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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

今日は久々に兵器ネタ

第一次世界大戦で防御拠点に陣取った機関銃の威力をまざまざと見せ付けられた各国陸軍は、歩兵突撃の支援として敵の機関銃座を近接砲撃する歩兵支援用の火砲、いわゆる歩兵砲を装備することが多くなりました。

ドイツもその例に漏れず、二種類の歩兵砲を支援用火砲として装備します。
一つは7.5センチleIG18歩兵砲。
威力充分でありながら小型の砲であり、ドイツ歩兵の頼もしい味方として大戦全期間に渡り活躍しました。

もう一つが15センチ重歩兵砲sIG33。
口径が15センチもある大口径の歩兵砲で、弾丸重量も重いものは40キロもある榴弾を撃ちだせるため、一撃で少々の建物でしたら吹き飛ばせるほどの威力のある歩兵砲でした。
射程は少々物足りないものの、頑丈で信頼性が高く、威力の高さからも評判のよい火砲でしたが、どうしても大口径で頑丈であるために重量が重く、戦闘状態で1.7トンを超える重さがありました。

この重量のため、移動には牽引車や多くの馬匹が必要となり、一度布陣してしまうと容易には位置変更ができません。
歩兵とともに前進して、敵のトーチカや敵が立て篭もる頑丈な建物を一撃で粉砕することを求められる歩兵砲としては、重量が過大だったのです。

自由に動かせる重歩兵砲が欲しいと考えたドイツ軍は、当然のようにこの15センチ重歩兵砲sIG33の自走砲化をはかりました。
1930年代末に始まった開発は、1939年のポーランド戦には間に合いませんでしたが、次に控えている西方電撃戦(オランダ・ベルギー・フランス侵攻作戦)には間に合わせるべく、極力少ない改造での自走砲化を目指すことになります。

車台としては、訓練用としてまた実用戦車として量産されてきた一号戦車が選ばれました。
再軍備以後、ドイツ機甲師団の中核的存在だった一号戦車でしたが、すでに機関銃だけの武装では威力不足は明らかであり、第一線の戦車としては使い物にならなくなってきていたため、有効利用の一環として自走砲の車台としての利用がはかられたのです。

開発にあたったアルケット社は、自走砲化にあたり極力改造部分を少なくして、開発時間の短縮に務めました。
そのため、のちのドイツ軍の自走砲とは違い、15センチ重歩兵砲sIG33をなんとほぼ無改造のまま砲塔を取り外した一号戦車の車体に載せるという荒業を採用します。
つまり、砲身と砲の基部だけを載せるのではなく、車輪も脚部も防盾までもはずさずにドンと載せちゃったのです。

ただ、そのまま一号戦車の車体に載せるわけには行かなかったので、一号戦車の方には補強材を載せたそうですが、それにしても無理やり載せちゃったと言っても過言ではありません。

そして、操作する砲兵の防御のために前側と左右に装甲板を張りますが、重歩兵砲の車軸が出っ張っているために、左右の装甲板にもその部分だけポコンと出っ張りを作らざるを得ませんでした。
装甲板自体は厚さ10ミリのもので、小銃弾や砲弾の破片からの防御程度のものでした。

このようにある意味やっつけ仕事的な自走砲でしたが、完成した一号自走重歩兵砲は西方電撃戦において実戦に投入され、大いに活躍することになります。
重歩兵砲の威力と自走できる強みが遺憾なく発揮されたということでしょう。

一号自走重歩兵砲は、わずか一ヶ月間という期間で38両が完成し、西方電撃戦以後はバルカン作戦やバルバロッサ作戦にも投入されました。
そしてそこでも活躍をするのですが、早期にほとんどが失われてしまいました。

自走重歩兵砲という車両のため、比較的前線で運用されることが多く、戦闘で失われるものも多かったのですが、元となった一号戦車は約6トンという重さだったのに対し、一号自走重歩兵砲は砲の重さ分重量がかさみ、約8.5トンにも達しておりましたため、足回りに対する負担が大きく、機械的故障で失われたものも多かったと思われます。

ですが、自走重歩兵砲という車両の有効性は疑いようもなく、ドイツ軍はこれ以後終戦までいくつもの同種の自走重歩兵砲を開発していくことになりました。
まさにその第一号だったということですね。

それではまた。
  1. 2009/07/03(金) 21:13:29|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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