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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ライバルを越えろ

第一次世界大戦において世界で初めて戦車を実戦参加させた英国は、当然のごとく自国製の戦車がオーソドックスなものと考えておりました。
つまり、戦車とは塹壕を越えるためにちょうだいな履帯(キャタピラ)を持つひし形の形をしたものだという概念です。

ところが、同じく第一次世界大戦でフランスのルノー社が作り出した戦車は、小型軽量で二人しか乗れない戦車で、長さも短いために塹壕を越えるための補助用の尾そりをつけているというものでしたが、戦車というものの概念を決定付けるほどの装備を備えておりました。
車体上部で回転する回転砲塔です。

今、われわれが戦車といわれて思い浮かべるものは、まさに車体の上に回転する砲塔を載せたものでしょう。
ルノー社の作り出したこの小型戦車ルノーFTは、まさに戦車というものの形を決めたといっていいほどの戦車でした。

このルノーFTは、当然のごとく使い勝手のいい優れた戦車ということで、大量生産が行なわれました。
一説によれば三千両もが造られたといいます。

第一次世界大戦が終わると、各国は戦争で疲弊した経済の建て直しに入りました。
真っ先に削られたのは、当然のことでしたが肥大した軍事費でした。
軍備は縮小され、余剰の装備は廃棄されるかバーゲン品として売り出されました。

軍事費が減らされては、軍需産業は自国の軍だけに製品を売っていたのでは会社の経営が困難になってしまいます。
英国の軍需産業の一つヴィッカース社も、外国に兵器を売って利益を上げて行こうと考えました。

これからの兵器として戦車に目をつけていたヴィッカース社ではありましたが、各国の軍備縮小や軍事費削減などにより、英国製の大型ひし形戦車を購入しようとする国などどこにもありませんでした。
一方で、軍の機械化は進めたい各国は、経費のかからない豆戦車としてカーデン・ロイド社の作った軽戦車には興味を示し、カーデン・ロイド社は豆戦車を売って利益を上げておりました。

とはいえ、カーデン・ロイド社の軽戦車は、薄い装甲に機関銃が一丁(もしくは二丁)のみという、本当に小さな戦車とも呼べないものであり、回転砲塔もありません。
安いとはいえ、これではやはり戦車として使うには不安です。

そこで各国はフランスのルノーFTを購入しておりました。
ルノーFTであれば大砲の付いた砲塔を持つ立派な戦車であり、加えてフランスが余剰品としてバーゲン価格で売っていたので、安く購入できたのです。

ですが、1920年代半ばともなってきますと、第一次世界大戦時に作られたルノーFTでは機動性の不足などいろいろと不満も出てきます。
ヴィッカース社はそこに目をつけました。
ルノーFTと同じぐらいの大きさの使い勝手のよい新型戦車を作って、各国に売り込もうとしたのです。

ライバルのルノーFTが重さ六トンだったことから、新型戦車はヴィッカースは新型戦車も六トンで作ろうと計画しました。
六トンぐらいであれば、当時の港湾設備などでも船からの積み下ろしができ、橋や鉄道を使うにもそれほど問題は無かったのです。
四十トン近いひし形重戦車では輸送だけでも大変なのでした。

ヴィッカース社は当然のことながら、後発であることを生かしてルノーFTをあらゆる面で上回ろうとします。
足回りは簡単な構造ではあるが、それだけに信頼性が高いリーフスプリング式の懸架装置を採用し、履帯も長距離行動可能な新型履帯の開発に成功。
この履帯はのちに日本が試験的に輸入したこの戦車を分析することで、その後の日本戦車の履帯開発にも生かされます。

エンジンは車体の後ろにガソリンエンジンを置き、車内とは隔壁で区切って音や熱などが車内に入らないようにしました。
これは当たり前のようなことですが、当時はほとんどの戦車の車内ではエンジンがむき出しで置かれていたのです。

信頼性の高い足回りに新型の履帯、そしてエンジンにも恵まれたこのヴィッカース社の「六トン戦車」(開発時の目標だった重量がそのまま戦車の名称になりました)は、ライバルのルノーFTが最高でも時速約八キロしか出せなかったのに比べ、時速約三十キロまで出せる快速戦車となりました。

こうして基本車体ができたヴィッカース六トン戦車は、ここで面白い方法を取ります。
今でこそオーナー国の仕様に合わせるというのはどのメーカーでもやりますが、ヴィッカース社はこの戦車でその方式を取り入れたのです。

機関銃を一丁装備した砲塔(銃塔)を横並びに二つ付けた機関銃装備タイプや、砲塔に大砲と機関銃を装備した大砲装備タイプなど、何種類かの武装を購入しようつする国に提示。
さらにエンジンを前に置いたタイプや砲塔無しのトラクタータイプなど、各国の希望をできるだけかなえようとしたのです。

大砲を装備したヴィッカース六トン戦車は、装備や装甲などのために最終的には約八トンになりましたが、それほど大きな問題とはならず、何よりこうした仕様の多様さや信頼性の高さで、各国が購入してくれるようになりました。

肝心の英国では採用されませんでしたが、六カ国が自国の装備としてこの六トン戦車を購入し、試験や研究目的では日本も購入いたしました。
さらにポーランドやソ連では、この六トン戦車を改良発展させて第二次世界大戦に使用しています。

世界的な軍備縮小の中、ヴィッカース六トン戦車は世界的なベストセラー戦車として、第二次世界大戦直前の戦車勢力に大きな影響を与えたのでした。

それではまた。
  1. 2008/10/04(土) 20:25:42|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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