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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

戦闘員妻

昨晩で当ブログは310万ヒットを達成いたしました。

これも当ブログにお越しくださいます皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。

このところ290万ヒットも300万ヒットも記念作らしい作品をお届けしていなかったので、記念作と言うにはおこがましい短編を一本投下いたします。
本当はずっと前に途中まで書いて放置していた奴を書き終えたまでなんですけどね。(^_^;)

タイトルは「戦闘員妻」です。
なんだか個人的な思いをSSにしたらこうなりましたって感じの変な短編SSですのでお目汚しとは思いますが、よろしかったらお目を通していただければと思います。

それではどうぞ。


「戦闘員妻」

妻の志穂(しほ)が帰ってこなかった。

仕事から帰ると志穂がいなかった。
志穂は専業主婦なので、普段は家にいるのでどこに行ったのかさっぱりわからなかった。
俺が帰ってきたのが夜九時過ぎ。
家の中は真っ暗でしんと静まり返っていた。

書置きも何もなく、夕食の準備も何もされてない。
家の中が荒らされたとかもなく、ただ志穂だけがいなくなっている。
貴重品が持ち出された様子も外泊の準備をしていった様子もない。
いったい何があったのだ?

志穂の実家に電話をかけてみた。
志穂が帰っている様子はない。
俺は当たり障りのない話をして、志穂は風呂に入っているから電話に出れないとごまかした。

俺と志穂共通の友人にも当たってみたが無駄だった。
どこにも志穂は顔を出してない。
いったい志穂はどこに行ったのだろう。
まさか浮気だろうか・・・
男の元へ行ってしまったのだろうか?

いてもたってもいられずに隣近所に訊いてみた。
するといつものように買い物に出かけたようだったというのはわかった。
だが、それからはわからない。
志穂の携帯は家の中に置かれていた。
悪いと思いながらも覗いたが、ロックも何もされておらず、俺とのメールが残っているだけ。
友人の電話番号も俺の知っている人たちだけだ。
男の様子はない・・・のか?
それとも携帯がここに残っているということは、男とは別の携帯でやり取りしてた?
わからない。
ただ焦燥だけがつのっていく。

結局夜中が過ぎても志穂は帰らなかった。
俺は不安と寂しさに苛まれながら、酒で紛らわせるしかできなかった。

                   ******

翌日、不安で仕事にならなかった俺は早々に家に帰った。
心の中で今日は帰ればきっと家に明かりが点いていると希望を持ちながら帰ったが、家に明かりは点いてなかった。
俺は捜索願を警察に出すことを考えたが、とにかくもう二三日帰るのを待とうと思い警察に電話するのはやめにした。
食事が喉を通らない。
志穂はどこへ行ってしまったのだろう・・・
こうしてみると、まるでぽっかり胸に穴が開いたようだ。
志穂に会いたい。
愛している。

次の日は仕事を休んだ。
どうせ仕事になどなりはしない。
志穂は帰ってこない。
気が狂いそうだ。
帰ってきてくれぇ・・・

その次の日も志穂は帰ってこない。
もうどうにでもなれだ。
今日も仕事は休んだ。

                   ******

夜、酒を飲んでうつらうつらしていると、玄関のチャイムが鳴った。
俺は急いでドアをあける。
そこには白いフード付きコートを着た人が立っていた。

「あなた・・・ごめんなさい。今帰りました」
うつむいてそう言った声はまさしく志穂のものだった。
白いコートのフードが顔を隠しているが、志穂の声を間違えはしない。
「志穂・・・志穂なのか?」
「・・・はい」
白いフードがこくんとうなずいた。

俺は何も言えなくなった。
志穂が帰ってきたらなんて言おう。
心配させてと怒ってやろうか、それとも抱きしめてお帰りと言ってやろうか。
そんなことを考えていたはずなのに、ちっとも言葉が出てこない。
ただ涙だけがあふれてきた。
よかった・・・
帰ってきてくれて本当によかった・・・
それだけで言葉が出てこないのだ。

「お帰り。とにかく上がりなよ。お茶でも淹れよう」
俺は抱きしめたいのをこらえつつ台所へ向かう。
こういうときは抱きしめたほうがよかったのだろうか・・・
だが、うつむいて顔を見せない志穂をいきなり抱きしめてもなんだか拒絶されそうな気もしたのだ。

コツコツと音がする。
俺は何の音だろうと思ったが、とりあえずお茶を淹れてリビングに持っていく。
するとリビングには白いフード付きコートをかぶったままの志穂が、うつむいたままソファに座っていた。
驚いたことに志穂は黒いブーツを履いたままソファに座っており、俺はお茶をテーブルに置いてこう言った。
「おいおい、いくらなんでも土足はないだろう? ブーツぐらい脱いだらどうだ? それにそのコートも脱げよ」
「えっ? ああ・・・そういえば私、ブーツを履いていたんだったわ。自分の脚と一体になっていたから気が付かなかった・・・」
志穂はうつむいたままそう言って、履いているブーツに手をやった。
「脱げるかしら・・・今まで脱いだことなかったから・・・」
脱いだことがない?
何だそれは?
俺は不思議に思ったが、志穂はそのままサイドジッパーを下ろしてブーツを脱ぐ。
黒いストッキングに包まれた脚が覗き、俺は少しドキッとした。
「脱げたわ・・・なんだか変な感じ。脚がスースーして頼りなく感じるわ」
「貸しなよ。玄関に置いてくるから」
俺が手を伸ばすと白いフードが首を振った。
「だめ、そばに置かせて。自分の一部だから離したくないわ」
「ブーツだぞ? 玄関に置いてくるだけだよ」
「ごめんなさい。お願いだからここに置かせて」
ブーツを手にして離しそうにない志穂に、俺は不思議に思いながらも仕方なく新聞紙を敷いてその上に置くように言った。

俺は志穂の向かいに座り、お茶を一口飲む。
いったい今まで何をしていたのか聞きたいが、焦って聞いても仕方がないという気もする。
とにかく志穂は帰ってきてくれた。
なんだかいつもの志穂と違う気もするが、この三日間で何かあったには違いない。
それよりも顔を見せてくれないのが気になる。
俺はティーカップをテーブルに置いて口を開いた。
「顔を見せてくれないか? 久しぶりに志穂の顔が見たいんだ」
「・・・ええ」
そう言ったまま固まってしまう志穂。
うつむいたままで俺のほうを見ようともしない。
「志穂・・・いったい今まで何があったんだ? どこに行っていたというんだ? 俺は心配で夜も寝られなかった。話したくないなら話せるようになるまで待つが、せめて顔ぐらいは見せてくれ」
「・・・ええ」
また黙ってしまう志穂。
どうしたものか・・・
やはり浮気をして男といっしょだったのだろうか・・・

「志穂・・・」
「ごめんなさい、あなた・・・」
俺はドキッとした。
まさか志穂は俺と離婚して男といっしょになりたいとでも?
「ごめんなさいあなた・・・心配かけてしまってごめんなさい」
「志穂・・・」
「私・・・改造されてしまったの・・・」
「は? 改造?」
俺は志穂の言葉にあっけに取られた。
なんなんだ、改造って?
いったい志穂は何を言い出したんだ?

「私・・・三日前に買い物に出たとき拉致されたの」
「拉致されたって?」
こくんとうなずく志穂。
どういうことなんだ?
「拉致された私は、地下にあるアジトに連れて行かれたわ。そしてそこで改造を受けたの」
「アジトとか改造とかって・・・わからんな、なんなんだいったい?」
「信じられないのも無理はないと思う。でも本当なの。私は組織によって改造されちゃったの」
そう言って志穂は立ち上がった。
そして白いフード付きのコートを脱ぐ。
その下から現れた姿に私は驚いた。

なんと、志穂はあの新体操の選手が着るような衣装を着ていたのだ。
確かレオタードとか言うんだっけ?
真っ黒の長袖のレオタードに黒い手袋を嵌め、黒いパンティストッキングを穿いて、腰にはどくろの模様の付いたバックルのあるベルトを嵌めている。
そして顔にも黒いアイシャドウをべったりと引き、黒い口紅を塗っていた。
「志穂・・・お前・・・」
俺はあまりのことに声が出ない。
「見て。これが今の私なの。私は組織によって改造されたのよ。今の私は組織の女戦闘員なの」
ちょっと顔を伏せるようにして俺に姿を見せつける。
「志穂・・・」
おれはなんて言っていいのかわからなかった。

「組織はときどき構成員を増やすために一般人を拉致しているの。私はたまたまそれに引っかかったというわけ。特に肉体が優れているとかは必要ないの。組織の主力である怪人様には及ばないけど、簡易改造とはいえ改造された私たちは普通の人間よりはるかに強くなるのだから・・・」
すっとソファに腰を降ろす志穂。
レオタード姿で躰のラインが露になって、なんだか目のやり場に困ってしまう。
アイシャドウと黒い口紅も、どちらかというと幼さがあった志穂の顔を引き締めて妖艶に見せていた。
俺はこんな状況なのに思わず股間がたぎってくるのを感じていた。

「拉致された私は必死に抵抗したけど、結局は改造されちゃったわ。そして組織に対する忠誠心と命令に従う喜びのようなものを植えつけられたの。今の私は組織の命令なら人殺しだって平気でできるわ」
志穂の口元に浮かんだ苦笑が俺の背筋を冷たくした。
たぎっていた股間も急速に萎えていく。
「志穂・・・」
「心配しないで。命令があればってことよ。命令無しに殺したりはしないわ」
俺はホッとしていいのか悪いのかわからなかった。

「改造が終わったときは爽快な気分だったわ。まさに生まれ変わったって言う気分だったの」
なんだかうっとりと思い出している志穂。
「首領様に対し組織員の敬礼をしたわ。自然にヒャイーッっていう声も出て、ああ、私は組織の一員なんだって実感したの。居場所ができたって言う感じかな」
「おいおい・・・」
「仕方ないでしょ。そう刷り込まれちゃったんだから。そりゃ今でもここは大事な場所よ。でもね、以前ほど大事じゃないって言うか・・・組織のアジトのほうが私にはふさわしいって言うか・・・」
「志穂・・・」
俺は気持ちが落ち込むのを止められなかった。
志穂はもう俺の妻ではなくなってしまったのか?

「そんな顔しないで。私は今でもあなたの妻よ。新しい職場も大事だって事なの」
黒く塗られた唇に笑みを浮かべる志穂。
本当にそうなのだろうか・・・
いずれ志穂は俺のもとを去っていくのではないのだろうか・・・

「敬礼した私に首領様はナンバーをくださったわ。女戦闘員82号。これが今の私の名前よ」
「女戦闘員82号?」
「ヒャイーッ! その通りよ」
いきなり右手を斜め上に上げ、奇声を発した志穂。
どうやらこれが組織の敬礼らしい。

「そして今日までは訓練を受けていたの。破壊工作や殺人の訓練ね。きびしかったけど、楽しかったわぁ」
「楽しかっただって?」
「ええそうよ。組織のために社会を破壊し邪魔者を殺害する。そのための訓練ですもの、楽しかったわ」
楽しそうな表情の志穂。
なんてことだろう・・・
虫も殺せなかったあの志穂が・・・
人を殺す訓練が楽しいだなんて・・・

「でも、その訓練の間中、あなたのことが気になったの。ちゃんと朝は起きただろうか・・・ちゃんとご飯は食べているだろうか・・・って」
「志穂・・・」
よかった。
やっぱりそんなところは以前の志穂と変わってない。
「私のほかにも主婦から改造を受けた女戦闘員もいたわ。でもね、その人たちに聞いても夫のことなんて気にならないって言うの。むしろ組織が命令してくれて夫を殺せたらいいなって感じなのよ。ひどいでしょ? 私には考えられないわ」
そんなことを言われても、俺はなんて言っていいのかわからない。
「それで私、首領様にお願いして家に帰してもらったの。あなたさえよければ任務のときはここから出かけるわ。そのほうがいいでしょ?」
何がいいというのだろう。
こんなふうに変わってしまった妻が家にいるということがか?
だが、俺の目の前にいるのはあの志穂だ。
奇妙な衣装を着てはいるが、間違いなく俺の妻なのだ。
「ああ、わかったよ」
俺はそういうしかなかった。

                     ******

「ヒャイーッ! かしこまりました。すぐにまいります」
志穂は右手を上げて敬礼をすると、電話の受話器を置く。
おっと、今は女戦闘員82号だったか・・・
「任務なのかい?」
「ええ、すぐに行かなくちゃならないの。あとのことはお願いね」
変装のためにタイトスカートのビジネススーツを着込む82号。
アイシャドウと口紅はごまかしづらいものの、こうしてスーツを着込めばその下にレオタードを着ているとはわかりづらいだろう。

「ああ・・・気をつけてな」
俺はそういって82号を送り出す。
なんだか変かもしれないが、これが我が家の日常になってしまたのだ。
外出のために変装する以外は普段はあの黒いレオタード姿で過ごしている82号。
家の中でもその格好に変わりはない。
ブーツだけは脱いでほしいとも思ったが、ブーツも彼女の躰の一部と言うことで押し切られてしまった。
今では寝るときにもブーツを履いたまま寝るし、そもそも眠り自体が少なくて済むらしいので彼女が布団に入ること自体めったにない。
気がつくとソファで眠るだけで済ませているのだ。

人間と言うのは不思議なもので、そんな生活にも俺はすっかり慣れてしまった。
仕事から帰ると黒いレオタード姿の82号が出迎えてくれ、美しいボディラインを惜しげもなく見せてくれる。
任務がないときはかいがいしく俺に尽くしてくれ、お風呂で背中を流してくれたりもする。
かと思うと、悪の組織の女戦闘員らしく冷たい表情で俺をなじり、俺のマゾ心を満たしてくれる。
正直改造される以前の志穂ではこんなことはしてくれなかっただろう。

「うふふふ・・・遅くなると思うから先に寝てていいわよ。でも、もし起きて待っていてくれたら、ブーツで踏んであげてもいいわ」
82号が出て行きしなにいたずらっぽく微笑む。
アイシャドウをした目元がとても妖艶だ。
そんなことを言われたら起きて待っているしかないじゃないか。
ああ・・・いつの間にこんなことになってしまったんだろう。
だが、俺はある意味で幸せを手に入れたんだと思うのだった。

END
  1. 2012/04/21(土) 21:05:00|
  2. 怪人化・機械化系SS
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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