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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

クリムゾン(3)

6周年記念SS「クリムゾン」も今日が最終回です。

楽しんでいただけますと幸いです。

それではどうぞ。


3、
「クククク・・・これでいい」
夕子に向けてかざしていた手を下ろすコマンダーパープル。
「ああ・・・いやっ! いやぁっ! 脱がせて! 脱がせてぇ!」
とたんに躰の自由が戻り、夕子はすぐさま着せられた全身タイツを脱ごうとする。
だが、躰に吸い付くように密着した全身タイツは、指でつまむことすらできない。
「無駄だ。そのナイローンスキンはもはやお前の皮膚となったのだ。脱ぐことなどできん。それに・・・すぐに脱ごうとも思わなくなる」
「いやぁ! そんなのいやよぉ!」
必死に躰をよじって何とか全身タイツを脱ごうとする夕子。
だが、全身に密着して脱ぐことができない。
閉じられた背中にはファスナーのようなものもなく、そこが開いていたことすらわからない。
自分の皮膚を脱ごうとして切れ目を探そうとしても無駄なように、夕子が着せられた全身タイツはもう夕子の皮膚そのものになりつつあるのだった。

「脱げない・・・脱げないわぁ・・・」
必死になってどこかから脱ぐことができないかと躰中を探って行く夕子。
しかし、その指先はなめらかなナイロンのすべすべした表面を撫でるだけだ。
それどころか、その彼女の指先の動きが全身に伝わってだんだん気持ちよくなってくるのだ。
そ、そんな・・・どうして・・・
夕子自身そのことに驚いたが、脱ごうとして全身をまさぐればまさぐるほど、心地よさを感じるようになってくる。
「ああ・・・だめ・・・だめなのに・・・」
最初は着せられた全身タイツを脱ごうとして躰をまさぐっていた夕子だったが、じょじょにその感覚を楽しむようになっていく。
「ああ・・・あああ・・・」
だめ・・・この感覚に捕らわれてはだめ・・・
頭では必死になってそう思うものの、指先は全身を愛撫するのをやめられない。
すべすべしたナイロンの気持ちよさが全身に広がって、なんともいえない快感を感じさせるのだ。
「ああ・・・ああ・・・」
いつしか夕子は全身タイツを脱ごうとすることをやめ、ただただ全身を自分で愛撫するようになっていた。

「あ・・・」
床にぺたんと尻を付き全身をまさぐる夕子に対し、コマンダーパープルが近づいてそのあごを持ち上げる。
夕子の頭部はすでにすっぽりとナイローンスキンに覆われているものの、その表面にはまだ鼻の出っ張りや目の眼窩の部分のくぼみなどが凹凸を作り、なんとなく人間の顔らしさをとどめていたが、コマンダーパープルはその顔を自分に向けさせた。
「ククククク・・・どうだ? 気持ちいいだろう?」
「そ・・・そんなこと・・・無い・・・」
力なく首を振る夕子。
暗い赤のナイローンスキンに包まれた姿が美しい。
「いまお前の躰はナイローンスキンによって作り変えられているのだ。すぐにお前の身も心もナイローンの一員へと変化するだろう」
コマンダーパープルの手があごから離れ、その頬を優しく撫でる。
「ひゃぁん・・・そんなの・・・いやぁ・・・」
口ではそういうものの、夕子はコマンダーパープルの愛撫をとても気持ちよく感じていた。
そして自分の手も自分の躰をまさぐるのをやめることができなかった。

「クククク・・・そうだ。それでいい。その快感を味わえばいいのだ。お前はもう人間ではない。ナイローンの女クリムゾンとなるのだ。さあ、『私はクリムゾン』と言ってみろ」
自ら全身を愛撫している夕子の耳元でささやくコマンダーパープル。
その手は夕子の頬を撫でている。
「ああ・・・違う・・・私は・・・私は・・・」
必死に自我を保とうとする夕子。
だが、その声はか細くなっていた。
「『私はクリムゾン』だ」
自らしゃがみこんで夕子の耳元でささやくコマンダーパープル。
その言葉がまるで砂地に水が染み込むように夕子の脳裏に染み込んでいく。
「わ・・・私は・・・私は・・・クリムゾン・・・」
夕子がか細い声でそう答えたとたん、夕子の中から“紅澤夕子”という自我が急速に薄れ、新たに“クリムゾン”としての自我が上書きされていく。
「ああ・・・そうよ・・・私はクリムゾン・・・私はクリムゾン・・・」
そう言いながら全身を愛撫し続ける夕子。
人間だった過去は忌まわしく思い出したくも無い記憶へと書き換えられ、ナイローンの一員となったことを喜ばしく誇りに思うようになっていく。
ナイローンこそがすべてであり、それ以外のものは意味を持たなくなっていく。
眼窩のくぼみや鼻の部分の出っ張りなど凹凸のあった頭部も、スーッと凹凸が消えて完全なつるんとしたタマゴ形になっていく。
それと同時に全身のナイローンスキンが周囲の情報を伝え始めるのが感覚として捉えられる。
目で見たり耳で聞いたり鼻で嗅いだりすることなく、全身のナイローンスキンで感じることができるのだ。
一つの感覚器官で一種類ずつの情報を得ていたとは何と下等生物だったのだろう。
目があるから目が見えなくなったり、耳があるから耳が聞こえなくなったりするのだ。
ナイローンのようにすべての情報を全身で捉えることができれば、見えなくなったり聞こえなくなったりすることなどありえないというのに。
夕子はそのことがうれしかった。
下等な人間などではなくなった喜び。
偉大なるナイローンの一員となったことの喜び。
もはや夕子は紅澤夕子などではなく、ナイローンの女クリムゾンへと生まれ変わったのだ。

「ああ・・・うれしい・・・なんてすばらしいのかしら」
喜びを表現するかのように立ち上がって両手を広げくるくると回ってみせるクリムゾン。
暗い赤のナイローンスキンに覆われた躰は、きゅっと引き締まっててとても美しい。
「私はクリムゾン。もう私は下等な人間なんかじゃないわ。私はナイローンのクリムゾンよ」
あらためて全身のナイローンスキンを撫で回し、その感触を味わっていく。
指先の一つ一つの動きがナイローンスキンから伝わってきてとても気持ちがいい。
どうしてあんな下等な人間なんかでいることができたのだろう。
もっと早くナイローンに生まれ変わりたかったわ。
クリムゾンは心からそう思った。

「ククククク・・・そうだ。それでいい。お前はナイローンのクリムゾンだ」
うれしそうなクリムゾンを見つめていたコマンダーパープルが、立ち上がってクリムゾンを抱き寄せる。
「ああ・・・はい・・・私はクリムゾンです。ナイローンに忠誠を誓うクリムゾンです。コマンダーパープル様」
うっとりと抱き寄せられるクリムゾン。
彼女にとってコマンダーパープルはもはや嫌悪すべき存在ではなく、敬愛するナイローンの司令官だった。
「ククククク・・・そうだ。お前はクリムゾン。これからは俺の女となるがいい。ずっと可愛がってやろう」
「ああ・・・うれしいです。ありがとうございます、コマンダーパープル様」
クリムゾンはコマンダーパープルのたくましい胸に頭を寄せる。
ナイローンの司令官の女になれるなんて何と光栄なことだろう。
「私は・・・クリムゾンはコマンダーパープル様の女ですわ。これからはコマンダーパープル様とナイローンのために身も心もささげます。ナイローン!」
誇らしげに宣言するクリムゾン。
「ククククク・・・それでいい。可愛いぞ、クリムゾン」
「コマンダーパープル様・・・」
コマンダーパープルに力強く抱きしめられていることが、クリムゾンにはとてもうれしかった。

                   ******

「まさかそんな・・・どうしてここが?」
突然周囲に現れたナイローンの女戦闘員ベージュたちに身構える、ANオレンジこと沓木橙実(くつき とうみ)。
まだ20歳という若さでANファイターの女性戦士として幾度もナイローンと戦ってきた彼女だが、まさに不意打ちとも言うべき自宅付近での襲撃にその表情は固い。

それもそのはず、橙実がANファイターであることは重要機密事項であり、彼女の両親ですら知らない事実なのだ。
本部のごく少数の人間が知るだけの事項であり、ANオレンジに本部の指示を伝えるオペレーターたちでさえ、彼女が誰でどこに住んでいるかなど知りえない。
唯一の懸念はこのことを知っている立場にある紅澤司令がここ数日行方不明になっているということだが、紅澤司令に関する情報も当然機密になっている以上、ナイローンに狙われたということは考えづらい。
おそらく何らかの事件に巻き込まれた可能性はあるものの、それがナイローンによる可能性は低いと考えられていたし、それに紅澤司令が万一ナイローンの手に落ちたとしても、そう簡単に機密情報を漏らすとは思えない。
とにかく紅澤司令の行方を捜すことが最重要ということで、ANファイターにも最優先で紅澤司令の行方を捜すように指示が下っており、橙実も深夜となったこの時間まで捜索活動に就いていたのだった。

「ククククク・・・まさかこのような一般住宅地にANオレンジが住んでいたとはな」
ベージュたちの背後から姿を現す紫色の全身タイツと黒いマントを身にまとった偉丈夫。
「コマンダーパープル!」
橙実は驚いた。
ナイロン獣ではなくナイローンの司令官自らが姿を現すとは・・・

「クッ!」
ベージュたちとコマンダーパープルに正対するように身構え、右手首のブレスレットに声をかけようとする橙実。
このブレスレットは通信機であると同時に、彼女の位置を本部に伝え、本部からANスーツを電送するためのターミナルとなっている。
そのため、このブレスレットに声をかけるだけで、橙実はANファイターへと変身できるのだ。

「AN・・・」
橙実がオレンジと続けようとしたそのとき手刀が振り下ろされ、彼女の右手首に衝撃が走る。
「あうっ!」
ブレスレットが破壊され、思わず手首を押さえてしゃがみこんでしまう橙実。
「うふふふふ・・・」
しゃがみこんだ橙実の脇から笑い声がする。
「だ、誰?」
「うふふふふ・・・だめよ橙実。変身なんかさせないわ」
振り返った橙実の前に立っていたのは、暗い赤の全身タイツに身を包んだスタイルのいい女性だった。
つるんとしたタマゴのような頭部に適度の大きさの形よい胸、引き締まった腰と流れるようなラインでつながった長い脚。
まさに女性の目から見ても美しいスタイルだ。

「あ、あなたは?」
「うふふふふ・・・私はナイローンのクリムゾン。お前たちにとっては敵というところかしら」
目も鼻も耳も口も無い頭部なのに、その視線は橙実をじっと見下ろしているように感じる。
「クリムゾン・・・」
新たな敵の出現に橙実は衝撃を受ける。
その様子からおそらく目の前のナイローンの女は、ベージュなんかとは比べ物にならない力を持っているだろう。
一対一ではANファイターといえども苦戦するに違いない。

「ククククク・・・よくやったぞクリムゾン。そのブレスレットを壊してしまえば、ANファイターなど恐れるに足りんいうことだな」
「はい、コマンダーパープル様。ANファイターはANスーツあってこそのあのパワー。ANスーツがなければただの下等な虫けらに過ぎませんわ。うふふふふ」
冷たく笑うクリムゾン。
「ど、どうしてそれを・・・」
「ククククク・・・どうしてそれを我らが知っているのか、か? 簡単なことだ。お前たちの司令官紅澤夕子が教えてくれたのだ」
「そんなバカな・・・紅澤司令がそう簡単に・・・」
ショックを受けている橙実にコマンダーパープルがゆっくりと近づいていく。
「ククククク・・・そうだったな、夕子よ。お前が俺に教えてくれたんだったな」
コマンダーパープルがクリムゾンの肩をそっと抱く。
「あん・・・コマンダーパープル様、私をそんな名で呼ぶのはおやめくださいませ。私はナイローンのクリムゾンです。紅澤夕子などという名は私が下等な人間だったときの名。そのような名は思い出したくもありませんわ」
愛しい人に擦り寄る恋人のようにクリムゾンがコマンダーパープルに身を寄せる。

「そんな・・・この女が紅澤司令だというの?」
「ククククク・・・そういうことだ。もっともいまはもうナイローンのクリムゾンとして俺の可愛い女といったところだがな」
愕然とした橙実に見せ付けるようにクリムゾンを抱き寄せるコマンダーパープル。
「ああん・・・はい、私はコマンダーパープル様の女ですわぁ」
うっとりとクリムゾンはコマンダーパープルに抱きついている。
「そんな・・・どうやって・・・」
「うふふふふ・・・それはすぐにあなたにもわかるわ。あなたにもナイローンスキンを着せてあげる。私たちの可愛いペットにしてあげるわ。うふふふふ・・・」
「この女を連れて行け」
「「ナイローン!!」」
コマンダーパープルの命に周囲に控えていたベージュたちがいっせいに橙実を押さえつける。
「いやっ! 離して! いやぁっ!」
ベージュたちに無理やり引き立てられる橙実。
「うふふふふ・・・心配しなくてもすぐにあなたもナイローンのすばらしさがわかるようになるわ。あなたにはオレンジ色のナイローンスキンを用意してあげるわね」
「いやぁっ! そんなのいやぁっ!」
必死に逃げようともがく橙実。
だが、彼女もろともすべてを闇が飲み込んでいき、それが晴れたあとには誰も残ってはいなかった。

                    ******

全身を自らの手で撫で回しているオレンジ色の全身タイツの女。
スベスベのナイローンスキンが全身を覆い、その感触を指先で味わっているのだ。
頭部にはもはや鼻や眼窩の凹凸はなく、タマゴのようにつるんとして何の表情も浮かんではいない。
だが、彼女が気持ちよさを味わっていることは間違いないだろう。
「うふふふふ・・・ナイローンスキンに全身を覆われた気分はどうかしら、沓木橙実さん? いえ、いまはナイローンのオレンジだったわねぇ。うふふふふ・・・」
うっとりと全身を撫で回しているオレンジ色の女に近づく暗赤色の女。
「ああ・・・はい、クリムゾン様。最高の気分です。なんて素敵なの・・・私はもう人間なんかじゃないわ。ナイローンのオレンジですぅ」
甘い声で返事をするオレンジ。
あのあと橙実は躰の動きを封じられ、無理やりナイローンスキンを着せられて身も心もナイローンの女へと変化させられてしまったのだ。

「うふふふ・・・本当かしら? あんなにナイローンスキンを身に着けるのを嫌がっていたくせに」
クリムゾンが笑いながら意地悪を言う。
さっきまで橙実は必死に抵抗していたのだ。
「ああ・・・クリムゾン様ぁ、意地悪を言わないで下さい。あの時は私はまだ人間という下等な存在だったため、ナイローンスキンのすばらしさを知らなかったんです。今の私はもう身も心もナイローンの女ですわ。ナイローンにすべてをささげます」
立ち上がって忠誠の証に右手を上げるオレンジ。
その手をそっと取って下げさせると、クリムゾンはオレンジを抱きしめる。
「うふふふ・・・それでいいのよ。可愛いわ、オレンジ。今日からあなたは私とコマンダーパープル様のペットになるの。いいわね」
「はい、クリムゾン様。オレンジは喜んでクリムゾン様とコマンダーパープル様のペットになります。どうか可愛がってくださいませ」
クリムゾンに抱きしめられ喜びに打ち震えるオレンジ。
「もちろんよ。あなたは永遠に私たちの可愛いペット。私と一緒にコマンダーパープル様の下で人間どもを駆逐いたしましょう」
「はい、クリムゾン様。ナイローン!」
「ナイローン!」
二人の全身タイツの女たちが声をあげ、お互いの躰を撫で回す。
ナイローンの女たちは二人で抱き合い、自らを生まれ変わらせてくれたナイローンスキンの心地よさに時を忘れて酔いしれるのだった。

終わり


いかがでしたでしょうか?
今回は舞方の趣味がモロに出まくりだったかもしれませんね。(笑)
よろしければ拍手感想などいただけますとうれしいです。

それでは次回作でまたお会いいたしましょう。
ではまた。
  1. 2011/07/19(火) 21:15:04|
  2. クリムゾン
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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