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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

おみくじ

改めまして皆様あけましておめでとうございます。

お正月二日目、いかがお過ごしでしょうか?

今年はついに元日SS投下ができなくてすみませんでした。
その代わり、今日は早めに更新でSS投下します。

タイトルは「おみくじ」
楽しんでいただければと思います。

それではどうぞ。


おみくじ

「新年あけましておめでとー」
「おめでとー」
私は親友の智春(ちはる)ちゃんに新年の挨拶をする。
今日は元旦。
2011年の始まりの日。
また一年が始まるよ。

「ねえ、初詣行くでしょ?」
「うん。いくよ」
私がそう答えると、智春ちゃんがにっこりと微笑む。
「よかったぁ。綾香(あやか)ちゃんを連れて行くって言っちゃってたんだ」
「言ったって、誰に?」
「もちろん智里お姉ちゃんだよ。お姉ちゃん今年も舞方神社で巫女さんやってるから」
「あ、そっか」
私はハッと気が付いた。
智春ちゃんのお姉さんは、ここ数年毎年舞方神社で巫女さんのアルバイトをやっているんだったっけ。

「さ、行こ行こ、行っておみくじ引こ。きっとお姉ちゃんがいいおみくじ引かせてくれるよ」
私の手を引く智春ちゃん。
「何それ。いくら智里さんが巫女さんやっているからっておみくじを選ぶことができるわけないでしょ」
苦笑する私。
「いいの。お姉ちゃんからおみくじもらえば、いいおみくじのような気がするんだから」
笑っている智春ちゃん。
その笑顔を見ていたら、何だか私もそんな気がしてきたよ。

ジャラジャラと鈴を鳴らし、パンパンと拍手をして神様にお参りする。
どうか・・・今年こそジャアク帝国との戦いに決着が付きますように・・・みんなが平和に暮らせますように・・・
私はそう神様にお願いする。
そうなのだ。
私は今ジャアク帝国という侵略者と戦っている。
地球を狙うジャアク帝国。
私は選ばれた光の戦士として、地球を守るために戦っている。
その戦いが一刻も早く終わりますように・・・

「どうか綾香ちゃんの戦いが早く終わりますように・・・」
小さくつぶやくように言う智春ちゃんの願いに、私は思わず振り向いた。
「うふっ、綾香ちゃん、私も神様にお願いするからね。早く綾香ちゃんが戦わなくて済むようにって」
にこやかに微笑む智春ちゃん。
私は思わず胸が熱くなった。
そう。
智春ちゃんと智里さんは私が光の戦士としてジャアク帝国と戦っていることを知っている。
そしていろいろな面で私をサポートしてくれていた。
そのおかげで、私は心置きなくジャアク帝国と戦えていたのだった。

「さ、こっちこっち」
智春ちゃんが私の手を引っ張る。
私はその手に引かれるようにして本殿の脇にある社務所のほうへと向かっていく。
そこで何人かのアルバイトの巫女さんたちが、お守りや破魔矢、そしておみくじを売っているのだ。
私と智春ちゃんはまっすぐ智里さんのところへ行き、そこでおみくじを買うことにした。

「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます、智里さん」
「はい、あけましておめでとう。おみくじ引く?」
巫女服姿もりりしい智里さんがにこやかに私たちを迎えてくれる。
巫女服に合わせてあるのか、目の周りにはアイシャドウを引いて、口紅も真っ赤なものをつけていた。
「もちろん。いいおみくじちょうだいね、お姉ちゃん」
「こら、そんなことできるわけないでしょ」
「ちぇっ」
智里さんにたしなめられて、ぺろっと舌を出す智春ちゃん。
二人は本当に仲がいい。

「でもね、今年はちょっと違うわよ」
智里さんがそういってごそごそと後ろから黒い筒を取り出す。
「はい、引いて引いて」
「はーい」
智春ちゃんが手を出すと、智里さんがすっと引っ込める。
「だーめ。まずは綾香ちゃんからよ」
「え~っ、なんで?」
「なんででも。さ、綾香ちゃん引いて」
「あ、はい・・・」
私は智里さんが差し出す筒に手を入れ、おみくじを一つ取り出した。
あれ・・・
何だか躰に電気が走ったような気がする・・・
なんだろう・・・

「そのおみくじは特製なのよー。開いてみて」
「えっ? でも・・・」
そりゃ見るけど、そんなふうに迫られるとちょっと恥ずかしいよ。
「お姉ちゃん、私にも」
「智春は待ちなさい。綾香ちゃんのおみくじを見てからよ」
「えーっ?」
口を尖らせる智春ちゃん。
「あ、智春ちゃんが引いてからで・・・」
「だーめ。さ、あけてみて、綾香ちゃん」
少しにらむように私を見つめてくる智里さん。
うーん・・・しょうがないなぁ・・・
私はおみくじを開いてみた。

「あれ?」
突然周囲が暗くなる。
隣にいたはずの智春ちゃんもいなくなり、闇の中に私と智里さんだけになる。
「いったい・・・」
「ああ、気にしなくていいのよ。ちょっと結界を張っただけ。それよりもおみくじはどう?」
智里さんがニコニコと笑っている。
何だかすごくいやらしい笑い・・・
でも・・・
すごく似合っているような・・・

私はおみくじを開く。
周囲が暗くなったのなんてどうでもいいや。
それよりもおみくじだよね。

目の前に現れた“大吉”の文字。
「やったぁ!」
私は思わずガッツポーズをする。
「どれどれ? わぁ、大吉ね? おめでとう」
智里さんもすごく喜んでくれる。
あれ?
智里さんの着ていたのって赤と白の巫女服じゃなかったっけ?
袴がいつの間にか黒くなっているような気がするけど・・・気のせいかな?
うん・・・気のせいだよね。
そんなことよりおみくじおみくじ。

「大吉:願い事かなう」
やったね。
これでジャアク帝国の手から地球を・・・
地球を?
どうするんだっけ?

「待ち人:すぐ来る」
うんうん。
地球侵略の手勢がすぐ来るってことだよね。

「失せ物:見つかる」
うんうん。
失くしていた闇の力が解放されるってことだよね。

「旅立ち:行うがよし」
うんうん。
地球が終われば次だよね。

「商い:うまく行く」
うんうん。
制圧した地球人を奴隷にして売り払えば・・・ね。

「恋愛:良縁あり」
うわぁ。
今度来る軍勢にいい人がいるのかな?

「争いごと:危うからず」
うんうん。
光の軍勢なんて物の数じゃないよね。

などなどすごくいいことが書いてある。
今年は運勢がよさそう。
地球制圧も簡単に済みそうだよね。
あれ?
地球制圧?

「うふふ・・・大吉でよかったわね、綾香ちゃん。これであなたもジャアク帝国の一員よ」
いつの間にか背中からコウモリのような羽を生やした智里さんが笑っている。
頭からも角が生え、まるで悪魔のよう。
何だかとっても素敵だわ。

「私がジャアク帝国の一員?」
「そうよ。自分の姿を見て御覧なさい。あなたはもう光の戦士じゃないわ。ジャアク帝国の魔戦士なのよ」
智里さんに言われて私は自分の姿を見てみた。
すると、私はいつの間にか黒革のコルセットのようなものを身に着け、申し訳程度の黒いショーツを穿いている。
背中からは智里さんと同じようなコウモリ型の羽が生え、頭を触ると角が生えていることがわかった。
「これは?」
「うふふふ・・・そのおみくじのおかげよ。そのおみくじに込められた闇の力が、綾香ちゃんを生まれ変わらせたの」
智里さんが私の持っているおみくじを指し示す。
そうなんだ。
このおみくじのおかげなんだ。
なんて素敵なんだろう。
私はもう光の戦士なんかじゃないわ。
ジャアク帝国の闇の魔戦士なのよ。
うふふふふ・・・

「さあ、行きましょうアヤカ。皇帝陛下がお待ちかねよ」
「はい、チサトさん。チサトさんもジャアク帝国の一員なんですね?」
私はチサトさんが差し出した手をしっかりと握る。
「ええ。今年のおみくじを用意しているときに闇の力を注がれたの。今ではジャアク帝国の忠実なるしもべよ」
そっかー。
だから私にも闇の力を込めたおみくじを用意してくれたのね。
うれしいな。
「あ、智春ちゃんはどうするの?」
「智春のことは気にしなくていいわ。あの子にはいずれあなたが闇の力をあげればいいの。そのほうがあの子も喜ぶでしょ」
そうか。
そうだよね。
智春ちゃんもいずれ闇に染めてあげればいいんだ。
うふふふふ・・・
楽しみだなぁ。
私はチサトさんとともに、闇の世界へと飛び込んでいった。

END
  1. 2011/01/02(日) 13:38:15|
  2. 異形・魔物化系SS
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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