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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

たった12輌

第一次世界大戦後、独軍では歩兵が敵陣を攻撃するにあたり、その支援を行う歩兵直属の大砲の整備を行っておりました。
味方歩兵を狙ってくる敵陣の機関銃や大砲を破壊するための歩兵砲と呼ばれる大砲です。
歩兵砲ははるか後方から長距離射撃を行う砲兵隊の大砲とは違い、歩兵部隊に付随して最前線で歩兵の進撃を支援する大砲で、第二次大戦時の独軍では、比較的軽防御の機関銃陣地などを攻撃する軽量の7.5センチ歩兵砲と、トーチカや要塞化建造物のような重防御陣地を攻撃する大口径の15センチ重歩兵砲の二種類を基本に整備が行われておりました。

しかし、軽量の7.5センチ歩兵砲ならともかく、15センチの大口径重歩兵砲は砲だけで2トン近い重量があり、砲弾の破壊力は申し分ないものの、その運動性はきわめて低く、馬匹牽引では前線での展開にもさまざまな困難がありました。

そこで独軍としては、この15センチ重歩兵砲を適当な車台に載せることで自走化をすることを考えました。
自走化して自走砲となれば、運動性は大きく向上すると考えられたからです。

1930年代後半のドイツは、いつ周辺諸国と開戦してもおかしくなくなってきていた時期だったので、この15センチ重歩兵砲の自走砲化はきわめて単純な方法で行われました。
当時すでに武装が機関銃二挺しかないために戦車としては使い道が限られていた一号戦車の砲塔と車体上部を取り去り、その車体に15センチ重歩兵砲をそのまま何の手も加えずに載せ、周囲を装甲板で覆ってしまうというもので、見るからに不恰好でバランスの悪いやっつけ仕事的な自走砲が作られます。

この車両は一号自走重歩兵砲として38輌が製造され、第二次世界大戦の勃発直後のポーランド戦には参加できなかったものの、1940年5月からの西方電撃戦(いわゆるフランス侵攻戦)に参加し、その大口径砲の威力を充分に発揮しました。
このことで15センチ重歩兵砲を自走化することは充分有効であることがわかったのです。

一方このフランス戦より前の時点で、独軍はすでに一号自走重歩兵砲は車体が小さすぎて砲の操作等さまざまな面で不都合があることに気がついておりました。
そこで一号戦車より車体が大きく、戦車としての戦力はすでに失われつつあった二号戦車の車体に15センチ重歩兵砲を搭載した自走砲を作ろうと考えました。

この開発に携わったのはアルケット社でしたが、アルケット社では一号自走重歩兵砲は車体の上に砲をそのまま載せたために非常に背が高い不恰好な自走砲になったことをかんがみて、車体の中に砲を収めた自走砲にしようと考えました。
そこでその考えに基づき二号戦車の車体に15センチ重歩兵砲を収めた試作車を作ってみたところ、一号戦車よりも少し車体が大きいだけでしかない二号戦車の車体では、とても車内が狭くて砲の操作が非常に不便であることがわかりました。

そのためアルケット社は、二号戦車の車体を長さ67センチ、幅を32センチ延長した延長車体を製作し、そこに15センチ重歩兵砲を収めることにいたしました。
また、車体の延長にともない、二号戦車では五つだった転輪を六つに増やし、履帯の接地長も伸ばしました。
そして砲の周りは前面で30ミリ、側面で15ミリの厚さの装甲板で覆い、天井の無いいわゆるオープントップの自走砲として完成させました。
二号自走重歩兵砲

車体が延長され、重量のある大砲が載せられたことから、エンジンも強化されましたが、速力や航続距離などは元になった二号戦車よりはかなり劣るものとなったようです。
また、開発中に北アフリカでの戦いが始まったことから、この自走砲は北アフリカ向けに送られることが決まったようで、エンジンの冷却がしやすいようにされたと言います。

こうして完成した自走砲は、二号自走重歩兵砲として、前線に送られることになりました。
一号自走重歩兵砲とは見た目にも大きく違い、特に背の高さは大幅に低く改善されておりました。

二号自走重歩兵砲は先行量産としてまず12輌が製作され、そのすべてが北アフリカに送られました。
ところが、北アフリカの過酷な戦場ではやはり冷却能力の不足や、速力及び航続距離の低下などが大きな弱点としてクローズアップされてしまい、結局この二号自走重歩兵砲は先行量産の12輌だけでそれ以後製造されることはありませんでした。
15センチ重歩兵砲を搭載する自走砲は、また別の車体で作ることになったのです。

弱点も多かった二号自走重歩兵砲ですが、その搭載する15センチ重歩兵砲の砲弾の威力はやはり大したもので、英軍を多いに痛めつけました。
たった12輌しかありませんでしたが、すべて使い物にならなくなるまで使われ続けました。
また、車体が損傷しても砲が無事だった場合には、砲だけを取り外して別の車両に搭載して使い続けた例もあったといいます。

たった12輌ではありましたが、ロンメル率いるアフリカ軍団にとっては、貴重な貴重な大口径砲搭載車両だったのでしょうね。

それではまた。
  1. 2011/09/03(土) 21:14:45|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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