昨日予告しました通り、今日は短編SSを一本投下させていただきます。
タイトルは「アタシはbeASTのメス豚怪獣人なのぉ」です。
実は、pixivで先日あるSSを拝見しまして、それがとても私のツボに嵌まりましたのです。
首魁の定め様の書かれました作品でして、「
主人は冷たい土の中に」という作品です。
(作品名クリックでpixivのページに飛べます)
できましたら、今回の拙作をお読みいただきます前に、こちらの首魁の定め様の作品をお読みいただいた方が早いのではありますが、この作品に登場します男女の怪獣人がラブラブなのがとても気に入りまして、私もこういうラブラブな男女の怪人のSSを書きたいと思い、今回首魁の定め様にお願いし、世界観を使わせていただくことにいたしました。
言ってしまえば、今作はこの「
主人は冷たい土の中に」の「二次創作」と言っていい作品となります。
今回拙作をブログに投下してよいとの首魁の定め様のご許可をいただきましたので、今日投下させていただきます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
アタシはbeASTのメス豚怪獣人なのぉ
「ブヒッ!」
一匹の怪獣人が不満そうに鼻を鳴らす。
鼻の穴をむき出しにした大きく突き出た豚鼻に、先が二つに割れた両足の蹄。
巨大な躰は黒く短い毛におおわれ、お尻には小さな尻尾が付いている。
頭には両側に広がった耳があり、腰にはbeASTの文字が刻まれたバックルの付いたベルトが巻かれていた。
その姿はまさに人と黒豚とが融合したような姿。
彼こそbeASTの怪獣人クロブターであった。
beASTとは、怪獣人を使って地球を支配しようとする組織である。
謎の大首領が支配し、大幹部が数名いるとも言われているが、確かなことはわからない。
一つ言えることは、世界中でbeASTの活動は行われ、その怪獣人による被害は広まっているということだ。
このままでは、遠からず地球はbeASTに支配されてしまうかもしれない。
しかし、闇があれば光もある。
世界各地では、beASTに対抗する人やチームが現れ、人知れず戦いが繰り広げられていた。
双方ともに活動を表ざたにしないのは、これらの戦いが市民に与える影響が予測がつかないからだった。
下手をすれば、人類そのものが光と闇に分かれて戦いを始めてしまうかもしれない。
どちらかが優勢になり、その活動がほぼ終息してからでないと、一般社会に知らせることは不可能だろう。
それまでは、beASTも、またそれに対抗する人々も、ひそかに活動することが大事だった。
先日、怪獣人クロブターの所属する日本地区でも大きな動きがあった。
なんと、忌々しい存在であったカイザージャスティスがくたばったのだ。
奴を倒したのはモグラの怪獣人モグラス。
それと彼のパートナーのメスモグラスという女の怪獣人だ。
二人のコンビネーションがカイザージャスティスを倒したのだ。
beASTとしては大いに喜ばしいことには違いない。
だが、手放しで喜んでもいられない。
日本地区には倒すべき相手がまだいるからだ。
チームを組んでbeASTに対抗してくるやつら。
エクスペルファイブが存在するのだ。
エクスペルファイブは五人のチーム。
よく言う特撮の戦隊ヒーローに近い存在である。
ご丁寧に赤、青、黄色、ピンク、緑のバトルスーツを着込み、beASTの怪獣人に戦いを挑んでくるのだ。
さすがの怪獣人も五体の敵を同時に相手にするには苦しく、エクスペルファイブは順当に怪獣人を倒してスコアを上げている。
日本地区のbeASTとしては強敵と言っていい相手だった。
「ブヒィ―!」
怪獣人クロブターはまたしても鼻を鳴らす。
その腕は組まれ、口元は固く閉じられていた。
面白くない……
クロブターには不満がたまっている。
それはbeASTに歯向かう連中のことなどではなかった。
面白くない……
クロブターは思う。
なぜボクちんにはパートナーがいないのか?
かわいいかわいいメス豚のパートナーが、なぜボクちんにはいないのか?
大首領様は何を考えているのだろうか……
ボクちんにだってパートナーを用意してくれてもいいじゃないか……
カイザージャスティスを倒したのはモグラスとそのパートナーのメスモグラス。
とてもかわいいメスの怪獣人で、モグラスにはもったいないほどのいいメスらしい。
二人には、ご褒美としてかなりの自由行動が許されたほか、友人たちにもパートナーを用意してあげたというではないか……
いいなぁ……
いいなぁ……
ボクちんもかわいいパートナーが……
ボクちんの言うことなら何でも聞いてくれるような、かわいいメス豚パートナーが欲しいなぁ……
そうだ……
きっと大首領様は、ボクちんのことを忘れているに違いない。
だからお願いに行ってみよう。
きちんとお願いすれば、きっと大首領様も聞いてくださるだろう。
スッと立ち上がるクロブター。
善は急げとばかりに謁見の間へと向かう。
大首領様に会うために。
願いを聞いてもらうために。
ブヒヒヒヒ……
******
「ふう……」
車内の後部シートにもたれかかり、ため息をつく矢際千穂(やぎわ ちほ)。
車の窓の外を、街の夜景が流れ過ぎる。
勤務を終えて自宅に帰るとはいえ、ゆっくりできるとは限らない。
よほどのことがない限り、副司令の川崎君が対処してくれるだろうが、やはりエクスペルファイブの出動判断となれば、彼女が行わなくてはならないのだ。
明日の休日、一日ゆっくりできるといいのだけど……
千穂は苦笑いする。
なぜこんなことをしているんだか……
苦労ばかりだというのにね……
おかげで結婚もしないうちにこんな歳になってしまったじゃない……
矢際千穂はエクスペルファイブの指揮を執る本部の司令官である。
beASTとの戦いはエクスペルファイブというチームを生み出し、彼女は様々な適性を見出された結果、その司令官ということになってしまった。
女だてらにという声も聞かれるが、今のところ彼女はその任務を過不足なくこなしている。
チームの五人のメンバーも彼女を信頼し、その命を託してくれているのだ。
そして、彼女の判断が日本地区をbeASTから守っているのも確かなことだった。
beASTとの戦いは、これからますます激しくなるだろう。
なぜなら、エクスペルファイブとともに戦ってくれていたカイザージャスティスが、先日その若い命を落としてしまったからだ。
カイザージャスティスのような勇者が倒されるなど信じられない思いだったが、彼の死が確認されたことで、エクスペルファイブのメンバーはひどく悲しみに暮れた。
千穂も悲しんだが、いつまでも悲しんでいるばかりではいられない。
今後はカイザージャスティスがいない状態で、beASTに立ち向かわなくてはならないのだ。
できれば同時攻撃に対する対応など、ともに戦う仲間がいるに越したことはない。
とはいえ、beASTとの戦いを表沙汰にできない以上、ともに戦う仲間を見つけ出すのは至難の業である。
何とか共闘できる相手が見つかるといいのだが……
車内に閃光が差し込み、数台前を走る車が突然爆発する。
「えっ? なに?」
とっさに手で顔を覆う千穂。
「司令! 伏せてください!」
助手席の若い男が懐から拳銃を抜き、後部シートに声をかける。
すぐさま車は道を外れ、脇道へと入っていく。
エクスペルファイブの司令官ということで、千穂の乗る車にはボディガードが乗り、前後には間隔を開けて警備車輌が付くことになっている。
間隔を開けるのは車列を連ねているように見せないためであり、千穂もボディガードも一般人と同じような服装をして、あくまで見た目には普通の車のように見せ、襲撃を回避するようになっていた。
場合によっては千穂を助手席に乗せ、後部シートに娘役の背の低い女性ボディガードを乗せて、家族の乗った車に見せかけたりすることさえあるのだ。
そのため、これまで千穂の乗る車がbeASTの襲撃を受けたことはない。
千穂の情報も万全に守られ、彼女がエクスペルファイブの本部司令官であることを知るものはごくわずかに限られている。
だが……
どうやらそれも今日までのようだった。
「後ろは?」
千穂は後ろ側で警備についていた車輌が付いてきているか確認しようと振り返る。
だが、その目には彼女の車に続いて脇道に入ろうとした車が爆発炎上したのが映し出される。
「だめです。やられたようです」
運転しているボディガードが、ルームミラーで後部を確認する。
「本部と連絡を取ります」
「任せます」
助手席のボディガードの言葉に千穂はうなずく。
こうなってしまっては、危険回避のために本部に向かうというわけにもいかない。
それではみすみすbeASTに本部の位置を教えることになってしまうからだ。
何とかエクスペルファイブに出動してもらい、救出してもらうしかないだろう。
問題は……
それまで逃げ切れるかどうか……
ドンッと車体に衝撃が走り、車が急激に停止する。
そのせいで、千穂の躰はシートベルトに激しく押さえつけられ、何とか前のシートに頭を打ち付けずに済む。
状況を確認しようと顔を上げた千穂は、車のボンネットが重量物にでも押しつぶされたかのようにひしゃげ、フロントウィンドウも割れてしまっていることに気が付いた。
「司令、外へ! この車はもうダメです!」
運転手兼ボディガードの男が叫ぶ。
「司令!」
助手席のボディガードもすぐにドアを開けて飛び出し、周囲を確保しようとする。
だが……
「グハッ!」
外に出た途端に躰を吹っ飛ばされ、車の後部ドアに叩きつけられるボディガード。
そのまま崩れるように倒れ込み、後部ドアの窓にべったりと赤い血が残される。
「くっ」
千穂はシートベルトを外し、急いで逆側のドアを開けて外に出る。
運転手兼ボディガードが、彼女のカバーに入ろうとするが、彼もまた横合いからの一撃を受け、吹っ飛ばされてしまう。
「荒沢君!」
千穂は彼の名を呼ぶが、強烈な勢いで壁に叩きつけられたようで、すでに生きてはいないだろう。
いったい何が?
千穂は手にしたハンドバッグから拳銃を取り出す。
今日の千穂はセレブな女実業家といった雰囲気の衣装をまとっている。
どこかの夜会の帰りという雰囲気を出して、エクスペルファイブの本部司令ということをごまかすためだ。
なので、ロングドレスという恰好であり、逃げるうえでは非常に不利だ。
まいったわね……
敵の目を欺く方向に向きすぎていたわ……
次からはもっと動きやすい服装を考えなくちゃ……
次があればだけど……
「ブヒブヒッ! お前がエクスペルファイブの指揮官ブヒ? ブヒーッ!」
闇の中から現れる不気味な姿。
大きな鼻の穴を見せつけるような豚の鼻。
三角形をした大きな耳。
牙の生えた口。
にらみつけてくる目。
先が二つに分かれた両足の蹄。
それでいて人間のように指のある手。
そして太っているにもかかわらず、筋肉と脂肪が適度に合わさったような黒い短い毛におおわれたその躰。
それはまるで豚と人間が掛け合わさったような異形の姿。
間違いなくbeASTの怪獣人である。
「くっ」
千穂はすぐに拳銃を向ける。
ボディガードが歯が立たなかった相手に、どれほど抵抗できるかはわからないが、すでに彼女が何者かバレている以上、できるだけの抵抗はしなくては……
それにしても……
千穂は思う。
このにおいはなんとかならないのかしら……
目の前の豚の怪獣人が発しているであろう臭いにおい。
たまったものではないのだ。
それに、見た目にも下品な太った豚という感じが、千穂の嫌悪感を刺激する。
なんというか……もう少し見た目のいい怪獣人に襲われたかったと言いたくなってしまう。
「ブヒッ! ボクちんの質問に返事は無しかブヒ……まあいいブヒ。間違ってはいなさそうだブヒ」
ニタッと笑う豚の怪獣人。
ブヒブヒうるさいうえに、まるでよだれでもたらしそうな下卑た顔だ。
こんな怪獣人など見るに堪えない。
エクスペルファイブが来てくれれば……
お願い……早く来て……
「がふっ!」
えっ?
なに?
何が起こったの?
千穂は困惑する。
確かなのは、豚の怪獣人が意外に素早く動けること。
そして、その豚の怪獣人によって首筋あたりに一撃を受け、今まさに気を失おうとしているということ。
ダメ……
気を失っては……
ダ……メ……
抵抗もむなしく、千穂の意識は闇に沈んだ。
******
「ブヒッ、ブヒヒヒッ」
クロブターの口元に思わず笑みが浮かんでしまう。
大首領様も粋な計らいをしてくださるものだ。
この人間のメスを、ボクちんのメスにしてくださるというのだ。
それも、ボクちんのことが好きで好きでたまらないエロメス豚にしてくださるとのこと。
楽しみで楽しみでたまらない。
融合手術台に寝かされている裸の人間のメス。
なんでも、このメスはエクスペルファイブの司令官だそうだ。
だが、そんなことはどうでもいい。
大事なのは、これからこのメスが彼のものになるということ。
それも、彼の好みに合わせ、彼のことを好きでたまらない淫らなエロ豚にしてもらえるということなのだ。
それが本当なら、大首領様には感謝してもしきれない。
最高の報酬を得たことになるだろう。
このメスは確かに美しい。
人間だった頃の彼ならば、もろに好みのど真ん中と言ってもいいかもしれない。
だが……
とクロブターは思う。
肉付きが薄いのだ。
人間のころの彼なら充分満足していただろう。
だが、今の彼にとってはこれでは物足りないのだ。
もっと肉付きを良くし、胸もお尻もドーンとボリュームがある方がいい。
それでいて適度に締まっており、腰はバランスよくくびれてくれていれば最高だ。
もちろん彼と同様に豚の顔になるのは当然だ。
彼好みのメス豚の怪獣人となってもらうのだ。
「う……」
寝かされていた千穂の躰がピクリと動く。
においだ。
クロブターの強いにおいが、千穂の鼻を刺激して、目を覚まさせたのだ。
「う……あ……」
ゆっくりと目を開ける千穂。
ひんやりとした空気を肌に感じる。
ここはいったい?
「う……」
鼻も曲がってしまうような強烈なにおい。
それが気を失う前に嗅いだにおいであることを千穂は思いだす。
そして、そのにおいを発する豚の怪獣人がすぐそばに立って、彼女を見つめていることにも気が付いた。
「ひっ!」
すぐさま起き上がろうとした千穂だったが、両手両足を拘束されているようで動けない。
それに衣服すらはぎ取られてしまっているではないか。
思わず恥ずかしさに顔から火が出そうになってしまう。
これはこの豚の怪獣人の仕業なの?
ひどすぎるわ!
「ブヒブヒッ! 目が覚めてしまったようだなブヒ。どうせならそのままおとなしく気を失ったままの方がよかったのにブヒ」
近寄ってくる豚の怪獣人。
ムワッとする豚のにおい。
それが千穂の鼻を突く。
「あなたが私をここに? 私をどうするつもり? 人質としてなら無駄なことよ。私を人質にしたところで、エクスペルファイブは私を切り捨てるだけだわ」
キッとクロブターをにらみつける千穂。
彼女の言葉は本当のことだ。
エクスペルファイブに関連するメンバーは、できる限りのガードはするものの、beASTの手に落ちた時点で切り捨てられる。
これは人質作戦を相手に取られないために必要なことなのだ。
にらみつけてくるメスというのはゾクゾクする。
こういうキャラを“調教”して、エロしか考えられないようなメス奴隷にするゲームが、人間だった頃は好きだったなとクロブターはふと思う。
「ブヒブヒッ! 人質になどしないブヒ。お前にはボクちんのメスになるという大事なイベントが待っているブヒ」
「メス? イベント?」
何を言っているのだろう?
千穂はハッと気づく。
まさか……
この豚の怪獣人は……私を犯すつもりなのでは?
「私を……犯すつもりなの?」
恐る恐る尋ねる千穂。
もしそうだと言われたとしても、両手両足を固定され、裸にされてしまっている今は抵抗するすべがない。
でも、もし相手がその気であれば、そこにチャンスがあるかもしれない。
エクスペルファイブの司令官として、できる限り生き残る道は探らねばならないのだ。
「ブヒブヒッ! 違う違う! ボクちんはそんなことはしないブヒ」
慌てたように首を振るクロブター。
人間の状態の彼女を犯してもつまらないだけだし、少し待てば、彼女の方からその身を差し出してくるに違いないのだ。
何も無理やり犯す必要なんてない。
好みの姿になってから、たっぷりと楽しめばいい。
千穂は首を振るクロブターを意外に思う。
この豚の怪獣人は、人質でなければてっきり自分を犯してくるのではと思ったのだ。
であればこそ、それを逆用して隙を見つけようとも考えたのだ。
犯すのでも人質にするのでもなければ、いったい……
「ブヒブヒッ! お前にはこれからbeASTの融合手術を受けてもらうブヒ」
「融合……手術?」
「そうブヒ。融合手術を行い、お前をボクちんにふさわしい心と躰を持つメス豚に変えてやるんだブヒ」
「そ……そんなことが?」
サアッと顔が青ざめる千穂。
融合手術でメス豚に?
メス豚にされるというの?
「ブヒブヒッ! もちろんできるブヒ。もしかして知らなかったかブヒ? beASTの怪獣人は大半が元は人間だブヒ。ボクちんもそうだブヒ」
引きこもりニートでエロゲーしか楽しみがなかった男を、こうして怪獣人にしてくれたbeASTには感謝しかない。
それどころか、パートナーとなるメスまでいただけるとなれば、大首領様のためなら何でもするというものだ。
「そんな……今までの怪獣人が……人間?」
千穂は大きなショックを受ける。
beASTの送り込んでくる怪獣人が人間だったなんて……
私たちは……人間を倒していたというの?
「ブヒブヒッ! 心配はいらないブヒ。融合手術が終われば、お前もbeASTの怪獣人にふさわしい躰と心になるブヒ。人間のことなどどうでもよくなるブヒ」
「いやっ! いやよっ! そんなのはいやっ! 怪獣人になんかなりたくないっ!」
いやいやと首を振り、必死に手足の固定を外そうともがく千穂。
「無駄だブヒ。その枷は人間の力では外せないブヒ。おとなしく融合手術を受けるブヒ」
「いやぁっ! いやよぉっ! 誰かぁ! 助けてぇ!」
千穂はもう半狂乱になって泣きわめく。
人質や犯される方がはるかにマシだ。
怪獣人にされるなんて死んでもいやぁ!
だが、千穂の願いもむなしく円形の融合手術台が輝きだし、手術が始まってしまう。
手術と言っても医師が行うわけではない。
融合手術台が彼女の心と躰を変化させていくのだ。
そして、その変化に必要な遺伝子として、クロブターの遺伝子の一部も手術台には取り込まれていた。
千穂を彼好みのメス豚に変えるためである。
「ヒィーッ! いやぁっ!」
悲鳴を上げる千穂。
その躰と心が変えられていく。
躰は筋肉も内蔵も強靭なものへと強化され、その皮膚は黒くすべすべした全身タイツ状に変化していく。
胸やお尻は小振りでバランスの取れていたものが、クロブター好みの大きな胸とお尻になっていく。
両手の爪は鋭くとがり、両足のつま先は豚の蹄のように二つに分かれ、かかとはハイヒールのようにとがっていく。
髪の毛は抜け去り、耳は頭の上の方へと移動して、三角形の大きな耳へと変化する。
鼻もツンと突き出し、大きな豚鼻へと変わっていく。
千穂の姿はだんだんとメス豚の怪獣人へと変化していったのだった。
いやっ、いやぁっ!
千穂は必死に抵抗する。
お前はbeASTの怪獣人だ……
千穂の頭に流れ込んでくる言葉。
千穂はそれを何とか振り払おうとする。
お前はbeASTの怪獣人だ……
繰り返されていく言葉。
違う……私は人間よ!
怪獣人なんかじゃない!
お前はbeASTの怪獣人だ……
違う違う、私は人間よ!
お前はbeASTの怪獣人だ……
抵抗しても抵抗しても流れ込んでくる言葉。
それは千穂の心を確実に侵食していく。
お前はbeASTの怪獣人だ……
違う……私は……私は人間……怪獣人なんかじゃ……
お前はbeASTの怪獣人……メス豚の怪獣人なのだ……
違う……私は怪獣人なんかじゃ……私は……
お前はbeASTの怪獣人……メス豚の怪獣人……
私は……怪獣人……私は……
千穂の心がゆがんでいく。
お前はbeASTの怪獣人……気に入ったオス豚を見ると、おマンコを濡らして交尾がしたくなる淫乱なメス豚の怪獣人……
私は……怪獣人……メス豚の……怪獣人……
お前はbeASTの怪獣人……気に入ったオス豚を見ると、おマンコを濡らして交尾がしたくなる淫乱なメス豚の怪獣人……
私は……beASTの怪獣人……オス豚を見ると……交尾がしたくなる……
beASTの怪獣人であるだけではなく、クロブターにふさわしいメス豚になるように変化させられていく千穂の思考。
だんだんと彼女はエクスペルファイブの司令官から、beASTの怪獣人になっていく。
お前はbeASTの怪獣人……もう人間ではない……
わ……アタシはbeASTの怪獣人……もう人間じゃない……
お前はbeASTの怪獣人……もう人間ではない……強くたくましいオス豚に従い、オス豚にその身も心も捧げる淫らなメス豚の怪獣人……
アタシはbeASTの怪獣人……もう人間なんかじゃない……強くたくましいオス豚に従い、この身も心も捧げる淫らなメス豚の怪獣人……
強烈に刷り込まれていく怪獣人としての思考。
それは以前の千穂の思考をどっぷりと塗りつぶしていく。
お前はbeASTの怪獣人……強くたくましいオス豚のメスとなり、オス豚のためなら何でもするメス……いつでもどこでもその身でオス豚に抜いてもらうことが無上の喜び……
アタシはbeASTの怪獣人……強くたくましいオス豚のメスとなり、オス豚のためなら何でもします……いつでもどこでもこの身をオス豚に捧げ、抜いてもらうのがアタシの喜び……
お前はbeASTの怪獣人……強くたくましいオス豚はお前の目の前にいる……
アタシはbeASTの怪獣人です……ああ、早く強くたくましいオス豚に会いたい……
「ブヒブヒ……そろそろ完成かなブヒ?」
目の前で変わっていく人間のメス。
それがだんだんと彼の好みの姿に変化していくのはたまらない。
まさかこれほど彼好みのメスになってくれるとは……
クロブターは思わず股間がたぎってくるのを感じていた。
「ブヒッ! ブヒブヒブヒィーッ!」
大きく鳴き声を上げるメス豚の怪獣人。
両手両足の固定具が外れ、ゆっくりと躰を起こしていく。
そしてそのまま躰をずらすと、円形の融合手術台から足を下ろして立ち上がる。
「ブヒブヒブヒーッ!」
再び鳴き声を上げるメス豚の怪獣人。
それはまさに誕生の産声だ。
ブヒーッ!
なんて気持ちがいいの?
これがアタシの新しい躰なのね?
素晴らしいわぁ。
力がみなぎってきちゃう。
改めて自分の躰を見下ろし、彼女はその姿に誇らしさと喜びを感じる。
自分はメス豚の怪獣人なのだ。
もう人間なんかじゃないわ!
「ブヒブヒッ! どうやら完成したようだなブヒ」
声とともに強いにおいが彼女の鼻をくすぐってくる。
強烈なにおい。
たくましく強いオスのにおいだ。
ああ……
なんていいにおいなの?
これがオスのにおい……
たくましく強いオスのにおいなんだわ……
ああん……キュンキュンしちゃう……
彼女が振り向くと、そこには彼女と同じ豚の怪獣人が立っていた。
巨大な豚鼻が荒い鼻息を出し、ぎらぎらとした目をしたオス豚。
躰は太って巨体だが、適度に引き締まって素敵な躰をしている。
発するにおいといい見た目と言い、彼こそ彼女の望む強くたくましいオス豚そのものだ。
一目で彼女はクロブターに惚れ込んでしまう。
彼こそがアタシの求めているオス豚……アタシの従う強いオス豚なんだわ……
ああん・・・おマンコが濡れ濡れになっちゃうぅ……
「ブヒブヒッ! 気分はどうだブヒ?」
「ブヒィーーッ! 最高ですわぁ。怪獣人であることがこんなに素晴らしいことだったなんて……アタシはもう人間なんかじゃありません。偉大なるbeASTの怪獣人ですわ。ブヒィーーッ!」
彼女は自分の躰が誇らしく、胸を張る。
以前の貧相で下等な人間とは全く違う。
素晴らしい躰なのだ。
それに……目の前のオスが、彼女の躰を品定めするかのように見つめてくれていることも、なんだかとてもうれしかった。
「ブヒブヒーッ! それでいいブヒ。ボクちんはbeASTの怪獣人クロブターだブヒ。よろしくだブヒ」
「ブヒーッ! クロブター様とおっしゃるのですね? こちらこそよろしくお願いいたします。ブヒブヒーッ!」
思わず興奮して鼻を鳴らしてしまう彼女。
クロブター様……なんて素敵なお名前なのぉ……
ああん……クロブター様、クロブター様ぁ……
心の中で繰り返し名前を呼んでしまう。
最高のオスにふさわしい名前だわぁ……
「ブヒブヒッ! 今日からお前はボクちんのメス。ボクちんのパートナーになるんだブヒ。お前の名前はメスクロブターと名乗るがいいブヒ」
メス豚の怪獣人の目が一瞬点になり、すぐに大きく見開かれ、キラキラと輝いていく。
「ブヒィーーーッ! ほ、本当ですか? アタシをクロブター様のメスにしてくださるのですか? ブヒブヒィーーッ!」
信じられない思いでいっぱいになる。
怪獣人にしてもらえた上に名前まで与えられ、さらにこの目の前の素敵なオス豚のメスにしてもらえるというのだ。
こんなに幸せだなんて、アタシは夢でも見ているのではないだろうか?
「ブヒブヒッ! 本当だブヒ。お前は今日からボクちんのパートナーになるんだブヒ。怪獣人メスクロブターとして、ボクちんに仕えるんだブヒ」
「ブヒィーーーッ! はい! はい! もちろんです! アタシは怪獣人メスクロブター! 今日からはクロブター様のメスとして、パートナーとして、心からお仕えいたしますぅ。ブヒィーーーッ!」
この瞬間、彼女の中から矢際千穂という存在は消え去り、beASTの怪獣人メスクロブターとして完成する。
もはや彼女にとって大事なのはbeASTとクロブターであり、クロブターのメスに選ばれたということは、涙が出るほどにうれしいことだった。
「ブヒブヒッ! それでいいブヒ。これからは二人でbeASTのために働くブヒ」
「ブヒーッ! もちろんです。アタシはbeASTの怪獣人です。喜んでbeASTのために働きますわ。ブヒーッ!」
目をキラキラさせているメスクロブターに、クロブターは満足する。
どうやらこのメスは完全に思考が変化したようだ。
これからはボクちんとbeASTのために働いてくれるだろう。
ブヒヒヒ……
それにしても……とクロブターは思う。
なんて素敵なメス豚になったものか……
全身は彼と同じように黒く、大きな豚鼻や耳の付いた豚の頭部がかわいらしい。
全体的にはやや肉付きに乏しいが、その分胸とお尻はボリュームがあり、彼好みの大きさになっている。
胸と腰回りの部分、それに肘から先とひざから下は黒く短い毛が覆っているが、それ以外はナイロンの全身タイツを思わせるようなすべすべ感が感じられ、きっと抱き心地がいいだろう。
両手は人間のように五本指だが、爪は鋭くとがり、たいていのものは傷つけられそうだ。
足はつま先が豚の蹄のように二つに割れ、かかとはハイヒールのようにとがっている。
まさに人間とメス豚とが融合した姿。
これがbeASTの怪獣人の姿なのだ。
「ブヒブヒッ! それにしてもいいメスだブヒ。見ているだけでたまらなくなってくるブヒ」
今にも股間からペニスが飛び出してきそうになるクロブター。
beASTの怪獣人は、普段は性器が内部に隠れるようになっているが、性的興奮が高まると、それが露出するようになるのだ。
「ブヒブヒーッ! 本当ですか? うれしいですぅ。クロブター様にいいメスだなんて言われると舞い上がってしまいますわぁ。ブヒブヒィ―――ッ!」
目をキラキラさせて喜ぶメスクロブター。
強いオスにメスとして認められるものほど幸せなことはない。
「本当だブヒ。すぐにでも抱きたくてたまらんブヒ」
「アアン……うれしいですぅ。クロブター様もとっても素敵ですわぁ。アタシもクロブター様を見て、そのにおいを嗅ぐだけで、もうおマンコがグチョ濡れになってしまいますわぁ。ブヒブヒーッ!」
躰をくねらせて興奮し始めるメスクロブター。
彼が欲しくてたまらなくなっているのだ。
「ブヒブヒッ! 早速お前の躰を味わわせてもらうブヒ。こっちへ来るブヒ」
「はい、クロブター様。ブヒブヒーッ!」
いそいそとメスクロブターはクロブターのそばに行き、その腕にすがりつく。
二人はお互いの体臭を嗅いで興奮を高め合いながら、部屋へと向かうのだった。
******
「ん……んふ……クロブター様ぁ……しゅきしゅきぃ……大しゅきぃ……」
寝床の中で隣に寝ているクロブターの躰を抱きしめるメスクロブター。
思わず甘えたような子供言葉を使ってしまうほどに愛しい。
昨晩は最高の時間だった。
思いだすだけでも胸がときめいてしまう。
たくましいオスの腕に抱えられて、寝床に寝かせられるドキドキ。
今まで見たこともないような太さのおチンポを見たときの衝撃。
そのにおいを嗅ぎ、口いっぱいに頬張った時の美味しさ。
口の中に出されたねばつく濃厚な液体を飲み込んでいく幸せ。
出したばかりというのに、すぐにまた大きく勃起するおチンポの力強さ。
そのおチンポがおマンコを貫いてくる快感。
躰の芯まで突き抜けてくるかのような強い射精。
絶頂に達した時の頭が真っ白になる瞬間。
躰がとろけるとはこういうことを言うのだろうか。
すべてが今まで感じたことのない最高の交尾だったのだ。
交尾のあとには食事。
怪獣人用に調整されたペースト食を二人で味わう。
一つの器から二人で食べるだけではなく、クロブターは彼女を膝の上に載せ、その口で咀嚼したペースト食を口移しで食べさせてくれることまでしてくださったのだ。
クロブター様の唾液の混じったペースト食は、これまでに食べたどんなものよりも美味しい。
彼女は心からそう思った。
やがて二人は再び寝床に潜り込む。
さらなる肉の交わりをむさぼって、先ほどまでぐったりと寝ていたのだ。
フゴーフゴーと寝息を立てているクロブターの姿。
その顔を見ているだけで、メスクロブターは胸がキュンキュンしてしまう。
こんな気持ちは初めて。
怪獣人のメスである喜びが彼女を包み込む。
「ん……ブヒッ?」
目を覚ますクロブター。
隣にはかわいいメスが抱き付いている。
彼好みに作り変えたメスだ。
最高のメスだ。
交尾も最高だった。
思いだしただけでも、またたぎってきてしまいそうだ。
「ブヒッ! お目覚めですか、クロブター様ぁ」
その胸に顔を擦り付けるメスクロブター。
クロブターのムワッとするようなオスの体臭が彼女の鼻を刺激する。
なんていいにおい……
強くたくましいオスのにおいだわ……
いつまでも嗅いでいたくなるわぁ……
「ブヒブヒッ! とてもよかったブヒ。お前との交尾は最高だブヒ」
「ブヒブヒッ! 本当ですか? うれしいです。クロブター様も最高でしたわ。あん……思いだしただけで濡れちゃいますぅ」
スリスリとメスクロブターが頭を擦り付けてくる。
なんともかわいい。
「ブヒブヒッ! これからもたっぷりと交尾してやるブヒ」
「はい。アタシはクロブター様のメスです。いつでもどこでもクロブター様がお望みの時にアタシのおマンコで抜いてくださいませ。ブヒブヒィ――ッ!」
うれしそうに鼻を鳴らすメスクロブター。
もう彼女の頭の中にはクロブターのことしかないのだ。
「ブヒブヒッ! お前をこうしてボクちんのメスにできたのは大首領様のおかげだブヒ。これからは二人で恩返しをするブヒ」
「はい、もちろんですわ。アタシをこんな素敵な怪獣人にしてくださった大首領様には、感謝してもしきれません。大首領様のためなら何でもいたしますわ」
心の底からそう思うメスクロブター。
この幸せをくださった大首領様には心からの忠誠を誓うのが当然ではないか。
「ブヒブヒッ! かわいいやつ。お前とならエクスペルファイブも倒せそうだブヒ」
そっとメスクロブターを抱きしめるクロブター。
二人でエクスペルファイブを倒せば、大首領様への大きな恩返しになろうというものだ。
「ダ、ダメッ! クロブター様、それはダメですぅ、ブヒーッ!」
慌てたように顔を上げるメスクロブター。
その行為がクロブターを驚かせる。
「ブヒブヒッ! どうしたブヒ? お前はまだ奴らのことをブヒ?」
まさか、まだメスクロブターはエクスペルファイブの司令官としての意識が?
「ブヒブヒッ! 違いますぅ。エクスペルファイブはbeASTに歯向かう憎むべき敵です。この爪でズタズタに引き裂いてやりたいですわ。でも……」
上目遣いにクロブターを見上げてくるメスクロブター。
「でも? 何だブヒ?」
「奴らは強力ですわ。もし……もしクロブター様の身に何かあったらと思うと……アタシは耐えられませんですわ。ブヒーッ!」
そういうことかと苦笑いするクロブター。
このメスは彼の身を案じて、戦ったらダメと言ったのだ。
かわいいやつ。
「ブヒブヒッ! 心配はいらないブヒ。ボクちんは奴らになんか負けないブヒ。お前が手伝ってくれれば鬼に金棒だブヒ」
ぎゅっとメスクロブターを抱きしめるクロブター。
その力強さにメスクロブターは躰が熱くなるのを感じる。
「ブヒブヒッ! クロブター様ぁ……」
うっとりと愛するオスの顔を見つめるメスクロブター。
昨日まではあんなにクロブターのことを毛嫌いしていたとは思えない。
「でしたら、アタシにいい考えがありますわ。聞いていただけますか? ブヒブヒッ!」
「ブヒッ! いいブヒ。言ってみるブヒ」
「はい。実は……」
ニヤリとどす黒い笑みを浮かべてクロブターの耳元にささやきかけるメスクロブター。
それは、心の底まで黒く染められてしまった者の浮かべる笑みだった。
******
郊外に作られた中規模の食品加工工場。
昼間はここにひっきりなしにトラックが出入りし、冷凍食品や加工食品などの荷物を満載して、各地のスーパーなどへと出荷される。
見た目は何の変哲もない地方の企業の一工場だ。
ただ、昼にしろ夜にしろ、普通の食品工場にしては常駐している警備員の数が多い。
特に夜間は、完全に閉じられて従業員もいないはずなのに、警備員たちががっちりと警備をしているのだ。
地元の人間は、その異様な警備は、大手企業が技術を盗みに来る可能性があるからだという工場側の主張を信じていたが……
思わずあくびをかみ殺す、ゲート警備の警備員。
どうせ今夜も何事もなく終わるだろう。
ここの地下施設のことを知るものは少なく、beASTもここのことは掴んでいないはずだからだ。
万一に備えて警備は固くされているものの、また朝までの退屈な時間が過ぎ去るのみだ。
「うふふふ……こんばんは」
「えっ?」
闇の中から声がして、警備員は思わずそちらへと振り向く。
そこには一人の女性が立っていた。
「ええっ? 矢際司令?」
警備員は驚く。
まさか今日のこんな時間に矢際司令がここに来るなどとは、知らされていなかったからだ。
もちろん彼はここがどんな施設か知っており、エクスペルファイブの本部司令官である矢際司令のことも知っている。
その本部司令官がここに来ることも、何らおかしなことではない。
だが、こんな時間に来ることは異例であり、来る場合は前もって知らされているのが普通である。
どうしてこんな時間に?
それに彼女の雰囲気もどこかいつもと違うようだ。
いつもの制服ではなく、胸を強調したような黒いチューブトップに、太ももがむき出しになる黒のホットパンツ。
それに膝までの長さの黒いブーツに、肘から先を覆う黒の長手袋。
街灯の明かりに照らされた顔には黒いアイシャドウが引かれ、唇も黒く塗られているようだ。
どうしてそのような格好をしているのかわからないが、なんとも妖艶さを漂わせている。
「矢際司令ですか? こんな時間にいったい?」
やや警戒を解く警備員。
なんといっても相手はエクスペルファイブの本部司令官だ。
何か理由があるのだろう。
「うふふふ……こんばんは。中を見たいの。ゲートを開けてくれる?」
口元に笑みを浮かべながらゆっくりと近づいてくる矢際司令。
「申し訳ありません。司令もここの規則はご存じかと。前もって連絡を受けていない以上、今ゲートを開けることはできません。確認を取りますので、しばしお待ちを」
警備員はそう言って、警備ボックス内の通話システムに手を伸ばす。
「えっ?」
次の瞬間、警備員は司令の黒手袋に包まれた手が、彼を掴んで引き寄せるのを感じる。
そして彼を抱き寄せるようにして、その顔を豊満な胸へと押し付けた。
「む、むぐっ!」
二つの大きな乳房に挟まれるようになり、思わず息が詰まってしまう警備員。
「そんな暇はないの。アタシは一刻も早くこのクソみたいな施設をぶっ壊したくて仕方がないのよねぇ。ブヒブヒッ!」
警備員をぎりぎりと強く抱きしめながら、舌なめずりをする千穂。
思わずメスクロブターとしての鳴き声が出てしまっている。
「ぐっ・・・ぐむっ」
必死に逃れようともがく警備員。
だが、その躰を人間とは思えない力が押さえつけている。
「ブヒブヒッ! アタシの胸はいかがかしらぁ? クロブター様好みに大きくしていただいたアタシの胸よぉ」
警備員を抱きしめる千穂の躰が、じょじょにメスクロブターへと変化し始める。
今までの姿はbeASTの怪獣人に備えられた擬態能力で作られたものなのだ。
やろうと思えば制服姿の矢際千穂になりきることも可能だろう。
とはいえ、今の彼女は人間の姿になどなりたくもないもの。
だからせめて着ている衣服やメイクぐらい、少しでもメスクロブターっぽくしようと思ったのだった。
やがて彼女の姿は完全なるメスクロブターへと変化する。
真っ黒な躰に、大きな豚鼻を付けた豚の頭。
柔らかい女のボディラインの胸と腰回りは黒い短い毛が覆い、お尻には短い尻尾が揺れている。
足はつま先が豚の蹄のように二つに割れ、かかとはハイヒールのようになっていた。
誇らしいbeASTの怪獣人メスクロブターの姿だ。
ぎりぎりと警備員を強く抱きしめ、窒息に追い込んでいくメスクロブター。
人間が自分の胸でもがき苦しんでいくのはとても気持ちがいい。
人間を殺すということが、こんなに気持ちがいいことだとは思わなかった。
これからはもっともっと殺したいわぁ。
「ブヒブヒッ!」
興奮で鼻を鳴らしながら、メスクロブターは心からそう思う。
もはや人間を殺すことは彼女にとっての喜びなのだ。
やがて警備員はぐったりとなって息絶える。
動かなくなった警備員を放り出し、警備ボックス内のスイッチでゲートを開けていくメスクロブター。
彼女の狙いはこの地下にあるのだ。
警備員からの連絡がなくゲートが開いたことで、工場には警報が鳴り響く。
奥からは、武器を手にした警備員たちがやってくる。
「ブヒブヒッ」
愚かな連中が来たわ……
「ブヒブヒッ! お前たちはボクちんが相手だブヒ」
ヌッと姿を現すクロブター。
その姿にメスクロブターは思わず目を奪われる。
ああん……素敵ぃ……
気持ち的には自分の瞳がまるでハート型になっているような気がするぐらいだ。
「まさか! beASTの怪獣人? 撃てっ! 撃てっ!」
クロブターの姿を認め、手にした武器で攻撃を始める警備員たち。
だが、銃撃程度で傷が付くような怪獣人ではない。
「ブヒブヒッ! これでも食らうブヒ!」
クロブターは思い切り息を吸い込むと、鼻から真っ黒い毒ガスとして吐き出していく。
「うわあっ!」
「ぎゃあっ!」
たちまち警備員たちは黒い猛毒のガスに包まれて絶命する。
「ブヒブヒッ! これで邪魔ものは消えたブヒ」
死に絶えた警備員たちの死体を前にして立つクロブターの姿に、メスクロブターはあらためて惚れ惚れとしてしまう。
あれこそが強くたくましいオスなのだ。
「ああん……素晴らしいです、クロブター様」
「ブヒブヒッ! お前もよくやったブヒ」
彼女の言葉に振り向いて笑顔を見せるクロブター。
「ブヒィーーーッ! 本当ですか? ありがとうございます! お褒めのお言葉とてもうれしいですわ。ブヒブヒィーーーッ!」
たかがよくやったと言われただけで、まるで神の啓示でも受けたように感激してしまうメスクロブター。
彼女にとってはクロブターはそれほどの存在になっているのだ。
「ブヒブヒッ! ところでここは何なんだブヒ? ただの食品工場じゃないのかブヒ?」
「ブヒブヒッ! はい。ここは食品工場に偽装したエクスペルファイブの”対敵研究所”なのですわ。ブヒーッ!」
「ブヒブヒッ! 対敵研究所?」
クロブターが首をかしげる。
「ブヒブヒッ! はい。ここはbeASTに関するすべての情報を収集し、分析して、対応策を生み出していく研究所なのです。ですので、ここを破壊すればエクスペルファイブは……うふふ」
メスクロブターの口元に笑みが浮かぶ。
彼女にとって、もはやエクスペルファイブはbeASTに歯向かう憎むべき敵以外の何者でもない。
「ブヒブヒッ! よくわかったブヒ。それならさっさと破壊してしまうブヒ」
「ブヒブヒッ! はい。こちらに動力炉がありますわ。ご案内いたします、クロブター様」
先に立ってクロブターを案内するメスクロブター。
こんな施設は早く壊してしまいたい。
忌々しいエクスペルファイブの施設など一刻も早く……
そして巣に戻って、またたっぷりとクロブター様と交尾をするの……
あん……おマンコが感じちゃうぅ……
やがて、大音響とともに大爆発を起こす食品工場。
周囲にも少なからぬ被害が及び、炎があたりを染め上げる。
その現場から少し離れたビルの屋上に、二つの影が炎に照らされてシルエット状に浮かび上がる。
一つはやや太っているもののがっしりとしたオスの豚の怪獣人。
もう一つは、大きな胸とお尻を揺らし、程よく引き締まった腰つきをしたメスの豚の怪獣人。
メスの方はオス豚に寄り添うようにその腕にしがみついている。
「ブヒブヒッ! これでいいブヒ」
「ブヒブヒッ! はい、これでエクスペルファイブの力は大幅に……うふふふ」
歪んだ笑みを浮かべている二匹の豚の怪獣人。
破壊と殺戮を無上の楽しみとするオスとメスの黒い笑みだ。
「ブヒブヒッ! まずは戻って大首領様に報告するブヒ。そしてそのあとは……ブヒッ」
クロブターはかわいいメスの顔を見る。
「ブヒブヒッ! はい。存分にアタシの躰でお楽しみくださいませぇ。ああーん……クロブター様ぁ」
クロブターに見つめられ、メスクロブターの股間は早くもじっとりと濡れ始める。
冷静で的確な判断を下す有能な司令官とうたわれたかつての彼女は消えさり、ただ大好きなオスのたくましい腕に抱かれながら交尾することだけしか考えられない一匹のメス豚がそこにはいた。
END
いかがでしたでしょうか?
二体のラブラブっぷりが出ていればよかったですが……
首魁の定め様、今回は世界観を使わせていただきましてありがとうございました。
あらためましてお礼を述べさせていただきます。
感想コメント等いただけますと嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2020/11/07(土) 21:00:00|
- 怪人化・機械化系SS
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