なんだか奇妙なSSを書いてしまいました。
駄文ですけど、よろしければごらんくださいませ。
「ナイロンの虜」
「ああ~~ん、ゼンタイ様ぁん」
椅子に座っている、頭のてっぺんからつま先までをすっぽり覆う黒い全身タイツを着た男に、黒いコルセットと黒いパンストだけを身に着けた女がしなだれかかる。
床に尻を着いた女は、とても愛しいかのように男の太ももにほお擦りする。
その手は滑らかに動き、男の股間でもっこりとナイロン生地を押し上げている肉棒をさすっていた。
「ククク・・・お前もすっかりナイロンの虜になったようだな」
目も鼻も口もないゼンタイマスクに覆われた顔が、うっとりとしている女に向けられる。
女は躰を持ち上げると、男にまたがるようにして太ももの上に腰を下ろし、両手を男の首にまわすようにして抱きついた。
「はい、ゼンタイ様。私はもうナイロンの虜。ナイロンのためなら何でもいたしますわ」
そう言って男のナイロンマスク越しに口付けを交わす。
つややかなナイロンが彼女にはとても心地よかった。
「ククク・・・あれほど我らに歯向かっていたお前が、今はナイロンの虜とはな。そんなにナイロンが好きか?」
彼女の穿いている黒パンストに手を這わすゼンタイの男。
手袋とストッキングがこすれあい、しゅるしゅると小さな音を立てていく。
「ああ~~ん。はいぃ、そうですぅ。私はナイロンが大好きですぅ」
まるで素肌を愛撫されたかのように快感を感じている女。
いや、おそらくは素肌を愛撫される以上なのだろう。
「ククク・・・それでいい。今のお前はわがナイロン帝国の女幹部パンストレディ。かつてはナイロンを拒否するスアシセイバーの一員スアシレディだった西風美弥(にしかぜ みや)はもういない。そうだな?」
「はいぃ、そうですぅ。スアシレディ西風美弥なんてもういません。私はナイロン帝国の忠実なるしもべ、パンストレディですぅ」
まるでセックスでもされているかのように善がる女。
先ほどからの男の愛撫に相当の快感を感じているのだ。
「ククク・・・いい子だ。お前のおかげで憎きスアシガールも捕らえることができた。よくやったぞ」
ゼンタイのナイロンマスクに包まれ表情は見えないものの、男の口調は柔らかい。
「ああ・・・お褒めの言葉ありがとうございます、ゼンタイ様ぁ」
自分の股間を擦り付けるかのように、直穿きのパンストで男の上で腰を振るパンストレディ。
黒いアイシャドウと黒い口紅がその顔を妖しく彩っていた。
「クククク・・・来るがいい。スアシガールに会いに行こうではないか」
「はい。お供いたします。ゼンタイ様」
ひとしきり股間をこすり付けて快楽をむさぼったパンストレディを連れ、ゼンタイ姿の男が歩き出す。
捕らえたスアシガールを閉じ込めてある牢屋へ向かうのだ。
また楽しい時間をすごせると思うと、男は笑みが浮かぶのを止められなかった。
******
冷んやりとした空気に包まれた牢獄。
時代錯誤的な鉄格子が、そこが何を目的としている場所なのかを知らしめている。
奥には首と両手両足を鎖で壁につながれた一人の少女が、まるで磔にされたように立っていた。
ぐったりとうつむき加減の少女。
ミニスカート型のピンク色のコスチュームからは、すらっとした素足が伸びている。
幾度となくナイロン帝国の野望を打ち砕いてきた見事な脚。
だが、今はその脚も封じられてしまっていた。
ギイときしむ音を立てて牢獄の扉が開け放たれる。
そこから入ってくる二人の人影。
男は真っ黒な全身タイツに身を包み、女のほうは黒いコルセットに黒いパンストを身につけていた。
「クククク・・・気分はどうかな? スアシガールこと川霧弥生(かわぎり やよい)」
両手両足を拘束された少女はその声にゆっくりと顔を上げる。
捕らわれているとはいえ、その目は輝きを失ってはいなかった。
「あなたはナイロン帝国のゼンタイ司令。私をこんなところに閉じ込めてどうしようと・・・えっ?」
スアシガールの目が驚愕に見開かれる。
ゼンタイ姿の男の背後に、仲間であるはずの女性がいたからだ。
「そんな・・・西風さんが・・・どうして・・・?」
つい先日までいっしょにナイロン帝国と戦ってきたのだ。
その彼女がなぜゼンタイ司令の背後にいるというのだろう?
それもまるで娼婦のような衣装を着て・・・
「ククク・・・この女はもはやお前の仲間のスアシレディではない。わがナイロン帝国の女幹部、パンストレディに生まれ変わったのだ。そうだな?」
わざわざその事実を見せ付けるかのように背後のパンストレディに確認するゼンタイ司令。
すっぽりと顔はマスクで覆われているが、きっと笑みを浮かべているに違いない。
「はい、ゼンタイ様。私はナイロン帝国の忠実なるしもべパンストレディですわ。ナイロンに永遠の忠誠を誓います」
胸に手を当ててナイロンへの忠誠を誓うパンストレディ。
もはやナイロン無しでは彼女は生きられないのだ。
「そ、そんな・・・スアシレディがナイロンに・・・」
目前の事実に愕然とするスアシガール。
ともにナイロンなど脚に穿かないと誓っていたのが嘘のようだ。
なぜこんなことになってしまったのか・・・
「ククク・・・心配ない。お前もすぐにナイロンのよさがわかるようになる」
「ふざけないで! あなたたちの好きにはさせないわ! 私は素足で通してみせる!」
キッとゼンタイ司令をにらみつけるスアシガール。
だが、動揺は隠せていなかった。
「ククク・・・それはどうかな? 見ろ」
ゼンタイ司令はパンストレディからなにやら受け取ると、それをスアシガールに突きつける。
ゼンタイ司令の手の先で、はらりと広がった黒い布は、下が二股に分かれた黒タイツだった。
「黒いタイツ?」
「そうだ。わがナイロン帝国の誇る特殊タイツだ。これを穿けばお前もすぐにナイロンのよさに気がつくだろう」
ゼンタイ司令の言葉に青ざめるスアシガール。
そんなものを穿かされてしまったら・・・
「うふふ・・・そうよ。私も穿かせていただいたの。私の場合はこの黒いパンストをね。すばらしいわよぉ。すぐにナイロンのよさが理解できたわぁ」
うっとりと自らの手で太もものあたりを撫でるパンストレディ。
その肌触りに背筋がぞくぞくするものを感じていた。
「ククク・・・さあ、このタイツを穿かせてやれ。スアシガールの素足をタイツで覆ってやるのだ」
「かしこまりましたゼンタイ様」
黒い特殊タイツを受け取るパンストレディ。
そのままゆっくりとスアシガールの元へと近づいていく。
「いやぁっ、こないで! お願い! 目を覚まして!」
身をよじり、恐怖に震えるスアシガール。
「うふふ・・・恐れることは無いわ。ナイロンタイツは気持ちいいのよ。それに暖かいわ」
「いやぁっ! 私は素足が好きなの! タイツなんか穿きたくない!」
鎖で拘束されている躰をじたばたさせ、必死にタイツを穿かせられないように抵抗する。
その様子にパンストレディも少し戸惑ってしまった。
「ふんっ!」
ゼンタイ司令の両手が突き出される。
「あぐっ! な、か、躰が・・・」
身をよじっていたスアシガールの動きが止まる。
「ククク・・・我が力でお前の動きを少しの間止めるぐらいはできる。さあ、パンストレディよ、今のうちに穿かせるのだ」
「かしこまりました」
ゼンタイ司令にこくんとうなずき、パンストレディは動きの止められたスアシガールの左足を足枷からはずし、靴を脱がせてタイツを穿かせ始める。
「い、いやぁっ」
動けない躰をもてあそばれるようにしてタイツを穿かされることに、スアシガールは悲鳴を上げる。
だが、躰が動かない以上どうすることもできはしない。
するするとふくらはぎあたりまでタイツが覆い、右足の枷もはずされてそちらもタイツに通されていく。
「ああ・・・そんな・・・」
スアシガールは驚いていた。
つま先からふくらはぎへと黒いタイツが覆っていくに連れ、自分の中にあった素足でいたいという欲望がすうっと消えていくのを感じていたのだ。
それどころか、ナイロンが触れることの気持ちよさが全身を駆け抜けていく。
こんなにタイツって気持ちよかったの?
今までの価値観が崩れていく。
あれほど素足でいたかったのに、だんだんタイツを穿いていたい衝動が沸き起こってくるのを止められない。
「うふふ・・・どう? 気持ちいいでしょ?」
口元に歪んだ笑みを浮かべ、パンストレディが問いかけてくる。
だが、それに抵抗する気力はスアシガールにはもうなかった。
「はい・・・気持ちいいです・・・」
スアシガールはいつしかそう答えている自分に気が付いていた。
「ククク・・・もうよかろう」
ゼンタイ司令が手を下ろす。
スアシガールの躰が自由になるが、すでに彼女に抵抗する気持ちはなくなっていた。
自由になった両足でパンストレディを蹴りつけたりすることもなく、おとなしくタイツを穿かされるままになっていた。
「コスが邪魔ね。このままだとちゃんとタイツを穿けないわよ。消してくれる?」
「・・・はい・・・」
自分が何をしているのかは理解している。
ここでコスチュームを消してしまえば、無防備なただの少女になってしまうのだ。
この強化コスチュームがあるからこそ、彼女はスアシガールでいられる。
それを消してしまうなど通常では考えられないことだ。
だが、スアシガールのコスチュームはじょじょに粒子へと分解され消えていく。
彼女はスアシガールであることを放棄した。
「ククク・・・どうだ、気持ちいいだろう?」
「はい・・・とても・・・」
うっとりとした表情を浮かべ、ゼンタイ司令に微笑むスアシガール。
だが、ピンク色のコスチュームはもはやなく、腰から下は真っ黒いタイツで覆われている。
上半身には何もまとわず、その可愛らしい胸があらわになっているにもかかわらず、それを恥ずかしがる様子もない。
拘束をはずされ、すでに自由になっているというのに、彼女はただ自分の脚を覆っているタイツを手で触って、その肌触りを楽しんでいるだけだった。
「さあ、これを着て」
黒革のコルセットを手渡すパンストレディ。
それは自分が着ているものとおそろいのものだ。
「これを着ればあなたもナイロン帝国の一員よ」
先ほどまでの少女であれば、その言葉に嫌悪感を抱いただろう。
だが、今の彼女は黒タイツの魔力に魅入られてしまっていた。
彼女は何のためらいもなくコルセットを受け取ると、自ら身に着けていく。
腰の括れが強調され、可愛らしい胸も乳首がつんと上を向いていく。
目元には黒いアイシャドウが浮かび、唇も黒く染められていった。
コルセットを付け終わった少女は、もはや先ほどまでのスアシガールではなかった。
まだ幼さが残るものの、その顔には妖艶な笑みが浮かび、妖しい魅力を湛えていた。
彼女は再び穿いているタイツの手触りを確かめると、その指先をぺろりと舐めた。
「クククク・・・気分はどうかな、スアシガール? いや、もはやお前は我がナイロン帝国のしもべ、タイツガールだったな」
思い通りに変貌した少女に満足そうな声をかけるゼンタイ司令。
少女はくすっと笑みを漏らすと、そのままゼンタイ司令に歩み寄る。
「はい、私はナイロン帝国のタイツガール。ナイロンの忠実なるしもべです。どうぞ何なりとご命令を」
タイツガールと化した少女がひざまずく。
「クククク・・・それでいい。これよりお前たちは、ナイロンの世界を築くためその能力を使うのだ」
「かしこまりましたゼンタイ様」
「お任せくださいませゼンタイ様」
パンストレディもタイツガールの横にひざまずく。
「「私たちが世の女どもをナイロンの虜にしてご覧に入れます」」
二人の声が重なり、ナイロンのしもべたちの暗躍が始まるのだった。
END
- 2010/01/09(土) 20:48:39|
- 女幹部・戦闘員化系SS
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