢いている。
「キチチチチッ」
「ギチチチチチッ! 歯を擦り合わせる音もいい音だぞ」
歯を擦り合わせる?
梨帆はあらためて指で触って自分の口の動きを確かめてみる。
「キチチチチッ」
すると無意識のうちに歯と歯が擦れ合って音を出していることに気付いた。
口元こそ人間のままの唇の形のようだったが、歯はすっかり変化してギザギザの鋭い歯に変わっており、それが擦り合わさって音を出していたのだ。
これは私の音だったんだわ……
そんな……
私がこんな音を出していたなんて……
「キチチチチッ」
だが、出すまいと思っても、口が自然に動いて歯を擦り合わせてしまうのだ。
「ど、どうして? キチチチチッ」
しゃべると歯がまた擦れ合って音が出る。
どうやらしゃべると自然に出る音のようだ。
そういえばゲジゲランもしゃべるたびにギチチチチチッと音を出していたではないか。
彼と同じなんだわ。
そんな……
私も……この怪蟲人と同じに……
ゲジゲジになってしまった……
「ギチチチチチッ! おめでとう。とても素敵で美しい姿だ。これでお前もバグゲランの怪蟲人になったのだ」
ゲジゲランが嬉しそうに梨帆の姿を見つめている。
怪蟲人……
違うわ……
私は人間……
たとえ姿はこんなになってしまったとしても、私は人間よ……
必死にそう思い込もうとする梨帆。
心まで怪蟲人になるものですか。
梨帆はそう自分自身に言い聞かせる。
「お前は俺様と同じゲジゲジの怪蟲人だ。そうだな……ゲジギーラと名乗るがいい。バグゲランの怪蟲人ゲジギーラだ。ギチチチチチッ!」
「キチチチチッ! ゲジ……ギーラ?」
違うわ……
梨帆は否定する。
私は……
私の名は……
梨帆は思い出そうとしたが、なぜかよく思い出せない。
それどころか、ゲジギーラという名前がすうっと躰の中にしみこんでくるような気がするのだ。
まるで以前からその名であったかのように。
私は……
私はゲジギーラ……
私は怪蟲人ゲジギーラ……
ち、違うわ!
梨帆は首を振る。
私は……私は怪蟲人なんかじゃない!
躰は……
躰は確かにゲジゲジにされてしまったかもしれないけど……
でも私は……
私は沢岸(さわぎし)……
沢岸梨帆よ!
ゲジギーラなんかじゃ……
自分の名前をやっとのことで思い出す梨帆。
だが、彼女の目に映る自分の躰は黒とこげ茶のまだらになった節で覆われたゲジゲジの躰。
まさにゲジゲジと人間が融合した姿に他ならない。
それに梨帆という名前すら、どこか別人の名前のように感じてしまい、ゲジギーラという名前の方が自分の名前に感じてしまうのだ。
ああ……
そんな……
私は……
心まで怪蟲人にされてしまうの?
がっくりとへたり込んでしまう梨帆。
泣きだしそうになり両手で目を覆ってしまう。
だが、ゲジゲジの複眼は涙を流すようにはできていない。
それどころか目を閉じることさえできないのだ。
ああ……私は本当にゲジゲジになってしまったんだわ……
梨帆は悲しかった。
「ギチチチチチッ! ど、どうしたのだ?」
いきなり床にへたり込んでしまったゲジギーラにゲジゲランは戸惑う。
なにか融合時に問題でもあったのだろうか?
せっかくこんな美しい怪蟲人が完成したというのに、失いたくはない。
「だ、大丈夫か、ゲジギーラよ……ギチチチチチッ!」
どこか戸惑いながらゲジギーラに近づくゲジゲラン。
その肩に触れてもいいのかどうか悩んでいるようだ。
「え、ええ……大丈夫。キチチチ……わ、私は……私はゲジゲジになってしまったんですね……」
悲しそうにうつむくゲジギーラ。
「ギチチチチチッ! そうだ。だがどうやらお前にはまだ人間の意識が色濃く残っているようだな。うーむ……融合時に人間の意識を引きずることはあるらしいが……まあ心配ない。その躰になじんでくれば、すぐに意識も変わってくるだろう。怪蟲人になれたことを喜びに感じるようになるのだ。ギチチチチチッ!」
ゲジゲランはゲジギーラの肩にそっと手を置いた。
そうなのだろうか?
いずれはこの躰に慣れてしまい、怪蟲人として生きるようになってしまうのだろうか?
そうなってしまったら……もう……
「キチチチ……二人は……あの二人は開放してくれるんですよね?」
ゲジギーラが顔を上げる。
「ギチチチチチッ! 二人とは?」
ゲジゲランが驚いたように手を引っ込める。
「あの人間の男たち二人です。私が怪蟲人になれば解放してくれるという約束だったはずよ。キチチチチッ」
とぼけたようなゲジゲランにゲジギーラは言葉を強くする。
その約束が無ければ怪蟲人になどなったりはしなかったのだ。
「ギチチチチチッ! ああ、あの二人か。安心しろ。お前がちゃんと今後バグゲランの怪蟲人として働くならお前の好きにさせてやる。だが、今はまだダメだ」
「キチチチ……そ、そんな……ひどいわ! 約束が違うわ!」
愕然とするゲジギーラ。
「ギチチチチチッ! 違わんさ。どうやらお前はまだ完全に怪蟲人になったとは言えないようだからな。完全に怪蟲人になったらお前にあの二人を任せてやろう」
「完全な……怪蟲人に?」
「ギチチチチチッ! そうだ。身も心も怪蟲人になった時だ。そのためにもお前にはその躰の良さを理解してもらわなくてはな、来るのだ」
ゲジゲランが焦げ茶色の外皮に覆われた手を差し出す。
騙されたような気がして不満だったものの、ゲジギーラはその手を取って立ち上がるしかなかった。
(続く)
- 2022/07/17(日) 21:00:00|
- 怪人化・機械化系SS
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今日で当ブログ「舞方雅人の趣味の世界」は、2005年7月16日の開始より丸17年が経ちました。丸17年、満17歳ですかー!
とても信じられない気持ちです。
( ˘ω˘) マジデスカ?
そして今年の7月16日は、開設した2005年7月16日と同じ土曜日なんですよー。
あの日も土曜日だったんですね。
Σ( ºΔº )
で、調べてみましたら、2011年と2016年の7月16日も土曜日でした。
Oh 今年が初めてじゃなかったのか。
_(:3 」∠)_
2005年からですと、当ブログ開設の日に生まれた赤ちゃんはもう高校二年生。
いやもう青春真っ盛りじゃないですかー。
いいなぁ。
(´▽`)ノ
いやぁ、毎年長く続けてるなぁと言ってますけど、今年も一年乗り切りました。
ここからは18年目に突入です。
やっぱり長いなぁ。(笑)
これも本当に皆様のおかげです。
皆様が作品を読んでくださり応援してくださるおかげです。
本当に本当にありがとうございます。
ヾ(゚ー゚*)ノ゙
これからもできる限りは続けていこうと思っておりますので、今後とも応援よろしくお願いいたします。
18年目の「舞方雅人の趣味の世界」も楽しんでいただければと思います。
ということで、明日は記念SSを投下する予定です。
三連休の楽しみの一つにしていただけましたら幸いです。
今日はこんなところで。
18年目の当ブログをこれからもよろしくお願いいたします。
- 2022/07/16(土) 18:00:00|
- 記念日
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昨日のプロ野球は阪神日ハムともに勝利で、これで阪神は巨人戦にカード勝ち越し、日本ハムは6連勝となかなかに気分がいい状況。
このまま週の後半に突入してほしいところなのですが、ちょっと気がかりなことが阪神に。
今季のプロ野球も新型コロナウイルスの影響を受けてしまっているわけですが、このところヤクルトと西武がチーム内に感染者が何人も出てしまっている様子です。
特にヤクルトは試合をするのも大変な状況で、二軍から選手を呼んで何とか試合を進めているとのこと。
チーム戦力としては大きく低下しているようです。
そして阪神にも新型コロナの陽性反応が出てしまったり、濃厚接触者ということで抹消されたりという選手が出てしまいました。
そのために大山選手とケラー投手、坂本捕手の三人が現在踏力抹消となっており、これもチームとしては痛手ですねぇ。
今のところそれ以外の選手の陽性反応は見られないとのことではありますが、どんなに気をつけても感染してしまうことはありますので、広がらないことを祈るのみです。
日本ハムにしても他人ごとではないですし、選手層の薄いハムでは数人が離脱となれば本当につらいことになってしまいます。
こちらも気をつけてほしいですね。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/15(金) 18:02:21|
- スポーツ
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今日は定期通院で二ヶ所の病院をはしごしてきました。
病院のはしごなんてしないで済むならしたくないものですけどね……
_(:3 」∠)_
とはいえ、ここのところお腹の調子もあんまりよくないので、定期通院ついでにそのことも相談してみたところ、そういうことであればまたエコーと胃カメラの検査をしてみましょうということに。
何も無ければそれに越したことはないですし、何かあったら早期発見できた方がいいので、もちろん検査をお願いしたわけなんですが、残念ながら検査の日程が二ヶ月先。
Σ( ºΔº ) ナンデスト
いや、まあそう簡単に悪化したりもしないでしょうから、二ヶ月先でもいいんでしょうけど、結構先ですよなぁ。
行っているところがあんまり検査の担当の人とかいないみたいだからなぁ。
しゃあないですかねー。
とりあえずいつもの検査の数値は前回より良くなっていたので、それはよかったところ。
晩酌を土日に限ったのが良かったのかな?
(*´ω`)
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/14(木) 18:19:16|
- 日常
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今月のタミヤニュース639号が到着しました。

こちらが表紙。
今号はアメリカ海軍の第110空中早期警戒飛行隊(上)と、第120空中早期警戒飛行隊(下)のマークとのこと。
空中早期警戒飛行隊ということは、E-2あたりを使っているんでしょうかね?
今号の「博物館をたずねて」は、イギリスの艦隊航空博物館。
英国海軍の航空戦力を中心とした博物館だそうで、ソードフィッシュ雷撃機やその後継のアルバコア雷撃機、シーフューリー戦闘機などに混じって、のちのハリアーVSTOL機の元となった実験機ケストレルもあるとのこと。
「第二次大戦イタリア軍装備解説」はイタリア戦車部隊の発展と装備の1回目。
第一次大戦時のランチア1Z装甲車に始まり、巨大なフィアット2000戦車、ルノーFTをもとに開発したフィアット3000戦車などが作られ、フィアット3000は大日本帝国陸軍でも研究用に輸入されたとのこと。
その後はカーデンロイド装甲車から発展した豆戦車CV33やその改良型のCV35が作られ、第二次大戦序盤へと続くことに。
以後は次号のようです。
「第二次大戦機の真相と深層」は、アメリカ空軍博物館におけるレストア作業で見た日本海軍機紫電改。
優秀な機体と言われることも多い紫電改が、水上戦闘機から改良されたことによるいびつさや、当時の日本の工業力の限界も見えてくるという話でした。
他にも「艦船よもやま話」の16回目や、「戦跡をたずねて」ではフィンランドのオーランド諸島を、巻中の情景写真では新製品のM18ヘルキャットを使った情景、3年ぶりに本格開催された静岡ホビーショーの様子など面白い記事が載っており、今号も楽しませていただきました。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/13(水) 18:43:56|
- タミヤニュース
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おやおやおや?
(*´ω`)
昨日、床屋に行ってきましたので、ついでに本屋に寄ってしまったわけですよ。(笑)
もうね、そうしたら買ってしまうじゃないですかー。
(^o^;)
やっぱり思ったとおりに6巻だけじゃ済まずに7巻も買ってしまいましたですよ。
これもあららっという間に読んでしまうんでしょうねぇ。
6巻の表紙は5巻で登場したロイドさんラブのお方。
この方も有能なスパイさんのようですが……
( ˘ω˘).。oO (結構ポンコツの気がする)
その評価が合っているかどうかは読んでみて確かめたいです。
でも、読んだらまた次が欲しくなりそうで……
(>o<")
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/12(火) 18:26:19|
- 本&マンガなど
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選挙特番のため「鎌倉殿の13人」の無い日曜夜を過ごし、一夜明けて選挙の最終結果を確認した後、今日は床屋に行ってきました。
(*´ω`)
もういい歳ですのでやや薄かったり白髪ばっかりの髪ですが、やっぱり伸びてきますので床屋は必要。(笑)
一緒に白髪も染めてもらって黒々した髪に。
髪だけは若返りましたぞ。
(^o^;)
人間の肉体もなんか液体に浸したら、数か月ぐらい若々しく見えるようになりませんかねー。
効果が切れると元に戻ってしまうのは難点かもしれませんけど。
あと、体力とかはそのままだったりするので、若い見かけのくせにすぐ息切れするみたいな。(笑)
それでもいいから使いたいという人はいそうですよねー。
今日は短いですがこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/11(月) 17:56:10|
- 日常
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今週の阪神と日本ハムは、結果的には両チームとも勝ち越しでした。
ヾ(゚ー゚*)ノ゙
日本ハムは千葉でロッテに1勝2敗と負け越しでしたが、福岡ではソフトバンクを3タテ勝利。
4勝2敗で勝ち越しです。
今日も最後は怪しかったですが、なんとか勝てましたねー。
また、今日は打てませんでしたが清宮選手がホームランを量産しましたね。
11号まで増えましたが、なんとここまで全部ソロホームランというのも珍しい。
ランナーいる時に打ってほしいですが、まあ、ホームランが出るようになってきたのでよかったよかった。
一方阪神は今週は3試合しかしてません。
甲子園での広島戦は1試合が雨天中止で1勝1敗。
そのあと神宮でヤクルトに1勝したのですが、気の毒なことにヤクルトに新型コロナの陽性者が多く出てしまい2試合が中止に。
結局2勝1敗で勝ち越しです。
ということで両チームともに勝ち越せたのはよかったです。
来週は日本ハムが火曜日おやすみで、水曜から静岡で楽天と2連戦のあとまた一日開けて土曜日曜と札幌で西武との2連戦。
阪神は甲子園で巨人と3連戦のあと、同じく甲子園で中日と3連戦です。
来週も勝ち越せるよう頑張ってほしいですね。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/10(日) 17:55:36|
- スポーツ
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今日は午前中をちょっと創作に費やしたので、午後からウォーゲームのソロプレイ。

ということで、短時間でもプレイして楽しめる「スエズを渡れ」(SPI/HJ:Basic3)を遊ぶことに。
暑いときは中東の砂漠に。
(*´ω`)

初期配置はもうユニットに記載のヘクス番号に並べるだけの固定配置。
展開がやや固定化されますけど、初心者向けとしてはこの方が楽でいいですよね。
このゲームは第四次中東戦争を扱っており、茶色がエジプト軍、グレーがイスラエル軍です。
勝利条件はイスラエル軍が盤を横切る二つの道路のうち少なくとも片方を確保し、さらに6ユニットをスエズ運河渡河ボックスに送り込まなくてはなりません。
エジプト軍はそれを阻止します。

第1ターン終了時。
イスラエル軍はエジプト軍ユニットを除去していきますが、相互損害で自らもユニットを失うことに。

第2ターン終了時。
イスラエル軍は最低でも南側の道路を通すべくエジプト軍を追い上げます。

第3ターン終了時。
エジプト軍は損害がかさんですでに戦線を維持することができないような状態に。
きびしいーい!
(>o<")

第4ターン終了時。
うごごごご……
エジプト軍がほぼ壊滅。

第5ターン終了時。
イスラエル軍もエジプト軍もすべての増援が出尽くした状態。
そしてイスラエル軍はスエズ運河渡河ボックスに二個ユニットを送り込んだ。

エジプト軍は隣接ユニットを指定して1の目が出れば除去できるという「砲撃」がようやく効果を出しはじめますが、時すでに遅し。

第6ターン終了時。
ついにイスラエル軍はスエズ運河渡河ボックスにユニット六個を送り込みます。

最終ターン終了時。
相互損害で南側の道路にエジプト軍のZOCが重なってしまいましたが、北側の道路は通っているためにイスラエル軍が勝利条件を達成。
イスラエル軍の勝利となりました。
約二時間ほどのプレイですが、面白かったです。
このゲームは短時間でプレイできるいいゲームだと思います。
(´▽`)ノ
今回のツイートまとめはこちら。
22年7月9日の午後に「スエズを渡れ」(SPI/HJ:Basic3)をソロプレイした時のツイートまとめ今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/09(土) 18:25:40|
- ウォーゲーム
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今日は大きな事件が起こってしまいました。
ちょっとショックでなんとも気持ちが落ち着きません。
ただただ残念です。
本日午前中、奈良県で参議院選挙の応援演説中の安倍晋三元首相が銃撃を受け、先ほどお亡くなりになられたと発表がありました。
銃撃した犯人はその場で取り押さえられ、凶器と思われる自作の銃らしきものも確保されたとのこと。
犯人の動機等は今後の捜査である程度明らかになるのでしょうが、今のところは情報が錯綜しているようです。
本当にショックです。
銃による犯罪は日本でも無いわけではないですし、政治家なりVIPを狙う事件も無いわけではなかったですが、政治家が銃撃を受けてお亡くなりになられたのは、07年に長崎市の伊藤一長市長が暴力団員の銃撃で死亡した以来ではとのことで、国会議員レベルでは戦後初めてではないでしょうか。
(銃撃以外でお亡くなりになられた方はいらっしゃいます)
ただただ残念です。
このような形でお亡くなりになられますとは……
ご冥福をお祈りいたします。
以上です。
- 2022/07/08(金) 18:51:11|
- ニュース
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暑いよー!
_(:3 」∠)_
ここ数日札幌も真夏日が続いて暑いです。
家はエアコンが無いのでしんどいー!
(>o<")
まあ、以前はこんなに暑いのは7月末から8月半ばくらいまでだったのですけど、今はもう6月下旬から9月頭くらいまで暑いですもんねぇ。
これもやはり温暖化なんですかねぇ?
おかげさまで冷蔵庫の冷凍室にアイスが欠かせませんわぁ。(笑)
チョコモナカジャンボだのモナ王だのを「標準装備」ですね。
(´▽`)ノ
明日も暑くなりそうなんですが、湿度が低くなりそうということで少し楽になりそうです。
じめじめするのは勘弁してほしいですからねぁ。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/07(木) 18:42:17|
- 日常
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今月26日と27日に行われます今年のプロ野球のオールスターゲーム。
そのファン投票の結果が今日発表になりましたねー。
全セ 括弧内は所属球団と選抜回数
先発投手 青柳晃洋(阪神、3)
中継ぎ投手 湯浅京己(阪神、1)
抑え投手 大勢(巨人、1)
捕手 木下拓哉(中日、2)
一塁手 中田翔(巨人、9)
二塁手 牧秀悟(DeNA、1)
三塁手 村上宗隆(ヤクルト、3)
遊撃手 坂本勇人(巨人、13)
外野手 佐藤輝明(阪神、2)
塩見泰隆(ヤクルト、1)
近本光司(阪神、3)
全パ
先発投手 佐々木朗希(ロッテ、1)
中継ぎ投手 又吉克樹(ソフトバンク、3)
抑え投手 松井裕樹(楽天、5)
捕手 松川虎生(ロッテ、1)
一塁手 山川穂高(西武、4)
二塁手 浅村栄斗(楽天、9)
三塁手 野村佑希(日本ハム、1)
遊撃手 今宮健太(ソフトバンク、6)
外野手 柳田悠岐(ソフトバンク、8)
吉田正尚(オリックス、4)
松本剛(日本ハム、1)
DH ブランドン・レアード(ロッテ、5)
とのこと。
阪神からはなんと四人が選出。
チーム状況を考えますと、人気の高さがやはりうかがえますねぇ。
日本ハムからは三塁の野村選手と外野で松本選手が選出です。
こちらは今年の活躍が票を集めたということでしょうね。
他にはロッテの佐々木朗希投手と松川虎生捕手のバッテリーがそろって選出。
なんと言ってもあの完全試合バッテリーですからねぇ。
選出されるのもわかりますねぇ。
このあとは両リーグの監督選出と選手間投票、さらにはプラスワン選出が行われて全選手が決まります。
阪神、日本ハムからさらに追加されるのかが楽しみですね。
(*´ω`)
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/06(水) 17:45:58|
- スポーツ
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昨日は外出のついでに本屋さんに寄ってきましたので、こちらを10月の第二期放送に向けて買ってきちゃいました。

「SPYxFAMILY」の4巻と5巻です。
ヾ(゚ー゚*)ノ゙
先月3巻までのセットを購入しましたので、今月は4巻から6巻まで買おうかなと思っており、まずは4巻と5巻を購入です。
こういう買い方しちゃうと、次は6巻だけじゃなく7巻も買っちゃいそうですけどねー。
(^o^;)
ということでさっそく4巻をあっという間に読了。
アーニャんちに犬のボンドが加わることに。
テロリストもアーニャに関わってしまったのが運の尽きでしたなぁ。
(*´ω`)
この分では5巻もあっという間に読んでしまいそう。
うーむ……
読みたいけど読んだら次が欲しくなるぅ…… (笑)
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/05(火) 17:46:46|
- 本&マンガなど
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今日は参議院選挙の期日前投票を行なってきました。ヾ(⌒(ノ'ω')ノ

投票後に投票所の人に申し出ればこういう「投票証明用紙」がもらえると思いますので、もらっておきますと、見せることで割引してくれるお店なんかもあるみたいですね。
札幌でも私の利用する店でそう言うのがあるといいなぁ。
(´▽`)ノ
ところで、昨日の記事では書き忘れてしまったんですけど、阪神の才木浩人投手が昨日の試合で5回を投げ切り5安打無失点で今季初勝利でした。
これは1159日ぶりだったとのことで、本当に久しぶりだったんですねぇ。
(*´ω`)
才木投手は2016年秋のドラフト3位で阪神に入団。
2018年には6勝10敗1ホールドと翌年以降の活躍が期待されましたが、翌2019年にひじを痛めてしまい、2020年オフにいわゆるトミー・ジョン手術を受け、その後はリハビリに専念していたと言います。
そして今年から再びマウンドに立ち、二軍の試合を経て一軍に復帰。
昨日は5回に満塁のピンチを迎えましたが、なんとか抑えて無失点で切り抜けました。
才木投手が戻ってきましたかー。
これはうれしいニュースですね。
ヾ(゚ー゚*)ノ゙
やはりトミー・ジョン手術は復帰までに丸々一年半はかかる感じですねー。
とはいえ、これまで手術を受けた方々を見ても、術後は以前にも増して活躍されている方が多い印象ですし、ひじの不安が無くなっているというのは大きいんでしょうね。
才木投手は今年の誕生日(11月)を迎えてもまだ24歳と若いですから、今後の阪神投手陣の中核の一人として活躍してくれると嬉しいですね。
今年は調子を見ながら登録と抹消を繰り返すという形でしょうから、来年以降のフル稼働に期待したいです。
頼みますよ、才木投手。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/04(月) 18:31:29|
- スポーツ
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今週の阪神と日本ハムは両チームともに負け越しでした。
_(:3 」∠)_ アウウウ
まあ、そりゃそうですよね。
週の前半一勝もできなかったんですからねぇ。
(^o^;)
それでも日本ハムは西武に連敗の後オリックスに連勝して2勝2敗とし、今日勝てば勝ち越せるという状況を作りましたものの、残念ながら今日は負けて2勝3敗。
清宮君の第8号ホームランが出たのが良かったなというところでしょうか。
一方の阪神はDeNAに3タテを食らったあとに中日にも初戦に負けて4連敗。
その後昨日今日と連勝してカードには勝ち越しましたものの、2勝4敗で今週終了。
なかなかドカンと勝ち越すことができませんねぇ。
来週は日本ハムが千葉でロッテと3連戦し、その後は福岡でソフトバンクと3連戦。
阪神は甲子園で苦手広島と3連戦のあと、神宮でヤクルトと3連戦です。
阪神はここで上位を叩きたいですけど、どうなりますかねー。
最悪でも3勝3敗で切り抜けたいですね。
がんばれ両チーム。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/03(日) 17:45:11|
- スポーツ
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これを読んでいると、やっぱりやるのはこれですよねー。
(*´ω`)

ということで、このところハマっているアバロンヒルの「サブマリン」を今日も遊ぶことに。
今回も“マゾ”かと言われそうですけど、護衛艦側がめちゃくちゃ厳しい1941年晩秋ころを想定しました。

北極寄りの航路をひたすら英国に向かう輸送船団。
今回もこの輸送船団を二隻のUボートが襲撃します。

船団の護衛には五隻の護衛艦が。
駆逐艦「アマゾン」を旗艦とし、ハント級護衛駆逐艦二隻と私の大好きなフラワー級コルベットが二隻です。
今回もこのフラワー級コルベット「ダリア」を乗艦とみなして遊びました。

今回も船団を次々と襲ってくる凶悪な魚雷たち。
ドイツの電池魚雷G7eは速度は遅いのですが、破壊力が大きいです。

英軍の護衛艦はなんとかUボートを仕留めようと走り回りますが、やはり爆雷ではなかなかダメージを与えることができません。
(>o<")

護衛艦がUボートを捕らえられないでいるうちに、輸送船には続々と魚雷が命中。
北大西洋に次々沈んでいく輸送艦たち。
/(^o^)\ナンテコッタイ

やっと最終ターン間際に「ダリア」の爆雷がUボートを撃沈。
とはいえ、すでに七隻もの輸送船が海の底。

最後はもう一隻のUボートもダメージを受けて浮上を余儀なくされましたので、撃沈扱いとして点数を計算。
しかし、それでも点差は66点もあり、50点以内に抑えれば英軍の勝利という勝利条件は超えられてしまいました。
\(^o^)/負け負けー
やっぱり39年から42年ごろまでは護衛艦側は厳しいですね。
でも、それがすごく面白くて、ついついこのあたりのシチュエーションを遊んでしまうんですよねー。
まあ、そろそろ43年中盤以降のシチュも遊んでみようかな。
今回もプレイ中のツイートをこちらにまとめましたので、よければどうぞ。
22年7月2日のアバロンヒル「サブマリン」をソロプレイした時のツイートまとめ今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/02(土) 18:13:23|
- ウォーゲーム
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日曜日にどうにか両チームが勝ち、その勢いで今週も……と思ったのですが、なんとなんと、阪神も日本ハムも週の前半三試合(日ハムは二試合)で1勝もできずですよ。
(#'ω') ナニヤットンジャー
日本ハムは西武に連敗、阪神はDeNAに3連敗といいところなし。
どうもなりませんなぁ。
(>o<")
日本ハムは正直言って選手がもう早くもバテてきてしまっているのかなという気がします。
近藤選手以外は一年フルに戦ったという経験がない選手ばかりですからね。
どうしても疲労が溜まってしまうのでしょう。
ちょうど試合数が半分を過ぎましたが、これからさらに暑くなる時期ですし、まだバテてもらっては困るんですけどねぇ。
全力で突っ走ってきてしまいましたでしょうからねぇ。
レギュラーとして活躍している選手なら、ある意味適度に「手を抜く」こともできるのかもしれませんが、今のハムの選手は「試されている」段階ですし、「手を抜く」わけにもいかないでしょうからねぇ。
とはいえ、やってもらわないとならないのも事実。
まだ若い選手ばかりなんですから、暑さに負けずに頑張ってほしいところです。
逆に阪神はホント「何やっとんじゃー!」ですよ。
まあ勝負は相手があることですから、負けるのはやむを得ないことではありますけど、1勝もできないとは情けない。
特に3戦目はリードしながらの逆転サヨナラ負け。
岩崎投手には抑えは荷が重いのかなぁ。
つらいところです。
正直今年の阪神は、スアレス投手さえいればまったくこんなことにはなってなかったのではないかと思うくらいに、後ろがきちんとしてなかったためにこの位置にいる気がしますからねぇ。
まあ、こちらもどうあれ誰かにやってもらわなければならないわけですから、頑張ってほしいですね。
今日からは日ハムはオリックスと、阪神は中日との3連戦です。
なんとかカード勝ち越しを勝ち取ってほしいですね。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/07/01(金) 18:46:39|
- スポーツ
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