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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

正義のヒロインは選択肢を選んで悪の女戦闘員に

10月10日に始まりました「(特撮系)戦闘員の日」週間も、今日が最終日。
ということで、SSを一本投下いたします。
最後の最後にもう一本ということで。(´▽`)ノ

タイトルは、「正義のヒロインは選択肢を選んで悪の女戦闘員に」です。
今回もシチュのみ短編という感じですが、楽しんでいただければ幸いです。

それではどうぞ。


正義のヒロインは選択肢を選んで悪の女戦闘員に

「う・・・うーん・・・」
私はゆっくりと目を覚ます。
ここは・・・どこ?
私はいったい・・・
頭がズキズキする・・・
いったいどうしたというの?

私はゆっくりと躰を起こす。
「えっ?」
思わず声が出てしまう。
起きた拍子に見た自分の躰が信じられないことになっていたのだ。
なんなの、これは?

私の躰は全身がぴったりと覆われた黒いタイツのようなもので覆われていたのだ。
いわゆる全身タイツとでもいうのだろうか?
首から下はすべて覆われ、両手と両脚もそれぞれ黒いブーツと手袋に包まれていた。
腰にはベルトが巻かれ、そこには・・・ああ・・・なんてこと・・・
邪悪結社ダアルドの紋章が付いていたのだ。
「これは・・・ダアルドの?」
私は寝かされていたベッドから起き上がって躰を調べる。
どうやら傷つけられたりはしていないらしい。
どこも痛みはないし、無事なようだ。
だが、それにしても・・・
この格好はとても恥ずかしい・・・
なにせ躰にぴったりと貼り付くような感じなので、胸のふくらみはおろかおへそのくぼみもあらわになっているし、その・・・股間のあたりもくっきりと・・・

とはいえ、これはどうやって脱ぐのかもわからない。
背中にファスナーでもあるのかとも思ったけど、どうもそうでもないらしい。
ブーツや手袋、ベルトなんかは外せば外せそうだけど、これまでのダアルドとの戦いで倒した怪人や戦闘員たちはみな最後に自爆を遂げている。
ということは、このベルトを外した瞬間にドカーンということにもなりかねない。
いや、むしろ彼らはそれを狙って私にこれを着せたのかもしれないのだ。
私がこの衣装を嫌がってベルトを外したところでドカーン・・・
充分にあり得る話ではないだろうか・・・
うかつに外すわけにはいかないわ・・・
とにかくここがどこで、どうすれば出られるのかを調べなくては。
この服のことは・・・今は気にしないでいるしかなさそうね。

殺風景な部屋。
白い壁には窓一つない。
天井にも何もないが、天井自体が発光して明かりになっているようだわ。
部屋の中には私が寝かされていたベッドがあるだけ。
私の着ていたものや持ち歩いていたものもない。
そうだ・・・
思い出したわ。
確か私はショッピングに出てて、そこにダアルドの襲撃があって、スーツを装着しみんなを呼ぼうとしたところ、何人かの人質を取られて・・・
やむなくスーツの装着をあきらめたところを、ガスのようなものを嗅がされたんだっけ・・・
あの人質の人たちはどうなったのかしら・・・
無事だといいけど・・・

とにかくここからまずは脱出しなくては。
壁にはドアが一つ。
それ以外に出入りできるところはなさそう。
私はカツコツと足音を響かせてドアのところに行く。
ブーツのヒールが硬質な床をたたく音だ。
気を付けないと、この足音でダアルドの連中に気付かれてしまうかもしれない。

ドアはスライドタイプのよう。
取っ手も何も付いてない。
脇にスイッチがあるだけだわ。
このスイッチで開け閉めするのだろう。
赤いスイッチと青いスイッチ。
どちらかを押せば開き、どちらかを押せば閉じるということだろうか。
そしてスイッチのところには何か文字が書いてある。
開くとか閉じるとかの単純な言葉ではないようだが、なになに・・・
「今着ているスーツについて?」
今着ているスーツって、この黒い全身タイツみたいなもののこと?
どういうこと?

赤いスイッチのところには、“どうせ脱げないし脱いだら裸になるので脱がない”とあるわ。
そして青いスイッチの方には、“脱ごうと思えば脱げるけど着ていると気持ちいいので脱がない”と書かれている。
このどちらかを選べということ?
どっちにしても脱がないという結論に変わりはないようだけど・・・
まあ、さっきも考えたように、うかつに脱ぐのは危険だろうから、脱がないという結論には賛成だわ。
どっちを押せば開くのかしら?

私は赤いスイッチを押してみる。
どうせ今は脱げないし、裸になるので脱がないというのはその通りだもの。
だが、ドアは全く反応がない。
じゃあ、こっち?
私は青いスイッチを押す。
すると、ドアはシュッと音を立てて開いたのだ。
なるほど・・・
脱ごうと思えば脱げるけど、気持ちいいので脱がないってことね。
確かにこれだけ肌に密着していると、気持ちいいのは確かよね。
躰にフィットしてすごくなじむ感じだし。

ドアの外は左右に伸びる廊下になっている。
ここも天井がぼうっと光って明るいわ。
廊下そのものは白い壁面で作られていて、先ほどの部屋と同じ感じ。
さて、どっちへ行けばここから出られるのか・・・
そう思った私だったが、左右の廊下はどっちに行ってもすぐに行き止まりになっていた。
どういうこと?
出口はいったい?

ふと見ると、行き止まりになっている壁の脇にもスイッチがあり、文字が書かれている。
もしかして反対側にも?
念のため確認すると、反対側の壁にもスイッチがあり、こちらにも文字が書かれていた。
こちらの壁に書かれているのは、“私はダアルドの女戦闘員である”という言葉。
先ほどの壁には、“私はダアルドの女戦闘員ではない”という言葉だ。
これはもちろん私はダアルドの女戦闘員ではないというほうのスイッチを押したいのだけど、押してもたぶん開かないのではないだろうか。
試しに戻って押してみたものの、やはり壁はそのままだ。
仕方なく私は、私はダアルドの女戦闘員であると書かれたスイッチを押す。
すると、壁がグオングオンと音を立てて下に下がっていき、床に吸い込まれるようにして消え去ると、その先にも通路が続いているのが分かった。
なるほど・・・
この衣装はダアルドの女戦闘員の衣装ということなのね。
私はダアルドの女戦闘員。
そう思い込ませたいんでしょうけど、そうはいかないわ。
なんとしてもここを抜け出すんだから。

カツコツとヒールの音を響かせて廊下を歩いていく。
なんだか廊下に反響する音が気持ちいい。
さて、この先には何があるのかしらね。
ん?
廊下の途中にドアがあるわ。
中を確かめるべきかしら・・・

私はドアの前で立ち止まる。
このまままっすぐ廊下を歩いて行ってもいいのだけど、ドアの中が何なのかも気になるわ。
ドアにはさっきと同じく赤と青のスイッチ。
ここには文字は書かれていない。
確かさっきは青のスイッチで開いたのよね。
私が青のスイッチを押すと、ドアがスライドして開く。
どうやら中は部屋になっているらしい。
ここはいったい?

私は部屋に入ってみるが、そこには何もない。
空き部屋?
いや、そうではない。
奥の壁面がモニターになっているんだわ。
今は何も映されていないけど。
こんな大型モニターなら、映画なんか見たら迫力ありそうね。

突然背後でスライドドアが閉まる。
しまった!
罠だった?
私は慌ててドアのところに行くが、あるべきはずのスイッチがない。
うそでしょ?
どうやって開けるの、これ?

室内が急に暗くなり、モニターが明るくなる。
何?
何が始まるの?
どういうこと?

“ダアルドシアターへようこそ。これよりシューティングゲームをしていただきます。ゲームが終われば、背後のドアが開きます。拒否権はありません。ゲームをしなければずっとドアは閉じたままとなります”
モニターにに映し出される文字。
シューティングゲーム?
いったい何をやらせようというの?
ここから出るためにはやらなくちゃいけないというの?
くっ!
まさかゲームに何か仕掛けがあるのでは?

モニターの下側が左右に開き、そこから拳銃の載った台がせり出してくる。
拳銃とはいっても、黄色のプラスチックで作られたおもちゃの拳銃のようだ。
グリップの部分にワイヤーが付いていて、どうやら引き金を引くと信号が送られる仕組みになっているらしい。
いわばまさしくゲームセンターの拳銃ということか。
でも、これで何を撃てというの?

モニターの画面が変わり、新たな文字が映し出される。
“これより二種類の画像をモニターに映し出します。好きな方を撃ってください”
好きな方を?
どういうこと?

「えっ?」
私は息をのむ。
モニターに表示されたのは、布で口に猿轡をされ、躰を縛られた女性だったのだ。
それは紛れもなく人質になっていた女性の一人。
まさか、彼女を撃てと?
確かにこの銃はおもちゃで実弾が出るわけではないし、狙うのはあくまでもモニターの画像。
とはいえ、もしここで引き金を引いてしまえば、人質になっている彼女に何らかの危害が行くかもしれないのだ。
そんなことができるわけがない。

落ち着くのよ。
映し出される映像は二種類と言っていた。
もう一種類を確かめればいい。
私はそう思い、もう一種類の映像を待つ。
「そんな・・・」
画面が変わって映し出されたのは、私たちADAT(エーダット:アンチ・ダアルド・アタック・チーム)のマークだったのだ。
これを撃てと?
ADATの一員である私にこれを・・・

私がためらっているうちに、映像は再び縛られた女性に変わる。
やはり彼女を撃つわけにはいかないわ。
仕方ない・・・
次に画像が変わった時に・・・
マークを撃つだけだから大丈夫だと思うけど・・・
みんな・・・ごめん・・・

再度画面が変わり、ADATのマークが映し出される。
私は拳銃を構えて引き金を引く。
「ピンポーン」
画面がピンク色に輝き、風船が飛び交い、軽妙な音が鳴る。
まるで何かクイズ番組で正解を出したときのような感じだ。
あはは・・・
なんだか気持ちいい・・・

また人質の女性に切り替わる。
私は銃を構えてADATのマークに切り替わるのを待つ。
ほどなく画面が切り替わり、私はADATのマークであることを確認して撃つ。
「ピンポーン」
気持ちいい・・・
もう一発。
「ピンポーン」
もう一発!
「ピンポーン」
あはははは・・・
なんだかすっごく楽しいわぁ。

気が付くと背後の扉は開いていた。
どうやらクリアしたみたいね。
私はなんだかいい気分で部屋を出る。
さて、次は何かしら。
うふふふふ・・・

廊下を進んでいくと、またしても突き当り。
思った通り脇には赤と青のスイッチがある。
もちろん選択肢もしっかりある。
今回は何かしら?
どれどれ?

“お前にとってADATは憎むべき敵である”
“お前にとってADATは憎むべき敵ではない”
なるほどこう来ましたか。
ここは私にとってADATは憎むべき敵ではないなどを選択する理由はないわね。
選んだところでこの壁が開くわけもないでしょうから。
だとしたら、当然私にとってADATは憎むべき敵であるを選択するに決まっているわ。

私は赤いスイッチを押す。
先ほどと同様に壁がグオングオンと音を立てて床に沈んでいき、奥の通路とつながった。
うふふふふ・・・
ADATは憎むべき敵・・・
当然ね。
ADATは憎むべき敵よ。

廊下にヒールの音が響いていく。
肌に密着するスーツが心地いい。
このスーツは最高だわ。
ずっと着ていたくなる。

またしても行き止まりの通路。
もう・・・なんなのここは?
どうあっても私を閉じ込めておこうというつもりかしら。
そうはいかないんだから。

見ると右手にスライドドアがある。
もちろんここも赤と青のスイッチが。
そして選択肢も。
“お前は自らの意志ではADATと戦わない”
“お前は自らの意志でADATと戦う”
決まってるでしょ。
私は自らの意志でADATと戦うわ。
ADATは憎むべき敵ですもの。
そうよ。
ADATは倒さなくては・・・

私は青いスイッチを押す。
スライドドアが開き、私は部屋の中に入り込む。
「なっ!」
私は驚いた。
てっきり中には誰もいないと思っていたのに、立っている人影があったのだ。
しかも二人も。

私も思わず床に転がり、一回転して戦闘態勢を整える。
まさか人がいるとは思わなかったわ。
いったい誰が?
だが、相手は私に声をかけてくるでも、攻撃を仕掛けてくるでもなかった。
それどころか、私が入ってきたにもかかわらず、その場に突っ立ったままなのだ。
どういうこと?

「なーんだ」
私はゆっくりと立ち上がる。
何も反応がないはずだわ。
部屋の中で立っていたのはマネキン人形だったのだ。
それも二体とも。
不思議なことに、一体は私と同じような黒い全身タイツ姿でダアルドの紋章の付いたベルトを締めている。
もう一体は私たちの本部でよく見かけるADATオペレーターの制服姿だ。
これはどういうことなの?
ダアルドの女戦闘員とADATのオペレーター?

私が不思議に思って近づくと、足元の一角が開いて、そこから台がせりあがってくる。
よく見ると、その台には鋭い短剣が載っていて、そのそばに文字が書いてある。
“お前の敵はどちらかを見極め、この短剣を突き立てよ”
なるほど・・・
私の敵はどっちなのかということね?
そんなの決まっているじゃない。
うふふふふ・・・

私は短剣を握ると、ADATのオペレーターの制服を着たマネキンに振り下ろす。
何度も何度も何度も・・・
ADATは憎むべき敵。
ダアルドに歯向かう愚か者たち。
首領様の偉大さを解せぬやつら。
消えて当然な連中なのだ。

「ピンポーン」
正解のチャイムが鳴る。
ああ・・・うれしい。
そうよ・・・
私はダアルドの女戦闘員ですもの。
正解して当然だわ。

私は短剣でズタズタになったマネキンを蹴飛ばし、意気揚々と部屋を出る。
さあ、次はどんな選択肢が待っているのかしら?
うふふふふ・・・
楽しみだわ。

部屋を出ると、行き止まりだったところにまた通路が開いている。
正解だったから当然よね。
この先へ来いってことだわ。
うふふふふ・・・

私は誇らしげに胸を張り、通路を歩いていく。
本当にこのスーツは躰の動きを阻害しなくて最高だわ。
もうこれ以外のスーツなんて着る気もない。
これこそが私にふさわしいスーツだわ。

なんだかどんどんと奥へ奥へと向かっているような気がする。
もしかして、このアジトの中心に向かっているのかしら?
だとしたらなんだかうれしい。
もしかしたら首領様にお目通りがかなうのかも。
楽しみだわ。

突き当りにある重々しい両開きのドア。
おそらくここがアジトの中心ね。
ドアの中心にはやっぱり赤と青のスイッチがある。
もちろんこれはどちらかを選んで押せというもの。
そしてその選択肢は?

「お前はダアルドに心からの忠誠を誓うか? ・・・ね」
“はい。忠誠を誓います”
“いいえ。忠誠を誓いません”
そんなの決まっているじゃない。
「はい! 私はダアルドに忠誠を誓います!」
私はそう答え、赤いスイッチを押す。
両開きのドアがゆっくりと開き、私を中へと招き入れる。
私は喜びを感じながら室内へと入る。
この部屋に入れるのはダアルドに選ばれた者のみ。
私は選ばれたのよ。
なんて嬉しいのかしら・・・

広い室内。
奥にはモニターがあるだけ。
私はそのモニターの前に進み出てひざまずく。
するとモニターが点灯し、揺らめく影が映し出される。
『よく来た。心歪められし者よ』
偉大なる首領様の声。
心を歪められた?
どういうことだろう?
私の心は歪んでなど・・・
だが、首領様の言葉に異議をさしはさむなど許されない。
『お前はこれより、我がダアルドの女戦闘員。ダアルドのために働くのだ。よいな』
「ハッ! 私はダアルドの女戦闘員。首領様に心からの忠誠を誓います。どうぞ何なりとご命令を」
私は首領様の言葉に答え、右手を胸にあてて頭を下げる。
首領様のご命令なら何でも致します。

『早速お前に命令を下す。お前はこれよりADATの一員に成りすまし、奴らの基地に潜入せよ。そして、我が命に従い、奴らを内部から破滅させるのだ』
「かしこまりました、首領様。これより私はADATのメンバーに成りすまし、奴らの基地に潜入してご指示を待ちます。ダアルドの女戦闘員である私にお任せくださいませ」
『うむ。期待しておるぞ』
「ハハッ!」
首領様の命令を聞いて私は身震いするほどの喜びを感じる。
奴らの基地に潜入するなど、なんと素晴らしい任務だろう。
必ずやご期待に沿えなくては。
うふふふふ・・・
首領さまに歯向かう連中など皆殺しにしてあげるわ。

私は一礼して立ち上がると、首領様の元を後にする。
さあ、任務を完遂しなくては。
私はゾクゾクするほどの興奮を胸にADATの基地へと向かうのだった。

END

以上です。
いかがでしたでしょうか?
よろしければコメント等感想をお寄せいただけましたらうれしいです。

これにて戦闘員の日週間は終了です。
また来年をお楽しみに。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2019/10/17(木) 21:00:00|
  2. 女幹部・戦闘員化系SS
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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