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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

遅すぎた山猫

「敵を知りおのれを知れば百戦危うからず」
孫子の名言ですが、大は国家戦略から、小は戦場での敵情偵察にいたるまで、全てにおいて情報収集の重要性を示している言葉ですね。

古来、戦場における敵情偵察には、機動力に富む騎兵が使われてきました。
偵察の主任務は、敵の情報を持ち帰ることであり、敵と交戦することではありません。
敵がどこにいて、どのぐらいの規模で、どこに向かおうとしているのか。
こういった情報を得ることができれば、すばやく撤収して本隊にその情報を持ち帰ることが必要です。
そのためには高い機動性が必要であり、かつては馬がその機動性を提供していたのでありました。

第一次世界大戦で、軍は騎兵の脆弱さに悩まされることになりました。
むき出しの兵士と生身の馬の取り合わせでは、敵弾に当たってしまえばおしまいです。
そうなればせっかく手に入れた情報も味方の元へは持ち帰ることができません。

そこで各国の軍は、当時実用化されてきていた自動車に目をつけました。
自動車であれば、馬と同等の機動力を発揮することができます。
さらに、装甲を施すことで、敵弾にもある程度は防御力を持つことができるのです。

各国の軍はこぞって偵察用車両として装甲車を採用しました。
装甲を施し、馬と同等の機動性を持つ装甲車は、偵察には重宝されるようになりました。
騎兵は馬から装甲車に乗換えを余儀なくされ、馬を使った騎兵は廃れていくことになります。

第二次世界大戦の始まりとなった1939年のポーランド侵攻。
この時、ドイツ軍は四輪や六輪の装甲車を偵察用車両として使用しました。
これらの装甲車はそれなりの活躍を見せ、ドイツ軍を勝利に導くことができました。

しかし、ドイツ軍はまったくその性能に満足してはおりませんでした。
何より装輪装甲車は、道路以外での行動が極端に制限され、満足に行動できない場合が多かったのです。

そこでドイツ軍は、装軌式もしくは半装軌式の偵察車両の開発を命じます。
装軌式(つまり履帯式)であれば、路外での機動性も問題ないからです。
新型偵察車両として、いわば軽戦車ともいうべき車両の開発が始まりました。

いくつかの試作計画が同時に進行していたようですが、その中の一つがMAN社の開発したVK13.01でした。
VKは装軌式車両、13は13トン級、01は計画番号です。
つまり、VK13.01は13トン級装軌式車両の一番目の計画という意味なのです。

この試作より以前、MAN社は初期のドイツ軍の戦車戦力の中核となった二号戦車の発展型の開発に取り掛かっておりました。
この二号戦車発展計画はVK9.01とされ、VK13.01はこのVK9.01のさらなる発展型として進められることになりました。

1941年7月。
対ソ連戦であるバルバロッサ作戦が始まったばかりのこの時期、VK13.01の試作車は完成いたしました。
試作車は20ミリ主砲を搭載し、最大装甲厚は30ミリとそこそこの火力と装甲厚を持つもので、最高速度は装軌式の車両としてはかなり速い時速70キロにもなるものでした。

バルバロッサ作戦では、旧式となった一号戦車や二号戦車を偵察用車両として使用せざるを得なかったドイツ軍の前線部隊では、新型の偵察車両はおそらく待ち望まれていたものだったでしょう。
VK13.01もこの時点で採用されていれば、かなり活躍できたに違いありません。

しかし、VK13.01は恵まれませんでした。
変速機やエンジンなどをあ~でもないこ~でもないと変更を重ね、VK13.03へと設計が変わっていった新型偵察車両は、結局1942年4月まで試作がずれ込みます。

試作車がOKをもらい生産にGOサインが出たのは、なんと1942年9月になってからでした。
しかもそのころには、MAN社は次期主力戦車パンターの開発と生産、それに伴う改良に手一杯の状況でした。

二号戦車L型、愛称「ルクス(山猫)」と名付けられたこの新型偵察車両は、本来であれば500両以上が生産される予定でした。
後期生産型にいたっては、主砲を50ミリ砲にすることも決まっておりました。

しかし、すでに量産は1943年に入っており、そのときには独ソ戦は装甲と火力のシーソーゲームによって20ミリ砲と30ミリの装甲厚の偵察用車両ではほとんど存在意味がなくなっておりました。
「ルクス」は登場するのが遅すぎたのです。

千鳥配置の転輪を持ち、ティーガーのような前面とパンターのような後面を持つルクスは、デザイン的には人気のある車両です。
ですが、結局ルクスは50ミリ砲を搭載することもなく、わずか100両で生産が終了してしまいました。
しかも、パンターの生産に重点が置かれたため、100両作るのに一年間もかかるありさまでした。

完成したルクスは、持ち前の高速性能などを発揮してそれなりの活躍は見せたようですが、やはり1943年以後の戦場ではさしたる活躍はできなかったようです。
時期の遅れが活躍の場を失わせたという点で、ルクスは三号戦車の二の舞を演じてしまったのではないでしょうか。
不運な偵察車両だったと思います。

それではまた。
  1. 2009/02/28(土) 20:51:13|
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シチュはなかなか

GIGAのヒロイン特撮研究所作品「ヒロイン洗脳5:セーラーサファイア編」を拝見いたしました。
こういう作品はなかなか見たりすることがないんですけど、このたび機会があって拝見することができました。

淫魔と戦う正義のヒロイン「セーラーサファイア」
長い戦いを経て、最後の淫魔となった淫魔の王ヴァンパとの最終決戦に臨むことに。

意外にあっさりと倒れるヴァンパ。
セーラーサファイアは淫魔が滅びたことにホッとする。
だが、それはヴァンパの罠でした。
戦いの最中に毒を打ち込んでいたといい復活するヴァンパ。
毒のおかげで躰がしびれ、満足に戦えないミキはセーラーサファイアに変身することもできずに拉致されます。
はたしてセーラーサファイア=ミキの運命やいかに・・・

ということで多少のネタバレは以下に

[シチュはなかなか]の続きを読む
  1. 2009/02/27(金) 21:27:09|
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スコーピオンガール(2)

昨日に引き続き150万ヒット記念SS「スコーピオンガール」の二回目です。

このシリーズ、結構反響があってうれしい限りです。
それではどうぞ。


2、
「ん・・・んあ・・・」
意識が次第にはっきりしてくる。
あれ?
ここはどこだろう・・・
確か玄関先に車が来てて、中に入ったとたんになにか吹きかけられて・・・
私は飛び起きた。
バサッと音を立てて掛けられていた毛布がずり落ちる。
どうやらベッドに寝かされていたらしい。
フリースのルームウェアのままだけど、脱がされたりとかはしてないみたいだわ。

「目が覚めたみたいね」
「ひあっ」
突然の声に私は飛び上がるほど驚いた。
だって、誰かいるなんて思いもしなかったもの。
見ると部屋の隅に椅子があって、そこにあのコックローチレディが腰掛けていたのだ。
「コックローチレディ・・・」
「ごめんね。あなたを信じないわけじゃなかったんだけど、眠っていてもらうのが一番だったの」
意外・・・
ごめんねなんて謝られるなんて思わなかったわ。
すると、ここが犯罪教授の拠点なのだろうか・・・
「気分はどう? あのガスは頭痛とかは残らないはずだけど・・・」
「あ、それは大丈夫ですけど・・・」
「そう、よかった」
コックローチレディはそういうと立ち上がり、壁のインターコムのスイッチを押した。
「ミス・スパイダー、彼女が目を覚ましたわよ」
『了解。すぐ行くわ』
インターコムからもう一人の声が聞こえる。
ミス・スパイダー?
犯罪教授のしもべの一人に確かそんなのがいた気がするけど・・・

それよりも、今の私には大事なことがある。
「ねえ、私に会わせたい人って?」
「おとなしく待ちなさい。響子様のお計らいで、あなたの会いたい人に会わせてあげるんだから」
き、響子様?
響子様って・・・もしかして案西さんのこと?
確か彼女も響子さんって言ったような・・・

ガチャリとドアが開いて二人の異形の人たちが入ってくる。
やっぱり二人ともレオタードにブーツ姿で、プロポーションがうらやましくなるぐらいに素敵。
一人は黒のレオタードに、胸のところに蜘蛛のマークが白く入っている。
顔には蜘蛛の模様をあしらったマスクをつけ、赤い唇の周りしか覗いてない。
腰のベルトにいくつかのスイッチが付いているようだけど、コックローチレディのように腕に機械をつけている様子はない。
彼女がおそらくミス・スパイダーなのだろう。

もう一人は濃緑色のレオタードにブーツ。
こちらは胸のところにカマキリの模様がある。
顔には同じように口元だけが見えるマスクをつけているけど、こちらは両脇にカマキリのような複眼が付いている。
そして何より凶悪なのが両手の鋭いカマとも言うべき刃。
さしずめ彼女はカマキリの化身ってわけね。

「あら、マンティスウーマンも来たのね。物珍しかったかしら?」
コックローチレディがそう言ったので、私はカマキリの化身がマンティスウーマンということがわかった。
「そうじゃないわ、彼女とは知らない間柄じゃないのよ」
そう言ってマンティスウーマンが私を見る。
どういうこと?
知らない間柄じゃない?
私には何がなんだかわからなかった。

「うふふ・・・元気そうね、智鶴」
ミス・スパイダーの突然の呼びかけに私は驚いた。
まさか・・・
そんな・・・
そんなことって・・・
「お姉ちゃん? その声はお姉ちゃんなの?」
私は搾り出すようにそう言った。
だって・・・
そんなの信じられるわけないよ。
目の前の異形の女性がお姉ちゃんだなんて・・・

「うふふ・・・ええ、そうよ。久しぶりね、智鶴」
そう言ってミス・スパイダーは頭にかぶったマスクを取った。
「お姉ちゃん・・・」
見間違えるはずがない。
薄暗い中だけど、私がお姉ちゃんの顔を見間違えるはずがない。
「ど、どうして・・・」
私はそれだけしか言えなかった。

「ちょっと、ミス・スパイダー、私のことも教えてあげてよ」
「うふふ・・・そうだったわねマンティスウーマン。智鶴、覚えている? 私の友人の志岐野梨花」
えっ?
志岐野さんもまさか・・・
「こんばんは智鶴ちゃん。お久しぶり」
そう言ってマスクを取ったマンティスウーマンは、確かにお姉ちゃんのお友達の志岐野さんだった。
「し、志岐野さんまで・・・どうして・・・いったいどうして?」
私には何がなんだかわからない。
ここにいる三人はみんな犯罪教授の手下たちと呼ばれている人たちだ。
新聞でも大雑把な犯人像として、レオタード姿の女性ということは報道されている。
でも・・・
でも、お姉ちゃんは警察官のはずじゃない。
志岐野さんだって、有名なお医者さんじゃない。
どうしてそんな格好してこんなところにいるのよ。

「うふふ・・・驚いた? この姿は私たちの本当の姿なの。私はミス・スパイダー。彼女はマンティスウーマンよ。これからはそう呼んでね」
まるで普段と何も変わりがないかのように言うお姉ちゃん。
それどころかいつまでも素顔を晒すのはいやだとでも言うのか、二人ともすぐにマスクをかぶってしまう。
私には今見た素顔が本当にお姉ちゃんなのかわからなくなってしまった。

「どうして? どうしてそんな格好しているの? ミス・スパイダーだなんてどういうことなの? お姉ちゃん警察官じゃない! どうして犯罪者の仲間になんてなっているの?」
私はもう止まらなかった。
とにかく言いたいことを言ってしまわないと気がすまない。
あんなに心配したのに。
お父さんもお母さんもすごく心配してたのに。
いったいどうしてこんなことになったの?

「どうしてって・・・これが私の仕事着であり普段着だもの、これを着るのは当たり前でしょ? 私はミス・スパイダーなのよ。これ以外の服なんて着られないわ」
「だからどうしてミス・スパイダーだなんてやってるの? ミス・スパイダーって強盗や殺人を犯した犯罪者だよ! お姉ちゃんがそんなことしたって言うの?」
「何を言っているの? 響子様が欲しがるものを奪ったり、響子様の邪魔をするものを殺したりするのは当たり前じゃない。それに殺しならマンティスウーマンのほうが得意なのよ」
ミス・スパイダーの口元に私の言葉が理解できないと言いたげな表情が浮かぶ。
違う・・・
違う違う・・・
お姉ちゃんじゃない!
こんなのお姉ちゃんじゃないよ!
私は思わず首を振る。

「智鶴・・・きっと混乱しているのね。無理もないわ。いきなり連れてこられたもんね」
近づいてきて私の肩を抱こうとするミス・スパイダー。
でも、私は彼女を押し戻す。
「こないでよ! お姉ちゃんじゃない! あんたなんかお姉ちゃんじゃない!」
「智鶴・・・どうしたの? どうしてそんなことを言うの? 私は私よ。智鶴のお姉ちゃんよ」
「違う違う! 私のお姉ちゃんは伊家原奈緒美。ミス・スパイダーなんて名前じゃない!」
私は駄々っ子のように首を振る。
いつしか涙がこぼれていることに私は気が付いた。
「智鶴・・・」
ミス・スパイダーが私の名を呼ぶのが、私には耐えられなかった。

「やっぱり素直に受け入れるのは無理のようね」
いつの間にか入り口にもう一人の人影が立っていた。
「響子様」
「響子様」
「響子様、すみません。これからこの娘も選ばれたことを伝えようとしたのですが・・・」
三人がいっせいにひざまずく。
すごい。
完全に支配されちゃっているんだわ。

「こんばんは、伊家原智鶴さん」
姿を現したのは、やはりあの案西響子さんだった。
肩口までの茶色の髪をなびかせ、くりくりした瞳で私の方を見つめている。
「あなたはいったい・・・」
私はにらみつけるように彼女を見る。
「二年D組の案西響子。昼に会ったわね。朝はバスの中でも」
そう言った彼女は、昼に会ったときと雰囲気が一変していた。
学校の制服じゃなく、黒いドレスを着ているせいもあるのだろうけど、なんだかすごく妖艶な感じがする。
手には長いシガレットホルダーを持ち、先には火の付いたタバコが付いている。
その煙が私のほうに流れてきて、私は思わず手で払った。
「うふふ・・・あなたもタバコは嫌いなんだ。お姉さんもそうだったわね」
そう言ってミス・スパイダーにシガレットホルダーを渡す案西さん。
「でも今は好きなのよね?」
「はい、ありがとうございます。響子様」
ミス・スパイダーはゆっくりとシガレットホルダーに口をつけ、美味しそうに煙を吸う。
お姉ちゃんはタバコなんて吸わなかったはずなのに・・・
「ふう・・・美味しい。タバコ大好き」
私は唇を噛み締めた。

「お姉ちゃんに何をしたの? 犯罪教授とあなたはどんな関係なの?」
「んふふ・・・まだわからないの? 私が犯罪教授なのよ」
笑みを浮かべる案西さん。
まるでいたずらがうまくいったとでも言うような笑み。
「あなたが犯罪教授? 嘘でしょ? 犯罪教授は男なんじゃ?」
「そう思われているらしいし、そう思わせてもいるわ。でも本当のことよ。私が犯罪教授なの。コンサルタント料は結構高いわよ。うふふふふ・・・」
「信じられない・・・あなたが犯罪教授だったなんて・・・」
これは何かの間違いなんじゃないだろうかとすら思う。
目の前の彼女は、それほど犯罪教授という言葉がイメージさせるものとは違っていたのだ。

「あなたがミス・スパイダーの妹だったとはね。伊家原なんていう苗字は珍しいから気が付いても良かったはずだけど、見落としていたわ」
「お姉ちゃんに何をしたの? どうしてお姉ちゃんがミス・スパイダーなんかになっちゃったの?」
ゆっくりと近づいてくる案西さんに私は問いかける。
お姉ちゃんが何の理由もなしにここまで変わるなんてありえない。
「思考をいじったの。考えを変えてやったのよ」
「考えを変える?」
まさか・・・そんなことができるというの?
「そう。私はね、人の思考をいじることができるの。あなたのお姉さんには犯罪が大好きな女になってもらったわ」
「そんな・・・」
私は息を飲む。
「まあ、彼女たちのような手駒を作るにはそれなりのパワーが必要なんだけど、ちょっとしたことなら簡単なものよ」
「ちょっとしたこと?」
「そう。あなた今日知らないうちに中庭にいたでしょ? あれは私が仕向けたの。そこで適性を見させてもらったわ。私の手駒にふさわしいかどうか。それにここへ来ることもそれほど疑問に思わなかったでしょ?」
なんてこと・・・
ここへ来ることも彼女に仕向けられたことだったというの?
「手駒って・・・私も犯罪教授の手伝いをする女にしようというの?」
「そういうこと。あなた、実は結構毒物に詳しいでしょ」
案西さんがにやりと笑った。

私の志望は医科大を出て薬剤師になること。
薬というものが人間に及ぼす効果というものが、私にはとても興味深かった。
そこで薬に関していろいろと調べていくうちに、薬と毒は切っても切れないものだと理解した。
たいていの薬は使用を間違えれば毒になる。
また、一般的に毒物とされるものでも、使用法さえ間違わなければ薬になるものもある。
そこに私は面白さを感じたのだ。
だから・・・
私は多少の毒物の知識なら持っている。

「いやっ! いやよ! 思考をいじられるなんて真っ平だわ!」
私は逃げ出した。
お姉ちゃんに会えると思ってこんなところに来てしまったけど、来るんじゃなかった。
ううん・・・そう思わせられていたんだ。
何とかここから逃げ出して、警察をつれてこなくちゃ。
そしてお姉ちゃんも何とかしなくちゃ。
私は案西さんの横をすり抜けて、入り口に向かって走っていった。

「えっ?」
右足が引っ張られ、私は思わず転んでしまう。
「痛っ、何?」
転がった私は、右足が何に引っかかったのかを確認する。
「えっ? ワイヤー?」
見ると私に右足にはワイヤーが絡まっていた。
そしてそのワイヤーの先は・・・
「クスッ・・・だめよ智鶴。逃がしはしないわ」
「お姉ちゃん・・・」
ワイヤーを絡めてきたのはお姉ちゃん・・・ううん、ミス・スパイダーだった。
「よくやったわ、ミス・スパイダー。さすがのワイヤー捌きね」
「ありがとうございます響子様。お褒めの言葉とてもうれしいです」
口元に笑みを浮かべ、まるで主人に褒められた仔犬のように喜んでいる。
お姉ちゃん・・・

「そんなに怯えないでよ。別に殺したりするわけじゃないんだから」
ゆっくりと近づいてくる案西さん。
「いやぁっ! こないで! こないでぇっ!」
私は足に絡まったワイヤーをはずそうとするが、焦るのとぐるぐると絡まっているのとで取れやしない。
「うふふ・・・心配しないで。すぐに恐れはなくなるから」
「いやぁっ! こないでってばぁっ!」
私はもうただ両手を突き出して案西さんを遠ざけようとするだけだった。
「いやだ! いやだぁっ!」
案西さんがスッと手を伸ばしてきたので、私は思わず目をつぶる。
いやだよぉ・・・

「終わったわよ」
「えっ?」
私は思わず顔を上げる。
すると、響子様がとても優しい笑みで私を見下ろしていることに気が付いた。
「えっ? あれ? 私・・・」
「気分はどう?」
響子様が私を気遣ってくれている。
「あ・・・あわわわ・・・は、はい。気分は大丈夫です」
私はあわててそう答え、立ち上がって気を付けをした。
「うふふ・・・そう固くなることないわ。これからはあなたも私の仲間。私の指示に従えばいいの」
「はい、もちろんです。私は響子様のしもべです。ご指示に従います」
私はすぐにそう答えた。
うん、響子様のご命令は絶対だもの。

「ミス・スパイダー。彼女の装備を取ってきて」
「はい、響子様」
ミス・スパイダーがしなやかな足取りで部屋を出て行く。
その後姿はとても素敵。
「すぐに用意できるから、そこのベッドにでも腰掛けていて、スコーピオンガール」
スコーピオンガール?
それが私の名前なの?
「スコーピオンガールとは私のことですか? 響子様」
「そうよ。毒使いがあなたにはふさわしいでしょ? と、サソリは嫌い?」
うっ・・・
私、脚が四本以上は苦手です。
「サソリはちょっと・・・」
「そう・・・それじゃ」
響子様が再び私に手をかざす。
何をなさっているのかな?
「もう一度聞くわ。サソリは嫌い?」
えっ?
とんでもないわ。
あのつややかな外骨格に覆われた姿といい、猛毒を持つしっぽの強力さといい、サソリほど素敵な生き物はそういない。
「いいえ、サソリは大好きです。頬擦りしたいぐらいだし、ペットにして飼えたらいいなぁって思います」
「そう・・・よかったわ」
響子様はにっこりと微笑んでくれた。

「お待たせいたしました」
ミス・スパイダーがトランクケースを持ってくる。
「そのケースの中のものを身に着けなさい、スコーピオンガール」
「はい、響子様」
私は命じられたとおりにトランクケースを開け、中に入っていたものを取り出した。
「うわぁ・・・」
そこにはミス・スパイダーやマンティスウーマンたちと同じようなレオタードやブーツ、それに手袋などが入っていた。
もちろん私はスコーピオンガールだから、色は赤褐色だし、レオタードの胸にはサソリのマークが入っているし、猛毒の毒針が付いたしっぽ付きのベルトなんかも入っている。
私はすぐに着ていたものを脱ぎ捨てると、生まれたままの姿になってこれらの衣装を身につけた。
そしてハサミ状になっている左手の手袋を嵌め、腰からお尻にかけて伸びているしっぽ付きベルトを締め、最後に赤褐色の口元だけが覗くマスクをかぶると、私は完全にスコーピオンガールとして完成する。
それはとてもうれしいことで、私は思わずくるくると回ってみたり、躰をよじって自分の姿を確かめたりしてみたりした。

「素敵よスコーピオンガール。このアジトのことについては後でミス・スパイダーに教えてもらいなさい。タバコもね」
そう言ってタバコを吸う響子様。
ああ・・・
なんてすばらしいんだろう。
響子様にお仕えできるなんて幸せだわ。
タバコもとても美味しそう。
「かしこまりました響子様。よろしくね、ミス・スパイダー」
私は仲間であるミス・スパイダーに会釈する。
「こちらこそよろしくね、スコーピオンガール」
ミス・スパイダーが手を振って挨拶を返してくれる。
マンティスウーマンもコックローチレディもみんな響子様の忠実なしもべ。
私もその一員なんだわ。
うれしいなぁ・・・

                     ******

『ろれつが回らぬ記者会見 野党が大臣の罷免を求める』
『薬を飲みすぎたと釈明 与党苦しい国会運営』
一面のトップにでかでかと載っている記事。
思わず私は笑みがこぼれる。
そして片隅に小さく報じられている大臣の秘書官の急死。
まさか私とコックローチレディの仕業とは思わないだろうし、結び付けて考える人はいないだろう。
あの薬を飲めばろれつが回らなくなるのは当然のこと。
でもその程度で済んでよかったと思うことね。
猛毒を仕込むことぐらい簡単なんだから・・・

でも、これで響子様・・・ううん、犯罪教授様の評価はまた上がる。
政府の要人の生殺与奪だって思いのまま。
国の内外からもいろいろな依頼が舞い込んでくるはず。
そうなれば・・・
うふふふ・・・
楽しみだわ・・・
もっともっと響子様のために働かなくちゃね。

「おはよー、智鶴」
「おはよう、知世ちゃん」
込み合うバスの中で私は知世ちゃんと挨拶する。
響子様のご命令で、普段の私は今までどおり学校に通っている。
スコーピオンガールの衣装を普段着られないのはとても残念だけど、常に毒針の付いたベルトだけは身につけているから、いざというときはスカートの下からしっぽで攻撃することも可能なの。
うふふ・・・
これでいつでも響子様をお護りできる。
他の仲間には悪いけど、これってある意味特権よね。
私は入り口付近で立っている響子様に注意を払い、いつでもガードできるように準備を忘れない。

「今朝のニュース見た? 笑っちゃうよね」
「例の記者会見? ホントだよね。なにやっているんだろうって感じ」
知世ちゃんに話を合わせる私。
残念なことに彼女に適性はない。
だから彼女を仲間に迎えることはできないのだ。
ちょっと寂しいけれど仕方がない。
でも安心してね。
今度薬の実験に使ってあげる。
うまく行けば私の手駒に使えるはず。
うふふふ・・・
楽しみだわぁ・・・
私は笑みを浮かべて、知世ちゃんを見上げていた。

END


いかがでしたでしょうか?

また機会があれば響子様にはこの場においでいただくことにいたしましょう。
それではまたー。
  1. 2009/02/26(木) 21:48:54|
  2. 犯罪教授響子様
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スコーピオンガール(1)

皆様あらためまして150万ヒットありがとうございます。
いつも訪問していただきましてうれしい限りです。

そこで皆様に感謝の気持ちを込めまして、今日明日で150万ヒット記念SSを一本投下させていただきます。

タイトルは「スコーピオンガール」
あの「犯罪教授シリーズ」の一作となります。

いつもそれほど長い作品ではないのですが、今回はつらつらと書いていたらちょっと長めになってしまいました。
そこで、今日明日と分割で投下させていただきます。
楽しんでいただければ幸いです。

それではどうぞ。


「スコーピオンガール」

1、
「智鶴(ちづる)、早くしないと遅刻するわよ!」
「はーい」
私はお母さんにそう返事すると、今まで見ていた新聞を折りたたみ、トーストをコーヒーで流し込む。
手がかり・・・なしか・・・
私はいつものように多少の落胆を感じてしまう。

『銀行の顧客データ大量流出』
『背後に犯罪教授が介在か?』
『またしてもコックローチレディ? 証拠残さぬ手口に警察お手上げ』
新聞にはまた発生した犯罪教授がらみと思われる事件の記事が載っている。
くっ・・・
私は唇を噛み締める。
どうして・・・
どうして犯罪教授なんて奴がいるのだろう・・・
こんなのがいなければ・・・
こんなのに関わりさえしなければ・・・
お姉ちゃん・・・
どこに行ってしまったの?

「智鶴? 遅れるわよ」
私は少しぼうっとしていたらしい。
お母さんが台所から顔を出す。
「あ、うん、今行く」
私はサラダのミニトマトを口に放り込むと、すぐにカバンを取りに行く。
鏡で身だしなみを確認し、お弁当をカバンに入れて玄関へ向かう。
「気をつけてね」
「はーい。行ってきます」
背後のお母さんの声に返事して、私は靴を履くと外へ出た。

バスに揺られて学校へ向かう。
いつものように参考書を開くけど、頭にちっとも入らない。
こんなことじゃいけないとは思うけど・・・
どうしてもお姉ちゃんのことが気にかかる。
それに志岐野さんもいなくなってしまった・・・
二人とも行方不明。
手がかりは何もない・・・
ただ一つ言えることは、お姉ちゃんはあの犯罪教授を捜査していたということ。
それはお姉ちゃんの同僚の人が教えてくれた。
お姉ちゃんは犯罪教授の何かを掴んだらしい。
そしてお姉ちゃんは姿を消した・・・
お姉ちゃんのお友達だった志岐野さんも姿を消した・・・

二人はどうしてしまったのだろう・・・
二人の失踪が無関係とは思えない。
きっとお姉ちゃんと志岐野さんの失踪は絡んでいる。
それも、おそらく犯罪教授に絡んでいる・・・
犯罪教授・・・
いったい何者なのだろう・・・

ふう・・・
私はあきらめて参考書を閉じる。
どうせもう少しで学校だわ。
学校に着いたらまた読めばいい。
私はそう思って、参考書をカバンに入れた。

ふとカバンから顔を上げる。
ぎっしりと立ち尽くすセーラー服の群れ。
始点に近い場所から乗る私は、いつもだいたい席に座ることができる。
この路線は朝は私たちの学校の生徒が多い。
だからバスの中はほとんどセーラー服ばかり。
そんな中、私はつり革につかまり立っている一人の女子生徒がなんとなく気になった。

綺麗な栗色の髪。
肩口までのショートだけど、つやつやしてる。
目はくりくりしてなんていうか可愛い感じ。
全体的に大人の女性と幼い少女が一体化したようなアンバランスさを感じるけど、私たちの年頃ならそれは当たり前かもしれない。
でも、私が気になったのは、そんなアンバランスさではなかった。

口元に浮かぶ笑み。
それがとても妖艶で、かつぞっとするほどの冷たさを持っていたからだった。
あの笑みは何なんだろう?
普通浮かべるような笑みじゃない。
夕べ見たテレビを思い出し笑いしているような笑みでは決してない。
たとえるなら・・・
そう・・・
何か悪いことを思いついて・・・それがうまく行きそうだと確信したような笑み。
普通の人間は思いつかないようなことを思いついたような笑み。
そんな笑みを浮かべてるなんて・・・
私はその笑みを浮かべた女子生徒の横顔に見入っていた。

「!」
私がつい見入ってしまったことに気が付いたのか、突然彼女がこちらを見る。
私はびっくりして思わず目をそらしてしまった。
何をしているのか・・・
ぶしつけにじろじろ見ていたのはこちらなのに・・・
でも・・・
あの笑みは気になった・・・

「おはよ、智鶴」
人ごみを掻き分けてやってくる知世(ともよ)ちゃん。
そっか、彼女の乗るバス停まで来たんだ。
「おはよ」
私はちょっと手を上げて挨拶する。
「ぼうっとしてたけど、何かあった? やっぱりお姉さんのこと?」
私の脇に来て立つ知世ちゃん。
彼女は私の大事な友人。
もちろんお姉ちゃんがいなくなったことも知っている。
「ううん・・・ちょっとね。ねえ、あそこの入り口近くに立っている人知ってる?」
私は笑みが気になった彼女のことをそっと聞いてみる。
彼女ももうこっちを向いてはいない。
「ん? 彼女? うーん・・・確かD組で見たとは思うんだけど・・・名前までは」
「そっか・・・」
「何? 彼女がどうかした?」
なぜそんなことを聞くのかという顔をしている知世ちゃん。
そりゃそうよね。
「ううん、なんとなく誰なのかなーって思っただけ」
まさか笑みが気になったなんて言えないよね。
でも・・・
なんとなく気になるよ・・・

「ふう・・・いきなり小テストとはやってくれるじゃない」
午前中の最後である四時間目に数学があるというのもつらいけど、さらに小テストとは・・・
あ~、お腹空いたよぅ・・・
「智鶴ぅ、どうだったぁ?」
知世ちゃんがヘロヘローという感じでやってくる。
あまりいいできではなかったらしい。
「まあまあってところかしらね」
私はとりあえずはだいたいわかったって感じかな。
「うう・・・うらやましいにゃぁ。智鶴は医科大志望だから勉強できてうらやましいにゃぁ」
「そんなことないよ。私だって結構苦手な教科とかあるんだよ」
「うう・・・私は苦手ばかりだにゃ」
へなっとうなだれる知世ちゃん。
あまり・・・ではなく相当にできがよくなかったのね?
「どうしたら智鶴みたいに勉強ができるようになるかにゃぁ・・・やっぱり好きなものがあると違うかにゃぁ・・・」
「うーん・・・どうなのかなぁ」
苦笑するしかない私。
「智鶴は薬剤師目指しているんだっけ? いいにゃぁ目的がちゃんと決まってて・・・私なんか将来の夢は“お嫁さん”だからにゃぁ」
「そ、それだって立派な夢だよ。雅人君に美味しいもの食べさせてあげるんだってがんばっているじゃない」
「まーねー。料理“だけ”は何とかなるんだけどねー」
それでいいじゃないか。
お料理できるのはかなりポイント高いと思うよ。

「あ、そうだそうだ。こんな話をしに来たんじゃなかった。今朝の娘わかったよ」
「えっ?」
そういえば私自身はすっかり忘れていたのに・・・
「D組の案西さんだって。案西響子さん。さっきの休み時間にD組行って確認してきた」
「ええっ? わざわざ?」
「うにゃ? 数学の教科書を借りてきただけだよー。そのついで」
あ~、また教科書家に忘れてきたのね?
知世ちゃんらしい・・・
「なんかね、一人で孤独な少女らしいよ。さっき行ったときも一人で窓の外眺めてたわ」
「そうなんだ・・・」
友達・・・いないのかな?
なんだろう・・・
思い出したら、やっぱりなんだか気になるよ・・・

「う~・・・」
ゆらりという感じで背を向ける知世ちゃん。
「どこ行くの?」
「購買。飲み物買ってくる。智鶴も何かいる?」
「あ、それならウーロン茶お願い」
「りょーかーい」
ひらひらと手を振って了解の合図をする知世ちゃん。
廊下に出て行くその後姿を見送り、私はカバンからお弁当を取り出した。

あれ?
私・・・いつの間に?
昼休み、私は気が付くと校舎の中庭にいた。
確か、知世ちゃんと一緒にお弁当を食べて・・・
ふと廊下を見たとき、案西さんの姿を見かけたような気がして・・・
そして彼女が、なぜか私を見て笑みを浮かべたような気がして・・・
だめだ・・・
そこからよくわからない・・・
何で私はこんなところにいるのだろう・・・

あ・・・
校舎に入ろうとしている後姿。
肩口までの茶色がかった髪。
あれは案西さん?
あ・・・
思わず私は駆け出していた。

「待って! ちょっと待って!」
案西さんの足が止まる。
校舎の入り口で立ち止まり、私のほうに振り返る。
くりくりした目が不思議そうに私を見る。
「何か用ですか?」
「えっ? あっ・・・」
なんてこと・・・
私は何で声をかけたのだろう?
何か用があるわけじゃないのに・・・
「あ・・・その・・・」
言葉に詰まってしまう。
思ったより小柄な彼女は、私を見つめている。
あ・・・れ?
「クスッ・・・待ってなさい。あとで迎えを差し向けるわ。それまでおとなしく待ってなさい」
「えっ?」
今のは何?
待ってなさいって?
私が戸惑っていると、彼女はくるりと背を向けて校舎の中に入っていく。
あ・・・
私はなぜか立ち尽くしたまま、彼女の後姿を見送った。

あれはなんだったんだろう・・・
特に部活動をしているでもない私は、放課後知世ちゃんとウィンドショッピングを楽しんだあと、自宅に戻っていた。
夕食を食べて後片付けを手伝い、そのあと自室でくつろいでいると、お昼の案西さんの言葉が思い返される。
『あとで迎えを差し向けるわ』
あれはどういうことなのだろう・・・
言葉どおりだと、案西さんからの迎えが来るということだと思う。
でも、どうして?
私は案西さんとは今日会ったばかりと言っていい。
そりゃあ、学校内で何度かすれ違ったりはしているだろうけど、お互いに相手を認識していない以上そんなのは会ったうちには入らない。
お互いに?
もしかして、案西さんは私のことを知っていたのかしら・・・
でも、だとしても迎えにってのはどういうことなのだろう・・・

あれ?
ふと気が付くと家の中が静かになっている。
お父さんも帰ってきたはずなのに、リビングから声もテレビの音も聞こえない。
お風呂にでも入っているのかな?
でも、それにしては静か過ぎる気がするよ・・・

私は何かあったのかと思い立ち上がる。
ドアを開けたところで私は驚いた。
リビングの電気が消えている。
どういうこと?
まだ9時だよ。
寝るには早いよ。
それに・・・
何か変だよ・・・

私はなんだか薄気味悪くなって、そっとリビングを覗きにいく。
廊下を静かに歩き、リビングのドアの曇りガラスから中を覗いてみる。
う~・・・
やっぱり無理よね。
中が暗いし、曇りガラスじゃ見えるわけない。
仕方がないので、私はできるだけ音を立てないようにリビングのドアをそっと開けた。

中は暗い。
カーテンを閉めてあるので、外の光も入ってこない。
それでも闇に目が慣れてくると、うっすらと中の様子がわかってくる。
テレビの前のソファにぐったりともたれかかっている人影がある。
お父さんだわ。
それにお父さんの足元の床にはお母さんが倒れている。
「お父さん! お母さん!」
私はもうびっくりして、すぐにリビングに飛び込んだ。

「心配ないわ。眠っているだけよ」
突然部屋の脇から声がする。
「だ、誰?」
私は思わず声のする方に振り返る。
闇の中にスッと立っている人影。
裸の女の人?
そう思うほどにそのシルエットは柔らかいラインをそのまま見せていた。
違う・・・
裸なんかじゃない。
それどころかなんだか奇妙な格好をしている。
だ、誰なのいったい・・・
「こんばんは、伊家原(いけはら)智鶴さん」
人影が一歩前に出る。
カーテンの隙間から差し込む外の明かりが、その人影をうっすらと照らし出す。
「ひっ」
私は息を飲んだ。

そこにいたのは女の人だった。
ううん・・・女の人だと思う。
柔らかく美しいプロポーションをレオタードみたいな服で包み込み、すらっとした長い脚にはハイヒールのブーツを履いている。
土足で人の家に入り込んでいるんだけど、そんなことはどうでもいい。
そこまでの姿は確かに女の人だと思う。
でも、頭を覆うヘルメットのようなものからはふるふると震える触角のような二本の線が延び、背中には昆虫の翅のようなものが背負われている。
まるでなんだかゴキブリのような・・・
私はハッとした。
まさか・・・
「コックローチレディ?」
思わず私はそうつぶやいた。

「あら、私のことを知っているのね? なんだかうれしいわ」
口元に笑みを浮かべるコックローチレディ。
とても冷たい笑み。
私は思わずぞっとする。
「どうして家になんか・・・何しに来たの!」
「うふふ・・・あなたを迎えに来たのよ。犯罪教授様がお待ちかねよ」
犯罪教授が?
私を迎えに?
どういうこと?
迎えにって言えば案西さんのあの言葉・・・
まさか案西さんは犯罪教授とつながりがあるというの?
「さあ、おとなしく来なさい。会いたい人にも会わせてあげる」
えっ?
会いたい人?
それってまさか・・・

「行くわ」
私は覚悟を決める。
犯罪教授に会えば、お姉ちゃんの手がかりがつかめるかもしれない。
それに会いたい人とはお姉ちゃんのことかもしれない。
たぶんお姉ちゃんは犯罪教授に捕まっているんだ。
だったら、助けに行かなくちゃ。
私も捕まることになるのかもしれないけど、二人でだったら何とか脱出できるかもしれない。
だから・・・行かなくちゃ・・・
「ふふふ・・・いい娘ね。それじゃ行きましょ」
私は促されるままに家を出た。
  1. 2009/02/25(水) 21:13:32|
  2. 犯罪教授響子様
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150万ヒット到達です

2009年2月24日22時54分。
旧ブログ開設から通算で150万ヒットに到達することができました。

部分
こちらがキリバン画像です。

ついに150万ヒットです。
到達しちゃいました。
すごい数字ですねぇ。

これもひとえに訪問してくださる皆々様方のおかげです。
本当にありがとうございます。

これからもどこまで続けられるかわかりませんが、できるだけ継続していくつもりです。
どうかこれからも変わらぬご声援をお願いいたします。

150万ヒットなのですから、本来は記念作の二.三本も投下したいところなのですが、このところあまり創作活動ができておりません。

なので、今回は大変申し訳ないのですが、短編一本を記念に投下しようと思っております。
明日の更新をお楽しみいただければ幸いです。

皆様、あらためまして、本当にありがとうございました。m(__)m
  1. 2009/02/24(火) 23:06:50|
  2. 記念日
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まおうになっちゃったー

うーん・・・
微妙ですねー。
日付変わる前に到達しそうであり、到達しないようでもあり・・・

まあ、150万ヒットに到達するのはもう時間の問題なわけですけどね。


というわけで今日はマンガの紹介をば。

「PRINCESS FORCE」 七瀬瑞穂著 キルタイムコミニュケーション社

七瀬瑞穂先生の「PRINCESS FORCE」(プリンセスフォース)です。
これも表紙がエロイですね。

以下ネタバレありですのでこっちへ
[まおうになっちゃったー]の続きを読む
  1. 2009/02/24(火) 21:29:13|
  2. 本&マンガなど
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片翼での帰還

1914年に始まった「第一次世界大戦」は、航空機の発達に大きな影響を与えました。
当時は複葉機が主流でしたが、戦争終結後には、複葉機より高速でより性能のいい単葉機が主流となるようになりました。

1930年代前半から中盤にかけて、日本海軍でも航空母艦搭載用の艦上戦闘機も単葉の高速戦闘機を装備しようという機運が高まります。
それまでは、狭い飛行甲板への着艦や、空戦時の旋回性を重視するあまり、複葉機の艦上戦闘機が採用されてきたのです。
当時の主力の九〇式艦上戦闘機やその改良型の九五式艦上戦闘機も複葉機であり、使い勝手のよい戦闘機ではあったものの、やはり最高速度の面などで単葉機には見劣りするものでした。

海軍は最初三菱に七試艦上戦闘機を試作させますが、エンジンが間に合わなかった上に試作機二機が墜落事故を起こしたため試作中止。
あらためて九試単座戦闘機を試作させることになりました。

七試“艦上”戦闘機に対して、九試“単座”戦闘機となったのは、七試艦上戦闘機が空母搭載にこだわって失敗したため、あえて空母搭載にこだわらずに良い戦闘機を作り、その上で空母搭載に不都合があれば空母そのものを改造するとまでの海軍側の意気込みを示したものとも言われますが、どうも単座戦闘機と複座戦闘機の二種類の計画があったからに過ぎないというのが真相らしいです。

ともあれ、七試艦上戦闘機の失敗の二の舞を演じることは避けたい三菱は、堀越技師を初めとする優秀なスタッフを持って九試単座戦闘機の試作を行ないます。
競争試作として中島飛行機もこれに参加。
三菱と中島の双方が海軍初の単葉戦闘機の試作を行ないました。

試験の結果は三菱側の試作機に軍配が上がります。
三菱の九試単座戦闘機は、九六式艦上戦闘機として採用されました。

九六式艦上戦闘機は、重量増加を嫌ったために固定脚という古い方式の着陸脚ではありましたが、沈頭鋲を使用するなど空気抵抗に配慮した単葉戦闘機であり、それまでの九五式艦上戦闘機と比べると、最大速度で50㎞も時速が速くなっており、さらには上昇性や旋回能力も同等かそれ以上という優れた機体でありました。

昭和11年(1936年)に採用された九六式艦上戦闘機は、折からの中国との戦争に投入され、海軍の新型戦闘機として活躍することになりました。
陸上戦闘機にも負けない性能を誇った九六式艦上戦闘機は、中国軍のアメリカ製ボーイングやカーチスの複葉戦闘機を圧倒。
制空権の確保に大きな貢献を果たします。

中でも有名だったのが、樫村寛一兵曹長の搭乗機です。
樫村兵曹長は、中国南昌への攻撃の際、迎撃に出撃してきた中国軍のカーチス複葉戦闘機と交戦、二機を撃墜したあと、弾切れのために三機目を翼で引っ掛けて撃墜します。
通常であれば、自分の機体も墜落するのは必至だったでしょうが、なんと樫村兵曹長は左の翼の約半分がなくなった九六式艦上戦闘機を見事に飛ばし、無事に味方の基地まで帰還してきました。

この事実は九六式艦上戦闘機の能力の高さを示したものとされ、この片翼が欠けた樫村機は国民の戦意高揚のため各地で展示されることになったのです。

九六式艦上戦闘機は、まさに陸上戦闘機を越えた艦上戦闘機ではありましたが、日進月歩の軍用機の世界では、その栄光も長いものではありませんでした。
日本海軍はさらなる高性能の艦上戦闘機を追い求め、堀越技師ら三菱の開発陣は、この後あの零式艦上戦闘機を生み出すことになるのです。

ですが、あの零戦の高性能は、この九六式艦上戦闘機あってこそのものだったのでしょうね。

それではまた。
  1. 2009/02/23(月) 21:23:28|
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そろそろ終わりだなぁ・・・


いつものようにいつものごとく表紙がエロイ「オルフィーナSAGA」です。
今回は六巻目。

前回五巻目の時に残り一巻との事だったんですけど、終わりませんでしたね。
まあ、いろいろと終息させなくてはならないことも多いので、長くなっちゃっているんでしょうね。

それにしても・・・
絵柄的にオルフィーナもヒュレイカもどんどん幼い感じになっていくなぁ。
ストッキングを穿いた脚は相変わらずエロイけど。(笑)

五巻に引き続きシスター姿のオルフィーナはなんかいいですね。
院長も見せ場作りましたしね。

後催眠的なもので突然襲ってくる少年たちという美味しいシーンがありましたけど、少年じゃなく少女たちだったらなー。

さて、本当に次巻で終わるんでしょうか?
楽しみに待ちたいと思います。

今日は短いですがこんなもので。
それではまた。
  1. 2009/02/22(日) 20:20:20|
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02月22日のココロ日記(BlogPet)

宇宙人さんって、にゃーにゃー鳴くらしいですよ!本当でしょうか?

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2009/02/22(日) 08:30:27|
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そして誰もいなくなった・・・

先週と夕べでGoma様といつものVASLでのASL-SK対戦を行いました。

今回はシナリオS20「JOSEFH 351」の入れ替え戦。
Goma様が攻撃側の連合軍、私が防御側の独軍です。

前回のGoma様の布陣を見て、自分なりに初期配置を研究。
果樹園による射線遮断を考慮して、丘の上には少なめに、そしてついつい建物に配置したくなる8-1指揮官とMMGを射線の確保を重視して果樹園に配置。
4ターンの丘へクス30個失ってのサドンデス負けを回避したら、全力でソ連軍を蹴散らして盤北端から脱出する予定でした。

対するGoma様の戦力はdr6。
米軍667分隊が8個も登場するものの、その分VPを22点も取らなくてはなりません。
独軍全てを除去しても28点しかないので、これはかなり厳しいものです。

前回私がdr5でVP21点をぎりぎり達成しての勝利でしたので、下手するとVPを取られてしまうのはわかっておりますが、これはGoma様は得点よりも丘ヘクスを確保してのサドンデス勝ちを狙ってくるのではないか? と勝手に思っておりました。

序盤、ソ連軍は当然のごとくスカルキングで独軍の射撃を回避して行きます。
一方盤南端より侵入してきた米仏連合は、これもやはり西側と東側からの二手に分かれ、森を潜り抜けて丘に接近してきます。

独軍の射撃はパッとせず、米仏連合の接近を阻止できません。
それに対し、Goma様米仏連合の射撃は効果的に発揮され、8-1指揮官や分隊がKIA、さらにはこちらの士気チェックが6ゾロなどというものもあり、独軍は手ひどい損害を受けてしまいます。

中盤、何とか4ターンでの丘ヘクスを30個取られてのサドンデス負けは回避したものの、白兵戦や潰走不能などで独軍は除去が相次ぎ、この時点で無傷の分隊が3つほどしかない状況に。
何とかソ連軍を突破して脱出を図ろうといたしますが、ソ連軍の射撃も効果的なものが続出。
独軍はついに全ての分隊が混乱に。

次の回復フェイズでの回復の可能性がなく、米仏連合に潰走不能に追い込まれてVP22点を越えることが確実になったためここでゲームセット。
独軍の敗北となりました。

VP確保は大変だと思いましたが、このシナリオは意外と独軍はきびしいようです。
前回今回と独軍側の連敗でした。
独軍としては、丘をぎりぎりまで保持しながらも、早期にソ連軍の撃破を図るべきか、それとも最初から脱出をあきらめて米仏連合を全力で迎え撃つかを考えていくべきなのかもしれませんね。

次はいよいよ戦車登場となるS21「CLASH AT BORISOVKA」です。
ソ連軍がGoma様、私がティーガーを含む独軍です。
群れなすT-34をティーガーの主砲がいかに撃破していくか・・・
対戦が楽しみです。

それではまた
  1. 2009/02/21(土) 21:06:33|
  2. ウォーゲーム
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今年も名鑑

名鑑

もうとっくに出ていたのかもしれませんけど、「週刊ベースボール:選手名鑑2009」を手に入れてまいりました。

この名鑑はもう毎年欠かさず手に入れているんですけど、今年も例に漏れず手に入れました。
中継などを見て誰かなーと思ったときとか、この選手は今年何歳で何年目なのかなと思ったときなど、これがあると非常に便利ですよね。

この名鑑の表紙には各球団のいわば顔とも言うべき選手が選ばれているんですけど、今年は阪神が藤川投手、日本ハムはダルビッシュ投手ですね。
両名とも昨年から引き続きということで、すっかり顔として定着というところでしょうか。

それにしても、記事中に「虎のオセロ」というのがでてきて、これは何ぞやと思ったら白仁田投手と黒田投手のことでした。
確かに白黒だけどさぁ。(笑)

また、埼玉西武ライオンズのユニホームががらっと変わりましたね。
あのレオのマークが姿を消してしまいました。
帽子にはただ「L」の文字だけになったんですね。
すごくシンプルでびっくり。

さてさて、今年の顔ぶれはどんなものか。
じっくり読ませていただきまーす。

それではまた。
  1. 2009/02/20(金) 21:09:02|
  2. スポーツ
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投稿作品二本目です

昨日一昨日の作品に引き続きまして、kokusu様よりいただきました投稿作品の二本目を公開いたします。

タイトルは「女勇者モンスター化Ⅲ」
こちらは非常にオーソドックスな悪堕ち作品となっており、昨日の作品ともども楽しめること請け合いです。

それではどうぞ。


「女勇者モンスター化Ⅲ」

ナジミの塔、一階。襲いかかってきた大ガラスを一刀両断にし、あたりに他の敵がいないのを確認して私は銅の剣を鞘におさめた。仲間の無事を確認すると再び探索を開始する。
「ちょっと待ってくださいよ。勇者さん」
「そうそう、そんなに焦んなくたって、魔王は逃げねえぞ」
 口々に不平を洩らすのは私の仲間、商人と戦士だ。
「……そんなにここに置き去られたいのならそうしてろ。私は先に行くぞ」

 もともと私は仲間など連れて旅するつもりはなかったのだ。父、オルテガと同じように一人で魔王に、バラモスに挑むつもりだったのだ。しかし、父が失敗したことをかんがみた王は私に無理やり供をつけて送り出した。それが彼らだ。
 商人は胡散臭いひげを生やした小男で、戦闘にはほとんど参加せずあたりをうろちょろしては金目のものを探している。戦士は脳味噌まで筋肉でできているような典型的な体力馬鹿だ。役に立つと言えば立つが、どうしても必要かと言われれば首をひねらずにはおれない。
「まあまあ、実はね、さっき面白い防具を拾ったんですけどね、こいつを勇者さんが装備したらさぞお似合いになるだろうなと思いましてね」
 商人はにやにやして後ろ手に何かを隠している。あまりいい予感はしない。
「……見せてみろ」
「へへへ、これだよ、これ」
 戦士が商人から取り上げて、私の目の前にそれを突き出した。白い色をした非常に露出度の高い水着。俗に言う危ない水着というやつだ。
「……ッ! 何を考えている! 馬鹿もの! 誰がこんな物を着るか!」
 私は目の前の水着をひったくって地面にたたきつける。
「あぁあ、もったいない。なんてことするんですか」
 商人が慌てて水着を拾い上げる。
「捨ててしまえ! そんなもの」
「そういうわけにもいかねえだろ。こいつは売るとこにうりゃ大した金になるんだぜ? 軍資金は必要だろう? 勇者様」
「ぐっ……」
 理はある。確かにそのような水着が高値で売買されることは知っている。しかし……
「分かった。袋にでも入れておけ。ただし、今後私に着せようなどと言い出したらどうなるかわかってるだろうな?」
 なるべく凄みを利かせて、念押しする。
「ええ、そりゃもう」
「分かってるぜ」
 商人と戦士はクックと笑い合う。何を考えていることか。


「勇者さん。さっきの魔物がこんな物を落としていったんですが……」
塔の中腹ほどにさしかかったころ、商人が両手に何かを持ってきた。
「これは……」
 白いふわふわした毛玉のようなアクセサリーと、ウサギの耳を模したヘアバンド。
「ヘアバンドはわかるが……この毛玉はなんだ?」
 商人に問う。アイテムの知識に関してだけは彼はなかなかに優秀だ。
「ウサギのしっぽと言いまして、装備すると運の良さが上がるアクセサリーなんです。どうです? 勇者さん」
 商人は白い毛玉、ウサギのしっぽをぐいと私の眼前につきつける。運のよさ、か。確かに私はあまり運のいいほうではないが……
「ま、物は試し。装備してみてはいかがですか?」
「ふむ、そうだな。貸してみろ」
 商人から受け取ったウサギのしっぽを装備する。
「気分はどうです? 勇者さん」
「うん。なんだか楽しい気分になった。ありがとう! 商人さん」
 商人さんにお礼を言う。うふふ、ウサギのしっぽってかわいいなぁ。それにしても商人さんってすごいなぁ。あたしが見たこともないようなアイテムの名前も効果も一発で当てちゃうんだもん。そんけいするなぁ。
「おい、どうしたんだ。こいつ。えらい変わりようだぞ」
 戦士さんが不思議そうに商人さんに問いかける。
「へへへ、アクセサリーの中には装備者の性格を変えてしまうものがあるんですがね。ウサギのしっぽの効果はズバリ幸せ者になること。一匹狼のつんけん娘と一緒に旅するなんてまっぴらごめんなんでね。ちょいと素直ないい子になってもらおうかと思って」
「あ、ひどい。そんなこと言うなんて。でもあたしは変わったんだしもう問題ないよね。これからは仲良く旅しようね!」
「へぇ、人間変われば変わるもんだなぁ。よろしくな、勇者」
 戦士さんと握手する。ごつごつした手。頼もしいなぁ。こんな人たちと旅できるんだから、バラモスなんて楽勝だよね。あっ、そうだ。
「商人さん。さっきのもう一つの装備は?」
「うさ耳バンドですか? これは……」
 商人さんの持っているバンドをひょいと取り上げる。かわいいなぁ。これ装備したいなぁ。ううん。これは装備しなきゃいけないの。
「えへへへ、どう? 似合う? かわいい?」
 あたしが首を振るとヘアバンドもひょこひょこと揺れる。
「おお、似合う似合う」
「……? おかしいな。それは勇者さんには装備できないはず……」
えへへ、こうしてると本物のウサギになったみたい。たのしいな。
「お、そうだ。勇者、ついでにこれ装備したらどうだ?」
 戦士さんが袋の中から危ない水着を取り出す。もう、戦士さんってすけべだなぁ。でもあの水着もちゃんと装備しなきゃね。だって真っ白な水着なんてうさぎさんにぴったりだもん。あたしは旅人の服を脱いで、素っ裸になる。全然恥ずかしくないよ。だってあたしはうさぎさんなんだもん。
「お、おお……」
「お、いいぞいいぞ!」
 商人さんは鼻を押さえてる。戦士さんはスケベな目であたしを見てる。えへへ、なんだか嬉しいな。
「どう? せくしー?」
「これは……たまりませんな!」
「最高だぜ!」
 みんな喜んでくれてる。嬉しい! しばらくこのままでいよっと。
 
 もう随分階段を上ったし、そろそろ最上階にも近いかな? あたしは耳をそばだててあたりの様子をうかがう。ウサギさんの耳って便利だなぁ。どんな小さな音も聞き逃さないもの。
 扉をあけると塔のへりの部分に出た。危ないなぁ。こんな所から落ちたらひとたまりもないよね。
「っくし! うおお、寒ぃ!」
 戦士さんが大きくくしゃみをする。もう! 汚いなぁ。
「あ、勇者さん。ここは流石に水着一枚では……」
 商人さんが毛皮のマントを差し出してくる。心配してくれるんだ。優しいなぁ、商人さん。ありがとう! 尻尾がホンモノだったら、きっとあたしはそれをぶんぶん振ったことだろう。
 でもあたしは寒くないよ。水着が毛皮の代わりになってくれてるもの。むしろ邪魔なくらい。
「そ、そうですか?」
 うん。そんな装備、暑苦しくて、とてもじゃないけどしてられないよ。
「おーい! なにやってんだ?」
 戦士さんの呼ぶ声がする。いけない、忘れてた。
「あ、すいません。小部屋がたくさんに分かれてますね。散開して探索しましょうか」
「さんせーい!」
「おう」
 商人さんは右の小部屋。あたしは左の小部屋。戦士さんは外で見張り。それぞれ役割を決めて散らばる。あたしの入った左の小部屋にはローブで全身を隠したモンスター、まほうつかいがいた。
「覚悟しろー」
 あたしは銅の剣を構える、がまほうつかいは首を振る。
「待て、わしはお前と争う気はない。この宝箱もお前にくれてやろう」
 まほうつかいは宝箱を差し出してきた。
 あたしは首をかしげる。襲いかかっても来ないし宝箱もくれるなんて。そうか、もしかしたらこのまほうつかいはいいまほうつかいなのかもしれない。うん。きっとそうだ。
「ありがとう」
 あたしはお礼を言って宝箱を開けた。中に入っていたのは毒針だった。力のない人が使っても、先に仕込んだ毒で相手を即死させることができる武器だ。
「ああ……」
 あたしは思わずため息を漏らした。なんて素敵な武器なんだろう。
「本当にもらっていいんですか? なんだか悪いです」
 こんな素敵なもの。何の見返りもなくもらうことなんてできないよ。
「いいから装備してみるがいい」
 言われるがままにあたしは毒針を装備する。ああ、なんだかとっても落ち着く。絶対手放したくないよぉ……。

「くくく、どうやら実験は成功のようだな」
「じっけん? 何の実験ですか?」
 満足げなまほうつかいさんに、あたしは聞き返す。
「呪いの装備品を作ってそれを装備した人間をモンスターに変える実験だ。お前の今装備している……いや、していたものはすべてわしの作った呪いの装備なのだよ」
 言われてあたしは自分の体を意識する。そういえばヘアバンドは今や本物の耳になっているし、水着が覆っていたところにはふさふさの白い毛が生えそろっている。尻尾はお尻でピコピコとその存在を主張してる。あはっ、あたしモンスターになっちゃったんだ!
「ありがとうございます! まほうつかいさん。あなたのおかげで、あたし立派なモンスターになれました!」
「くく、礼には及ばんよ。その代りお前にはわしの僕としてこれから仕えてもらうぞ」
「はぁい! まほ……ご主人様!」
 まほうつかいさん。と呼びかけて咄嗟に言いなおす。これからお仕えする相手だもん。こう呼んだほうがいいよね。あ、いけない。名前を名乗るのを忘れてた。
「あたしの名前は……あれ?」
 おかしいな。あたしの名前が思い出せない。なんだっけ? 確か……
「くくく、お前の人間としての名前はもう消えてしまったよ。これからはいっかくうさぎと名乗るがいい」
「分かりました。あたしは今からいっかくうさぎです!」
 名前までもらっちゃった。嬉しいな。ありがとう! ご主人様。
「早速だがまずお前の仲間二人を消してもらおうか。逃げ帰られてわしの研究が知れてしまっては厄介だからな」
「了解しましたー」
 折よく商人さんが部屋に入ってきた。
「勇者さん? 随分と時間が……」
 あたしは商人さんの懐に潜り込むと毒針を突き立てた。
「ぐっ……ゆ、勇者さん、何を……!?」
「勇者さんじゃないよ。あたしはね、いっかくうさぎさんなんだよ!」
 商人さんは顔を赤くしたり青くしたりしたかと思うと口から泡を吹いて死んじゃった。面白ぉい! 人間殺すのってこんなに楽しいんだ。早くもう一人も殺そうっと。
 外に出て、あたしは大声で戦士さんを呼ぶ。
「どうしたー!」
 戦士さんが駆け寄ってきた。今だ! あたしは勢い良く戦士さんに突進した。
「どーんっ!」
 戦士さんはあっさりと突き飛ばされ、下へ下へと落ちていく。信じられない。といった表情の戦士さん。間抜けでおもしろいなぁ。
 でもあっという間に見えなくなっちゃった。後でちゃんとぐちゃぐちゃになってるか確かめてこよぉっと。
「くくく、よくできたぞ」
 床に寝そべって、戦士さんが落ちて行ったほうを覗き込んでいると、ご主人様がすぐ後ろに来ていた。あたしは慌てて起き上がってご主人様に向き直る。
「これからもこの調子でわしに仕えるのだぞ」
「はい! ご主人様!」
 モンスターになれたしご主人様にお仕えもできる。それにきっと人間もいっぱい殺せるんだ。あたしって幸せ者だなぁ。

END


いかがでしたでしょうか?
こちらも私にはすごく楽しめる作品でした。
「毒針」と「危ない水着」と「うさぎのしっぽ」で「いっかくうさぎ」にしちゃうとは驚きです。
アイテム悪堕ちの王道とも言える作品でしたね。

kokusu様、あらためまして投稿ありがとうございました。
よろしければまたお願いいたします。
  1. 2009/02/19(木) 21:18:29|
  2. 投稿作品
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  4. | コメント:7

投稿作品続き

昨日に引き続いてのkokusu様の投稿作品の続きです。

それではどうぞ。


2、
『おや? この子はキラーパンサーの子供のようですね。まぁ、放っておけばじきに魔性を取り戻すことでしょう』


あたしはキラーパンサー。魔界の殺し屋と恐れられるモンスターだ。キラーパンサーは普通は群れで行動するものらしいが、あたしは何故かはぐれなどをやっている。あまり昔のことは覚えていないが、いつの間にやらこのあたりのモンスターのボスのようなことをやることになってしまった。
このあたりのモンスターは弱い。ただの町人ならともかく、少し腕に覚えのある冒険者にはあっさりと負けてしまう。だからあたしが襲撃の計画を立てたり、強い冒険者を避けるルートなどを考えたりして、面倒を見てやっているのだ。
正直柄ではないと思うのだが、「姐さん」などと言って頼ってくるモンスターたちも無下にはできない。慕われるのは嫌いではないことだし。

ただそんなあたしには一つの悩みがある。それは、もしばれてしまえばボスとして面子が立たない様な重大な問題だ。
あたしは野菜しか食べれないのだ。記憶にある限りであたしは肉というものを口にしたことがない。魔界の殺し屋が菜食主義者です。なんて、冗談にもならない。配下のモンスターたちにも示しがつかない。
仕方なく、あたしは夜な夜な縄張りから近くの村へ下りて行って、こっそり野菜を盗み食いする。情けなくて見られたもんじゃあない。
今日も今日とて、誰にも見られないようにねぐらの洞窟を抜けだして村の畑へ向かう。抜き足差し足、音も立てずにひっそりと……しかしそんな努力も大好物を目の前にしては消えて失せる。
キャベツだ。夜の畑に、月明かりに照らされてまん丸のキャベツが並んでいる。
あたしはたまらずそのうちの一つにかぶりついた。口いっぱいに広がる土のにおい、えぐみ、青臭さ、瑞々しさ。そのすべてが愛おしい。夢中になって咀嚼し、嚥下する。
あたしは野菜の中でも特にキャベツには目がないのだ。お肉なんて、あんなまずいものを食べる奴の気がしれない。
あたしは飢えが満たされる快楽に半ば恍惚としながら、キャベツを食べる。嗚呼、美味しい……やっぱり餌はキャベツに限るわ……もっと……もっとキャベツ頂戴……キャベツ……ッ!
突然感じた気配にあたしは一目散に逃げ出した。まさか配下のモンスターじゃないだろうか? 見られていたら大変だ。村人や冒険者だったらいいのだけど……。

寝床の洞窟に戻る。試しに通りがかった何匹かに訊いて見るが、あたしが何処に行っていたか知っているやつはいなさそうだ。とりあえずほっと一息ついて、あたしは藁の上に寝転び、まどろみ始めた。
『姐さん! キラーパンサーの姐さん! 大変です!』
 叫んで駆けこんできたのは突撃兵だった。手にしたやりを振りまわして部屋の中をぐるぐる走り回っている。
 あたしは一喝して呼吸を整えさせた後、状況を説明するように言った。
『恐ろしく強い人間の魔物使いがやってきて、俺たちじゃまるで相手にならないんです! とりあえず弱い奴らから姐さんのとこに避難するようにしてるんですが……』
 言うが早いか、何匹ものモンスターがあたしのねぐらに駆けこんでくる。ひどく怯えて、身を寄せ合っている。皆すがるような瞳でこちらを見つめて来る。
 安心しなさい。どんな奴が来ようとあなたたちには指一本触れさせない!
 あたしは後ろをかばうようにして部屋の入口を睨みつける。それに倣うようにして何匹かの戦闘要員があたしの横についた。

 どれほど待ったのだろう。其処から紫色の旅装をした黒髪の男が現れた。その手に下げるのはモンスターの血で染まった大剣。その姿からはまるで想像もつかないような、穏やかな笑顔を浮かべている。
「ああ、やっぱり……」
 男が何かを言いかけた瞬間、恐怖にかられたイエティとモーザが男に襲いかかった。しかし男の左右に控えていた二匹のスライムナイトによって一刀のもとに切り捨てられる。
 あたしはというと……まったく動けずにいた。恐怖に、ではない。何か大切なこと、そう、あたしの後ろのモンスターなんかより遙かに大切なことを、思い出しそうなのだ。
 男はじっとこちらを見つめる。あたしは知っている。この匂い、この声、このどこまでも吸い込まれていくような不思議な瞳。この男は……いえ、この方は……!
「久しぶりだね。ゲレゲレ」
 ゴシュジンサマッ!
 気付けばアタシは彼に飛びついていた。アタシに殺意がないことを見てとったのか、控えているスライムナイト達も斬りかかっては来なかった。
 アタシはそのまま彼にすり寄るとゴロゴロとのどを鳴らしてめいいっぱいじゃれつく。
「思い出してくれたんだね。ゲレゲレ」
 そうだ。この方こそ昔アタシを助けてくれた。アタシのただ一人のゴシュジンサマだ。こんな大切なこと、どうして忘れてたんだろう? ごめんなさい。ゴシュジンサマ。
 アタシは精一杯甘えた声を出してゴシュジンサマに許しを乞う。
「いい子いい子……ふふっ」
 ああんっ、ゴシュジンサマが撫でてくれてるぅ……はぁ…ん…とろけちゃいそう……ああ……ゴシュジンサマの匂い……子宮がうずくよう……

『姐さん!? 一体何やってるんですか!?』
「また一緒に戦ってくれるね? ゲレゲレ」
 また……ゴシュジンサマと一緒に……ッ! ああ! 断る理由なんてありません!
『姐さん! キラーパンサーの姐さん!』
 全く、さっきから五月蠅いやつ。せっかくゴシュジンサマとの再会を悦んでたって言うのに、大なしじゃない! キラーパンサー? 誰のことを言ってるのよ?
『姐さん?』
 アタシの名前はゲレゲレ。ゴシュジンサマの忠実なペットよ。薄汚いモンスターごときに気安く呼ばれる筋合いはないわ!
『姐さんッ!?』
「ゲレゲレ、まかせたよ」
 はぁい! ゴシュジンサマ! 見ててくださいね。今すぐこのうっとおしい連中を皆殺しにしますから。さぁ、あなたたち。覚悟しなさい!

戦いにそんなに時間はかからなかった。もともとアタシの力をあてにして生きていたようなクズどもだ。途中からはスライムナイト達も参戦してくれて、あっという間に決着はついた。
「良くやったね。ゲレゲレ」
 ゴシュジンサマがほめてくれる。ああん、嬉しい。もっともっと殺したいな。そしたらゴシュジンサマももっと褒めてくれるよね?
 あ、そうだ。ゴシュジンサマにあの剣を渡さないと。アタシはゴシュジンサマのお父様の残した剣のことを思い出した。そして部屋の奥へそれを取りに行こうとして、一匹のビッグアイに気がついた。気が弱いので、なにくれとなく目を掛けていた妹のような存在だった。部屋の隅でがたがたと震えて、恐ろしいものでも見るようにこちらを覗いている。
 そんなとこへ隠れてたなんて、ちゃんと殺しておかなきゃ。そう思ったアタシが近づくのを制して、ゴシュジンサマがビッグアイに歩み寄った。ビッグアイはびくりと体を震わせて縮こまる。ゴシュジンサマは聞くものをうっとりとさせるような優しい声で言った。
「ごめんね。僕はゲレゲレに会いに来ただけだったんだけど、結果的に君たちの住処を荒らすことになっちゃったね」
 ビッグアイは恐る恐る顔をあげて、そこで固まる。まるで石にでもなったかのように、ただひたすらゴシュジンサマの瞳に見入っている。
「僕を怨んでいるかい?」
 ゴシュジンサマの問いにビッグアイはフルフルと首を振った。
「どうして? 僕は君の仲間を殺したんだよ?」
『貴方に……比べれば……とるに足らないこと……』
 ビッグアイはやはり首を振った後、恍惚とした表情でゴシュジンサマを見つめる。
「そう……。じゃあ、僕の仲間になる?」
『良いんですか!?』
 ビッグアイは激しく頷いて、歓喜に満ちた声を上げる。
「肯定ととっていいのかな? そう……だな。じゃあ、君の名前はガンドフにしよう」
『ああ……素敵……』
 相好を崩し、舌を犬のように突き出してビッグアイは荒い息をもらす。
 ふふふ、よかったわね?
『あ……姐さん』
 ゲレゲレよ。
『あ……はい。ありがとうございました。ゲレゲレ姐さん。貴方があいつらを皆殺しにしてくれたおかげで、私もあの方の仲間に加えていただけます』
 ふふふ、いいのよ。あたしも貴方が仲間になってうれしいわ。ビッグアイ。
『ビッグアイなんて呼ばないでください。私にもあの方から頂いたガンドフって言う名前があるんです』
 そうね。ごめんなさい。ガンドフ。これからもゴシュジンサマのお役にたてるように一緒に頑張りましょう。
『はい。ああ、私たちは一生あの方のしもべなんですね! なんて嬉しいんだろう!』
 ふふ、一生じゃあないわ。私たちは未来永劫ゴシュジンサマのしもべなのよ。
『未来……永劫……あああああっ! わ、わたし、しあわせですぅぅ!』
 ガンドフは歓喜のあまり涎を垂らして体をがくがくと震わせている。アタシはいつか見た幸せな夢の続き、ゴシュジンサマと一緒に魔物を殺して遊び回ることができる今の喜びをかみしめた。

エンド

いかがでしたでしょうか?
モンスター側の視点で、まものつかいの主人公に従うことになる思考の変化をしっかりと書いてあったと思います。
私個人としては面白い作品だったと思いました。
kokusu様、あらためまして投稿ありがとうございました。
明日はもう一本のSSを公開いたしますね。
  1. 2009/02/18(水) 21:12:54|
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投稿作品をいただきました

当ブログに先日掲載いたしました「奪われたフローラ」は、おかげさまで皆様にご好評をいただくことができました。

今回この「奪われたフローラ」に影響を受けられたというkokusu様というお方から、ご自身もドラクエに関するSSを書きましたというメールをいただき、SS二編をお送りいただきました。

拝見させていただきましたところ、実に楽しいSSでしたので、当ブログで公開してもよろしいかどうかお尋ねしたところ、快く公開の承諾をいただきました。
そこで今回今日明日で一本明後日に二本目とと三日連続でkokusu様のSSを公開させていただきます。

今日は第一弾としまして、モンスターであるキラーパンサーをメインにすえたSSを公開いたします。
視点のユニークさをお楽しみくださいませ。

それではどうぞ。


1、
 あたしはベビーパンサー。魔界の殺し屋と恐れられるキラーパンサーの子供なの。
「ほら! もっと鳴いてみろ!」
 人間の子供があたしを蹴りつける。お腹がすいて倒れていた私を捕まえてきて、猫か何かだと思っているのか、いじめて遊んでいる。子供だから食べるまでもないし大目に見てあげようかと思ったけど、そろそろあたしも限界。殺して、食べさせてもらうことにする。

「ちょっと、何してるのよ? ネコちゃんかわいそうでしょう!」
 あたしがいじめっ子ののど元へかみつこうとしたその時、声が聞こえてきた。目をやると金髪の女の子とそれに連れられるように黒髪の男の子がやってきた。女の子もあたしを猫だと思ってるみたい。いじめっ子に喰ってかかってる。
 お肉も柔らかそうだしどうせ食べるならこの子にしようかな。そう思ってると隣の言い争いをよそに黒髪の男の子がこちらを覗き込んでいるのに気づく。目があったのをきっかけに男の子はしゃがみこんであたしに視線を合わせる。何だろう。不思議な瞳。まるで吸い込まれるような……あたしがあたしじゃなくなってしまうような……。

突然抱きかかえられる。あたしの目の前に柔らかい子供の首筋がさらけ出される。なんて不用心な。あたしがその気になればこんな子供ひと噛みで噛み殺せるのに。
男の子はあたしを抱きかかえたままにっこりと笑った。とくん、とあたしの心臓が鳴った気がした。何だろう? おなかの下のあたりが変な感じ……。鼻と鼻がくっつきそうな距離で見つめあう。ああ、駄目……吸い込まれていく……。あたしは……アタシハ……。

「ちょっと、ちゃんと聞いてたの?」
 女の子の声に男の子はアタシを降ろして振り返る。ちょっと残念。
「レヌール城にお化け退治に行くの。そしたらネコちゃん私たちにくれるって」
 アタシをモノみたいに扱わないでよ! ああでもこの男の子のモノにならなりたいな……。でもそれはないよね。助けを待っていじめられ続けるなんて嫌だもん。さあ、いじめっ子たちを食い殺して……
「絶対助けるから、いい子にして待っててね」
 はい。わかりました。いい子にして待ってます。
 アタシはゴロゴロとのどを鳴らして男の子に返事をする。この子の言うことには何だか逆らえないなぁ。なんでだろう? この子はただの人間……
「いい子いい子」
 あん! 撫でられた! 気持ちいいよう……あれ、なにかんがえてたっけ? アタシ。まあいいか、きっと大したことじゃないよね。

 お化け退治の準備をするために男の子たちが去っていく。ああ、さみしいよう。でも絶対助けるって言ってくれたもの。アタシ、信じていい子にして待ってるよ。いじめっ子たちもさっきの今でいじめる気はないみたい。もう暗くなってきたし、家に帰るみたいね。アタシはいじめっ子たちに連れられるがままに彼らの家に入った。晩御飯は皿に乗せられたキャベツだった。何考えてるんだろう。試しにかじってみるが変な味がしてとても食べられたものじゃない。うう、お肉食べたいなあ。
与えられた毛布は少し薄かったけど、全然寒くない。あの男の子のことを考えるだけで心も体もぽかぽかしてるもん。ああ、早く来てくれないかなぁ。

二日もたたないうちに男の子たちはお化けを退治して帰ってきた。そして約束通りいじめっ子たちからアタシを解放してくれた。嬉しい! アタシとの約束。ちゃんと守ってくれたんだ。
「そうだ! このネコちゃんの名前を決めないと」
 あたしが男の子にじゃれついていると不意に女の子がそんなことを言った。
「そうね……ボロンゴって言うのはどうかしら?」
 あ、かっこいい。アタシはこの名前が良いな。でも男の子は首を横に振った。残念。
「じゃあ、チロルって言うのはどうかしら?」
 ちょっとかわいすぎるな。アタシはボロンゴのほうがいいなぁ。男の子も首を横に振る。
「じゃあ、プックルって言うのはどうかしら?」
 これもかわいすぎる。もっと地獄の殺し屋にふさわしい名前がいいなあ。これにも男の子は首を振る。
「もう、まじめに考える気あるの? じゃあ……ゲレゲレっていうのはどう?」
 うわ……確かに地獄の殺し屋にはふさわしいかもしれないけど……これは流石に……
「それがいい」
 えっ、うそ!? 
「そう、じゃあこの子の名前はゲレゲレね」
 い、いやよそんな名前! アタシは助けを求めるように男の子を見上げる。ゲレゲレなんて……
「よろしくね、ゲレゲレ!」
 なんて素敵な名前なんだろう! うれしいな。今日からアタシはゲレゲレなんだ。考えてみたらあたしも一応メスなんだからボロンゴなんて勇ましい名前似合わないよね。それに比べて、ゲレゲレ……なんて良い響きなんだろう!
「行こ。 ゲレゲレ!」
 はい! 
「あ、そうだ。私の家って宿屋だから動物飼っちゃいけないんだよね。だからゲレゲレのご主人さまは君がなってね」
 ゴシュジンサマ……? なんだろう? 不思議な響き……でもこの男の子にはふさわしい気がするな。
「うん。改めてよろしくね。ゲレゲレ」
 はい! ゴシュジンサマ!

 ゴシュジンサマのお父さんの風邪もなおって、ゴシュジンサマの村へ帰る道すがら、ベビーパンサーの群れに出くわした。アタシの兄弟姉妹たちだ! みんな人間と一緒にいるアタシを怪訝そうに見つめている。どうしよう、いくらゴシュジンサマの為でも家族と戦うなんてできないよう。アタシはゴシュジンサマを見つめた。
「ゲレゲレ……」
 ゴシュジンサマ……お願い……
「ガンガン行こうぜ!」
 はぁい! わかりました! ガンガンいきます!
 ゴシュジンサマの命令にアタシは喜んで一匹のベビーパンサーに飛びかかった。群れの中ではお兄さんのような存在で、いつもアタシに優しくしてくれていた。でもそんなことはどうでもいいよね。ゴシュジンサマの命令のほうが大切だもん。
 飛びかかってきたアタシに驚いているうちに彼はあっさりとのどを引きちぎられて死んじゃった。何だ、いつも大人ぶってる癖にこの程度か。でも爪ごたえは良かったな。死に顔も間抜けでおかしかったし、ベビーパンサー殺すのってこんなに楽しいんだ。うふふふふふ……。
 信じられない。と言ったような表情のベビーパンサーの群れに向かって、アタシはさっきの爪の感じを思い出しながら襲いかかった。

 無事村につくと、太っちょの人間がゴシュジンサマたちを出迎えた。そのままゴシュジンサマの家で早めの夕食をすることになった。食卓に次々とゴシュジンサマのためのご飯が並べられていく中、太っちょの人間が困ったように言う。
「ベビーパンサーというのは何をあげればいいんですかねぇ? 魚なら川でとれたのがあるんですけど……」
 魚……かぁ、嫌いじゃないけど。やっぱり人間の肉が一番だよね。かぶりついた瞬間に口中に新鮮な血が……
「ゲレゲレはね。キャベツを食べるんだよ」
 突然ゴシュジンサマがとんでもないことを言い出した。どうやらいじめっ子たちからアタシが何を食べたかきいたらしい。
「キャベツ……ですか? 変ってるんですねぇ」
 太っちょの人間はさして疑問に思うこともなくキャベツの用意をし始めた。ほどなくしてお皿いっぱいに盛られたキャベツがアタシの前におかれた。冗談じゃない。キャベツなんて大嫌いなのに。
「おなか減ってるでしょ。たくさん食べてね」
ゴシュジンサマはアタシの前で目をキラキラさせている。うう、ゴシュジンサマの期待を裏切るわけにはいかないし……。
 アタシはいやいやキャベツの山を口にした。かみしめた瞬間に青臭いにおいが口いっぱいに広がって……。
「美味しいでしょ」
 とっても美味しい。なにこれ!? なんでこんなに美味しいの? アタシは皿に口を突っ込んでがつがつとキャベツを食べ始める。
「良かった。ゲレゲレはキャベツ大好きなんだね」
 はい! アタシキャベツだぁいすき! もうキャベツ以外の餌なんて考えられないよ。なんで今までお肉なんて食べてたんだろう? 馬っ鹿みたい!
 アタシはあっと言う間にキャベツを食べ終わった。お腹がいっぱいになったアタシは同じくご飯を食べ終えたゴシュジンサマと一緒に暖炉の前でうとうととする。
 うふふふふ、今日は嬉しいことがいっぱいあったなあ。モンスターを殺す楽しさもキャベツの美味しさも、みんなゴシュジンサマが教えてくれたんだ。しあわせだなぁ。明日もゴシュジンサマと一緒にたくさんモンスター殺して遊びたいなぁ……。


続く
  1. 2009/02/17(火) 21:15:44|
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9.7%ですかー

週末の世論調査で、麻生総理の内閣支持率が9.7%という数字になったそうですね。
一ケタ台の支持率というのもすさまじいですね。
それだけ、麻生総理の採ろうとする政策や発言が国民の不信を招いているということなんでしょうね。

私にも給付金などの政策が効果があるかというと疑問だなと思いますし、発言はまあ、あっちへ行ったりこっちへ来たりという感じですもんね。

現実的に非常な不景気の対策が一番必要だと思うんですが、それに対して打ち出されている政策が給付金しか見えないってのは、すごく不安ですよ。
景気の回復が果たして図れるんでしょうかね。

中川財務大臣のあのていたらくもなんなんでしょうね。
風邪薬と酒の相乗効果と強弁しておりますけど、あの様子はただ事じゃないですもんね。
危機感の欠如、ただ遊びにローマに行ったといわれても仕方なさそうな気がします。

内部事情を知る立場ではないですし、マスコミのニュースを見て感じただけのことですが、麻生内閣も末期症状なんでしょうか。

とはいえ、麻生さんに替わる人がいないのも事実。
自民党はおろか、野党にもこの人ならって人はいないですよね。
総じて政治家が小粒になってしまい、良くも悪くも永田町のドンと呼べる人がいない。
ぐいぐいと周りを引っ張っていくような人はもう出てこないんでしょうかね。

さてさて、いよいよWBC選抜選手たちもキャンプ開始のようですが、阪神のキャンプは気がかりなことがちょこちょことありますね。

久保田の肩の故障はちょっと長引きそうで、投球がまったくできない様子ですし、新井がサードコンバートになるようで、腰の負担が心配です。
今時期はだいたい打高投低になる気がするんですが、練習試合なんかでも阪神打者陣は打ててないですしね。
今年はどうなることやらです。

今日はニュースネタでした。
それではまた。
  1. 2009/02/16(月) 21:33:05|
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スターリングラードの激戦

今、アントニー・ビーヴァー著の朝日文庫「スターリングラード:運命の包囲戦1942-1943」を読み返しています。

そのこともあり、先日のS18シナリオに引き続き、昨日もvaron様にお相手いただきVASLでASL-SKのS2シナリオ「WAR OF THE RATS」をプレイいたしました。

このシナリオは、まさにスターリングラードの市街戦が始まった1942年9月のシナリオであり、ドイツ軍がまだまだ攻勢を保っていたころのシチュエーションとなっています。

独軍は火炎放射器や爆薬などの市街戦装備を持つエリート分隊が総数の三分の一を占め、まさに市街からソ連軍を駆逐しようとしているのに対し、ソ連軍は部隊総数の半分を工場労働者などの民間人を集めてにわか訓練をした徴集兵が占めるという対照的な編成です。

今回もvaron様がソ連軍を担当し、私が独軍を担当となりました。

序盤、初期配置で前面に部隊を展開させたソ連軍に対し、独軍の準備射撃が襲いますが、これが効果を上げません。
やむなく独軍は街路に進出しますが、防御射撃で射すくめられ、思うように進めません。

ですが、左翼からのエリート分隊が士気値の高さにモノを言わせてソ連軍に接敵、射撃グループを作ってソ連兵を蹴散らし街路を渡ることに成功。
左翼に足がかりを作ります。

映画「スターリングラード」(ドイツ映画のほう:狙撃兵の映画ではありません)のように煙幕手榴弾を使いながらじわじわ進む独軍は、右翼の建物にも街路を渡って取り付くことに成功し、ソ連軍とにらみ合います。

一方中央部では街路をはさんでの撃ち合いから白兵戦に持ち込んだものの、逆に徴集兵のおっさんたちの待ち伏せにあい、返り討ちに遭う始末。
白兵戦はあまり仕掛けたくないのですが、そのままほうっておくわけにも行かず突入することがしばしばですけど、返り討ちの危険性も大きいんですよね。

それでも中盤から終盤にかけてソ連軍の増援が遅れたこともあり、左翼と右翼の建物は確保。
最後の勝利条件である中央の建物に独軍は集中します。

火炎放射器を持った分隊はやはり集中攻撃を受けて射すくめられ、爆薬を持った指揮官も隣接したところを射すくめられてしまうのですが、何とか9-2指揮官率いる分隊が射撃でソ連軍を蹴散らして中央の建物を確保。

最後はソ連軍の反撃も及ばずゲームセットとなりました。

最後ちょっと勝利条件の勘違いで、ソ連軍に無駄な攻撃をさせてしまいましたが、何とか勝てました。
以前このシナリオはちょっとしたことでがらっと展開が変わって負けたので、ひやひやモノでした。

今回今日も6ゾロ様が観戦してくださったおかげで、いくつかのルールのミスや不明瞭な部分を教えていただくことができました。
こういうのは自分では気が付かないことが多いので、指摘してもらえると助かります。

varon様、今回も対戦ありがとうございました。
また機会がありましたらよろしくお願いいたします。
  1. 2009/02/15(日) 20:46:53|
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それでも新鋭機ですか! 軟弱者!!

そんな不良(機)みたいなマネはおやめなさい!

と、言うような新鋭機が多いなか、川西航空機が開発した新型戦闘機「紫電」はそのポテンシャルの高さを発揮して、米軍機とも互角に戦える戦闘機として期待されておりました。

しかし、紫電にはアキレス腱とも言うべき弱点がありました。
もともと水上戦闘機として開発された「強風」を基にしていたために、主翼の位置が中翼に配置されており、そのため着陸脚を長く取らなければならず、複雑な機構の着陸脚を採用せざるを得なかったのです。
当然複雑な機構は故障を頻発し、「誉」エンジンの不調も合わせて紫電は故障ばかり起こす機体となってしまいました。

せっかくの優秀な戦闘機も、飛べなければ意味がありません。
故障による稼働率の低さは、紫電を運用する部隊にとっては悩みの種でした。

こういった状況は川西航空機も理解しておりました。
故障を減らし、稼働率を高めるにはどうしたらいいのか・・・
小手先の改修ではだめで、抜本的な対策が必要なのは明らかでした。

そこで昭和18年(1943年)3月、紫電の改設計が行なわれます。
「仮称一号局地戦闘機改」
これが新機体の紫電に与えられた名称でした。
そのため、新型機体はあくまでも正式には紫電なのですが、通称「紫電改(しでんかい)」と呼ばれることになります。

同年12月、紫電改の試作機が完成します。
胴体を再設計した機体は、エンジン周りが誉エンジンに合わせて細くなり、主翼の位置も中翼から胴体の下側に付く低翼配置に変更されました。
この変更により、まず機首が細くなったことによる空気抵抗の減少と離着陸時の視界が大幅に改善されたことに加え、低翼になったことで複雑な機構の着陸脚が廃止され、故障の原因となる複雑さがなくなりました。
複雑さがなくなったということは、使用する部品数も減ったということにつながり、紫電改は紫電そのものの三分の二の部品数で作ることができるようになって量産性も向上しました。
まさに改設計によりいっそう優秀な機体として生まれ変わったと言ってもいいものでした。

誉エンジンそのものの不調は相変わらずではありましたが、それでも整備性が格段に向上した紫電改は稼働率も向上して活躍を見せることになります。
中でも四国松山に展開した第三四三航空隊には紫電改が集中配備され、ベテラン搭乗員も多く配属されたことから紫電と紫電改の能力が遺憾なく発揮され、米軍に多くの損害を与えました。

紫電改の性能の高さに気をよくした海軍は、全ての生産を紫電改に集約することも考えたとのことですが、残念ながら紫電改は約400機ほどしか作られませんでした。
基となった紫電が約1000機作られたことを考えると、量産性も整備性も向上している紫電改が紫電より少ないことに驚きを禁じえません。
これはもう、日本本土の生産体制が破綻していたことの表れなのでしょう。

敗色が深まりつつある太平洋戦争終盤。
紫電改は日本上空で最後の輝きとしてその優秀さを発揮し、米軍パイロットにまだまだ日本機侮りがたしの印象を植え付け、多くの米軍機を撃墜して行きました。
水上戦闘機強風に始まった系譜は、紫電を経て紫電改で伝説の域にまで達したのでした。

それではまた。
  1. 2009/02/14(土) 21:23:33|
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02月14日のココロ日記(BlogPet)

ココロって、楽しいですか……?

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2009/02/14(土) 11:29:07|
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「市電」? いいえ、「紫電」です

昭和16年(1941年)末、川西航空機は開発中の十五試水上戦闘機(のちの「強風」)を陸上型に変更した新型戦闘機を日本海軍に提案しました。
太平洋戦争が始まれば、水上戦闘機はもちろん必要になるでしょうが、それよりも陸上戦闘機がより必要になるだろうと見込んだのです。

十五試水上戦闘機は、零戦に匹敵する水上戦闘機を目指して開発が進められておりました。
ということは、着水用の大きなフロートを取り去ってしまえば、充分陸上戦闘機としても通用すると思われたのです。
海軍はこの提案を受け入れ、十五試水上戦闘機を基にした新型戦闘機の開発が始まりました。

当初、川西航空機では、単純に着水用のフロートを取り去り、陸上用の車輪を取り付けるぐらいで陸上機化が可能であると考えておりました。
しかし、十五試水上戦闘機では「火星」エンジンを搭載していたものが、陸上戦闘機化に伴い、より大出力の「誉」エンジンを搭載することになり、機種部分の再設計が必要になります。
また、着陸時に尾部車輪が接地することになる機体後部も再設計が必要となり、結局十五試水上戦闘機から流用できるのは機体中央部だけという状況でした。

それでも新規に作り出すよりは遥かに時間が短縮できるのは間違いなく、また、主翼も車輪格納部分を加えただけで流用できたため、自動空戦フラップのような新技術もそのまま引き継がれることになりました。

試作機は流用による時間短縮が発揮されたこともあって、昭和17年(1942年)12月には完成し、試験が開始されます。
試験では十五試水上戦闘機譲りの高性能はそのまま発揮されましたが、問題点も数多く指摘されました。

もともと水上戦闘機がベースだったため、海水の飛沫を避けるために主翼の位置を中翼(胴体の上下中央に主翼が位置すること。上の場合は高翼、下の場合は低翼と呼ぶ)に配置したため、着陸脚の長さを確保する必要があり、翼から脚を広げたあとでさらに伸ばすという二段伸縮式の着陸脚という複雑な機構を採用してしまったために故障が続出。
さらに長い着陸脚のせいで機首が持ち上がりすぎ、滑走中などの前方視界がすこぶる悪いというありさまで、離着陸時の事故が多発する状態でした。

さらに新型エンジンである「誉」エンジンにも故障が頻発。
着陸脚とエンジンという重要部分に問題点があるというきびしい結果となりました。

これらの問題点は新型戦闘機の採用をためらわせるには充分なものではありましたが、戦局が逼迫し始めていた時期でもあり、一刻も早い新型戦闘機を待ち望んでいた海軍としては、とりあえず採用してその後に改良していくという方針で採用が決まります。

こうして昭和18年(1943年)7月に採用となった新型戦闘機は「紫電(しでん)」と名付けられ、不具合を修正しながら量産するという形になりました。

着陸脚の不具合やエンジンの不調などによる事故も多かったといわれる紫電ですが、完全なる整備の元で運用された場合は、そのもともと持っていた戦闘機としての能力の高さから米軍戦闘機と互角の戦いを行なうことができたようです。
初期生産型では胴体に7.7ミリ機銃二丁と翼下に20ミリ機関砲二門という武装でしたが、武装の配置を見直すなどで武装強化型では20ミリ機関砲を四門翼内に搭載するようになり、火力も大きいものになりました。
米軍にしても侮れない戦闘機となったのです。

1000機ほど量産された紫電でしたが、最後まで着陸脚の不具合は解消されませんでした。
故障さえしなければ充分米軍機に対抗できる戦闘機なのに、故障で稼働できないのでは宝の持ち腐れです。
海軍も川西航空機もこのことはわかっており、何とか不具合の解消に努めます。
そして、ついにある決断を下しました。
水上戦闘機強風が生まれ変わった紫電が、さらに生まれ変わることになります。

続く
  1. 2009/02/13(金) 21:18:32|
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「強風」注意報

世に航空機というものが発明されて以来、各国の軍はその空を飛ぶという能力にさまざまな利用価値を見出してきました。

特に最初のころ重要視されたのは、空から地上を見下ろすという視点の高さでした。
空から見れば、地上に展開する敵軍の布陣が丸見えだったのです。

そのため、最初は航空機は偵察に使用され、次いで大砲の着弾観測に使われるようになりました。
空から大砲の弾がどこに落ちるかを確認し、味方の砲撃を有効になるよう導くのです。

敵軍の航空機が自軍の陣地の上空を飛ぶということは、つまりは敵の大砲の弾が降ってくるということにつながりました。
そのため、敵軍の航空機を自軍陣地の上空から追い払わなくてはなりません。
戦闘機が作られることにつながりました。

このつながりは陸上ばかりではなく、海上でも同じ流れを汲みました。
各国海軍は、絶大なる砲撃力を持つ戦艦の主砲の威力を最大限に発揮するために、水上観測機を搭載して着弾観測に当たらせたのです。

この水上観測機を味方の戦艦隊の上空から追い払うための戦闘機を搭載したものが、本来の空母の始まりだったわけですが、それよりも水上観測機そのものが戦闘能力を持っていれば、近くに空母がいなかったりした場合でも任務を遂行できると考えたのが日本海軍でした。
また、日本海軍は将来的に南洋諸島の島々を占領したときなどにも、陸上戦闘機が発進できる飛行場を建設する間、島の上空を防備する水上戦闘機があればいいと考えます。
こうして世界でもあまり例のない水上機型の戦闘機が開発されることになりました。

昭和15年(1940年)、十五試水上戦闘機という名称で、水上戦闘機の試作が川西航空機に命じられました。
その要求性能はかなり高いもので、水上機でありながら当時最新鋭の零戦と同等の能力を持たせろというものでした。

川西航空機の技術陣は努力に努力を重ね、試作機の完成にこぎつけます。
できあがった試作機には、いわば川西航空機の技術の粋が集められたと言ってもいいものでした。

出力は大きいものの大きさに難のある三菱製火星エンジンを搭載するために先端を絞り込む紡錘形を取り入れ、独自技術で開発した自動空戦フラップという新技術に加え、プロペラを二重反転型(二つのプロペラがひとつの軸の前後に付き、それぞれが逆回転する形のプロペラ)として操縦性を高めるという、まさに画期的な水上戦闘機となったのです。

できあがった試作機は、最高速度こそ空気抵抗の元となる着水用の大きなフロートのせいなどで低かったものの、空戦性能では零戦にも引けを取らないほどの優秀な機体でした。
海軍としても満足な性能ということで、十五試水上戦闘機は「強風」と名付けられ、採用となります。
昭和18年(1943年)12月のことでした。

しかし、昭和16年(1941年)12月に始まった太平洋戦争では、初戦でこそ占領した南方で水上戦闘機が活躍する場面があったものの、そのときには間に合わせに作られた二式水上戦闘機(零戦の水上機版)が活躍してしまい、強風が完成した昭和18年末になると、アメリカ軍の反攻で水上戦闘機自体の活躍の場がなくなってしまっておりました。

海軍もそのことは承知しており、多大な期待と川西航空機の技術を集めて作られた強風は、整備に手間取る二重反転プロペラを通常のプロペラに変えるなどして量産性を高めましたが、わずか100機に満たない数しか作られませんでした。

強風は、本土防空のために琵琶湖の水上機部隊に配備されたりしましたが、ほとんど実戦での戦果は上げてません。
遅すぎた水上戦闘機だったのです。
いかに優秀であっても活躍する場がなければどうしようもありませんでした。

ですが・・・
強風はこれで終わりではありませんでした。

続く
  1. 2009/02/12(木) 21:16:10|
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今日は通信対戦三昧

久しぶりにこちらでウォーゲームの話題を。

今日は通信対戦三昧の日でした。
対戦してくださいました方々、ありがとうございまいた。

まずは午前中から午後にかけて、VASLでのASL-SK対戦。
シナリオはS18「BAKING BREAD」です。

このシナリオは1942年のスターリングラードにおける独ソの凄惨なる市街戦を、そのほんの一部をシナリオ化したもので、狭い地図盤上でお互いに街路をはさんで向かい合う両軍の死闘を表したシナリオです。

勝利条件は終了時にドイツ軍が二つの建物を奪い取って確保していればよいのですが、ソ連軍側には部隊の混乱を比較的早い段階で回復させてくる「政治委員」がいるので、一筋縄ではいきません。

陣営は対戦いただきましたvaron様が防御側のソ連軍を。
私が攻撃側の独軍を担当です。

序盤、北側に侵入した独軍は、その卓越した士気能力と火力を生かすべく勝利条件建物に接近します。
一方南側でも一部の独軍が盤に侵入。
ソ連軍に圧力をかけるべく迫ります。

しかし、北側の独軍は防御射撃でなかなか思うような射撃位置につけません。
南側からの部隊も一部が混乱し、やはりなかなか進めません。

とはいえ、2ターン目にはさらなる部隊が盤上に侵入。
独軍はじわじわとソ連軍を圧迫します。

今日のソ連軍はあまりいいサイコロ運ではなかったようです。
歩兵を狙う狙撃砲として使われた45ミリ対戦車砲が、何度も命中するものの、口径の小ささから思ったほどの被害を与えられないのです。

おかげで独軍はどうにか部隊を進めることに成功。
ソ連軍の政治委員も自らが負傷して逃げ出すはめになり、マップ南側は独軍の制圧下に置かれます。

北側には勝利条件の建物があり、ソ連軍は必死の抵抗で粘るものの、突入した独軍は白兵戦でそれらを除去。
勝利条件建物を奪い取ります。

最後は奪回に来たソ連軍部隊が射撃で混乱してゲームセット。
どうにか独軍が勝利を収めました。

午後からは藤村様やILL様たちと「シュペー号追撃戦」を対戦いたしました。
南大西洋で暴れ回る独軍の通商破壊艦「アドミラル・グラフ・シュペー」と英国海軍の戦いをコンパクトで簡単にしかも白熱するゲームとして楽しめるものになっています。

手軽にできるので、5回も6回も対戦させていただきましたが、今回は独軍が相当きびしいように感じました。
以前はもっと独軍も暴れられた気がしたんですが・・・
序盤で独軍に点数を与えても、追加移動で艦船を投入したほうが英軍はよさそうです。
このゲームを乗り切るには、シュペーはかなり運が必要ではないでしょうか。

今日は楽しい一日でした。
あらためて通信対戦というもののよさを感じた一日でした。
それではまた。
  1. 2009/02/11(水) 20:46:20|
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奪われたフローラ(3)

「奪われたフローラ」の最終回です。
楽しんでいただければうれしいです。

それではどうぞ。


3、
「おめえ・・・強いじゃねえか・・・けどジャミさまにはかなわねえぜ。ケケケ・・・ぐふっ!」
息絶えるキメーラLv.35。
ようやくのことでこのデモンズタワーの頂上にまで上ってきて、強敵のオークLv.20とキメーラLv.35を倒したヘボヘボはホッと息をつく。
あと一息だ。
あと一息でフローラのいる部屋にたどり着く。
あと一息で愛する妻の姿を再び見ることができる。
そして二人でグランバニアに戻るのだ。
可愛い二人の子供たち、ワクワクとテカテカが待つグランバニアの城に戻るのだ。
彼の後ろにはここまで一緒に戦ってきた仲間たちがいる。
ピエール、メッキー、ベホマン・・・
いずれも魔物たちだが、今では改心してヘボヘボとともに戦ってくれる頼もしい仲間たちだ。
彼らと一緒ならばジャミにだって負けることはない。
ヘボヘボはそう思い、下へ下る階段を降りていった。

「ん・・・んふぅ・・・ん・・・んちゅ・・・」
そこにはジャミがいた。
「ん・・・ああん・・・ふふ・・・美味し・・・」
直立した馬が、白い躰に紫の鬣をした直立した馬がいた。
だが、その前にうずくまっているのは何だ?
白くなまめかしい肌を晒し、黒い淫靡な布で躰をちょっとだけ覆っている。
青く背中まで流れる髪がさらさらと輝いている。
ぺたんと床に座り、ジャミに向かって何かをしているその姿。
それは何かの悪夢だろうか・・・

「フローラ・・・」
ヘボヘボは思わずその名を口にする。
「ん・・・んん・・・んちゅ・・・んちゅ・・・ぷあ・・・」
振り返ることなく彼に背中を向け続けるその姿。
一体これはなんなんだ・・・

「グフフフ・・・フローラよ、お前の夫が来てくれたぞ。挨拶をしてやらないか」
にやりと笑うジャミ。
「ぷあ・・・はぁい、ジャミ様ぁ」
美味しそうに舐めしゃぶっていたジャミの肉棒から顔を上げるフローラ。
その顔には淫蕩な笑みが浮かんでいる。
「うふふふ・・・お久しぶりですね、あなた」
スッと立ち上がり振り返るフローラ。
胸と股間を覆うだけの黒く淫靡な下着にガーターベルトをつけ、すらりとした長い脚を太ももから覆っている黒いストッキングを吊っている。
手には中指で引っ掛ける形の指無しの黒の手甲つき手袋を嵌め、足元は黒いエナメルのハイヒールがつややかに光っている。
目元には黒いアイシャドウが引かれ、唇には黒い紅が載せられており、額には禍々しい形のサークレットが嵌まっている。
そして、可愛くくぼんだおへそには黒光りする宝石が嵌め込まれていた。

「フ、フローラ・・・その姿はいったい?」
まるで娼婦ともいえるようなその姿にヘボヘボは驚きを隠しきれない。
「うふふ・・・いかがですかこの格好? 似合うでしょ? ゲマ様とジャミ様にいただきましたの。“えっちなしたぎ”って言うんですのよ。ご存知でしょ? なんたってグランバニア城の宝物庫に隠しているぐらいですものね」
クスッと笑うフローラ。
白く滑らかな指先が口元に運ばれる。
「ど、どうしたんだフローラ。いったい何を言っているんだ?」
「うふふふ・・・まだおわかりにならないのかしら。私はもうあなたの妻なんかではないってことを」
そう言ってフローラは左手の薬指に嵌まった“みずのリング”をゆっくりとはずす。
いぶかしがるヘボヘボの目の前で、フローラははずした“みずのリング”を床に落とし、そして、黒エナメルのハイヒールのかかとで踏み潰した。
「な?」
ヘボヘボは愕然とする。
“みずのリング”は結婚の誓いで交し合った大事な指輪。
それをあんなふうに踏みつけるなんて・・・
いったいここに来るまでの間にフローラに何があったというのだろう?
「うふふふ・・・私はもう、身も心も愛するジャミ様のものなのですわ。あなたなんかに迎えに来てなど欲しくなかったのよ」
そう言ってジャミに身を寄せしなだれかかるフローラ。
うっとりとしてジャミの腕に抱かれるフローラの姿にヘボヘボは目の前が真っ暗になる。

「グフフフ・・・そういうことだ。この女はもはやオレ様のもの。お前はおとなしくここでくたばるがいい」
「くっ、ふざけるな! ジャミ、貴様がフローラをたぶらかしたんだな! お前を倒してフローラを取り戻す!」
キッとジャミをにらみつけるヘボヘボ。
“はじゃのつるぎ”を抜き放ち、今にもジャミに切りかかろうと身構える。
「グフフフ・・・バカめ」
ジャミはにやりとほくそえむ。
「行くぞ、みんな! てぇーい!!」
そう言って飛び出そうとしたヘボヘボの脚に何かが絡みつく。
「えっ?」
思わずバランスを崩して倒れこむヘボヘボ。
見ると脚にベホマンの触手が絡み付いている。
「べ、ベホマン?」
ヘボヘボは何が起こったのかわからなかった。

「うふふふ・・・おろかな人」
フローラが笑みを浮かべながら、置いてあったムチを取る。
金属のとげの付いた“はがねのムチ”だ。
「あなたの連れてきた魔物たちはすでに私が支配したわ」
「な、何だって?」
ヘボヘボは愕然とした。
魔物たちは彼の澄んだ目を見て改心したのではなかったのか?
だが、彼と一緒に戦ってきた仲間たちは、今彼を取り押さえようと手足を押さえつけてくる。
「うふふふ・・・私もゲマ様のお力で“まものつかい”になったのよ。あなたと違い暗黒の力で魔物を支配する魔物使いにね。ああ、あのしましまの服を着てなかったからわからなかったのかしら?」
くすくすと笑うフローラ。
ヘボヘボが窮地に陥ったことが楽しくて仕方がないようだ。
「フローラ・・・」
「うふふふ・・・ゲマ様やジャミ様にはむかう愚か者は私が始末してあげるわ。安心して。あのワクワクとテカテカとか言う子供たちもいずれあなたの元へ送ってあげる。そうすれば寂しくないでしょ?」
ムチをピンと張り、今にも振り下ろそうかというフローラ。
「フ、フローラ。あの子たちは君の・・・」
「うるさいわね! あんな子供たちが私の子供だなんて考えたくもないのよ! 私はこれからジャミ様の子を生むの。人間の子供などどうでもいいのよ!」
ピシッと言う音がしてヘボヘボの躰に激痛が走る。
「フ、フローラ・・・」
「うふふふ・・・間もなく魔物たちがグランバニアを攻撃するわ。あの城は王のいないまま崩壊するの。そして新たな王としてジャミ様が君臨するのよ。もちろん王妃は私としてね。うふふふふ・・・」
「グフフフ・・・そういうことだ。まあ、ここで死ぬお前にはどうでもいいことだがな」
仲間だった魔物たちに手足を拘束されたまま、ヘボヘボは悔しさに歯噛みした。
「ああ・・・ジャミ様ぁ・・・待ち遠しいですわ。ジャミ様とともにグランバニアを支配するその日が。そのときにはたっぷりと可愛がってくださいませ」
うっとりとジャミを見つめるフローラ。
その目にはもう足元にいるヘボヘボの姿は映らない。
「グフフフ・・・もちろんだ。腰が抜けるほど可愛がってやるぞ。だがまずその前に・・・」
「ええ・・・わかっておりますわ。“あなた”」
フローラはジャミに向かってうなずく。
「目障りなこの男を始末しろ。ですね。うふふふ・・・」
「フローラ・・・」
冷たい目で自分を見下ろしてくるフローラにヘボヘボはぞっとする。
「さようなら、ヘボヘボさん。あなたを一時でも愛したことなど、もう二度と思い出すことはないと思いますわ。うふふふふ・・・ザ・ラ・キ」
自分に向かって死の呪文を唱えてくるフローラ。
ヘボヘボの見たそれが最後の光景だった。

END

いかがでしたでしょうか?
二次創作なのでドラクエⅤを知らないとわかりづらいかと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。
よければ感想などお聞かせいただけるとうれしいです。

それではまた。
  1. 2009/02/10(火) 21:06:07|
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奪われたフローラ(2)

「奪われたフローラ」の二回目です。
楽しんでいただければ幸いです。

ではどうぞ。


2、
何かがおかしかった。
このデモンズタワーに連れて来られてもう何日経ったのか・・・
あれほど恋焦がれていた夫のことや二人の子供のことが思い出せなくなってきているのだ。
代わりに思い出すのは醜悪な馬面の魔物の姿。
ジャミというその魔物のことを思うだけで、フローラの心はかき乱される。
夫を・・・ヘボヘボのことを愛しているはずなのに・・・
ジャミのことを考えると胸がうずき、股間はしっとりと濡れてくる。
おかしいのに・・・
変なのに・・・
それどころか間違いなくあの魔物に躰を犯されているというのに・・・
憎むことができないのだ。
それどころか最近では犯してほしいとさえ思い始めている自分がいる。
私は狂ってしまったのかもしれない・・・
フローラは唇を噛み締める。
あなた・・・
お願い・・・
私を早く助けに来て・・・
私が狂ってしまわないうちに・・・
あなた・・・
あなた・・・

「グフフフフ・・・愛しいフローラよ。また会いに来てやったぞ」
扉が開き、馬面の魔物ジャミがその巨体を部屋の中に入れてくる。
「ひっ」
フローラはその醜悪な姿に思わず部屋の隅にあとずさる。
「おやぁ? まだ俺様のことが怖いのか? 心配するな。今日もたっぷりとよがらせ狂わせてやるぜ。おいバルーン、さっさとメダパニをかけてやれ」
のしのしと巨体をフローラに近づけながら、ジャミは背後の手下モンスターに命令する。
ムササビとアヒルの合いの子のような魔物バルーンは、その飛膜の目玉模様でメダパニをかけることができるのだ。
「いやぁっ! やめてぇっ! もう私を狂わせないでぇっ!!」
必死に抵抗しようとするフローラ。
だが、バルーンの目玉模様には逆らえず、メダパニがフローラの脳をまたしても混乱へと導いていく。
「あ・・・ああ・・・」
すぐに目がとろんとなり、フローラは自分が何をしているのかがわからなくなっていく。
「グフフフ・・・さあ、フローラよ。愛しいお前の夫に挨拶するのだ」
「・・・はい・・・ジャミ様・・・私はジャミ様の妻です・・・愛する夫ジャミ様に身も心も捧げます・・・」
自分が何を言っているのかわからないまま、フローラは教えられた言葉を口にする。
だが、言葉を口にすればするほど、その言葉はフローラの中で真実にすり替わっていくのだ。
「グフフフ・・・いい娘だ。さあ、お待ちかねのモノをやろう」
ジャミの股間から巨大な肉棒がそそり立つ。
ムワッと牡の体臭が広がり、フローラは無意識に顔を歪ませる。
「どうした? 何を嫌がっている? お前はこのにおいが大好きなくせに」
ジャミがいやらしい笑みを浮かべる。
フローラに刷り込みを行い、自分好みに仕上げていくのは本当に楽しいことなのだ。
「あ・・・ああ・・・そうだわ・・・なんていいにおいなの・・・」
臭いといっていいジャミの牡の体臭を、すぐにフローラの脳はいい香りとして刷り込まれたことを思い出す。
臭さに顔をそむけていたはずなのに、フローラはそのにおいを嗅がずにはいられなくなってしまう。
鼻を鳴らすようにしてジャミの体臭を嗅ぎ始めるフローラ。
まるで芳しい花の香りでも嗅いだかのように、フローラはうっとりと胸の奥までジャミの体臭を吸い込んだ。

「しゃぶれ。お前の大好きな肉棒をしゃぶるんだ」
「はい・・・ジャミ様」
何もためらうことなくフローラはジャミの肉棒を舐めしゃぶり始める。
それが愛しく美味しく感じるように仕向けられたフローラの脳は、ジャミの巨大な肉棒を口にすることを喜びと感じるようになっていた。
舌を這わせ刺激を与え袋を愛撫して射精を促す。
こういった行為をまるで当たり前のようにフローラは行い、それ自体を楽しんでいく。
メダパニで混乱した脳は、ただそれを受け入れ刷り込んでいくのだった。

「ひゃあっ」
思わず声を上げてしまうフローラ。
飛び出した白濁液が頭から降りかかる。
「グフフフ・・・お前の大好きなミルクだ。よく味わうがいい」
「ああ・・・はい・・・美味しいです・・・」
降りかかった白濁液を指ですくって口に入れる。
とても不味いはずなのに、美味しいとしか感じない。
「美味しい・・・ミルク大好き・・・」
フローラは顔についた白濁液を舐め終えると、乳房に吸い付く赤子のようにジャミの肉棒に吸い付いて残りを全て吸い出していく。
「グフフフ・・・今度は下の口にもミルクを飲ませてやろう」
「ああ・・・はい・・・お願いします、ジャミ様・・・」
自ら横になり下着をずらすフローラ。
もはやフローラは快楽をむさぼることしか頭にない。
自らの手で秘部を開き、ジャミの肉棒を受け入れる。
「あ・・・ああーん・・・」
室内にフローラの嬌声が広がった。

                        ******

「ああ・・・ん・・・ああ・・・ジャミ様・・・ジャミ様ぁ・・・」
白く細い指がくねくねと動く。
ぷっくりと膨らんだ敏感なところを何度も擦り、そのたびに切ない声が漏れる。
「ああん・・・いいですぅ・・・ジャミ様のがいいのぉ・・・」
フローラの脳裏に巨大な肉棒が思い浮かぶ。
最近はヘボヘボのことなど思い出すことはなくなっていた。
それどころか、寝ても覚めても愛しいジャミのことを考えるようになり、こうして自慰にふけるのだ。
それがおかしいことなどとは思いもしない。
フローラの思考はそこまでゆがめられてしまっていたのだった。

「グフフフ・・・お楽しみだったかな?」
いつものように姿を現す馬の魔物ジャミ。
ドクンとフローラの心臓が跳ね上がる。
聞きたかった声。
見たかった姿。
ああ・・・
愛しい方・・・
ジャミ様・・・ジャミ様・・・ジャミ様・・・
「ああ・・・ジャミ様ぁ・・・お待ちしておりましたぁ」
すぐに自慰をやめてベッドから立ち上がる。
そして愛しいと刷り込まれてしまったジャミの胸に飛び込んだ。
「グフフフ・・・なかなかそそる格好をしているじゃないか」
胸に飛び込んできたフローラを抱きとめながら、ジャミはその姿にほくそえむ。
今のフローラはグランバニア城から連れ去られたときのドレス姿ではなく、黒いレースの付いたブラジャーを胸につけ、腰にはガーターベルトを嵌めて太ももからつま先までを覆う黒いストッキングを吊っている。
これにベッドに脱ぎ捨てられた黒いショーツを組み合わせれば、“てつのむねあて”にも劣らない防御力を持つ“えっちなしたぎ”となるのだが、この場では防御力よりも見栄えが重視されているのは間違いない。
「うふふ・・・ゲマ様からいただきましたの。“えっちなしたぎ”って言うんですって。いかがですか、ジャミ様ぁ?」
甘えるようにジャミの胸に頬を摺り寄せるフローラ。
もはやその目にはジャミの姿しか映らないかのようだ。
「グフフフ・・・似合うぞ。へそに光るものも可愛いじゃないか」
「うふふ・・・ジャミ様にいただいたものもちゃんと付けておりますわ」
ブラジャーをめくり上げ、乳首に輝くピアスを見せつけるフローラ。
可愛くくぼんだおへそにも同様にピアスが輝いている。
メダパニによって刷り込まれた思考が彼女を支配しているのだ。
「グフフ・・・可愛い奴。もっともお前が待っていたのはこいつじゃないのか? ん?」
いつものようにそそり立つ肉棒を見せつけるジャミ。
「ああ・・・こちらもお待ちしておりましたぁ・・・うふふ・・・ああ・・・いいにおい・・・」
ひざまずいてうっとりとジャミの肉棒を握り締めるフローラ。
そのまま胸いっぱいにジャミの体臭を吸い込んでいく。
「ああ・・・もう待ちきれないですわ。おしゃぶりしてもよろしいですか、ジャミ様ぁ?」
上目遣いで甘えるフローラ。
無論ジャミに拒否するつもりはない。
「いいとも。たっぷりと味わうがいい」
ジャミが言うと同時にフローラは肉棒にむしゃぶりついた。

「あん・・・あん・・・あはん・・・はぁん・・・」
パンパンと肉と肉がぶつかり合う音が響く。
「ああ・・・いいっ・・・いいのぉ・・・ジャミ様のおチンポいいのぉ!」
秘部をずんずんと突き上げる巨大な肉棒にフローラは酔いしれる。
もはやメダパニをかけられなくても、フローラは自らジャミの肉棒を欲するようになっていた。
「あ・・・ああ・・・いいですか? イっても・・・イってもいいですか? ジャミ様ぁ・・・」
「グフフフ・・・いやらしい奴め。夫のチンポ以外でイってもいいのか?」
「あ・・・ああ・・・いいの・・・あの人なんかもうどうでもいいのぉ・・・ジャミ様の・・・ジャミ様のおチンポがいいのぉ・・・」
フローラが首を振る。
脳裏に一瞬浮かんだヘボヘボの姿を、彼女は自ら振り払ったのだ。
「ふん、夫も子供もどうでもいいか? お前はこのチンポさえあればいいんだろう?」
ずんずんとフローラを突き上げながら、ジャミはいやらしく笑っていた。
「ああん、そうですぅ・・・夫も子供もいりませぇん・・・私はジャミ様がぁ・・・ジャミ様のおチンポがあればいいんですぅ・・・イく、イくぅ・・・」
「いいぞ、イけ。イってしまえ!」
いっそう激しく突き上げるジャミ。
「イ、イきますぅ・・・イくぅっ!!」
全身を震わせて絶頂に達するフローラ。
それと同時にジャミの肉棒も締め付けられ、ほとばしる熱いものを注ぎ込む。
くったりと力の抜けたフローラを脇に寝せ、ジャミは気だるい満足感を味わった。

「ホッホッホ・・・どうやらフローラは完全にジャミの虜になったようですね」
「こ、これはゲマ様。はい。この女はもうオレの言いなりです」
突然現れたゲマに驚きながらも、ジャミはとなりで寝息を立てているフローラの頬を撫でる。
「ホッホッホ・・・どうやらグランバニアの王がこの塔のことに気が付いたようです。もうすぐここへ来るでしょう」
「なんと。うむむ・・・奴隷の境遇から抜け出したばかりか、我らの邪魔をする小憎らしい奴め」
「ホッホッホ・・・だがここまでです。この塔にたどり着いたとき、彼は絶望というものを思い知ることになるでしょう。そのための最後の仕上げをしてしまいますよ」
ベッドで寝ているフローラに眼をやり、にやりと笑みを浮かべるゲマ。
「最後の仕上げ?」
ジャミは怪訝そうに首をかしげる。
「ホッホッホ・・・まあ、見ていなさい」
ゲマはゆっくりとフローラに近寄った。
  1. 2009/02/09(月) 21:11:43|
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奪われたフローラ(1)

今日から三日連続でSSを一本投下します。

ただ、オリジナルの世界ではなくドラゴンクエストⅤの二次創作なので、世界を知らない人にはちょっとわかりづらいと思いますし、細切れ投下のようなものなので申し訳ないのですが、楽しんでいただければと思います。

それではどうぞ。


「奪われたフローラ」

1、
まあ・・・リリアンが私以外の者になつくなんて・・・
うれしい・・・私を選んでくださったんですね・・・
うふふ・・・これからよろしくお願いいたします・・・“あなた”
見渡す限り砂ばかり・・・暑いですわ・・・
海って広いんですね・・・どこにも陸がありませんわ・・・
メダル王様って妙なものをお集めなんですね・・・あなたもよく集めたものですわ・・・
険しい山道ですね・・・大丈夫ですわ・・・
ごめんなさい・・・足手まといになりたくなかったの・・・
目元があなたそっくりですわ・・・二人とも優しい大人になってくれますように・・・
幸せですわ・・・あなた・・・

ハッと目が覚める。
ここはどこ?
フローラは周りを見渡した。
殺風景な部屋。
寝かされているベッド以外に何もない。
冷たい雰囲気が漂うここは、まさに牢獄と言ってよかった。
ああ・・・
あらためて自分があの幸せな世界から隔絶されてしまったことを思い知る。
あの温かいグランバニアの城。
夫と二人の子供、それに優しく勤勉な城の人々。
それらが手に届かないところに行ってしまった。
フローラの頬を涙が伝う。
冷たく暗い牢獄に、悲しいすすり泣きの声が響いた。

「ホッホッホ・・・目が覚めたようですね」
突然室内に声が響く。
フローラは思わず顔を上げた。
固く閉ざされていた扉がいつの間にか開き、背の高い細面の不気味な男が立っている。
口は耳まで届こうかというばかりに裂け、薄笑いを浮かべていた。
「あ、あなたは?」
不気味さを漂わせる男に、フローラは本能的な恐怖を感じた。
「ホッホッホ・・・我が名はゲマ。あなたの夫とは多少の因縁がある者ですよ」
「ゲマ・・・」
その名はフローラも夫から聞いたことがある。
夫ヘボヘボの父パパスを殺したという邪悪な魔術師。
そのために夫は長い間・・・そう、十年もの間奴隷として生きてきたのだという。
それがどんなにつらいことか・・・
フローラには想像もできないことだったが、少しでもその悲しみを癒してあげるべく彼女なりに努力してきたのだ。
そのゲマが今また自分をさらい夫に悲しみを味わわせているというのか・・・
フローラの胸は痛かった。

「私をどうするつもりなのですか?」
フローラはあらためてゲマをにらみつける。
こんなところでくじけるわけにはいかない。
グランバニアの王となった今、夫が自分を助けに来ることは難しいだろう。
だが、希望を持って生きていれば、きっと奇跡が起こってくれるに違いない。
前王のオジロン様も、夫の身の回りのお世話をしていたというサンチョさんもいる。
きっと誰かが救出に来てくれるはず。
その日まで生きなければならないのだ。
「私を人質にしようとしても無駄です。夫はグランバニアの王。私よりも国の安全を選ぶはず。私に人質としての価値などないのです」
心の片隅では夫に来て欲しいと願う気持ちが確かにある。
だが、それは願ってはいけないことなのだ。
今までもさんざんあの人には迷惑をかけてきたのだ。
だから・・・
これ以上迷惑をかけてはいけない。
あなた・・・
どうか私のことはもう・・・

「ホッホッホ・・・」
ゲマが笑っている。
「何がおかしいのです?」
フローラは強い口調で言い放つ。
「あなた自身が信じてもいないことを言うものではありません。あなたの夫、あのヘボヘボがあなたを見捨てて探さないと思いますか?」
フローラは唇をかんだ。
そうかもしれない。
今まで幾多の困難に打ち勝ってきた彼ならば・・・
きっと私を探しに来てくれるかもしれない・・・
だがフローラは必死に首を振る。
それはいけない。
それでは私はやっぱり彼に迷惑をかけてしまうことになる。
罠とわかっていることに、むざむざと彼を呼び寄せることになってしまう・・・
来てはだめ・・・
来てはいけないの・・・

「ホッホッホ・・・おそらくあの男は来るでしょう。たとえどんなことがあってもこのデモンズタワーにくるでしょう」
ああ・・・
おそらくゲマの言うとおりだわ・・・
あの人は来てしまう・・・
国王としての責務など捨てて私を探しに・・・
そして・・・私はそれを喜んでいる・・・
ああ・・・私はなんて罪深いの・・・
フローラはいたたまれなくなり、両手を組んで祈りを捧げる。
かつて海辺の修道院で修行していたので、神に朝夕の祈りを捧げたりするのが当たり前のフローラは、やはり苦しみから救ってもらうためには祈りを捧げるのだった。
「ホッホッホ・・・思い悩むことはありませんよフローラさん」
「えっ?」
思いもかけぬ言葉にフローラは顔を上げる。
「あの男のことなど思い出したくなくなるようにしてあげましょう」
「ええっ?」
フローラは驚いた。
それはいったいどういうことなのか?

「ホッホッホ・・・私の部下のジャミがあなたをいたく気に入ったようでしてねぇ。自分のものにしたいと言うのです。その頼みを聞き入れてやることにしたのですよ。ホッホッホ・・・」
ゲマの笑みを浮かべた口元がさらに歪む。
「自分のものって・・・そんな・・・私はあの人の妻です。あの人以外にこの身を許すことなどありえません」
両手で自分自身を抱きしめるフローラ。
あまりのことに背筋がぞっとする。
「ホッホッホ・・・愛する妻が魔物に心奪われていたとなれば・・・あの男の苦悩する顔が目に浮かぶようですね」
ゆっくりと近づいてくるゲマ。
フローラは思わず叫んでいた。
「い、いやぁっ! いやです! 助けて、あなたぁ!」
だがその叫びが届くことはなかった。

「メダパニ!」
ゲマの口から呪文の言葉が発せられる。
とたんにフローラの目から生気が失われ、とろんと焦点が合わなくなった。
混乱をもたらす呪文メダパニは、戦闘中に敵味方の区別を失わせて同士討ちをさせたりする呪文である。
効果時間は長くはないものの、かかっている間は理性的な判断ができなくなり、何が正しく何が間違っているのかわからなくなってしまうのだ。
「ホッホッホ・・・かかったようですね。ジャミ、入りなさい」
「ハッ、ゲマ様」
ゲマに呼ばれて入ってきたのは、まさに直立した馬と言っていい魔物ジャミだった。
白毛の躰に紫色の鬣(たてがみ)をなびかせ、ムキムキと筋肉の発達した上半身を誇らしげに晒しているジャミは、メダパニで混乱したフローラの顔をいやらしそうに眺めていく。
「ホッホッホ・・・今からはじめましょう。この清楚な女がどう変わるか・・・見ものですねぇ」
口元を笑いでゆがめたゲマは、心底これからのことを楽しみにしているようだった。

「フローラさん、あなたの愛する者の名を答えなさい」
「は・・・い・・・私の愛する人はヘボヘボさんです・・・」
ゲマの質問に何も考えられずに素直に答えてしまうフローラ。
その目は何も見ておらず、ただ宙を見つめるのみである。
「ホッホッホ・・・それは違いますね。あなたが愛しているのは目の前にいるジャミです」
ゲマのいやらしい笑い声が響く。
「私が愛しているのは・・・ジャミ・・・」
メダパニで混乱してしまっているフローラの脳にゲマの言葉が染み通っていく。
「そうです。あなたが愛するのはこの目の前にいるジャミです。ジャミ様と呼びなさい」
「グフフ・・・なるほど。さすがはゲマ様。ありがとうございます」
ゲマが行なおうとしていることを理解したジャミの口元にも笑みが浮かぶ。
「私が愛するのはジャミ・・・ジャミ様・・・」
何もわからないままにゲマの言葉を心に刻んでしまうフローラ。
「そうです。あなたが愛するのはジャミ。ヘボヘボは愛してない」
「私が愛するのはジャミ様・・・ヘボヘボのことは愛してません・・・」
「いいですよ・・・そのことをよく心に刻み付けなさい」
ゲマの言葉にフローラはうなずいた。

「しかしゲマ様、所詮メダパニの効果は一時的なものなのでは?」
「ホッホッホ・・・確かにそのとおりです。ですが、これを毎日繰り返せば・・・この女の心はやがてメダパニで植えつけられた思考を受け入れてしまうでしょう」
「なるほど。まさに洗脳というわけですな。グフフフフ・・・」
「そのとおりですよ。ホッホッホ・・・」
ゲマとジャミは顔を見合わせて笑いあう。
「では、こいつが大好きな女にも変えていただけませんかね?」
ジャミは股間からそそり立つ肉棒を見せ付けた。
「ホッホッホ・・・たやすいことです。フローラ、よく見なさい。あなたはこれが大好きなのですよ」
ゲマにいわれるままにジャミの肉棒を見つめてしまうフローラ。
グロテスクにそそり立つ肉棒は巨大で、まるで腕ほどの太さがあるようだった。
「私は・・・これが好き・・・」
フローラの心にまたしてもゆがめられた思考が刷り込まれる。
「そうです。あなたはこれが愛しくて愛しくてたまらないのです。これがどういうものかは知っているでしょう?」
こくんとうなずくフローラ。
それがヘボヘボのモノであれば何度も受け入れ気持ちよくしてもらい、二人の子供を授かる元になったものだ。
愛しいヘボヘボのモノがフローラの脳裏をよぎる。
だが、メダパニで混乱した脳は、それをあっさりと目の前でそそり立つモノにすり替えてしまうのだった。

「これをおしゃぶりしたことはありますか?」
こくんとうなずくフローラ。
初めてのときは汚いと思ったものだったが、ヘボヘボが気持ちよさそうにしているのを見ると、そんなことは思わなくなっていたし、自分も何か満たされるような気がしたものだったことを思い出す。
「ではおしゃぶりをしなさい。あなたはジャミのこれが大好きなのです」
「はい・・・」
スッとひざまずきジャミの肉棒を舐め始めるフローラ。
混乱した頭はこれが魔物のモノであることを理解していない。
あまりにも大きすぎ、頬張ることが困難なジャミの肉棒をただただフローラは舐めしゃぶる。
「おおっ、いいぞ。これはいい!」
痛いほどいきり立ったジャミの肉棒は、やがてびくびくと脈動して白濁液をぶちまける。
それをもろにかぶることになったフローラは、ただぼんやりとかけられるままになっていた。
「ホッホッホ・・・よかったですねフローラ。あなたの大好きなミルクですよ。たっぷりとお舐めなさい」
その言葉にフローラはうなずき、顔にべっとりとかけられた白濁液を指ですくって舐め取っていく。
「ホッホッホ・・・この様子を見たらあのヘボヘボが何と言うでしょうねぇ」
フローラの痴態にゲマは笑いが止まらなかった。
  1. 2009/02/08(日) 21:03:48|
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人知を超えたもの?

今日はちょっとした怖い話を。

第一次世界大戦の最中、ドイツ軍は英国に対し無差別潜水艦戦を行ないました。
その中核となったのは、もちろん当時最新鋭の兵器だった潜水艦、いわゆるUボートでした。

しかし、当時のUボートはまだまだ技術的に未成熟で故障も多く、また当然英国の護衛艦に撃沈されるものもあるため、一隻でも多くのUボートを大西洋に出撃させることが必要でした。

そんな中、まだまだ使用に耐えうるUボートが退役し、処分されるということがありました。
艦名は「U-17」(裏づけは取れてません。逸話ではこのナンバーです)
あと数年は問題なく使用できるはずの潜水艦でした。

ことの起こりは不幸な出来事でした。
U-17は作戦行動中、どうしても急速潜航せねばならない状況に追い込まれます。
艦長は直ちに急速潜航を命令。
U-17は海面から姿を消しました。

しかし、この時U-17は副長が艦外にでている状況でした。
U-17は副長を艦内に収容せずに潜航したのです。
副長がどうなったかは自明の理でした。

戦争中ということもありやむをえないことだったのかもしれません。
艦長以下の乗組員も、副長の犠牲によって艦が救われたことで、おそらく感謝の気持ちを持っていたのではないでしょうか。

ですが、以後U-17は呪われた潜水艦となってしまいます。

夜間、U-17が空気の入れ替えなどで浮上すると、副長の姿を甲板上で見かけたという声が相次ぎます。
勇気を出して声をかけると、副長の姿は消えるというのです。
副長の姿を見かけるのは甲板上にとどまりませんでした。
艦内のあちこちで見かけるようになったのです。

もはや艦内はパニック状態でした。
任務もそこそこにU-17は帰投せざるを得ませんでした。

上層部では副長を見殺しにしたことでの罪の意識が集団幻覚を引き起こしたと結論付けました。
狭い艦内でのストレスやにごった空気などで幻覚を見てしまったのだろうというのです。
共通の罪の意識である副長の姿が、その幻覚では呼び起こされたのだというのです。

乗員の希望もあり、U-17は乗組員を入れ替えることになりました。
新しい乗組員には副長に関する罪の意識はありません。
これで幽霊騒ぎは収まると思われました。

しかし、副長の幽霊はまたしても現れます。
新しく乗り組んだ乗員もこれには驚き、パニックになりました。
これ以上このU-17で任務は行なえないと兵士たちは反乱寸前にまで追い込まれます。

結局またしてもU-17は帰投を余儀なくされ、以後誰も乗せることができずに退役することになりました。
一隻でも多くのUボートが欲しい中、U-17はこうして退役という最後を迎えたのだそうです。

船にまつわる怪異の中から潜水艦U-17についてご紹介しました。
事実かどうか・・・は資料を当たってみましたが第一次大戦中のU-17の資料が手元になく、なんともいえません。
ただ、人知を超える出来事があってもおかしくないと私は思っておりますので、こういう話もあるかもと思います。

それではまた。
  1. 2009/02/07(土) 21:37:50|
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02月07日のココロ日記(BlogPet)

舞方雅人さんに告白されたらどうしよう……なんてかんがえちゃいました☆

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2009/02/07(土) 11:38:53|
  2. ココロの日記
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大トラ? いいえ、王虎です

1941年6月にソビエト連邦に侵攻を開始したドイツ軍は、そこで初めてソ連軍に強力な戦車が存在することを知りました。
いわゆるT-34です。

このT-34を確実に撃破できたのが88ミリ高射砲であり、この88ミリ高射砲を戦車用の主砲として搭載したのが、名高い「ティーガー」でした。
ティーガー自体の開発は独ソ戦が始まる前から始まってはおりましたが、T-34の存在がその開発スピードをアップしたのは間違いないところでしょう。
ドイツ軍は、早くも1942年には戦場にティーガーを投入しております。

ティーガーの主砲は88ミリ高射砲を戦車用に改良したものでした。
その口径長(砲身の長さを口径のサイズで割ったもの)は56口径であり、威力は充分であったものの、将来のことを考えるとより威力のある砲を搭載しようと考えるのはごく当然の成り行きでした。

そこでポルシェ(社)では、クルップ(社)で開発中の新型88ミリ砲をティーガーに搭載しようと提案します。
新型88ミリ砲は口径長が71口径にもなる長砲身砲であり、威力もまた56口径88ミリ砲よりも大幅にアップするというものでした。

ですが、それほど長砲身になると、現在のティーガーの砲塔には収まりません。
そこで新型の砲塔が作られることになりました。

一方そのころ、ヘンシェル(社)でも、71口径88ミリ砲を搭載した新型重戦車の計画が持ち上がり、開発中であったパンターⅡとの大幅な共通化を図った上で開発しようということになりました。

そこでこの二つの計画は同時進行となり、競争試作という形になります。
砲塔に関しては主砲を制作するクルップが受け持つという形になり、ポルシェ用とヘンシェル用の二種類の砲塔が用意されることになりました。

1942年10月、兵器局はヘンシェル社のデザインが採用され、量産が指示されます。
おそらくこの決定はポルシェ側にとっては予想外のことだったのではないでしょうか?
以前ティーガーにおいても正式決定の前に車体を90両分も作成してしまい、重駆逐戦車「フェルディナント」に転用するという事例があったばかりなのに、今回もポルシェはクルップに対して60両分の砲塔をすでに発注しており、クルップではポルシェ向けに砲塔の製造を始めていたのです。

結局このポルシェ向け砲塔は、多少の手直しをすればヘンシェル製の車体に載せられることが判明したため、完成した50両分の砲塔は新型重戦車の初期生産車に搭載されることになりました。
このため、この新型重戦車、のちのティーガーⅡは、二種類の砲塔の形があることになりました。

KTP1.jpg
これがポルシェ向けに作られた砲塔を載せたティーガーⅡ

このポルシェ向け砲塔は、非常に流麗なスタイルを持っていて見た目的に美しいのですが、前方から敵弾が命中したとき、その角度によっては下側の自分の車体に向けて敵弾をはじいてしまい、薄い車体天井を撃ちぬかせてしまうという欠点があり、より耐弾性の高いヘンシェル社向けの砲塔が以後の車両には搭載されることになりました。

KTH1.jpg
こちらがヘンシェル向け砲塔を搭載したタイプ

1943年3月3日、新型重戦車は正式に「ティーガーⅡ」という名称が与えられました。
これによって、従来のティーガーは「ティーガーⅠ」と改められることになります。

ティーガーⅡはドイツの技術の粋を集めたと言ってもいい重戦車ではありましたが、その分厚い装甲は重量の増加をもたらし、車重はなんと68トンから69トンにもなりました。
そのためエンジンのパワー不足が顕著で、またトランスミッションなどの足回りにも負荷が多く故障が頻発しました。
戦場に到達する前に故障で動けなくなり、あまりの重さに回収もできないため、やむなく爆破されるという車両が後を絶ちませんでした。

しかし、防御一辺倒になっていた戦争後半のドイツ軍は、こちらから出向かなくても相手が来てくれるという状況でした。
そんな中、適当な場所に腰を落ち着けたティーガーⅡは、その強力な88ミリ砲の威力を存分に発揮することができたのです。
特に米英軍は対抗できる重戦車を持たなかったため、ティーガーⅡを「キングタイガー:王虎」と呼んで恐れたといいます。

この米英軍がつけたキングタイガーというあだ名がドイツ側にも伝わり、ティーガーⅡは非公式ながら「ケーニヒスティーガー」と呼ばれたのだそうです。
無論、これはあくまでも非公式名称であり、正式なものではありません。
ですが、ドイツ戦車の最後の輝きを飾るにふさわしい重戦車として、このケーニヒスティーガー(キングタイガー)という名前は未来へと伝わっていくのではないでしょうか。

それではまた。
  1. 2009/02/06(金) 21:08:41|
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エマの世界

ヴィクトリア朝英国。
いわゆる1837年から20世紀に入った1901年までのヴィクトリア女王陛下の統治時代の英国のことをそういうのは皆様ご存知と思います。

このヴィクトリア朝英国と言って思い浮かべるものはなんでしょうか?
きっと皆様さまざまなものを思い浮かべるのではないでしょうか?

物語としてはコナン・ドイル氏の「シャーロック・ホームズ」シリーズが有名でしょう。
物語中に出てくるさまざまな生活風景は、まさにヴィクトリア朝の英国を表してます。

マンガではアニメ化もされた森薫様の「エマ」でしょうか?
ヴィクトリア時代のメイドさんがヒロインということで、ヒロインの暮らす世界がヴィクトリア朝英国を視覚的に見せてくれました。


そういったヴィクトリア時代の英国のさまざまな生活物資の品々を百貨事典(百科事典ではない)として見せてくれるのが、この谷田博幸氏の「ヴィクトリア朝百貨事典」です。

シャーロック・ホームズの物語にアヘンが出てくるのはご存知だと思いますが、当時の英国ではアヘンは薬品として使われており、赤ちゃんにまで使用されていたという事実や、エマの作中に出てきた巨大建築物「クリスタルパレス」とはどのようなものであったのか、また帽子や手袋はどのような意味合いで身に着けられていたのかなど、実に多くの物品の情報が載せられています。

フィッシュ&チップスのような英国庶民に馴染み深い食べ物が、実は競争に敗れた石鹸業者が石鹸の原料となる植物油で魚をフライにして売るようになったことも広まった理由のひとつなんだとかで、こういった裏話的な楽しい情報がいっぱいですので、もし見かけることがあれば手にとってみてはいかがでしょうか。

さて、今日から札幌は雪まつり。
また交通規制やら観光客やらで車を走らせるのも一苦労です。
でも、たくさんお金を使っていってくださいねー。(笑)

それではまた。
  1. 2009/02/05(木) 21:00:08|
  2. 本&マンガなど
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春の目覚め

第二次世界大戦も末期となる1945年1月22日。
ドイツの総統大本営で、ヒトラー総統はある作戦の発動を命じました。
ドイツの同盟国ハンガリーの油田地帯を奪回する一大反抗作戦、「春の目覚め」作戦の発動でした。

1944年夏に始まった米英連合軍のノルマンディー上陸作戦に呼応するソ連軍の大作戦「バグラチオン」作戦によって、東部戦線のドイツ軍は大打撃を受けました。
ドイツ軍は占領していたソ連領から急速に追い払われ、ポーランドすらソ連軍に占領されてしまう状況でした。
ついには同盟国であったルーマニアもソ連軍に降伏し、すぐにドイツに対して宣戦を布告してきます。

そんな中、ドイツの同盟国ハンガリーでもソ連との単独講和が模索されましたが、ドイツ側の工作によって最後までドイツと同盟を維持することになります。
しかし、衆寡敵せず、ソ連軍の攻撃はハンガリーにも及び、ハンガリーの首都ブダペストも包囲されてしまいます。

ドイツ軍は1945年の元旦からブダペスト救出作戦を行ないましたが、ソ連軍の包囲網を突破することはできず、1月17日にはブダペストのペスト地区(ブダペストはブダ地区とペスト地区からなる都市なのでブダペストといいます)は降伏。
残るブダ地区の命運も尽きようとしておりました。

ハンガリーを襲ったソ連軍の猛威は、ポーランドを突破してドイツ国内に迫ろうとしているソ連軍からも同じでした。
ドイツ軍はもはや国境すら守ることができなくなっていたのです。
ベルリンを目指すソ連軍をどこで押し留めるか・・・
独軍上層部はそのことばかりを考えておりましたが、前年の12月(つまり前の月)に行なわれたアルデンヌの森における米英軍への攻勢(いわゆるバルジの戦い)で装甲戦力を西部戦線に取られた上、その装甲戦力もすりつぶされてしまった今となっては、ソ連軍を押し留めることなど望むべくもありませんでした。

そんな中、アルデンヌからほうほうの体で後退してきたSS装甲師団は、少しずつ戦力を回復させつつありました。
第一SS装甲軍団と第二SS装甲軍団に再編された装甲戦力は、第六SS装甲軍としてまとめられ、ソ連軍を迎え撃つべくどうにか爪を研ぎ始めたというところでした。
おそらくベルリンへ向かってくるソ連軍に対処することになるだろうと、誰もが思っていたことでしょう。
いわばドイツの最後の希望ともいうべき装甲戦力だったのです。
その装備にはパンター、四号を初め、あのケーニヒスティーガーも配備されておりました。

ところが彼らに下された命令は「春の目覚め」作戦の主力として、ハンガリーへ向かえというものでした。
総統はベルリンを守るよりも、戦争継続のためにはハンガリーの油田を確保しておかなければならないと考えたのです。

「春の目覚め」作戦は、西部戦線で行われた「ラインの守り作戦」(バルジの戦い)と同様ドイツ軍の最後の大攻勢と言っていいものでした。
主力の第六SS装甲軍は、ハンガリーのバラトン湖とヴェレンツェ湖の間の回廊を突進し、包囲されたブダペスト(実際は作戦開始前の2月13日に陥落)を開放した上でドナウ川まで進出するというもので、第六SS装甲軍の両翼を第二装甲軍とE軍集団の一部が同時に進出して、ソ連軍を崩壊に追い込むと同時に油田地帯の再確保を達成するというものでした。

作戦の開始は1945年3月6日とされ、ドイツ軍の虎の子の装甲戦力はハンガリーへ向かいます。
ですが、このドイツ軍の反撃はソ連軍に察知されておりました。
ソ連軍はクルスクの戦いで効果を上げた縦深防御陣をここでも設置し、ドイツ軍の攻撃を待ち構えます。

しかも、3月に入って気温が上がったことで、バラトン湖周辺のドイツ軍の進撃予定路は雪解けと降雨によって泥沼と化しておりました。
トラックやハーフトラックどころか、戦車ですら行動不能になるほどの泥沼がドイツ軍を待ち構えていたのです。

3月6日、それでもドイツ軍は進撃を開始しました。
ドイツのお家芸であった電撃戦の最後の輝きを見せ付けるかのようでした。

しかし、危惧したとおりドイツ軍の進撃は思うようにはいきません。
泥沼が戦車や歩兵の足を止め、ソ連軍の射撃が降り注ぎます。
あっという間にドイツ軍は多大なる出血を余儀なくされました。

主力として投入された第六SS装甲軍ですら作戦開始時点から20キロほどしか進めず、両翼の第二装甲軍もE軍集団の部隊もほとんど進むことはできませんでした。
ドイツ最後の大作戦は、電撃戦とは程遠いものでしかなかったのです。
ドイツ軍の攻勢はわずか9日間で頓挫しました。

3月16日。
逆にソ連軍の攻勢が始まります。
今度は突出した第六SS装甲軍が両翼から包囲される危険性が出てきました。
第六SS装甲軍は包囲を避けるためにも後退したいと許可を求めましたが、ヒトラー総統はあくまでもドナウ川まで突進せよという現状を理解していない命令を下します。
ここにいたり、ついに第六SS装甲軍は親衛隊というヒトラー総統個人に忠誠を誓った部隊でありながら、総統命令を無視して後退を始めました。
ドイツ最後の大攻勢はこうして前線部隊の総崩れという結果に終わり、「春の目覚め」作戦は失敗に終わったのです。

それではまた。
  1. 2009/02/04(水) 21:18:21|
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新しいリンク先です

このたび、いなづまこと様のサイト「オ ナイすデザイン」とリンクさせていただきました。

オ ナイすデザイン」はいなづまこと様が作成したシミュレーションRPGのシナリオを公開しているサイト様ですが、こちらの図書館にはいなづまこと様の創作された悪堕ちSSが掲載されておりますので、ぜひ一度足をお運びいただければと思います。

いなづまこと様、リンクありがとうございました。
  1. 2009/02/04(水) 21:09:14|
  2. ネット関連
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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