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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ゴキブリの棲む家 (水曜)

ブログ丸15年更新達成記念SS、「ゴキブリの棲む家」の三回目となります。

「水曜日」になり、結花の行動が少しずつ異様になっていくのを楽しんでいただければと思います。

ご注意:今作品は「ゴキブリ」が大いに絡む作品となります。
苦手な方は充分にご注意していただければと思います。



                   水曜日

ん・・・
薄暗がりの中で目が覚める。
今・・・何時?
時間を確認しようと時計に手を伸ばす結花。
だがいつも手を伸ばすとあったはずの目覚まし時計がない。
あれ?
時計はどこ?
手探りで時計を探すうちに、結花は気が付く。
私・・・ベッドの下で寝ていたんだった・・・
腹這いでごそごそとベッドの下から這い出すと、枕もとの時計を確認する。
どうやら今朝も、目覚ましが鳴る前に目が覚めたようだ。
とはいえ、あと5分もすれば鳴り出す時間。
このまま起きるしかないだろう。

「ふわぁ・・・もう朝なのぉ」
うんと伸びをする結花。
朝の空気が気持ちいい。
ただ、ベッドの下から出てきたせいか、その明るさがややつらい。
朝の光って、こんなにいやな感じだったかしら・・・
結花はふとそう思う。
ギシッと音がして、夫がベッドの上で寝がえりをうつ。
いけないいけない。
もう少し寝かせておいてあげなくては。
結花は着替えを用意して部屋を出る。
さて、今日も忙しい朝の始まりだ。

洗面所に行き、手早く着替えを済ませる結花。
寝ている夫を起こさないように、いつも寝室を出てから着替えるのは、前の家からの習慣だ。
新しい家になって部屋も増えたことだし、そろそろ別々の部屋に寝てもいいのかもしれない。
以前は良樹に弟か妹をとも思っていたが、結花はその気持ちが急速に薄れていくのを感じていた。
子供は一人でもいいのではないだろうか・・・
それに、子供を作るなら・・・の卵を・・・
卵を・・・

着替えが終わり、脱いだパジャマを洗濯籠に入れる。
「あん・・・」
パジャマから覚えのあるにおいがする。
あのにおい。
昨日嗅いだにおいだ。
臭いような、それでいて嗅がずにはいられないようないいにおい。
結花は籠からパジャマの上着を取り出し、においを嗅ぐ。
「はあ・・・」
なんだか脳がとろけそうなほどの気持ちよさだ。
ジュンとあそこが感じてしまう。
思わず股間に手を伸ばし、スカートをまくり上げていく。
そして穿いたばかりのパンストをずり下げ、ショーツの中へと指を差し入れていく。
ああん・・・
したい・・・
セックスがしたい・・・
オスのあれが欲しい・・・
ああ・・・たまらなくなっちゃう・・・

結花はぺたんと腰を下ろし、そのまま床に寝そべっていく。
そして気持ちよくなろうとさらに指を動かそうとしたとき、彼女のそばに黒い小さな生き物がカサカサと寄ってきた。
「あら?」
結花はすぐにその生き物がゴキブリだと気が付く。
長い触角を揺らめかせ、まるで油でも塗ったかのようなつややかな翅を持つかわいい虫。
見ているだけで愛しくさえ感じてしまう。
「もう・・・いつも急に出てくるのね。驚かせないでってこの前も言ったでしょ・・・」
くすっと笑う結花。
ゴキブリは結花のそばに近寄ってくると、その長い触角をゆらゆらと揺らせてくる。
ゆらゆらゆらゆらゆらゆら・・・
その動きが結花の目を捕らえ、結花は目が離せなくなってくる。
それはなんだかゴキブリが触角を使って何かを話しかけているような感じ。
音声でも視覚でもなく、そう、彼女の脳に直接響いてくるような・・・
あ・・・
はい・・・
結花はこくりとうなずく。
朝の支度をいたします・・・
あのヒトどもを早く追い払います・・・
交尾はその後でゆっくりと・・・
はい・・・
わかりました・・・
そういたします・・・
無言でゆっくりと立ち上がり、服を直す結花。
ショーツを穿き直し、ストッキングをたくし上げてスカートを直していく。
そして手にしたパジャマを洗濯籠の下の方に押し込むと、そのまま朝の支度をするために洗面所を出てキッチンに向かう。
その顔にはかすかな笑みが浮かんでいた。

                    ******

「それじゃ行ってくるよ」
玄関で博文が声をかける。
「あ、はーい。ほら、良樹、さっさと食べちゃいなさい」
「今食べるよー」
相変わらず朝はにぎやかだ。
良樹も学校が遠くなった分、早く出なくちゃならないのだから大変だ。
慣れるまではまだまだこのにぎやかさは続くのだろうと博文は思う。
「あなた、行ってらっしゃい。気を付けてね」
靴を履き終えて立ち上がった博文の背に、妻の優しい声がかけられる。
忙しいだろうに、わざわざ玄関まで出てきてくれる妻の心遣いがうれしい。
このほんのちょっとしたことが、今日も頑張ろうという気分にさせてくれるのだ。
「ん?」
ちょっとした違和感を覚える博文。
なんだ?
におい・・・か?
妻のにおいが・・・なんというか今までとは違うような気がするのだ。
なんというか・・・ちょっぴり臭いような・・・

「どうかした?」
彼が見つめていることに気が付いたのか、妻が首をかしげている。
「あ、いや、最近化粧水か何か変えたかい?」
「えっ? 別に」
「そうか・・・いや、なんかいつもと違うにおいだなと・・・」
「えっ? やだ、何? 臭い?」
慌てて服の袖のにおいを嗅ぐ妻に、博文は首を振る。
「いやいや、そうじゃないよ。家が変わったからかもな。部屋のにおいも以前とは違う感じだし」
「ああ、そうかもしれないわね。あっ、遅れるわよ」
「おっ、いけない、そうだった」
妻に促され、慌てて玄関を出る博文。
今日も仕事を頑張らねば。

夫を送り出しリビングに戻ってくる結花。
良樹はがっつくように朝食を食べている。
もうすぐ学校に行く時間なのだ。
前の家にいたときはあと10分余裕があったので、どうしてもまだそっちの意識が抜けないのだろう。
「落ち着いてゆっくり食べなさい」
もう・・・ぎりぎりまで寝ているからよ・・・
苦笑しながら結花はキッチンに行く。
良樹と一緒に私も朝食を食べてしまおう。
バナナも残っているから、それと食パンにコーヒーで手軽に済ませてしまえばいいわね。

結花が冷蔵庫を開けようと手を伸ばすと、取っ手のところにゴキブリがいることに気付く。
「あっ・・・もう、そんなところにいると危ないわよ」
つい、ゴキブリに言い聞かせるように言葉が出てしまう結花。
いつしか結花はゴキブリを見ても何も思わなくなっていた。
それどころか、ゴキブリを見ると、奇妙な親近感のようなものを感じるのだ。
結花は、そのゴキブリを傷つけたりしてしまわないように、いったん手を引っ込める。
ゴキブリは逃げもせず、そのまま取っ手のところでまたゆらゆらと触角を揺らし始める。
ゆらゆらゆらゆらゆらゆら・・・
その触角の動きに結花が目を奪われていく。
良樹と一緒に食べようと思っていた気持ちが、急速に変わっていく。
食事はみんなと・・・
みんなとしなくては・・・
みんなと一緒に・・・
やがてゴキブリは触角をするのをやめ、冷蔵庫の下へと降りていく。
それを見ていた結花も冷蔵庫から離れ、そのままリビングへと戻るのだった。

「あれ? ママはご飯は?」
一緒に食べるのかと思ったが、その手に何も持っていないことに気付いた良樹が、母にたずねる。
「あとで食べるわ。今はいいの」
そう言って向かい側の椅子に座り、彼の方を向く母。
一瞬母ににらまれているのかと思ったものの、むしろその視線は良樹ではなく、どこか遠くを見ているような母の目だ。
「ママ、どうかした?」
「べつに・・・なにも・・・」
無表情のまま答える母。
いつもと違う母の雰囲気に良樹はちょっと戸惑ったが、今は急いで朝食を食べてしまわなくてはいけない。
そうしないと学校に遅れてしまう。
そのため、それ以上気にすることなく、良樹は食べることに専念するのだった。

「行ってきまーす」
「えっ?」
良樹の声に結花はハッとする。
いつの間にか良樹は朝食を終えていたらしい。
すでに玄関を出るところのようだ。
慌てて見送りに行くと、良樹が駆け出すようにして玄関を飛び出していく。
サンダルを履いて外に出ると、躓いたのか一瞬転びそうになっている良樹の姿が目に入る。
「もう、そんなに急ぐぐらいなら、あと五分早く起きなさい!」
必死に態勢を整えている息子に、思わずそう言ってしまう結花。
「わかってるよ、うるさいなぁ」
そう言いながらも手を振って走っていく良樹。
「行ってらっしゃい。車に気を付けてねー!」
結花も手を振り返して見送る。
今日もやっと朝の忙しい時間は終わった。

「さてと・・・」
結花は男達が食べたあとの食器をキッチンへと持っていく。
なんだか今朝も奇妙な感じだった。
特に問題はなかったものの、時々頭がぼんやりするような気がしたのだ。
あれはいったい何だったのだろう・・・
ついさっきも、気が付くと良樹の前に座ってぼんやりとしていたのだ。
なにか・・・やはりどこか躰の調子でもよくないのだろうか・・・
結花がそんなことを考えていると、すでにキッチンには男たちがいなくなったことを嗅ぎつけたのか、小さな生き物たちがワサワサカサカサと姿を現していた。
黒くつややかな翅でカサカサと動き回るゴキブリたち。
あらあら・・・もう大勢で出てきたのね・・・
そんなことを思ってしまう結花。
なんだか素敵でかわいらしい生き物たち。
その長い触角がゆらゆらと動き、結花の目を惹きつける。
おそらくみんな食事を待ちかねていたのだろう。
コソコソカサカサと動き回るゴキブリたち。
なんだかはしゃぎまわっているみたいで見ていて楽しくなってくる。
うふふふ・・・
その様子に思わず結花は笑顔が浮かぶ。
「はいはい。今用意するからね。ちょっと待ってね」
皿に残ったパンくずやサラダの野菜くずなどを床にこぼしていく。
すぐにゴキブリたちは長い触角をゆらゆらとさせながら、パンくずや野菜くずへと群がっていく。
「うふふ・・・美味しい?」
彼らを見ていると、自分もお腹が空いてくる。
そういえば、今日はまだ朝食を食べていない。
良樹と一緒に食べようと思っていたはずなのに、気が付くとぼうっとしてて食べるのを忘れていたのだ。
だったら・・・
だったらみんなと・・・
みんなと・・・一緒に食事をすればいい・・・
結花はそう思う。
みんなと一緒にご飯を食べるのだ。
一緒にご飯を・・・
なんて素敵なのだろうか・・・

結花は手にしていた食器をシンクに入れると、冷蔵庫を開けて野菜室からバナナを取り出す。
あとは食パンも用意して・・・と。
ふと、結花は手にしたパンとバナナに目を落とす。
なぜか、このまま食べることに強く違和感を覚えたのだ。
みんなと一緒に食べるのに、これでいいのだろうか・・・
これではヒトが食べるものであって、みんなで食べるものではないのではないだろうか・・・
もっと形を崩してみんなが食べやすいように・・・
どうしたらいいだろう・・・

結花は食パンを一枚床に落とし、その上に皮を剥いたバナナを置いて、自分の足で踏みつける。
うふふっ・・・
こうすればいいんだわ。
グチャッと音がして、ストッキングを穿いた足の裏でバナナとパンがつぶれていく。
つぶれるバナナの冷たい感触がなんだか気持ちいい。
結花はさらに足で踏みにじるようにしてパンとバナナをぐちゃぐちゃにしていく。
なぜかわからないが、こうすることによってヒトが食べる食べ物ではなくなり、むしろみんなで食べるための食べ物になったような気がするのだ。
このぐちゃぐちゃこそが、彼らと一緒に食べるご飯としてふさわしい。
「いただきます」
結花は床に腹這いになると、踏み潰してぐちゃぐちゃになったパンとバナナの混じったものを口に入れる。
バナナの果肉と糖分でべたべたになったパンがとても美味しい。
結花はわざとに手を使わず、舌で舐め取るようにして食べていく。
彼らと似たような恰好で食べれば、より一層彼らと近しくなれるような気がするのだ。
すぐに彼女の周りにもゴキブリたちが集まって、彼女の踏みにじってつぶしたパンとバナナの混じりあったものを食べ始めていく。
うふふふ・・・
なんだか楽しい・・・
みんなと一緒に食事ができるなんて幸せ。
結花はそう思う。
この家は彼らのもの。
そして彼女は彼らとともに暮らす仲間なのだ。
それが彼女には心地よかった。

「ひゃっ!」
足の裏が急にむずむずする。
寝そべったまま振り返ると、ゴキブリたちが結花のストッキングのつま先や足の裏についたパンとバナナを食べに集まっていたのだ。
「ええ? 私の足に付いたものなんかでいいの? 汚いわよ?」
だが、ゴキブリたちは床に散らばったものよりも、むしろ彼女のつま先や足の裏を好むかのように這いあがってくる。
「ああん・・・うれしい。私の足、たっぷり味わってぇ」
結花は態勢を直していったん躰を起こすと、今度は足を投げ出すようにして床に寝そべる。
バナナやパンで汚れた足を、ゴキブリたちが争うように舐め取ってくれている。
なんだかすごく気持ちがいいしうれしい。
しかも彼らはオスたちだ。
オスに足を舐めてもらえるなんて、メスとしては冥利に尽きると言ってもいいのではないだろうか?
「うふふふ・・・たっぷりと召し上がれ」
結花は足に群がるゴキブリたちを幸せそうに見守った。

                   ******

「あ・・・うふぅ・・・」
パジャマのにおいがまるで脳をとろかすようだ。
食べ物で汚れたストッキングを穿き替え、キッチンの床掃除などの後片付けを終えて洗濯をしようとした結花は、今日もパジャマの発するにおいにたまらなくなってしまったのだ。
昨日も感じたこのにおい。
臭いと言っていいようなにおいなのに、どうしても嗅がずにはいられない。
そういえば朝もこのにおいを嗅いでいたような気がするが、どうだっただろう・・・
その時もこのにおいにドキドキしていたような気もする。
ああ・・・
なんていいにおいなの・・・
あふぅ・・・
なんだかエッチな気分になってきちゃう・・・
結花の股間からはとろとろと愛液があふれてくる。
ああん・・・
欲しい・・・
欲しいわぁ・・・
オスが欲しい・・・
オスの精がたっぷりと欲しいの・・・

パジャマを片手ににおいを嗅ぎながら、もう片方の手は股間をまさぐっていく。
指先がパンストとショーツを超えて秘部に入り込み、くちゅくちゅと音を立てる。
においと快感が彼女を高みへと昇らせていく。
「あ・・・あああ・・・あああああ・・・」
躰が弓なりにしなり、つま先がピーンと伸びていく。
やがて結花はゴキブリたちの擦り付けたにおいに導かれ、絶頂に達していた。

「はあ・・・ん・・・」
ぐったりと床に寝転がる結花。
その周りにゴキブリたちが寄ってくる。
「あ・・・うふ・・・」
わさわさと動き回るゴキブリたち。
なんだか彼女にもっと近寄りたいが、近寄ってもいいのだろうかと逡巡しているようにも見える。
「うふふ・・・いいのよ。もっとこっちにいらして」
優しくゴキブリたちに声をかける結花。
まるでその言葉が引き金になったかのようにゴキブリたちが彼女の躰に群がってくる。
「キャッ、もう・・・甘えん坊さんね」
彼女の躰を這い回るゴキブリたち。
それがとても愛おしい。
どうしてこれまで彼らを毛嫌いしていたのか、もう結花には思い出せない。
彼ら無しではもういられない。
彼らとともにずっと暮らしたい。
彼らの仲間として。
彼らのメスとして。
そんな結花の思いをかなえるかのように、ゴキブリたちは優しく彼女の躰を這い回るのだった。

                   ******

リビングの床をちょろちょろと這いまわる黒い虫たち。
長い触角を揺らし、周囲を確認しながら動き回っている。
それを見ても、結花はもう悲鳴を上げたりはしない。
ゴキブリたちがいるのは当たり前のこと。
ここはゴキブリたちの棲み家。
彼らが自由に動き回っても当然なのだ。

彼らが動き回っているのを見ていると、結花はなんだか引き込まれそうな気持になる。
彼らと一緒にいたいのだ。
できれば一緒に床を這い回りたいという気持ちさえ湧き起こる。
彼らと一緒にいたい。
ずっとずっと一緒にいたい。
夫や良樹ともずっと一緒にいたいと思っていたけど、今はそれ以上に彼らと一緒にいたかった。
一緒に・・・
彼らの仲間になって、一緒に・・・

仲間になるということは、彼らと同じになることだ。
彼らと同じに・・・
ゴキブリになりたい・・・
みんなの仲間になりたい・・・
みんなと一つになって、一緒に這い回りたい・・・
私もゴキブリになって、一緒に這い回りたい・・・

結花は自分の躰を見る。
大きなヒトのメスの躰。
小さなゴキブリとは全然違う。
結花は悲しくなる。
どうしてそんなふうに思うのかはわからない。
どうしてゴキブリになりたいなんて思うのかわからない。
でも・・・
みんなと一緒に・・・
みんなと同じになりたい・・・

ふと結花は思いつく。
せめてみんなと同じような格好をしたらどうだろう・・・
せめてみんなと同じに・・・
結花の顔がややほころぶ。
みんなと同じ格好を・・・

パソコンに注文を打ち込んでいく。
「うふふふ・・・」
届くのが待ち遠しい。
届いたらあれをこうして・・・こうすれば・・・
ああ・・・早く届かないかしら・・・

カサカサとストッキングのふくらはぎのあたりをゴキブリが這い上がってくる。
ストッキングを通してゴキブリの脚のトゲが結花の肌を刺激する。
スカートの上まで登ってくるのもいる。
椅子から背中を回って胸のところにまで来る大胆なやつもいる。
待っててね・・・
届いたらみんなにも見せるからね。
みんなの仲間に入れてくださいね。
「うふふふふ」
結花は胸のところに来た大胆なゴキブリを指でつまみ上げる。
そしてその頭にそっとキスをする。
かわいくて愛しい存在。
彼らとこうして過ごすのこそ、今の彼女にとっては大事なことだった。

「ただいまー」
玄関で声がする。
「あっ」
途端に結花の周囲から蜘蛛の子を散らすように逃げ散っていくゴキブリたち。
それぞれが思い思いの隙間に潜り込み、その姿を隠してしまう。
あっという間にリビングからはゴキブリの姿が見えなくなる。
それが結花には一人取り残されたような気がして、強烈な喪失感を感じさせた。

「ただいま、ママー」
バタバタとリビングに入ってくる良樹。
思わず結花は険しい表情になる。
せっかくみんなと楽しい時間を過ごしていたのに・・・
こんなに早く帰ってくるなんて・・・

「ママ?」
「何? 早く手を洗ってうがいしてきなさい」
パソコンを閉じて冷たく言い放つ。
今は顔も見たくない。
どうしてみんなとの時間を邪魔されなくてはならないのか。
ここはみんなと私の家なのに・・・

「はーい・・・」
なんだか怒っているような感じの母の声に戸惑う良樹。
どうしたのかな?
ボク何かやったっけ?
思い当たる節はない。
そもそも学校から帰ってきたばかりなのだから、何かしでかそうにもその時間はなかったはずだ。
部屋が散らかっていただろうか?
まあ、本当に怒っているのだとすれば、その理由を言ってくれるだろう。
いつもママはちゃんと怒る理由を教えてくれる。
なぜ怒られているかを理解させ、繰り返さないようにするためだ。
少なくとも今まではそうだったのだから。
良樹はそう思い、カバンを置いて手洗いうがいをするために洗面所に行く。

「あっ!」
足元を小さな生き物が動いていく。
黒光りする楕円の形した胴体に、ワサワサと動く六本の脚。
ゴキブリだ。
良樹はとっさに何か退治できるものはないかと周囲を見渡す。
残念ながら洗面所には適当なものが見当たらない。
歯磨き用のコップや歯ブラシをぶつけるわけにもいかないし、タオルをかぶせるというわけにもいかないだろう。
何かないかと探しているうちに、ゴキブリは奥の隙間へと逃げ込んでしまう。
「あっ、くそっ!」
残念。
逃げられてしまった。
でも、放っておくわけにはいかない。
ゴキブリが増えちゃったら大変だ。
ママが大嫌いなゴキブリ。
何とかしなくちゃ。
そういえばパパが殺虫剤を買ってきたんじゃなかったっけ?

「ふう・・・」
思わずため息が出てしまう。
さっきは良樹に悪いことをしてしまった。
お帰りも言わずに冷たく突き放すような物言いをしてしまったわ。
どうかしている。
どうして苛ついてしまったのか・・・
あの子がこのくらいの時間に帰ってくるのは当たり前なのに・・・
みんなとはまた夜にでも会えばいい・・・
みんなとは・・・
そう考えながら、結花は良樹のおやつを用意する。
これを食べてもらって、少しでも機嫌を直してもらいましょう。

「ママー!」
テーブルにおやつを用意していると、良樹が洗面所から戻ってくる。
「手は洗った? おやつが・・・」
「殺虫剤どこ?」
結花が言い終わる前に良樹が殺虫剤の場所を訊いてくる。
「えっ? 殺虫剤?」
その言葉を聞いただけで、結花の心はざわついてしまう。
殺虫剤など何をするというのだろう?
「うん。またゴキブリが出たんだ。だから」
「えっ? まさかゴキブリに?」
ゴキブリに殺虫剤をかけるというの?
ゴキブリに?
「うん」
「いやぁっ! やめてぇーー!」
蒼白になり思わず悲鳴を上げてしまう結花。
「ママ?」
「あ・・・わ、私・・・」
愕然として自分に驚く結花。
どうして悲鳴を上げてしまったのかよくわからない。
だが、ゴキブリに殺虫剤をかけられると思っただけで、彼女はまるで心臓をつかまれたかのような言いようのない恐怖のようなものを感じてしまったのだ。

「だ、大丈夫だよ。ゴキブリはもう逃げちゃったんだ。だから二度と出てこられないように殺虫剤を・・・」
母の悲鳴に驚く良樹。
慌ててもういなくなったことを強調する。
いけない・・・ママは本当にゴキブリが苦手だったんだ。
まさかボクがゴキブリって言うだけで悲鳴を上げちゃうなんて。
「い、いいから」
「えっ?」
「いいから・・・あとはママがやっておくわ・・・いいのよ」
青ざめた顔をしてふらふらと洗面所に行ってしまう母。
良樹は何が何だかわからない。
ママが自分で何とかするということなのだろうか?
洗面所にはいろいろと物があるから、殺虫剤を下手にスプレーしないほうがいいということかもしれないけど・・・
なんだか今日のママはいつもと違うみたいだ・・・

洗面所の鏡に映る自分の顔。
私は・・・
私はいったいどうしたのだろう?
どうして青ざめているのだろう?
結花は自問自答する。
息子に感じた苛つき。
殺虫剤という言葉に反応してしまったこと。
よくわからない。
何か自分が変になっているのだろうか?
どうしたのだろう・・・

なんだか脚がくすぐったい。
見ると、一匹のゴキブリがストッキングの上を這い上ってくる。
結花はそのゴキブリを人差し指に移すようにして拾い上げ、目の前まで持ってくる。
ゆらゆらと揺らめく長い触角。
ジッと彼女を見つめてくる黒い複眼。
見ているとだんだん心が覚めて落ち着いてくる。
特に触角を見ていると気持ちがいい。
ゆらゆらゆらゆらゆらゆら・・・
まるで身も心も溶かされていきそうな感じ。
ああ・・・
なんて素敵なのかしら・・・

ゆらゆらゆらゆらゆらゆら・・・
揺れる触角。
結花の目がそれをじっと見つめている。
はい・・・
普段通りに・・・
男たちに怪しまれないように・・・
私はあなたたちのもの・・・
それを気付かれてはならない・・・
気を付けなくては・・・

結花の表情が落ち着いていく。
私ったら何を動揺していたのかしら・・・
落ち着いて普段通りにしていればいいんだわ。
この空間はあなたたちのもの。
あなたたちが認めたものしかここにいることは許されない。
あなたたちが認める存在に私は・・・
私はならなければいけない・・・

結花は洗面台の上にそっとゴキブリを置く。
ふう・・・
気を付けてね。
もうあの子に見つかったらダメよ。
見つかったとしても、あの子に殺虫剤なんか使わせないから安心してね。
そうよ・・・
あの子に殺虫剤なんか使わせるものですか。
あなたたちを死ぬような目には絶対に遭わせたりしないわ・・・

触角をゆらゆらさせていたゴキブリは、やがて洗面台の下へと降りていき、隙間に潜り込んでいく。
その様子を見て結花は安心する。
どうやら無事に隠れ家に行ったようだ。
あんまりヒトの男たちがいる時は出てきちゃダメよ。
結花は心の中でそう言うと、おやつを食べているであろう息子の元へと向かう。
みんなのことはうまくごまかしておかないと。
普段通りにふるまわねば・・・
普段通りに・・・
うふふ・・・

「ごちそうさまー」
良樹はおやつを終えて部屋に戻る。
キッチンから戻ってきたママはニコニコしていた。
でも、まだ片付けものとかいろいろあって危ないから、あんまりキッチンには近づかないでって。
変なの。
昨日までは特に何も言ってなかったのに。
それにキッチンはもうきれいに片付いていたと思うけど。
殺虫剤もあとで自分でやるからいいって言ってたけど、大丈夫なのかなぁ。
結局パパにやらせるんじゃないのかなぁ。
ボクがやってもいいのに・・・

まあ、ボクがそんなことを考えていてもしょうがないか。
パパとママが話し合ってうまくやるのだろう。
良樹はゲーム機を取り出すと、夕食までゲームをして過ごすことにする。
宿題は夕食の後でいいや。
今日のおかずは何かなー。

                   ******

「ただいま」
良樹の夕食が終わったころに博文が帰宅する。
「お帰りなさい」
玄関まで出迎える結花。
「はい、お土産」
その手にケーキの箱が握られている。
「まあ、珍しい。どうしたの?」
ケーキの箱を受け取りながら苦笑する結花。
こんなことはめったにない。
「ん? 会社の女の子たちがケーキの話をしててさ。そういえばしばらく食べていなかったなぁと思ってね。美味しいお店という話だったので、帰りに寄って買ってみた」
靴を脱いで家に上がる博文。
そのままカバンを手に二階へ上がっていく。
一度スーツを着替えに行ったのだ。
結花はケーキの箱を持ってリビングに戻る。
早速良樹が目ざとく見つけてくる。
「あっ、なにそれ?」
「ケーキですって。賞味期限は明日まで持つみたいだから明日のおやつにしましょ」
結花はそのまま冷蔵庫に入れようとする。
「えええー! 今食べようよー」
「今ご飯食べたばかりじゃない」
良樹の訴えに結花は驚く。
ご飯おかわりまでしたのに、まだ入るというのだろうか?

「大丈夫だよ食べようよ」
確かにママの言う通りお腹はほぼいっぱいだけど、ケーキと知ったら食べたいに決まっているよ。
明日のおやつになんて待ってられない。
良樹はそう思う。
それに、先にどれを食べるか選びたいしね。
とにかくどんなケーキか見てからにしなきゃ。

「お、なんだ?」
楽な衣装に着替えた博文がリビングに降りてくる。
「良樹がケーキを食べたいって・・・さっき晩御飯食べたばかりなのよ」
困ったような顔の妻。
どうやらまた良樹がママを困らせているらしい。
「ハハハ・・・まあ、いいじゃないか。せっかく買ってきたんだし」
「もう・・・あなたまで」
「俺も食べたいしな。みんなで食べよう。おっと、その前に俺は風呂に入ってこなきゃ」
「わぁい、みんなで食べよう」
「もう・・・二人とも」
やれやれという感じで妻が肩をすくめている。
まあ、たまにだからいいじゃないか。
「まあ、いいじゃないか。良樹はちゃんと寝る前に歯をしっかり磨けよ」
「もちろん」
「私はいいわ。ご飯もあるし・・・それに甘いものならみんなと食べたいもの・・・」
「えっ? だからみんなで食べるんだろ?」
「えっ? あ、ううん・・・何でもないわ、気にしないで。私はいいの」
なんだかハッとしたような表情をする妻。
みんなで一緒に食べるんじゃないのか?
「パパ、早くお風呂入ってきてよ」
「あ、ああ・・・」
博文は一瞬妻の言動が気になったものの、良樹に促され風呂に向かう。
まあ、ちょっとした言い間違いだったのだろう。

なんだかんだと風呂だの夕食だのを済ませ、終わってみればもうすぐに寝る時間。
「さて、そろそろ寝るとするか・・・」
リビングで読書をしていた博文は、読んでいた本を閉じて立ち上がる。
できればこんなビジネス書ではなく、好きな歴史本でも読みたいところだったが、上司の勧めでは断るわけにもいかない。
さっさと読み終えて適当な感想の一つも言わなくてはならないだろう。
やれやれだ。

結花はまだキッチンで何かやっているらしい。
今日の晩御飯も美味しかった。
彼女の料理の腕は確かで、結婚を決めたのもそこが結構大きい。
良樹のこともきちんと育ててくれているし、ありがたいものだ。

「おーい、先に寝るよ」
「えっ? あ、はーい」
慌てたようにリビングにやってくる結花。
なんだかあせったような顔をしている。
「どうしたんだい?」
「あ、いえ・・・別に」
なんだ?
どうかしたのかな?
「まだかかりそうなのかい?」
「え、ええ・・・もう少し」
結花がちらっとキッチンを振り返る。
どうやらまだ何かすることが残っているみたいだ。
朝食の準備だのなんだのとやることがあるのだろう。
「何か手伝おうか?」
「ううん、大丈夫よ。さ、明日も早いんでしょ? 寝て寝て」
起きるのが早いのは彼女の方なのにな。
博文はそう思いながらも、彼女の言葉に甘えることにする。
「それじゃ先に寝るよ。あんまり遅くならないようにね」
「ええ、そうするわ」
妻の笑顔に癒される博文。
さて、歯を磨いて寝るとしよう。

ホッとした表情を浮かべてキッチンに戻ってくる結花。
どうやら夫にここを覗かれずに済んだようだ。
夫が来る前に、急いでリビングに行ったのが良かったらしい。
結花の足元には数十匹のゴキブリたちがいる。
みんなで美味しそうにビールを舐めているのだ。
夫の飲み干した缶の底にわずかに残ったものを集めて床に垂らしてやったところ、みんな喜んで舐めに出てきたところだったのだ。
うふふ・・・
美味しそう・・・
ビールって美味しいのよね。
なんだか私も飲みたくなっちゃうわ。
今度みんなで一緒に飲みましょうか。
それがいいわ。
あのヒトにだけ飲ませておくなんて理由もないものね。
あとケーキもあるのよ。
あのヒトが買ってきたの。
さっきはついみんなと食べるなんて口にしてしまったけど、これも気付かれずに済んだみたい。
うふふふふ・・・

                   ******

パジャマに着替えベッドに向かう博文。
広いダブルベッドは一人で入るにはちょっと寂しい。
できれば妻と一緒に入りたいものだ。
最近は仕事の疲れや、妻が寝るのが遅かったりで、気が付くと妻がベッドに入る前に寝てしまっていることが多い。
おかげであっちの方もご無沙汰だ。
良樹ももう大きくなってしまったが、弟か妹がいてもいいのではないだろうか。
家も買ったし、もう一人ぐらい増えても何とかなるのではないだろうかとも思う。
仕事も何とか順調だし、また二人で夜を楽しむのもいいかもしれない。
そんなことも考える。

「ん?」
見るとベッド脇に黒光りする虫がいることに気が付く博文。
「あっ」
ゴキブリだ。
こんなのを見たら結花が悲鳴を上げてしまう。
急いで何かで叩き潰そうとするが、適当なものが見当たらない。
これがリビングだったら新聞だの雑誌だのあるのだが、ここにはおいていない。
そういえば殺虫剤はどこへやった?
あれがあれば一発なのに。
などと逡巡しているうちに、いつもなら逃げられてしまったりするものなのだが、今日はこちらに気が付いていないのか逃げずにじっとしている。
こうなればティッシュでつかんでつぶすしかないだろうと、ティッシュを三枚ほどつかみ出す博文。
そしてそっとゴキブリに近寄っていく。
だが、ゴキブリは逃げるどころか、動かずにじっとしている。
まるで彼のことをにらみつけているかのようだ。
いつものゴキブリとは違う反応に博文は違和感を覚える。
なんだこいつは?
いったい?

ゴキブリは触角を揺らしている。
長い触角をゆらゆらと。
なぜかそれに目が引き寄せられていく。
目が離せなくなってしまうのだ。
ゆらゆらゆらゆらゆらゆら・・・
なんだ・・・
急に眠気が・・・
あ・・・
なんだか急に眠気を感じ、そのまま床に倒れ込んでしまう博文。
彼の意識は闇の中へと沈んでいった。

ゴキブリたちへの供応の後片付けをし、寝る支度を終えた結花は寝室へとやってきて驚いた。
夫がベッドではなく床に寝そべって寝ていたのだ。
「えっ? どうしたの?」
思わず揺り起こそうと近寄るが、彼の耳元に一匹のゴキブリがいることに気が付く。
「えっ?」
そのゴキブリはまるで子守唄でも歌っているかのように、夫の耳元で触角を揺らしているのだ。
「いったい・・・何を?」
結花が困惑していると、どこからともなくわらわらとゴキブリたちが現れる。
そして結花の周りに集まり始め、長い触角を揺らしていく。
ゆらゆらゆらゆらゆらゆら・・・
それは結花に彼らが語り掛けているかのよう。
結花から困惑の表情が消え、口元が少しほころんでくる。。
「はい・・・今行きます」
結花はそう言うと、床の夫には目もくれずに寝室を出る。
そのまま階段を降り、洗面所へと向かうのだった。

                   ******

ひんやりとした洗面所の床。
結花が寝そべると、そこはもう一杯となる。
先ほどから、結花はもう胸がときめいて仕方がない。
まるで初夜を迎えた花嫁のようだ。
ああ・・・
なんだかとてもうれしい・・・
今夜、彼らは彼女の躰を求めたのだ・・・

恥じらうようにシャツの前を開けていく。
ブラはシャワー後に外していたため、形よい胸がむき出しになる。
ああ・・・
早く来て・・・
なんだか恥ずかしい・・・
乙女のような気持ちが結花の頬を染める。
その周囲には、床を埋め尽くすかのように無数の黒光りする扁平な虫たちが蠢いていた。
皆その長い触角をゆらゆらと揺らし、結花の周りを取り囲む。
彼らの眼の一つ一つが結花を見つめているようだ。

腰をちょっと持ち上げてスカートと一緒にショーツをずり下げ、足で蹴って脱ぎ捨てる。
最近ちょっとお手入れをさぼっていた叢があらわになる。
ああ・・・
恥ずかしい・・・
見られている・・・
みんなに見られているわ・・・
恥ずかしい・・・
でも・・・
うれしい・・・

叢をかき分けて二本の指が秘部をこじ開ける。
こうして彼らが入りやすくしてあげるのだ。
自分の中に彼らが入り込んでくる。
そう考えただけで躰が熱くなる。
「ああ・・・お願い・・・来て・・・」
結花のその言葉が引き金になったかのように、ゴキブリたちがいっせいに結花の躰に這い上がる。
あるものは脚に。
あるものは腕に。
あるものは頭に。
あるものは胸に。
そしてまたあるものは直接彼女の秘部へと潜り込む。
それは彼らの中の力関係なのか?
それとも彼らの好む場所の違いなのか?
ともかく結花の躰はゴキブリで埋め尽くされ、結花はその快感に打ち震えていく。
大きな一匹のメスゴキブリと、大勢のオスゴキブリのセックスの始まりなのだ。

カサカサと這い回る無数の脚。
そのトゲが結花の肌をくすぐっていく。
それはまるでゴキブリたちの愛撫のよう。
乳首に群がる無数の口。
ピンと立った乳首を甘噛みする彼ら。
その刺激が結花の躰を震わせる。
髪に埋もれる無数の胴体。
黒い海を泳ぎ渡る黒褐色のつややかな翅たち。
その動きさえ今の結花には快感だ。
そして、秘部に出入りする多くのゴキブリたち。
彼らの出入りによって、まるで力強いピストンをされているかのように、結花の躰はもてあそばれていく。

「ああ・・・ああん・・・」
思わず喘ぎ声を出してしまう結花。
気持ちいい・・・
こんな気持ちいいセックスは初めて・・・
あのヒトとのセックスなんて問題にならないわ・・・
結花は快楽に身を委ねながらそう思う。
やがて彼女の口の中に一匹のゴキブリが入り込む。
「ん・・・んちゅ」
結花は口の中で動き回るゴキブリを飲み込まないように気を付けながら、舌を動かしてゴキブリを味わっていく。
おいしい・・・
彼らの出す分泌物の味だろうか?
ゴキブリは結花の中で動き回り、その躰を舌に絡みつかせてくる。
まるでそれはゴキブリとのディープキス。
結花とゴキブリたちとの味の交わりなのだ。
「んん・・・んちゅ」
舌の上でゴキブリを転がしていく結花。
彼らとのキスがこんなにも素晴らしいものだったなんて・・・
ああ・・・なんて幸せなのかしら・・・
もっと・・・
もっと私を味わって・・・
ああ・・・
ああん・・・
イく・・・
イく・・・
イっちゃうぅぅぅぅぅぅ・・・
ゴキブリを口に含みながら、全身を震わせて盛大に絶頂に達してしまう結花。
その躰はゴキブリで真っ黒に埋め尽くされていた。

(続く)
  1. 2020/07/19(日) 21:00:00|
  2. ゴキブリの棲む家
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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