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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

彼女は女戦闘員(後)

台風19号は大変な状況のようなので、どうか皆様充分ご注意くださいませ。

こんな時になんなんですが、昨日の前編に続き、「彼女は女戦闘員」の後編を投下したいと思います。
台風で大変だとは思いますが、読むことができる方には読んでいただいて、少しでも楽しんでいただければと思います。
気分転換の糧にしていただけましたら幸いです。

それではどうぞ。



「あー、ねみーー」
俺は大きなあくびをしながら学校に行く。
ここ二日ほど夜更かしというか、ほとんど徹夜みたいなこともやっているしな。
眠くて当たり前ではあるんだが・・・
今日も午後の授業を捨ててどっかで寝ていようかなぁ・・・

「おはようございます、怪人様」
聴き慣れてきた鈴の音のような軽やかな声。
だが、少し沈んだ感じ?
玄関の靴箱のところで上靴に履き替えていた俺は、思わず声の方を向く。
「鴇沢さん? まさか俺を待ってたの?」
そこにはなぜか不安そうな表情でうつむき加減で俺を見上げている彼女の姿が。
待ってたのという俺の問いにコクコクとうなずいている。
なんと言うか、この小動物っぽいところもかわいいんだよなぁ。
彼女自身が小柄だから余計にそうなんだろうなぁ。

「何かあった?」
上靴に履き替えた俺は、彼女を片隅へと連れていく。
なんにしてもあんまり目立ちたくはないからな。
「あの・・・昨晩私が着替え終わる前に急に帰られてしまったので・・・何か怪人様のご気分を損ねるようなことをしてしまったのかと・・・」
鴇沢さんがうつむきながらそう言ってくる。
あー・・・
俺が昨夜さっさと帰っちゃったからか。
もしかして彼女はそれが自分のせいだと思っている?
いや、まあ、確かに彼女のせいとは言えないこともないけどさぁ・・・
帰ってから急いで布団に入って二回もしちゃったからなぁ・・・
うう・・・
まさかクラスメートの女子をオカズにあれをしちゃうことになるなんて思いもしなかったけど・・・

「怪人様?」
俺が返事をしないからか、不安そうな目で俺を見ている彼女。
「あ、いや、違う違う。単に俺が早く帰って寝ようと思っただけなんだ。鴇沢さんが悪いなんてことは一つもないから安心して」
俺は両手を振ってそんなことはないと身振りで示す。
彼女はホッとしたような表情を浮かべ、ちょっとだけ左右を確認した。
「鴇沢・・・ですか?」
「あ・・・」
俺も思わず左右を確認し、玄関にいる連中がこっちを見ていないことを確かめる。
「お前のせいじゃないから安心しろ、64号」
「よかった。ありがとうございます、怪人様」
彼女の表情がぱあっと明るくなり、ぺこりと頭を下げてくる。
何がありがとうなのかはよくわからんが、とりあえず誤解は解けたようだ。
「それじゃ私は教室に行きます。あ、カバンをお持ちしましょうか?」
「あ、いや、いいよ。俺もすぐ行くから」
「はい。それでは失礼して先に教室に行ってます、怪人様」
やはりテテテテという感じで走り去る64号。
さっきまでとは打って変わって弾むような感じだ。
ホントかわいいなぁ。
たまらんなぁ。

「怪人様」
上靴に履き替えたあとそのままにしちゃっていた外靴を靴箱に入れようとしていた俺は、背後から声をかけられ心臓が飛び上がるほどびっくりする。
彼女とは違う女性の声が俺をそう呼んだのだ。
「はいぃぃ?」
振り返ると、そこにはなんだか冷たい目で腕組みをしながら俺を見つめてくる関畑(せきはた)先生が立っていた。
音楽担当の先生で、美人と評判の先生だけど、まさか今の彼女との会話を聞かれていたのかな?

「怪人様ねぇ」
ボソッとつぶやくように言う関畑先生。
「な、なんですかそれ?」
「今の子、あなたのことをそう呼んでいたようだったから、なんなのかなーと」
まるで射抜くような目で関畑先生が俺を見る。
美人って、こういう目をすると結構怖いものだな・・・
「き、聞き間違いでは? そんなこと言ってましたっけ?」
俺はなんとかとぼけてみる。
「ふふ・・・どうだったかしらね。ほら、さっさと行かないと一時間目が始まるわよ」
ぺろりと舌で唇を舐め、俺の前から去っていく関畑先生。
なんなんだいったい?
遅刻の取り締まりでもやっていたのかな?
それにしてもなんだか迫力があったなぁ。
美人は怒らせるものじゃないな。

                   ******

さてと、午前の授業も終わってお昼だお昼だ。
それにしても午前中は眠かったなー。
というか寝てたなー。
おかげで何回か注意されたけど、眠いものは仕方ないよな。
うん。

ということで俺は購買に昼飯を買いに行く。
母さんが今日は寝過ごしたからって弁当を作ってくれなかったのだ。
千円札一枚よこして、これで昼は済ませなさいってか。
やれやれだ。
こんな時マンガだと彼女がお弁当を作って・・・
鴇沢さん・・・いや、女戦闘員64号がお弁当を作ってくれて・・・怪人様どうぞ、あーん・・・なんて・・・
そういう展開があったりするといいのになぁ。
はあ・・・
まあ、さすがにそこまでは無理か。

「怪人様」
「はわぁっ!」
購買でお昼を買って戻ってきた俺は、またしても背中から声をかけられる。
「と、鴇沢さ・・・いや、64号。驚かせるなよ」
「す、すみません」
慌てて頭を下げる彼女。
いや、そこまでしなくてもいいよ。
「どうした? 何かあったか?」
「あ、いえ・・・その・・・怪人様さえよろしければ、お昼をご一緒させていただけないかと・・・」
「は? へ? 俺と?」
「はい・・・」
手に小さなお弁当箱を持って上目遣いで俺を見る彼女。
ダメですってば!
かわいすぎるだろ!

「も、もちろんいいけど」
というかぜひ!
「よかった。それじゃこちらへ」
途端に彼女は笑顔になり、俺を案内するように先に立つ。
どこへ行くのだろう?
まあ、さすがに教室で一緒にというのは気恥ずかしいから、二人きりになれるところならどこでもいいけど。
二人きり?
二人きりかぁ・・・
ひゃっほーい!

「どうぞ」
「あ、うん」
彼女に連れてこられたのは三階の音楽室だった。
もちろん昼休みなので今は誰もいない。
二人きりになるにはいい場所かもしれないが・・・
「いつもここで?」
「はい。ここならほとんど邪魔は入りませんので」
そう言って彼女は席に着く。
「ふーん・・・」
俺も彼女の隣に座らせてもらい、購買で買ってきたものを出していく。
「怪人様はお弁当とかではないのですか?」
「ああ、今日は母が寝坊したとかで作ってくれなかったんだ。いつもは弁当だったりするんだけど」
まあ、うちの母の場合、寝坊することがわりと多かったりもするがな。
「そうなのですか? あの、ご自身でお作りになったりとかは?」
彼女もお弁当を用意して食べ始める。
彩りもきれいで美味しそうなお弁当だなぁ。
「無理無理。さすがに弁当は作らないよ」
俺は首を振る。
そりゃあ、たまに焼きそばとかチャーハンぐらいなら作ったりするけどさ。

「そうなのですか。さすが怪人様です」
なぜか目を輝かせて俺を見る彼女。
「へ? なんで?」
「擬態を完ぺきにこなすためとはいえ、下等な人間どもを親として扱い、自分の食べるものをそのような連中に任せるなど、尋常な覚悟ではありません。素晴らしいと思います」
「はいぃぃ?」
なんですかそれ?
「申し訳ありません。私にはまだそこまでの覚悟ができず、あの人間どもに私の口に入るものを作らせる気にはなりませんです。なので、朝は特別ドリンクを飲み、昼は自分でお弁当を用意し、夜はバイト先で食べると言ってアジトで食べていますです」
あ・・・
そういうことか・・・
悪の組織の女戦闘員として、敵である下等な人間が作る食事など何が入れられているかわからないと思っているんだ・・・
そういうことなのか・・・

「ですので、さすが怪人様は心構えが違うなぁと思わせられます。すごいです」
眼鏡の奥の彼女の目がキラキラしている。
いや、そんなすごくはまったくないと思うぞ。
そんなふうな目で見られてもこっちが困惑してしまう。
「いやいや、そんなことはないぞ。むしろお弁当を自分で作る方がすごい」
お弁当を作るなど、朝は結構大変だろうに・・・
「そうでもないです。材料はあの連中に用意させてますし。あの連中に財力を使わせるのもトテンコプの一員として当然のことですから。うふふふ・・・」
冷たい笑みを浮かべる彼女。
ああ・・・なるほど・・・女戦闘員というのはそういうふうに考えるものなのか・・・
普段は見せないような彼女の表情。
俺はそこになんだかゾクゾクするものを感じてしまう。
これが悪の魅力というものなのだろうか・・・
でも・・・
このままでいいのかなぁ・・・

「どうかしましたか、怪人様?」
俺が何となく彼女を見つめていたのに気が付いたらしい。
「あ、いや・・・そういえば任務って結構ヤバいのか? 誰かを殺すとか、どこか破壊するとか・・・」
もしかして・・・彼女もそんなことをしているのだろうか・・・
そういえば最初の時は彼女は俺を殺そうとしていたんだったっけ・・・
「いいえ、私はまだ新入りですから、それほど大変では。クモ女様の退路確保のために警備員の始末をしておくとか、追ってこられないように車に細工を仕込んでおくとかそのくらいですから」
いやいや、それは充分ヤバいって・・・
でも、そんなことを当たり前のようにやっちゃうのか・・・
やっぱり悪の組織の女戦闘員というのは、そうじゃなきゃ務まらないんだろうなぁ・・・
どうしたものかなぁ・・・

そうだ・・・
彼女を少しずつ普通の生活に戻していけばどうだろう。
擬態を完璧にするために日常を増やせ、みたいな感じで。
そうしてできるだけ任務から遠ざけてみて。
そうしていつかは・・・

「あの・・・あのさ」
「はい、なんでしょうか?」
「週末は任務入ったりしてる?」
「週末ですか? 今のところは入っていないと思います。クモ女様からも何も言われておりませんし」
少し首をかしげて考え込みながら、そう返事する彼女。
「だったら、どこか遊びに行くか、映画でも見に行かない?」
うあー!
誘ってしまっているよ・・・
胸がドキドキするー・・・
「遊びに・・・ですか? 怪人様と・・・ですか? 私で・・・よろしいのですか?」
なんだか目を丸くしている彼女。
よろしいんです。
君だからいいんです。
俺はコクコクとうなずく。
「はい、喜んで! うれしいです。でも、本当に私のような新人の女戦闘員でもよろしいのですか? 遊びにとおっしゃってますけど、何か極秘任務とかだったりするのではないのですか? だとすれば、私では怪人様の足手まといになるのではないかと・・・」
今度は俺がブンブンと首を振る。
「いやいやいやいや、足手まといなんかじゃないから。えーと、ほら、新人だからこそ、人間たちの中に紛れ込む擬態をもっと完璧にこなす練習をしなきゃならないだろ? 俺と一緒にその練習をしないか?」
あー・・・
くそっ!
結局怪人である俺からの命令ってことにしてるじゃん。
でも、これで彼女が誘いに乗ってくれるなら・・・
それでもいいか・・・

「あっ、確かに怪人様のおっしゃる通りです。私、家でも学校でも人間たちを見るとなんだかイライラしちゃって・・・早く世界が首領様の治める世界になってほしいとばかり・・・でも、それじゃ私が女戦闘員だということがバレてしまう可能性があるということなんですよね」
うんうんと自分で納得してうなずいている彼女。
うん、まあ、それでいいよ。
「だからごく普通の高校生同士として遊びに行くことで、擬態もよりうまくできるようになるんじゃないかなぁ」
「はい、わかりました怪人様。週末はよろしくお願いいたします。ヒャイーッ!」
突然立ち上がって奇声を上げ、右手を胸に当てる彼女。
「わぁ、だからそれがまずいってば」
「あっ、し、失礼いたしました」
思わず真っ赤になってしまう彼女に、俺は苦笑いを浮かべるのだった。

                   ******

やっほーい!
デートだデートだデートだ!
初めてのデートだー!
なんだか無理やりぽくなってしまったかもしれないけど、それはそれだ。
どこに行こうか?
何をしようか?
こりゃ午後の授業なんて受けてられないよ。

俺は午後の授業をすべて放り出すと、先日のように用具室で昼寝する。
授業なんてくそくらえだ。
そういえば、ここで昼寝して寝過ごしたから彼女とこうして話せるようになったんだったなぁ。
もっと仲良くなれるといいなぁ。
そして・・・いつでもあの女戦闘員の格好で、あん・・・怪人様ぁ、そこはダメですぅとか言って・・・
むふふふ・・・
あ、やべ・・・
勃ってきちゃった・・・

                   ******

「よっ・・・と」
俺は周囲に誰もいないのを確認し、校門をよじ登る。
ここ数日ですっかり慣れた深夜の学校。
さて、今日は彼女はもう戻ってきているかな?

昼寝で睡眠を補充した俺は、放課後になると一目散に家に帰り、手当たり次第に雑誌やネットを調べて彼女が喜びそうなデートプランを立ててきた。
幸い先日封切られた話題の超大作映画があるので、まずはそれを見ることがメインのA案と、ちょっと足を延ばして遊園地に遊びに行くことをメインとするB案の両方を用意し、彼女に選んでもらおうと思うのだ。
プランの確認だけならもちろん明日学校で聞けばいいだけなのだけど、やはり彼女の女戦闘員姿も見たい。
だから、今夜も学校にやってきたというわけだ。
さて・・・

俺はいつものように玄関のドアを確かめ、開いているのを確認する。
どうやら彼女は戻ってきているみたいだな。
ということは、急がないと着替えられてしまうかも。
俺は急いで教室へと階段を駆け上がる。
彼女の女戦闘員姿が見られなくなっちゃう。

「えっ?」
俺は驚いて足を止める。
廊下に誰かいるのだ。
すらりとした細身の女性で、タイトスカートを穿いているよう。
一瞬彼女かとも思ったけど、当然にシルエットが違う。
こんな夜中にいったい誰が?

「うふふふ・・・やっぱり来たのね。怪人君」
人影が一歩踏み出したことで、窓から差し込む外の明かりがその姿を照らし出す。
「関畑先生・・・」
そこには音楽の関畑先生が立っていたのだ。
「うふふふ・・・首領様もお人が悪いわぁ。この地区を担当する私にも一言も言わずに、単独行動の怪人を派遣するなんて」
妖しい笑みを浮かべながらゆっくりと近づいてくる関畑先生。
「えっ?」
首領様?
ま、まさか・・・
関畑先生も?

「うふふふふ・・・」
関畑先生は足を止めると、俺を見ながら、ゆっくりと着ている服の胸のボタンを外し始める。
えっ?
何を?
ボタンを外した上着を脱ぎ捨て、腰のホックを外してスカートも足元に落とす。
黒いパンストに包まれた脚がむき出しになる。
「な、ななな?」
俺が慌てるのをよそに、先生はブラウスのボタンも外しゆっくりと脱いでいく。
そして上靴を脱ぎ捨てると、脚に穿いていたパンストも脱ぎ捨てる。
黒いブラジャーとパンティだけになった先生の姿は息をのむほど美しかったが、先生はそのブラジャーとパンティまでも脱いでしまう。
そして片手の甲を軽く腰に当て、その裸体を見せつけるように軽くポーズをとっていた。

「ふふふ・・・そろそろ擬態はやめにしたら? 私も擬態を解除するわ」
「えっ?」
擬態・・・ですと?
先生の裸体がじょじょに変化し始める。
黒い毛が躰を覆い始め、頭にも変化が現れる。
脚や腕には赤いラインが現れ、指先には鋭い爪が伸びていく。
頭頂部には二本の角のようなものが生え、目は黒く丸い目に変わっていき、額にも小さな目が現れる。
お尻には大きなふくらみができ、脇からは細い足が二本ずつ生えてくる。
口元だけは人間のままだけど、それはまるでクモと女性が融合したかのような姿だった。

「嘘・・・でしょ?」
「あら、嘘じゃないわよ。関畑綾芽(あやめ)は仮の姿。本当の私はトテンコプの女怪人クモ女なの。64号が言っていたでしょ?」
そう言って自らの姿を見せつけるようにくるっと回って見せる先生。
彼女の言っていたクモ女様って・・・関畑先生のことだったのかよ・・・
「さ、私も正体を見せたのだから、君も正体を見せたらどう、怪人君? もっとも、無理だと思うけど。うふふふふ」
大きな黒い目が二つと額の小さな目が俺を冷たく見つめてくる。
人間のままの口元にはかすかな笑み。
まるで獲物を見つめるようだ。
俺が怪人なんかじゃないことは、はなからわかっているらしい。

「いや・・・俺はそう簡単に正体を現せるもんじゃないんでね。首領様の命令があれば別だが」
うう・・・
ここは何とか時間を稼いで、隙を見て逃げ出すしか・・・
「あら、言うわね。あっさりと降参するかと思ったのに」
ちょっと意外そうな先生の声。
いや、降参したって殺しますオーラみたいなものが先生から出ているんですけど。
「先生がクモ女だっていうのは、俺も聞かされてなかったぜ。首領様は俺にも内緒だったらしい」
「うふふふ・・・結構頑張って芝居するわね。でも・・・」
「ガッ!」
気が付くと、俺の首には白い荷造りひものような太さの糸が絡んでいた。
嘘だろ・・・
糸を飛ばすところなんて見えなかったぞ・・・

「ぐわぁっ」
先生はとんとジャンプすると、そのまま廊下の天井に貼り付いて俺の真上まで這ってくる。
そしてそのまま糸を引き上げて俺の首を吊り上げ始めたのだ。
こ、殺す気だ・・・
つまり、俺が何を言おうと殺すつもりなんだ。
「さあ、白状なさい。俺は怪人なんかじゃありません、ただの下等な人間ですって。正直に言えば苦しまずに一瞬で殺してあげるから」
天井から俺を見下ろしてニヤッと笑う先生。
く・・・くそっ・・・
なんとか・・・なんとか・・・

「ほら、いつまでも強情張ってないで、さっさと白状しなさい。そうじゃないとじわじわとなぶり殺しよ」
「い、今なら・・・ま、まだ見逃してやる・・・俺を殺せば・・・首領様・・・から・・・怒られる・・・ぞ」
ええい、ハッタリだけど通じてくれー。
「バカなことを。お前のことはすでに首領様に確認済みなの。その程度のことしていないとでも思ったの?」
ぐえーっ!
く・・・苦しい・・・
息が・・・
「ほら、苦しみたくなければさっさと俺は怪人じゃありませんって言いなさい!」
「俺は・・・」
俺は・・・
俺は・・・
俺は・・・
「俺は怪人だー!!」
ちくしょう!
俺は何を言っているんだよー。
くそーっ!

急に躰が自由になる。
首への圧迫がなくなり、俺は廊下に倒れ込む。
「はあ・・・はあ・・・」
ど、どうして?
俺は喉を押さえてとにかく息を吸う。
いったい?

「ふう・・・強情ねぇ。とっくにわかっているんだから素直にごめんなさいすればいいのに」
床に降り立った先生というかクモ女が腰に手を当てて俺を見下ろしている。
「げほっ・・・げほっ・・・だ、だって・・・」
「だって?」
「俺が怪人じゃないと・・・彼女が・・・64号が俺を殺さなきゃならなくなっちゃう・・・」
「は? 64号が?」
俺はうなずく。
そうだよ。
俺が怪人じゃなければ、彼女は俺を殺さなきゃならなくなる。
彼女にそんなことはさせられない!

「ぷっ・・・あははははは」
お腹を抱えて笑い出すクモ女。
笑うなよー。
俺だって変だって思うさ。
彼女が知る前にあんたが俺を殺すんだろうし。
でも・・・
でも・・・
俺は64号に俺自身から怪人じゃないと伝えるまでは、怪人だということにしたいんだ!

「バカねぇ。64号じゃなくて私が殺すんだけど」
ゆっくりと近寄ってくるクモ女。
「それでもだ。俺が怪人じゃないとなれば、64号は俺を殺さなかったことでミスを犯したことになっちゃう。そうなれば組織が彼女を許さないんじゃないのか?」
少なくともテレビの悪の組織はそうだった。
どっちにしても、俺が怪人じゃないと言えば64号が苦しむことになる。
そんなこと・・・させられるもんか!

「なるほどね。いいわ。そんなに怪人だと主張したいのなら、君、怪人になりなさい」
「は、はい?」
なんですか、それ?
俺を怪人に?
怪人になれと?
「怪人になりなさい。そして堂々と64号と怪人として付き合えばいいのよ。うん。それがいいわ」
「待って! 先生待って!」
「うふふふ・・・先生じゃないでしょ。クモ女よ。よろしくね、怪人君」
ニヤッと笑みを浮かべるクモ女。
あー・・・
これはもう・・・
俺に選択の余地はなさそうだ・・・

                   ******

「キシュシュシュシュシュ」
俺の溶解液で金庫の扉が溶けていく。
こんな鉄の扉など、俺の溶解液にかかればひとたまりもない。
俺はもろくなった扉を簡単に開け、中の機密書類を手に入れる。
これで任務は達成だ。
容易いものだぜ。
警備員がいると言ったところで、しょせんは人間だしな。
俺や女戦闘員にかなうはずもないのだ。

「64号」
「ヒャイーッ!」
俺は背後に付き従う女戦闘員を呼び、彼女の持っているカバンに書類を入れていく。
付いてきているのは彼女一人だけだが、こんな任務にはそれで充分だ。
「キシュシュシュ。よし、引き上げるぞ」
「ヒャイーッ! かしこまりました、ムカデ男様」
女戦闘員が右手を胸に当て、敬礼する。
そのまま俺は彼女を連れてその場を後にする。
キシュシュシュシュ・・・
俺の動きに遅れないように必死についてくる女戦闘員。
よしよし、しっかりと俺に付いてきているな。
かわいいやつ。

                   ******

「ひゃっ! あん・・・ムカデ男様ぁ・・・ダメぇ・・・ダメですぅ! ひゃあん」
任務を終えた俺は家に女戦闘員64号を連れ込むと、ベッドの上で彼女の躰を抱きしめてその感触を味わっていく。
64号はくすぐったいのかそれとも恥ずかしいのか、ダメダメ言っているが、それでも俺の抱擁に身を任せている
キシュシュシュシュ・・・
まったくかわいいやつだ。
女戦闘員の躰はたまらんぜ。
あー、柔らかいなぁ。
俺は爪で女戦闘員の躰に傷を付けてしまわないように気を付けながら、その躰を愛撫する。
もちろん両脇に生えている歩肢を使うことも忘れない。
何本もある俺の歩肢がワサワサと彼女の躰を撫でるのだ。
その柔らかい躰とすべすべの衣装。
女戦闘員のすばらしさがそこにある。
キシュシュシュシュ・・・

あの日、俺はクモ女に拉致されるようにしてトテンコプのアジトへと連れていかれ、そこで怪人化の処置を受けた。
俺のモチーフにはムカデが選ばれ、俺はトテンコプの怪人ムカデ男として生まれ変わったのだ。
茶褐色の硬い外皮が俺の躰を覆い、鋭い爪は鉄の板さえ貫く。
口からは溶解液を吐くこともできるが、クモ女と同じく口元だけは人間のままの見た目を保持している。
これは言葉をしゃべるうえで都合がいいかららしい。
怪人と言えどもコミュニケーションは言葉で行うということだ。
もっとも、おかげでこうして女戦闘員のマスク越しにキスをすることもできるのだがな。
それにしても便利な躰だ。
天井を這うことも狭い隙間に入ることも簡単にできる。
人間を始末するなど容易いこと。
俺の両親にも遠くへ“旅行”に行ってもらったことで、こうして好き勝手に女戦闘員を連れ込めるというわけさ。
まったく怪人というのは最高だぜ。

「ん・・・んん・・・ぷあ・・・ああ・・・ムカデ男様」
キスを終え、マスクの奥の目がうっとりと俺を見上げてくる。
ベッドの上で俺に躰をもてあそばれているというのに、かわいいやつだ。
怪人になった俺にとって、最初はあの戦闘員スーツさえ着ていれば女戦闘員など誰でもいいようにも思ったものだったが、やはり64号は特別だ。
本来クモ女配下だった彼女を俺は譲り受け、今では俺専用の女戦闘員となっている。
その証拠に彼女の胸のマークも赤いムカデに変わっている。
誰のものでもない俺専用の女戦闘員だ。
「キシュシュシュシュ・・・そうだな?」
「えっ?」
「お前は俺専用の女戦闘員だと言ったんだ」
「あ・・・はい。私はムカデ男様専用の女戦闘員です」
うるんだ目で俺を見る64号。
学校では今まで通り擬態を続けてはいるものの、夜はこうして俺の家で楽しむことが当たり前になっている。
着替えも俺の家でするようにさせているので、夜の学校にわざわざ行く必要はない。
そのうち64号に両親を始末させ、俺の家にずっといるようにさせるのもいいかもしれない。
そうなればもっとこの躰を楽しむこともできるというもの。
まあ、おかげでクモ女あたりに任務をおろそかにしないでねと釘を刺されたりするのだが、かまうものか。
俺の好き勝手にさせてもらうさ。

「あ・・・ダメです」
俺は爪で64号の戦闘員スーツの股間部分に切れ目を入れる。
スーツなどまた用意してやればいい。
俺は股間のモノを外皮の隙間から覗かせると、屹立したそれを彼女の内膣へと突き立てていく。
「ひゃ、ひゃん! あ・・・」
躰を震わせ、喜んで俺のモノを下の口で飲み込んでいく64号。
さて、楽しい夜はこれからだ。
たっぷりと楽しませてもらおうか。
俺は64号の上でゆっくりと腰を振り始めるのだった。

END


以上です。
いかがでしたでしょうか?
よろしければ、コメントなど感想をいただければ嬉しいです。

それではまた次作をお楽しみに。
ではではー。
  1. 2019/10/12(土) 21:00:00|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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