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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ホワイトリリィ(9)

200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」の9回目です。

毎日多くの人に読んでもらえましてすごくうれしいです。
今日も楽しんでいただければと思います。

それではどうぞ。


9、
                   ******

「なにぃ? 有給をまとめて取りたいだと? 何があったんだね?」
能無し専務の声のトーンが上がる。
「はあ、ずいぶん溜まっていることですし、仕事も一段落しております。この際十日ほど温泉にでも行ってこようかと思いまして」
休暇願いを出す俺の顔と、手元の休暇願いを青ざめた顔で交互に見る専務。
「た、確かに君は仕事は一段落していると言うかも知れん。しかし、しかしだよ洞上君。総務部長の君がいなくなったら誰がその間の面倒を見るんだね? えっ?」
そんなのはどうとでもなることだろう。
だいたいそんなことだから俺も社長もあんたを無能と感じるんだ。
いよいよ百合香を手に入れようかという時に、会社になんぞ出ていられるか!
「はあ、その間は不来坂(このさか)総務第一課長が手はずを取ってくれますが?」
俺は怒鳴りつけたいのを我慢して、とぼけた感じで答えた。
「不来坂君? しかし、君。彼女では・・・」
ほう・・・
こいつは無能なだけではなく目も節穴らしい。
今まで我慢してきたが、そろそろ限界か。
俺が目を掛けてきて、一段落着いた時には女怪人にしてやるつもりの不来坂では不安だと?
お前よりはよほど有能・・・いや、比べること自体が彼女に悪いな。
だが、こいつを殺してしまうと、俺が専務になってしまいかねないので、困るんだがな。
まあ、もう少し我慢してやるか・・・
「不来坂君は充分能力がありますよ。私よりもうまく総務を回してくれるでしょう。何の心配もいりませんよ、専務」
「いやぁ、しかしねぇ、洞上君。一日二日ならともかく・・・二週間も抜けられては」
ハンカチを取り出して汗を拭く専務。
ふん、貴様の不安は自分のトラブルの始末をしてくれる人間がいなくなる不安だろうが。
そんなのは知ったことか。
まったく・・・
俺も我慢強いことだ。
悪の首領だけやっていてもいいものなのに。
わざわざ会社勤めなどしているとはな。
俺は思わず苦笑した。

「何か問題でもあったのかしら、老川(おいかわ)専務?」
涼やかな声が背後から流れてくる。
「こ、これは社長。実は洞上部長が二週間も休暇を取るというので、その非常識さを教えてや・・・」
「休暇を? 遅すぎますわ、洞上部長」
紺色のタイトスカートのスーツを見事に着こなした女性がやってくる。
言うまでもなく我が社の社長、田神紫乃(たがみ しの)だ。
若く有能な上に美人だということで、社の内外でも評判が高い。
その社長の紫乃が俺をにらみつけるように腕組みをして立っている。
「総務部長のあなたが手本を示していただかないと他の社員が休暇を取りづらいじゃないですか。もう少し早めに休暇をとっていただきたかったですわ」
なるほど、そういうことか。
「ははは、どうもここの所めっきり疲れが抜けなくなりましてね。温泉にでも行ってこようかと思いまして」
俺は頭をかいて照れ笑い・・・の振りをする。
「いいことですわ。洞上部長は働き詰めですもの。この際ゆっくりなさればいいわ」
「社、社長。しかし・・・」
なおも食い下がる専務。
「老川専務。我が社も社員には積極的に有給休暇などの消化をするように言っているはず。それを今回率先して総務部長が範をたれようとなさっているんですよ。わかりますわよね?」
社長である紫乃にそう言われれば、引っ込まざるを得ないというもの。
専務は汗を拭きつつ黙って休暇願いに判を押した。

「助かったぞ、紫乃」
俺は専務のもとを紫乃と一緒に立ち去りながらそう言ってやる。
きちんと働いた者には褒め言葉をかけてやるのが上に立つものの務めだ。
「ありがとうございます、ドスグラー様」
にこやかに一礼する紫乃。
言うまでもなく、紫乃は洗脳されすでに俺の手駒になっている。
この会社の実権はほぼ俺が握っていると言っていい。
「ドスグラー様は働き過ぎでございます。もう少しお気楽になさってくださいませ。私どもがきちんと業務はこなしてご覧に入れますわ」
紫乃の言葉をはたで聞くことができたら、社長と部長の会話だとは思うまい。
その若く美しい容姿からも、上司と秘書といった感じだろう。
無論廊下には俺たちの会話を聞ける位置にいるものはいない。
紫乃には充分注意するよう言ってあるし、彼女の感覚器官も強化してあるので、俺たちの会話が聞けるほどの位置に誰かがいれば気が付くはずだ。
「そうか? これでも結構気楽にしているつもりなんだが。仕事も一段落着いたしな」
俺は苦笑する。
まあ、最近は会社で過ごすのがいいストレス解消になっていると言えなくもないので、困ったものかもしれないのだが。
「こちらの業務などはドスグラー様には不要な作業ですわ。ドスグラー様には司令室でゆったりとお過ごししていただくのが一番なんでしょうけど・・・」
「そういうな。アジトにばかりいたのでは周りが見えなくなりかねない。ここでこうやって仕事をすることで日本社会の腐っている部分を肌で感じることができ、好都合なのさ」
そんなのは言い訳だがな。
まあ、日本社会ではこの年で働かずに家にいようものなら、かえって噂にもなりかねん。
カモフラージュのためにも会社という組織に所属しているのは都合がいいのだ。

「ドスグラー様・・・一刻も早くこの社会を壊してくださいませ。そして、その時にはこの私も怪人、いいえ女戦闘員にでもして下さいませ。この身をドスグラー様に使い捨てていただけるのなら・・・ああん・・・それほど幸せなことは・・・」
「紫乃・・・」
うっとりと女戦闘員となって俺に跪くことを夢見る紫乃に俺は苦笑する。
やれやれ、俺への忠誠心というか尽くす意識が強すぎるんじゃないか?
「あ、失礼いたしましたドスグラー様。私ったら・・・」
頬を染めて恥らう紫乃。
あれほど前社長に、俺のことを警戒しろ、早くクビにした方がいいと進言していたのが嘘のようだ。
無論、俺はその紫乃の物事を見抜く目に感心したからこそ、洗脳して手駒に加えたのだがな。
「構わんさ。いずれ願いはかなえてやる。それまでは社長でいろ」
「わかっております、ご安心を。そういえば蜘蛛女様にお聞きいたしました。ドスグラー様が直接何か行動をなさるとか。休暇はそのためなのですか?」
「そういうことだ。この休暇がうまく片付けば、いよいよ大掛かりな動きもできるだろう」
「かしこまりました。どうかお気をつけ下さいませ」
にこやかに俺に微笑む紫乃。
本当は跪いて一礼をしたいところなのかもしれないが、何せここは会社の中。
そんなことをするわけには行かないのだ。
「おっと、人が来たな。それでは失礼いたします社長」
「ええ、“素敵な休暇をお過ごしください”ね、洞上部長」
俺は紫乃に頭を下げると、廊下を部署に向かって歩き始めた。

終業時間が過ぎ、社内が慌ただしくなる。
帰り支度をする社員をしり目に俺は不来坂課長と打ち合わせだ。
彼女は改造も洗脳もされていないので、俺の正体をまったく知りはしない。
昨年、年下の男と結婚した彼女は、まだかなり夫にラブラブらしい。
結婚式の時に見ただけだが、相手の男は優しそうな感じの太目の男だった。
彼女のように物事をてきぱきやる人間は、多少だらしない相手に心惹かれるのかもしれないな。
まあ、今のうちは楽しむがいい。
いずれは彼女も改造して俺の手駒に加えるつもりだ。
優秀な彼女は怪人に改造しても問題ないだろう。
そのとき、夫のことをどう思うようになるか・・・
見ものだな。
ふふ・・・どうやら俺は寝取り願望が強いようだ。
百合香に惹かれたのもその一面があるのは否めまい。

「部長? 私の顔に何か付いています?」
ふしぎそうな顔で俺の方を向く不来坂香穂里(かおり)。
「あ、いやいや、なんでもないよ。いや・・・実は明日からの休みが楽しみでね。ついそっちの方を考えた」
「うふふ、そうでしたか。でも部長がこんなにまとまった休暇を取るのは初めてですから、私で代役が勤まりますでしょうか?」
不安そうに顔を曇らせる彼女。
「なに、心配は無用だよ。君は充分私の代わりが勤まるさ。自信を持ちたまえ」
俺は彼女を励ましてやる。
これはお世辞ではない。
彼女は俺の部下の課長三人の中で一番有能だ。
だからこそクーライに引き込もうと思うのだ。
彼女ならば俺がいなくても問題は無いだろう。
「ありがとうございます、部長」
彼女がにこやかに微笑む。
「ところで不来坂君。どこか美味しいお菓子かケーキの店でも知らないかな? 息子の嫁に買っていってやりたいのだが」
「お菓子かケーキですか? それでしたら洋菓子の『ランペルール』というお店がありますよ。フランス皇帝に愛された味だとか」
不来坂課長はちょっと考え込んだ後、自分のお薦めを教えてくれる。
ランペルールか、そこにしてみようか・・・
俺は帰りにケーキでも買って帰ることを考えていた。
百合香が俺からのケーキをスムーズに受け取ってくれるかどうか。
そのときの表情で百合香の状況も把握できるだろうと考えたのだ。

俺は会社を出ると、先ほど教えてもらった洋菓子屋に寄っていく。
なるほど店内は洒落ているし、ケーキも美味しそうだ。
俺は店員にいくつかお任せで包んでもらい、それを持って家に帰る。
打ち合わせがあったことですでに時間は夜の八時過ぎ。
だが電車は相変わらず込んでいる。
やれやれだ。
電車が揺れた瞬間、俺はそばに居た若者の足を踏んでしまう。
「おっと、悪かったね。すまない」
俺はそう言って頭を下げる。
「ってぇ! いってぇよ! 俺の足踏まれたよぉ!」
若者が顔をしかめて大げさに痛そうな声を上げる。
やれやれ・・・
この手合いに捕まってしまったか・・・
すぐに周囲の柄の悪そうな若者が数人俺を取り囲む。
「おっさん。俺のダチに怪我させてすまないだけかい?」
「大丈夫かおい? 足折れたんじゃねえか?」
「ってぇよ! ぜってーどうかなってるよ! むちゃくちゃいてぇよ!」
「おっさん。ちょっと次で降りて付き合ってくれよな。ダチの足確認したいからよ。逃げんなよ」
やれやれ・・・
悪の組織クーライを束ねている俺だが、この手の手合いは好ましく無い。
こいつらはバカだ。
せいぜいが強制労働に使える程度に過ぎない。
もっとも・・・
この状況を我関せずで必死に視線をはずしている連中も似たようなものだがな。
「き、君たち・・・わ、悪かった。悪かったから・・・」
俺は笑いをこらえて恐ろしがっているふりをする。
数は四人か。
暇つぶしにはちょうどいい。
「なに、ちょっとダチの足を確認して、問題がなければ解放してやるよ。安心しろって」
なれなれしく俺の肩に手をかけてくる。
どうやらこいつがリーダーか?
俺は肩をすくめて黙っていた。

程なく電車は駅に着く。
俺は周囲を囲まれるようにしてホームに降ろされた。
そのまま彼らは俺をトイレに連れて行く。
まあ、パッと見ておかしな雰囲気には見えないだろうから、駅員が呼ばれることも無いだろう。
そのほうがこちらも都合がいい。
やつらはご丁寧にトイレの入り口に掃除用具入れから掃除中の立て看板を出して立てておく。
これで入ってくる人間はしばらくいないということだ。

「なあ、おっさん。俺たちも鬼じゃねえんだ。ダチに対して詫びいれて、誠意を見せてくれたらそれでいい」
なるほど。
まあ、遊ぶ金を頂戴ってことだな。
俺をトイレの突き当たりの壁に追い込み、入り口を見張るやつが一人と俺に迫るやつが二人。
それに足を痛そうにしているやつが一人か。
久し振りに楽しむとしよう。
「わ、わかった」
俺はそう言って、財布を出すためを装い、ケーキの箱と鞄を洗面台の上に置く。
そして、振り返りざまに右手を一人目の胴にめり込ませた。
「ゲホォッ!」
予測もしていなかったのだろう。
まったくの無防備で一撃を食らったそいつは、上半身を前に折る。
そこに下から二撃目をくれてやると、そいつは簡単に飛んでいった。
「島田!」
リーダー格の二人目と足を痛そうにしていた三人目が、いきなりのことに目を見張る。
だが、すぐに俺に対して攻撃を仕掛けてきた。
おいおい、足が痛いんじゃなかったのか?
リーダー格はさすがにケンカ慣れしているのか、俺に対して距離を取る。
しかし、足が痛いと言っていた三人目は、これ見よがしにナイフを取り出し、そのまま俺に突きかかる。
やれやれ。
俺はナイフを突き出した腕を脇に抱え込むと、そのままがっちりと押さえ込んで膝を胴にめり込ませる。
そして抱え込んだ手をはずして、のめりこむ相手の上から肘を落としてやった。

「やるな、おっさん。だが容赦しねえぜ」
リーダー格もナイフを取り出してくる。
脅し用なのだろうが、ここまできたらやむを得ないってか?
俺は無造作に近づくと、彼の突き出すナイフを二三回かわして見せる。
やれやれ。
完全にではないものの、この躰はそれなりに強化はしてあるのだよ。
俺は手刀でナイフを叩き落すと、そのまま男の顔面に一撃を食らわせる。
「グハッ」
よろめいたところをハイキックで一撃。
これで男は床に沈む。
さて、あと一人か。

「おや?」
どうやら相手が悪いと悟ったのか、見張り役の男は逃げ去ったらしい。
まったく・・・
その程度だからバカだと言われるのだ。
俺はケーキと鞄を持つと、誰かに見られないうちにトイレを後にする。
まあ、あとはアジトに戻ってからだ。
このまま赦すほど俺は寛容ではないからな。
俺は飛び立って行ったハエ型ロボットを見送り、再び電車に乗り込むと、ざわめき始めた駅を後にした。
  1. 2010/02/28(日) 20:50:09|
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ホワイトリリィ(8)

25日間連続200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」
今日は8回目です。
ようやく3分の1になりました。

まだまだ続きますが、応援よろしくお願いいたします。
それではどうぞ。


8、
                   ******

蜘蛛女の提言により、百合香の脳波に合わせて調節した感情コントロールパルスを発信するようになって数日。
効果は劇的に現れていた。
最初の三日間は百合香の脳波に合わせていなかったために、せいぜいが百合香の緊張感をやわらげるだけだった。
しかし、百合香の脳波を調べ、それに合わせてパルスを発信するようにした結果、百合香は俺に対してもう身構えることもなくなり、以前のように振舞い始めたのだ。
にこやかな笑顔で俺を出迎えてくれるし、俺と一緒のテーブルで夕食も取ってくれる。
ほとんど以前と変わらなくなってきたのだ。

俺はクーライの活動をほとんど停滞させた。
そうすれば百合香は専業主婦としてほぼ一日を家で過ごすことになる。
発信パルスを充分に浴びることができるのだ。
無論、この間にも優秀な人材の調査は怠らない。
クーライの改造人間に相応しい女性を探し出し、新たな戦力に加えるのだ。
俺はできるだけ目立たぬように活動するよう蜘蛛女にいい含めた。
そして、百合香の俺に対する警戒心が薄らいだと判断した俺は、次の段階へ進むことにした。
いよいよ百合香の思考をゆがめるのだ。

                   ******

日曜日。
今日は俺も了史も家にいる。
いつもの週末ならばクーライの首領として破壊活動を命じていただろう。
何しろクーライは土日の活動が多いと有名なぐらいだからな。
だが、今は活動を抑えている。
人間に変身したりすることのできないクーライの改造人間たちは、街へ繰り出して羽目をはずすというわけには行かない。
その代わり、俺はできるだけ余暇を楽しめるようにアジトの一部をレクリェーションルームに当てている。
その他にも趣味の物は自由に取り寄せさせていた。
今はインターネットという便利なものがある。
通信販売で大抵の物は取り寄せられるのだ。
専用の受け取り場所を用意しておけば問題は無い。
蜘蛛女は俺と同じく読書好きで、特に歴史系に強い。
もともとが女刑事だったとは思えないところだ。
いつも通信販売で歴史系の本をどっさりと買い込んでいる。
俺も時たま押し付けられるのだが、歴史は嫌いではないのでありがたい。
サソリ女はカラオケが大好き。
いつも女戦闘員や他の女怪人たちと歌っている。
おそらく今日もアジトのカラオケルームを使っているだろう。
ホタル女はマンガを描くのがうまい。
女戦闘員たちを使って同人誌まで作っているのだ。
百合モノを描いていますというから、何かと思ったのだが、どうも女性同士の恋愛モノらしい。
女怪人たちには結構好評ということだった。
いや、そんなことはどうでもいい。
のんびりとした日曜の午後。
俺はリビングで俺自身の趣味でもある読書を楽しんでいた。
無論、パルスは発信されている。
百合香がどのような反応を示すか・・・
それが楽しみだ。

了史は二階の自室でゲームをやっている。
いい歳をして・・・とも言いたくなるが、最近のゲームは大人がターゲットになっていると言ってもいい。
少子化が進んでいる日本では、ゲームといえども大人もターゲットにしないとならないのだろう。
それに、ゲームで育った世代が了史のように社会人になっている。
それも大きな理由の一つに違いない。
「百合香さん、すまないがコーヒーをもらえるかな?」
せっかく二人でリビングにいるのだ。
百合香にコーヒーを淹れてもらうのも悪くない。
「はい、お義父様」
楽しんでいたクロスワードパズルをテーブルに置き、いやな顔一つせずに立ち上がる百合香。
クロスワードパズルは彼女の趣味の一つ。
それを中断されるのは決していい気分じゃあるまい。
本当にいい女だ。
俺はキッチンへ向かう百合香の素敵な丸いお尻を眺める。
ふふ・・・
と、これはさすがに不躾か・・・
これでも俺はクーライの首領。
無作法は慎むとしようか。
ま、そうは言っても世間の親父どもはこんなものかもしれないがな。
俺はそんなことを考えて苦笑した。

「はい、どうぞ」
百合香がにこやかにコーヒーを持ってくる。
見ると、コーヒーの載ったトレイとは別に、果物かごも添えてあるようだ。
「コーヒーだけではちょっと寂しくありませんかお義父様」
そう言って百合香がテーブルに置いた果物かごにはバナナやネーブルなどが載っていた。
「ああ、ありがとう。ん? バナナか?」
俺はコーヒーを受け取ると、バナナに目を止める。
「昨日見かけたものですから。お義父様もおあがりになりませんか?」
そう言って百合香がバナナを房から一本もぎ取って差し出してくる。
「そうだな。いただくよ」
俺の若い頃はバナナは結構なご馳走だったなぁ・・・
遠足のおやつ代にはバナナが含まれるかどうかが学校で話題になったっけ・・・
俺は百合香の差し出したバナナを受け取って口に運ぶ。
ふっ・・・バナナか・・・
今、百合香にはパルスが照射されている。
それは百合香が俺を求めるようになるように多少催淫効果をもたらすように調整したものだ。
だが・・・
だからと言ってバナナというのはベタすぎるし、何よりそこまでの効果はまだあるまい。
ん?
俺はふと気が付いた。
百合香がバナナをじっと見ているのだ。
まさか・・・
パルスの効果がもう出始めたのか?
百合香は心なしか潤んだような瞳でバナナを見つめている。
なんというエロチックな表情だろう。
俺はたぎるものを感じずにはいられない。
時が止まったかのような一瞬。
俺は無言で百合香を見つめている。
息さえすることを躊躇うような張り詰めた瞬間。
「!」
時が流れ始める。
百合香は一瞬今の自分に驚いたようにしていたが、おもむろにバナナを剥いて食べ始めた。
それを見て、俺はそっと目をそらし、コーヒーを口にした。

どうやら百合香に多少の淫欲を植え付ける作戦はうまく行き始めたらしい。
無論、あくまでちょっとしたものであり、淫らな欲望に取り憑かれた百合香が、見境無く男を求めるようなものではない。
先ほどのバナナのときと同じように、日常のちょっとしたことに淫らなものを考えたりするようになるだけだ。
だが、そのちょっとしたことが百合香の心にのちのち影響を与えて行く。
そうなれば・・・
百合香はやがて俺を受け入れるようになり、俺は百合香の身も心も手に入れることができるはずだ。
その上で俺の導きにより、美しい百合香が淫欲の虜になるのであれば、それはさぞかし見物だろう。
もっとも、そのためには更なる仕掛けを施さなくてはならないがな。
俺はコーヒーを飲みながら、笑みを浮かべていた。

夜、自室へ引き上げた俺は今日もアジトへ下りていく。
夕食が終われば、それぞれが自由に過ごすのが我が家のいつもの日常だ。
二世帯住宅とまでは行かないものの、自室に入ってしまえば滅多なことでは了史も百合香も呼びには来ない。
それに俺の部屋はタバコくさいから近寄りたがらないと言ってもいい。
とはいえ、いつどのようなことがあるかわからないから、自室からアジトに下りるのは必要な時に限ると決めていた。
そのはずなのにな・・・

「お帰りなさいませ、ドスグラー様」
地下のアジトでは夜勤の女戦闘員たちと、当直のコオロギ女が出迎えてくれる。
蜘蛛女は自室で休息を取っているのだろう。
「ご苦労」
俺はうやうやしくかしこまっているコオロギ女と女戦闘員たちにうなずくと、任務に戻らせる。
表立った活動は控えさせているとはいえ、彼女たちは暇では無い。
企業のコンピュータにハッキングしたり、警察や自衛隊の情報などを探ったりなどと、やることは結構ある。
まあ、直接行動が主たる任務の女怪人たちは多少は暇だろうがな。
「コオロギ女よ」
「は、はいっ」
女戦闘員たちとなにやらモニターに向かっていたコオロギ女がすぐに返事をして俺のもとに跪く。
「お呼びでしょうか、ドスグラー様」
茶褐色の外骨格にその身を覆われたコオロギ女は大きな複眼で俺を見上げた。
全身を改造により強化されたこのコオロギ女は、ほんの数ヶ月前まではアイドル少女だった娘だ。
その失踪は世間を騒がせたものだが、一ヶ月もすればテレビも騒ぐのをやめてしまう。
勝手なものだ。
勝手にアイドルに祭り上げ、勝手に存在を無かったかのようにしてしまう。
マスコミというものの理不尽さを俺はあらためて思った。

「どうだ? ここの暮らしには慣れたか?」
俺の言葉に一瞬驚いたような表情をコオロギ女は浮かべた。
まさか首領自らが一人の怪人のことを気に掛けるなど思いもしなかったのだろう。
「あ、お気に掛けてくださってありがとうございますドスグラー様。はい、蜘蛛女様やサソリ女様のおかげでもうすっかり」
すごく嬉しそうにコオロギ女は口元に笑みを見せる。
可愛いものだ。
「そうか。今は活動を控えているが、その時が来たら暴れてもらわねばならんぞ」
「はい、お任せ下さいませドスグラー様。私の翅を擦り合わせる時の超音波は殺人音波にも破壊音波にもなります。クーライに歯向かう愚か者どもにたっぷりと私の歌を聞かせてやりますわ」
楽しそうに翅を震わせるコオロギ女に俺はうなずいた。
頼もしいものだ。
「うむ。期待しているぞ」
「はい! ドスグラー様」
「ところで蜘蛛女は寝ているのか?」
一礼するコオロギ女に、俺は重ねて問いかけた。
怪人とて休息は必要だ。
もっとも、人間とは違い、休息しているときでも感覚は研ぎ澄まされている。
何かあった時には一瞬で全力行動ができるのだ。
「おそらくはそうかと・・・すぐに起こしますが」
「いや、いい」
腰を浮かせかけたコオロギ女を俺は押しとどめる。
俺が聞きたいのは一つだけだ。
了史の方の脳波シグナルの分析が終わったのかどうか。
そのデータが発信機に生かされるのかどうか。
それだけなのだ。
「司令室に顔を出したら、俺に連絡をするように言うのだ。夜中だろうが朝だろうが構わん。いいな」
おれはそう言うとコオロギ女の頭を撫でてやる。
まだまだ少女と言っていいコオロギ女は可愛いものだ。
「はい、かしこまりましたドスグラー様」
目を輝かせるコオロギ女。
俺からの他愛も無い依頼だが、首領の直接命令を受けるのは始めてのことだ。
きっと喜びで胸が一杯なのだろう。
良くも悪くもそう感じるように洗脳してあるのだ。
それが嬉しくもあり、ちょっと悲しくもある。
立ち上がって司令室を後にする俺を、コオロギ女はずっと見送ってくれたのだった。

部屋に戻った俺は、すぐに蜘蛛女からの連絡をもらう。
コオロギ女め、蜘蛛女を叩き起こしたのではないだろうか。
困ったものだ。
俺への忠誠が一番である以上、他に対しての気配りなどおろそかになってしまう。
「ご苦労」
俺は多少すまなく思いながら携帯を耳に当てる。
『お呼びでございましょうか、ドスグラー様』
「うむ、了史の脳波シグナルの調査は済んでいるか?」
『はい。全て調査済みでございます。了史様の・・・』
「様などいらん!」
俺はつい言葉を荒くする。
あいつが俺の可愛い怪人たちに様付けで呼ばれるなど、腹立たしいにもほどがある。
『失礼いたしましたドスグラー様。洞上了史の脳波は分析を終え、すでにデータを発信機に転送し組み込みました。いつでもコントロール可能です』
「そうか。よくやったぞ」
俺はうなずいた。
『ありがとうございます、ドスグラー様』
「技術班の連中にもよくやったと伝えろ。ご苦労だった」
『ハッ』
蜘蛛女にそう言って俺は携帯を閉じる。
これで仕掛けも整った。
  1. 2010/02/27(土) 20:36:00|
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02月27日のココロ日記(BlogPet)

今日は冷える日ですね!舞方雅人さんのお布団あたためておきますね♪

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2010/02/27(土) 07:48:37|
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ホワイトリリィ(7)

200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」7回目です。

それではどうぞ。


7、
「ただいま」
俺は何となく重苦しい気持ちで玄関を開ける。
『お帰りなさいませ、お義父様』
以前なら奥のキッチンからでもこう言いながら出迎えてくれた百合香。
だが、あれ以来そういったことは無い。
はあ・・・
やめればよかったのか?
やるべきではなかったのか?
いや。
これは一時のことだ。
これは試練だとも。
これを乗り切れば・・・
百合香はやがて俺のものとなる。
そう、俺のものとなるのだ。

「お帰りなさい・・・お義父様・・・」
リビングに入ると、驚いたことに声をかけられる。
テーブルについていた百合香がうつむきながらもそう言ってくれたのだ。
ほう・・・
俺は嬉しくなる。
「今・・・食事の支度をしますね」
百合香はやはり気まずいのかそそくさとリビングを出る。
それでもやはりパルスの影響があるのか?
声をかけてもらえただけで俺は嬉しかった。

昨日と変わらぬ一人の食事を終えた俺は、仕事を片付ける振りをして部屋に向かう。
さて、蜘蛛女に今日の状況を確認しなくてはならない。
本来ならそんなことまで俺がしゃしゃり出る必要は無いのだが・・・
今後のこともあるし、少し打ち合わせをしておかねばな。
俺は部屋でタバコを一服し、地下のアジトに下りて行った。

ああん・・・はぁん・・・
うふふ・・・
あん・・・ああ・・・ああん・・・
ふふ・・・うふふふ・・・
なんだ、このなまめかしく色っぽい声は?
アジトに下りた俺の強化した耳に、かすかに聞こえてくる妖しい声。
俺は何となく気になって、着替えた後に司令室をモニターに映し出す。
ああ・・・なるほど、そういうことか・・・
俺は苦笑した。

『ああん・・・ああ・・・いや・・・うあ・・・ああん・・・も、もうやめてぇ』
『ふふふ・・・もしかして感じているのかしら? いやらしいわね。これじゃお仕置きにならないじゃない。ちゃんと反省しているの?』
『ああん・・・あん・・・そんな・・・こんなお仕置きって・・・はぁん』
大柄なムカデ女が、床に組みし抱かれ、蜘蛛女の八方からの責めに躰をよじってあえいでいるのだ。
躰の両脇に生えた無数の脚をざわざわと蠢かせ、つややかな金髪を振り乱して息も絶え絶えになっているムカデ女を、蜘蛛女がその上にのしかかるようにして、その長い手足を自由に使って的確にムカデ女の弱点を責めている。
大柄なムカデ女がその気になればすぐにも体勢を逆にできそうなものなのに、蜘蛛女はまったくそうはさせていない。
それどころか、人間であった時には存在しなかった両脇の四本の蜘蛛脚を自在に操り、ムカデ女に快楽を与え続けているのだ。
快楽も限度を過ぎれば苦痛になる。
今のムカデ女がどう思っているかはわからないが、蜘蛛女の責めに快楽を越えた苦痛を味わっていることは間違いない。
俺はそっとモニターを消して部屋を出た。

スモークを流すことも照明を落とすこともせずに司令室に現れた俺に、二人はかなり驚いていたものの、俺の目配せにうなずいた蜘蛛女は、そのままムカデ女への“お仕置き”を続けていく。
「ああ・・・はあん・・・イッちゃう・・・またイッちゃいますー」
「本当にいやらしいわね。もう何度目? はしたない女。こんなことぐらいでイッちゃうなんて」
俺に見られていることに羞恥心をあおられつつも、全身を走る快楽には抗いようも無い。
ムカデ女はもう何度も俺の前で絶頂を重ねていた。
普通の人間の女ならイきすぎておかしくなりかねないぐらいだ。
「ああん。も、もう赦して・・・赦してください・・・お赦しをー」
またしてもガクガクと躰を震わせて絶頂を迎えるムカデ女。
「まだよ。まだ赦さない。あなたのせいで私はドスグラー様のお怒りを買ったのよ! あれほど隠密に徹しなさいって言ったのに!」
「ああーっ! すみませんすみません。嬉しくて・・・改造人間になれたのが嬉しくてーっ!」
「当然でしょ! 私たちはクーライの改造人間。ドスグラー様に選ばれた存在。嬉しいのは当たり前じゃない! でも、命令を無視するような女はクーライには無用なのよ」
口元をサディスティックな喜びにゆがめながら、蜘蛛女はその手を休めない。
ずいぶんと楽しんでいるようじゃないか。
「お、お赦しくださいーっ! 二度と、二度と命令には逆らいません。ああーっ、イッちゃうーっ、あああん」
「いやらしいムカデ女。見なさい。あなたの敬愛するドスグラー様があなたの痴態をご覧になっていらっしゃるわ」
「い、いやぁっ! お、お赦しを・・・ドスグラー様お赦しを・・・わ、私の・・・ムカデ女の醜態をお赦しくださいませぇ」
ほう・・・
蜘蛛女の“お仕置き”の腕はたいしたものだな。
まさにアジトの女王様と言ったところか。
俺はしばし二人の絡みを堪能した。

ハアハアと肩で息をしながらも、床に跪いている蜘蛛女とムカデ女。
戦闘員たちは“お仕置き”の間司令室を出されていたらしい。
俺は今回のことについて再度報告を受けた上で、特に咎めることは無いことを伝えた。
ムカデ女も無事だし、モサドの動きをしばしの間停滞させたのも間違いないだろう。
日本の公安も動きを鈍くするかもしれない。
そんな状況で彼女たち、蜘蛛女とムカデ女を咎めるべき理由は何も無いのだ。
二人は喜びもあらわに俺に平伏し、より一層の忠誠を誓う旨を伝えてくる。
これこそが悪の組織の首領である醍醐味だろう。
可愛いやつらだ。

俺は話が終わったあとで蜘蛛女を呼び寄せる。
これからの事もあるし、蜘蛛女にだけは話をしておこうと思ったのだ。
「お呼びでしょうか、ドスグラー様」
蜘蛛女がムカデ女を見送って俺の前に跪く。
額に並んだ三つの赤い単眼が彼女が蜘蛛であることをしっかりと主張している。
全身を黒い剛毛で覆われて、両脇からは二対の蜘蛛脚が生えているものの、その姿は女性のラインを崩してはいない。
胸の二つの膨らみも柔らかくくびれた腰もなだらかな肩も美しい。
彼女はある意味芸術品なのだ。
「うむ。わがクーライはしばし作戦活動を控えることにする」
「・・・かしこまりました」
蜘蛛女は一瞬驚いた表情を見せたものの、すぐに俺に一礼する。
ふん、頭のいいやつだ。
黙ることで俺の次の言葉を引き出すつもりだな。
「理由は聞かないのか?」
「ドスグラー様がお決めになったことでございます。理由など私が聞くべきことではありません」
「我々にとってホワイトリリィが最大の敵であることはわかるな?」
俺は椅子に深く腰掛けて脚を組む。
「もちろんです。ドスグラー様」
「そのホワイトリリィの正体を突き止めたのだ」
「えっ?」
蜘蛛女が思わず顔を上げる。
それはそうだ。
こちらがいろいろと探ってもわからなかったのだからな。
あのことがなければ今でも気が付かなかっただろう。
「ホワイトリリィの正体ですか? それは一体?」
「うむ、それなんだが・・・」
俺はここで言いよどむ。
ホワイトリリィは憎むべき敵だ。
俺だって百合香がホワイトリリィでなければ殺しても飽き足らないだろう。
蜘蛛女にしても幾人かの部下を失ったのだ。
ホワイトリリィを憎んでいるはず。
はたして百合香のことを・・・

だが、俺はクーライの首領である。
いかに理不尽と感じようが俺の命令は絶対だ。
それに部下に隠し事をするような首領では部下も付いてはこないだろう。
「ホワイトリリィの正体は洞上百合香だ」
一瞬何のことだかわからないといった表情の蜘蛛女。
「百合香って? ドスグラー様のご家族の百合香さん・・・ですか?」
「そうだ」
「・・・・・・」
俺がうなずくと蜘蛛女は無言になる。
「ドスグラー様・・・ホワイトリリィをどうなさるのですか?」
蜘蛛女が唇を噛み締めている。
今まで散々煮え湯を飲まされたのだ。
無理も無いな。
「俺が百合香に持っている想いをお前は知っているな?」
「・・・・・・はい」
「俺は百合香を手に入れる。例え百合香がホワイトリリィであったとしてもだ」
「ドスグラー様・・・」
「蜘蛛女、お前にとってはつらいことかもしれないが、俺は百合香を手に入れる。そのために百合香の感情をいじってやるのだ」
俺は言い聞かせるように繰り返した。
「あの装置ですね?」
俺は黙ってうなずく。
「百合香さんの感情をいじる・・・百合香さんを手に入れるということはホワイトリリィはどうなるのですか?」
「百合香とホワイトリリィの精神が同じであるのならば、百合香が我がものとなった暁にはホワイトリリィの脅威は無くなろう。だが、ホワイトリリィの時と百合香の時とで人格が変わるのであれば・・・」
その時は厄介だな・・・
「ホワイトリリィは根底の部分で百合香さんの優しさを持っていると思われます。おそらく別人格ということは無いかと・・・」
「だといいのだがな」
俺は蜘蛛女の言葉にうなずいた。
おそらくそうだろう。
いや、そうであって欲しいところだ。
「どちらにせよ俺は百合香を我がものにして、できればクーライに迎え入れたい。彼女は魅力的である以上に有能でもあるからな」
俺はそう言うと蜘蛛女の反応を待った。
嫉妬や憎悪というものは底が深い。
理解しろと言っても感情が納得しないものだ。
はたして蜘蛛女の顔に一瞬暗いような悲しいような表情が浮かぶ。

だが、それは本当に一瞬のこと。
蜘蛛女はすぐにくすくすと笑いを浮かべたのだ。
「どうした?」
俺はちょっと戸惑った。
この笑みは何を意味するのか?
「ドスグラー様。ご不安ですか?」
蜘蛛女がそっと俺の足に擦り寄ってくる。
「不安だと?」
「はい。ホワイトリリィである百合香さんを我がものにしようとして画策なさること。さらには我がものとした百合香さんをクーライに迎え入れることで、私や他の女怪人たちに嫉妬や憎悪が芽生え、クーライの内部結束にひびが入るとご不安なのではございませんか?」
蜘蛛女はそう言って甘えるように俺を見上げる。
さすがだ。
俺の気持ちを的確に読み込んでいる。
「ご心配は無用です、ドスグラー様」
無用?
「ホワイトリリィは確かに憎むべき敵。今まで失った怪人たちのことを考えれば憎んでも余りある敵。ですが、ご存知でしたかドスグラー様?」
「何をだ?」
俺は優しく蜘蛛女ののどを撫でてやる。
「私たちはドスグラー様が大好きです。身も心も捧げております」
「当然だ。俺がそう仕向けたのだから」
「ですからご心配は無用なのです。ドスグラー様がお決めになったことに否やを唱えるものはクーライにはおりません」
「蜘蛛女・・・」
うっとりと俺を見上げている蜘蛛女。
可愛いやつだ。
「私たちの感情など無意味です。ドスグラー様の御心を私どもの感情で乱すことなどあってはなりません。どうぞ百合香さんを・・・いえ、百合香様をクーライの一員にお迎え下さいませ。私たちはドスグラー様のお選びになったお方なら、身も心も捧げます」
「百合香様・・・か。俺が百合香を幹部扱いしようと考えていることを知っていたか・・・」
「はい、存じておりました。百合香さんは優秀ですから異存はありません。もし・・・」
「もし?」
「もし私の心が醜い思いに捕らわれるようなことがあれば、そのときは・・・そのときは再洗脳をお願いいたします」
俺は蜘蛛女を抱き上げる。
「あ・・・」
俺は蜘蛛女を膝の上に載せ、その唇をむさぼった。
「ド、ドスグラー様・・・」
「すまんな、蜘蛛女」
「いいえ。私は当然のことを言ったまでです」
すっと身を引いて、再び俺の前に蜘蛛女は跪く。
「ドスグラー様、あのパルス発信機は特定脳波に合わせることが可能です。百合香さんの脳波シグナルを調べることをお許し下さい」
「脳波シグナルだと?」
「はい。特定脳波に合わせたパルスであれば、より一層コントロールしやすいと思われます。百合香様を一日も早く我がクーライに迎えるためにもその方がよろしいかと」
なるほど、不特定多数に対して最大の効果を与えるように調整されている今の状態では、百合香だけではなく俺や了史にも影響がある。
それどころか百合香に与える影響力も限られるというわけか。
やれやれ・・・
そんなことにも気が回らなかったとは・・・
やはりどうかしているな。
もう少し早くに蜘蛛女には全て話しておくべきだったか。
俺は苦笑した。
「任せる。頼んだぞ」
「はい、ドスグラー様。では失礼いたします」
うやうやしく一礼し、去っていく蜘蛛女。
俺は立ち去る蜘蛛女の後ろ姿を眺め、あらためて彼女を手駒にできた喜びを噛み締めていた。
  1. 2010/02/26(金) 21:21:21|
  2. ホワイトリリィ
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ホワイトリリィ(6)

200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」の6回目です。
まだ先は長いですが、お付き合いくださいませ。

それではどうぞ。


6、
                   ******

「ふわぁぁぁ・・・」
俺はつい大きなあくびをしてしまう。
それを見た女子社員たちがくすくすと忍び笑いを漏らしていた。
「寝不足ですか? 部長」
「鬼の洞上部長もあくびをすることがあるんですね」
女子社員たちの悪意の無いからかいが聞こえてくる。
「おいおい君たち。私だって人間だよ。眠けりゃあくびもするさ」
俺は苦笑しながらそう言った。
ちなみに鬼の洞上部長というのは仕事に対して厳しいかららしい。
別段仕事最中にあくびを咎めたり私語をするなと言っているわけではない。
仕事できちんと成果を出してくれれば、極端な話居眠りをしてもいいのだ。
もっとも、他への影響もあるので、実際に居眠りなどしていたら起こすしか無いだろうがな。
まあ、俺が寝不足なのは間違いない。
夕べはあれからあの女の改造に立ち会ったのだ。
あの女は結局ロシア人などではなかった。
イスラエルの諜報機関モサドの潜入工作員ユーリア・ベレロフスカヤという人物だったのだ。
ロシア系ユダヤ人の彼女は、モサドの指示で日本政府を困惑させている悪の組織クーライの情報収集に来たと言う。
潜入工作員である彼女の身体能力は予想以上に高く、女戦闘員どもが苦戦したというのもうなずける。
俺は彼女を手駒にするべく改造を命じ、今朝方までそれにかかっていたというわけだ。
今ではユーリアは我がクーライの女怪人ムカデ女として生まれ変わり、嬉々として我らを探ろうとしていたかつての仲間たちの拠点を破壊しに出かけている。
俺が帰る頃には片はついているだろう。

それはそれで楽しみではあるのだが、今の俺の一番の楽しみは本格的に始めた百合香へのパルス照射だ。
俺と了史が出勤した後は、百合香は自宅に一人きり。
俺は夕べと同じく、百合香の警戒心を解くためにリラックスさせるためのパルスを照射する。
エネルギーは自動供給されるから、照射しっぱなしでも問題は無い。
これを数日間も続ければ、おそらく百合香は俺と二人きりでいることも気にならなくなるに違いない。
そうなれば第二段階に移る。
本格的に百合香の感情を制御するのだ。
さぞかし面白いことになるに違いない。
俺はそんなことを考えながら、仕事を機械的にこなして行った。

「ん?」
なにやら廊下が騒がしいな。
何かあったのか?
「見波(みなみ)君、何かあったのかね?」
俺は様子を覗いて戻ってきた部下に尋ねる。
「部長、出たんですよ、また」
若い見波が何となく興奮気味になっている。
「出たって? 何が?」
俺は悪い予感を感じた。
「クーライですよ、クーライ! クーライの女怪人が出たんです! 副都心のあたりは大変なことになっているみたいですよ」
「え~っ!」
「うそ~!」
女子社員に心細そうな表情が浮かぶ。
やっぱりか・・・
隠密活動に徹するようには言っておいたのだが、さすがにイスラエルはただではやられてくれなかったか。
襲撃がどこかから漏れ、テレビが嗅ぎ付けたというところだろう。
まずいな・・・
廊下の方からおおーっっと言う声が上がる。
「来ました! ホワイトリリィが来ましたよ!」
誰かが親切にも廊下から教えてくれる。
「来たかっ!」
待ってましたとばかりに休憩室に向かう見波。
今頃休憩室のテレビは人だかりだろう。
何人かの社員は携帯でテレビを見始めている。
やれやれ・・・
俺は立ち上がると、トイレに向かって歩き出した。

クーライの残虐性は人々にも知れ渡っている。
俺はやはり悪の組織というものは人々に恐怖を与える存在であることが大事だと考えていた。
征服した後も人々に服従を強いるなら、やはり恐怖がうってつけなのだ。
そのためには時々見せしめ的に破壊活動を行なう必要がある。
日本の国家能力を低下させ、人々には恐怖を与える。
それがクーライの基本的な活動だ。
だから俺はクーライの女怪人たちの姿がテレビなどに映し出されても気にしなかった。
かえって恐怖感を煽ることになるだろうと思ったからだ。
だが、その目論見は今のところはずれている。
クーライの残虐性を見せる女怪人たち以上に、一人の凛々しい正義のヒロインをクローズアップしてしまっているからだ。
白いミニスカート型のレオタードを身に纏ったホワイトリリィが、女怪人たちと死闘を繰り広げる様は、まるで特撮ドラマか映画のようだ。
人間などというものは自分の身に振りかからなければ、どんな災厄もテレビの中のこととして片付けてしまう。
結果、恐怖を振りまくはずのクーライが、ホワイトリリィの引き立て役になってしまい、人々は最近ではクーライの女怪人が現れることでホワイトリリィが出てくることを待ち望むようになってしまっている。
ホワイトリリィの姿を映したニュース映像はネットで何度も流されるほどだ。

そして、それと同時に俺自身苦笑せざるを得ない状況も生まれている。
かつての俺が・・・いや、今の俺がそうであるように、悪の組織クーライに魅力を感じる人間もいる。
今の日本の閉塞感を打破する必要悪として考えている者や、単純に美しい女怪人たちに惚れ込んでいる者もいる。
ばかばかしい話だが、クーライの女怪人はひそかにファンが多いのだ。
カマキリ女、毒蛾女、カゲロウ女、セミ女、トンボ女・・・ホワイトリリィとの戦いで失った女怪人たちはいずれもとても人気が高い。
おそらく今回のムカデ女もそうなるだろうし、今はまだTVに姿を捉えられていない蜘蛛女やホタル女たちなども、その姿を見せれば多くのファンを魅了するはずだ。
皆、異形の存在ではあるものの、その姿は女性のラインをとどめている。
異形でありながら美しくさえ感じさせるものを持っているのだ。
俺だって男だ。
むさくるしい男を改造するより、美しい女を改造して手駒にしたい。
美しい女であれば、その魅力を維持しておきたいと思うのも当然ではないだろうか。
戦闘員も怪人も俺は女性を改造する。
美しい女怪人こそ悪の首領の手駒に相応しいではないか。
俺はそう独り決めして女怪人を作り出している。
確かKiss in theなんとかというどこぞのネットのサイトにそういった悪の組織があったなぁ。
素敵な女怪人のイラストは俺も参考にさせてもらったもの。
俺はそんなことを考えながらトイレに入った。

「もしもし、蜘蛛女か?」
俺はトイレの個室に入り、充分に注意をした上で携帯で蜘蛛女に電話する。
本当なら腕時計型通信機とか、指輪に仕込んだ通信機のようなものがそれらしいのだろうが、わざわざそんなものを作らなくても携帯で用が足せるならそれでいい。
もっとも、携帯をかける悪の組織の首領なんてのは、威厳が無いことはなはだしいかもしれないな。
『もしもし、ド、ドスグラー様ですか? も、申し訳ありません』
第一声が謝りの言葉とは、俺の電話の理由がわかっているようだ。
俺の携帯からの音声は通常はアジトのスピーカに繋がるようになっている。
相手の応答もアジト内のマイクが拾ってくれるのだ。
そのため、普段俺からの指示を携帯で伝える時には、あの有名な特撮番組の首領よろしくアジト内に俺の音声がランプの輝きとともに響くことになる。
無論その時はアジト内の全員が直立不動、もしくは跪いた状態で俺の声に耳を傾ける。
だが、今回はある意味叱責だ。
女戦闘員たちに聞かれてはアジトの責任者たる蜘蛛女もばつが悪いだろう。
それに今回は蜘蛛女の責任とばかりも言えない。
昼間っから単独行動を取らせた俺にもうかつだったところがある。
そのため俺は今回はスピーカーから音声を流すことは避けることにした。
蜘蛛女の威信を低下させるわけにはいかないからな。
彼女はアジト責任者として充分すぎるほどに役立ってくれているのだから。

「ホワイトリリィと交戦に入ったらしいな。不手際だぞ」
『ああ・・・申し訳ございません。お叱りは後ほど必ず・・・』
俺は洋式便器の便座のふたに腰掛ける。
今回俺は蜘蛛女の持つ携帯に直接電話をかけたのだ。
周りの女戦闘員に多少の違和感は与えるかもしれないが、頭ごなしに叱責を受けるよりははるかにましだろう。
もちろん何重ものセキュリティなどをかけているから、一般回線を乗っ取っているにもかかわらず、電話会社にこの通話が漏れることは無い。
そういえばアジト内で付けている蜘蛛女のベルトポーチに入っていた携帯電話には女性らしく可愛いアクセサリーのストラップが付いていたな。
今頃蜘蛛女はその可愛いストラップ付きの携帯を耳に当ててかしこまっているのだろう。
俺はそんな光景を想像して苦笑する。
無論各女怪人たちには、当然のごとく頭部に通信チップが埋め込まれている。
アジトからであれば、携帯電話などを使わずとも俺からの通信を受け取ることができるのだ。
作戦行動中などは当たり前だがそちらを使う。
いちいち携帯を取り出すなどできるはずも無いからな。
本当ならば叱責である以上携帯にかけるなどという事はしないでおきたい。
だがここは会社内。
ここからでは携帯を使うしかない。
やむを得まい。
それに、女怪人たちはどうも各自の携帯に俺からの直通電話が入ることが結構嬉しいものらしく、できれば体内の通信チップよりも所有している携帯への連絡を欲しがっている。
そういえば毒蛾女も以前には・・・
『やったぁ、ドスグラー様、お電話ありがとうございます』
などと弾んだ声を聞かせてくれていたな・・・
俺は胸にちょっとした痛みを覚える。
可愛い怪人を失うというのはつらいものだ。
数ある悪の組織の首領も、こんな思いを味わったのだろうか・・・

『ド、ドスグラー様?』
俺は一瞬毒蛾女のことで我を忘れていたらしい。
俺が無言になってしまったことで、蜘蛛女が不安に思ってしまったようだ。
『お怒りはごもっともでございます。どのようなお叱りも覚悟しております』
「そんなのは後のことだ。モサドの連中にそれなりのダメージは与えたのか?」
俺は改めて状況を確認する。
『はい、人的被害はさほど与えられはしませんでしたが、拠点となっていた場所と、集積されていた物資やデータなどに関しては破壊いたしました。これで当分は活動を停止するかと』
ほう・・・
なかなかいいさじ加減だ。
やつらは復讐となると火が付くからな。
人的損害が少なければ折り合いも付けやすかろう。
イスラエルにもケンカを売ってしまったことになるが、まあいい。
ちょっかいをかけてきたのは向こうが先だ。
他の国の情報機関への牽制にもなるだろう。
「上出来だ。すぐにムカデ女を撤収させろ。ホワイトリリィには手を出すな」
ホワイトリリィには手を出すな・・・
俺は自分で言ったこの言葉にどきっとした。
俺はホワイトリリィの身を案じたのか?
それともホワイトリリィには歯が立たないと見て、ムカデ女の身を案じたのか?
やれやれ・・・
参ったものだ・・・
自分自身を偽るのはやめたはずなのに・・・
『かしこまりました。ムカデ女はすぐに撤収させます』
「ああ、くれぐれも気をつけるんだ。あとを付けられたりしないようにな」
『かしこまりました。その点は抜かりなく』
ふう・・・
俺は携帯を閉じる。
やれやれだ・・・

ホワイトリリィとムカデ女の決戦を期待していた観衆には悪いが、ムカデ女が早々に撤収したことで、戦いらしい戦いにはならなかったようだ。
俺はほっとしたものを感じつつ、午後の仕事を終えて家路につく。
まだまだ効果は望めないだろうが、パルスのおかげで多少は百合香も・・・
そこまで考えて、俺ははたと気が付いた。
そうか・・・
午後の騒ぎでホワイトリリィとして出かけていたか・・・
なんてこった・・・
  1. 2010/02/25(木) 21:18:49|
  2. ホワイトリリィ
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ホワイトリリィ(5)

200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」の5回目です。

今日も楽しんでいただけるとうれしいです。
それではどうぞ。


5、
                   ******

「洞上君、どうかね一杯? 今日は付き合いたまえよ」
就業時間間際、やってきた専務が口元でクイクイとお猪口を傾ける仕草をする。
前社長のコネで専務になっているこの男ははっきり言って能力が無い。
それに外見のことは言いたくないが、腹が出ている上に頭部も薄く、さらには身だしなみにも気を使わないタイプなので、社員の人気は最低ラインだ。
だが、向こうは俺を気に入っているらしく、時々こうやって誘いをかけてくる。
まあ、現社長に無能と切り捨てられたくないために、できるだけ派閥を広げたいのだろう。
それに俺は総務部長と言うことで、現社長からの信任も厚いということになっている。
無論それは当然のことだが。
それにしても高級クラブで一杯はいいのだが、現社長の悪口や社員や仕事の愚痴を聞かされるだけなどまっぴらだ。
早々に始末してやりたいものだが、何かトラブルなどが起こった時に責任をかぶせるためだけにとりあえず飼ってやっている。
「すみません専務。今日は用事がありまして」
俺はへこへこと頭を下げる。
「洞上君、そりゃあ無いだろう。私が誘っているのだよ」
だから行きたくないのだ。
それぐらいもわからんのか。
「すみません専務。この埋め合わせは近いうちにしますので。そうだ、専務に良さそうなパターがあったんですよ。今度プレゼントしますよ」
こいつの頭にはゴルフと女のことしか無い。
まあ、適当なものをくれてやればいいだろう。
「おほっ。そりゃあ楽しみだ。うんうん、期待しているよ」
ゴルフクラブを振るマネをして、笑い声を上げながら去っていく専務。
やれやれ・・・
俺は苦笑しながら帰り支度をすると、早々に会社を後にした。

「お帰りなさいませ、ドスグラー様」
「「お帰りなさいませ、ドスグラー様」」
アジトに下りると、いつものごとく出迎えてくれる蜘蛛女と女戦闘員たち。
いつ姿を現すかわからない俺によく仕えてくれている。
まあ、当然そのように改造し洗脳しているのだがな。
「ご苦労。頼んでおいたものはできているか?」
「はい、もちろんでございます」
蜘蛛女が指を鳴らすと、女戦闘員の一人がアタッシュケースを持ってくる。
俺はそれを受け取ると、中身を確認した。
中にはリモコンスイッチとパルス発信機がいくつか入っている。
これを部屋に取り付けて、いつでも起動できるようにしておかなければ。
「うむ。よくやったぞ」
「ああ・・・ありがとうございます」
蜘蛛女がまるで構ってもらった子犬のような潤んだ目をする。
俺に褒められるということが何より嬉しいのだ。
女戦闘員たちも嬉しそうにマスクからのぞいた口元に笑みを浮かべている。
俺は彼らにもうなずいてやり、アタッシュケースを持って司令室を出る。
いよいよ作戦を開始するのだ。
百合香よ。
待っているがいい。

俺はいつものように一度外に出て家に帰ると、アタッシュケースを自室に置き、着替えをしてからリビングにいく。
一見何も変わらない普段と同じ光景だが、百合香だけは違っていた。
俺が帰ってきたことでぴんと神経を張り詰めている。
まるでこれから戦いに望むかのようだ。
今のキッチンには俺は到底踏み込めないだろう。
おそらく踏み込めば百合香はホワイトリリィに変身してまでも俺を拒否しかねない。
まあ、実際そこまではしないにしても、それほど百合香さんの張り詰めた空気は凄まじかった。

俺は夕刊を取り上げて目を落とす。
強化してある眼は老眼などものともしない。
ほとんどの連中が眼鏡をかけているこの年代で、俺は眼鏡には縁の無い生活を送っていた。
「うん?」
俺はわざとらしく声を出す。
とたんにキッチンで夕食の支度に勤しむ百合香の躰がピクリと緊張した。
今はまだ警戒されるのは仕方が無い。
俺は苦笑しながらも続ける。
「蛍光灯の点きが悪くなってきたかな? 目がしょぼしょぼする」
俺はわざとらしくそう言って鼻の付け根を指でつまむ。
『お義父様ったら・・・もしかしてそろそろ老眼なんじゃないですか?』
今までならそんな他愛もない軽口を言ってくれたかも知れない。
だが今の百合香は無言で食事の支度に没頭している。
まるで俺の存在を無視するかのようだ。
意識すればいやでも先日の事を思い出す。
であれば、思い出さないように無視を決め込んでいるのだろう。
俺は椅子の上によじ登って、照明器具に手を伸ばす。
幸い百合香はこちらを見る様子は無い。
俺はアタッシュケースから取り出しておいたパルス発信機を照明器具に取り付け、リビングにパルスを流せるようにする。
これでいい。
了史がいる間は無理だろうが、百合香は専業主婦としてほとんどの時間をこの家で過ごしている。
その間中パルスを与えてやれば・・・
俺は思わず笑みが浮かんだ。

「お義父様、食事の準備ができました。もう食べられますか?」
キッチンから百合香の声がする。
「あ、ああ、そうだな」
俺は慌てて椅子から下りた。
「蛍光灯のせいじゃないな。俺もそろそろ老眼が来たかな?」
俺はわざとらしくため息をつく。
『そんなこと・・・先ほどのは冗談ですわ。お義父様はまだまだお若いですから、老眼なんてまだ早いです。きっと目がお疲れなんですよ』
などと言ってくれるのを期待・・・したのだが・・・
百合香は何となく俺と距離をとるようにして食器を並べていく。
できるだけ目を合わさないようにしているようだ。
今日はどうやらビーフシチューとサラダらしい。
先ほどからいいにおいが俺の鼻をくすぐっている。
「お義父様」
「ん? な、何だい?」
思わず俺の声も上ずっている。
何をやっているんだ、俺は?
「パンがいいですか? それともご飯?」
百合香のぎこちない笑顔が俺に向く。
彼女も何とか普段通りであろうとしているようだ。
「そうだな。やはりご飯かな」
日本人である以上、お米のご飯は食事の基本だ。
パンも悪くは無いが、洋食のビーフシチューといえども俺はご飯で食べたい。
こんなこと・・・
世の悪の組織の首領は考えたことがあるのだろうか・・・
パンがいいかご飯にしようかなどと考えている悪の首領ドスグラー。
蜘蛛女たちには見せられんな。

俺は一人黙々と食事を取る。
これ以上は無いと思えるほど美味いビーフシチューだが、一人で食べるのはやはり味気ない。
百合香は俺にご飯をよそうと、食事は了史と一緒に食べると言って自室に引き上げてしまった。
多少申し訳無さそうな顔をしていたものの、やはり俺と二人きりにはなりたくないのだろう。
やれやれ・・・
一刻も早く百合香の感情をいじってやらなくてはな。
俺は食事を終えると、食器を洗い場に下げ、二階の百合香の部屋に行く。
無論襲ったりするわけではない。
「百合香さん、食事美味しかったよ。ありがとう」
俺は扉の前でそう言うだけで下に下りる。
何をやっているんだか・・・

自室に戻った俺はすぐに蜘蛛型ロボットを放す。
リビングの様子を探らせるのだ。
このロボットからの映像は、携帯などでも受信でき、移動しながら見ることもできる。
とりあえずは今はパソコンのモニターで確認したところ、百合香はまだ部屋にいるらしい。
リビングに俺がいるかもしれないので、出てくる気が無いのかもしれないな。
それなら先に他への仕掛けを済ませてしまおう。
俺は蜘蛛型ロボットに階段を見張らせ、その映像を携帯で確認しつつ部屋を出る。
先ほどリビングには仕掛けたから、とりあえずは一階の部屋に仕掛けていく。
キッチン、お風呂、共有の和室。
俺は次々とパルス発信機を仕掛けていった。
トイレは・・・
まあ必要あるまい。
一通り仕掛け終わったあたりで二階で物音がした。
どうやら了史が帰ってくるらしい。
百合香が部屋から出てきたのだろう。
俺は百合香の姿を携帯で確認するとそそくさと部屋に戻る。
まったく・・・
何をやっているんだか・・・

俺は百合香がリビングに入ったのを見計らって、早速装置のスイッチを入れる。
とりあえずは緊張をやわらげ、俺に対する警戒心を薄めるのだ。
パルス発信機の小さなパイロットランプが点灯し、作動し始めたことを教えてくれる。
俺は蜘蛛型ロボットにリビングを監視させ、百合香の様子を観察した。
始めは先ほどと同じく一人でも緊張気味だったのが、少しずつほぐれていくような・・・
気のせいか表情が少し柔らかくなったような・・・
うんと伸びをする仕草がどこか猫を思わせるような・・・
やれやれ・・・
俺はここまで百合香に心捕らわれているのか?
相手は憎きホワイトリリィだぞ。
それでもいいのか?
・・・・・・いいのだ。
百合香を俺のものにする。
今はそれだけでいい。

『ただいまー』
了史が帰ってきたか。
いそいそと百合香が玄関へ出迎えに行く。
俺は苦々しい思いでパソコンを閉じた。
俺はそっと部屋を出ると、リビングに二人がいることを携帯で確認して二階へ上がる。
そして二人の寝室にパルス発信機を仕掛けて作業終了。
ホッと一息ついて自室へ戻る。
やれやれだ・・・

今日も早々に百合香たちを眠らせる。
まだまだ百合香の想いは了史にあるのだ。
そんな状態で了史に百合香を抱かせてなるものか。
俺はそんなことを考えつつアジトに潜る。
蜘蛛女よりの連絡が入っていたのだ。
何か俺の指示を仰ぎたいらしい。
もっともあいつは他愛も無いことで俺を呼び出すことがある。
俺の姿を見ることで喜びを感じたいと言う、ただそれだけの理由で俺を呼び出すこともあるのだ。
威厳のある首領と慕われる首領。
どちらがいいものやら。

「何事だ? 蜘蛛女よ」
「お待ちしておりました、ドスグラー様」
蜘蛛女たちが跪く。
「用件を言え」
俺は首領の椅子に座り、彼女たちを見下ろす。
「ハッ、我々を探っていた人間を捕らえました」
「ほう・・・」
蜘蛛女の報告は特に目新しいものでは無い。
俺は日本政府に正式に宣戦を布告していると言ってもいいのだ。
無論最初は冗談と思っただろう。
だが、主都庁舎への襲撃や、国会議事堂の破壊など、俺が本気であることを示してやったところ、すぐに日本政府はクーライの情報を収集しにかかってきた。
敵を知らねば闘いはできない。
目に見える戦いとは別のところでも戦いは起こるのだ。
おそらく今回も公安の犬だろう。
それにしても・・・
ホワイトリリィさえ出現しなければ、首都はおそらくもう手中に収まっていたはず。
それを考えると、やはり百合香を一刻も早く俺のものにしなければ。
「いつもの通り始末いたしましょうか? それとも洗脳して送り返しましょうか?」
蜘蛛女が処分を尋ねてくる。
おそらく洗脳して送り返しても意味はあるまい。
さすがに日本の警察庁警備局公安課ともなると、潜入捜査のプロである。
薬物や尋問、洗脳などにはある程度の対策と知識も持っているのだ。
敵に捕らわれて送り返された、あるいは一時的に連絡が取れなくなった者などは洗脳されたと疑うだろう。
特に、あの合同庁舎二号館襲撃事件の後ともなれば、クーライに接触した人物は全て疑ってかかると考えてもいいだろう。
「どんな男だ?」
公安の潜入捜査官ともなれば、肉体的にも精神的にも鍛えてあるだろう。
うまく使えば利用価値があるかもしれない。
俺はそう思ったのだ。
「男ではありません。女です」
「ほう・・・」
女を使ってきたか。
こちらを油断させるつもりかもしれない。
クーライは女性を改造して手駒に使うという噂がある以上、今まで公安が女性を潜入捜査官として差し向けてきたことはない。
有能な捜査官をむざむざ敵の手駒にさせるわけには行かないからな。
だが、クーライの首領ドスグラーは男である。
男というものはどうしても女には甘いもの。
俺自身が百合香に惚れ込んでしまっているように、例え敵としてもどこか甘くなるのだ。
それを見越して潜入させてきたのかもしれない。
ただ、潜入捜査官ということは目立つような美人では無いだろう。
おそらくどこにでもいるOLという感じを漂わせているに違いない。
通る人全てが振り返るような美人では、潜入捜査などできやしないからな。
「連れて来い」
俺はその女に会ってみようと思った。

「キュイーッ」
肉体改造の余波で、戦闘員化した者たちはどうしても奇妙な声を発してしまう・・・わけはなく、これは俺が戦闘員というものに対する思いの具現化である。
最近の特撮には戦闘員というものが使われなくなったらしいが、やはり悪の組織の構成員に黒尽くめの戦闘員は不可欠だろう。
肉体を強化し、黒尽くめの服装で悪の尖兵として活動する戦闘員たち。
しかもそれがすべて美しいボディラインを持つ女戦闘員ばかりだとしたら・・・
世の悪の組織すべての首領はクーライのことをうらやましく思うかもしれないな。
だが、実際に彼女たち女戦闘員なくしてはクーライとて活動は成り立たない。
「は、離して、お願いだから家へ帰して!」
両腕を女戦闘員につかまれて連れて来られた女を見て俺は驚いた。
外国人?
まさに彼女は金髪碧眼の外国人だったのだ。
日本の公安が?
いや、違うな。
彼女は日本の公安ではない。
CIAとかフランスのDGSEとか、そういった機関の人間かもしれないな。
「おとなしくしなさい。あなたは今クーライの首領ドスグラー様の御前にいるのよ」
蜘蛛女が鋭い爪を彼女ののど元に突きつける。
ドスグラーの姿を見せたということは、この女には今のままでは生きてここから出ることはなくなったということだ。
「ドスグラー? 首領? これは何かの撮影なんですか?」
金髪の女はその青い目で俺をまじまじと見つめてくる。
「女、名は何と言う?」
「・・・ドミニカ・ブラジェンスカヤ」
ロシア系か・・・
「職業は?」
「駅前でロシア語を教えているわ」
俺をにらみつけるように言う。
「我らのことをなぜ探っていた」
「探ってなんか・・・たまたまこのあたりを通っただけよ」
「嘘は言わないほうがいいわ。あなたの行動は筒抜けだったのよ」
蜘蛛女の爪が彼女ののどにほんのちょっと食い込む。
「ほ、本当よ・・・探ってなんかいません」
身をそらすようにして爪から離れようとするドミニカ。
「まあ、いい。嘘か本当かはすぐわかる。適性を調べろ」
「ハッ」
蜘蛛女はドミニカの両腕を押さえていた女戦闘員たちに顎をしゃくる。
「キュイーッ」
すぐさま戦闘員たちは彼女を連れて行こうとした。
「ま、待って! 適性って何? 私をどうするつもりなの?」
「うふふ・・・よかったわね。あなたの適性を検査するわ。適性値が高ければあなたはクーライの女怪人として生まれ変われる。そこそこの適性値でも女戦闘員よ」
冷たい笑みを浮かべる蜘蛛女。
「女怪人として?」
ドミニカが青ざめる。
「そう。ドスグラー様に忠実にお仕えする女怪人になるの。でもね、適性値が低ければあなたは死ぬ。せいぜい適性が高いように祈りなさい。あははははは・・・」
「い、いやぁぁぁぁぁぁ」
蜘蛛女の笑い声とドミニカの悲鳴が交錯した。
  1. 2010/02/24(水) 21:12:36|
  2. ホワイトリリィ
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ホワイトリリィ(4)

昨日も2000ヒットを越えました。
多くの方々に読んでもらえまして本当にうれしいです。
ありがとうございます。

今日は「ホワイトリリィ」の4回目です。
シーンの関係で少し短くなっていますが、ご了承くださいませ。
それではどうぞ。


4、
程なく了史が帰ってきた。
俺は多少気になったものの、二人を残して自室へ引き上げる。
ただ、状況を把握するためにも偵察用の蜘蛛型ロボットを放しておくのは忘れない。
カメラとマイクが付いているので、リビングの様子を知ることができるのだ。
探偵や警察あたりが欲しがるだろうな。
そんなことを考えながら、俺は自室の押入れを開けると、そこに入り込む。
すぐに押入れの床が降下して地下のアジトに俺を運んでくれるのだ。
昔よく見た特撮の秘密基地そのものだな。
俺は毎回この仕掛けを使うたびにわくわくするものを感じてしまう。
もっとも、頻繁に自室からいなくなるわけにはいかないので、これを使うことは控えるようにはしているが。

アジトに下りると、そこは首領の控え室になっている。
薄暗くひんやりした空気が心地よい。
悪の秘密組織のアジトはこうでなくてはな。
俺は黒いがっしりした鎧のようなアーマーを身につけ、鋭角的なひだをして襟の高い赤のマントを羽織り、白い髑髏のマスクを付ける。
クーライの首領『ドスグラー』の姿になるのだ。
クーライといいドスグラーといい、笑ってしまうようなネーミングだ。
だが、この陳腐さが、古い特撮の悪役を思わせて俺は結構気に入っている。

俺は鏡を見て姿を整えると、司令室に向かってドアをでる。
ほんの短い廊下を歩いていくうちに、センサーが俺の姿をキャッチして、自動的に司令室にはスモークが流される。
そして暗い照明がさらに薄暗くなり、俺が司令室のドアを開けて入ると、司令室に詰めている連中がうやうやしく俺を出迎えるという寸法だ。
バカバカしいと思うかもしれないが、これはやってみると案外気持ちのいいもので、なかなか捨てがたいものがある。
俺が司令室のドアを開けると、いつものように床にはスモークが流れ、女戦闘員たちが六人うやうやしく膝をついている。
一段高くなった首領の椅子の正面には、アジトの責任者に任命してある蜘蛛女が、これも同じように膝をついてかしこまっていた。
俺はゆっくりと彼らの前を通り過ぎ、首領の椅子に腰掛ける。
この瞬間がたまらなく気分がいい。
俺が椅子に座ると同時に暗くなっていた照明が元に戻された。
「お帰りなさいませ、ドスグラー様」
「「お帰りなさいませ、ドスグラー様」」
蜘蛛女に続いて女戦闘員たちの唱和が流れる。
「うむ、ご苦労」
俺はそう言って皆をねぎらう。
俺の世界征服の尖兵たち。
可愛い俺の部下たちだ。

俺は早速技術班を呼ぶと、ある発信機を作るよう命じる。
人間の脳に影響を与えるパルスを発信する機械で、それによってある程度人間の感情をコントロールするものだ。
もともとは人間を強制的に洗脳してしまうための装置を元にするため、感情をいじることなど造作も無い。
ただ、永続的な強制洗脳と違い、その効果をいわゆる“焼き付け”ないため、効果の持続時間が短いのが欠点でもある。
だが、それでいいのだ。
じわじわと感情をコントロールしてやることで、永続的な思考改変に持っていく。
まどろっこしいやり方だが、そこがかえって楽しみでもある。
だいたい考えてみれば、ホワイトリリィの防御システムが簡単に機械的洗脳をされることを許すはずがないのだ。
アジトの中でホワイトリリィに変身し暴れられたりすれば、せっかくのアジトを放棄することにもなりかねん。
それに場合によっては、ホワイトリリィの防御システムが百合香さんの人格そのものを破壊してしまうかもしれないのだ。
だから洗脳されるということを、少なくとも百合香さんに気付かれてはならない。
普段は忘れているところだが、人間は感情の動物だ。
ちょっとした好悪の印象も、増幅されることによってその人間に対する個々人の人間性の良し悪しにまで、発展したりするものである。
今日俺は百合香さんに・・・
いや、もう自分を偽るのはよそう。
百合香に決定的な行為をしてしまった。
まあ、膣内出しはしなかったなどというのは些細なこと。
陵辱したことには違いない。
おそらく今の百合香の中にあるのは俺への悪感情のみだろう。
それをいかにして好感情へもっていくか。
そのために百合香の感情を色々つつきまわしてやるのだ。
百合香がどう変わるのか。
それともあの防御システムがこういったものにも作用して変えることができないのか。
ある種の実験といえるだろう。
なかなかに興味深い。
発信機自体は洗脳システムの改良というか簡易化なので、作るのにそれほど問題はないはずだ。
明日中にはできるだろう。
俺は数セット作るように指示をして、後を蜘蛛女に任せ司令室を後にする。
これからが楽しみだ。

着替えて自室へ戻った俺は、とりあえずリビングの様子を確認しながら一服する。
蜘蛛型ロボットから送られたデータをパソコンで再生。
じっくり見ても仕方がないので、早送りをしながらだ。
何か話をするのなら、テーブルに向かい合うなりするだろう。
だが、俺の予想に反して、百合香は食事の支度を終えると早々に部屋へ行ってしまったらしい。
あの件には触れてはいない。
ホワイトリリィであることをばらされたくないから言うつもりは無いのか、それともベッドで二人きりになった時に言うつもりか?
忘れるとは言っていたものの、残念ながら俺は今の状態の百合香をそれほど信用することはできない。
俺はすぐに監視用の蜘蛛型ロボットを呼び戻し、睡眠薬のカートリッジをセットする。
悪いが百合香には朝までぐっすり寝てもらおう。
今は少しでも了史と二人きりの時間を作らせたくはないのだよ。

俺の手を離れた蜘蛛型ロボットは、八本の足をカサコソと動かして通気口に入り込む。
パソコンのモニターにはその様子が映し出されるのだ。
綿ぼこりの山だなぁ・・・
通気口も掃除しなければ・・・
蜘蛛型ロボットは俺が何も指図する必要もなく百合香と了史の寝室に入っていく。
ちょうどパジャマに着替え終わったところのようだ。
・・・残念・・・か・・・
俺は蜘蛛型ロボットを天井に這わせ、いつでも睡眠薬を噴霧できるように待機させる。
百合香がしゃべることは無いかもしれないが、用心に越したことは無いのだ。
それに・・・了史に百合香を抱かせたくは無い・・・
そう、それが俺の本音だ。

『すん・・・すん・・・』
ベッドに横になった百合香の肩が震えている。
泣いているのか?
蜘蛛型ロボットのマイクの感度は良好だ。
百合香のすすり泣く声が入ってきているのだ。
俺は我知らずに興奮してくる。
百合香が泣いている。
なんと可愛らしい仕草ではないか。
か弱い女性であることをさらけ出しているのだ。
今すぐにでも部屋に行って抱きしめてやりたい。
『どうして・・・どうしてお義父様・・・』
先ほどの陵辱を思い出しているようだな。
『私もうお義父様の顔をまともに見られない・・・二人きりになるのが怖い・・・』
そう言うな。
すぐに俺といる方が嬉しいと思うようにしてやる。
百合香の考えを変えてやるよ。
『了史さん・・・助けて・・・私を守って・・・了史さん・・・』
了史に助けを求めているのがどうにも癪だが、枕を抱きしめて泣いている百合香はなんと素敵な姿だろう。
ピンクのパジャマがすごくよく似合っている。
だが、今度もっと似合うものを送ってあげよう。
黒のテディあたりも君にはきっと似合うはずだ。
俺はそんなことを考えながら、百合香の姿を眺めていた。

ノックの音がする。
どうやら了史が来たらしい。
食事を終え、寝る支度も済ませてきたのだろう。
そろそろ日付も変わる頃。
俺も明日に備えなければならないが、寝ることなどできやしない。
『百合香、入るよ』
その声に百合香は跳ね起きる。
泣いていた目が赤くなっていた。
百合香は涙を拭くと、枕元に一冊の本を取り寄せる。
どういうことだ?
『どうぞ』
笑顔を浮かべ了史を迎え入れる百合香。
俺は心臓が掴まれるような思いをする。
百合香の笑顔を了史に向けさせたくない。
俺の中にどす黒い思いが渦巻く。
『ふう、食事美味しかったよ。百合香の料理は最高だ』
『クス・・・ありがとう』
『おや? どうした? 泣いていたのかい?』
さすがに了史にも百合香の目が赤いことに気が付いたようだ。
まあ、気付かねばどうかしているところだが。
『あ、これ? うふふ・・・恥ずかしい』
『どうしたんだい?』
恥ずかしそうにうつむく百合香の脇で了史はパジャマに着替え始める。
『さっきまでこの本を読んでいたのよ。そうしたら泣けちゃって・・・』
先ほど枕元に取り寄せた本を指し示す。
なるほど。
機転もよく利く。
ホワイトリリィが強敵なのも当然だな。
『そうだったのか・・・百合香は昔から悲しい話を読むとすぐ泣いていたからなぁ』
『もう、いいでしょ! 悲しかったんだから』
百合香が少し拗ねたような声を出す。
それを赤子をあやすように了史は百合香の頭を撫で、そのままベッドに横になった。
さて・・・ここから先は静かにしてもらうとしよう。
俺は蜘蛛型ロボットに仕込んだ睡眠薬を散布させる。
これで朝まで眠ってもらうのだ。
『ねえ・・・了史さん』
『うん? ふわぁ・・・』
『抱いて・・・了史さんが欲しいの』
俺は唇を噛む。
聞きたくない言葉だ。
『ふわぁ・・・すまない・・・なんかすごく眠くて・・・お休み・・・』
『了史さん・・・ああ・・・変だわ・・・私もすごく眠く・・・』
強烈な眠気を感じただろう百合香は、そのままパタリと眠りにつく。
お休み、百合香。
俺は蜘蛛型ロボットを呼び戻した。
  1. 2010/02/23(火) 21:14:59|
  2. ホワイトリリィ
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ホワイトリリィ(3)

昨日は当ブログ史上一日のヒット数としては最高のヒット数を記録いたしました。
2600を越えるヒット数、本当にありがとうございました。

今日は25日間連続200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」3回目です。

楽しんでいただけましたらうれしいです。


3、
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ずぶっという音がしたかのように、俺のモノは百合香さんの膣内に沈んで行く。
「うおっ」
俺は思わず声を上げていた。
なんてすごいんだ。
まるで周囲全てのひだがネットリと絡み付いてくるかのようだ。
優しく、しかしがっちりと力強く締め付けてくる。
これこそ名器というものか・・・
多少は女の経験があるつもりだったが、これほどの女を抱いたことはなかった。
「ああっ! 嘘・・・入って・・・入ってるぅ・・・」
「そうだよ。百合香さんと俺は今一体になったんだよ」
おれはそっとそう言ってやる。
「はひぃっ! ど、どうして・・・す、すごい・・・すごすぎるぅ」
「動くよ。百合香さん」
「だ、だめぇ、うご、動かないで・・・」
全身を貫く快感にどうしようもなくなってきているようだ。
「ん・・・」
俺は百合香さんの言葉を無視して躰を動かし始める。
「ああ・・・ん・・・だめぇ・・・動かないでぇ」
「いいよ、百合香さん。最高だよ」
瞬く間に駆け上がってくる射精感を俺は押さえつけるのに必死になる。
「動かないでぇ! 動いちゃだめぇっ!」
真っ赤になりながら首を振っている百合香さん。
媚薬の効果が凄まじい。
「ん・・・クッ・・・」
暴れまわる俺のモノを必死で押さえつつ、俺は躰を動かして行く。
肉と肉が打ち合う音と、ぐちゅぐちゅという水音がサラウンドのように部屋中に広がっている。
「あぁぁ・・・すごい、すごいわぁ・・・ああ・・・だめ・・・だめなのぉ・・・」
手錠で押さえつけられた両手が彼女の頭の上でガチャガチャと音を立て、彼女の両脚が俺の胴に巻き付いてくる。
なんて可愛いんだ。
「ふふふ・・・イってもいいんだよ百合香さん」
「ああ、だめぇ・・・イッちゃう・・・だめなのにイッちゃうぅぅぅぅぅ」
百合香さんはガクガクと躰を震わせ快感に翻弄されている。
そろそろ俺も限界だ。
必死で我慢してきたが、百合香さんが膣内でキュウキュウと締め付けてくる。
とてもじゃないが我慢などできるものではない。
「イくよ、百合香さん」
「えっ?」
百合香さんが突然恐怖を感じたらしく、目を見開いた。
「だめぇっ! 膣内はだめぇっ!」
「なにっ?」
百合香さんの叫びとともに突然部屋中にスパークが走ったかと思うと、俺の躰は百合香さんの上から弾き飛ばされていた。
そのまま壁に叩きつけられた俺は、背中をしたたかに打ちつけてしまう。
「ガハッ」
幸いたいしたダメージではないようだが、それでも一瞬意識が遠くなるほどの衝撃だ。
俺はそのまま床にへたり込む。
そしてベッドの方を見ると・・・

「なにっ?」
そこには紛れも無いあのホワイトリリィがベッドの上に横たわっていた。
ガチャンという音とともに両手の手錠は引きちぎられ、手首に残った輪の部分も凄まじい力ではずしてしまう。
すっと立ち上がったその姿は、恐ろしいというよりも神々しくさえあり、俺は少しの間見惚れてしまったほどだった。
百合香さん・・・いやホワイトリリィは、しばし呆然としていたようだったが、すぐにハッと気が付くと俺のところに駆け寄ってきた。
「お義父様、大丈夫ですか? お義父様」
「う・・・あ、ああ・・・大丈夫だ。それにしてもいきなり変身とはな・・・」
「えっ? あ・・・ああっ」
すぐに百合香さんはヘルメットの後ろで髪をかき上げる。
おそらくスイッチを切ったのだろう。
すぐに百合子さんはホワイトリリィから変身を解く。
そしてベッドの下においてあった下着や服を手に取ると、いきなり部屋を飛び出して行ってしまった。

はあ・・・やれやれ・・・
鍵をかけておかなかったのは失敗だったか?
いや、鍵は内側だし、あの場合鍵をかけようがかけまいが、出て行く百合香さんを止められはしないな。
それにしてもあの場面で変身するとは・・・
手錠をしてあったからスイッチに触れられるわけが無い。
おそらく何らかの防御機構が働いたのだろう。
どちらにしても百合香さんに無理やりは禁物ということか・・・
ふ・・・面白い。
簡単に手には入れられないということだな。
ならば百合香さんから俺を求めさせればどうだろう。
まさか了史とのセックスにいちいち変身しているわけでもあるまい。
百合香さんの拒否反応が変身しての防御という状況を作り出しているはずだ。
先ほどは快楽に溺れてはいたものの、膣内に出されることに恐怖を感じて発動したということかな。
ならばそれを無くしてしまえばいい。
百合香さんが俺を求めるようになれば、俺はその時こそ百合香さんを俺のものにできるだろう。
面白いじゃないか・・・

とりあえず百合香さんには謝っておかねばなるまい。
無論しばらくは警戒されるだろう。
記憶を消す?
それも一つの手ではあるが・・・
俺は服を着ると、百合香さんを探しに部屋を出る。
二階にいるだろうと思ったが、そうではなかった。
お風呂場の電気がついている。
それもそうか。
あれだけ愛液でべたべただったからな。
俺のほうはというと、情けないことに壁に叩きつけられた時に射精してしまっていたようだ。
あのあと気が付いたら床に精液が垂れていた。
ティッシュで拭っているとなかなか惨めったらしいものだった。
俺は百合香さんが出てくるのを待つために、リビングで新聞を読む。
たいしたニュースなど載ってはいない。
テレビなどにしても見る気のしない番組ばかり。
つまらん。

しばらくすると風呂場の扉が開く音がする。
やがて着替えた百合香さんがリビングにやってきた。
了史がまだ帰っていないのに風呂に入るとは、再び俺に襲われるとは考えなかったのか?
いや、それ以上に了史に知られたくなかったのかもしれないな・・・
リビングに入ってきた百合香さんは俺を見てハッと身を固くする。
ふう・・・
やはり記憶を消すか・・・?
「・・・お義父様・・・」
百合香さんがバスタオルを椅子の背もたれにかけ、冷蔵庫からコーラを取り出す。
「飲みますか?」
「あ、ああ・・・」
俺が答えると、百合香さんはコップにコーラを注いで持ってきた。
「どうぞ」
差し出す手が何となく震えているように感じる。
気のせいではなかろう。
必死に冷静さを保っているのだ。
「ありがとう」
俺は受け取って一口飲む。
コーラ特有の炭酸がのどに沁みた。

百合香さんも俺の前に座ってコーラを無言で飲んでいる。
気まずいものだ。
だが、彼女を得るには仕方が無い。
「百合香さん」
「言わないで下さいお義父様」
百合香さんが俺をにらんでくる。
「謝られても困ります。謝るぐらいならあんなこと・・・して欲しくなかった・・・」
そこでふと目をそらす百合香さん。
「謝るつもりは無い」
やれやれそうきたか。
俺も困ったものだ。
百合香さんの言葉につい反応してしまう。
「えっ?」
見ろ、百合香さんが唖然としているじゃないか。
彼女は俺が謝るものと決め付けていた。
俺も先ほどまでそう思っていた。
だが、謝る必要は無い。
俺は彼女が欲しい。
だから彼女を抱こうとした。
そこに謝るべき理由は無い。
「俺はずっと百合香さんが好きだった。百合香さんを俺のものにしたかった。だから抱こうとした。それについては謝るつもりは無い」
「お義父様・・・」
少しうつむく百合香さん。
「百合香さんはどうだ? 了史のほうが・・・了史のほうがいいのか? 満足しているのか?」
「そんなことは言わないで下さい。私は了史さんを愛しています。お義父様のことは家族として尊敬はしています。でも、男の人として見たことなんて・・・」
「そうか・・・」
ここは引くか。
「無理やりしようとしたことは謝る。それについては悪かったと思っている。この通りだ」
俺は頭を下げた。
これで警戒を解いてくれるなら安いものだ。
「もう忘れてください。私も先ほどのことは忘れます。お互いに夢だったと思いましょう」
「そうだな・・・」
俺はそううなずいた。

「それにしても驚いた。百合香さんが、あの・・・なんて言ったかな? 正義の女戦士だったとは・・・」
百合香さんの顔がみるみる青ざめる。
「お義父様、そのことは了史さんには言わないで下さい。お願いです」
おや?
了史は知らないのか・・・
それは好都合だ。
「どうしてだ? 世間で噂になっている正義のヒロインが自分の妻だとなれば、了史はきっと喜ぶんじゃないのか?」
「知られたくないんです。あんなことしているなんて知られたら、きっと心配かけてしまう。それに私だって好きでやっているわけじゃ・・・」
好きでやっているわけじゃ?
強制でもされているというのか?
「私・・・小さい頃、そう、小学校に入る前にUFOに連れ去られたんです」
「なんだって?」
俺は驚いた。
俺自身の経験と、先ほどの彼女の変身を見ていなければ、きっと彼女は気が触れたとでも思うところだ。
「誰も信じてくれないけど本当なんです。UFOに連れて行かれて、そこでスイッチを埋め込まれたんです」
「スイッチ?」
俺はとぼけた。
「ここ。見えませんか? 大きなほくろがあるでしょ?」
百合香さんが髪をかき上げてうなじを見せる。
まだ少し濡れた髪の毛が色気を感じさせる。
かき上げたところには先ほどと同じ金属質のボタンが埋まっていた。
ほくろ?
どういうことだ?
「あ、ああ・・・」
俺はとりあえず相槌を打つ。

「信じてもらえないかもしれないんですけど、それはボタン型のスイッチなんです。でも、他の人には大きなほくろにしか見えないらしくて・・・」
なるほど。
何らかの仕掛けが作用しているのか。
そういえば俺が見つけた異星人のアイテム類も他のやつにはくず鉄に見えたらしいな。
特定の人間にしかわからないということか・・・
「そうなのか・・・それで埋め込まれたって誰に?」
「わかりません・・・UFOには何人か光る人たちがいて、落し物が見つからなくなったって言っていました」
落し物?
「それで、ここを立ち去るに当たって、このままではいけないから、君に仕掛けをするって・・・」
「仕掛け?」
「落し物が悪さをした時に、君が処理をするんだよって言われて、スイッチを埋め込まれたんです」
百合香さんはどうやらその時の記憶を鮮明に持っているようだ。
これは記憶の消去など試さなくてよかったかもしれないな・・・
「それからすぐにこの首筋にスイッチができて、そのときがきたら有効になるからって・・・」
そのときというのが異星人のテクノロジーが悪用されたときということか・・・
「気が付くと家の二階にいたんだけど、スイッチは付いたままで・・・私怖くてすぐに母親に言ったんです」
「でも信じてもらえなかった。違うかい?」
百合香さんがこくんとうなずく。
「母は首筋を見て、大きなほくろがあるのね、知らなかったわって言うだけで、お医者さんにも無理に連れて行ってもらったけどほくろだねって言うだけで・・・」
百合香さんはこのことをずっと誰かに言いたかったのかもしれないな。
「私はその時、ああ、これは誰もほくろにしか見えないんだなって思いました。それでもう誰にも言わないようにしました」
「そうか・・・つらかったね」
百合香さんがまたこくんとうなずく。
「そうすると、それからすぐに変身を?」
「いいえ。スイッチを押してみてもその時は何も起きませんでした」
「すると?」
やはりクーライが活動し始めてからということか?
「何度押しても何も起こらなかったので、そのうちにこのスイッチは何かの間違いだったんだ、あれは夢だったんだって思うようになったんですけど、あのクーライの怪人の姿がテレビに映し出された時・・・唐突にわかったんです。これが私の相手なんだわって」
「そこで変身して戦ったというわけか・・・」
「はい・・・でも、戦いなんていや。戦いなんて大嫌い! それにあんな格好して恥ずかしいし・・・」
百合香さんが首を振る。
まあ、あの格好は確かに恥ずかしいかもしれない。
「確かに戦いなどというものは女がするものでは無いからな。いっそやめてしまってはどうだ?」
そのほうがクーライとしても助かるが・・・
「でも、クーライをほっとくわけには・・・」
「強制されているのかい?」
「強制は・・・されていないとは思います。でも、クーライの怪人を見ると・・・どうしても倒さなきゃ、平和を守らなきゃって思ってしまって・・・」
暗示的なものだな・・・きちんと調べてみないとわからないが、おそらく解除はそう難しくはないだろう。
「そうだったのか・・・わかった。百合香さん、了史には絶対に言わないから安心しなさい」
「お願いします」
さっきまでとは立場が違ってしまっている。
今度は百合香さんが俺に頭を下げているのだ。
おそらく戦いと同じように、正体を知られてはいけないと無意識下に刷り込まれているのだろう。
もし知られてしまった場合にはどうしろという明確な指示がなかったために、俺に対しては素直に話すことができたのかもしれないな。
正体を知った相手は始末しろなどという指示がなくてよかったのかもしれない。
「このことはここだけの話だ。お互いに今日のことは忘れよう。それでいいかな?」
俺がそう言うと百合香さんはうなずいた。
わだかまりは無論あるだろう。
それを今度はわだかまりでなくしてやればいい。
俺はそう考えていた。
  1. 2010/02/22(月) 21:26:18|
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ホワイトリリィ(2)

25日間連続200万ヒット記念SS「ホワイトリリィ」の2回目です。

それではどうぞ。


2、
                   ******

「ただいま」
俺はいつものように玄関をくぐる。
玄関には女物のサンダルが一つだけ。
了史はまだ帰っていない。
最近は仕事が忙しいらしく、帰りが夜十時を過ぎることもしばしばだ。
おあつらえ向きとはいえ、リスクも大きい。
まあ、いいか。
リスクを気にしていては世界征服などできはしないからな。

「お帰りなさいませ、お義父様」
いつものように迎えに出てきてくれる百合香さん。
にこやかな笑みはいつ見ても素敵だ。
俺はカバンを渡すと靴を脱いで中に入る。
百合香さんはいつもの通り、俺の部屋まで鞄を持ってきてくれて、それからキッチンへ戻るのだ。
「了史さんは今日も遅くなるそうですわ。先にご飯食べていてくださいってメールがありました」
ラフな服装に着替えてリビングに戻ると、百合香さんが食事の支度を始めていた。
口調にちょっと拗ねたような感じがするのは気のせいか?
時間は夜の七時。
うちの会社は業績はよいほうだが、俺は総務部長と言うこともあり残業は多くない。
もっとも、いまさら多くの残業をするつもりも無いが。
「そうか、あいつも忙しいみたいだな。そのわりには給料が上がらないらしいが」
俺は夕刊に目を通す振りをしながら百合香さんに目を向ける。
さて、どうやって落とそうか。

「そんなこと無いですよ。お義父様に比べたらそりゃあ少ないですけど、友達にそれとなく聞いてもそんなに少ない部類じゃないですわ」
ダイニングと一体になっているうちのリビングのテーブルに、百合香さんが食器を並べて行く。
「そうかそうか、いやすまない。つい自分の給料と比べてしまった」
俺は笑って見せる。
「そうですよお義父様。了史さんだって頑張っているんですから」
「夜も頑張っているのかな?」
「えっ?」
百合香さんの目が丸くなる。
「そろそろ孫はどうなのかと思ってね」
俺はいやらしくならないように軽く言う。
「も、もう、お義父様ったら・・・」
赤くなって顔をそむけてしまう百合香さん。
可愛いものだ。
「了史はちゃんと百合香さんを満足させているのか? 寂しい思いをさせているんじゃないか?」
「そ、そんなことは・・・了史さん忙しいから・・・」
おや?
思ったとおりか?
あいつめ、百合香さんをほったらかしにしているんじゃないのか?
まだ一年だろうに・・・
「困ったやつだ。こんな可愛い嫁を寂しがらせるとは」
「お、お義父様、違います。寂しいなんて・・・そんな・・・」
真っ赤になって首を振る百合香さん。
これはこれで面白い。
「帰ってきたら俺が言ってやろう。百合香さんをちゃんと可愛がってやれってな」
俺はそう言って笑う。
もっとも、あいつに可愛がらせるつもりなど無いのだが。
「お、お義父様。だ、大丈夫ですから。私、ちゃんと可愛がってもらっていますから」
もう自分でも何を言っているのかわかっていない百合香さん。
逃げるようにキッチンへ行ってしまう。
「あははは、百合香さんすまんすまん。あんまり百合香さんが可愛いのでついからかってしまった。こんなに可愛い百合香さんを男が放っておくはず無いもんな」
「もう、お義父様やめてください。いい加減にしないと怒りますよ」
背中を向けて恥ずかしさをこらえている百合香さん。
なんとも言えず可愛いものだ。

食事が終わった俺は自室に戻る。
俺は一階、了史と百合香さんは二階がそれぞれの部屋だ。
防音とかはきちんとしてあるので問題は無い。
俺は心を落ち着けるためにまず一服する。
家でタバコが吸えるのはこの部屋だけだ。
了史も百合香さんもタバコは吸わない。
それどころか毛嫌いしているので、俺はいつもタバコの煙が洩れないように自室で吸うことにしているのだ。
まあ、了史が嫌がろうが気にしないのだが、百合香さんが嫌がるのであればやむを得ないからな。
さて、始めるとしよう。
俺は改造人間の素体を確保する時に使う即効性の麻酔薬を用意する。
百合香さんにはすまないが、力ずくで手折るのも悪くない。
一度手折っておけば、そのあとはずいぶんとやりやすくなるものだからな。
妻を我がものにしたときもそうだった。

「百合香さん、ちょっと手伝って欲しいんだが」
俺はドアを開けて百合香さんを呼ぶ。
「ハーイ、今行きます」
キッチンの方から百合香さんの声がする。
後片付けをしていたのだろう。
今は八時。
時間は充分。
パタパタとスリッパの音がして百合香さんがやってくる。
胸から下げたエプロンで手を拭きながら。
「お呼びですか? お義父様」
一瞬部屋がタバコくさいことに顔をしかめたようだったが、次の瞬間にはそんなことは微塵も感じさせないようにしている。
俺に気を使ってくれているのだ。

「ああ、百合香さんは確か英語が得意だったね? 実は会社の資料でわからないところがあってね・・・」
俺は机の上に広げた書類を指し示す。
無論どうでもいい書類であり、翻訳ぐらい俺でもできる。
「得意と言うほどでは。お役に立ちますかしら」
「百合香さんなら大丈夫だろう。頼むよ」
「はい、お義父様」
にこやかに微笑んで百合香さんは俺についてくる。
「これなんだが」
俺が机のところへ誘うと、百合香さんは書類を覗き込むために俺の前に出る。
俺は思わずほくそ笑むと、腕を彼女の前に回して隠し持っていた麻酔薬を彼女の顔に吹きかけた。
「えっ? あ・・・」
かくんと崩れ落ちる百合香さん。
俺は慌てて百合香さんの躰を支えると、そっとベッドに横たえる。
柔らかい百合香さんの躰に触れた時、俺は年甲斐もなくドキドキするのを感じていた。

滑らかな曲線。
美しい黒髪に始まり、なだらかな肩、綺麗な膨らみを見せる胸、くびれた腰、すらっと伸びる脚。
いずれも見事というしかない。
俺は気を失った百合香さんの衣服をそっと脱がせていく。
まるで初めてセックスをする時のようだ。
心臓がドキドキと暴れまわっている。
なんという興奮だろう。
俺はくたっとなった百合香さんを裸にすると、しばしその裸を鑑賞した。

綺麗だ・・・
俺は目が覚めても抵抗されないように両手首に手錠をかける。
そして、俺はベッドに横たわった百合香さんの首に手を回して、頭をそっと抱きかかえた。
背後に広がる長い髪の毛をそっと梳いていく。
ん?
これはなんだ?
俺は奇妙なものが百合香さんの首筋にあることに気が付いた。
金属の出っ張り?
ボタン型のスイッチのようなものが首筋に?
一体これは?
俺は百合香さんを抱えるようにして首筋を覗いてみる。
髪を払うようによけると、そこには紛れもなく押しボタン型のスイッチが埋め込まれていた。
これはどういうことだ?
百合香さんは人間ではないのか?
そんなことはあるまい。
今抱きかかえている彼女は、温かくて柔らかくて・・・
何かの装置のスイッチには違いないのだろうが、一体何の・・・
俺はどうしてもこのスイッチがなんなのか知りたくなった。
まさか押すと死んでしまうようなこともあるまい。
俺はそっとボタンを押してみた。

突然光が部屋中に走る。
「うわっ!」
俺はとっさに目をつぶり、目蓋の裏が赤くなるのを感じていたが、熱は感じなかった。
驚いて百合香さんを取り落とすこともなく、しっかりと抱えている。
やがて光が収まったのを目蓋の裏が暗くなったことで感じ取った俺は、そっと目を開けた。
「なんてことだ・・・」
俺は苦笑せざるを得なかった。
俺が抱いていたのは、あのホワイトリリィだったのだ。

クーライの宿敵ともいえる女戦士ホワイトリリィ。
その憎むべき女戦士が今俺の腕の中で抱きかかえられている。
バイザーの付いたヘルメットによって、顔の目のあたりは隠されているのだが、なるほど口元のほくろは百合香さんと同じ位置だ。
まさに灯台下暗しと言うべきなのかもしれないが、了史はこれを知っていたのだろうか・・・
麻酔薬が効いている今、ホワイトリリィをアジトに連れ込んで洗脳してしまうこともできるだろう。
だが・・・強制的な洗脳は場合によっては人格を崩壊させ、単なる人形になってしまう危険がある。
俺は人形は欲しくない。
百合香さんがホワイトリリィであろうがなかろうが、俺はそのままの百合香さんをものにしたいのだ。
躰にぴったりしたレオタード型のコスチュームは、その肉体を包み込んでいるにもかかわらず、全てをさらけ出していると言ってもいい。
背中に広がるマントも、二の腕までの長手袋も、太ももまでのロングブーツも実に素敵でよく似合っている。
だが・・・
だがこれがもし黒かったら・・・
黒エナメルのボンデージレオタードに黒エナメルのブーツと手袋だったなら・・・
百合香さんには今以上に似合うだろう。
百合香さんを俺のものにすれば・・・

俺は再びスイッチを押す。
予想通り、淡い光とともに百合香さんの姿はホワイトリリィから全裸の百合香さんに戻る。
まさか百合香さんが・・・ね・・・
俺は苦笑しながら再びベッドに百合香さんを寝かせた。
両手をつないだ手錠をさらに別の手錠でベッドにつなぐ。
これで両手は使えないだろう。
そして用意した媚薬を手に取ると、液状のそれを手のひらに受け、百合香さんの股間にそっと塗りこんで行く。
「ん・・・」
ピクッと躰を震わせる百合香さん。
麻酔薬の効き目がそろそろ切れてくる頃だ。
彼女を抱くのに意識を失った状態で抱くつもりは無い。
ちゃんと意識が戻るように、俺は気付け薬をかがせることにする。

このあたりの薬品は異星人のテクノロジーによるもの。
一部のものは洗脳した研究者を通してうちの会社で市場に出している。
おかげでうちの会社はそこそこの評価を受けているのだ。
今の社長は先代社長の娘だが、すでに俺が改造と洗脳を施して、クーライの一員に仕立て上げている。
改造が終わると同時に先代社長には“急死”してもらい、後を継がせたのだ。
おかげで俺は結構時間を自由に使える。

「ん・・・うん・・・」
ゆっくりと目を覚ます百合香さん。
「えっ?」
一瞬にしてその目がはっきりとする。
いい娘だ。
「お、お義父様? こ、これは一体?」
百合香さんは自分が裸でベッドに横たえられていることに気が付いている。
しかも手には手錠を嵌められてだ。
「可愛いよ、百合香さん」
俺は優しく微笑んでやる。
無論、そんなもので百合香さんが心を許すはずも無い。
これから自分が何をされるのかはわかっているだろう。
きっと必死に抵抗するに違いない。
それが了史のためにだと思うと腹が立つ。
なんとしても彼女は俺のものにしてやる。
「お義父様・・・冗談はやめてください。了史さんが帰ってきますわ」
「その時はその時だな。百合香さんが俺に貫かれているところを見せてやろう」
俺は青ざめて手錠をガチャガチャ鳴らす百合香さんの前で服を脱いでいく。
「い、いやぁっ」
そして百合香さんの両脚をしっかりと押さえるように彼女の上に乗ると、うっすらと叢に覆われた百合香さんのそこに指を這わせた。
「ヒッ、アヒッ?」
百合香さんの躰がびくんと跳ねる。
媚薬が浸透しているのだ。
ほんのちょっと触れただけでとてつもない快感が走ったことだろう。
「い、いやぁ・・・な、何なの?」
躰をよじり必死にもがく百合香さん。
だが、ホワイトリリィならともかく、百合香さんでは俺の力にはかなわない。
俺は自分の躰も多少はいじっているし、もとより男と女である。
「百合香さんは可愛いな。俺の愛撫で感じてくれるのか?」
「い、いやぁっ! そ、そんなこと・・・無い」
俺は割れ目に沿って指を這わせ、時折中指を差し入れる。
それだけで百合香さんの躰は面白いように跳ねるのだ。
「かはぁっ! はうっ!」
まるでお漏らしでもしたかのようにあふれ出る愛液はすぐにベッドを濡らして行く。
俺は前かがみになると、べちゃべちゃになっているそこに口付けをする。
「ひぃ」
目を閉じて必死に打ち寄せる快感に耐えている百合香さん。
垂れる愛液を舌で舐めとるだけで腰が浮いている。
「ひゃぁぁぁっ! どうして・・・どうしてぇっ?」
舐められただけでがくがくと軽くイってしまう。
そのことに自分自身驚いているのだろう。
無理も無い。
媚薬など使われているとは思いもしないだろうからな。
俺は口の回りをべちゃべちゃにしながら、躰の位置をずらして百合香さんに覆いかぶさる。
俺のモノはすでにいきり立っており、あとはこのまま挿入するだけ。
可愛い百合香さんの膣内(なか)はさぞや美味だろう。
「可愛いよ、百合香さん」
唇に唇を重ね、もがく百合香さんを組みしだき、俺は思いを遂げようと躰を合わせていこうとした。
  1. 2010/02/21(日) 20:39:02|
  2. ホワイトリリィ
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ホワイトリリィ(1)

昨日予告いたしましたとおり、本日より25日間連続で、当ブログの200万ヒット記念SSを投下いたします。

タイトルは「ホワイトリリィ」です。

また、それにともない、今日から連載終了までの25日間、ブログタイトルを変更させていただきます。

「やさぐれ首領の趣味の世界征服日記」~ある悪の組織の中年首領の日々

以上になりますので、お間違えのないようにお願いいたします。
(連載終了後には元に戻します)

今日は一回目です。
楽しんでいただけますとうれしいです。

それではどうぞ。


1、
『きゃぁぁぁぁっ』
とどめの一撃を食らって断末魔の悲鳴が上がる。
ゆっくりと倒れこむ毒蛾女。
背中の極彩色の翅が力なくマントのように広がっていた。
やがてぐずぐずと崩れ去る毒蛾女。
それを見下ろしていた女戦士がおもむろにポーズを取る。
『正義の勝利! 悪は滅びるのよ!』
白を基調としたバイザー付きヘルメットに白と赤のミニスカート型のレオタード。
膝までのロングブーツに肘までの長手袋。
背中にはマントが風に翻っている。
みずみずしい肉体に、あふれるような色気をかもし出すつんと突き出た形の良い胸と丸いお尻。
光り輝くファイヤーブレードを掲げる彼女こそ、正義の女戦士「ホワイトリリィ」であった。

「くっ、毒蛾女までも・・・おのれ・・・ホワイトリリィめ・・・」
俺は屈辱に歯噛みしながらモニターを消す。
ホワイトリリィの弱点を分析して作り上げたはずの毒蛾女でも歯が立たなかったとは・・・
やはり根本から対応を考え直す必要があるようだ。
俺はため息を一つつくと、肩からマントをはずして首を動かし、緊張をほぐす。
やれやれ・・・
俺ももう四十九歳。
充分なオジサンだ・・・
本来はこんなことなどやっている年ではないのだろうが・・・
俺はタバコに火をつけながら、自嘲気味に苦笑した。

俺の週末の楽しみ。
それは世界征服を行なうこと。
俺は若い頃の山歩きで、ある洞窟から異星人のものと思われるアイテム類を手に入れていた。
そのアイテム類で異星人のテクノロジーを手に入れた俺は、かつての特撮オタクだった頃の夢をかなえることにしたのだ。
いわゆる「悪の秘密結社の首領」になること。
そう、俺はその悪の秘密結社の首領となるために、その異星人のテクノロジーを使ったのだ。

バカなやつ。
そう思う人もいるだろう。
無論俺だってそう思わないわけではない。
異星人のテクノロジーを公にして、人類に対して貢献し、その特許料などで暮らすということも考えた。
だが・・・
そんなことをしたところでつまらないじゃないか。
このようなものは独り占めしてこそ楽しいというもの。
しかもあの、昔楽しんだ特撮番組と同じようなことが行なえるとしたら・・・
俺は躊躇いなくそちらを選んだ。

俺はひそかに自宅の地下にあの「アジト」と呼ばれるものを作り、そこで戦闘員と怪人を作り出している。
無論、さほど重要でも無い異星人のテクノロジーを、弁護士などを使って目立たないように特許をとり、その特許料で建てた自宅だ。
建築業者には老後の楽しみのカラオケルームやら書斎と言うことで、防音も完璧にしてある。
当然その後で自分なりの改築を施してあるのは言うまでも無い。

俺は大学を卒業すると中堅の製薬会社に就職した。
そしてそこで少し派手めのところがあるものの優しい妻と出会い、無理やり我がものにして結婚した。
俺はいつか妻を派手なコスチュームに身を包んだ悪の女幹部にすることを考え、自分の裏の世界をいずれは知らせるつもりでいたのだが、妻は息子の了史(りょうじ)が小学生の時にあっけなく癌で亡くなった。
今から考えれば、妻を女怪人にでも改造してやれば癌などで死なせることは無かったのだが、当時はまだしっかりとテクノロジーの把握もできていなくて、むざむざと死なせてしまったのだ。

それからの俺はテクノロジーの把握に努める一方で、妻のいない寂しさを仕事にぶつけ、了史に関しては雇った家政婦に任せきりのような状態にしてしまった。
再婚も考えないでもなかったが、気に入った女もいなかったのと、悪の組織を作るのに夢中でその気にはならなかった。
幸い、了史はそれでもまじめでおとなしい子には育ってくれたが・・・
俺にはおとなしすぎて物足りないものを感じさせる子になってしまった。

そんな了史も大学を卒業し、今では大手流通関係の会社に勤め、可愛い嫁さんも連れて来た。
別居するのだろうと思っていたのだが、うれしいことに同居すると言ってくれて、現在ではこの家に三人で住んでいる。
息子の嫁とはいえ、若い女性がいるというのは家の中が華やぐものだ。
俺は久し振りに気持ちが暖かくなるのを感じていたのだが・・・
ようやく着手した世界征服がここに来て頓挫しまくっているのだ。
理由は・・・そう、あの「ホワイトリリィ」だ。

警察も自衛隊も歯が立たない我が怪人たち。
バイトの募集と偽ったりして集めた女を改造した女戦闘員や、優秀な人材を拉致して作った女怪人たちが、いともあっさりとあのホワイトリリィに倒されてしまうのだ。
どこの何者かはわからないが、どうも異星人のテクノロジーが絡んでいるのは間違いないだろう。
いずれ正体を探り出し、完膚なきまでに叩きのめしてやらねばならん。
ふう・・・
俺は吸っていたタバコをもみ消すと、忌々しいホワイトリリィのことを脳裏からよけてアジトの部屋をあとにした。

「ただいま」
アジトからはいったん外部に出て、それから外出先から帰ったように振舞うのが俺のやり方だ。
そのために少し時間を潰して、ケーキなどを買って帰る。
面倒くさいが、俺は了史に裏の世界を知らせるつもりは無い。
あいつはやはり覇気を感じれらなくて、悪の組織の一員としては戦闘員ぐらいがせいぜいだろう。
無論我が組織には男性の戦闘員など不要だし、そんなことをするぐらいなら放っておく。
いずれあいつは俺が手を下さなくても勝手にくたばるだろう。
その方があいつのためだ。
俺はそう思っていた。

「お帰りなさいませ、お義父様(おとうさま)」
リビングからエプロン姿の百合香(ゆりか)さんが出迎えに現れる。
とびきりの笑顔がすごく素敵だ。
くりくりした瞳も、小さめの唇も、口元にあるほくろも、全てがとても可愛らしい。
この美しい百合香さんがあいつの嫁だとは信じられないぐらいだ。
あいつの功績は彼女を連れてきてくれたことだろうな。

「百合香さんただいま。これはお土産だ」
俺は途中で買ってきたケーキの手土産を渡す。
「まあ、そんな気を使わないで下さい、お義父様」
そう言いながらも百合香さんの顔がほころび、すごく嬉しそうに受け取ってくれる。
「すぐにお茶を淹れますね」
百合香さんがケーキの箱を持ってリビングに向かう。
その背中には色気があふれんばかりだ。
柔らかく流れるようなラインが背中からお尻にかけて膨らみ、そこからは太ももからふくらはぎ、踵へと集束して行く。
出るところは出て、くびれているところはしっかりくびれている。
しかし、主張しすぎることは決して無い絶妙なライン。
見事の一言だろう。
俺は百合香さんの後ろ姿を存分に堪能する。
百合香さんはあいつにはもったいない。
それが俺の出した結論だった。

「今日はまだ了史は帰ってきていないのか?」
俺はスーツを脱いで楽な服装に着替える。
どうやら了史はまだ帰ってきていないらしい。
流通関係だからな・・・土日も忙しかったりするようだ。
「はい。でも、もうすぐ帰ると思いますわ」
百合香さんがコーヒーを淹れてくれる。
「お義父様、どうします? ケーキ食べます?」
「いや、もうすぐ夕食だろう? 百合香さんの料理が楽しみだからよしておくよ」
これはお世辞でも何でもない。
彼女は非常に料理が上手なのだ。
毎日美味しい食事ができるのはいいものだ。
かつての妻も料理は上手だったが、彼女はさらに輪をかけている。
二十代半ばの若々しい肉体と言い、俺は彼女に惚れ込んでいた。
「まあ、お義父様ったら。でもありがとうございます。お世辞でも嬉しいですわ」
にこやかな笑顔で百合香さんは俺にコーヒーを差し出す。
美しい。
まさに女神と言うべきか?
あいつにはもったいなさ過ぎる。
俺は百合香の夫である了史をいまいましく思いながら、テレビをつけた。

『謎の組織クーライの怪人による被害は先週に引き続き軽微なものとなりました。これはホワイトリリィさんによるクーライの怪人に対する防衛活動と、警察による近隣住民の避難が適切に行なわれたためであり、ここに至ってようやく両者の強調が見られ始めたことが・・・』
テレビから流れてくる女性アナウンサーの声。
コーヒーの味が不味くなる。
「クーライ」というのは俺の作った組織の名前だ。
俺は堂々と日本政府に対し、この国を征服すると宣言をして行動を開始した。
無論、支配して何をしようというのでもない。
ただ支配したかったのだ。
かつていろいろな組織が世界征服をたくらみ、そのたびにこの日本で躓いていた。
まあ、それはテレビの特撮番組内のことであり、正義のヒーローが活躍する番組である以上仕方の無いことだろう。
だが、俺としてはその長い失敗の歴史をくつがえしてやりたかった。
子供っぽいくだらない妄想と言われればそれまでだろう。
結婚した子供を持ち、社会でもきちんとした会社に属する人間が考えることでは無いかもしれない。
しかし、そんなことは知ったことじゃない。
俺は俺のやりたいようにやる。
適当な女性を改造して女怪人に作り上げ、それを使ってこの日本を支配する。
支配したあとは・・・まあ、なるようになるだろう。

しかし、俺の野望は最初から阻止された。
女怪人に活動を開始させたら、ホワイトリリィが現れたのだ。
俺はこれまでに五人の女怪人を失っている。
女戦闘員に至っては四十人を下るまい。
今日の毒蛾女も、有望な新体操選手を使ったというのに、善戦したというだけだった。
何とかしなくては・・・
まずはホワイトリリィの正体を探らなければな・・・
だが・・・どうやって・・・

「このクーライって組織、何を考えているんでしょう・・・世界征服なんて子供のようだと思いませんか?」
百合香さんがキッチンで夕食の支度をしながら俺の方を見る。
「そ、そうかな・・・」
俺はどきっとした。
まあ、俺がそのクーライの首領だとは夢にも思わないだろうが・・・
用心に越したことは無い。
「今日だって買い物の途中に、クーライの女怪人が暴れていたんですよ。おかげで買い物が思うようにできなくて・・・」
「そ、そうだったのか。怪我はなかったかい?」
「あ、はい。大丈夫ですわ」
百合香さんが微笑む。
だが、先ほどの困ったような表情も綺麗なものだ。
そう思う俺は思わず苦笑する。
しかし気をつけなければならないな。
部下たちに百合香さんを傷つけたりしないように徹底させる必要がありそうだ。

「ただいまー」
そんな話をしていると了史が帰ってくる。
「お帰りなさい、了史さん」
すぐに百合香さんは玄関まで出迎えに行く。
やれやれ・・・
きっと玄関では熱いキスが交わされているのだろう。
俺は内心のもやもやをぐっと殺して、苦いコーヒーを飲み干した。

                   ******

「洞上(どうがみ)部長、こちら検印お願いいたします」
総務課の女子社員が俺の前に書類を置く。
なかなか可愛い娘だ。
女戦闘員として手元に置いておくのもいいかもしれないな・・・
俺はそんなことを考えながら書類に目を通す。
と言っても、実際はめくら判と同じようなもの。
俺が判を押さないと通らないから押しているだけだ。
実際にきちんと目を通そうと思ったら、とてもじゃないが一日仕事だろう。
それも書類の内容を読むだけで。
そんな意味の無いことをしても仕方が無い。
結局俺は数分で数十枚の書類に判を押して手渡した。
書類を持って立ち去るスカイブルーの制服に包まれた女子社員の後ろ姿を見送りながら、俺は百合香さんのことを考える。
百合香さんは実に素敵な女性だ。
了史が百合香さんと結婚したのは、まさに天の恵みであると同時に天の悪意を感じてしまう。
なぜあいつが百合香さんの夫なんだ・・・
あいつのどこがいい。
不思議かもしれないが俺は了史に愛情は持っていない。
家政婦に任せきりで手の掛からなかった了史はどこか遠くの存在に感じるのだ。
無論家族としては問題なく暮らしていると思う。
しかし、百合香さんを連れて来た日から、俺はあいつに対し憎しみにも似た嫉妬を感じていたのだ。

百合香さんを俺のものにする。
いつごろから考え始めたかはもうわからない。
だが、俺は百合香さんを見た時からそう決めていたような気がする。
了史と百合香さんの結婚からもう一年。
俺は内心を気付かれて別居されないように注意を払ってきた。
だが、それももう限界だろう。
そろそろ行動を起こす時だ。

単純に百合香さんを手に入れるだけなら、俺にはクーライの首領としての力がある。
アジトに連れ込んで脳改造で洗脳してしまえばよい。
だが、それで手に入るのは人形となってしまった百合香さんだ。
俺が愛した百合香さんではない。
俺が手に入れたいのは人形ではなく生きた百合香さんだ。
息子の妻を寝取る。
ふふふ・・・
これほど背徳的で悪に相応しいことも無いかもしれないな・・・
俺はつい含み笑いを漏らしていた。
  1. 2010/02/20(土) 19:06:11|
  2. ホワイトリリィ
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予告

今日は、バンクーバー冬季オリンピックで、高橋大輔選手がフィギュアスケート男子で日本初のメダルを獲得されたそうですね。
色は銅ではありますが、とても健闘なさったと思います。
おめでとうございました。

さて、今日は予告です。

2010年の1月20日に当ブログが累計200万ヒットを迎えましてから、明日ですでに一ヶ月が経過いたします。
本当はすでに記念SSの一つも投下していなくてはならなかったところでありましたが、なかなか書きあがらずに今日まで来てしまいました。

ですが、ようやくひとつの形にすることができました。
今までお待たせしてしまいまして、本当にすみませんでした。

そこで、いよいよ明日から25日間連続で、記念SSを投下しようと思います。

今回の作品、今までの中で一番長い作品になりました。
今の時点ではホリドルよりも長いです。
すべての皆様に楽しんでもらえるかどうかはなんともいえませんが、どうか明日から25日間楽しんでいただければと思います。

それではまた。
  1. 2010/02/19(金) 21:30:04|
  2. 日常
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訃報が・・・

今日はまた訃報がありました。

人気番組「必殺仕事人」シリーズの中村主水役や、「はぐれ刑事純情派」の安浦刑事役、「剣客商売」の秋山小兵衛役などを演じられました俳優の藤田まこと氏が、昨日2月17日に大動脈瘤破裂でお亡くなりになられました。
享年76歳とのことでした。

藤田まこと氏は、やはり中村主水役が一番印象に残ってますね。
昼行灯のごくつぶし同心が、殺しとなると凄腕という設定は、他にもいろいろと影響を与えてきたような気がします。
初期は刀での立ち回りも見せてくれましたけど、中期以降は脇差が主になり奇襲的に殺すことが多くなりましたね。
刀の握りのところをはずしてというのもよくやってました。

中村主水から一転した安浦刑事も魅力あるキャラでしたね。
人情で事件に絡んだ人と接し、犯人であれば諭したり、事件に巻き込まれた人であればいろいろと面倒見てあげたり。
異色の刑事ドラマだったと思います。

昨年は「必殺仕事人2009」にも出演され、さすがにお年を召したなぁと感じさせられましたが、やはり中村主水が出てくる必殺仕事人は見てしまいます。

まだまだ長生きして欲しかった俳優さんでしたので残念です。
ご冥福をお祈りいたします。
  1. 2010/02/18(木) 21:19:08|
  2. ニュース
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02月18日のココロ日記(BlogPet)

舞方雅人さん!てんとうむし!てんとうむし!

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2010/02/18(木) 10:14:13|
  2. ココロの日記
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ボーナスパック

もう手に入れてかなりになりますけど、ASL-SKのボーナスパックです。


こちらが表紙。
シナリオS41、S42、S43の三本と、マップpが入っております。

aslsk1-cover.jpg
このボーナスパックは、こちらのSK#1用のものでして、このSK#1のみを持っていればプレイできます。
ただ、新地形として生垣とその発展としてノルマンディー地方に多かったボカージュが取り入れられてます。

このボカージュが出てくるのが示すように、シナリオもノルマンディー地方での米軍対独軍のシナリオとなっており、いずれも小型の手軽なものとなっています。

どのシナリオもまだ対戦しておりませんが、いずれ対面もしくは通信で対戦したいものですね。

今日はこれにて。
それではまた。
  1. 2010/02/17(水) 21:19:09|
  2. ウォーゲーム
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焼却処理失敗!

今日は古ーーーいマンガのご紹介。
ご紹介というか、私はこれ好きなんですよーというマンガ。


エヴァンゲリオンでメカや美術のデザインを担当されたり、ゲームの原画を描かれたりもする、きお誠児先生の「始まりの惑星」(バンダイP.Cコミック)です。

1991年の発行ですから、もう20年も前の作品ですね。
ご存じない方がほとんどではないでしょうか。

SF小説家のロバート・A・ハインライン先生の小説「宇宙の戦士」はご存知の方も多いでしょう。
いろいろと言われもしますが、ミリタリー宇宙SFとしては有名な作品で、パワードスーツが出てくることで影響を受けた作品も多いと思います。
特にハヤカワ文庫版での表紙イラストには、スタジオぬえデザインのパワードスーツが秀逸で、非常に人気も高いものとなっています。

この「始まりの惑星」は大雑把な世界観をこの「宇宙の戦士」から取っており、主人公カズマはパワードスーツを着て戦う機動歩兵となっています。
そしてこの主人公カズマと出会うのが人工的に勘を高められたタレントと呼ばれる少女たちの一人ソフィ。
彼女たちはその高められた“勘”によって兵士たちの危機回避を行うのです。

まあ、内容はこのカズマとソフィのロマンスを中心に、人類とアレクニド(宇宙の戦士に出てくる敵役:宇宙蜘蛛)との戦いを描いたものとなってます。

表題の「焼却処理失敗!」はこのマンガでの好きなシーンの一つで、宇宙をそのまま巨大な蜘蛛の巣で太陽風に乗って漂ってくるアレクニドの“宇宙船”=蜘蛛の巣に対して、人類側宇宙船が主砲で焼き尽くそうとしたところ、一部燃え残らせてしまい、アレクニドとの戦いになってしまうというときにオペレーターが発したセリフ。
人類のように宇宙船という機械に頼らずに宇宙を渡るアレクニドという存在の異質さがよく表れているようで好きなんです。
地球の蜘蛛も糸出して空飛んだりしますもんね。

とても古いマンガですし、手に入れることも難しいとは思いますが、私の好きなマンガということでどうかお赦しを。
それではまた。
  1. 2010/02/16(火) 21:04:08|
  2. 本&マンガなど
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でも・・・槍が従えって言っているわ

当ブログを開設した頃にもご紹介したコーエーのPCシミュレーションゲーム「ロイヤルブラッドⅡ」です。


廉価版パッケージはこちら。

このゲーム、以前にも紹介したように基本は国取り、拠点取りのゲームです。
内政で施設を作って食料と金を手に入れ、兵を雇って他国に侵攻するゲームなのですが、闇側で行なったときには捕らえた敵キャラを洗脳して手駒にすることができるという美味しいシステムであることは以前ご紹介致しました通りです。
洗脳シーンはどれもほぼ共通で、あっさりとしたものではありますが、やはり捕らえて洗脳というのは王道ですよね。

で、そんな美味しい「ロイヤルブラッドⅡ」ですが、他にもいいシチュがございます。
魔槍バラランテに取り憑かれてしまった女性ミルナリアです。

どうやら小さな農村の普通の若い女性のようなのですが、意思を持つ魔槍バラランテを手にしてしまったことから、躰が勝手にバラランテをふるって殺戮を犯してしまうようなのです。

自らの意思はまだ保持しており、殺戮をしたくないと願っているのですが、躰はバラランテの意のままになってしまうようで、彼女の力で止めることはできないようです。

闇側でプレイするときには、なんてことなく彼女を配下にすることができます。
「バラランテよ、我が元に来れば思う存分暴れさせてやるぞ」
「いやぁ! もう人殺しはしたくない。でも槍が命じているわ・・・行くしかないのね・・・」
みたいな会話があって、配下にした彼女を使うことができます。
(会話はうろ覚えですので正確ではありません)
ただ、配下になっても勝手に暴れたりするようなことはなく、単に手駒が一人増えるだけのようです。

光側の時にはバラランテを浄化するためにアイテムが必要なようです。
そのアイテムがあれば、彼女は救われるのかもしれません。
彼女のイベントを完全にクリアしたことがないので、どういう結末になるのかわかりません。

魔槍に操られる・・・いいですよねー。
ミルナリアがじょじょに魔槍に身も心も捧げるようになるイベントなんかがあれば最高なんですけどね。
さすがにそういうイベントはなさそうです。
シチュはいいのにねー。

ということで、今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2010/02/15(月) 21:38:13|
  2. PCゲームその他
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ガンダムは何号機まであるの?

だいぶ前に買ってはいたんですが、なんだかんだと最近まで目を通していなかったのがこれ。

1261478576.jpg
夏元雅人先生の「ガンダム戦記 U・C・0081-水天の涙」です。

ご存知夏元先生のガンダムマンガで、もちろんベースはプレイステーション3で発売されております同名ゲームです。
ゲームはやらないんですけど、マンガはやっぱり気になりますね。

ジオン残党に対する連邦軍「ファントムスイープ」隊の活躍を描いたものですが、ゲームではジオン残党側の「インビジブル・ナイツ」隊側でプレイすることもできるみたいですね。

相変わらず夏元先生の描くおにゃのこはかわいいので、シェリー中尉はいいなぁと思うわけですが、彼女にはいろいろと裏がありそうです。
スパイ容疑もかかってますね。

連邦軍側の主人公ユーグ大尉は、ガンダム7号機ですか。
ガンダムはいったい何機あるんでしょう?
新作作られるたびに増えていくような・・・(笑)

ジオン側にはイフリートが出てきましたね。
イフリート・ナハトですか。
なかなか能力的には高そうです。

それにしても、見ているとまたガンダムSSも書きたくなりますね。
久しぶりに書いてみようかな。

それではまた。
  1. 2010/02/14(日) 20:52:53|
  2. 本&マンガなど
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始まりました

昨日は「ルパン三世」のスペシャルがありましたね。
涼宮ハルヒ声のくノ一がレオタード姿で活躍していましたので、個人的には満足満足。(笑)
ストーリー?
トンデモでしたねー。(笑)
マイクロブラックホールも切れる斬鉄剣ですか~。
すごいなー。(棒読み)

今日はカナダ・バンクーバーで冬季オリンピックが開幕しましたね。
82の国と地域が参加しているとのことで、各競技での熱戦に期待です。
開会式では一所懸命にカナダらしさを出そうとしていましたね。

残念だったことは、開会式直前にグルジアのリュージュのクマリタシビリ選手が練習中の事故で亡くなられてしまいましたこと。
速度を求める競技では、こういう事故は恐ろしいです。
本番に参加できなかったこと、本当に無念だったと思います。

日本ではプロ野球もそろそろ練習試合が始まりました。
北海道日本ハムと阪神の練習試合もおこなわれたようで、阪神のドラフト一位の二神投手が好投したとのこと。
このまま阪神投手陣の一角を占めてくれるといいですね。

また、阪神岩田投手と日本ハムのカーライル投手の対面もおこなわれたとのことで、二人とも糖尿病という持病を抱えていることから、同じ病気を持つ人々の力になれればとのことでした。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2010/02/13(土) 20:03:04|
  2. スポーツ
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あらびっくり!

今日も買ってきた本の紹介です。


「グランドパワー」誌 2010年3月号 ガリレオ出版です。

今号は1月号に引き続き三号戦車の二回目です。
J型からN型までの各種と、派生車両数種が扱われています。

今回驚いたのは、従来三号戦車の5センチ砲搭載については、軍側が42口径砲の搭載でよしとしたものが、ヒトラー総統が60口径砲の搭載を望んでおり、それが実行されていなかったことに怒ったことで、急遽60口径砲搭載型が作られたといわれていましたが、技術的に難しいことを専門家に言われ、ヒトラーも納得していたんだというのです。

つまり、60口径砲を載せたかったけど技術的には難しかった。
なので、それはヒトラーも納得しており、42口径砲を搭載していたことに怒りはしなかったということなのだそうです。

ただ、フランス戦での戦訓からやはり三号戦車の主砲威力の強化は必要だということで、60口径砲の搭載が求められたということのようです。

このあたりは、新資料によるものなのかもしれません。

また、これに関連して、従来三号戦車のJ型には42口径5センチ砲タイプと、ヒトラーが怒ったことで急遽主砲を換装した60口径5センチ砲タイプがあるとされてきましたが、車体は同じでも60口径5センチ砲を搭載したタイプはすべてL型に呼称変更がなされていたんだそうです。
つまり、60口径5センチ砲を搭載した三号戦車J型はすべてL型にされてしまったということなのだそうです。

これは四号戦車でも同じようなことがありましたね。
以前はF型に長砲身43口径7.5センチ砲を搭載したものはF2型と呼ばれていましたが、F2型と言うのは一時期だけの呼び名であり、すべてG型に呼称変更されたといいます。

このあたりも新資料によるところが大きいんでしょうね。

それにしても、戦後65年も経つのに、いろいろと出てくるものですね。
なかなか面白いものです。

それではまた。
  1. 2010/02/12(金) 21:27:18|
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今年も買ってきました

今日は床屋に行ったついでに本屋さんへ。
そこで今年も買ってまいりました。


ベースボールマガジン社の「週刊ベースボール」の2010年版プロ野球全選手写真名鑑です。

毎年買っておりますが、今年もこの時期になりましたねー。
早いものです。

いつものように各球団の選手たちの顔ぶれを見て、今年は彼はどうかなとか、彼は今年は出てくるだろうかとか、彼はここに移ったのかとかいろいろなことを考えます。
外国人選手は特に入れ替わりが激しいので、今年は誰が入ったのかなどをこれで確認することがほとんどです。

それにしても、毎年表紙の体裁が十二球団から各一人ずつの顔写真という形なので、今年の表紙には誰が選ばれるのかを予想しているブログなんかもありますね。
私は特に予想をしていたわけじゃないですけど、あー、今年はこの人か~というのがありますよね。
ちなみに阪神は城島選手、日本ハムはダルビッシュ投手でした。

開幕まではまだ一月以上ありますが、今年もキャンプ報道やオープン戦、そしてシーズンとこの名鑑が活躍してくれそうです。
今年はどこが優勝するのかな。

それではまた。
  1. 2010/02/11(木) 21:38:35|
  2. スポーツ
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02月11日のココロ日記(BlogPet)

料理で一番大切なのは気をがんばることだって、ブログ妖精学校で教えてもらいました。さっそく試してみたいです

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2010/02/11(木) 10:34:29|
  2. ココロの日記
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もうなんでもありなのねー

札幌ではわりと当たり前なことの一つに、交差点や坂道などの道路脇に滑り止め用の砂が入ったボックスが設置してあります。
冬場、雪が踏み固められてつるつるになった路面にこの砂を撒き、滑り止めとするわけなんですが、雪の多い地域ではわりと多くの場所で行われていることかと思います。

それにしてもこの砂、なんとある神社ではお守りとして売られているんだとか。
受験生向けに「合格祈願」のお守りとしてなんだそうです。
いわゆる「滑り止め」(不合格防止)のお守りなんだそうですねー。

先日のテレビでは、蛸で有名な明石では、やはり合格祈願にかわいい蛸の人形が売られているんだそうです。
机に置いて勉強することで、「置くとパス」(オクトパス)なんだそうです。

もうなんでもありなんですねー。

私はもう受験などはるかかなたの出来事だったですけど、受験生の皆さん、がんばってくださいませ。
応援しております。

それではまた。
  1. 2010/02/10(水) 21:16:37|
  2. 日常
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これもまたやりたい

昨日に引き続き、今日もウォゲムのご紹介。

すでに何度となくこのブログでも記事にしているゲームなのですが、またやりたいなぁと思っているのが「ブダペスト45」(コマンドマガジン日本版13号付録)です。
013.jpg

1945年の初め、西部戦線でのアルデンヌ攻勢も失敗に終わり、ソ連軍がベルリンへ向かって怒涛のごとく押し寄せるなか、同盟国ハンガリーの首都ブダペストでソ連軍に包囲されてしまった独軍とハンガリー軍を救出しようとして試みられた独軍の反攻作戦を表したのがこのゲームです。

独軍は強力な装甲師団を持ち、ゲーム中三回の奇襲ターンもあって、ほぼ主導権を握ります。
ですが、数が少なく、また進撃路も限定されるためになかなか進むことができません。
また、すべての時点においてスタック禁止なため、移動の順番に気をつけないと、前のユニットを追い越すことが難しくなります。

さらに、このゲームの特徴として、ダメージを受けると戦力そのものが減っていくというシステムをとっているため、最初は20戦力を超えるような強力なユニットも、戦闘を繰り返すにつれて15戦力、10戦力とじょじょに戦力が磨り減ります。
なにせ戦闘をすれば、必ず双方に最低でも1戦力のダメージが出る戦闘結果表なので、戦闘に勝っても戦力が磨り減るのです。

そのため、序盤は強力な独軍の装甲部隊も、ソ連軍の歩兵部隊や戦車部隊を相手にしているうちにどんどん戦力が減って行きます。
まさに兵力を削られながら味方を救出に行こうとしているのが肌で感じられます。
なので、味方の救出まであと一歩、あと一歩なのに戦力が足りなくなるといった状況が手に取るようにわかるので、このゲームが私は好きです。

何回か対戦もしておりますが、また対戦したいものですね。
やっぱり何回も対戦したいと思えるゲームは貴重です。

付録となったコマンドマガジン日本版13号はすでに絶版ですけれど、幸いこのゲームはコマンドベストの第8号「東部戦線の崩壊」の中に収められて再販されてます。
まだ手に入るようですので、お手にされるのもいいかもしれません。

それではまた。
  1. 2010/02/09(火) 21:10:56|
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やりたくなるじゃないですか~

舞方はウォゲマ(シミュレーションウォーゲーマー)です。
いろいろなウォーゲームが好きです。
なので、いろいろなウォゲマのブログとかも見たりします。

先日、TORO様のブログ「TROOPERS」様で、あるウォーゲームのリプレイが載っておりました。
そのゲームは「Battle for Germany(邦題:ベルリン陥落)」というものでした。

かつてSPI社より出版されていたゲームで、日本ではホビージャパン社が雑誌「タクテクス誌」の月刊化に伴う付録ゲームの第一陣として付録化されたゲームです。
ルールとマップが雑誌に付き、ユニットは自作かもしくは別売のものを購入するというシステムでした。

このゲームが付録として付いたタクテクス24号が出たのは1985年。
雑誌そのものは私も購入しておりましたが、別売ユニットを買おうという気にはなりませんでした。
今では当然のごとく手に入れることはほぼ不可能でしょう。

このゲームは、第二次欧州大戦の末期、東西から挟撃されるドイツと米英連合軍&ソ連軍との戦いを扱ったものです。
おもしろいのは、普通この手のゲームは、ドイツ軍を一人のプレイヤーが担当し、米英連合軍&ソ連軍をもう一人が担当するという形が多いです。
ところがこの「Battle for Germany」は、一人が米英連合軍を、もう一人がソ連軍を担当します。
ではドイツ軍はどうするのか?
もう一人のプレイヤーを入れてもいいのですが、基本の二人プレイのときは、なんとそれぞれのプレイヤーが担当するのです。

つまり、米英連合軍担当のプレイヤーは、米英連合軍と東部戦線でソ連軍と戦う独軍を、ソ連軍プレイヤーはソ連軍と西部戦線で米英連合軍と戦う独軍を担当し、お互い相手の進軍を阻止しあうのです。
これは実におもしろいシステムで、双方自分が勝つために、できるだけ相手と戦うドイツ軍に粘ってもらおうとするのです。

当時はこのゲーム、あまりやろうという気も起きませんでした。
そのためユニットも買わなかったのですが、いまさらながらTORO様のブログのリプレイを見るとやりたくなります。
いまさらながらタクテクス誌の付録ってやってみたいなって思うものが結構あるんですよね。
リプレイなんか見ちゃったらやりたくなりますよ。
もう、どうしてくれるんだってねぇ。(笑)
ユニット自作するしかないなぁ・・・

それではまた。
  1. 2010/02/08(月) 21:26:01|
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恐るべき・・・

以前読んだ本なのですが、今また読み返している文庫本がこちら。

4059020419.jpg
「赤軍大粛清」 ルドルフ・シュトレビンガー著 学研M文庫

1937年6月11日、突如ソ連労農赤軍の重鎮で「赤軍の至宝」とまで謳われたトハチェフスキー元帥が、裁判で国家反逆罪などの罪状に有罪とされ、同じく有罪とされた赤軍の高級将校たちとともに翌日に銃殺処刑されました。

この本は、そのトハチェフスキー元帥の銃殺がスターリンによっておこなわれた赤軍に対する粛清の始まりであるとして、スターリンによる大粛清の“真実”(と思われるもの)を書いたものです。

それにしても権力の維持というのはこれほどのことを人にさせるのか、と言いたくなる凄まじい行いです。
1937年から翌38年までの間に粛清された高級将校は、元帥5名中3名、大将クラス15名中13名、中将クラス85名中62名、少将クラス195名中110名、准将クラス406名中220名、大佐クラスではその四分の三が殺されたといいますから、まさに赤軍は大幅に高級将校を失ったわけです。

この粛清によってもちろん赤軍は大幅に弱体化し、1939年の対フィンランド戦での手痛い損害や、1941年のドイツ軍によるバルバロッサ作戦による大損害も当然と言えば当然と言えるものだったでしょう。
国家の軍事力を大幅に弱めてでも、自己の権力の維持を第一に考えるスターリンの恐ろしさは、背筋が寒くなるほどです。

でも・・・
おそらく人間は、規模の大小はありますが、誰しもやってしまうことなのかもしれませんね。
私も自己保身をやっていないなどとは口が裂けても言えませんし。
自分を脅かす存在は廃除しようと思ってしまうものなのでしょうね。

このスターリンによる粛清で犠牲になった人の数は、大小さまざまな数字があって確定しておりません。
大きな数字になると、独ソ戦で犠牲になった人の数よりも多いとさえ言われます。
恐るべきとしか言いようがありませんね。

そういうことも含め、もう一度この本をじっくり読んでみようかと思います。
それではまた。
  1. 2010/02/07(日) 21:00:05|
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これまた異国で活躍

1930年代後半に入り、航空機の発展が著しくなってきた頃、アメリカ海軍でもまた艦載戦闘機の能力向上を目指して、1936年に新型戦闘機の開発が始まりました。

それまでは複葉の艦上戦闘機でしたが、この時要求されたのは、単葉機であることや、引き込み脚を持つこと、翼の折りたたみ機能を備えること、密閉式のコクピットであることなど近代戦闘機としての能力を備えるものという要求でした。

この要求に基づき、ブリュースター社が開発したのが、F2戦闘機でした。
ちなみに、同じときにグラマン社が開発したのが、F4Fワイルドキャットです。

F2戦闘機は、1937年12月に試作機が初飛行しました。
そのスタイルは、空冷エンジンを積んだ太く短い胴体が特徴的で、ずいぶんとずんぐりむっくりという感じのする飛行機でした。

ですが、アメリカ海軍の要求する性能は満たしており、アメリカ海軍としては使える戦闘機と考えられたため、1938年に量産機F2Aの発注がおこなわれます。
しかし、納入が始まった1939年にはすでに各国の航空機の性能向上が著しく、F2Aでは充分な能力ではないと見なされたために能力向上型の発注がおこなわれました。

ところが、この能力向上は思ったほどの向上をさせることができませんでした。
エンジン出力を上げては見たものの、防弾装備の追加や武装の強化などでかえって鈍重になってしまったのです。
さらに着陸脚の貧弱さなどが影響し、航空母艦での運用にも問題が出てしまいました。

それでも英国やオランダなどが興味を示し、陸上型のF2Aを導入。
英国軍がこの機体にバッファローというあだ名をつけ、以後一般的にはブリュースターF2Aバッファローと呼ばれるようになりました。

F2Aバッファローは、やはりさすがにドイツのメッサーシュミットBf109などには歯が立ちませんでした。
そのため英軍も地中海や極東でイタリア機や日本機の相手をさせることにいたします。
しかし、極東でもF2Aは日本海軍の零戦や陸軍の一式戦(隼)に歯が立たず、早々に第一線から退きます。

アメリカ軍でも陸上型のF2Aを太平洋で運用しておりましたが、これまた零戦に歯が立たずにお役ごめんとなりました。

東西で苦汁を舐めさせられてしまったF2Aでしたが、一ヶ所だけ、このF2Aが活躍できた場所がありました。
北欧です。

1939年にソ連と「冬戦争」を戦ったフィンランドは、アメリカからF2Aを輸出向けにスペックダウンしたB239と呼ばれるバッファローを44機受け取りました。
旧式機や鹵獲機など雑多な機体で占められていたフィンランド空軍にあって、このB239はまさに有力な第一線の機体でした。

この「冬戦争」とそれに続く「継続戦争」において、フィンランド空軍はこのB239を用いて、ソ連空軍と真っ向から渡り合いました。
記録によればB239を21機失ったのに対し、撃墜したソ連軍機はなんと456機にも達したといわれます。
まさにフィンランドの空の守り神でした。

昨日ご紹介したP-39もそうでしたが、作り出したアメリカではほとんど有効に使われなかった機体が、こうして他国では重要な働きをするというのもおもしろいことですね。
F2Aも輝ける場所を得ることができてよかったんだと思います。

それではまた。
  1. 2010/02/06(土) 21:37:05|
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ソ連に喜ばれた毒蛇

航空機の運用方法の差が、その航空機自体の評価を大きく左右したのが、アメリカのベル・エアクラフト社の開発したP-39エアラコブラでしょう。
これほど米英とソ連での評価が違う機体も珍しいかもしれません。

P-39は、1937年にアメリカの高高度迎撃用の単座戦闘機開発要求に基づいて作られました。
この時同時に要求のあった双発戦闘機がのちのP-38ライトニングとなるのですが、この双発戦闘機の航続性能を落とした程度というかなりレベルの高い要求がこの単座戦闘機には求められておりました。

ですが、その高い要求にベル社を含む三社が計九種類もの試案を提出。
そのうちの一つがこのP-39の基となりました。

P-39は通常の戦闘機の一般的配置とは異なり、胴体中央の部分に液玲エンジンを搭載し、コクピットはその前に置くという変則的な配置を採用しておりました。
エンジンからは長いプロペラシャフトが機首まで伸び、そのシャフト内に37ミリという大口径の機関砲を装備。
高高度での迎撃機として申し分のないものでした。

試作機は優秀な成績をおさめ、米軍としても満足のいくものではありましたが、残念なことに高高度の迎撃機としては、同時期に要求された双発戦闘機P-38が完成しており、P-39はあまり必要がなくなってしまっておりました。

そこで米軍はP-39から高高度での飛行に必要なターボ加給器を取り外し、中高度域での戦闘機として完成させることにしました。
この中高度型の試作機は1940年9月に完成し、欧州での戦闘が激化していたことから、英軍向けの輸出機として生産が開始されます。
さらに太平洋方面への配備も進み、太平洋戦争序盤の米陸軍航空隊の主力戦闘機として使用されました。

しかし、実戦でのP-39の評判はさんざんでした。
英軍はホーカーハリケーンにも劣るとの評価を下し、戦闘機としての使用を早々にあきらめます。
米軍もまたP-39と零戦の空戦の結果から、こちらも戦闘機としての評価はきびしいものとなりました。

ですが、これはエンジンを中央に置いたP-39の飛行特性をパイロットが把握し切れなかったことも大きな要因でした。
通常の戦闘機と同じように乗りこなそうとして、上手く操縦できていなかったのです。

また、ターボ過給器をはずしてしまったことで、高高度でのエンジン性能が低下してしまったこともP-39の悪評を高めることになりました。
欧州や太平洋では、空戦が結構高度の高い場所でおこなわれることが多かったのです。

結局米英では見切りを付けられてしまったP-39は、レンドリース機としてソ連に追いやられてしまいました。
ところがこのP-39。
ソ連では意外なほどに好評でした。

ソ連空軍は対地支援を主におこなうための空軍でした。
対地支援用の攻撃機は地上攻撃を行なうのですからあまり高高度を飛びません。
そのため、対地支援攻撃機をガードする戦闘機も、必然的に低高度での飛行が多くなりました。

P-39は低高度域では充分な能力を出すことができました。
ソ連空軍はP-39をメッサーシュミットBf109に充分対抗可能な戦闘機としてもてはやしました。
事実空戦では多くのBf109がP-39に撃墜されました。
また、機首の37ミリ機関砲は、対地攻撃にも有効でした。

ソ連空軍は多くのエースパイロットをこのP-39で生み出しました。
ソ連軍にとってはまさに運用にぴったりはまった戦闘機だったのです。

のちにアメリカは、このP-39の高高度性能を高めようとして、改良型のP-63キングコブラをベル社に作らせました。
しかし、そのときにはP-47サンダーボルトやP-51ムスタングなどが完成しており、P-63の出番はありませんでした。
結局このP-63もソ連へのレンドリース機となってしまい、ソ連空軍はまたしても高性能の機体をアメリカからもらえることになったのです。

機体の運用の違いが、東西でこれほど評価を変える機体も珍しいでしょう。
P-39はまさにソ連軍のためのアメリカ製戦闘機だったのです。

それではまた。
  1. 2010/02/05(金) 21:40:28|
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ジャワ沖海戦

今日は横綱朝青龍関の引退がニュースを騒がせておりますが、今から68年前の1942年2月4日は、インドネシア方面で「ジャワ沖海戦」がおこなわれた日でした。

1941年12月8日のハワイ真珠湾攻撃で始まった太平洋戦争は、その後「マレー沖海戦」で英国戦艦二隻を撃沈し、マレー半島での陸軍の快進撃がシンガポール島対岸のジョホールバルまでの占領を終えており、残るはシンガポール島の攻略のみになっておりました。

そんな中、日本陸海軍は資源地帯の攻略をおこなうべくインドネシア方面への進出を画策しておりましたが、インドネシア方面の制海権をまだ掌握したわけではありませんでした。
この時期インドネシア方面には、連合軍の艦隊がまだ健在であり、この艦隊を撃滅しなくては制海権を手に入れることはできなかったのです。

2月に入り、連合軍艦隊の指揮を任されていたオランダのカレル・ドールマン提督(少将)は、日本軍の動きを注視しておりましたが、日本軍の上陸部隊を乗せた輸送船団が出撃したとの報告を受け、上陸阻止のために艦隊を率いて出撃いたします。
しかし、この報告は誤報でした。

出撃した連合軍艦隊は、アメリカの重巡「ヒューストン」、軽巡「マーブルヘッド」、オランダの軽巡「デ・ロイテル」及び「トロンプ」を中核とした艦隊でした。
指揮はドールマン提督自らが取り、軽巡「デ・ロイテル」を旗艦としておりました。

連合軍艦隊は日本軍の船団を求めジャワ海を航行しておりましたが、もちろん誤報だったために日本軍の船団を見つけることはできませんでした。
それどころか逆に日本軍の偵察機に艦隊を発見されてしまうのです。

2月4日の早朝、偵察機の報告を受けた塚原中将は、この艦隊を航空機で攻撃することに決定。
鹿屋航空隊や高雄航空隊などに出撃を命じます。
このうち鹿屋航空隊は、前述の「マレー沖海戦」にも参加しており、その再現を目論んだことは想像に難くありません。

日本軍の航空攻撃は四度に及び、合計三十六機の一式陸攻と二十四機の九六式陸攻が連合軍艦隊を襲いました。
しかし、「マレー沖海戦」のような航空機による撃沈をおこなうことはできず、「ヒューストン」に命中弾一発、「マーブルヘッド」に命中弾二発などの損傷を与えただけにとどまりました。

ですが、主力の巡洋艦群に損傷を受けてしまったことで、ドールマン提督は後退を決定。
連合軍艦隊は戦場を離脱します。
こうして「ジャワ沖海戦」は終わりました。

この海戦は日本軍の勝利ではありましたが連合軍艦隊に沈没したものはなく、なおその脅威は残りました。
ですが、この後「スラバヤ沖海戦」や「バタビア沖海戦」で連合軍艦隊は次々と沈められ、その脅威は消え去ることとなるのです。

「マレー沖海戦」では戦艦二隻を撃沈した陸攻部隊でしたが、この「ジャワ沖海戦」では損傷を与えるだけにとどまりました。
やはり戦艦に比べて小型で速度が速い巡洋艦は攻撃しづらかったんでしょうかね?

それではまた。
  1. 2010/02/04(木) 21:29:05|
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02月04日のココロ日記(BlogPet)

放課後、大きい交戦さんと中佐について熱く語り合いました。舞方雅人さんのひみつも聞いちゃいました……!

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2010/02/04(木) 10:20:34|
  2. ココロの日記
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う、うれしいよー!!

今日は節分ですね。
もう豆まきは済まされましたでしょうか?
恵方巻は食べられましたか?

私は何にもしておりません。(笑)
落花生は買ってきてあったんですけど、酒のつまみに消えました。
あ、北海道ではわりと殻つき落花生をまくご家庭が多いようですよ。
大きいので拾いやすいし、中身が汚れないのでいいということなんでしょうかね。

ええと、今日はむちゃくちゃうれしいことがありまして、そのご報告と新たなリンク先のご紹介です。

なんと!
商業誌でもご活躍中の作家様、鬼塚たくと様が当ブログをこっそりと(?)ご自身のサイトの近況報告用ブログにリンクしてくださいました。
何もお聞きしておりませんでしたので、もうびっくりです。
以前からふとしたご縁でお知り合いさせていただいておりましたが、まさかリンクしていただけるとは思いもしませんでした。
とてもうれしいです。
ありがとうございました。

早速こちらからもリンクのご承諾をいただきましたので、リンクさせていただきました。
鬼塚たくと様のサイト、「ありす堂 CROWN BRIGADE」でございます。
(サイト名をクリックするとリンク先へ飛べます)

ご覧になっていただきますとわかると思うのですが、鬼塚様はとても柔らかい可愛らしい女性を描かれます。
私も最初に拝見したときから、鬼塚様の描かれるイラストにすごく惹かれるものがありました。
何でも「悪堕ち」も結構お好きとのことで、当ブログもときどきご覧になってくださっていたとのこと。
本当にうれしく、ありがたいことです。

鬼塚様、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。


今日はもう一つうれしい話が。

昨年阪神を戦力外とされてしまいました今岡選手が、千葉ロッテマリーンズの入団テストに合格し、晴れてロッテの選手となることが決まりました。
ここ二年ほど思うような野球のできなかった今岡選手ですが、あのまま引退にはあまりにももったいないと思っておりましたので、今回のロッテ入団はよかったと思います。
心機一転でまたがんばってほしいです。

日本ハム戦と、交流戦での阪神戦ではお手柔らかに願いたいですけどね。

それではまた。
  1. 2010/02/03(水) 21:13:29|
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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