先日ブログで紹介しました「神聖ローマ帝国」に続き、同じ菊池良生先生の著書であるこちらを先日読み終えました。

「戦うハプスブルグ家 近代の序章としての三十年戦争」です。
いやぁ、歴史の一戦争名として三十年戦争というのは存じておりましたが、こうまで混沌としたものとは・・・
「神聖ローマ帝国」でも書かれておりましたが、中世の欧州にとって「ローマ帝国」というものはいわば魂の根本ともいうべきものであり、「ローマ帝国」の末裔たる「帝国」があまねく世界を支配することこそが夢だったらしいです。
それを追い求めたのが歴代の「神聖ローマ帝国皇帝」だそうで、カトリックを国教とする「帝国」が欧州を支配するということを求めていくわけですが、おひざ元であるドイツ地方ですらプロテスタントの領主がいる有様ですから、当然宗教的対立が起こるわけで、あまつさえそこに「選帝侯」なる「神聖ローマ帝国の皇帝を選挙で選ぶことのできる領主」の中にすらプロテスタントの領主がいるわけですから、争いが激しくならないはずがないという。
で、最初はそうやって始まった「三十年戦争」はプロテスタントとカトリックの宗教戦争の側面が大きかったわけですが、じょじょに戦争というものを効率よく行っていくためのシステムが整備され、さらに自領の権力をいかにして広げるか、または相手の権力を妨げるかといういわば国家間の戦争へとなっていくという流れが起き、最後は各「権力の領地」が「国家」になっていくことで終結するという。
それゆえに「近代の序章」ということなんだそうです。
それにしてもすさまじいのが、戦場となったドイツ地方の荒れ方で、誰もが「三十年戦争」後半には戦争をやめなくてはと模索するものの、荒れてしまった地域の住民が生きるためには兵士となって他地域に攻め込み、そこで食料を得るしかないという状況であるため、勝手に戦争が続いていくというありさま。
まさに「戦争で戦争を養う」どころか、「戦争が戦争を生み出していく」という状況。
ドイツ地方の人口が半分になったというのもうなずける話です。
いやぁ、歴史の本って読んでいるとほんと面白いですわぁ。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2018/06/05(火) 18:54:05|
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