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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ホワイトリリィ(12)

200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」の12回目です。

それではどうぞ。


12、
                   ******

「お、おはようございます、お義父様」
朝、リビングに顔を出す俺に百合香が挨拶をしてくる。
心なしかうろたえて目を伏せているのは気のせいか?
「ああ、おはよう百合香さん」
俺はそう言って顔を洗い朝食を取る。
今日からは二週間の休暇だ。
だが、了史にも百合香にも教えてはいない。
俺はアジトでゆっくりさせてもらう。
無論その時にはじっくりと百合香で楽しませてもらうのだ。
「了史はもう出かけたのかい?」
「え? あ、は、はい」
まるで心ここにあらずといった感じで百合香が返事をする。
夕べのことを考えているのだろう。
何せ、俺のことを考えてオナニーした後にさらに風呂場でもイってしまったのだからな。
俺の顔をまともに見られないのかもな。

俺は用意された朝食を平らげると、部屋で着替えて家を出る。
会社へ行く振りをして、適当なところで家の近くに設置してあるアジトへの入り口に向かうのだ。
バス停の近くに設置された、ある金融業者のATMボックス。
このATMボックスがアジトへの入り口である。
無論、設置した金融業者ですら、そんなことは知りもしない。
クーライの組織員だけが知る入り口だ。
ATMに入るやつが多少周囲を気にしていたとしてもある意味当たり前だろうし、逆に通りすがるやつはATMに入っていったやつがしばらく出てこなくても気にすることもない。
まあ、怪しまれたら入り口をふさげばいいことだ。
俺はATMボックスに入り、腕時計に仕込んだスイッチを作動させる。
すぐに床がバタンと抜けて、俺の躰はまるで滑り台を滑るようにアジトの入り口に滑り下りた。
無論すぐに床は元通りになり、ATMは何事もなかったかのように客を待ち続けるのだ。
やれやれ。
こんな仕掛けだが、女怪人や女戦闘員どもには受けがいい。
結構ドキドキすると言って楽しんでいるのだ。
無論人気の無い夜中に限るが。

俺はいつものように控え室で着替え、ドスグラーの衣装を着て髑髏のマスクをつける。
今日は控え室から出るつもりはないものの、アジトにいる以上俺はドスグラーなのだ。
クーライの首領であらねばならないのだ。
俺は執務席に着くと、操作システムを立ち上げる。
そして蜘蛛型ロボットを起動させ、映像をモニターに映し出す。
さて、今頃百合香はどうしているかな?

モニターに映し出されるリビングの様子。
おっと、ここにはいないのか。
俺も了史もいなくなった後、百合香はどんな行動をしているのか。
こういった覗き行為は何かドキドキするものがある。
やれやれ。
悪の首領たるものが覗きとは。
俺は苦笑を禁じえない。
だが、この行為には充分なメリットがある。
百合香の行動を監視することで、普段の百合香を知り、今後の作戦に生かすのだ。
そう・・・これは作戦。
これは俺の欲望を満たすと同時にホワイトリリィという存在を抹殺するものでもあるのだから。

俺は蜘蛛型ロボットをリビングから移動させる。
百合香がいなくては話にならないのだ。
さて、どこに行ったかな・・・
ふふん・・・いたか。
モニターに映し出される百合香の姿。
にこやかな笑顔を見せながら、洗濯の準備をしているところだった。
ホースを蛇口につなぎ、排水用のホースを排水溝に放り込む。
汚れ物を確認して小銭やティッシュなどがポケットに残っていないか探っていく。
『うふふ・・・また了史さんたらお釣りをポケットに入れっぱなしだわ』
了史のズボンから百円玉や十円玉をいくつか取り出した百合香は、それをエプロンのポケットに入れた。
後でちゃんと了史に言うのを俺は知っている。
ごまかすつもりなどはまったくないのだ。

さて、居場所がわかった今、俺は早速パルスを照射することにした。
フンフンと鼻歌交じりで洗濯物を確認していく百合香。
ふふふ・・・
どんな姿を俺に見せてくれるかな?
俺はスイッチを入れた。

白いワイシャツを手に取る百合香。
蜘蛛型ロボットからの映像では見づらいが、どうやら了史のものらしい。
俺も了史も言ってみればしがない会社員だ。
ワイシャツを着てネクタイを締め、スーツを纏って会社にいく。
洗濯物にワイシャツが多くなるのは当然だろう。
体格的にそう変わりがないこともあり、俺のと了史のワイシャツは見分けづらい。
そのこともあって、うちでは洗濯物を個々人で別々の衣類かごに入れている。
今百合香が確認しているのは了史の衣類かごなのだ。
その百合香の手がぴたっと止まる。
ふふふ・・・始まったな。
俺の口元に笑みが浮かんだ。

『うえっ』
顔をそむける百合香。
手にしたワイシャツから顔をそむけたのだ。
『何・・・このにおい・・・臭い』
百合香はすぐにワイシャツを洗濯機に放り込む。
『これも・・・これもだわ・・・汗臭くていやなにおい・・・了史さんお風呂入っていないの?』
シャツやパンツを手にするたびに、百合香の顔が苦痛に歪む。
実際それほどにおいがきついわけではないのだろうが、パルスを照射されている今の百合香にとっては、了史の体臭が我慢ならないいやなものに感じているのだろう。
それでいい。
徐々に了史に嫌悪感を抱き、俺に対する好感の度合いを高めてやれば・・・
百合香は俺のものになる。

そして俺は、了史の汚れ物の整理が終わったところでパルスの波長を切り替える。
これから百合香が手にするのは俺の汚れ物。
幸いなことに百合香は俺の汚れ物もいやな顔一つせずに洗濯してくれる。
これからはもっと喜んで俺の汚れ物も手に取ってもらわねばな。
別に百合香をにおいフェチにするつもりではないが、俺の体臭に好感を持たせるのだ。
まあ、俺に抱かれることを喜んでもらいたいからな。
百合香はまるで苦行でもこなし終えたかのようにホッと一息ついている。
了史の体臭にかなりいやな思いをしたに違いない。
男はどうしたって多少の体臭はしてしまうもの。
今までの百合香にとっては、愛する夫のにおいであり、ほとんど気にならなかったに違いない。
だが、ここ数日はその夫の体臭に悩まされてもらうとしよう。

俺の内心を知らずに百合香は俺の汚れ物を手に取っている。
最初はやはりワイシャツか。
さっきの了史の体臭がよほどいやだったのか、何となく恐る恐るといった感じにも見える。
人間とは不思議なもので、いやなにおいの後だと、他のにおいも嗅いで確認しないと気がすまないらしい。
百合香は俺のワイシャツのにおいも確かめるかのように、そっと鼻へ近づける。
女性が男物のワイシャツのにおいを嗅いでいる光景など滅多に見られるものではないな。
『はあ・・・よかった・・・お義父様のは臭くないわ・・・それどころか・・・』
百合香がホッとしたようにワイシャツを鼻から離す。
『うふふ・・・タバコのにおいがする・・・なんか懐かしいにおいだな・・・お父さんの・・・お父さんの背中におぶってもらっている時のにおいみたい』
もう一度ワイシャツに鼻を近づけてにおいを嗅ぐ百合香。
今度は深く吸い込んでいる。
『いいにおい・・・お義父様の力強さを感じる気がするわ・・・はあん・・・』
どことなくうっとりとした表情の百合香。
俺は思わずこぶしを握り締め、思い通りにいったことを確信した。

『あ・・・いけないいけない。さっさと洗濯しちゃわなきゃ・・・』
そう言って百合香は私の汚れ物を洗濯機に放り込む。
スイッチを入れ洗剤を放り込めば、後は洗濯機がやってくれる。
便利なものだ。
その間に百合香は掃除機を掛けるつもりなのだろう。
しまってあった掃除機を取り出している。
俺はここまでだと判断してパルスを止め、モニターでの監視だけを続けることにした。

しばらくしてノックの音が響く。
俺が今控え室にいることを知っているのは多くない。
おそらく蜘蛛女か?
「誰だ?」
『蜘蛛女でございます。入ってもよろしいでしょうか?』
無論だ。
俺は内部から手元のスイッチで鍵を開ける。
シュッという音とともに、スライドドアが開いていく。
「なっ!」
俺は一瞬目が点になったに違いない。
いや、まったく予想をしていなかっただけなのだが。
「失礼いたします、ドスグラー様」
入ってきた蜘蛛女は、なんとエプロンをしてトレイを持っていたのだ。
「ドスグラー様、そろそろお昼です。お腹がお空きではございませんでしょうか?」
そう言って蜘蛛女は控え室のテーブルにトレイを置く。
そこにはおにぎり二個とサラダ、それに熱々のラーメンが湯気を立てていた。
見た瞬間にお腹が減っていたことを思い知らされる。
「作ってくれたのか?」
エプロン姿の蜘蛛女に俺は余計な事を訊く。
作ってくれたのは一目瞭然だ。
俺が休暇を取ったと知ったので、お昼に食べてもらおうと思ったのだろう。
「はい。お口に合えばよろしいのですが・・・」
蜘蛛女が何となくもじもじしているのを見て、俺は再び手元のスイッチで鍵をかける。
ドスグラーの髑髏のマスクは頭全体を覆うものだが、残念なことにものを食べられるほど口が開くものではない。
俺は俺の素顔を知る数少ない一人である蜘蛛女の前でマスクを取った。
くたびれた中年親父の素顔がそこにはある。
見せたくないといえば見せたくはない。
ここでは俺はドスグラーであり、洞上健一ではありたくない。
だが、せっかくの蜘蛛女の行為を無にするつもりはない。
彼女を追い出して食べるなどということはしたくなかった。
「美味そうだ。いただくよ」
俺は置かれていた箸を取ろうと手を伸ばす。
ん?
目の前の箸は鈍い銀色に光っている。
ひんやりとした冷たさが、この箸が金属でできていることを告げている。
しかもずいぶんと軽い。
これはチタンか?
どこかでチタンは箸として使えば軽くて変質しないいい素材だと聞いたことがあるが・・・
「これはチタンの箸なのか?」
俺は蜘蛛女に訊いてみた。
「お判りでございましたか? いつもながらドスグラー様の明晰さには恐れ入ります。チタンの箸は最適と聞き及びましたので、技術部に作らせました。ドスグラー様のお手にするには相応しいかと」
俺は苦笑した。
こいつは俺以上にドスグラーのシンボルとしての価値をわかっている。
組織のトップに立つということは、シンボルとして担がれねばならないということでもあるのだ。
ともあれ、俺は湯気を立てているラーメンに口を付けた。
ずるずると音が立ち、俺の口の中に麺が吸い込まれる。
美味い。
料理の味にはさほどこだわらない俺だが、と、言うよりも味覚に自信がない俺だが、このラーメンは美味い。
きちんと出汁を取って作ったのか?
もしかしたら、夕べのうちに仕込んでいたのかもしれないな。
「これは美味い」
俺は素直にそう言った。
蜘蛛女の顔がパアッと明るくなる。
こいつめ。
こっちまで嬉しくなるような顔をしおって。
「ありがとうございます。ドスグラー様にそう言っていただけると、作ったかいがございます」
嬉しそうにそう言って微笑む蜘蛛女。
俺はふと、始めてその笑顔を見たときの事を思い出した。
あれはそう・・・
まだクーライの存在が世間に知れ渡っていなかった頃、怪人などという特撮の世界から抜け出してきた非現実が現実を侵食し始める直前のことだった・・・
  1. 2010/03/03(水) 21:19:50|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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