fc2ブログ

舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

合流

「ホーリードール」の33回目です。
それではどうぞ。


33、
『ドールサキ! 答えて!』
んあ?
あれ?
なんだろ・・・
お腹が痛いよ・・・
悪いものでも食べたかな・・・
私また食べ過ぎちゃったかな・・・
でも、目が開かないよ・・・
明日美ちゃんの声が聞こえるのに・・・
明日美ちゃんの顔が見えないよ・・・

「ドールサキ! 損傷度を明示してください。ドールサキ!」
動かなくなってしまったホーリードールサキに呼びかけるホーリード-ルアスミ。
無論、戦闘中であるために視線は闇の女からはずさない。
だが、ホーリードールサキからの答えが無いのだ。
外見からの損傷度はせいぜいがCランク。
ならば戦闘にそれほど差し支えるはずが無い。
内部損傷が激しいのかもしれない。
だとしたらホーリードールサキは一時的損傷ではなく、この戦闘中の回復は見込めないかもしれない。
ホーリード-ルアスミはホーリードールサキへの呼びかけをやめ、闇の女との戦いに集中することにした。

手ごたえは確実にあった。
ブラックパンサービーストが命を賭けて掴んだ光の手駒の一瞬の隙。
その隙にレディベータは思い切り破壊の魔力を叩き込んだのだ。
死んだってかまわない。
ううん・・・
むしろ死んでほしい。
こいつさえいなければ・・・
残念ながら願いは叶わなかったようだ。
でも、どうやら動けなくなったらしい。
好都合だわ。
後はもう一体の光の手駒を除去すれば・・・
レディベータは立ち上がり、ブラディサイズを構えなおした。

「だめだわ・・・どうやっても結界がはずれない・・・」
何度目かの切り込みを行なった後で、再度ビルの屋上に舞い戻る。
肩で息をするレディアルファ。
何度も魔力を集中してヘルアクスを振ったため、魔力の消耗が激しいのだ。
このままでは上手く結界を抜けられても、戦闘の役に立てないかもしれない。
「こうしている間にもベータが・・・」
レディアルファは唇を噛んだ。

「レディアルファ」
ストッと言う足音がして、レディアルファの脇に黒い人影が降り立った。
「デスルリカ様」
降り立った人影がデスルリカであることを確認し、思わず表情がほころぶレディアルファ。
「結界はまだ破れないの? そんなに強力なの?」
心配そうにレディアルファの様子をうかがうデスルリカ。
黒エナメルのボンデージレオタードを身にまとい、太ももまでのロングブーツと二の腕までの長さのロンググローブを身につけ、背中には黒マントがなびいている。
ねじれた角のサークレットを頭に嵌めたその姿は、まさに闇の女王と言ってもよい姿だ。

「はい・・・それがまだ・・・」
首を振るレディアルファ。
ビルの屋上にいる二人の前には、小学校が何事も無いように眼下に広がっている。
そこで光と闇の戦闘が行なわれているとは思えない。
強力な結界が、外部と内部を遮断しているのだ。
だが、それほどまでに強力な結界を光が張れるとは・・・

「わかったわ。私がやってみます」
デスルリカはすっと右手を上げ、デスハルバードを呼び出した。
一つの柄に槍の穂先と斧の刃がついている実用的な武器。
漆黒に輝くそれはまさに闇の武器にふさわしい。
デスルリカは、漆黒のハルバードをスッと構え、そのままジャンプして切り込んだ。

「チッ」
舌打ちするゼーラ。
闇の女も案外諦めが早いわね。
早々に大いなる闇の代理を呼び寄せるとは・・・
「まずいじゃないの・・・」
頬杖をやめ、左手の親指の爪を噛む。
サキは損傷を受けて動けなくなっているし、アスミ一人では荷が重い。
負けるとは思わないが、ここで二体のドールと引き換えにするには割が合わない。
せっかくベストに調整したドールだ。
まだまだ役に立ってもらわねば・・・
それに・・・
ゼーラは腕を一振りして結界をはずす。
彼女自身が結界を張ったと闇の代理に知られるわけにはいかない。
「いまいましいわね。せめてあの場を焼き尽くさないと・・・」
腹の虫が収まらない。
「まあ・・・いいわ」
闇に触れた人間どもが全て浄化される。
大人も子供も闇に触れたものは聖なる炎で焼かれるのだ。
そいつらの悲鳴を聞けば、少しは心が落ち着くだろう。

「えっ?」
空中でどうにかバランスを取り、そのまま校庭に着地する。
強力な結界ということで、デスハルバードに充分すぎるほどの魔力を込めて振り下ろしたのだ。
だが、デスハルバードは何も切り裂くことはなかった。
デスハルバードが結界に勝ったのではない。
そこには何もなかったのだ。
あったのはレディベータが張り巡らした結界。
これは闇の女であるデスルリカやレディアルファを押し留めるものではない。
なので、デスルリカはそのまま小学校の敷地内に入れたのだ。
「結界を・・・消した?」
スッと立ち上がるデスルリカ。
すぐさまその脇にレディアルファが舞い降りる。
「嘘・・・あんなに強力だった結界が・・・」
彼女にも結界がいきなり消えたのがわかったのだ。
だが、その理由がわからない。
光にとって結界の意味がなくなった?
そこまで考えてデスルリカとレディアルファが息を飲む。
それはすなわち、レディベータの敗北を意味するのではないだろうか。
「レディベータ!」
「ベータ!」
デスルリカとレディアルファは、急いで校舎に向かうのだった。

この場を浄化する。
それがゼーラ様よりの指示。
ホーリード-ルアスミはホーリードールサキを確保するべく闇の女と対峙する。
動作不能となっているホーリードールサキをこの場より遠ざけ、ここを浄化しなくてはならない。
そのためには・・・

「フリーズクラッシュ!」
ホーリード-ルアスミの杖が魔法陣を描き、強烈な冷気が噴き出した。
  1. 2009/07/15(水) 21:21:51|
  2. ホーリードール
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

カレンダー

06 | 2009/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

時計

プロフィール

舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

ブログバナー


バナー画像です。 リンク用にご使用くださってもOKです。

カテゴリー

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

管理人にメールなどを送りたい方はこちらからどうぞ

ブログ内検索

RSSフィード

ランキング

ランキングです。 来たついでに押してみてくださいねー。

フリーエリア

SEO対策: SEO対策:洗脳 SEO対策:改造 SEO対策:歴史 SEO対策:軍事

フリーエリア