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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ウサギからタツへ

「ようやく追い詰めたわよ、総統マイカータ!」
頭部にピンク色のウサ耳をつけ、紺色の襟に三本の白線を入れたセーラー服を上に羽織り、その下には白いウサギの尻尾のついたピンクのレオタード姿という正義のヒロインセーラーバニーは、漆黒のマントをまとい仮面をつけた怪しい男をにらみつける。
この男こそ世界を悪堕ちで満たそうと画策する悪の秘密結社「アクオチスキー」の総統マイカータにほかならない。

「クックックック・・・わがアジトにようこそセーラーバニー。罠とも知らずにご苦労なことだ」
仮面の下からくぐもった笑い声を発する総統マイカータ。
おそらく満面の笑みを浮かべているに違いない。
「なっ、罠ですって?」
驚くセーラーバニー。
確かに雑魚しかいなかったとはいえ、このアジトに侵入するにはそれなりに苦労もした。
それが罠だったというの?

「そうだ。いかにお前に配下の怪人をつぶされたとはいえ、戦闘員たちしかいないのはおかしいとは思わなかったのかね?」
確かに言われてみると、ここがアジトならば怪人の一人ぐらいはいてもおかしくはなかった。
そう思ったセーラーバニーの表情が曇る。
「私をおびき出したというの?」
「ククククク・・・そういうことだ」
「何のために?」
「ククククク・・・決まっておろう。もうすぐ年も変わる。ウサギ年は終わり、タツ年がやってくるのだ。わかるな、ウサギは終わりタツとなるのだ」
「ウサギが終わり・・・タツとなる?」
怪訝な表情を浮かべるセーラーバニー。
いったいこの男は何を言いたいのか?
確かにもう年が変わる。
だからこそ新年を気持ちよく迎えるためにここで「アクオチスキー」をつぶさなくてはならないのだ。

「ククククク・・・そう、ウサギからタツとなるがいい、セーラーバニー」
パチンと指を鳴らす総統マイカータ。
するとセーラーバニーの背後にX字型の磔台が床からせり上がり、その各部の先端からワイヤーが伸びてセーラーバニーの両手両足を絡め取る。
「なっ?」
あわててワイヤーに絡まれた手足を解こうとするが、ワイヤーは絡みつくと同時に磔台に引き寄せるようになっており、セーラーバニーはなすすべなく磔台に固定されてしまう。

「クッ・・・は、離しなさい、卑怯者!」
両手両足を磔台に固定されたセーラーバニーの躰に、さらに中央の胴体部分もワイヤーがまきついて動きを封じてしまう。
もはやセーラーバニーがいかにもがこうと、磔台から逃れることはできなかった。

「ククククク・・・何の用意もしていないとでも思っていたのかね? その磔台は君専用の特別製だ。今までの戦いで君の最大パワーはわかっている。いかに君の力でもそのワイヤーから逃れることはできない」
「そんなの試してみなくてはわからないでしょ」
そう言いながらもセーラーバニーはマイカータの言葉が正しいことを認めざるを得ない。
どんなにあがいても固定された躰は磔台から抜け出せないでいたのだ。

「ヒャッ?」
突然セーラーバニーの視界がさえぎられる。
頭の上からすっぽりとおわんのような物がかぶさってきて、セーラーバニーの頭部の上半分を覆ってしまったのだ。
「な、何これ? いったい何をするつもりなの?」
恐怖におののくセーラーバニー。
今までこんな目に遭ったことはなく、初めてのことに戸惑いと恐怖を感じているのだ。

「何、心配はいらない。それは洗脳装置だ。今宵は大晦日。世間では除夜の鐘で煩悩を払うという。だが、その洗脳装置は逆にお前に邪悪な煩悩を植え付けるためのものだ。除夜の鐘が終わって年が明けるころには、お前はアクオチスキーに仕える悪の女戦士に生まれ変わるだろう」
「バ、バカなことを・・・そんなことできるはずが・・・きゃあっ!」
言い終わらぬうちにセーラーバニーの頭に電気が走る。
それと同時にどこからともなく重々しい鐘の音がアジト内に響いてくる。
「そうら、除夜の鐘が始まったぞ。108つの煩悩を払ってくれるありがたいものだそうだ。だが、人間の煩悩とはすなわち悪の心。そのようなもの払ったとて払いきれるものか」
「ああ・・・あああ・・・」
全身を震わせるセーラーバニー。
そのおわん型の洗脳装置からは邪悪なパルスが流され、セーラーバニーに送り込まれているのだ。

またひとつ鐘が鳴る。
「ああ・・・いやぁ・・・あああ・・・」
「ククククク・・・煩悩、悪の心が送り込まれるのはどうかな? 自分の心が悪に染まっていくのを感じるのではないか?」
「あああ・・・い・・・や・・・」
だんだん言葉すら発せなくなっていくセーラーバニー。
「まあ、ゆっくりと除夜の鐘を楽しみたまえ。私はNHKの行く年来る年でも見てくることにしよう」
そう言って磔になっているセーラーバニーに背を向ける総統マイカータ。
「ああ、言い忘れるところだったが、その脇に生まれ変わった君用の衣装を用意してある。よかったら着てくれたまえ。私は隣の部屋にいるから、洗脳が終わったら来るがいい」
チラッと視線をセーラーバニーに向けると、すぐにドアを開けて出て行ってしまうマイカータ。
あとには苦悶の表情で磔にされたままのセーラーバニーだけが残された。

                  ******

スッと扉が開きカツコツという足音が響く。
パソコンにテレビを映し出し、みかんを仮面越しに器用に食べながらテレビを見ていたマイカータは、椅子を回転させて部屋に入ってきた人物に向き直る。
「うふふふふ・・・」
入ってきたのは黒いレオタードに銀色のうろこ模様の胸当てをつけ、黒エナメルのハイヒールブーツを履き、ひじまでの手袋をつけた女だった。
頭には銀色に輝く龍の頭部をかたどったヘルメットをかぶり、肩からはうろこ模様のマントを翻している。
ヘルメットのバイザーの下から覗く口元は真っ赤にぬれたような口紅が塗られ、冷たい笑みが浮かんでいた。

「ククククク・・・よく似合っているぞセーラーバニー。いや、今はもうレディドラグーンと呼ぶべきかな?」
「うふふふふ・・・あけましておめでとうございます、総統マイカータ様。私はもうセーラーバニーなどというおろかな女ではございませんわ。今の私はアクオチスキーに忠誠を誓うレディドラグーン。どうぞ、何なりとご命令を」
スッとひざまずいて頭を下げるレディドラグーン。
そこには正義のヒロインだった面影はまったくない。

「ククククク・・・それでいい。もはやお前は悪に堕ちた悪の女。我に従いアクオチスキーのために働くのだ」
「かしこまりましたマイカータ様。このレディドラグーン、アクオチスキーのためなら何でもいたします」
うっとりとした表情でマイカータを見上げるレディドラグーン。
「うむ、頼んだぞレディドラグーン。年も明けた今、ウサギは消え去りタツが支配する年となった。存分に力を発揮するがいい」
「はい、マイカータ様。お任せを」
ぺろりと舌なめずりをするレディドラグーン。
悪の支配する年の幕開けであった。

END
  1. 2012/01/01(日) 20:00:00|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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謹賀新年

皆様、新年あけましておめでとうございます。

昨年は日本中は本当に大変な一年でした。
その爪あとはまだまだ癒えてはおりませんが、今年は日本に取りましても皆様に取りましてもよい年でありますようお祈り申し上げます。

当「舞方雅人の趣味の世界」も旧年中は本当にお世話になりました。
今年はもう少し創作に力を入れ、あわせて趣味のミリタリーネタや歴史ネタ、ウォーゲームの話など書いていきたいと思いますので、どうか応援よろしくお願いいたします。

今年もどうぞ「舞方雅人の趣味の世界」をよろしくお願いいたします。


PS:夜には年賀SSを投下いたしますのでお楽しみに。
  1. 2012/01/01(日) 11:02:26|
  2. 日常
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プロフィール

舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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