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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ちょっとした二次創作

ちょっとしたドラクエⅦの二次創作SSを書いちゃいました。

主人公たち一行のアイラやマリベルではなく、前半立ち寄る砂漠の城の女王フェデルがヒロインです。
いわゆるシチュのみ短編ですが、お読みいただければ幸いです。


「闇のルビー」

ああ・・・
どうしてこのようなことになってしまったのだろう・・・
私の考えが間違っていたのだろうか・・・
私はただ、子供もお年寄りもみんなが砂漠の暮らしを快適に過ごせるようにしたかっただけなのに・・・
旅行くキャラバンも魔物の恐怖を感じることなく行き来ができるようにしたかっただけなのに・・・
精霊様のお力にすがることが、いけないことだったというのだろうか・・・

「ケケケ・・・来るがいい」
背中に羽根を生やした直立するオオトカゲといった風貌の魔物セトが私を呼びに来る。
行かないわけにはいかない。
私が行かなければ砂漠の民が・・・
私を慕い敬ってくれた砂漠の男たちや女たちが殺されてしまう。
それだけはなんとしても防がなければ・・・
私は無言で立ち上がり、牢獄ともいうべき部屋を後にする。
ベッドや絨毯も敷かれ、居心地が良くされてはいても、入り口に鍵がかけられたこの部屋はやはり牢獄。
城に残ったものたちはどうしているのだろう・・・
砂漠の村の皆はどうしているのだろう・・・
先日きらびやかな首飾りを欲しがっていた魔物に託した手紙は無事に誰かの手に渡ったのだろうか・・・
あの手紙にどうか気づいて・・・

「ケケケ・・・何を考えている?」
「別に・・・」
私はセトの問いかけにそう答えた。
このセトは砂漠の魔物を束ねる魔界の実力者。
いずことも知れぬ場所に居る魔王におもねるため、精霊の像に目をつけたのだ。
あとわずかで精霊の像は完成し、精霊様のお力で砂漠から魔物を一掃できるはずだったのに・・・
悔しさに私は唇を噛み締めた。

「見ろ」
「これは!」
私は息を飲んだ。
私が連れてこられたのは精霊の像の頭部。
精霊様を模して作られるはずだった頭の部分だ。
それがなんと、見るもおぞましい魔物の頭部に作り変えられつつあったのだ。
「ケケケ・・・砂漠に精霊の像などはふさわしくない。砂漠にふさわしいのは魔王の像だ。そうは思わんか? 砂漠の女王フェデルよ」
「そんな・・・」
私は首を振る。
長いことかかって砂漠の男たちが築き上げてきた精霊の像がこうも無残に姿になってしまうなんて・・・
「お前にはこれからやってもらうことがある」
「な、私に何をしろというのです? 精霊様の像をこのようにしてこれ以上何をしろと!」
私は思わず声を荒げてしまう。
城に残ったものたちを人質に取られてさえいなければ・・・

「ケケケ・・・あれを見ろ」
セトが指差した先には魔王像となった頭部の両目に嵌められた赤い宝玉があった。
「あれは“闇のルビー”といってな、邪悪な力を強化してくれるものだ。砂漠の女王フェデルよ。お前は巫女としての力を持っているだろう。あの“闇のルビー”に祈りを捧げ、その力をさらに強めるのだ」
なんてこと・・・
あのような禍々しき宝玉に祈りを捧げるなんて・・・
「そんなこと・・・」
「できるよなぁ? 砂漠の民の命がかかっているんだからなぁ」
「くっ・・・」
私は再び唇を噛み締める。
「お前ができないのなら、他の巫女にやらせるとしよう。だが、力の弱いほかの巫女じゃ俺様はすぐに殺してしまうかも知れんぞ」
「わ・・・わかりました」
私は怒りに躰を震わせながらも承諾するしかなかった。
ああ・・・
精霊様・・・
どうか・・・どうか・・・
お助けください・・・

私は精霊様に捧げるつもりで両手を胸で組み祈り始める。
魔王の両目に位置する“闇のルビー”が私を見下ろし、その輝きがわずかに強まったような気がする。
悔しい・・・
このような邪悪なものに力を与えてしまうなんて・・・
でも、祈りを捧げないわけにはいかない。
私が断れば誰かが命を落とすのだ。
私が死ぬのはかまわない。
でも、セトは私を苦しめるために他の民を殺すのだ。
もう誰も死んで欲しくない。
今は屈辱に甘んじても、いつかきっと・・・

何かしら・・・
すごく疲れるわ・・・
精霊様に祈りを捧げているときとはぜんぜん違う・・・
ああ・・・
“闇のルビー”が私を見つめている・・・
恐ろしく邪悪な気配が渦巻いている・・・
なのに目が離せない・・・
頭がくらくらする・・・
まるで・・・まるで赤い邪悪な光に射抜かれているかのような・・・
ああ・・・

「ケケケ・・・相当に消耗したようだな。今日はもういいだろう。連れて行け」
「ピギー」
セトの背後に控えていたピグモンエビルたちが私を両側から抱えて連れ出していく。
私は自分で歩くこともできないほどに消耗していた。
まるで・・・力を全部吸い取られでもしたかのよう・・・
「砂漠の女王フェデルよ、ゆっくり休むがいい。また明日、祈りを捧げてもらうぞ」
連れて行かれながら私はセトのほうを振り返る。
そして精いっぱいの憎しみを込めてにらみつけてやった。

                    ******

「ケケケ・・・フェデルよ、来るがいい」
翌日、まだ力が充分に回復してない私をセトが迎えにくる。
私は疲れの残る躰をベッドから起こし、ふらふらと立ち上がった。
「充分に回復はできなかったようだな。だが祈りは捧げてもらう」
「わかっています。祈らなければ誰かを殺すというのでしょう?」
私は服装を整えてセトをにらみつけた。
「ケケケ・・・そういうことだ。来い」
私はセトのあとに続き、精霊の像をのぼっていく。
そして昨日と同じように魔王の頭部に向かい合い、“闇のルビー”に祈りを捧げ始めるのだった。

                    ******

「フェデル様。大丈夫ですか? フェデル様」
「フェデル様・・・」
砂漠の巫女たちが心配そうに私を覗き込んでいる。
ああ・・・そうだわ・・・
私は祈りを捧げている最中に意識を失ったんだった。
何か・・・
そう・・・あの“闇のルビー”に祈りをささげているうちに、“闇のルビー”に吸い込まれそうになった気がしたのだ。
「フェデル様・・・ご無理はなさいませぬよう・・・」
「フェデル様は砂漠の女王様です。どうかご無理は・・・」
何を言っているの?
私が祈りを捧げなければどうなると思っているの?
無理はするな?
よくもそんなことが言えるものだわ。
私は無言で巫女たちを下がらせる。
あの娘たちは何もわかっていない。
誰が砂漠を支配しているのかわかっていないのよ・・・
とにかく体力を戻さなくちゃ・・・
私は巫女たちが用意してくれたスープに口を付け、体力を回復させるために横になる。

目を閉じると、“闇のルビー”の赤い輝きが脳裏に蘇る。
邪悪だけどその輝きはとても美しい。
昨日今日と見つめていただけで、私は“闇のルビー”の美しさに魅了されていた。
どうしてあのような美しい宝玉が禍々しい魔王の目になど使われるのだろう・・・
いや・・・
禍々しいからこそ美しいのかもしれないわ・・・
邪悪で美しい“闇のルビー”。
明日も祈りを捧げなくては・・・
私はそう思いながら眠りについた。

                    ******

「ケケケ・・・見ろ。“闇のルビー”の禍々しさがいっそう増したとは思わんか?」
セトが満足そうに目を細める。
私も美しく輝く“闇のルビー”をうっとりと眺めていた。
「さすがは砂漠の女王フェデルだ。お前の祈りによって“闇のルビー”は格段に力を増してきた。おかげで我ら魔族も力があふれてくるようだ」
うふふ・・・
なんだかすごく喜んでいるのね。
セトの喜びように私も思わずうれしくなる。
「喜んでいただいて私もうれしいですわ。“闇のルビー”の美しさには、私も見惚れてしまいます」
私はあらためて魔王像の両目にはまった“闇のルビー”を見上げる。
邪悪な赤い輝きが、なんともいえず美しい。
まさに魔王の両目にふさわしい宝玉だわ。
「ケケケ・・・お前にもあの“闇のルビー”の美しさがわかるようになったようだな」
セトの口元に笑みが浮かぶ。
「くすっ・・・もちろんですわ。最初に見たときからただの宝玉ではないと思っておりました」
「ケケケ・・・これからも“闇のルビー”に祈りを捧げ、我ら魔族に協力するのだ」
「かしこまりました、セト・・・いいえ、セト様」
私はいつしかこの魔界の実力者を好ましく思うようになっていた。
強さこそがすべてを支配するのは砂漠も魔界も同じこと。
弱きものは強きものに従い、奴隷のように尽くさねばならないのだ。
さもなければ死あるのみ。
強きものは美しくすばらしい。
こんな単純なことになぜ今まで気がつかなかったのかしら・・・
精霊の像などで弱きものを守ろうだなんて偽善もいいところ。
弱きものに生きる資格など無いということにようやく気がつくなんて・・・
私は女王失格だわ。

                     ******

「フェデル様、そのお姿は?」
「そのお化粧はいったい?」
ピーピーと騒ぎ立てる砂漠の巫女ども。
セト様にお願いして用意していただいた魔界の衣装が気に入らないとでも言うのかしら。
まったくおろかな人間どもだわ。
「おとなしくしなさい。これは“闇のルビー”に祈りを捧げるための衣装。私は闇の女王としてこの砂漠に闇を広めるのよ。お前たちにも協力してもらうわ」
私は黒のアイシャドウと口紅で染めた顔を巫女たちに向ける。
青白く変化した私の皮膚にはとてもよく似合っているとセト様には褒めてもらったもの。
「ええっ?」
「いったいどうなされたのですか、フェデル様?」
「闇の女王って・・・何をお考えなんですか?」
唖然としている巫女たち。
無理もないわね。
この娘たちはまだ“闇のルビー”のすばらしさを知らないんだわ。
でも、心配はいらない。
すぐにこの娘たちも“闇のルビー”のすばらしさに目覚めるでしょう。
そうなればこの娘たちも交えて祈りを捧げることができるわ。
砂漠はすぐに闇に覆われ、魔族の支配する世界になる。
おろかな人間どもは魔族に従って生きるしかないのよ。
そして選ばれたものたちだけが“闇のルビー”によって魔族に生まれ変われるの。
この私のようにね・・・
私はローブの下で動く尻尾と羽根に喜びを感じ、魔族として生きることを誓うのだった。



魔王像に嵌められた「闇のルビー」というアイテムに祈りを捧げさせられるというくだりがあったので、そのまま悪落ちという妄想をしちゃいました。
よければ感想や拍手などいただけるとうれしいです。

それではまた。
  1. 2008/06/28(土) 20:01:44|
  2. ドラクエ系SS
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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