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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

高額報酬には気をつけて (前)

今日明日で、10年連続記念&400万ヒット記念として、新作二次創作SSを一本投下させていただきます。

昭和の仮面ライダーシリーズの中のひとつ、新仮面ライダー、いわゆるスカイライダーの二次創作で、第38話、「来たれ城茂!月給百万円のアリコマンド養成所」というお話を元に作りました。

昨日投下しました「きて」とかぶってしまう女アリコマンドネタではありますが、お楽しみいただけましたら幸いです。

それではどうぞ。


「高額報酬には気をつけて」

目の前にそびえる何の変哲もない雑居ビル。
ゴミゴミした一角に建っているごく普通のビルディングだわ。
本当にここでよかったのかしら・・・

「マコリアインターナショナル・・・」
雑居ビルの入り口にある案内板を見て確認する。
どうやらここで間違いないらしいけど、一ヶ月で百万円もの高給を出す会社にしてはこんな雑居ビルというのも変な感じだわ。
でも、もしかしたらこう言う諸経費をしっかりと節約する会社だからこそ、社員に月給として百万円も払えるのかも。

月給百万円って言ったけど、もちろんそんなにもらえるとは思わない。
でも、一部の社員は月給百万円をもらう会社は少なくないと思う。
最近仕事にも職場の人間関係にも悩んできたし、もし転職がかなえば儲けもの。
がんばれば百万円とは言わなくても、五十万円ぐらいの給料はもらえるかも。
私は求人誌に載った求人広告をあらためて確認すると、雑居ビルのエレベータに乗った。

                   ******

「篤村優佳(あつむら ゆうか)さん? 前職は営業職ですか。うちは結構体力勝負のところがありますが大丈夫ですか?」
履歴書から顔を上げて私を見る面接官に、私は大丈夫ですと答える。
実際はそれほど自信があるわけじゃないけど、何とかなると思いたい。
「そうですか。それでは、こっちへ来ていただけますか?」
「は、はい」
私は立ち上がって面接官のところへいく。
すると、彼は引き出しの中から一本のナイフを取り出した。
「えっ?」
私は驚いた。
とても鋭く大きいナイフ。
こんなものをいきなり見せるなんてどういうこと?

「ナイフを使ったことはありますか?」
私は正直にありませんと返事する。
包丁や果物ナイフならともかく、こんな大きなナイフなんてテレビで見たことがあるぐらい。
「このナイフでそこの人形を刺せますか?」
「えっ?」
面接官が指し示すところには、変な胸像が一体あった。
普通の人間の胸像ではない。
なんだか巨大な目のような丸いものが頭の両側に付いている。
まるで・・・何かの昆虫の頭みたいだわ。
「刺せますか?」
面接官が重ねて聞いてくる。
ど、どうしよう・・・
これって何かの対処試験なのかしら・・・
でも・・・
人の胸像ならちょっといやだけど、こんな虫だかなんだかよくわからないものの人形なら、ナイフで刺すぐらいできるかも。
私は面接官からナイフを受け取ると、胸像の前に立つ。
ずっしりと重いナイフの感触。
すごくいやな気分になったけど、刺さなかったら面接で落とされるかも知れない。
いや、逆に刺したら落とされる?
でも、それなら人間の胸像を置いておくんじゃないだろうか?
そういえばこの会社って、警備員とか求めていたし、こういう虫のようなものの駆除も請け負っているのかも知れない。
だとすると、刺せなきゃ面接は落とされるわ。
私はそこまで考えると、ナイフをぎゅっと握り締め、胸像めがけて振り下ろした。

「うむ、見事だ。おめでとう、合格」
えっ?
合格?
ナイフを振り下ろしたことで合格なの?
こんな即決でいいの?

私の振り下ろしたナイフは、ざっくりと胸像の頭の部分に突き刺さっていた。
私はナイフを抜くと、柄のほうを相手に向けて手渡す。
「合格した以上すぐにわが社の拠点に移動してもらいたいが、かまわないね?」
「え? あ、は、はい」
私はよくわからないながらもうなずく。
家に帰って合否の連絡を待つものとばかり思ったので、少し面食らったけど、合格は素直にうれしいわ。
「そこのドアの部屋で待っていたまえ。あと数名の面接が残っているのでね。終わったらすぐ拠点に移動する車に乗ってもらう」
「はい、わかりました」
私は面接官にそういうと、ドアを開けてその部屋へと入った。

「あ、失礼します」
部屋には数人の男性と、女性が一人いた。
男性はみながっちりとした躰の人たちで、スポーツや格闘技をやっている人たちばかりのよう。
でも一人の女性は、私と同じぐらいかちょっとだけ年上のような感じで、私に小さく会釈をしてくれる。
私は彼女のそばに座り、待つことにした。

しばらく待つと、やがてあの面接官が現れ、これから拠点に移動すると告げられた。
どうやら今日は私が最後の合格者だったのかも。
私たちは部屋から出て面接官の後についていく。
すると驚いたことに、用意された車はトラックだった。
私はてっきりマイクロバスかワンボックスカーあたりで移動するものと想像していただけに面食らったものの、後ろのドアを開けて乗り込むよう指示される。
仕方なく私はほかの人の手を借りて乗り込むと、もう一人の女性に手を貸してトラックの荷台に引き上げた。

やがて全員を乗せるとトラックはガタガタと走り出す。
座席のようなものの何一つないトラックの荷台で、私たちはまるで荷物のように揺られていく。
「なんだかひどい扱いね・・・」
思わず私がそういうと、私の隣にうずくまっている女性もコクコクとうなずいてくれた。
「えーと、はじめまして。私は篤村優佳です。よろしく」
「はじめまして。私は鵜乃沢恭子(うのさわ きょうこ)と申します」
見た目どおりの優しい声で挨拶してくれる鵜乃沢さん。
「あなたも月給百万円に惹かれて応募されたのですか?」
「ええ、うちはまだ子供がいないので、将来のためにも少し多めに貯金したくて。事務職ぐらいなら私でもできるかなと・・・」
えーっ?
鵜乃沢さん人妻だったんだわ。
てっきり独身だとばかり。
旦那さんがいるなんて思わなかったわ。
「私も少しでもお給料がいい会社のほうがいいなと思ったんです。でも、なんだか大丈夫なのかどうか心配になってきました」
「そうですね。こんなトラックでどこへ連れて行かれるのかしら・・・」
鵜乃沢さんも不安そうな顔をする。
もしかして、私はとんでもない会社に入っちゃったのかも?

                   ******

やがて、しばらくするとトラックが停車する。
やっと目的地に着いたのかしら?
それにしてもトラックの硬い荷台に座っていたせいでお尻が痛いわ。
今後も似たような扱いを受けるなら、この会社への就職考え直さなくちゃいけないかも・・・

『ゲゲゲゲゲ・・・ようし・・・新入りが到着したようだな。お前たち、新入りをトラックから降ろすのだ』
『ヒャイーッ』
『ヒャイーッ』
外で何か声がする。
なんかの叫び声みたいだけど、あれは何?

すぐにトラックの荷台の扉が開く。
外の明るい日差しが入ってきて一瞬目がくらむ。
「ひぃっ」
少し目が慣れてきて、私たちを出迎えた人たちの姿を見た私は思わず小さな悲鳴を上げていた。
そこには巨大なガマガエルのような顔をした化け物と、全身を黒いタイツのようなもので覆った奇妙な男たちが待っていたのだ。
「な、何だ、お前たちは?」
「ば、化け物?」
私と一緒に連れてこられた他の人たちも驚きを隠せない。
一体彼らは何なの?

「ゲゲゲゲゲ・・・騒ぐな! おとなしく降りるのだ。死にたくはないだろう?」
ガマガエルの化け物がギョロッとした目でにらんでくる。
怖い・・・
私は一瞬で逆らう気持ちが萎えてしまう。
逆らえば殺される。
私はそう確信する。
あのガマガエルの化け物は、おそらく私たちを殺すことなどなんとも思わないのだ。
あの目を見たらそう感じても仕方がない。

「ヒッヒッヒ・・・今回はどうやら女もいるようじゃな」
しわがれた声が聞こえてくる。
見ると、ガマガエルの化け物の奥に白髪ですその長い白衣を着た老人が立っていた。
その雰囲気はまさに墓場からよみがえってきた死者とでも言うような感じで、ガマガエルの化け物と並んでいるのがふさわしい。
「わしはドクターメデオ。お前たちの改造を担当する。イッヒッヒッヒ・・・」
白衣の老人がそういい、片手に持った長い杖を振り上げた。
改造って?
改造ってどういうこと?
私たちの躰をいじるってこと?

「こ、こんなところにいられるか!」
私の近くに立っていた男性が一人、くるっと振り向いて走り出す。
えっと思って見ると、彼は敷地を囲む金網のフェンスに向かっていく。
どうやらフェンスを乗り越えて逃げ出すつもりらしい。
思わず私はうまく逃げ切ってと祈りをささげる。
彼が逃げてくれれば、きっと警察を呼んでくれるだろう。
そうすればこのおかしな連中から私たちも助かるに違いない。

「うわーーー!」
私の祈りは一瞬で費えてしまう。
彼がフェンスによじ登ろうと手をかけた瞬間、彼の躰から火花が飛び散り、悲鳴を上げて倒れたのだ。
「ゲゲゲゲゲ・・・バカめ。ここから逃げられると思っているのか。死体を始末しておけ」
「「ヒャイーッ」」
ガマガエルの化け物がくっくっくと含み笑いをもらして、死んだ男性を一瞥する。
すぐに全身を黒いタイツで覆い、眼だけを出した連中が男性をフェンスの脇へと放り出した。
「いいか。お前たちも逃げようなどとは考えるな。まあ、すぐにそんな気持ちは消えうせるだろうがな。ゲゲゲゲゲ。こいつらを連れて行け」
「「ヒャイーッ」」
ガマガエルの化け物の命に従い、私たちを取り囲む黒い連中。
顔を覆っているマスクから覗くその眼は、生気がなく冷たく不気味だ。
私たちは追い立てられるようにして、廃工場のような場所へと連れて行かれた。

がしゃんと音を立てて閉められる鉄格子。
男性たちと分けられ、私と鵜乃沢さんだけがこの牢屋のような部屋に閉じ込められる。
「私たちをどうするつもりなんですか?」
「お願いです。家に帰してください。隆一さんが待っているんです。お願いです」
私と鵜乃沢さんは口々に訴える。
だが、ガマガエルの化け物はゲゲゲゲと笑うだけ。
「お前たちはネオショッカーの女アリコマンドに生まれ変わるのだ。喜ぶがいい」
「何ですかそれ! 私たちをここから出して」
「お願いですから家に帰して!」
私たちの必死の願いもむなしく、ガマガエルの化け物も黒尽くめの連中も立ち去ってしまう。
あとには閉じ込められた私と鵜乃沢さんだけが残された。

「うう・・・なぜ・・・なぜこんなことに・・・隆一さん・・・助けて」
鵜乃沢さんはうずくまって泣いてしまう。
私だって泣きたいぐらい。
高額月給に惹かれたらこんな羽目に。
いったいどうしたらいいの?
誰か助けて・・・

                   ******

「イッヒッヒッヒ・・・次は女どもじゃ」
牢に入れられてしばらくしたころ、あのしわがれた声が聞こえてきた。
確か・・・ドクターメデオ。
「お願い! 出してください! ここから出して! お願い!」
うずくまって泣いていた鵜乃沢さんが鉄格子をつかんで叫んでいる。
やってきたのは白衣の老人であるドクターメデオと、数人の黒尽くめの男たち。
なんて異様な連中なのだろう。
いったいこの連中は何者なの?

「ええい、うるさい。それならまずはお前からじゃ」
ドクターメデオが持っていた杖で鵜乃沢さんを指し示す。
「えっ? そんな・・・いや・・・いやです!」
「出してくれと言っておったではないか。だから出してやるというのだ」
「いや・・・いやぁっ!」
鉄格子のところから離れて私のそばに来る鵜乃沢さん。
私は彼女をかばうようにして牢屋の隅へと下がっていく。
「ヒャイーッ」
「ヒャイーッ」
マスクから目だけを出した黒尽くめの連中が牢に入ってきて、奇声を上げながら私たちを引き離す。
なんて力?
とてもかなわないわ。
鵜乃沢さんは無理やり引きづられるようにして牢屋から連れ出されてしまう。
「鵜乃沢さん!」
「いやっ! いやぁっ!」
手を伸ばして私に助けを求める鵜乃沢さん。
だが、すぐに黒尽くめの男たちが彼女を引き剥がして連れて行ってしまう。
私はどうすることもできず、ただ、彼らの立ち去った後を呆然と見送るだけだった・・・

(続く)
  1. 2015/07/20(月) 21:14:26|
  2. 女幹部・戦闘員化系SS
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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