今日は久々に軍艦ネタを。
1918年9月、第一次世界大戦終結直前に英国は世界最初の航空母艦「アーガス」を完成させました。
もちろんこのアーガスの前にも、水上機を搭載する艦艇や滑走甲板から陸上機を発進させることのできる艦艇は存在しておりました。
しかし、船体上部を真平らにして何の障害物もない全通飛行甲板にした近代的航空母艦として完成した軍艦は、このアーガスが世界最初でした。
アーガスはもともとはイタリア向けの客船「コンテ・ロッソ」として建造されておりました。
しかし、第一次世界大戦中ということもあり、英国はこのコンテ・ロッソを買い取って航空母艦にすることに決定。
建造途中から客船ではなく航空母艦として建造されることになったのです。
完成したのは上記のとおり1918年9月。
船体上部に何も障害物のない真平らな姿は、多くの海軍将兵を困惑させるものだったでしょう。
排水量は基準で14500トン。
全長172メートル、水線幅で20メートルの船体を持ち、最大速度は20ノットでした。
搭載機は20機ほど。
それほど多くはありません。
最初は船体上部はまさに真平らだったのですが、やはり航海時には艦橋があった方が良いということで、昇降式の艦橋がのちに設置されます。
これは艦載機の発進時には下がることで甲板を平らにするというものでした。
アーガスは世界最初の全通甲板航空母艦ということで実験艦的部分も多く、また客船を改造して作ったために速力も不足気味であり、艦隊に随伴する航空母艦としては物足りないものでした。
そのため1930年代には練習空母として運用されるようになりますが、1920年代30年代を通じて英国の海軍航空隊に多大なる貢献をしたことは間違いありません。
まさに英国海軍航空の母体でもあったのです。
練習空母となっていたアーガスですが、1939年に始まった第二次世界大戦は、そのような境遇に甘んじていることを許しませんでした。
輸送船がドイツのUボートに次々と沈められる状況に、アーガスは護衛空母として再度前線勤務を申し付けられます。
護衛空母として活躍できたかどうかは定かではありませんが、1942年には連合軍の北アフリカ上陸作戦に支援空母として参加。
この作戦を最後に以後は航空機輸送艦として行動します。
アーガスは幸いなことに第二次世界大戦を最後まで生き抜き、戦後の1946年に除籍され売却されました。
華々しい戦歴こそありませんが、英国海軍航空を育て、最後まで大戦を生き残った幸運であり強運の軍艦ということがいえるでしょう。
いい生涯だったと思います。
今日はこれにて。
それではまた。
- 2008/09/13(土) 20:41:01|
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