昨日に引き続きまして270万ヒット記念SS「愛しい先輩」の後編です。
お楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。
2、
「智香ちゃんが怖いと思うのも当然ね。でも心配しないで。これを着てもらうだけだから」
私を安心させるように微笑んで、藍沢先輩は持ってきた紙袋の中から何かを取り出す。
着てもらうだけって、いったい?
「えっ? えええっ?」
藍沢先輩が取り出したものを見て私は驚いた。
先輩が取り出したのは、先輩が着ているような全身タイツだったのだ。
それも白地に黒のぶちが入っているもの。
いわゆる牛柄の全身タイツなのだ。
「これを着てみてほしいの。もしあなたに適性があればそのままこの全身タイツがあなたの躰を改造してくれるわ。適性がなければただの全身タイツを着たというだけで終わり。何にもあなたに影響は与えない」
先輩は白黒ぶちの全身タイツを両手で持って広げている。
私はそれを見てなんだかとても悲しくなってしまった。
「ひ、ひどいです、先輩。私が胸の大きいことに悩んでいるの知っているじゃないですかぁ」
こんなの着たらますます牛女ってバカにされたり、いやらしい目で見られるに決まっているわ。
「智香ちゃんごめんね。でもよく考えてみて。あなた悔しくないの? 胸の大きさだけでバカにしたりいやらしい目で見てくるような男どもにいやな思いをさせられて悔しくないの?」
「そ、それは悔しいですけど・・・」
「見返してやりたいと思わない? ゴッドレスの改造人間になればそんな連中を見返してやれるのよ。くだらない下等な男どもを痛めつけてやれるのよ」
真剣なまなざしで私を見つめてくる藍沢先輩。
その瞳が猫の目のように細いことに私はいまさらながらに気が付いた。
「で、でも・・・」
私はテーブルの上に置かれた白黒ぶちの全身タイツに目を落とす。
少し艶のあるその生地はとても滑らかで、触るとすべすべしていそう。
おそらく先輩のように着ると躰のラインがこれでもかって感じででてしまうに違いない。
う~・・・
やっぱり着るのは無理だよぉ・・・
「ふう・・・どうやら着てもらうことはできなさそうね・・・」
藍沢先輩がため息をつく。
「先輩・・・」
「でもね、私もゴッドレスの女怪人。ここまで話した以上、あなたには二つしか選択肢はないわ」
突然先輩の表情が変わる。
まるで獲物をにらむかのような鋭い目。
私は思わず息を飲んだ。
「二つの選択肢?」
「そう・・・一つはこのまま覚悟を決めてこの全身タイツを着ること」
「も、もう一つは?」
私は先輩の豹変に恐る恐る聞いてみる。
「もう一つは・・・」
「もう一つは?」
私はごくりとつばを飲む。
「今日のことは忘れ、誰にも口外しないって約束すること。そうすれば私はもうあなたの前には二度と姿を見せないわ」
先輩がにっこりと微笑む。
よかったぁ・・・
私はホッと胸をなでおろす。
まさか殺されちゃうんじゃないかと思ったよぉ。
誰にも言わなければいいんだよね。
そうすれば先輩も二度と私の前には・・・・
どきんと私の心臓が跳ね上がった。
先輩がもう二度と私の前に姿を現さない?
先輩と二度と会えなくなってしまうというの?
先輩ともう二度と・・・?
えっ?
二度と・・・?
「あ、あの・・・」
「なあに、智香ちゃん」
さっきとはうって変わった優しい表情の先輩。
とても素敵な憧れの先輩。
「もし、私がその全身タイツを着なければ、もう先輩とは会えないのですか?」
「そうね。そうなるわね」
「ど、どうしてですか?」
「どうしてって・・・私はゴッドレスの女怪人なのよ。一般人と気安く会うことなんてできるわけないでしょう? 私たちゴッドレスの存在は秘密なの。知られるわけにはいかないのよ」
先輩が理由を言ってくれたけど納得なんてできない。
だって、今こうして会っているのに。
「もう会ってもらえないんですか?」
「ええ、あなたがゴッドレスの一員にならない限りは」
そ、そんなぁ・・・
先輩に会えなくなるなんていやだよぉ・・・
私はテーブルの上の全身タイツに目をやる。
白黒ぶちの牛模様。
本当なら見たくもないよ。
胸が大きいからって牛牛って言われてバカにされるか、そうじゃなかったらいやらしい目で見られるかしかしなかった。
牛なんて大っ嫌い。
でも・・・
でも・・・
これを着ないと先輩には・・・
藍沢先輩には二度と会えなくなっちゃう。
最初は冗談だとも思ったけど、先輩の表情は真剣だし・・・
着なかったら本当に会えなくなっちゃうんだと思う。
そんなのはいやだよぉ・・・
私は意を決してテーブルの上の全身タイツを手に取る。
うわぁ・・・
すごいすべすべしていい手触り・・・
うん・・・
「着ます」
私は先輩にうなずく。
「いいの? 本当にいいのね?」
「はい。先輩に会えなくなるのはいやですから」
「着ても適性がなければそこまでよ。そして適性があればもう元には戻れないわ。それでもいいの?」
「はい。もう決めました。だからあんまり脅かさないでください」
私がもう一度うなずくと、藍沢先輩がホッとしたように優しい微笑を浮かべてくれる。
「ありがとう智香ちゃん。あなたならきっと大丈夫」
「そ、そうでしょうか」
私は胸のところでぎゅっと全身タイツを握り締める。
やっぱり先輩の笑顔が好き。
私は先輩が好き。
誰になんて言われてもいい。
私は先輩が好き。
「それじゃ早速着てみてくれる?」
「はい。え、と・・・その、お風呂場で着替えていいですか?」
私は少し赤くなっていたかも。
「もちろんよ。ゆっくりと落ち着いて着替えればいいわ。何があっても逆らわないで。身も心もゆだねてほしいの」
「はい。わかりました」
私は先輩にうなずくと、お風呂場に通じるドアを開ける。
そして中に入ってドアを閉めると、一人きりになった。
「ふう・・・」
あらためて手の中の全身タイツを見る。
白黒ぶちのいやな牛柄。
でも、もう着ると決めた。
だから着る。
私は脱衣場にある洗濯機のふたの上に全身タイツを置き、洗濯籠に着ているものを脱いで入れていく。
「あ、あのー、先輩・・・」
『なあに?』
ドアの向こうから先輩の声がする。
「やっぱり・・・下着も脱いだほうがいいんですよね?」
『そうね。裸になって着てほしいわ』
「・・・・・・はあい」
私は思い切ってタイツもショーツも脱ぎ、ブラジャーもはずして生まれたままの姿になる。
脱衣場の鏡に映る私の姿。
やっぱり胸だけが異様に大きく感じる。
巨乳なんて何もいいことなんかないよ。
肩だって凝るし・・・
私は鏡を見るのをやめ、洗濯機の上に置いた牛柄の全身タイツを取る。
全身タイツなんて着たことないから、これが普通のものかどうかわからないけど、どうやら普通のタイツのようにつま先まで覆うタイプのようだ。
それに両手も指先まで手袋のようになっているから、首から下は全部この全身タイツに覆われることになるみたい。
それにしても肌触りがいいよぉ。
ナイロンのすべすべ感がすごく気持ちいい。
思わず頬擦りしてしまいそうになるよ。
いけないいけない。
ちゃんと着なきゃ。
背中のファスナーを下げて、そこから脚を通して・・・
うわぁ・・・
すっごく気持ちいいよ。
なんだかひんやりするけど、すべすべでスルッて感じで脚が入っていく。
そしてきゅっと引き締まる感じで密着するの。
すごく気持ちいい。
これならずっと着ていたくなるような気分になるよね。
私はもう片方の脚も入れ、そのまま腰のところまでたくし上げていく。
両脚ともにタイツに包まれてとても気持ちがいいな。
そうしたら今度は胸の辺りまで引き上げて、片方ずつ手をそでに通していく。
こっちもそでの先が手袋のようになっているので入りづらいと思ったけれど、とてもスムーズに入っていくよ。
そでを通したら手袋部分がぴったり合うように手を開いたり閉じたりして馴染ませる。
両手ともそでに通せば、それだけでもう全身タイツを着終わったようなもの。
あとは肩を入れて背中のファスナーを上げれば、首周りも密着してできあがり。
うーん・・・
ファスナーがいまいちちゃんと上がってないかな?
でも、だいたいこれで問題無いとは思うけど・・・
私はあらためて鏡を見る。
うわぁ・・・
やっぱりだ・・・
全身タイツが躰に密着するなんて言うけれど、それは大雑把に言ってのこと。
アニメやマンガなんかでよく見かける胸の形にしっかり密着していることなどありえない。
普通はこうして胸のてっぺんに布が引っ張られてテントを張ったみたいに隙間が開いちゃうんだよね。
私みたいに胸が大きいと、それだけ余計に布が引っ張られるから隙間も大きく開いちゃってみっともないんだよ。
あーあ・・・
こんなに胸が強調されちゃって・・・
牛柄の全身タイツなんてやっぱりいやだなぁ・・・
「藍沢先輩、とりあえず着てみましたけど・・・」
私はお風呂場のドアを開けて居間に戻る。
なんとなく恥ずかしいけど、これを着なきゃ先輩には会えなくなるって言うしね。
「えっ?」
私が部屋に戻ると、先輩は驚いたように目を丸くして私を見ている。
「えっ? どうかしました?」
私は先輩が何で驚いたのかわからない。
「あ、いえ、智香ちゃん、躰、なんともないの?」
先輩が首を傾げてる。
そういえば先輩の着ている全身タイツはきれいに胸の形に密着しているね。
どうなっているんだろう。
「えっ? はい。別に・・・」
私は白黒ぶちの全身タイツを着た自分の姿を見下ろしてみる。
どこも変なところは無いよ・・・ね・・・
「そんな・・・適性が無いってことなの?」
先輩が立ち上がって私のところに来る。
そういえば適性がって言ってたよね。
私には適性がなかったのかな?
「残念だわ・・・智香ちゃんなら絶対に適性があると・・・あら?」
私の肩をつかんでくるりと回転させる藍沢先輩。
うふふ・・・
なんだか変な気持ち。
「智香ちゃん、背中のファスナーをちゃんと閉めなかったわね?」
「えっ? 閉まってませんでした?」
「ふふ・・・多分このせいね。智香ちゃん、いい? 閉めるわよ?」
「あ、はい。お願いします」
私の背中に先輩の指が触れる。
きゃー・・・
うれしいよぉ・・・
シュッという音がして背中のファスナーが首筋まで引き上げられる。
首元が引き締まり、全身タイツが私の首から下を完全に包み込む。
「えっ?」
私は思わず声が出る。
全身タイツが突然私の躰に染み込んできたような感じを受けたのだ。
「な、何これぇ?」
ざわざわとした感触に私は思わず床に座り込む。
「うふふふ・・・始まったわね。よかった。やっぱり適性があったんだわ」
背後で先輩の声がするけど、何がなんだかわからない。
ひょっとしてこれが改造されるってことなの?
「いやっ! いやぁっ!」
私は全身タイツを脱ごうとしたけど、まるで躰に張り付いたようになってて摘まめない。
それどころか、さっきまでは胸と布の間に隙間があったのに、それがみるみる無くなって布が私の胸に張り付いていく。
「ど、どうなっているのぉ?」
なんだか躰の中をぐちゃぐちゃと掻き回されていくみたい。
怖いよぉ・・・
「うふふふ・・・怖がることは無いわ。そのまま改造を受け入れるのよ。身も心もゆだねてしまいなさい」
躰の力が抜け床に寝転がってしまった私を、まるで見下ろすかのように立っている藍沢先輩。
その表情には妖しい笑みが浮かんでいる。
「あひゃぁ・・・せ、先輩・・・これって?」
「言ったでしょ。智香ちゃんは今改造を受けているの。あなたはゴッドレスの女怪人になるのよ」
「そ、そんなぁ・・・」
でも・・・なんだかだんだん気持ちよくなってきたよぉ・・・
床に寝そべって・・・まるで・・・その・・・オナニーでもしているみたい・・・
はぁん・・・
気持ちいいよぉ・・・
躰の中が弄くられているのにとても気持ちいい・・・
すごく気持ちいいよぉ・・・
『受け入れよ』
えっ?
何?
頭の中に声が?
『受け入れるのだ』
受け入れるって・・・何を?
『ゴッドレスの一員であることを受け入れるのだ』
ゴッドレスの一員?
『そうだ。お前はゴッドレスの一員となったのだ』
そうだわ・・・
私はゴッドレスの一員。
ゴッドレスの一員であることを受け入れなくちゃ・・・
心がとても満ち足りてくる。
躰も力があふれてくる。
なんて素敵なんだろう。
私はゴッドレスの一員。
ゴッドレスの一員なんだわ。
『忠誠を誓うのだ』
忠誠を誓う?
『そうだ。ゴッドレスの一員として、ゴッドレスに忠誠を誓うのだ』
「はい・・・私はゴッドレスの一員。ゴッドレスに忠誠を誓います」
私はもう無意識にそう言っていた。
だって私はもうゴッドレスの一員。
ゴッドレスに忠誠を誓うのは当たり前のことだもの。
『それでいい。お前は今日からゴッドレスの女怪人牛女となったのだ』
「はい。私はゴッドレスの女怪人牛女です」
私は自分の名を呼ばれたことがすごくうれしかった。
私は牛女。
ゴッドレスの女怪人牛女よ。
しばらくするとじょじょに躰の変化が収まってくる。
「うふふふ・・・改造は終わったようね。気分はどう?」
横になった私を見下ろしている豹女。
彼女もゴッドレスの女怪人の仲間。
これからはともにゴッドレスのために仕える仲間なのね。
「ええ・・・とてもいい気分です」
私は躰を起こして立ち上がる。
「うふふふ・・・それはよかったわ。さあ、生まれ変わった自分の躰を見て御覧なさい」
豹女に言われて私は部屋の姿見に映った自分の姿を見る。
頭には二本の角が生え、鋭くとがっているわ。
躰は白黒ぶちの全身タイツにぴったりと覆われ、巨大な胸がこれでもかとばかりに自己主張している。
お尻からは先がふさふさした尻尾が生え、プルプルと可愛い感じに揺れていた。
私は牛女である自分の姿に満足すると、その巨大な胸を持ち上げてみる。
うふふふふ・・・
思わず笑みが浮かんでくるわ。
なんて素敵な大きなおっぱい。
まさに牛女の私にふさわしいおっぱいだわ。
ここから毒乳を噴霧すれば、下等な人間どもなどひとたまりもない。
うふふふふ・・・
たまらないわぁ。
最高のおっぱいよ。
私は自らの巨乳を誇らしく揺らすのだった。
******
「ただいまー。って、あれ、お客さん?」
どうやら豹女の彼氏が帰ってきたみたいね。
私は次の作戦行動に参加する前に、豹女に連れられて彼女が暮らしているアパートを訪ねていた。
豹女が好きだと言う人間の男がどんな奴なのかも見たかったのでちょうどよかったけどね。
「お帰り、真君。紹介するね、彼女は牛女。私たちゴッドレスの女怪人の一人よ。私とコンビを組んでいるの」
豹女が男の首に抱きついてお帰りのキスをしている。
下等な人間の男のくせに豹女にキスしてもらうなんて・・・
赦せない・・・
「牛女です。よろしく」
私は内心のムカつきを抑えながら男に挨拶する。
見たところどこにでもいるような大学生の男に過ぎないわ。
どうしてこんな男が豹女の心を占めているのかわからない。
「あ、はじめまして。よろしく」
男の視線が私の胸に向いている。
うふふふ・・・
やっぱりね。
思ったとおりだわ。
男は誰でも私の胸に目が向くもの。
しょせんこの男も下等な人間の男に過ぎないってことだわ。
毒乳を吹きかけてやったらさぞ気持ちいいかも。
「こら、真君。どこを見ているのかな? 牛女の巨乳に惹かれて手を出したりしたら殺すわよ」
豹女が鋭い爪を出して舌でぺろりと舐めている。
「ち、違うよ。あ、あまりにも大きな胸で驚いただけだよ」
「本当かしら? うふふ・・・どっちにしても手を出しちゃだめよ」
「わかっているって」
男が苦笑している。
うふふふ・・・
それも面白いわね。
私の巨乳を見せ付ければこんな男を誑かすなど造作もないわ。
この男を私になびかせ、それを豹女に見せ付けてやれば・・・
うふふふ・・・
豹女のことだから怒ってこいつを爪で引き裂いてくれるでしょうね。
そして私はその気もないのにこいつに迫られてしまったことにすれば・・・
うふふふふ・・・
豹女は私のもの。
女怪人は女怪人同士結び合うのが一番なの。
お前になど渡すものですか。
私は豹女に擦り寄られてうれしそうにしている男を見ながら、これからどうやって誑かしてやろうかと考えをめぐらすのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
よろしければ拍手感想などいただけますとうれしいです。
次回作もがんばります。
それではまた。
- 2011/04/30(土) 20:51:29|
- 怪人化・機械化系SS
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今日は休日なので早め更新です。
お待たせいたしました。
先日当ブログはおかげさまで270万ヒットを達成いたしましたが、今日明日の二日間で記念SSを一本投下させていただきます。
記念SSというには短編ですし、内容もどっちかというとギャグ系のSSだとは思いますが、楽しんでいただければと思います。
タイトルは「愛しい先輩」です。
以前2009年8月13日に当ブログに掲載いたしました短編SS「
愛しい彼女」の続編というか、別キャラバージョンとなります。
(タイトルをクリックで作品に飛べます)
楽しんでいただけましたら幸いです。
1、
「はふう・・・」
私は思わずため息をつく。
「あうう・・・また大きくなった気がする・・・」
両手で胸を持ち上げてみる。
ずっしりとした感触が両手に乗ってくる。
「はあ・・・」
私はもう一度ため息をつく。
「何でこんなに大きいのぉ」
私はもう以前からこの大きな胸に悩まされていた。
Gカップなんていらないよぉ。
女からは胸をアピールしているようないやみ言われるし、男からは巨乳の牛女って馬鹿にされるし。
さもなくば巨乳目当ての男たちのいやらしい視線しか向けられないし・・・
「はあ・・・いっそこんな胸ないほうがいいのにな。もっと小ぶりなら肩が凝ることもないんだろうに・・・」
私はもう一度鏡に映った自分の胸を見る。
メロンのような大きくたわわな自分の胸。
なんだかいやらしい感じがしてやっぱり好きになれない。
着る物だって苦労するし、巨乳でいいことなんてぜんぜんないんだから。
あ、いけない。
時間だわ。
早く行かないと遅れちゃう。
でも、行ったらまたからかわれるのかな・・・
いやだなぁ。
そんなことを考えながらも、私は身支度を整える。
からかわれるのはいやだけど、藍沢(あいざわ)先輩と一緒にいられるなら我慢する。
今日はカラオケでデュエットできるといいなぁ。
******
「智香(ともか)ちゃん、遅いよ」
待ち合わせ場所にはもうみんながそろっていた。
どうやら私が最後らしい。
藍沢先輩が「メッ」って感じで私をにらんでくる。
「す、すみません」
私は思わず頭を下げた。
「あはは・・・いいのいいの。時間ぎりぎりだから大丈夫」
藍沢先輩が突然にこやかに微笑んで私を抱きしめてくれた。
はわぁ・・・
なんだかうれしいよぉ・・・
先輩の胸がぎゅっとあたって柔らかいよぉ・・・
「おっ、藍沢と惣間(そうま)はそういう関係だったのか? もしかしてユリユリ?」
「えへへ・・・実はそうなのだー。智香ちゃんは私の彼女なのであったー」
藍沢先輩が男子になんか言ってる?
えええっ?
私が藍沢先輩の彼女?
う、嘘でしょー?
「もう、理沙(りさ)ったら智香ちゃんをからかって。あんたには真(まこと)君という彼氏がいるでしょ」
「うにゃ? そうだったねー。あははは。智香ちゃんごめん」
広坂(ひろさか)先輩の言葉に私を放して笑っている藍沢先輩。
あ~・・・
そうだよねー。
以前そんな話してたよね。
見たことないけど、藍沢先輩にはちゃんと彼氏がいるんだよね・・・
ちょっと残念・・・
「おい、いつまでじゃれ付いているんだ? みんな集まったし、そろそろ店に行くぞ」
「OKOK、それじゃ行こう」
みんながお店に向かって歩き出す。
藍沢先輩も仲のいい広坂先輩とおしゃべりしながら歩いていく。
私はその後ろ姿を眺めながら、少し後を歩いていった。
「カンパーイ!」
グラスを合わせるカチンカチンという音がする。
私もカルピスの焼酎割りを飲む。
今日は大学祭の打ち上げ。
こうしてみんなと飲むお酒は美味しいよね。
焼き鳥をつまみ、楽しいおしゃべりをして。
うん、悪くない。
「ねえねえ、智香ちゃんは彼氏いないの?」
広坂先輩が興味深そうに聞いてくる。
心なしかその目がきらんと光っているよぉ。
「わ、私ですか? いませんよ、彼氏なんて」
「そうなの? 智香ちゃんは可愛いから男が寄ってきそうだけどな」
「そ、そんなこと・・・それに可愛いからなんかじゃ・・・」
私なんか可愛いわけないよ。
可愛いってのは藍沢先輩みたいな人のことをいうんであって、私みたいなのは・・・
それに、男の人って苦手。
みんな私の胸をいやらしい目で見るんだもん。
「理沙はどうなの? 真君とはうまくやってるの?」
私には興味を失ったのか、広坂先輩は藍沢先輩に絡んでいく。
「うにゃ? 相変わらずだよ」
「ほほう。相変わらずかいがいしくご飯作ってあげたりしてるんだ」
えええっ?
藍沢先輩がご飯作ってあげるの?
いいなぁ。
私も藍沢先輩のご飯食べてみたいよぉ。
「そ、それはほら、なんていうか・・・一緒に食べると美味しいし・・・」
藍沢先輩がどぎまぎしている。
うふふ・・・
いつもの藍沢先輩じゃないみたい。
「真君イケメンだしねー」
「そ、そうかな? 普通じゃない?」
「そう思っているのは理沙だけかもよ。たまにはサービスして真君取られないようにしておきなさい」
「サービスって?」
「裸エプロンにリボンつけて、真君、私をあげる・・・とか」
いいながらもケラケラ笑っている広坂先輩。
「雅美(まさみ)・・・あんた酔ってるでしょ」
藍沢先輩も苦笑してる。
うんうん。
裸エプロンなんてとても恥ずかしくてできないですよね。
「あ、すいません。追加お願いします」
広坂先輩が店員さんを呼び止める。
「カシスソーダお願いします。ほかには? 智香ちゃんは?」
「あ、それじゃカルーアミルクを・・・」
私は好きなカクテルを頼む。
「お、惣間はやっぱりミルクか? 牛なだけあるな」
「おい、よせよ・・・」
あう・・・
やめればよかった・・・
「わりぃわりぃ、でも俺惣間の胸はいいと思うぞ。巨乳は男の夢だしな」
「やめろって、島倉」
「こらぁ、あんたら、智香ちゃんをからかうんじゃないよ」
広坂先輩が男性陣をにらみつける。
あうう・・・
やっぱりこんな胸はいやだよぉ・・・
結局注文したカルーアミルクはなんだか飲めなかった。
******
「えっ? 藍沢先輩一週間も大学に来てないんですか?」
私は驚いた。
あの打ち上げのあと、サークルが違う私と藍沢先輩の接点は途切れちゃっていたんだけど、今日広坂先輩を見かけたので話しかけてみたのだ。
それなのに、こんな話を聞くなんて・・・
「どうしてなんですか? 病気とかなんですか?」
「わからないわ。携帯にもでてくれないし・・・アパートにも帰ってないみたいだし・・・」
えええっ?
藍沢先輩どうしちゃったんだろう。
「彼氏さんの家にいるとかはないんですか?」
「わからないわ。私、真さんの携帯番号とか知らないし・・・」
広坂先輩も心配そう。
それにしても一週間も姿を見ないなんて心配だよぉ・・・
広坂先輩と別れてバイトに行ってからも、私はずっと藍沢先輩のことが気になっていた。
藍沢先輩どうしちゃったのかなぁ・・・
彼氏さんの家にいるとかならまだいいんだけど・・・ホントは・・・いくないけど・・・
病気で入院しているとか、事故で生死の境をさまよっているとかじゃ・・・
あああ・・・
心配だよぉ・・・
藍沢先輩ぃ・・・
「・・・くん! 惣間君!」
「えっ? はい?」
呼びかけられていたことに気がついて私は振り向いた。
「はいじゃないよ。お客さんが待っているだろ!」
「は? え? わっ、す、すみません。いらっしゃいませ」
店長ににらみつけられ、私は今自分がアルバイト中だったのを思い出す。
「105円、98円、128円・・・」
「ぼうっとして困るなこんなことじゃ・・・栄養が胸にばかり行って頭に行ってないんじゃないの?」
あうう・・・
胸は関係ないですぅ。
もういやだよぉ・・・
私は泣きたいのをこらえて必死にレジにバーコードを読み込ませた。
ううう・・・
私は帰り道をとぼとぼと歩く。
とりあえずあのあとは失敗せずにすんだけど、今日は散々だったよぉ。
藍沢先輩のことが心配で仕事が手につかないよぉ。
はあ・・・
今までこんなに気にしたことなかったけど、それって藍沢先輩には学校でいつでも会えるって安心感のようなものがあったからなのかなぁ・・・
はあ・・・
大学祭の実行委員会で初めて会ったのがもうかなり昔に感じるよ。
なんだか無性に藍沢先輩に会いたいよぉ・・・
「ただいまぁ」
誰もいない一人暮らしのアパートだけど、何でか私はただいまをつい言ってしまう。
まあ、一人暮らしじゃないと見せることで防犯にもつながるらしいからいいんだけどね。
「はあ・・・なんだか今日は疲れたぁ・・・」
そのまま部屋の奥のベッドに倒れこむ。
このまま寝ちゃいたいぐらい・・・
でも、シャワー浴びなきゃ・・・
タイツも脱がなくちゃ・・・
あ~、めんどくさいなぁ・・・
このまま寝ちゃおうかなぁ・・・
うつらうつらしているとコンコンとノックの音がする。
えっ?
誰か来た?
枕もとの時計を見るともう夜の9時過ぎ。
こんな時間に誰だろう・・・
私は仕方なく起き上がると玄関に行く。
「はい、どちら様でしょう?」
私は玄関の扉越しに外に声をかける。
もしかして宅配便かな?
お母さんが何か送ってくれたのかな?
『智香ちゃんこんばんは。お久しぶり』
ドキン・・・
扉の向こうから聞こえてきた声に私は胸が高鳴った。
「藍沢先輩? 藍沢先輩ですか?」
私はもう後先も考えずに扉を開ける。
すると目の前には素敵な先輩の笑顔が・・・
「あれ?」
いや、その・・・
確かに笑顔は素敵なんだけど・・・
扉の向こうには立っていたのは間違いなく藍沢先輩。
でも、その格好に私は思わず言葉を失ってしまったのだ。
「はい、智香ちゃんこんばんはー。がおー」
いたずらっぽい笑顔を浮かべ、爪のとがった両手を胸の前で構えている藍沢先輩。
その全身は躰にぴったりとした豹柄のタイツのようなものに覆われていて、頭にはちょこんと猫耳というか豹耳が乗っている。
お尻からは尻尾も伸びていて、どういう仕掛けかわからないけどクニクニと動いていた。
え~と・・・
これってコスプレ?
もしかして全身タイツ?
ゼンタイって言うんだっけ?
藍沢先輩は全身を豹柄の全身タイツで覆っていたのだった。
「あ・・・あの・・・藍沢先輩?」
「こんな時間だけど、お邪魔していい?」
「あ、はい、どうぞ」
私は藍沢先輩の格好にあっけに取られたまま、先輩を家の中に迎え入れる。
「ありがと、お邪魔します」
脇に置いてあった紙袋を持ち、そのまま玄関に入ってくる藍沢先輩。
ハイヒールのブーツのようになっていた足元が普通のタイツのような柔らかい足元に変化して、たたきからそのまま上がってくる。
「ええっ?」
「ん? ああ、これ? 靴のまま上がるわけにはいかないでしょ? ちゃんと変化させるわよ」
私が驚いたことに気がついたのか、藍沢先輩がにこやかに私に言う。
いや・・・そういう問題じゃなくて・・・
「わぁ、いい部屋だねぇ。一人暮らしにはちょうどいい感じだね」
私の部屋に入ってぐるっと見回す藍沢先輩。
あわわ・・・
ち、散らかっているからあんまり見ないで・・・
「せ、先輩、それよりも、ど、どうしてここが?」
私はあたふたとその辺に落ちていたものを片付け、座布団を出して先輩に勧めるとお茶の用意を始める。
「ありがと。うふふ・・・私たちゴッドレスの力を使えば住所を割り出すのなんて造作もないわ。通販部門だってあるんだしね」
座布団に座る藍沢先輩。
うう・・・
なんていうか・・・
目のやり場に困るよぉ。
豹柄の全身タイツが藍沢先輩のボディラインをこれでもかって見せ付けてくるよぉ。
素敵だなぁ。
うらやましいよぉ。
女の私から見ても、すごく魅力的だと思う。
私はなんだかドキドキしながら、マグカップにコーヒーを作っていた。
「インスタントですけど、どうぞ」
「ありがとう」
私はコーヒーの入ったマグカップをテーブルに置く。
そういえば通販がどうとか言っていたけど、ちゃんと聞いてなかったよ。
まあ、うちの住所を知ることなんてどうとでもなるよね。
「美味しい」
コーヒーを一口飲む藍沢先輩。
頭の上の豹耳がぴくぴく動いている。
「あ・・・あの・・・」
「ん? 何?」
向かい側に座った私をまっすぐ見てくる藍沢先輩。
やっぱりなんだかドキドキしてしまうよぉ。
「そ、その格好はどうしたんですか? やっぱりその・・・コ、コスプレとかいう奴なんですか?」
私はそれだけを一気に言うと、心臓を落ち着けるためにコーヒーを飲む。
「んー・・・コスプレなんかじゃないわよ。だって、これ、私の躰そのものだし」
にこやかに微笑んでいる藍沢先輩。
「えっ? それはどういう・・・」
躰って?
コスプレ衣装じゃないの?
「この全身タイツのようなものはね。もう私の皮膚そのものなの。もちろん脱ぐなんてことはできないし、脱ぎたいとも思わないわ」
えっ?
脱げないって?
「えっ? そ、それじゃおトイレとかはどうするん・・・」
口にしてから私は赤くなってしまう。
トイレのことなんて聞いてどうするの、私。
「くすっ、トイレなんか必要ないのよ。あのね智香ちゃん。私はもう人間なんていう下等生物とは違うの」
「下等生物?」
「そうよ。私はもう人間なんかじゃないわ。ゴッドレスの改造人間豹女なの。これからは藍沢先輩じゃなく、豹女って呼んでちょうだい」
そう言って笑う藍沢先輩。
ひょ、豹女って、い、いったい先輩はどうしちゃったの?
「ひょ、豹女・・・ですか?」
「そう、豹女よ。どう? なかなか素敵な躰でしょ?」
躰を見せ付けるように両手を頭の後ろで髪を掻き揚げるようにして、腰をくねらせる藍沢先輩。
豹柄の全身タイツが躰に密着してとても柔らかなラインを描いている。
「は、はい・・・素敵です・・・けど」
「だからもうトイレなんかには行かなくてもいいの。食べたものはほとんど分解してエネルギーにできるし、余分な水分とかは体表から蒸発させればすんじゃうし。人間なんかとは違うわ」
「はあ・・・そうなんですか・・・」
私はもうそう言うしかない。
もしかして先輩は何か演劇の練習でもしているのかなぁ・・・
「まあ、智香ちゃんが私の言うことを信じられないのも無理はないわ。私自身改造されるまで信じられるものじゃなかったしね」
優しく微笑んでいる藍沢先輩。
「改造・・・ですか?」
なのに私はこんな返事しかできない。
改造ってなんだろう?
人間じゃないって・・・先輩はどう見ても人間・・・だよね。
「でもね。智香ちゃんも改造されればすぐに私の気持ちがわかるようになると思うわ」
「えっ? 私も改造ですか?」
私は驚いた。
先輩は私を改造する気なの?
改造って・・・何されちゃうの?
「ええ、そうよ。私が今日ここへ来たのはね、あなたを我がゴッドレスにスカウトするためなの」
「スカウト?」
ええ?
スカウトって?
モデルか何かですか?
「私ね、智香ちゃんなら適性があると思うの。もちろん着てみなくちゃ適性があるかどうかはわからない。でもね、ゴッドレスの電子頭脳も70%ぐらいの確率であなたが改造人間にふさわしいと見ているわ」
「改造人間って、私人間じゃなくなっちゃうんですか?」
「ええ、そうよ。人間などという下等な存在からはおサラバするの。改造人間というより高度な存在に生まれ変わるのよ」
藍沢先輩が目を輝かせている。
先輩はその改造人間ってモノになっちゃったってこと?
「なんだか、怖いです」
私は正直にそう言った。
人間じゃなくなっちゃうなんて想像も付かないし、正直なんか騙されているというか先輩の言うことが信じられない。
先輩は人間じゃないなんて言うけど、どこから見たって豹柄の全身タイツを着ているだけの人間だし、改造だなんて言われたって先輩の頭がどうかしちゃったんじゃないかって思っちゃう。
きっとこれは広坂先輩とグルになって私を担いでいるんじゃないだろうか・・・
- 2011/04/29(金) 19:37:18|
- 怪人化・機械化系SS
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もうご存知の方も多いとは思いますが、舞方がいつもお世話になっておりますブログ「
堕ち玩」様の管理人わぶき様の新しい同人作品が完成なされました。
新作同人誌のタイトルは、「次元帝国ドミギュラス」

こちらがその表紙です。
もうこの表紙からしてそそられるではありませんか。
つやつやてかてかのラバー状のぴったりスーツに覆われた肉体。
見ているだけで興奮ものです。(笑)
「
堕ち玩」様の紹介文の引用そのままになってしまいますが、オリジナルヒロインをポニーガール化して洗脳調教というコアなSMファン垂涎のシチュそのものを正面から展開しています。
しかも着せられる衣装はラバー状のぴったりスーツ。
ピタスーツフェチにもたまらないところです。
ヒロインが抵抗むなしく“飼いならされていく”ところなどは、まさに洗脳調教の醍醐味。
惜しむらくはVol.1とのことで、完全に堕ちきった姿をまだ拝めないというところでしょうか。
これはもう続きが楽しみでなりません。
わぶき様には無理を承知で一刻も早くVol.2の完成にこぎつけていただきたいとお願いしたいところです。
今までの「3Dカスタム少女」を使った作品もすばらしいものがありましたが、今回は手書きのマンガということでポーズの制約等もなかったのか、のびのびと描かれている感じがします。
本当に絵が描ける方はうらやましい。
洗脳調教ということにグッと来る方は購入して損がない作品だと思います。
ただし、Vol.2が待ち遠しくて夜も眠れないという事態になりましても、当方は責任を負えませんのでそのつもりで。(笑)
それではまた。
- 2011/04/28(木) 21:13:58|
- 同人系
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昭和5年(1930年)に締結されたロンドン海軍軍縮条約により、世界の主要国海軍はその軍備を制限されることになりました。
日本もこの条約を批准することになるわけですが、これによって今までのワシントン海軍軍縮条約では制限の範囲外だった一万トン以下の航空母艦も制約を受けることとなり、日本は航空母艦の数も米英に比して少ない数の保有しかできなくなってしまいます。
そのため日本海軍は、有事の際には短期間で航空母艦に改装できるような船体を持つ軍艦をあらかじめ作っておき、いざというときにその艦に飛行甲板を載せて空母にしてしまうことを考えます。
日本海軍のこういった考えの下に建造された軍艦はいくつかありますが、「千歳」もその中の一隻でした。
「千歳」は、昭和9年(1934年)に建造が開始されましたが、最初は海上で水上機を運用しながら、場合によっては他の艦に燃料等を給油する水上機母艦兼高速給油艦として建造が始まりました。
ところが、これも実は隠れ蓑で、「千歳」は実際には実用間近の特殊潜航艇「甲標的」(二名乗りの小型潜水艇で、魚雷二発を発射可能)を搭載する「甲標的母艦」とも言うべきものとして建造される予定でした。
「千歳」は最初最高速力20ノットほどの中速の艦として建造されておりましたが、完成がロンドン海軍軍縮条約の失効後になるとみなされたため、建造途中から最高速力29ノットほどを出せる高速艦へと変更。
そのため高速用と巡航用の二種類の機関を搭載するという複雑な機関部を持つことになってしまいます。
昭和13年(1938年)7月、まずは当初の水上機母艦兼高速給油艦として「千歳」は完成いたしました。
この時点での要目は、全長192.5メートル、最大幅18.8メートル、最高速力29ノットというもので、基準排水量は11000トンでした。

船体には中央部に水上機を積みおろしするクレーンを装備した「機銃甲板」と呼ばれるものがあるのが特徴で、もともとは空母への改装時に飛行甲板とするべく作られたものといわれます。
武装はこの機銃甲板含め12.7センチ高角砲連装二基、25ミリ連装機銃六基を装備。
水上機は予備を含めて28機を搭載するというものでした。
完成した「千歳」は、おりしも戦闘が激化していた中国方面の支援に出動し、搭載機による陸上支援を行います。
そして昭和15年(1940年)、「甲標的」の実用化にともない、甲標的母艦への改装が行われました。
こうして本来の初期目的であった甲標的母艦へと改装された「千歳」は、外観はほとんど変化がなかったものの、水上機は28機から12機へと激減し、その代わり甲標的が12隻搭載されることになりました。
また、当初給油艦としても使用できた「千歳」は、2750トンもの燃料が搭載できましたが、それも1000トンにまで減じました。
昭和16年(1941年)、甲標的母艦となった「千歳」は太平洋戦争に参加します。
しかし、太平洋戦争では米海軍の戦艦部隊が長躯日本までやってくるという戦前の想定した決戦は起こらず、甲標的には出番はありませんでした。
そうして甲標的母艦としての活躍の無いまま過ごしているうちに、日本海軍は「ミッドウェー海戦」で大敗を喫します。
この海戦で空母を一気に四隻も失った日本海軍は、緊急に空母を増やす必要に迫られ、「千歳」を含む多くの艦が空母への改造を命じられました。
昭和18年(1943年)、「千歳」は本来の最終目的であった空母への改装に入ります。
もともといざというときには空母に改装するための艦であった「千歳」ですので、空母への改装はわりとスムーズに行われたようで、昭和19年(1944年)の1月には空母への改装が終了。
この間わずか一年足らずというスピードでした。
航空母艦となった「千歳」は、基準排水量11200トン、全長は変わらず最大幅が20.8メートルと少し増したぐらいでしたが、飛行甲板を載せたその姿は今までとはうって変わったものでした。
搭載機は戦闘機21機、攻撃機9機と空母としては物足りない感じもいたしますが、戦況が逼迫している状態で戦力化できたことは重要で貴重な空母戦力でした。

「千歳」はその後日本空母部隊の決戦とも言うべき「マリアナ沖海戦」に参加しますが、日本軍は搭載機のほとんどを失い、空母「大鳳」「翔鶴」「飛鷹」を沈められて敗退します。
そして昭和19年(1944年)10月の「レイテ沖海戦」では、小沢中将率いるおとり部隊の一隻として搭載機もほとんど無いままに参加。
おとりとして米軍の攻撃を充分にひきつける代わりにその身を海底へと没しました。
空母への改装が前提とはいえ、水上機母艦、甲標的母艦、航空母艦と三段階もの改装を行われた軍艦というのも珍しいかもしれません。
「千歳」はそんな状態でありながら、それぞれの立場でそれなりの働きを示した艦でした。
空母へ改装しようとしてもなかなかうまくいかなかったりした艦が多い中、「千歳」は最初の目的を充分に達成した軍艦だったのではないでしょうか。
今日はこれにて。
それではまた。
- 2011/04/27(水) 21:18:03|
- 趣味
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昨晩はHiro様とVASLで土曜日の続きのASL-SK対戦を行いました。
結果は・・・トホホホ・・・負けましたです。
土曜日に2ターンまで進んでいたので、昨晩はソ連軍の3ターン目からとなったのですが、前進を容易にするために建物内のドイツ軍分隊をシャーマンで砲撃するも士気チェックに成功されてしまい混乱させることができません。
やむなく前進を開始しましたが、2両目のシャーマンを丘を上らせ丘の上の開豁地にいる独軍を移動中射撃で撃つもこちらも混乱してくれません。
逆にこちらの開豁地を警戒移動したスタックに対する独軍の射撃はなんと1KIA。
分隊一個が消え、指揮官ともう一個の分隊が混乱してしまいます。
独軍の3ターン目になると、増援のエリート分隊が盤上に侵入してきます。
火炎放射器やパンツァーシュレック(独軍版バズーカ)を持っており、結構強力です。
ソ連軍は苦労して逆方向に回りこませた3両目のシャーマンに期待しますが、動き始めたティーガーⅠの背後から撃てる絶好のチャンスに射撃するも、なんとかすかに林が射線を邪魔してティーガーⅠが見えないことが判明。
その後このシャーマンは接近してきた独軍分隊の持つパンツァーシュレックにクリティカルヒットが出て餌食になってしまいます。
6両中4両のシャーマンを失い、肝心の歩兵も半数ほどが脱落。
独軍側には無傷のエリート分隊が6個もいることから、残りターンで劣勢を覆すことは難しいと判断し、ここでソ連軍の投了となりました。
いやぁ、やはりティーガーⅠには歯が立ちませんねぇ。
もっとも、今回は煙幕弾の使用をあまり行わなかったことも問題で、もっと煙幕弾と車載煙幕投射器を使用するべきでした。
このシナリオのソ連軍の戦車は煙幕弾に難のあるT-34ではないわけですから、煙幕弾が使えるシャーマンであることをもっと利用するべきなのでしょう。
今回は急遽募集した対戦でしたが、快く応じてくださいましたHiro様には感謝感謝です。
対戦ありがとうございました。
また機会があれば対戦いたしましょう。
よろしくお願いいたします。
それではまた。
- 2011/04/26(火) 21:15:52|
- ウォーゲーム
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本日お昼ごろ、当「舞方雅人の趣味の世界」は通算
270万ヒット達成いたしました。
これも毎度のことではありますが、この数字を達成できましたのもひとえに皆様の応援の賜物でございます。
本当にありがとうございます。
心より御礼を申し上げます。
270万ヒット記念というにはおこがましい超短編ではありますが、SSを一本執筆中ですので、2・3日中には投下できると思います。
どうかお楽しみに。
今後も当ブログ「舞方雅人の趣味の世界」をどうぞよろしくお願いいたします。
それではまた。
- 2011/04/25(月) 20:35:43|
- 記念日
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またお一人昭和の思い出の方が亡くなられてしまいました。
元アイドルグループ「キャンディーズ」のメンバーでいらっしゃいましたスーちゃんこと田中好子さんが、21日の夜に乳がんでお亡くなりになられました。
まだ55歳とのことで、若すぎる死だったと思います。
「キャンディーズ」は私の中学校から高校ごろにかけて圧倒的な人気を誇ったアイドルグループでした。
クラスの男子も女子も彼女たちの歌をよく口ずさんでいたものです。
当時はカラオケなども一般的ではなかったので、せいぜいがレクリェーション時にみんなで歌うぐらいでしたが、必ず一曲は「キャンディーズ」の歌がそのときに歌われたものでした。
「キャンディーズ」解散後は女優さんとして時々テレビ等に出ていたようですが、私個人としては正直それほど印象が深い女優さんではありませんでしたし、「キャンディーズ」の中の一人ぐらいの認識しかなかったので、スーちゃんもしくは田中好子さんとして意識して見たことはありませんでした。
でも今回訃報に接しまして、思わず中学高校のころを思い出してしまいました。
やはり「キャンディーズ」としてのインパクトは強かったんだなぁと思いました。
本当に若くして亡くなられ無念だったと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
- 2011/04/24(日) 20:56:05|
- ニュース
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今日は午後から久しぶりにHiro様とVASLでASL-SKの対戦を行いました。
シナリオは「ウルトラ警備隊西へ」ならぬ、S24「シャーマン西への行進(Sherman Marches West)」です。
このシナリオは、1944年の6月に始まったソ連軍の「バグラチオン作戦」の一場面をあらわしたもので、アメリカからのレンドリースでソ連軍に引き渡されたM4A2(シャーマンⅢ)6両に支援された14個分隊のソ連軍が、50ミリ対戦車砲一門を擁する6個分隊のドイツ軍が守る村を攻撃するというものです。
ソ連軍は盤上のある一定範囲にある建物をすべて占領することが勝利条件であり、ドイツ軍はそれを阻止すれば勝利です。
また、ドイツ軍には増援が途中でやってくることになっており、ティーガーⅠ後期型が1両と三号戦車N型が1両、強力な火力を持つ突撃工兵が6個分隊やってきます。
6両のシャーマンⅢに対し、ドイツ軍は戦車が2両と対戦車砲が1門という数の少なさですが、このティーガーⅠが曲者で、1944年というこの時点でもまだまだ充分に強力なのです。

こちらがASLにおけるティーガーⅠユニットです。(SKでも同じ)
右上の12が移動力、その下にある赤い11は正面の装甲度合いを数値化したもので、装甲の厚さとしてはそこそこ厚い部類でしょうか。
その下の8は側面及び後面の装甲数値で、ティーガーⅠは側面でもそこそこの厚い装甲を持っていることがわかります。
左下の88Lは、もちろん主砲の88ミリ砲の口径です。
Lは長砲身で命中率に修正があることを示します。
その右にある3/5/2はそれぞれ機関銃の火力を表してます。
車体機銃、主砲同軸機銃、対空機銃の順番です。
88Lの上にある四角で囲まれた1は、ROFと言って主砲が1フェイズに何度か撃てる可能性があることを示します。
命中判定のときの色つきサイコロの目が1(以下)ならば、再度射撃可能となります。
全体を囲む白い四角はこの車両が砲塔を持っていることを示し、さらにその砲塔が重く旋回しづらい砲塔であることを示すのです。

一方こちらはレンドリースのシャーマンⅢ(M4A2)です。
移動力は14とティーガーⅠを上回るものの、正面装甲は8、側面及び後面装甲は4しかありません。
主砲の口径も75ミリとティーガーⅠを下回り、長砲身修正はありません。
でも白い円で囲まれているので、軽く回転速度の速い砲塔を装備していることになります。
では、ティーガーⅠとシャーマンⅢが主砲で撃ち合ったらどうなるのでしょう?
単純に考えてとりあえず砲弾が命中したらどうかを見ます。
ティーガーⅠの88L砲の基本TK値(いわゆる貫通力の数値化したもの)は20です。
ASL(SK含む)の敵戦車撃破に必要な数値は、TK値から相手の装甲値を引き、その数字未満の目をサイコロ2個で出せばいいのです。
と、言うことは、シャーマンⅢの正面に砲弾が当たったとすれば、ティーガーⅠのTK値20からシャーマンⅢの正面装甲値8を引き12、つまりサイコロ2個で12未満(11以下)を出せば撃破です。
ほとんどティーガーⅠの砲弾が当たればシャーマンⅢは撃破されてしまうのです。
逆にシャーマンⅢの75砲のTK値は14。
ティーガーⅠの正面に砲弾が当たったとすれば、TK値14からティーガーⅠの正面装甲値11を引いて3、3未満ということは、サイコロ2個で1ゾロを出すしかありません。
実際には砲塔に当たったり車体に当たったりで若干変わるわけですが、シャーマンⅢの主砲では正面からではほとんどティーガーⅠを撃破できないというわけです。
となれば、側面や後面に回りこむしかないわけですが、そうそう簡単に回りこめるわけでもないので、たった1両と言えどもティーガーⅠはとても強敵なのです。
今回陣営は私がソ連軍、Hiro様がドイツ軍を担当いたしました。
まだ2ターンまでしか進んでおりませんが、早くもソ連軍は50ミリ対戦車砲に1両、ティーガーⅠに2両と、すでに半数のシャーマンⅢを撃破されてしまいました。
はたして残り3両のシャーマンを駆使して村からドイツ軍を追い出せるのか?
月曜日に続きを対戦する予定ですが、ソ連軍にとっては厳しい戦いになりそうです。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2011/04/23(土) 21:24:22|
- ウォーゲーム
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今日は同人誌のご紹介。
当ブログもお世話になっておりますリンク先の「
LIBIDOS -催眠、洗脳、MC(Mind Control)- ブログ」様が、新作を発表なされました。

それがこちら。
タイトルは「理不尽な高飛車女を洗脳して堕す!」です。
もう表紙を見ておわかりの通り、可愛いアイドルや清楚なお嬢様が洗脳というかマインドコントロールされていいようにもてあそばれてしまいます。
もっとも、このアイドルもお嬢様もその実とても一筋縄ではいかない女性たちなので、ある意味いいようにもてあそばれるのは自業自得という面もあるのですが・・・
とはいえ、洗脳されてしまった二人はそれぞれとんでもないことを平気で行うようになってしまいます。
それがまたものすごく、そのギャップというか落差には驚きを禁じえません。
もともとLIBIDOS様はそういったとんでもないギャップを書かれるのが上手な方ですので、こちらの過去作を楽しめた方にははずれ無しの作品だと思います。
そして何より、二人とも洗脳されとんでもないことをするはめになりながらも、それによって幸福な(と思わせられている)状態になっているため、悲壮感とかはまったくありません。
むしろ今の境遇を喜んで受け入れているのです。
そこが読んでいて微笑ましいぐらいですね。
おまけも付いておりまして、ブログ投下された作品ではありますが、「痴漢冤罪」が高解像度画像とともに付いてます。
ですのでコストパフォーマンスも悪くないのではないでしょうか。
好き嫌いが分かれる作品かもしれませんが、目を通すと意外と楽しめる作品かと思います。
お手にとって見られてはいかがでしょう?
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2011/04/22(金) 21:06:04|
- 同人系
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昨日に引き続きプロ野球ネタですみません。
やりましたー。
今日の北海道日本ハム対オリックス戦で、2回の初打席で日本ハムの中田翔選手が今季第一号のホームラン。
通算第10号のホームランをレフトスタンドに放り込みました。
昨日のタイムリーに引き続き今日はホームラン。
調子が上向いてきたようですね。
肩の力が抜けていいスイングになっているのではないでしょうか。
その後はもう一本ヒットも打って3打数2安打。
チームも武田勝投手の好投で4対0とオリックスをシャットアウト勝ちです。
これで4連勝と波に乗ってきた様子。
明日からの東北楽天戦が楽しみですね。
一方阪神は今日も巨人相手に1対3で負けてしまいました。
巨人の先発は新人澤村投手で、序盤不安定だったんですが打ち崩すことができませんでした。
澤村投手はプロ初勝利です。
おめでとうございます。
それにしても昨日今日の連敗は痛いです。
打線がつながりません。
金本選手城島選手は打てる気がしません。
少し休養を取ってはいかがでしょうか。
真弓監督も少し考えたほうがいいとおもいます。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2011/04/21(木) 21:35:26|
- スポーツ
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ブログ更新が遅くなってしまいましてすみません。
北海道日本ハムファイターズの試合が終わるのを待っていたもので。(汗
いやぁ、それにしても最後はひやひやモノでしたね。
結局武田久投手まで使うはめになってしまいました。
オリックス打線を目覚めさせてしまったんじゃないでしょうかねぇ。
今日は9対5でどうにか勝つことができましたけど、最後は満塁でしたから一発出れば同点でした。
明日が心配です。
そんな中、昨日の初ヒットに引き続き中田翔選手に今季初タイムリーがでました。\(^o^)/
2回、4回と凡退でしたが、5回にはタイムリーツーベース、7回にもタイムリーヒットと、四打数二安打三打点と活躍。
やっと力を発揮してくれました。
昨日はエースダルビッシュ投手にも白星がつき、今日は中田選手の活躍とじょじょに調子が上がってきたみたいです。
これで4勝3敗と勝ち越し。
この調子で勝って行ってほしいですね。
一方阪神は今日は巨人との対戦で惜敗。
最後はワンアウト満塁まで行ったんですが、新井(兄)選手、檜山選手と凡退でした。
序盤でもっと得点できるチャンスがあっただけに、そこで得点できなかったのが敗因ですね。
これでセ・リーグは広島が単独トップ。
面白い状況です。
明日はがんばれタイガース。
それではまた。
- 2011/04/20(水) 22:15:44|
- スポーツ
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あともう100日ほどでテレビの地上アナログ放送が終了というこの時期になり、我が家も遅まきながら地上デジタル放送に切り替えるべく、地上デジタル放送のチューナーを取り付けました。
まだアナログ放送用のテレビが使えるということもあり、当面はチューナーを付けるだけでもいいかということで価格の安いチューナーを探してみることに。
BSやCSはいらない必要最小限の機能のチューナーを探すと、結構安いものもありますね。
ということで、本当に地デジだけのチューナーですがAmazonで安いのを見つけたので早速購入。
注文したのは先週で、到着予定が21日になっていたので早くても明日になるだろうと予想していたんですが、今日到着いたしました。
ほんとにコンパクトな単機能チューナーで、まるでプラスチックのおもちゃのようですが、これがあれば我が家のアナログテレビも地デジが映るわけです。
そこで早速取り付け。
テレビからアンテナをはずしてチューナーに取り付け、チューナーからケーブルを延ばしてテレビに取り付けて終わり。
あとはリモコンをテレビに対応するようにセットしてOK。
映りましたよ、しっかりと。
画面右上にアナログの文字がないですよ。(笑)
これでとりあえずはデジタル放送を見ることができますね。
うちは今まで電波の関係で若干のゴーストが入っちゃっていたんですが、地デジですとゴーストもなくきれいですね。
もちろん高性能な地デジ対応テレビとは雲泥の差でしょうが、まあ、当面見るにはこれで充分かな。
あとはこれで強風時にアンテナが結構揺れるので、そのときにもきちんと映るかどうかが心配と言えば心配ですが、まあ、多分大丈夫でしょう。
ということでうちも地デジ化。
これでアナログ放送が終わってもテレビを見られそうですね。(笑)
それではまた。
- 2011/04/19(火) 21:18:54|
- 日常
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いやぁ、出ていることをまったく知らずに先日まで過ごしておりましたが、先日ご紹介した新作「ブレット・ザ・ウィザード」購入時に始めて完結していたことを知った「GUNSMITH CATS BURST」の5巻(最終巻)です。

こちらが表紙。
やはり最後はラリーのアップですね。
いやぁ、ホント最終巻が出ていたことまったく知りませんでした。
園田健一氏のマンガは好きなんですが、そこまで入れ込んでいないというか、発売日まで追っかけてはいなかったもので。(汗
とりあえずこれで「GUNSMITH CATS」も一応の終わりなんですね。
もちろんいつでも再開できる状況で終わったというか打ち切ったという感じですが。
それにしてもこの作品もそうですが、銃と麻薬と洗脳とスト脚、ホント園田先生もいい趣味してますよねぇ。(笑)
この最終巻でも洗脳は重要なキーワードになっておりますし、銃はもう言わずもがなですしね。
好きな話です。
ラリーはビーンやベッキー同様に、ゴールディお姉様とは今後も腐れ縁が続きそうです。
と、いうことは今後もいろいろな話が描けそうですね。
いずれまた再会したいものです。
この作品、もう十年以上前になりますが、亡くなった友人が大好きな作品でした。
いまさらながらこの最終巻を読んで、彼のことを思い出したものでした。
懐かしい思い出です。
今日はこれにて。
それではまた。
- 2011/04/18(月) 21:08:26|
- 本&マンガなど
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今日は北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手の公式戦初登板の日でした。
私は札幌ドームで観戦というわけには行かなかったので、テレビで斎藤投手のピッチングを観戦です。
なんでも今日は斎藤投手の登板ということで、関東地区でもテレビ中継が行われたとか。
初回、千葉ロッテの井口選手にツーランホームランを打たれてしまい、これはどうなるかと思いましたが、千葉ロッテの大嶺投手も制球が定まらず四球三つで満塁にしてしまったところで、新外国人ホフパワー選手の満塁ホームランが出て逆転。
その後も日本ハム側に追加点が入り、斎藤投手を援護してくれました。
残念ながら五回に千葉ロッテに二点入れられてしまいますが、6対4とリードを保ったままで斎藤投手は降板。
その後は日本ハムが糸井選手のツーランホームランで二点を追加し、あとを継いだリリーフ投手陣が千葉ロッテの反撃を封じて8対4で北海道日本ハムが勝利。
斎藤投手が5回4失点(自責点は1)で勝利投手になりました。
いやぁ、まずは一勝してくれました。
今年も連敗スタートとスタートで躓いたので、この一勝は大きいです。
斎藤投手もこの一勝である意味ホッとしたものもあるでしょう。
プロでやっていけるという自信につながるにはまだ早いかもしれませんが、これからの長い野球人生のスタートを勝ち星で始められたのはよかったと思います。
一方の阪神は、今日は中日に延長の末サヨナラ負け。
時間稼ぎっぽかった最後の四球が余計だったような気がします。
でもまあ、ナゴヤドームで一勝一敗一引き分けなら良しとしましょうか。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2011/04/17(日) 20:33:03|
- スポーツ
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2008年に「
背中美人」というタイトルで紹介記事を書きましたプレイステーションのゲーム「影牢」ですが、最近またハマっております。

紹介記事でも書いたとおり、背中美人ヒロインミレニアを使って各部屋に罠を仕掛け、その罠によって相手を倒すというゲームなわけですが、クリアをするだけであればそれほど難しいゲームではないと思います。
壁に人を吸い寄せるマグネットを仕掛け、天井と床にダメージを与える力が大きい罠を仕掛ければ、多くの侵入者はそれだけで殺すことができます。
私も主にその形で侵入者を殺してきたものでした。
ところが、このゲームは実はそれでは面白さの半分も味わえていないのです。
プレイヤーが自分で仕掛ける罠で殺してしまっては、Ark(点数のようなもの)が稼げません。
むしろプレイヤーの罠で侵入者の進路や向きを誘導し、その部屋部屋に最初からある刃の振り子ペンデュラムや電気の流れている壁、火のついた暖炉や飛び出す槍等の仕掛けを使って倒すのです。
そうすることによってArkも稼げるし、トラップコンボを楽しむこともできるというわけです。
以前はそれがわからなくて、カビンやスプリングフロアと言ったダメージの少ない罠が使い辛いなーと思っていたのですが、幸いニコニコ動画等にプレイ動画が投稿されていたりしますので、それを見ることでトラップコンボをどのように組むのかというのがおぼろげながら見えてきました。
そう、侵入者はできるだけダメージを与えずに多くの罠を通過させるのがこのゲームの醍醐味なのです。
以前の私はそれがわかっておらず、さっさと殺してしまっていたというわけですね。
後半の舞台になる地下遺跡には「砂岩の部屋」という戦いやすい部屋があります。
広い上に階段とかもあって侵入者の通り道が特定しやすく、そこに罠を仕掛ければ高確率で引っかかってくれるのです。
以前の私はそこからマグネットで引き寄せ上からダメージの大きいものを落として・・・的な攻撃をしていたのですが、実はそこにスプリングフロアを仕掛ければ、落とし穴に飛ばすことができるのです。
そして落とし穴でダメージを受けた侵入者が這い上がってきたところにカビンをかぶせ、ふらふらと歩き出したところでパズソーをぶつけ再度落とし穴に落としてやる。
これだけで簡単に五ヒットになるという。
もうね、今まで気がつかなかったのがおかしいような簡単なコンボなんですが、こうしてコンボができるとこのゲームはホント面白いです。
あらためて面白さを再発見した気分です。
古いゲームですが、今でも色あせないと言うか、面白さに気がついてませんでした。
またしばらく楽しめそうです。
それではまた。
- 2011/04/16(土) 21:06:35|
- PCゲームその他
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先日もご紹介しました今月号の「歴史街道」ですが、ノモンハン事件の記事以外にも興味深い記事が結構ありました。

第二特集の幕末の蘭方医師たちの話は、テレビドラマ「JIN-仁-」に対するコラボ企画とも言うべきものなのでしょうが、幕末日本における医学の発展はずいぶんと目覚しいものがあったんだということを見せてくれました。
世界で最初に全身麻酔で手術を行ったのは日本だったんですねぇ。
ただ、医師も人の子、その技術を門外不出とした人もいたようで、医療技術が広まるにはいろいろと制約もあったようです。
そのほかには食べ物の記事がありました。
ラーメンが国民食とも言われるまで広まった理由についての記事はとても興味深かったです。
特に私が住んでいるのが札幌ですので、札幌ラーメンの始まりはとても気になるところでした。
とはいえ、やはりラーメンが広まる最大の貢献は日清のチキンラーメンに始まるインスタントラーメンの普及が大きかったんですね。
家庭で手軽に作れるインスタントラーメンのおかげでラーメンの認知度が高まったとのことでした。
島根県の宍道湖七珍を「すもうあしこし」というのには思わずニヤリ。
すは魚のスズキ、もはもろげ海老、うはうなぎ、あはあまさぎで、これはわかさぎのことだそうです。
しは白魚、こは鯉、最後のしはいわずと知れた宍道湖名物のシジミ。
これらの頭文字で「すもうあしこし」なんだとか。
美味しそうな写真もいっぱいで、思わず食べたくなりました。
たまにはこんなネタで。
今日はこれにて。
それではまた。
- 2011/04/15(金) 21:11:53|
- 本&マンガなど
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今月のタミヤニュースです。

こちらが表紙。
第二次大戦中の独軍歩兵師団のマークだそうで、上が第352歩兵師団、下が第182歩兵師団だそうです。
なかなか素敵なマークですよね。
中身は毎号の通りですね。
「第二次大戦イタリア軍装備解説」は前号に引き続きAB40/41装甲車。
優秀な装甲車で戦後も長く使われた装甲車なんですね。
中ページ見開きはディオラマ。
今号は放棄された独軍四号戦車と、その脇を通過しようとしたところを呼び止められた英軍の小型トラックティリーの組み合わせです。
タミヤさんのHPでカラー画像が見られますのでぜひどうぞ。
ティリーの運転手の英兵と話しかけるおじいさんがいい味出してます。
新製品にはドイツアフリカ軍団のフィギュアが登場。
1971年に発売された初期フィギュアのリメイク的なものらしいですが、新資料に基づいてのフィギュア化だそうです。
今月も楽しい誌面でした。
来月も楽しみです。
それではまた。
- 2011/04/14(木) 21:21:07|
- タミヤニュース
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先日書店に行ったときに見かけたのですが、今月の「歴史街道」はノモンハン事件の特集だったので購入してみました。

こちらが表紙。
「
ノモンハン事件」は過去にブログ記事でも取り上げたことがあったので興味深く拝見しましたが、基本的には大雑把な戦闘の経緯と、事件全体が当時のソ連による仕組まれたものであるという印象付けに終始しておりました。
特に受けた損害を秘匿し続けることでソ連軍に完敗したと日本軍に思わせ、その後の日本をいわゆる「南進」に向かわせることになり、現在に至るまでの歴史の流れを作ったのが当時のソ連の謀略であったという内容でした。
そんな記事に混じって、当時ノモンハンでの戦闘に従軍なさった方お二人の当時の日記が抜粋されて紹介されておりました。
お一方は上等兵の方、もうお一人は軍曹と下士官兵の立場の方々の日記ですが、いずれも戦場の様相をきちんと記してあり、当時の現場の様子がとてもよくわかりました。
それ以上に驚いたのは、お二人とも肝が据わっているというか、敵弾が身近に着弾したり頭上を飛び交ったりしているにもかかわらず、壕の中でペンを走らせているという事実。
そして「この野郎」とか「くそ」とか書きながら自らを鼓舞している様子が手に取るようにわかりました。
終いにはソ連軍がもう壕の近くまで接近し、最後の突撃をこれから敢行するという状況でまで日記を書いており、その豪胆さと冷静さにはびっくりさせられました。
と、同時にそんな状況が、とても不謹慎なもの思いながら、窓の外に怪物が現れるまで日記を書き続けている「クトゥルフ」系小説の主人公のような感じだなぁとも思ってしまいました。
こんなことを思えるほど今の世の中は(外敵に対する戦争状態にはないという意味で)平和なんだなぁとしみじみと感じた次第でした。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2011/04/13(水) 21:12:11|
- 本&マンガなど
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「東日本大震災」の影響で、紆余曲折あったプロ野球もついに開幕日を迎えました。
今日からまた144試合の長丁場のペナントレースが始まります。
と、言うことで、今期の順位予想をして見ます。
まずはセ・リーグ。
1)阪神タイガース
2)東京ヤクルトスワローズ
3)中日ドラゴンズ
4)読売ジャイアンツ
5)広島東洋カープ
6)横浜ベイスターズ
阪神の一位は希望的観測ではありますが、ファンの贔屓目としても投手力が備わっていると思うので、大崩れすることはないかなと思ってます。
二位には中日かヤクルトか迷いましたが、東京ヤクルトを上にしました。
若い力がうまくはまれば結構上位に食い込んできそうです。
三位の中日は手堅く上位に来るとは思うんですが、投手力の不安が若干ありそうなのでこの位置。
四位には読売巨人を置きました。
ここは阿部捕手の離脱と投手陣の不安がやはり影響しそうと見ました。
五位には広島東洋。
やはり全体的な総合力が低いように感じます。
六位は横浜。
戦力の不足は解消されていないように思います。
一方のパ・リーグ。
1)埼玉西武ライオンズ
2)福岡ソフトバンクホークス
3)北海道日本ハムファイターズ
4)東北楽天ゴールデンイーグルス
5)千葉ロッテマリーンズ
6)オリックスバファローズ
一位は埼玉西武にしました。
攻撃力守備力双方に上乗せがあったように思います。
二位には福岡ソフトバンク。
安定した戦力で上位に落ち着いてくると思います。
三位が北海道日本ハム。
鶴岡捕手の離脱が結構大きく、打撃力も若干不足気味に感じます。
四位には東北楽天。
星野監督と東北に対する思いがかなりの力を発揮して来そう。
五位には千葉ロッテ。
戦力的に昨年抜けた穴を埋め切れていない気がします。
六位にオリックス。
やはりここも若干戦力の薄さを感じます。
ただ、パ・リーグは本当に各球団の差がそれほどないので、怪我人等のアクシデントがコンスタントに順位に響いてくると思うので、どこが優勝しても最下位になっても不思議ではありません。
なのでなかなか予想通りにはいかないでしょうね。
個人的には日本ハムに優勝してほしいのですが。
そして、以下が父の予想です。
セ・リーグ
1)阪神タイガース
2)読売ジャイアンツ
3)中日ドラゴンズ
4)東京ヤクルトスワローズ
5)広島東洋カープ
6)横浜ベイスターズ
パ・リーグ
1)福岡ソフトバンクホークス
2)北海道日本ハムファイターズ
3)埼玉西武ライオンズ
4)千葉ロッテマリーンズ
5)東北楽天ゴールデンイーグルス
6)オリックスバファローズ
さて、シーズン終了時にどうなっているでしょうか。
今年も熱戦に期待ですね。
それではまた。
- 2011/04/12(火) 21:24:28|
- スポーツ
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先月の11日に発生した「東日本大震災」から、今日で一ヶ月を迎えました。
いまだにあの津波の映像は鮮明に思い出すことができます。
北海道も釧路や函館など一部地域で被災いたしました。
地震とそれにともなう大きな津波により、東北地方の太平洋側ではとても大きな被害が出てしまいました。
死者はついに一万三千人を超え、いまだに行方がわからぬ人も一万五千人近くおられます。
福島県では福島第一原子力発電所が津波の影響で電源を喪失。
そのために冷却水の循環を行うことができずに冷温停止ができなくなってしまいました。
その影響は今も続き、現在必死に冷温停止に向けての作業が続けられています。
一ヶ月という時間は長いようで短くもあります。
被災地ではようやく仮設住宅の設置などが始まったと聞きます。
しかし、今なお避難所での生活を余儀なくされていらっしゃる方も多くいらっしゃいます。
これからの生活に対する不安は本当に大きなものがあるでしょう。
少しでも安心して暮らせるようさまざまな支援が行われることを願ってやみません。
私も本当に微力ながら義捐金を送ったり東北地方産の商品を購入したりしていこうと思います。
今日もまた大きな地震がありました。
マグニチュード7.1で、福島県で最大震度6弱という大きなものでした。
これもまた「東日本大震災」の本震に対する余震だと言います。
余震はまだまだ予断を許さず、今後も大きな余震が起こる可能性も捨て切れません。
充分な注意が必要だと思います。
今回の震災で亡くなられましたすべての方のご冥福を心よりお祈りいたします。
また、被災なされてしまった方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
- 2011/04/11(月) 21:06:00|
- ニュース
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米軍の第一波攻撃が終わりホッとする暇もない13時02分、大和の電波探信儀(いわゆるレーダー)が米軍の第二波攻撃隊を探知します。
第二波攻撃は約100機ほどと言われ、そのうちの60機ほどが大和に向かったものと言われています。
大和を中心とした第一遊撃部隊はすでに第一波の攻撃で軽巡矢矧が航行不能となり、駆逐艦朝霜と濱風を喪失、涼月が損傷と大きなダメージを負っておりました。
ダメージは対空砲火の減少ももたらすため、米軍にとってはより攻撃しやすくなり、第一遊撃部隊はさらにダメージを受けやすくなるのです。
米軍機は執拗に大和を付け狙い爆弾や魚雷を投下してきます。
大和以下の各艦は必死に回避運動を行い何とか直撃を免れようとしますが、やはりそこは多勢に無勢、各艦のうち損傷を受けるものが相次ぎます。
第二波攻撃の最中である13時半過ぎには第三波の攻撃隊も第一遊撃部隊の上空に現れます。
米軍機は入れ代わり立ち代わり攻撃を仕掛け、14時過ぎまでの間に軽巡矢矧が沈没、駆逐艦磯風と霞も損傷を受け落伍します。
大和も爆弾や魚雷を次々と受け、満身創痍の状態に追い込まれていきました。
高角砲も機銃も損傷し、対空砲火は激減。
何より問題だったのは魚雷の命中が左舷に集中し、浸水によって左に大きく傾いてしまったことでした。
大和は何とかバランスを取るために右側に注水しますが、一時的に傾きを改善できても船体内に大量の海水が入ったことで速度が落ち、またしても攻撃を受けやすくなってしまいます。
14時5分ごろ、もはや沖縄に到着する望み無しとの判断から、大和艦上の伊藤中将は作戦の中止を命じます。
しかし、今はとにかくこの空襲を切り抜けなければなりません。
14時17分にはまたしても大和左舷に魚雷が命中し、左側への傾斜が増大。
バランスを取りたくても、もはや右舷の機関室にまで注水していた大和には、注水するべき右舷区画がもう残ってはおりませんでした。
14時20分には左に20度も傾き、もはや傾斜復旧の望み無しとの報告が入ってきます。
大和艦長有賀大佐は総員に退艦を命じ、伊藤中将は長官休憩室に入って、そのドアが開かれることはもうありませんでした。
退艦命令が出た直後から大和は急速に傾斜を増し、傾斜計は一説によれば90度にまで達したと言われます。
赤い船底が海上に現れ、米軍機からもその船底が確認できたとき、大和は大爆発を起こしました。
これは弾薬庫の砲弾が爆発したからだとも、機関室のボイラーが爆発したとも言われます(その双方とも言われる)が、その爆発の爆炎は空高く上がりました。

(大和爆発の瞬間)
大和の爆沈は14時23分とされ、のちの海底調査で船体が二つに分断されて海底に沈んだことが明らかになっております。
大和が沈没したことにより伊藤中将は戦死、有賀艦長も大和と運命をともにいたしました。
このため第一遊撃部隊の指揮官は古村少将が引き継ぎます。
ただ、この時点では古村少将も乗艦だった軽巡矢矧を沈められており、海上をなすすべなく漂っている状態でした。
14時30分ごろ、ようやく米軍の攻撃が終了しました。
第一遊撃部隊の中で損傷が軽く、戦闘行動可能な状態だったのは、駆逐艦冬月、雪風、初霜の三隻のみ。
冬月座乗の吉田大佐は各艦に生存者の救助を命じます。
16時39分、陸上の連合艦隊司令部から、連合艦隊司令長官の豊田大将が作戦中止を命令。
17時42分、古村少将が駆逐艦初霜に救助され、引き続き生存者を収容して佐世保に帰投することになりました。
損傷を受け航行不能となっていた駆逐艦霞と磯風は、砲雷撃を加えて処分。
この時点では駆逐艦涼月が行方不明であり、おそらく沈没と思われておりましたため、作戦で沈没したのは10隻中7隻と考えられておりました。
しかし、涼月は佐世保まで戻ってきます。
米軍機の攻撃で艦首部分を切断された涼月は、そのままでは前進ができなかったため、そろそろと後進で航行し帰投してきたのです。
涼月はそのままドックに入りましたが、ドックが排水するまで持ちませんでした。
涼月はなんと、ドックの排水が終わる前にドック内で沈没します。
とはいえ、どうにか佐世保まで帰ってきたのは幸運だったと言えるでしょう。
結局第一遊撃部隊は、10隻中6隻を失いました。
参加兵力約4300名中、戦死者は約3700名に上り、そのうち約2700名が大和乗員の戦死者でした。
一方攻撃側の米軍は、6機が撃墜され5機が帰還後廃棄されました。
戦死者はわずか13名であり、かなり一方的な戦闘であったことが伺えます。
この作戦以後、日本海軍は艦隊として出撃することはついにありませんでした。
残存艦艇は燃料もなく、ただ停泊するのみというものがほとんどでした。
そして、大和の沈没を伝えられた政府は、いよいよ敗戦というものを覚悟しなくてはなりませんでした。
大和は今も、長崎県男女群島女島の南方176キロ、水深345メートルの海底に、静かに眠っているそうです。
終
参考文献
「太平洋戦争海戦全史」(歴史群像シリーズ) 学研
他
参考サイト
Wikipedia 「大和(戦艦)」
Wikipedia 「坊ノ岬沖海戦」
他
- 2011/04/10(日) 21:09:12|
- 大和沖縄へ向かう
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昭和20年(1945年)4月7日。
戦艦大和を中核にした第一遊撃部隊は九州南部の大隈半島と種子島の間を通過し、一路沖縄へと向かっておりました。
艦隊の形状は軽巡矢矧と大和を中心にし、八隻の駆逐艦が輪になって中央の艦を守る「輪形陣」を取っており、対空対潜警戒を行いながら約20ノットの速度で進んでおりました。
午前7時ごろ、随伴の第二水雷戦隊の一隻、駆逐艦朝霜が機関故障を起こし12ノットほどしか速力を出せなくなってしまいます。
艦隊は速度を落とし朝霜の修理完了を待ちますが、朝霜の修理はすぐには終わりそうもありませんでした。
艦隊として行動しているときには集団としての戦力を発揮できますが、一隻ではたかが知れており航空機にも潜水艦にも狙われたら終わりです。
艦隊は何とか朝霜の修理が終わることを祈りましたが、今後の予定を考えるといつまでも速度を落としているわけには行きません。
ついに艦隊は朝霜を残し速度を上げる決断を下します。
朝霜は単艦で取り残されてしまうことになりました。
九隻になった第一遊撃部隊ですが、それでも10時ごろまでは九州の航空基地から上空援護に零戦が数機単位でやってきてくれ、大和以下に最後の別れの見送りを行います。
最後の零戦が翼を振って引き返していくと、今まで距離をとっていた米軍の飛行艇が艦隊に張り付くようになりました。
大和が米軍機に向けて三式弾を撃ちますが、飛行艇は撃墜できません。
そこで艦隊は一時進路を西にとり、日本海側へ抜けるような欺瞞航路を取ります。
第一遊撃部隊の出撃を知ったスプルーアンス提督の米第五艦隊は、当初戦艦部隊による砲撃戦で対処しようと考え新型戦艦「アイオワ」と、旧式戦艦「ニューメキシコ」「テネシー」「ウェストバージニア」「メリーランド」「コロラド」の計六隻の戦艦と七隻の巡洋艦を差し向けます。
しかし、第一遊撃部隊が西への進路を取っているため取り逃がすことを恐れ、ミッチャー提督指揮下の空母艦隊に航空攻撃を行うように指示しました。
(一説にはスプルーアンス提督の指示の前にミッチャー提督の独断で航空攻撃をかけたという話もあります)
11時半ごろ、第一遊撃部隊は進路を南西に変えて沖縄へと向かいます。
12時過ぎ、機関故障で遅れていた朝霜から「敵艦載機見ユ」「我、敵機ト交戦中」の通信が入ります。
艦隊後方の駆逐艦冬月からも朝霜が交戦中と思われる砲煙が観測でき、直後に「九十度方向ニ敵機三十数機ヲ探知ス」との入電を最後に、朝霜はもう呼び出しても応答はありませんでした。
このとき米軍はミッチャー提督指揮下の第58機動部隊の「サンジャシント」「ベニントン」「ホーネット(Ⅱ)」「ベローウッド」「エセックス」「バターン」「バンカーヒル」「キャボット」「ハンコック」「イントレピッド」「ラングレー(Ⅱ)」「ヨークタウン(Ⅱ)」という総勢十二隻もの航空母艦から攻撃隊を発進させておりました。
F6FヘルキャットとF4Uコルセアの両戦闘機、SB2Cヘルダイバー爆撃機、TBF/TBMアベンジャー雷撃機合計380機以上が発進しましたが、日本軍の上空直援が少ないと考えられることからヘルキャットとコルセアの両戦闘機もみんな爆弾を搭載しての出撃だったといいます。
米軍の航空攻撃第一波は、4月7日午後12時30分ごろから始まりました。
約150機が来襲し、第一遊撃部隊は警戒運動をやめて速度を25ノットに増速し対空戦闘を開始します。
この攻撃により大和には魚雷一本と爆弾二発が命中。
速度の低下はなかったものの、爆弾によって後部艦橋が損傷いたします。
しかし、比較的損害は軽微で、乗組員の中にはこれなら沖縄まで行けると思った者もいたといいます。
とはいえ、艦隊としての被害は大きく、軽巡矢矧には魚雷が命中して航行不能となり、駆逐艦朝霜に加えて濱風が沈没、涼月が前部を破損してこちらも落伍確実な状況でした。
第一波の攻撃は30分ほどで終わりました。
ですが、これはまだ始まりに過ぎませんでした。
(4)へ
(今回の記事中米軍空母名に(Ⅱ)とついているのは、初代が日本軍に沈められたりした艦の名前を引き継いだ二代目の艦という意味です。)
- 2011/04/09(土) 20:55:35|
- 大和沖縄へ向かう
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日本海軍が誇る戦艦大和は、ロンドン海軍軍縮条約の失効にともない米英海軍が新型戦艦を送り出してくるであろうとの予測から建造が開始された戦艦でした。
昭和12年(1937年)11月に起工された大和は、昭和15年(1940年)8月8日に進水。
翌昭和16年(1941年)12月16日に晴れて就役を向かえ、やがて連合艦隊の旗艦としての任務につくことになりました。
全長は263メートル。
最大幅は38.9メートル
最高速力は約27ノット。
基準排水量は65000トンにも及び、当時世界最大の排水量の軍艦であったことは間違いありません。
主砲も46センチ砲を3門装備した砲塔を3基、合計9門備え、これまた当時世界最大の砲弾投射能力を持っていたといえるでしょう。
もちろん戦艦であるからには、自分の主砲で撃たれても主要区画は被害を受けないようになっていなくてはなりません。
大和も主要区画は46センチ砲の砲弾の直撃にも耐えられるよう設計されておりました。
当時日本海軍は、アメリカ海軍は46センチ砲搭載の戦艦は建造しないと踏んでおりました。
理由はパナマ運河を通行する必要性を優先すると考えたからです。
パナマ運河を通過できる船の幅は32メートル。
その幅に船体を収めようとすると46センチ砲を搭載した場合には速力や防御力の大幅な低下を見込まねばならず、ゆえにアメリカの戦艦は最大でも40センチ砲にとどまるだろうと見られたのです。
もちろん大和が46センチ砲を搭載していると知られれば、対抗上パナマ運河の通行を考慮しない46センチ砲以上の主砲を搭載した戦艦を作ってくるでしょう。
そのため大和が46センチ砲を搭載していることは、秘密中の秘密でした。
大和搭載の46センチ砲の最大射程は42000メートルにも及び、米軍の「アイオワ」級戦艦の40センチ砲の最大射程も優に超えておりました。
そのため戦艦同士の砲撃戦になった場合、先手を取れるのは日本となり、40センチ砲に対する防御しかしていない米軍の戦艦にダメージを与えることが可能です。
仮に米軍が数の優位等を生かして距離を詰めてきた場合でも、大和は46センチ砲に対する防御力を持っているので米軍の40センチ砲では撃ち抜けず、かえって大和の46センチ砲に米軍戦艦は次々と撃ち抜かれるという結果に終わります。
こうして日本海軍は、大和型戦艦があれば米軍の戦艦隊との砲撃戦には勝利できると考えました。
もちろんこれは机上の空論であり、実際の戦闘でどうなったかは定かではありません。
ただ、砲撃戦で大和を沈めようとするならば、米軍側も相当な損害を覚悟する必要はあったのではないでしょうか。
日米の戦争が始まった直後に就役した大和は、翌昭和17年(1942年)6月の「ミッドウェー海戦」に参加します。
このときは前衛の空母艦隊が米軍の攻撃を受け全滅。
しかし、後方の主力部隊にいた大和はほぼ何もしない状態で帰投を余儀なくされました。
昭和18年(1943年)には米潜水艦からの攻撃を受け魚雷一本を食らったものの、重要部分には損傷なく本土に帰還して修理。
その際に対空砲などを増設し、航空攻撃に備えます。
昭和19年(1944年)6月の「マリアナ沖海戦」では米軍航空機に対する三式弾(いわゆる散弾銃の散弾のようなもので、敵航空機に対する砲弾)ながらも、初めて46センチ主砲を敵に向けて発射。
残念ながら戦果は不明です。
同年10月の一連の「比島沖海戦」では、同型艦の「武蔵」とともに栗田健男中将指揮下の第二艦隊に所属して出撃。
シブヤン海で同型艦武蔵を米軍の航空攻撃で失いますが、サマール島沖の海戦では、米軍の第77任務部隊の護衛空母群に対して砲撃戦を行い、ここで初めて敵艦に対する46センチ主砲の発射という戦艦本来の攻撃を行いました。
ただ、このときは敵艦隊を護衛空母ではなく正規空母と誤認していたため、ある程度装甲があるとみなして砲弾の信管調整を行っていたために、装甲のない護衛空母では命中しても炸裂しなかったという話もあるようです。
(このときの大和の砲撃にはいろいろな評価があり、ほとんど命中しなかったという話もあります)
結局この戦いでレイテ湾突入を断念した大和は、その後日本本土へと戻りました。
そして翌昭和20年(1945年)に入り、最後の戦いとして沖縄への水上特攻とも言うべき「天一号作戦」に参加することになったのです。
夜は静かに明けていき、4月7日の朝を迎えました。
(3)へ
- 2011/04/08(金) 21:14:41|
- 大和沖縄へ向かう
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今日4月7日は、今から66年前の1945年に大日本帝国海軍の戦艦「大和」が、沖縄に向かう途中で米軍によって撃沈された日だそうです。
と、言うことで、今日は大和最後の航海について記事にしたいと思います。
昭和16年(1941年)12月に始まった「太平洋戦争」は、序盤こそ日本にとって有利に進んできたものの、昭和17年(1942年)6月の「ミッドウェー海戦」における大敗と、同年8月に始まったガダルカナル島における米軍の反攻作戦の開始に対する不手際から、次第に日本にとって不利な戦況へと向かっていきました。
さらに昭和19年(1944年)6月の「マリアナ沖海戦」と、10月に行われた一連の「比島沖海戦」によって、大日本帝国海軍はその連合艦隊の戦力のほとんどを喪失するという結果になりました。
戦力を失った連合艦隊は、その後は米軍に対する攻勢能力を発揮することはできず、前線各地と日本本土との海上輸送路を細々と維持するぐらいしかできませんでした。
生き残った艦艇も燃料の不足から行動は著しく制限されており、ほとんど行動不能といってもいい状態でした。
昭和20年(1945年)3月26日、連合艦隊は南西諸島方面に来攻した米軍を迎え撃つべく、「天一号」作戦を発動しました。
それに基づき戦艦大和を旗艦とする第二艦隊は出撃準備に入りますが、4月1日には米軍は沖縄本島に上陸を開始し、その日の午後には読谷の北飛行場及び嘉手納の中飛行場が米軍に占領されてしまいます。
本来の計画では航空作戦が順調に行った場合に第二艦隊を中核とした第一遊撃部隊が沖縄に突入するというものでしたが、予想外に早く北及び中飛行場が米軍占領下になってしまったことで当初の計画は無効になってしまいました。
そこで連合艦隊司令部は、第一遊撃部隊を航空機の援護のない状態で沖縄に突入させ、敵艦隊及び輸送船団の撃滅を図った上、生き残りの艦は沖縄の海岸に乗り上げて弾薬尽きるまで陸上砲台として砲撃戦を行い、その後生き残った乗組員は陸戦隊として沖縄防衛に尽くすというまさに海上特攻作戦を行うことに決します。
もちろんこれが無謀な作戦であることは誰もが承知しており、いく人かの参謀は作戦の再考を求めました。
しかし、もはや通常の作戦では米軍に太刀打ちできない現状で、第一遊撃部隊を有効に使用するためにはこの作戦しかないとのことで、作戦は実行に移されます。
4月5日、第二艦隊司令長官伊藤整一中将は出撃準備の命令を受けます。
伊藤中将は当初作戦に反対でしたが、連合艦隊の参謀が大和に訪れて説得。
「一億総特攻の魁(さきがけ)になってもらいたい」との言葉に伊藤中将も了承せざるを得ませんでした。
海上特攻隊とされた第一遊撃部隊は、第二艦隊の旗艦の戦艦大和及び第二水雷戦隊に所属する軽巡「矢矧」(第二水雷戦隊旗艦)、駆逐艦「冬月」「涼月」「磯風」「濱風」「雪風」「朝霜」「霞」「初霜」の合計十隻の艦艇のみでした。
指揮は第二艦隊司令長官の伊藤中将が取ることに決します。
この日、各艦の艦長は大和に集められ作戦内容を知らされるとともに、大和では有賀幸作艦長(大佐)が当直以外の乗組員に今回の出撃が海上特攻であることを訓示したといいます。
そして配属されたばかりの士官候補生や一部の老兵、傷病兵などがこの時点で艦隊から下ろされました。
士官候補生たちはみな連れて行ってほしいと懇願したものの受け入れてもらえず、涙を飲んで下艦したといいます。
当初沖縄への出撃に際しては、特攻とのことで各艦には片道分の燃料のみが割り当てられたとされ、一部文献ではそのまま片道燃料で出撃したとされたものもありましたが、各地の残燃料をかき集めて振り分けたことで各艦ともに満タンとはいかないまでも往復には支障ない量の燃料を搭載したと現在ではされております。
4月6日夕方、第一遊撃部隊は沖縄に向けて出撃。
この出撃に前後するように日本陸海軍は特攻機を出撃させ、米艦隊への攻撃を行っています。
この時点では第一遊撃部隊を援護するために駆逐艦「花月」「榧(かや)」「槇(まき)」の三隻が随伴しておりましたが、これら三隻は練度不足とみなされて豊後水道まで来た時点で引き返すよう命じられました。
以後、第一遊撃部隊は上記の十隻のみで沖縄に向かいます。
4月6日の20時過ぎ、米潜水艦「スレッドフィン」及び「ハックルバック」が第一遊撃部隊を発見。
司令部に日本艦隊出撃を通報します。
この通報は日本側でも傍受され、発見されたことを知りました。
しかし、この日は米軍側の攻撃はなく、静かに4月7日を迎えます。
いよいよ大和にとって最後の日を迎えることになりました。
(2)へ
- 2011/04/07(木) 21:16:08|
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3月11日に東日本を襲った「東日本大震災」から約一ヶ月が経とうとしております。
いまだ各地の被害の全容は完全には明らかになっておらず、復旧はまだその端緒についたばかりと言ってもいいでしょう。
さらに福島の第一原発の問題も終息にはまだ相当な時間がかかりそうです。
今回のこの「東日本大震災」には、米軍も大規模な救援活動を行ってくれました。
その名も「トモダチ作戦」ですが、その参加艦艇のうちの一隻が、「ホイットビー・アイランド」級ドック型揚陸艦「トーテュガ」です。

「トーテュガ」は、「ホイットビー・アイランド」級の6番艦として1990年11月に就役しました。
ドック型揚陸艦というのは、船体の後部に揚陸艇を出し入れするドックを備えた揚陸艦のことで、船体後部のドックに水を入れることですばやく揚陸艇を発進させることが可能なのです。
「トーテュガ」にはホバークラフト型揚陸艇であるLCACを四隻搭載しており、作戦時にはこのLCACに海兵隊員や車両を載せて海岸に上陸させるのが任務です。
もちろんその車両や海兵隊員を載せておく設備も整っており、400名ほどの兵員を載せることが可能です。
全長は185.8メートル。
最大幅は25.6メートル。
最大速力は22ノット。
満載排水量は16000トンを超える大きな揚陸艦です。
船体後部のドックの上はヘリコプター甲板となっており、固有の搭載ヘリはありませんが、二機の大型ヘリが着艦できるようになってます。
2006年に佐世保配備となった「トーテュガ」は、2007年9月の東京都の災害訓練にも参加したそうで、そのときは帰宅困難者と想定された訓練参加者を輸送する任務に当たったといいます。
今回の「トモダチ作戦」では、北海道の自衛隊部隊とその車両等を搭載し、北海道-東北間の物資及び人員輸送に当たってくれました。

おそらく揚陸艦ならではの物資人員輸送能力が最大限に発揮されたのではないでしょうか。
米海軍における「トモダチ作戦」参加艦艇は、4月4日を持って空母「ロナルド・レーガン」打撃群等は任務を解かれたそうです。
現在はこの「トーテュガ」をはじめ、強襲揚陸艦「エセックス」、救難艦「セイフガード」、揚陸指揮艦「ブルーリッジ」が引き続き任務についているとのことでした。
ありがたいことです。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2011/04/06(水) 21:16:15|
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私がウォーゲームをプレイする上でのイメージソースというと、やはり戦争映画や戦記小説、それに戦争マンガとなるわけですが、戦争マンガというとこの方をはずすわけには参りません。
戦争マンガの大御所、小林源文先生です。
私もご多分に漏れず源文先生のマンガは大好きなわけですが、先生の代表作の一つがこれでしょう。

「カンプグルッペZbv」です。
(左は旧版、右が完全版)
いまさらなんですが、ご紹介。
カンプグルッペとはドイツ語で戦闘団という意味で、第二次世界大戦のときにドイツ軍で用いられたカンプグルッペは、臨時編成の諸兵科連合部隊のことを指し示しておりました。
主に連隊規模程度の大きさで、歩兵と戦車を中核に砲兵等の支援部隊を組み合わせたもので、一応単独で一通りの戦闘ができるようになっています。
このマンガには、タイトルにもなっている「カンプグルッペZbv」という架空のドイツ軍部隊が登場し、その部隊に所属することになったアッシュやコワルスキー等の兵士や、ブルクハイト中尉やシュタイナー少佐(旧版ではスタイナー)ら士官たちの東部戦線での戦いぶりを見せてくれます。
このカンプグルッペZbvは、いわば上層部に見捨てられた部隊であり、「全滅してもOK」的な扱いをされる部隊です。
そうなった理由はひとえに指揮官たるシュタイナー少佐が、恐怖に駆られ敵前逃亡という不名誉なことをしてしまったゆえであり、そのとき率いていた部隊ごと公式記録から抹消して懲罰部隊的なカンプグルッペにしてしまったということにあります。
そのためかシュタイナーは過去を振り切るかのように冷酷な指揮官となり、敵にも部下にも容赦のない態度を取り続けます。
戦車中隊の指揮官であるブルクハイト中尉が、あまりの激戦続きに「われわれには休息が必要です」と進言したときも、「死んでから休めばいい」の一言で片付けます。
何せ、使い捨てにしても惜しくない(というか使い捨てちゃいたい)部隊なので、とにかく過酷な任務を割り当てられ兵士たちは次々と死んでいきます。
そのたびに脱走兵や陸軍刑務所などから兵士を補充し、新たな任務に就けられるのです。
とにかく面白い戦争マンガだと思います。
激しい戦争シーンはさすが源文先生といったところですし、敵に殺されるのと同様に、恐怖によって逃げ出そうとすれば味方によっても殺されるのだということをこれでもかと見せてくれます。
マニアックな戦争マンガとしてははずせないと思いますよ。
でも、シュタイナー少佐・・・作中の彼の行動を見ていると、敵前逃亡したというのが信じられないですよね。
それではまた。
- 2011/04/05(火) 21:18:40|
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毎月の月刊雑誌のご紹介。
「グランドパワー」誌の5月号です。

表紙はこちら。
今月の特集は「ソビエト軍自走砲」
第二次世界大戦中にソ連軍が使用した自走砲のうち、SU-122・SU-85・SU-100の三種類が特集されてます。
表紙もSU-122ですね。
SUとは「Samokhodnaya Ustanovka」の頭文字をとったもので、自走砲架という意味なんだそうです。
そのSUに、搭載砲の口径をつなげているんですね。
つまり、それぞれSU-122は122ミリ砲、SU-85は85ミリ砲、SU-100は100ミリ砲を搭載しているわけです。
もちろんそれぞれ役目も違い、SU-122は122ミリ榴弾砲による歩兵支援が主なのに対し、SU-85はドイツ軍のティーガー等に対抗するための対戦車自走砲であり、SU-100はその搭載砲の強化バージョンといえるでしょう。
今月号はこの三種類の自走砲の開発から運用までを詳しく記事にしたものです。
個人的にもとても読むのが楽しみですね。
そのほかの記事としてはドイツ軍の5トンハーフトラック&s.W.S(重国防軍牽引車)に関する記事が載ってます。
こうした補助車両はあんまり記事になることがないので、こういう記事はありがたいですね。
今月もじっくり読ませてもらいましょう。
それではまた。
- 2011/04/04(月) 21:04:55|
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今日は野球の話題。
第83回選抜高校野球大会は今日決勝戦を迎えました。
決勝戦は神奈川県から出場の東海大相模高校と、福岡県から出場の九州国際大付属高校の対戦でした。
試合は終始東海大相模高校が押し気味に試合を進め、二本のホームランを含む6対1のスコアで九州国際大付属を破り優勝となりました。
東海大相模高校は大会新記録となる5試合で74安打という猛打で11年ぶり2回目の優勝となりました。
準決勝では一試合二本の満塁ホームランという初めての記録で圧勝するなど、その打力はすごかったですね。
今年の夏もその打力で神奈川県大会の有力候補となるでしょうね。
さて、高校野球は終わりました。
今月12日からはいよいよプロ野球が開幕します。
ところがちょっと気になることがでてきましたね。
横浜ベイスターズのリーチ投手、読売巨人のバニスター投手が「東日本大震災」の影響か、日本を離れたきり戻ってくる様子がないらしいとのこと。
両球団はそれぞれ両選手を「制限選手」というものに指定して、制限選手指定中はどの球団(米球界含む)でもプレーができない状態にしたそうです。
両選手とも「家庭の事情」とのことらしいですが、やはり今回の地震とそれにともなう原発事故が精神的にも堪えているのではないでしょうか。
恐怖も感じているでしょうし、日本に行きたくないと思ってしまうのも無理はないかもしれません。
とはいえ、球団としてはそのままにしておけないのも当然でしょう。
両球団と両選手の話し合いがうまく行くといいですね。
開幕まであと少し。
楽しみですねー。
それではまた。
- 2011/04/03(日) 21:15:19|
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今日は「世界の艦船」最新号をご紹介。
「世界の艦船」2011年5月号です。

こちらが表紙。
迫力のある艦首部分を見せているのは、進水式を行っているオーストラリア海軍の新型強襲揚陸艦「キャンベラ」
スキージャンプ部分がインパクトありますね。
巻頭カラーでは就役したばかりの新造ヘリコプター護衛艦「いせ」の写真が紹介されておりました。
「いせ」は今回の「東日本大震災」にも就役を早めて出動しており、米空母「ロナルド・レーガン」同様に海上のヘリポートとしての役割を果たしていたようです。
今月号はまだ震災前の記事ですので、震災に出動した艦船のことは記載されておりませんでしたが、来月号では出てくるのではないでしょうか。
巻中カラーではタイで行われた七カ国海軍合同演習「コブラ・ゴールド2011」のことが紹介されておりました。
この「コブラ・ゴールド2011」は、アメリカ、日本、韓国、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールの七カ国が参加した合同演習で、通常の揚陸訓練同様に災害時の避難民救援を目的とした訓練も重視されていたとのことで、実際に一般の人々を揚陸艇に収容する訓練なども行われたようです。
こういう訓練はまさに今回の「東日本大震災」にも生かされたのではないでしょうか。
特集記事は「日本のデストロイヤー 戦前編」ということで、明治期の日本海軍における初のデストロイヤー(駆逐艦)である雷型駆逐艦から、太平洋戦争終結までの陽炎型、秋月型、松型駆逐艦までの全型式が写真と記事で特集されてます。
まさに日本駆逐艦の発達が一目瞭然で、わずか排水量350トンほどだった雷型に始まった日本駆逐艦は、最後には2700トンの秋月型へと9倍ほども大型化していったのがよくわかります。
もちろん武装も相応に増強されていき、日清日露から太平洋戦争まで活躍していったわけですね。
今月もじっくりと楽しめそうです。
それではまた。
(4月3日追記)
「いせ」の就役を早めて出動させたというような記事をネットでみたような気がしていたんですが、どうも見誤りだったようでして、どうやら今回の震災には「いせ」は出動していないようです。
出動しているのは同型の一番艦「ひゅうが」のようでした。
ご指摘ありがとうございました。
お詫びして訂正いたします。
すみませんでした。
- 2011/04/02(土) 21:15:14|
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一年ぶりのご無沙汰でした。
あの「
四月馬鹿」が帰ってまいりました。(笑)
(タイトルクリックで過去作品に飛べます)
今回も怪しさ大爆発で一人の女性を狙ってます。
その活躍ぶりをよろしければごらん下さいませ。
それではどうぞ。
「クククク・・・お子さんを連れてお散歩ですかな?」
「は、はあ・・・」
誰、この人?
変になれなれしく声をかけてくるなんて・・・
私は無意識に息子を背中側においてカバーする。
それにしても不気味な人。
うちの近所にこんな人いたかしら?
もう春だというのに黒いコートを着て暑苦しいし、幅広のつばの帽子を目深にかぶっているから顔も見えやしない。
関わらないに越したことはないわね。
「それじゃ先を急ぎますので」
私は愛想笑いをしてその場を逃れようとする。
「孝弘(たかひろ)、行きましょう」
「クククク・・・今頃家では旦那さんが女を引き入れているころですかな?」
息子の手を引いてコートの男に背を向けたとき、背後からの言葉が私の足を止めてしまう。
「えっ?」
私は思わず振り返った。
夫が・・・明弘(あきひろ)さんが女を引き入れるですって?
私は足を止めてしまった自分に苦笑する。
そんなことあるわけがないわ。
明弘さんは私をとても愛してくれているし、孝弘の子育ても面倒見てくれるとてもいい人。
女がいるなんてありえない。
「どなたか知りませんけど、変なこと言わないでください。主人が女を引き入れるなんてありえ・・・」
「ありえませんかな? 本当に? あなたは夫をそこまで信用できるのですか?」
帽子のつばの影から見える男の口元に笑みが浮かぶ。
一体この人は何なの?
もしかして・・・
もしかして浮気調査の探偵さんとか?
「あなたの行動は実にわかりやすい。平日はいつもこの時間に子供を連れて散歩している。それは平日が休みのご主人がいても変わらない。そしていったん散歩に出れば、今日のように天気がうす曇りであれば一時間は戻らない。ほら、女を引き入れるには条件がそろっているではありませんか」
そ・・・そんなこと・・・
そりゃあ、いつも散歩はこの時間だし、今日みたいに風が気持ちいい日は一時間ぐらいゆっくりしちゃうけど・・・
にわか雨が降ってきて突然家に帰ることだってあるし、天気がよすぎても紫外線防止のために早めに帰るようにしているから、いつも一時間外にいるわけじゃないわ。
でも・・・
でも・・・
私が出かけた後で誰か呼んでいたりしたら・・・
誰か呼んでいたり・・・したら・・・
「嘘・・・嘘ですわ。あの人に限ってそのような・・・」
「あの人に限って。浮気される人はみんなそのように言うのです。そして知らないところで裏切られる。嘘だと思うなら突然帰ってみるといい。ご主人が誰と一緒にいるのか確かめてみなさい」
「そうさせてもらいます。あなたの言うことなんか絶対嘘に決まっているんだから」
私は孝弘の手を引いて急いでかえろうとする。
「ククククク・・・もし私の言うことが嘘だとわかればお詫びしましょう。あそこの公園におりますので来てください」
黒コートの男が公園を指差す。
「そうさせてもらいます。絶対謝ってもらうんだから」
私はそういって孝弘の手を引く。
「ママ、痛いよ」
「ごめんね。今日はもうお散歩はおしまいなの。急いでパパのところに戻りましょうね」
私は必死で胸騒ぎを抑えながら、夫の待つ我が家へと向かうのだった。
「ただいま! パパ、パパッ!」
玄関に入るなり私はたたきの上の靴を見る。
よかった。
私以外の女物の靴はないわ。
私は念のために下駄箱も開けてみるが、見慣れた自分の靴だけだった。
「お帰り。今日は早かったね」
居間から明弘さんが姿を見せる。
あくびをしているところを見ると、昼寝をしていたのかしら。
もしかして起こしちゃった?
「パパァ」
「孝弘お帰り。お散歩は楽しかったかい」
笑顔で孝弘を抱き上げる明弘さん。
うん・・・
大丈夫。
浮気なんかしていない。
明弘さんは浮気なんかしていないわ。
「変な人がいたよ」
「変な人?」
孝弘がさっきの男のことを言っている。
「うん、真っ黒な服着てたよ。ママとお話してた」
「そうなの。ねえパパ聞いて、私とんでもないこと言われたのよ」
なんだかもう誰もいなくてホッとしたような、変なこと言われて気にしてしまったのが悔しいやらで、話さずにはいられないわ。
「とんでもないこと?」
「ええ、その男が今すぐ家に帰ってみろ。夫が女を引き入れているはずだって・・・」
「へ? 女を?」
明弘さんの目が点になっている。
この反応はまったく予想外のことを言われたときの反応だわ。
やっぱり明弘さんは浮気なんかしていない。
間違いないわ。
「もしかして、それですぐに帰ってきたのかい?」
「だってぇ・・・もしかしたらって思ってしまったんだもの・・・」
もう・・・
どうして私ったら疑ってしまったのかしら。
明弘さんが浮気なんかするはずないのに・・・
「そんなわけないだろ。バカだな。ママ以外僕を相手にしてくれる人なんていないし、僕にはママだけだよ」
孝弘を下ろして私を抱きしめてくれる明弘さん。
あん・・・
うれしい・・・
そろそろ二人目もほしいわね。
って、それどころじゃないわ。
もう・・・
あの男、赦さないんだから。
私をこんなに疑心暗鬼にさせておいて、そのままだなんて赦せない。
嘘だったらお詫びするって言ってたわ。
絶対お詫びしてもらうんだから。
こうしちゃいられないわ。
「おい、どこに行くんだ?」
「孝弘をお願いね、パパ。私ちょっと公園に行ってくる」
私は明弘さんに孝弘を預け、そのまま玄関に走り出す。
「お、おい、ママ! 香織(かおり)!」
「すぐ戻ってくるわ」
私はサンダルを履いて家を飛び出した。
「もう・・・もう・・・もう・・・」
むしゃくしゃする。
あんな一言で明弘さんを疑ってしまうなんて・・・
いいえ、疑わせるように仕向けたあの男が悪いのよ。
絶対文句を言ってやるんだから。
私は公園までやってくると、あの男を捜す。
いた。
ベンチに座っている。
黒い幅広つばの帽子に黒いコート。
間違いないわ。
「ちょっとあなた」
私は歩み寄って声をかけた。
「クククク・・・誰かと思えばさっきの母親か」
首を小さく上に向けてこっちを見る男。
だが、帽子のつばにさえぎられてその目を見ることはできず、口元の薄ら笑いだけが見えている。
なんなの、こいつは?
私は無性に腹が立つ。
「あなたねぇ。主人が女を引き込んでいるなんて言ってどういうつもり? あなたのせいで私は散歩も途中で切り上げて帰るはめになったのよ」
私は男をにらみつける。
「おや、女を引き込んではいませんでしたか?」
「主人が女を引き込むなんてあるわけないでしょ! どうしてそんな嘘をついたの! 私をだましたんでしょ! 赦さないんだから!」
「ほう、赦さない・・・ふふふ・・・ふはははは・・・」
男が突然笑い始めた。
「な、何がおかしいの! 人をだましておいて!」
「ははははは・・・そうさ。俺はだましたのさ。そしてお前はまんまと俺の嘘にだまされたというわけだ」
くぅ・・・
悔しい・・・
しっかりとだまされちゃったんだわ。
「し、仕方ないでしょ。あんなこと言われたら誰だってまさかって思うわよ・・・」
「ククククク・・・いいや違うな。だまされたのはお前がバカだからだ」
「な、何ですって!」
言うに事欠いてバカですって?
「そうさ。お前はバカだ。俺様の嘘にだまされたバカなんだよ」
「バカバカうるさいわね。あなたいったい何なの! 顔を見せなさいよ!」
私がそう言うと男が立ち上がって帽子を取る。
「えっ? 嘘・・・」
私は思わず息を飲む。
そんな・・・
口元は人間みたいに見えたのに・・・
帽子を取った男の顔は競馬中継や時代劇などで見慣れた馬の顔だった。
そして頭には立派な鹿の角が生えている。
えっ?
馬なの?
鹿なの?
いったい何なの?
「ククククク・・・これが俺様の正体だ。馬と鹿の合わさった妖怪でな。名を四月馬鹿(しがつうましか)という」
「四月・・・馬・・・鹿・・・」
私は目の前で起こっていることが信じられなかった。
帽子を持つ男の手はひづめとなり、コートを脱いだ下には茶色の毛で覆われた躰があったのだ。
「嘘・・・ば、化け物・・・」
「ククククク・・・違うなぁ。化け物ではなく馬鹿者だ。そして俺様にだまされたお前も馬鹿者になるのだ」
突然私の周囲が暗くなる。
公園だった周りは漆黒の闇に覆われてしまう。
「えっ? こ、これは・・・」
私は周囲を見渡す。
闇だけで何も無い。
ブランコも鉄棒もベンチも樹木も何もない。
入ってきた入り口さえもなくなっている。
「いや・・・いやぁっ」
私は逃げ出したかった。
こんなのは夢だわ。
悪夢よ。
「ククククク・・・恐れることはない。お前は俺様のしもべとなるのだ。この四月馬鹿に仕える妖怪馬鹿(うましか)になるがいい」
四月馬鹿の目が赤く輝く。
「ひっ!」
私の手が・・・
私の手がひづめに変わっていく。
「いやっ! いやぁっ!」
服がぼろぼろに破け、私の躰が茶色い毛で覆われていく。
「助けてぇっ! 明弘さん! 孝弘ぉ! 誰か助けてぇっ!」
私はその場にへたり込んでしまう。
顔を覆った手のひらも、みるみるひづめになってしまい、サンダルが脱げた足も先が割れたひづめに変化する。
「泣き喚いても無駄だ。お前はもう馬鹿になるのだ」
四月馬鹿がニヤニヤ笑っている。
ああ・・・
そんな・・・
私も馬鹿になってしまうの?
そんなのいやよぉ・・・
鼻面が伸びていく。
頭からは角も生えてきた。
なんだかもうわけがわからない。
私はメスなんだけど、角があってもいいのかな・・・
そんなことまで考えちゃう。
うふふふ・・・
なんだろう・・・
何でさっきはあんなに悲しかったのかしら。
悲しいことなんか何も無いのに。
私は馬鹿なんだから、四月馬鹿様にお仕えしていればいいだけなのに。
「ククククク・・・どうやら変化は完了したようだな。さあ立つがいい。これでお前は俺様のしもべ。妖怪馬鹿になったのだ」
「はい、四月馬鹿様。私は妖怪馬鹿。四月馬鹿様の忠実なるしもべです」
私は立ち上がって四月馬鹿様に一礼する。
ああん・・・なんて素敵なんだろう。
私は馬鹿。
四月馬鹿様の忠実なるしもべ。
馬と鹿が融合しているなんてこれ以上ないぐらいすばらしいわ。
これなら馬と鹿を混同する馬鹿をもっと増やすことができるわね。
「ククククク・・・先ほどまで夫の浮気を疑ったことで俺様に食って掛かった女とは思えんな」
「ああん・・・四月馬鹿様ぁ、私にはもう夫も子供も関係ありませんわぁ。今の私はもう身も心も四月馬鹿様のもの。馬鹿のメスとして可愛がってくださいませぇ」
私はたくましいオスである四月馬鹿様に精一杯の媚を見せる。
ああん・・・
たまらないわぁ。
四月馬鹿様のたくましい胸に抱かれたいわぁ。
あん・・・そのことを思っただけで濡れてきちゃう。
「クククク・・・それでいい。今日はエイプリルフール。たくさんの嘘でおろかな人間どもを馬鹿にするのだ。そうすれば・・・」
四月馬鹿様が私の肩を引き寄せ、耳元でささやかれる。
「あとでたっぷりと可愛がってやる」
「ああ・・・はい。お任せくださいませ。私の嘘でおろかな人間どもをたくさん馬鹿にしてやりますわぁ」
私はこれからどんな嘘をつこうかとわくわくしながら、四月馬鹿様のために働くことを誓うのだった。
END
- 2011/04/01(金) 20:48:44|
- 四月馬鹿
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