マジック2としていた巨人が勝ち、阪神が逆転負けしてしまったので、巨人の二年連続優勝が決まりました。
巨人ファンの皆様、優勝おめでとうございました。
阪神ファンの皆様、最後力尽きましたが、優勝争いをここまでできたことに自信を持ちましょう。
今年は巨人の引き立て役になってしまいましたが、暗黒時代よりはよほどマシです。
来期は若手育成を重点にして、再び強い阪神を作っていって欲しいです。
まだ残り試合がありますが、岡田監督以下阪神の選手の皆様お疲れ様でした。
今シーズン楽しませていただきました。
ありがとうございました。
- 2008/10/10(金) 21:24:23|
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今日と明日で異形化モノの短編一本投下します。
ちょっと異質な感じかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。
「蟲」
「ふう・・・」
頭が痛い問題だわ・・・
いじめ・・・
うちのクラスでもどうやらいじめがあるようなのだ。
困ったなぁ・・・
いじめの対象になっているのは土野坂浩太(どのさか こうた)君。
わかるのよねぇ。
あの子ってばなんか陰気でなに考えているかわからないところがあるし、口ごもるから言っていることがはっきりと聞こえないし、なんとなく不潔感を感じさせるし・・・
そして何より目つきが不気味さを感じさせるのだ。
担任の私がこんなこと言ってはいけないんだけど、いじめられるのも無理ないかなぁって気がするのよね。
でも、放っておくわけにも行かないし・・・
やれやれだわ。
直接行動は簡単だけど、それじゃ解決にならないし、やっぱり土野坂君側にも変わってもらう必要があるわ。
一度家庭訪問でもして、ご家族と相談してみようかしら・・・
私はそんなことを考えて席を立つ。
担任を持つというのは苦労の連続。
最近はモンスターなんとやらもうるさいし。
気の休まるときなんかありゃしない。
「朝来(あさき)先生、これから部活ですか?」
「ええ、インターハイも近いので、びしびし行きませんとね」
私は同僚教師にひらひらと手を振って第二体育館へ向かう。
昔取ったなんとやらで体操部の顧問まで押し付けられちゃって・・・
まあ、これで結構気晴らしになって楽しいからいいんだけどね。
さてさて、今日はどこまでやってくれますかな。
「「よろしくお願いしまーす」」
「はい、よろしく。それじゃ今日は平均台の練習からね」
私の前には八人の女子生徒が眼を輝かせて立っている。
わが校体操部女子チームの面々だ。
人数は少ないけど、和気藹々として楽しく活動している。
部活動なんだからそれが一番。
すぐに彼女たちは平均台の練習に取り掛かる。
私は以前体操をやっていたことがあるので、体操部の顧問というわけ。
もっとも、男子体操部は別で、そちらは大畑先生が担当してる。
私は女子だけ見てればいいというわけ。
うちの体操部は普段でもレオタードを着る。
そりゃあ、恥ずかしいでしょうし、男子体操部と一緒だから気にもなろうというもの。
でも、練習はジャージで大会はレオタードじゃうまく演技できるはずが無い。
普段からレオタードに慣れておかないとね。
なので、顧問の私も一応はレオタード着用。
でも上にジャージを着てごまかしてる。
だって・・・
今の若い子はいいプロポーションなんだもの・・・
比べられたくないわよぉ・・・
「ひっ」
自分の番を待っていた女生徒が小さく悲鳴を上げる。
「小坂さん、どうしたの?」
「先生、今外から誰か覗いていたような・・・」
「覗き?」
やれやれ・・・
レオタード姿の女の子がいたら覗きたくなるのはわかるけど・・・
「わかったわ。確認してくるから待っててね」
私はすぐに体育館脇の非常口から外に出る。
覗き防止のためにカーテンを閉めてやっているとはいえ、時々こういう不心得者が出てくるのよね。
見つけたらがっちりお灸をすえてやらなくちゃ・・・
「ちょっと、そこのあなた」
体育館脇の茂みで、私は学生服姿の少年を見つけた。
「こんなところで何をしているの? こっちには何もないはずよ」
「あ、朝来先生・・・」
私は驚いた。
青白い陰気くさい顔をして立っていたのは土野坂君だったのだ。
「土野坂君? なにやってたの? まさか覗きに?」
「・・・ち、違います・・・」
うつむいてぼそぼそっとしゃべるのがなんとなく気に触る。
こういうところがいじめを呼ぶんだと思うわ。
「じゃあ、なにやっていたの? こんなところ、用事があってくるところじゃないと思うけど?」
「そ・・・それは・・・」
口ごもる土野坂君。
間違いないわ。
彼は覗きに来たんだわ。
まったく、困ったものね。
「いいこと。二度と覗きに来たりしちゃダメよ。今度見つけたら見逃しませんからね」
私は穏便に済ませようと思いこう言った。
反省して二度としなければそれでいいのだ。
「朝来先生・・・」
「ん? 何?」
「先生もボクが覗きに来たと思ってるんですね? 違うのに信じてくれないんですね?」
信じろって言ったって・・・
じゃ、こんなところで何をしていたのよ。
「信じろって言っても、ここで何をしていたのか言えないでしょ? 覗きに来たのじゃないかもしれないけど、誤解される行動をしているのも事実なのよ」
まあ、見たところデジカメとかも持ってなさそうだし、明確な証拠もなしに所持品確認もできないしね。
「違うのに・・・違うのに・・・」
「ふう・・・わかったからもう行きなさい。あんまりこのあたりをうろつくと誤解されても仕方ないわよ」
私は肩をすくめて土野坂君を向こうに去らせる。
「違うのに・・・違うのに・・・」
ぶつぶつ言いながら去っていく土野坂君。
やれやれだわ。
私は覗きじゃなかったことを告げ、開いていた窓を閉める。
風でカーテンがめくれたので覗かれたと思ったんだろう。
まあね、レオタード姿じゃ警戒もするよね。
******
「土野坂君はお休み?」
出席簿を確認する私の手が止まる。
もしかして昨日のことが尾を引いちゃったかしら・・・
あとで電話してみよう・・・
私は土野坂君の欠席をなんとなく気にしながら授業にはいった。
「もしもし? 私土野坂君の担任の朝来と申しますが・・・」
お昼休み、私は土野坂君の家に電話をかける。
様子を確認したかったのと、事のついでにご両親と一度会っておこうと思ったので、その日取りを決めようと思ったのだ。
『あ、先生?』
電話口の向こうに出たのは土野坂君だった。
「土野坂君? 今日はどうしたの? 風邪でもひいた? 連絡が無いからどうしたのかと思ったわ」
いじめで登校拒否ってことも考えられないことではないから、風邪ならそのほうがいいんだけどね。
『・・・・・・ちょっと学校へ行けなかったので・・・』
「学校へ行けない? どうして? やっぱりいじめが原因なの?」
『・・・・・・』
「電話じゃ話せない? だったら先生そちらにお伺いしてもいいわ。先生も一度お話したいし。ご両親と一緒にお話できないかしら」
『・・・・・・先生が来てくれるの?』
なんだろう?
土野坂君の声が少しうれしそう?
「ええ、行きます。今日の放課後でもかまわないわ」
『・・・・・・』
ご両親に確認を取っているのかしら?
『・・・それじゃ来てよ。ボク待ってるから』
「今日でいいの? いいのならお伺いするけど」
『いいよ。待ってるから』
「わかったわ。それじゃお伺いするのでご両親によろしく」
私は住所を確認して電話を置く。
なんだろう・・・
何か土野坂君のあの目ににらまれたような気がする・・・
私は頭を振って妙な思いを振り払うと、午後の授業に出かけていった。
******
「ここね?」
私は住所のメモを確認する。
目の前には大きなマンション。
ここの八階とか。
結構なところに住んでいるのね。
私は車を共用駐車場に止め、マンションに入って行く。
夕暮れのオレンジ色の光が入り口付近を照らしていた。
そういえば最近はこんな時間に外へでることもないわねぇ。
部活やっていると終わるのは夜の7時近いしね。
さてと、土野坂君のご両親にご挨拶と行きますか。
私は入り口で土野坂君に訪問を告げ、エレベータの入り口を開けてもらう。
エレベータで八階に上がると、私は811号室のベルを鳴らした。
「先生いらっしゃい。お待ちしてました」
いきなりドアが開けられたことに私は一瞬驚いた。
いつもは陰気な土野坂君が、にこやかに出迎えてくれたのだ。
ただ、あのなんとなく不気味さを感じさせる目は相変わらずだったけど。
「土野坂君こんにちは。お邪魔いたします」
私は靴を脱いで上がらせてもらう。
「さあ、どうぞ」
先にたって案内してくれる土野坂君。
時間が時間だからお父様はまだいらっしゃらないかな。
まずはお母様にご挨拶ね。
リビングに案内された私は思わず戸惑った。
てっきり土野坂君のお母様がいらっしゃると思ったのに、誰もいなかったのだ。
「えっ? 土野坂君、ご両親は?」
私は思わず土野坂君を振り返る。
「いないよ。どこか行った」
にたにたと薄気味悪い笑みを浮かべている土野坂君。
「ど、どこかって・・・どういうこと?」
私は思わずあとずさる。
まさかこの子?
何か変なことを考えて・・・?
「知らないよ。蟲にくれてやったんだ。あーだこーだとうるさいからね」
舐めるように私を見てくる土野坂君。
その視線がぞっとする。
「でしたら出直すわ。また今度お話しましょう」
私は玄関に向かおうと部屋の入り口に行こうとした。
でも、土野坂君が入り口付近で私を見つめている。
しまったなぁ・・・
まさかこんなことになるとは思わなかったから、スカートにストッキングというスーツ姿になってきたのよね・・・
そうやすやすと襲われるつもりは無いけれど・・・って、今なんて?
蟲にくれてやった?
どういうこと?
「土野坂君、蟲にって・・・どういうこと?」
「ふふふふ・・・先生ってそんなことちゃんと聞いてたんだね・・・言葉のとおりだよ。蟲たちにくれてやったんだ」
にたっと笑う土野坂君。
どうしよう・・・
この子ちょっとおかしくなってるんだわ。
「先生・・・今ちょっとボクのこと変な子だと思ったでしょ?」
「え? い、いいえ」
「ふふふ・・・隠さなくてもいいよ。いつも陰気でいじめられてついにおかしくなっちゃったとでも思っているんじゃない?」
な、なんなのこの子?
私、顔に出ちゃったのかな・・・
「先生・・・ボク昨日あそこで何していたか教えてあげるよ」
「えっ?」
昨日って・・・第二体育館裏でのこと?
「ボクね・・・あそこで餌を物色していたんだよ。蟲たちに食べさせる餌をね」
いつになく饒舌な土野坂君。
その様子がとても楽しそうなのが、かえって私には不気味だった。
- 2008/10/10(金) 20:42:47|
- 異形・魔物化系SS
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