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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

行き先を変えた旅客機

1976年6月27日。
ギリシャのアテネ空港を一機の旅客機が飛び立ちました。
旅客機はエールフランス139便、機種はエアバスA300、所属はフランスのエールフランス航空でした。
この旅客機はギリシャのアテネに着く前はイスラエルのテルアビブを出発しており、アテネ経由でフランスのパリへ向かう予定の旅客機でした。

午後12時45分ごろ、アテネを飛び立って約20分ほどが経過したころでした。
突然悲鳴と、やや遅れてスピーカーから機内に声が流れました。
「この飛行機は、たった今PFLP(パレスチナ解放人民戦線)によって制圧された。乗客は各自の座席でおとなしくしていること」
ハイジャックの発生でした。

ハイジャック犯人は白人男女とアラブ人男性二人の合計四人だったといいます(異説あり)。
彼らは乗客から武器になりそうな物をすべて取り上げ、旅客機の行き先を変えさせました。
乗客にとって長い悪夢の始まりでした。

ハイジャックされたエールフランス139便は、地中海を渡ってアフリカの国リビアのベンガジに到着します。
ここで乗客の中の妊婦一人が降ろされますが、そのほかの乗客乗員合わせて256名はそのまま機内に取り残されました。
ハイジャック犯たちは機内各所に爆弾を仕掛けたのち、エールフランス139便を再び離陸させます。
さらにアフリカ内陸に向かって旅客機は飛び続け、着陸したのはアフリカ内陸の国ウガンダのエンテベと言う簡素な空港でした。
ウガンダは北をスーダン、南をタンザニア、東をケニア、西をザイールに囲まれるまさに内陸の国で、南側にある大きな湖ビクトリア湖のほとりにエンテベ空港はありました。
到着は日付も変わって6月28日の午前8時ごろのことでした。

テルアビブを出発した旅客機がハイジャックされたとの報告は、すぐにイスラエル政府の知るところとなりました。
アラブ過激派などによるハイジャック事件を何度も受けているイスラエル政府の対応はすばやく、旅客機がテルアビブに戻ってくるものと思った(過去のハイジャック事件ではそうした行動が行われた)イスラエル政府は特殊部隊をテルアビブ空港に待機させました。
しかし、エールフランス139便がなんとアフリカの奥地に向かってしまったということを知り、待機していた部隊は空振りに終わります。
イスラエル政府は対応に苦慮することになりました。

一方旅客機の所属国であるフランスにとってもこの事件は一大事でした。
事の重大さを認識していなかった秘書官によって情報が遅れたため、プエルトリコ訪問中の当時のジスカール・デスタン大統領が事件を知ったのは28日になってからでしたが、大統領はすぐにウガンダの駐在大使に情報収集とウガンダ政府に人質解放の努力を要請することを命じました。

28日の午後になって、ようやく乗客乗員は旅客機から降ろされました。
しかし、彼らはそのまま空港ターミナルビルに閉じ込められ、人質であることに変わりはありませんでした。
そして彼ら人質の前に、ある人物が姿を現します。
ウガンダ政府大統領、イディ・アミンでした。

かつてイスラエルとは友好関係にあったウガンダでしたが、アミン大統領のイスラエル製戦闘機が欲しいと言う申し出をイスラエルが拒絶、さらにウガンダの隣国タンザニアへの侵攻作戦に対しイスラエルが不支持を表明したことからアミンはイスラエルを敵視し始めます。
アミンはリビアのカダフィ大佐らと歩調を合わせ、反イスラエル闘争をするアラブ側を支援。
今回のハイジャック犯も受け入れて自分の影響力をアピールする狙いがあったといわれます。

フランス、イスラエル両政府のアミン大統領への交渉が続く中、ハイジャック犯からは翌6月29日に要求がウガンダ放送を通じて出されました。
要求は各国に捕らえられている仲間の釈放と言うもので、合計53人中イスラエルからは40人を釈放せよというものでした。
期限は7月1日の正午。
仲間の解放がなければ人質は全員射殺するというものでした。

期限を過ぎれば全員射殺を言い渡された人質たちでしたが、ハイジャック犯は彼らを二グループにわけ始めました。
イスラエル国民かユダヤ人とそれ以外の人たちです。
イスラエル国民かユダヤ人は空港ターミナルビルの狭い部屋に閉じ込められ、残りの人たちはそのままにされたのです。

イスラエル政府は要求に屈するか人質奪回のための軍事行動を行うべきか揺れに揺れました。
しかし、自国内ではなくウガンダと言う主権国家内であり、さらにエンテベ空港の様子がさっぱりわからないという事態に強硬論は鳴りを潜め始めます。
国防大臣も参謀総長も7月1日正午までと言う時間内に奪回作戦を行うのはほぼ不可能であると断言します。
イスラエルの当時の首相イツハク・ラビンの取りえる選択肢は要求に屈するしかないように思えました。

6月30日。
エンテベ空港ターミナルビルに監禁されていたエールフランス139便の人質のうち、イスラエル国民及びユダヤ人以外の人質が解放されます。
人質は翌7月1日にかけて二回に分けて解放され、乗客に対する責任感で残留を決めた機長ほかエールフランスの乗員10名と、イスラエル国民及びユダヤ人97人の計107人だけが残されたのです。
まさに事件はイスラエル政府対パレスチナ解放人民戦線PFLPとそれを支援するウガンダ政府との戦いとなりました。

イスラエル政府は何とか交渉によって人質を解放するべく努力し、アメリカやソ連(当時)などにも手を回してアミン大統領の説得に当たります。
しかし、アミン大統領からはいい返事はもらえず、時間だけが過ぎました。
イスラエル政府は万策つき、ついにハイジャック犯の要求に屈することを閣議決定する事にいたします。

そのときでした。
ハイジャック犯人たちから一方的に、交渉の期限を72時間延長し、7月4日の午前11時とするという声明が発表されたのです。
まさにイスラエル政府は九死に一生を得た思いでした。

この期限延長をハイジャック犯がなぜ行ったかについては定かではないそうです。
しかし、アフリカ統一機構の首脳会議が7月3日に予定されていたことから、アミン大統領がハイジャック犯への何らかの働きかけを行ったのではないかといわれています。

ともかく時間の猶予ができたことにイスラエル政府は息を吹き返しました。
ラビン首相は交渉継続と平行して、軍事的救出作戦の準備を急ぐよう命令を下します。
世に名高い「エンテベ空港奇襲救出作戦」はこうしてスタートを切りました。

明日へ
  1. 2008/05/31(土) 19:28:12|
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豊家滅亡その28

大坂方としても大坂城のみで戦おうとしたのではありませんでした。
できるだけ徳川勢の軍勢をひきつけてその戦力をすり減らすためにも、大坂方は大坂城外に各所の砦を築いておりました。
その一つが木津川口に築かれた砦でした。

この砦のある位置は木津川と尻無川の合流する地点で、大坂城の海への玄関口の役割を持っており、かつては石山本願寺が織田信長によって包囲されたときに、このあたりから兵糧を運び込んだと言われる重要地点であったため、大野治長が砦を築かせて明石全登以下八百の兵を守備につかせておりました。

確かに西国大名も含めて豊臣恩顧の大名の誰一人として大坂城を援助しようと言うもののいない今、兵糧や軍勢を運び込むことができないために、木津川口の砦にどれほどの重要性があるかは疑問とも思われましたが、この砦があることで木津川を使った河川移動を徳川勢はしづらいと言うメリットがあり、大坂方としては確保しておくに越したことはない場所だったのです。

徳川勢としてはやはり、木津川の河川移動を容易にするためにもこの砦を落とすことを考えます。
大坂方の守備兵が警戒をおろそかにしていると言う情報を得た徳川方に参加した蜂須賀至鎮は、この機を逃さず攻撃しようと進言します。
それに対して家康は蜂須賀単独ではなく浅野、池田両軍と連携で攻撃するよう指示しました。
ところが至鎮はこれをよく思わずに単独での攻撃をしたいと本多正信に申し出、正信もそれを了承。
翌早朝六時の攻撃開始の予定を大幅に早めて夜中の三時に蜂須賀軍単独で攻撃を開始しました。

慶長19年(1614年)11月19日。
蜂須賀軍は約三千の兵力を二手に分け、水陸から木津川口の砦に接近。
途中で大坂方の船舶を撃破しつつ攻撃を開始します。
大坂方は不幸なことに守備隊指揮官明石全登が大坂城に呼び出されていて不在状態であり、陸と水上からの挟撃に守備隊は急激に戦意を喪失。
砦を放棄して撤退することになりました。
大坂冬の陣第一戦目は徳川方の勝利となったのです。
以後、木津川は徳川方によって支配されることとなりました。

木津川口の戦いで一敗地にまみれた大坂方でしたが、城内の士気はまだまだ高いものがありました。
次こそは徳川勢を蹴散らしてやる。
そう思っていた若武者もいたのです。
木村重成(きむら しげなり:長門守と呼ばれてました)と言う若武者でした。

木村重成は旧ブログでも以前(2005年11月24日)触れたことがありますが、秀頼の乳母である宮内卿の局の息子で、秀頼とはいわば乳兄弟でした。
眉目秀麗な美青年といわれ、秀頼の小姓としても仕えていた彼でしたが、これまではまだ一度も戦場に立ったことがなく、いわばこの大坂冬の陣が初陣であったため戦場での実力は未知数で、大坂方首脳陣からも多少の不安視をされていたのではないかと思われます。

しかし、彼のこの戦にかける意気込みは並々ならぬものがあり、決死の覚悟であったことは疑いないものでした。
ですが、かといって猪突猛進の荒武者ではなく、自分の力量を素直に認める謙虚さも持ち合わせていたようで、木津川口の戦いののち徳川勢の動きを警戒していた後藤基次に、自分は若輩であり戦場での経験がないゆえ、よろしくご指導いただきたいと申し出ています。
後藤基次はこれ以後木村重成をたいそう気に入り、常に重成を気にかけてくれたということでした。

この木村重成が、ついに戦場に立つ瞬間がやってきたのです。

その29へ
  1. 2008/05/30(金) 19:55:47|
  2. 豊家滅亡
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05月30日のココロ日記(BlogPet)

まさか、舞方雅人さんがつけるなんて!今日は眠れません。

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/05/30(金) 07:21:15|
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投稿作品ですー

g-than様の「Kiss in the Dark」にコメントをお寄せされておりますHN「ヤンデレの棺に捧ぐ」様より、当ブログに投稿作品をお寄せいただきました。

タイトルは「受胎告知」
一風変わった改造ネタSSです。
ぜひ皆様もお読みいただければと思います。


六ヶ月目に、天使ガブリエルは
ナザレというガリラヤの町に神から遣わされたダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに
遣わされたのである

そのおとめの名はマリアといった

天使は、彼女のところに来て言った
「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」

マリアはこの言葉に戸惑い
いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ

すると、天使は言った

「マリア、恐れることはない。
あなたは神から恵みをいただいた。
あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。
その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。
神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。
彼は永遠にヤコブの家を治め
その支配は終わることがない。」


ルカ1:26~33

「じゃあ行ってくるよ、神歩理(じぶり)」
マンションの一室のドアの前。
会計士の聖堂大地(せいどう だいち)は、神歩理と呼ばれた少女に甘いキスをした。
幼さの残るあどけない顔立ち。肩まで届く綺麗なピンクの髪を片側だけ結っているのは、可愛らしい花飾りのついた髪留め。ピンクのハート型のエプロン。そして首にかけたロザリオ。
「うん。大ちゃん、今日もお仕事がんばってね///」
少女は頬を赤らめる。
大地は少女を一刻でも惜しむように、少女の髪を、肩を撫で、・・・
・・・その可愛らしい姿にはきわめてアンバランスな、大きく膨れ上がったお腹に、愛おしくキスをした。
「やぁんもぉ////ご近所に見られちゃうよぉ////」
いっそう紅潮した頬に両手をあてる少女。
その左手には、指輪をはめた薬指が輝く。

聖堂神歩理、17歳。
出産を目前に控えた妊娠8ヶ月のティーンマザーである。

大地との出会いは、どれくらい昔まで遡るだろうか。
互いに代々クリスチャンの家系で、幼い頃から同じ教会に毎週通っていた二人だが、その仲が急接近したのは、神歩理が中学生になってからだ。
当時大学生だった大地は、神歩理の家庭教師をすることになった。
彼女の両親の提案で、地元の有名大学にいる大地を、ということで・・・
幼少の頃より教会のおじさんおばさん達に可愛がられ、信頼されてる大地だから、親たちは大地を家庭教師にするのを大いに勧めたのだ。
当初、神歩理は恋愛などからっきし興味なかった。
中学生という多感なお年頃といえば、どんな少女達でも色恋に華を咲かせるものだが、彼女だけはそんな気が湧かなかった。
恋愛感情とかいう以前に、学校の男子はなんだか恐くて・・・
なんというか、独特の危険性を感じて・・・。
そんな中、優しくて真面目な気質の大地は、彼女が唯一心を許せる「オトコノコ」だった。
それがいつしか、大地を「意識」するようになって・・・
自分でもびっくりするくらい、恋愛感情へと花開いて・・・。
今思えば、人生ってどこに転ぶか分からないものだ。
神歩理を意識したのは大地も同じで。
自分が恋愛なんかできるほど大層な人間だなんて思ってないし、
大学でも自分と気の合うインテリタイプの男とばかり友好関係をもっていた大地は、同年代の女性とはろくに話したこともない。
しかし、神歩理の家庭教師となってからは話が変わった。
彼女は、今どきの若い子にしては珍しい大和撫子タイプの女の子で、
可愛くて純粋で健気で気立ても良くて・・・。
日本男児なら、こんな少女とマンツーマンで対話する機会が長くなればなるほど、彼女を特別な存在として見るなと言われるほうがハメ殺しだろう。
たとえ優しくて真面目な男だとしても、だ。
それまでずっと大地のことを「大地お兄さん」と呼んでいた神歩理だが、「大ちゃん」と呼ぶようになった。
これは幼少の頃から大地と神歩理を可愛がってくれた教会のおばあちゃん達がつけてくれたニックネーム。
大地本人は「お兄さん」なんてまどろっこしい呼び方よりも親しみのあるこちらの呼び方で神歩理に呼ばれるのが相当気に入ったようで。
次第に一緒にいる時間の長くなった二人は、いつしか両親公認のカップルとなり。
時は過ぎ、神歩理は高校に進学して、大地は市役所に就職して。
親離れしたかったのだろう、実家から通勤できるのにわざわざ一人暮らしを始めた大地。
高校の女友達からは年の差カップルだとか言われた。
この段階になると、神歩理は学校が終わると大地の家にお邪魔し、ご飯作って大地が帰るのを待っていた。もちろん毎日。
月日は流れ、神歩理がそろそろ進路のことを考えなければならなくなった頃。
「神歩理・・・!一生俺と一緒にいてくれ・・・!」
両親や親戚、年配のおじちゃんおばちゃん達からは早すぎやしないかと懸念の声があった。
しかし、神父さまは大地君のような誠実な青年なら神歩理ちゃんを幸せにしてくれるだろうって言ってくれた。
もしも大地と出会っていなかったら、今より遥かにつまらない人生をおくっていたに違いない。
ただ何となく毎日を過ごして、何となく学校に通って、何となく高校に進学して、きっと場に流されるままに大学に進学して・・・。
不思議と、高校に未練はなかった。

神歩理が高校を中退したその年の6月、二人は結ばれた。

そして、現在。
彼女のお腹には、大地との愛の結晶が宿っている。
名前は二人で考えてるところ。
部屋の書棚には人名や漢字にまつわる本がズラリと並んでいる。
うち3冊は大地が持っていった。役所の休み時間がてら読むつもりで。
大地を見送った神歩理は、台所に戻って洗い物。
泡立つスポンジをお皿に、お椀に、コップにかけ、それから順々に水で洗い流して。
洗い流した食器を乾燥機にかけている途中、インターホンが鳴った。
「はーい」
お母さんかな?
こんな時期だから、陣痛で動けなくなった時などの不都合を思って実家のお母さんが家事を手伝いに来てくれる。
それにしては今日は来るのが早すぎるような・・・?
しかし、そんな疑念を大して考えることもなく、神歩理は玄関のドアを開けた。
「お幸せそうですねぇ・・・」
そこに立っていたのは、見知らぬ男だった。
突然来訪した黒いスーツ姿の中年―――
―――いや初老といったほうが適当に見える風貌の男が、不適に笑う。
「貴女のような人生の絶頂期を迎えていらっしゃる方を見ると・・・」

 

 

 

壊シタクナル。

「ん・・・・ぅ・・・・」
「おや、お目覚めのようですねぇ神歩理くん」
朦朧とした意識の中、自分の名を呼ぶ声。
声の主は、さっきの男だった。しかし、さっきと何かが違う。
黒いスーツは着ておらず、その代わりに白いスーツの上に黒いマント。
一目で他の誰よりも際立つ、異様な姿。
そして手には、あろうことか鞭と思われる危険なものを巻き付けていた。
本能が警告した―――この男には近づかないほうがいい
「あ、あの・・・・・っ!!?」
どちらさまでしょうか、と起き上がりながら言おうとしたが、体が動かない。
ようやく自身の置かれている状況に気付いた。
楕円形の台の上に大の字に固定されている神歩理は、衣服ひとつまとっていなかった・・・
・・・そう、お気に入りのエプロン、部屋着、下着、神歩理の柔肌を隠すものは何ひとつ残っていない。
それどころか、ロザリオも、髪留めも。
・・・大地がくれた婚約指輪さえも。
「きゃあああああああああああ!!!!!!!!!」
神歩理は思わず泣き叫んだ。大粒の涙を流して。
「・・・五月蠅いぞ、メスが」
男が鞭を振り下ろした。
「きゃあ゛っ!!!」
鞭は神歩理の最も大切なところに叩きつけられた。
もうすぐ大地との赤ちゃんが産まれ出る、大切な、大切な扉。
「ひぅぅ・・・っ・・ひっく・・・」
痛い!痛い!!!でもこれ以上大声を出したら、もっと痛いことされる。
悲鳴を押し殺して、嗚咽だけが漏れ出た。
「一回で分かってくれてうれしいよ、神歩理くん・・・いや、この名を名乗るのは今日で最後になるがね。」
クックックと笑いながら意味不明なことを言う男。
「おっと・・・まず自己紹介と行こうか。私はとある犯罪組織で改造人間の製造に携わる者だ。まあ、ここでは死神博士と呼んでもらおうか。」
かいぞう・・・にんげん・・・?
なんのことだが分からない。
今の神歩理は泣き叫びたい気持ちと大地の胸に還りたい気持ちでいっぱいだった。
「さて・・・それでは早速君を改造させてもらうよ」
死神博士と名乗る男は脇の医療器具のような棚から注射器を2本取り出す。
棚にはあと2本の注射器が残った。
「な、な、・・何・・・ひっく・・・するんですかぁ・・・」
人体に投与するにしては異様に大きい、ペットボトル並みに図太い注射器。
その中に充満する、不気味なまでに鮮やかな色の薬品。
どんな致死率の高い毒薬でも、こんな露骨な色はしていない。
その凶器のような針が自分に向けられている。
神歩理は悲鳴をあげたいのを必死でこらえた。
何より気味が悪いのは、4本の注射器のラベルだった。
Matthew、Mark、Luke、John
クリスチャンには馴染みの深い、キリストの生涯を綴った福音記者の名前が記されている。
「話を聞いていなかったのかね?私は人間を改造する者。君は我らの誇る改造生物兵器になってもらう、という意味だよ。
もう少し分かりやすく言うと・・・君はヒトではなくなるのさ」
「そ、そんな・・・っ!わた、私・・・お腹の子が・・・!」
「だから君を素体に選んだのだよ!」
ヒステリックな笑い声をあげた死神博士。
「お腹にエネルギーの集中した妊婦でありながらその若さ、その艶やかな肌。今回の改造にはお前のようなティーンマザーがピッタリではないか!
だいいち、妊娠しているからといってお情けをかける犯罪組織がこの世の何処にあると思うね?ハハハハ!」
「いやああああああああああああああああ!!!!!そんなの嫌ああああああああああああああああ!!!!!!!!!
助けてええええええええええええええ誰か助けてええええええええええええええ!!!大ちゃあああああん!!!大ちゃああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!」

身をよじりながら盛大に泣き叫ぶ神歩理・・・
今度ばかりは何度鞭で叩いても泣き止まなかった。
大地との愛の証が産まれ出るはずの聖なる出口が、痛々しく腫れ上がる。
「・・・仕方ない、このまま始めるか」
死神博士は、神歩理のぼっこり膨れ上がったお腹に2本の注射器を一気に突き刺す。
「いたあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い!!!!!!
痛いよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!やめてええええええええええええええええ痛いよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

悲鳴をあげる神歩理をよそに、1本、また1本・・・
とうとう4本すべての注射器が命ある臨月を貫いた。
「大ちゃああああああああああああああああん助けてええええええええええええええ!!!大ちゃああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!」
痛くて辛くて苦しくて。
こんな時に夫が助けに来てくれることを思うしかなかった。
助けて大ちゃん―――大ちゃん―――だいちゃん―――
「ひぐっ・・・大ちゃあん・・・だいちゃあん・・・」
しかし、愛する人の名を叫ぶ泣き声もむなしく、天井から無数のライトがお腹に照射される。
神歩理のお腹に変化があらわれる。
毛がはえた。お腹から赤い獣のような毛がむくむくと伸び、またたく間に毛むくじゃらになってしまう。
お腹の中で、何かがもぞもぞと蠢く。それは力いっぱい神歩理の胎内で暴れると、お腹をかち割って姿を現す。
それは、人間の赤ちゃんではなかった。
ライオンだった。獰猛なライオンの上半身が、神歩理の腹から出てきたのだ。しかもその背中には、猛禽類のものと思われる翼が備わっている。
大事なお腹の子が、こんな異形となって産まれ出た。母親にとって―――神歩理ならずともおよそ母親たるものにとって、愛するわが子がこんな事になるなんて、これほど大きなショックはない。
あまりの衝撃に神歩理は気絶してしまった。
ほどなくして、彼女自身にも変化が起きる。
下半身が羽毛に覆われ、両足が鳥の鉤爪になる。
頭から、牛の角がはえる。
素肌の白い上半身と両腕からは、無数の紅い邪眼が開き、首から両手の平、胸下に至るまで邪眼に覆われる。
最後に、その背中には、このおぞましい姿には似つかわしくない、2対4枚の純白の天使の翼が。
「だ・・い・・・・・・ちゃ・・・・・・」
泣き果てて力尽きた神歩理「だったモノ」の虚ろな瞳に、別の魂が植えつけられる。
それは、改造手術を終えて開放された彼女に、生気の灯らない、上半身の邪眼と同じ機械的な眼光を開かせた。
「目覚めよ、智天使(チェラブ)」
死神博士の言葉に応えるように、起き上がって台から降り、ライオンの前肢と鳥の鉤爪、4本足で直立した。
「はい、博士。私は智天使。偉大なる首領様にお仕えする忠実なる僕でございます。」
「ククク・・・ハーッハッハッハッハ!大成功だ!」
この組織の頂点に君臨する「首領様」のことなど死神博士は一言も喋っていない。
それを認知しているということは、彼女に生物兵器としての魂が宿った証拠だ。
「早速だがお前の試し斬りといこうか。北東太平洋海盆で米海軍と空軍が合同演習を行っているらしい。
自分達が世界で一番強いと思い上がっている傲慢な人間共に、我らの恐ろしさを思い知らせてやるがいい!」
「御意にございます」
神歩理―――いや智天使は、ライオンの背の鷲の翼と本体の天使の翼、計6枚の翼をはためかせて飛び立った。

数時間後。
軍事演習海域に飛来した“謎の飛行物体”は、お腹のライオンの口から吐いたエネルギー砲「獣王閃」によって、海を一瞬にして蒸気と化した。
そこに居合わせた軍艦や母艦、幾機もの戦闘機、空母すべてを呑み込んで・・・。
その様子をモニター越しに満足げに眺めるのは、死神博士と・・・もう一人。
「いかがでございましょうか、首領様」
『上出来だ・・・。』
博士の背後、壁に描かれた鷲のエンブレムから、通信を通して人の声が聞こえる。
「ははっ、ありがたきお言葉」
『複数の生き物を合成したキメラ怪人というから鳥や獣の利点を併せ持った何かを予想していたが・・・こんな兵器を持っていたとは。』
「はっ。この智天使は子宮に高エネルギー炉を搭載しております。胎内に新たなる命の鼓動を宿す妊婦を素体に選んだことにより、人型怪人でありながら大型兵器並みの火力を実現いたしました。」
『なるほど・・・だからあの娘を、か。しかし死神博士よ、そうなると、出産したらどうなる?怪人に変身できなくなるのではないか?』
「抜かりはありません、首領様。この智天使の最も素晴らしきは、さらに強力な焔の毒蛇―――熾天使(セラフ)を産むことです。
その赤児は普段は何の変哲もない普通の赤児ですが、我等の指令により変身すれば、全長222mの天翔る蛇となります。
その口から放たれる一閃は、都市ひとつ火の海と化しましょう・・・。
それに、二人目を妊娠すればまた智天使に変身できます。こうして聖堂神歩理は熾天使を産み続けるでしょう。
・・・今後は、その出産速度の増進のため改良を加える所存です。」
『期待しているぞ・・・』
通信は、ここで切れた。
今日はただならぬ胸騒ぎがする。
俺の知らないところで、神歩理が壊れてしまう。
神歩理が神歩理じゃなくなってしまう。
漠然とした不安に駆られた大地は、仕事が終わるや否や、一目散に自宅に駆け込んだ。
息が切れて、ゼエゼエと肩がなる。
―――神歩理―――じぶり―――ジブリ!!!
家の扉を空けると。
「だ、大ちゃん・・・?おかえり・・・」
いきなり夫がこんな様子で驚いたのだろう。
神歩理が眼を丸くして大地を見ている。
「あ、ああ・・・ただいま・・・」
いつもの神歩理だ・・・。
大地はほっと胸を撫で下ろす。
「大ちゃんどうしたの?何かあったの?」
心配そうに見つめる神歩理。
「いや・・・・・ごめんね・・」
「どうして謝るの。」
「神歩理が・・・・・・どこかへ消えちゃう気がして・・・・・・」
「そんな・・まさか・・・」
神歩理は大地にそっと寄り添う。
「私は・・・どこにも行かないよ。ずっと大ちゃんと一緒だから・・・」
「よかった・・・」
神歩理をひしっと抱き締めた大地の頬は、濡れていた。
「もうっ甘えん坊////」
大地の胸の中で愛妻が無邪気に笑う。
「大ちゃんも・・・私を置いてどっかに消えないでね////」
「ああ、消えるものか・・・」
そんな神歩理を抱き締めながら大地は、次の世代の命がトクントクンと鼓動する神歩理のお腹を優しく撫でた。
気づいただろうか、彼は。
最愛の妻の瞳も、微かに濡れていたことを。

 

ごめんね・・・大ちゃん
私はもう、あなたの知ってる私じゃないの・・・
今の私は、兵器を産む機械・・・
大ちゃんとの間に産まれる子は
みんな兵器になっちゃいます・・・
どんなに私のことを想ってくれても
その想いは兵器の材料にしか・・・・

ごめんね・・・・・・ごめんね・・・・・・

 

でも。

 


いい私と悪い私。

 

 

 

両方いるからオモシロイ




いかがでしたか。
ヤンデレの棺に捧ぐ様投稿ありがとうございました。
よろしければ皆様の拍手、コメントお待ちしております。
作者にとってはすごく励みになるものです。
よろしくお願いいたします。
  1. 2008/05/29(木) 20:31:10|
  2. 投稿作品
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食の無駄はなくしたいけど・・・

大阪の船場吉兆が廃業と言うことになったようですね。
客離れを食い止めることができなくなったと言うことのようですが、産地偽装などよりも残り物の使い回しと言うことが決定的に印象を悪くしてしまいましたね。

日本は食料の多くを輸入に頼っており、国内消費のときの無駄をいかに減らせるかが重要になってきていると思います。
安全のために賞味期限や消費期限を儲け、それを過ぎたものは廃棄する。
この廃棄される食料品が膨大な量になっていると言うのは事実です。

ですから、消費者の消費量をできるだけ正確に把握し、作りすぎたり仕入れすぎたりしないことが大事なんでしょうけど、毎日同じだけが消費されるわけでもない以上難しいことですよね。

それにしても箸もつけられていないお膳の食べ物を捨てたくないというのは気持ちはわかりますけど、使い回しと言うのはどうにも気分のよいものではないですね。
接待などでお酒しか消費されないのかもしれないですけど、箸もつけられないというのも使いまわしたくなる原因だったのかも。
出されたものを残さず食べるということも必要かもしれないかなぁ。

やっぱり古くから言われてきたことですけど、好き嫌いせずになんでも食べるのがいいのでしょうね。
それではまた。
  1. 2008/05/28(水) 19:26:26|
  2. ニュース
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どうだ・・・バカな、直撃のはずだ!

日露戦争時の旅順攻略戦や、第一次世界大戦の塹壕陣地戦の経験によって、各国陸軍は機関銃が適切に設置された陣地への歩兵突撃は、ほぼ無意味であると結論付けました。
たった一丁の機関銃が故障や弾薬の供給の問題さえなければ、一個大隊ぐらいの歩兵を釘付けにすることも充分可能だったのです。

各国は砲撃によって陣地に設置された機関銃を何とかしようとしましたが、面での制圧を目的とした榴弾砲などによる準備砲撃は直撃を狙えるものではなく、また退避壕などに入られてしまえば効果がほとんどなくなり、砲撃が終わったあとに陣地に再度設置されてしまえば、歩兵突撃の時には火力を発揮できてしまいました。

そこで、機関銃陣地に対しては準備砲撃で破壊するのではなく、歩兵の突撃時に歩兵と一緒に前進して、味方歩兵に対して火力を発揮している敵機関銃をその場で粉砕する歩兵随伴砲、いわゆる歩兵砲の考えが生まれました。

歩兵と一緒に前進する必要があるので小型で軽量であることが求められますが、そうなると大砲としての能力(射程や砲弾の破壊力)には限りがでてしまうものになってしまいます。
しかし、近距離で味方に対して火を噴いている機関銃を破壊できればいいので、射程も破壊力もそれほど大きなものである必要はなく、小型軽量に作っても充分と言うことで歩兵砲は各国で研究が始まりました。

そして、歩兵砲は二つの道をたどることになって行きます。
一つは塹壕など天井のない開放型の陣地に対して上から砲弾を降らす曲射タイプの歩兵砲。
これは発展して迫撃砲となり、歩兵支援に大いに役に立つことになります。

そしてもう一つは、トーチカや建物の窓などから撃ってくる閉鎖式陣地の機関銃を、その銃眼(開口部)目がけて砲弾を撃ち込み破壊する直射タイプの歩兵砲。
まるで大砲で狙撃をするようだとのことで、狙撃砲などと呼ばれたりもしますが、日本帝国陸軍ではこのタイプを平射歩兵砲と呼んで区別しておりました。

この平射歩兵砲の一つが、大正十一年に正式採用された十一年式平射歩兵砲です。

この十一年式平射歩兵砲は、口径37ミリ、砲身長約1.4メートル、全備重量89kg.と小型で、軽量といっても大型の火砲と比べればと言うもので決して軽いわけではないのですが、それでも四人ほどの人間で移動させることが可能という重機関銃並みの運用が可能な大砲でした。

初速は450メートル毎秒で、600メートルの距離で厚さ15ミリの装甲板を貫通することが可能と言う威力を持ち、小型対戦車砲としても1920年代としては充分な威力を持つ砲で、実際対戦車砲としても使われたといいます。

半自動鎖栓のおかげで発射速度も高く、命中精度も悪くない十一年式平射歩兵砲は敵機関銃陣地撲滅には威力を発揮するものとして、日本帝国陸軍兵士のよき支援火砲として使われました。
数量もかなりの数が製造されたといわれ、一部部隊では太平洋戦争時にも装備していたと伝えられるほど息の長い兵器だったのです。

ただ、この十一年式平射歩兵砲にも弱点がありました。
トーチカや建物の壁を撃ち抜いたり、戦車の装甲を撃ち抜くことを考えたため、砲弾が徹甲榴弾(日本帝国陸軍は破甲榴弾と呼びました)がメインで支給され、炸裂して相手にダメージを与える榴弾が用意されてなかったのです。
徹甲榴弾も炸裂はするものの、その炸裂力は微々たる物で、一説によれば手榴弾より劣る炸裂力しかなかったそうです。

そうなると、せっかく機関銃陣地に命中しても、土嚢などで爆発力が吸収されたりするとほとんど相手に被害がないということもあり、機関銃陣地に何度も撃ち込む必要があったりしたようです。
直撃してもダメージがない。
その意味では活躍し切れなかった兵器かもしれません。

それでも対中国戦では、建物や陣地に陣取る機関銃を撃破して味方の進撃を助ける場面が数多く現出し、日本の歩兵にとってはやっぱり心強い味方だったようです。
装甲の薄い戦車に対しても威力を発揮したまさに対物対戦車両用の万能砲の一つとして、あまり活躍が語られることのない日本の火砲の中では活躍した部類なのかもしれませんね。

それではまた。
  1. 2008/05/27(火) 19:52:10|
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痛いなぁ

昨日の試合で日本ハムファイターズの森本稀哲外野手が、左手に死球を受けてしまいました。

検査の結果は左手小指の骨折で、全治四、五週間かかってしまうとのことで、登録を抹消されました。
残念ですが、これで日本ハムは一番バッターと外野守備の要を一ヶ月以上失うと言う大変につらい状況になってしまいました。

坪井外野手が登録されたそうですが、とにかく起こってしまったことは仕方ありません。
何とか首位に引き離されずにがんばって欲しいものです。

それにしても各球団けが人は仕方ないとはいえ、今年は多いような感じを受けますね。
充分に気をつけてやってはいるのでしょうけど、さらに気をつけてプレイして欲しいです。

交流戦たけなわ。
各球団がんばれー。
  1. 2008/05/26(月) 19:21:29|
  2. スポーツ
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やはり勝てんなぁ

今日は札幌歴史ゲーム友の会の例会にお邪魔させていただきました。

私が顔を出したときには、すでに新しく顔を出された方々をはじめ6人の方がいらっしゃっており、その後顔を出された方々もおられまして、総勢11人と言う盛況な例会でした。

5・25(1)
私は今日も6ゾロ様にASL-SKをお相手いただきました。
写真はSK3のS25「EARLY BATTLES」のソ連側初期配置。
私がソ連軍を担当して、今日も6ゾロ様の独軍を迎え撃ちますが、こてんぱんにやられてしまいました。(笑)

その後はS19「Purple Heart Lane」をお相手いただきます。
こちらもDRで私が守備側の独軍を、今日も6ゾロ様が攻撃側の米軍を担当。
最後まで粘ったものの、満を持して設置した爆弾がHighRollでほとんどダメージを与えられないなど、結局米軍に押し切られて敗北。
二連敗となってしまいます。

このところVASLでいろいろな方に対戦していただき、少しは腕を上げたかななんて思いを打ち砕かれました。
精進するぞー!!

そのほかには以下のようなゲームがプレイされておりました。

5・25(2)
トライアンフオブカオス
ロシア内戦のゲームらしいです。

5・25(3)
アルンヘム強襲
独軍が押しつつもジリ貧とおっしゃってました。

5・25(5)
S&T誌カーン
モンゴル帝国の興亡らしいです。

5・25(4)
すみません、タイトルを失念してしまいました。
カードを使用するゲームのようです。
(失礼しました。Manoeuvreと言うゲームだそうです)

今日も楽しい時間を過ごさせていただきました。
札幌歴史ゲーム友の会の皆様、どうもありがとうございました。
またよろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2008/05/25(日) 19:24:52|
  2. ウォーゲーム
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マンティスウーマン

「ミス・スパイダー」に続く犯罪教授:案西響子ネタ第二段を書いちゃいました。
楽しんでいただければ幸いです。


「マンティスウーマン」

「術式終了」
私は大きく息を吐く。
緊張がほぐれる瞬間だ。
期せずして手術室内には拍手が湧き起こり、二階の窓から見下ろしている病院長や医局長も感嘆の表情を浮かべている。
「まさに神業」
「さすが志岐野(しぎの)先生」
口々に私を褒め称えるスタッフたち。
うふふふ・・・
悪くないわよね。
今回の手術は結構難しいものだった。
おそらくこの病院でこの手術ができたのは私だけ。
また一人私を命を救うことができた。
この充実感こそ、私が医者になってよかったって思う瞬間だわ。

「いやぁ・・・いつもながら見事な腕前でしたな。志岐野先生」
後を託して白衣に着替えた私を病院長が出迎える。
白髪の混じる初老の人で、人当たりのよさが評判の人だ。
「うふふ、褒めても何も出ませんわよ、病院長」
私は病院長の賛辞をありがたく受け止める。
褒められて悪い気はしないものね。
「先生の手術はまさに神業ですな。先生の評判のおかげで、この病院の知名度もうなぎのぼり。感謝しておりますぞ」
「ありがとうございます、病院長」
「今度一杯皆でやりましょう。お誘いしますからね」
病院長がグラスを傾ける仕草をする。
この人は何かと言うと飲むお誘いをするのだ。
「ええ、そのときは喜んで」
おごりで飲めるのは悪くない。
「病院長、志岐野先生は手術を終えてお疲れですぞ。休ませてあげないと」
あとからやって来た医局長が気を使ってくれる。
正直ありがたいわ。
今はゆっくりと休みたいものね。
「おお、これはすみませんでしたな志岐野先生。どうかごゆっくり」
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
私は病院長と医局長の二人に頭を下げ、その場をあとにした。

                   ******

「ふう・・・」
結局、自宅に戻ってきたのは夜10時。
手術が約8時間もかかったんだから仕方ないけどね。
それにしても今日は疲れたわぁ・・・
シャワー浴びてワインでも飲んで、今日はさっさと寝ちゃおうっと。
私はマンションのロックを解除してエレベーターに乗り込む。
病院からも近いこのマンションの14階が私の部屋。
夜景が結構素敵なのよねぇ。
夜景を見ながらワインを飲む。
うふふ・・・
楽しみだわぁ・・・

玄関の扉を開けて中に入る。
すると、いきなりひんやりした風が私の頬を撫でていった。
えっ?
窓が開いてた?
リビングに入ると、ベランダに通じる窓が開いていて、カーテンが風に揺れている。
閉めて出たはずなのに・・・
明かりを点けようと手を伸ばした私はドキッとして動きを止める。
「誰? そこにいるのは誰なの?」
気がつくと部屋の中央にあるソファに誰かが座っている。
暗い室内でさらに黒い服を着ているようで一瞬気がつかなかったのだ。
脚を組んで座っているその姿はボディラインがあらわになっており、女性であることが見て取れた。
私はすぐに警察を呼ぼうと、ポケットの中の携帯電話に手を伸ばす。

何が起こったのかわからなかった。
いきなり私の躰は硬直したように身動きが取れなくなったのだ。
何かが私の躰に絡まった?
すごく細い糸のようなもの。
でもものすごく強くてまったく切れない。
それどころか無理に切ろうとしたら、こちらの皮膚が裂けてしまいそうだわ。

「うふふふふ・・・無理に動かないほうがいいわよ。私の糸はちょっとやそっとじゃ切れないわ」
ソファに座った謎の女の声がする。
「誰? 誰なのあなた?」
「うふふふふ・・・こんばんは、梨花(りか)。久しぶりね」
女性が立ち上がって明かりを点けにいく。
ひどい。
ハイヒールのブーツのまま入り込んだんだわ。
フローリングの床が傷だらけになるじゃない。
カチッと言う音がして部屋に明かりが点された。
そこに立つ女の異様な風体に私は思わず息を飲む。
女は闇かと思うばかりの漆黒のレオタードに身を包み、ひじまでの手袋とひざ上までのロングブーツを履いている。
頭からはすっぽりとマスクをかぶり、口元だけが赤い唇を除かせている。
そして、そのマスクの額のところと、レオタードの胸の部分に白く蜘蛛の模様が染め抜かれていた。
「あ・・・あなたは・・・」
そう・・・
最近新聞で見たことある姿だわ。
高額な宝石や金塊なんかを奪うと言う・・・
「うふふふ・・・私はミス・スパイダー」
やっぱり・・・
彼女が警察も血眼になって追っていると言う女怪人ミス・スパイダー。

「そのミス・スパイダーが私に何の用? 残念だけどここには宝石も金塊もありはしないわよ」
私は何とかして戒めを解き、警察に連絡しようと躰を動かす。
だけど、ピッと言う音がして着ている上着の肩口が切れ、皮膚が裂けて血がにじむ。
「バカねぇ。だから言ったでしょ。動かないでって」
カツコツと足音を響かせて私のそばに来るミス・スパイダー。
「ひあっ」
驚いたことに彼女の舌が傷ついた私の肩を舐めあげる。
「ふふっ・・・これが梨花の味なのね」
彼女の口元に笑みが浮かんでいる。
「な、なぜ私の名を? あなたはいったい?」
「うふふふふ・・・それはね」
そういうとミス・スパイダーはかぶっていたマスクを取った。

私は目を疑った。
マスクの下から現れた顔。
それは私のよく知る顔だったのだ。
「奈緒美? 奈緒美なの?」
私は思わずそう叫ぶ。
声を聞いていたときからまさかとは思っていたけど・・・
警察官になった奈緒美が犯罪者のミス・スパイダーだなんて信じられるはずがない。
「うふふふ・・・ええ、以前の私は伊家原奈緒美。でも、今の私は犯罪教授様の忠実なしもべミス・スパイダー」
再びマスクをかぶりなおす奈緒美。
口元の赤い唇が妙になまめかしく見える。
「どうして? どうしてあなたがミス・スパイダーだなんて」
「どうして? これが本当の私だからに決まっているじゃない」
奈緒美は私のところに椅子を用意し、私をそっと座らせる。
そして自分はソファに座りなおしてポーチからタバコを取り出すと火をつけた。
「た、タバコはやめて。部屋ににおいがついちゃうわ」
こんなときに何を言っているのと自分でも思うけど、私はどうしてもタバコが好きになれない。
あの煙のにおいを感じるだけでも気分が悪くなる。
だいたい躰によくないものをどうして吸うのかしら。
「ふふふ・・・心配要らないわ。すぐにあなた自身がタバコを吸うようになるもの。ふうー」
見せ付けるかのようにタバコの煙を吐き出す奈緒美。
いったいどうしちゃったの?
何が彼女にあったと言うの?

「奈緒美、いったい何があったというの? あなたは犯罪を憎む警察官だったじゃない! 犯罪者を一人でも減らすんだってがんばっていたじゃない! タバコだって吸う人じゃなかったわ。高校生の喫煙をいっつも注意してたじゃない」
私は思わず声を荒げてしまう。
私の知ってる奈緒美はこんな人じゃない。
大学のときから知っているけどこんなの奈緒美じゃない。
「ふうー。そうだったかしら・・・だとしたらおろかだったのね。人は欲望のままに生きるのが正しいこと。欲しいものは奪い取らなくちゃね。タバコだってこんなに美味しいのに、吸うのをやめさせるなんてバカみたい」
「奈緒美・・・」
私は言葉を失った。
「さて、そろそろ行きましょう。響子様がお待ちかねよ」
「えっ?」
「私はあなたを迎えに来たの。響子様があなたを所望されているわ。よかったわね」
立ち上がって私のところにやってくる奈緒美。
「少しの間、おとなしくしててね」
ちくりと首筋に何かが刺される。
「あ・・・」
私の意識は急激に薄れていき、闇の中に沈みこんだ。

                      ******

「う・・・ん・・・」
ゆっくりと意識が戻ってくる。
「ん・・・」
私はゆっくりと目を開けた。
麻酔薬の影響か頭ががんがんする。
強力な麻酔薬のようだけど、使い方には気をつけて欲しいものだわ。

私は自分のおかれた状況を確認する。
どうやらがっしりとした椅子に座らせられ、手足を拘束されているようだ。
身じろぎぐらいはできるものの、立ち上がったりはおろか両手を前に持ってくることさえできはしない。
部屋は少なくとも私の部屋じゃない。
どうやって意識を失った私を連れ出したのかしら。
私のところだけスポットライトのように明かりで照らされ、周囲は闇に沈んでいる。
人の気配も感じるけど、奈緒美なのかどうかはわからない。
奈緒美・・・
どうして奈緒美はあんなに変わってしまったのだろう。
以前の奈緒美とは考え方がまるで違う。
最近は忙しくて連絡取ってなかったけど、たった数ヶ月であんなに人間が変わるものなの?

「目が覚めたようね」
声と同時にタバコの煙が漂ってくる。
「んん・・・こほん」
思わず咳払いをしてしまう私。
やってきたのは奈緒美だった。
ミス・スパイダーの衣装のまま。
スタイルのいいボディラインをそのままさらけ出している。
何を考えてこんな衣装を着ているのかしら。
「うふふ・・・タバコの煙が気に入らないようね。こんなに美味しいのに。ふう・・・」
奈緒美はわざと私のタバコの煙を吹きかけてくる。
私は顔をしかめて息を止め、極力煙を吸い込まないようにした。
「奈緒美、いい加減にして! 私をどうするつもりなの?」
煙が消えたところで私は声を上げる。
「うふふ・・・言ったでしょ。響子様があなたを所望なの。あなたも響子様のしもべになるのよ」
「響子様? 響子様って誰よ」
「こんにちは、志岐野梨花さん」
闇の奥のほうから声がする。
私がそちらに眼をやると、セーラー服姿の少女が一人、こちらに向かってくるところだった。

「お帰りなさいませ、響子様」
奈緒美がすっとひざまずいて一礼する。
私は驚いた。
このセーラー服の少女が奈緒美の言う響子様なの?
「ちょうど私が学校から帰ってくるあたりで目が覚めたのね。計算どおりだわ」
少女は奈緒美のほうに手を差し出す。
奈緒美はすぐに新しいタバコに火をつけて少女に手渡した。
「ふうー・・・初めまして志岐野梨花さん。私は案西響子。俗に犯罪教授と呼ばれているわ」
「うそでしょ? あなたが犯罪教授?」
またしても私は驚かされる。
犯罪教授と言えば、最近ネットの巨大掲示板などで話題になっている犯罪のやり方を教える先生とか。
教えを請いたいって人がいっぱいいるって聞いたわ。
「正真正銘の本物よ。といっても信じられないでしょうけどね。最近は語りや成りすましもいるし・・・ふうー」
流れてくるタバコの煙に顔を背ける私。
それを見た少女の口元に笑みが浮かぶ。
「あなたもタバコが嫌いなんだ。いいわ。大好きにしてあげるから」
「大好きにって? ま、まさかあなたが奈緒美をこんなふうに?」
恭しくひざまずいている奈緒美の姿を私は見る。
いったいこの娘はどういう娘なの?
「ええ、そうよ。思考を変えてやったの。正義を愛する警察官じゃなく、犯罪を愛する犯罪者にね」
「バカな。そんなことができるわけ・・・」
「できるのよ。私にはできるの。人間の思考を変えるのなんて簡単なんだから。ふうー」
私は目の前の少女をただ見つめるだけだった。
信じたくはないけれど、奈緒美のあの変わりようが、この少女の言葉を裏付けているからだ。

「私をどうするつもり?」
奈緒美はこの少女が私を望んでいると言ったわ。
いったい私に何をさせるつもりなの?
私の思考も変えるつもりなの?
「うふふ・・・あなた外科医なんでしょ? 手術の名人なんですってね。新聞にも名前が出てたわ」
「それはどうも」
「さぞかし人間を切り刻むのが好きなんでしょ」
「なっ」
私は少女をにらみつける。
「何をバカなことを! そんなこと・・・」
「あるわけない? うふふふふ・・・ふうー」
灰皿でタバコをもみ消す少女。
決して躰にはよくないのに・・・
「ねえ、あなた人殺しは好き?」
「ええっ?」
「人殺しよ。さぞかしたくさん殺してきたんでしょ?」
私は怒りで沸騰した。
「ふざけないで! 私は医者よ! 一人でも多くの人の命を救うのが仕事なのよ!」
「あははは、怒らなくていいわよ。そんなのわかっているわ。でも、あなたは人殺しが好きなのよ」
何をバカなことを。
「いい加減にして! 人殺しが好きだなんて絶対にありえない! 私をバカにしないで!」
私がそう怒鳴りつけると、少女の手が私の額に伸びてきた。
そして、そのまま手を開き、手のひらを私の額にかざしつける。
何をするつもり?
まさか私の思考を変える?
そんなことができるはずが・・・
だいたい私は響子様があんまり変なことを言うから・・・

「うふふふ・・・」
にこやかに笑みを浮かべて私の手足の拘束をはずしてくれる響子様。
私は手首をさすって血の巡りを回復させる。
「どう?」
響子様がタバコを一本差し出してくれる。
「あ、ありがとうございます」
私は響子様自らが差し出してくれたことにうれしさを感じた。
受け取った一本を口にくわえると奈緒美がすっと火をつけてくれる。
ああ・・・ごめんなさい。
奈緒美なんて言っちゃいけないわね。
ミス・スパイダーですものね。
「ふう・・・ゲホッゴホ」
「だめよ、ゆっくり吸わないと」
「す、すみません。響子様」
せっかくいただいたタバコをむせてしまうなんてだめな私。
でもタバコっておいしいわぁ。
こんな美味しいものを今まで吸わなかったなんてバカみたい。

「はい、これに着替えて」
響子様が奥のほうから紙袋を持ってくる。
「ふうー・・・あ、はい」
むせないようにゆっくりとタバコを楽しんでいた私は、すぐに言いつけどおりに着替えにかかる。
響子様が持っていらっしゃった紙袋には、なんかいろいろと入っていた。
「これは・・・レオタードですか? 響子様」
私は取り出した濃緑色の布を広げてみる。
すべすべつるつるの手触りのよさ。
これは着たら気持ちいいだろうな。
「強化レオタードよ。防刃になっているから少々のダメージは防いでくれるわ」
「ありがとうございます。早速着てみますね」
私は今まで来ていたものをすべて脱ぎ捨て、生まれたままの姿になってこのレオタードを着用する。
肌に密着する布の感触が気持ちいい。
うふふ・・・
これって胸のところに小さく白抜きでカマキリの模様が入ってるわ。
カマキリだから濃緑色なのね。

次に私は同じ濃緑色のひざ上までのロングブーツを履く。
脇のファスナーを止めるとヒールが高いから背が高くなったような気がするわ。
そして同じく濃緑色のロンググローブ。
これもしっかり手に嵌める。
最後は頭にかぶる濃緑色のマスク。
これには左右に昆虫の複眼のようなものがついている。
私は髪の毛をまとめてマスクをかぶる。
ミス・スパイダーと同じく口元だけがさらされるんだわ。
見づらいかと思ったけど、そんなことないのね。
これで完成。
私はうきうきしながら鏡を見た。
濃緑色に包まれた私。
マスクについた頭の左右の昆虫の複眼のようなものが、まさにカマキリっぽい外見を見せる。
でも・・・
何かが物足りないわ。

「あとはこれよ」
そう言って響子様が差し出したのは、鋭い刃のついた手鉤のようなもの。
私はすぐに受け取ると、両の手首に装着する。
手首に固定された鋭い刃が手の甲の上を通り、指先から三十センチほど先まで伸びている。
あは・・・
まさしくこれはカマキリの鎌だわ。
これなら何でも切り刻めそう。
私は思わず銀色に輝く鋭い刃を舌でぺろりと舐めていた。

「うふふ・・・これで今日からあなたはマンティスウーマン。人殺しが大好きな邪悪な女怪人よ。思う存分人間を切り刻むといいわ」
「ありがとうございます響子様。私はマンティスウーマン。人間を切り刻むのが大好きですわ。ああ、誰でもいいから早く人を切り刻みたい」
響子様のお言葉が私の心に染み渡る。
ああ・・・そうよ・・・私はマンティスウーマンなんだわ。
「その左右の複眼は暗視ゴーグルになっているわ。夜間行動のときは使うといいわよ」
「そうなんですか? ありがとうございます」
私は本当にうれしかった。
もう早く人を殺したくてうずうずする。
どうしよう・・・
私こんなにも人殺しが大好きなんだわ。
響子様ぁ・・・遊びに行ってきてもいいですか?

                      ******

どさっと音を立てて男が一人倒れこむ。
肉の切れる感触が心地いい。
もうそれだけで私はイッちゃいそうになる。
「な、何だ、お前は?」
護衛役とも言うべき秘書を倒され、がたがたと震えて腰を抜かす中年男。
一流上場企業の重役だけど、見苦しいったらありゃしない。
「うふふふ・・・私はマンティスウーマン。以後お見知り置きを」
私はそう言って刃に付いた血を舐める。
美味し。
人を切り刻むのは格別。
こんな中年の脂ぎった男を切り刻むのじゃなきゃもっと楽しいんだけどね。
「ま、マンティスウーマン?」
「ええ、そうよ。でも覚える必要はないわ。あなたはここで死ぬんですもの」
私は両手の刃を振り下ろす。
「ギャーッ!」
ざっくりと刃が通る瞬間、私は最高のエクスタシーを感じてしまう。
ああ・・・
なんて気持ちがいいのかしら。
これもすべて響子様のおかげ。
犯罪教授として名の通った響子様の下には、いろいろな依頼も舞い込んでくる。
その中で私は暗殺を担当し、こうして楽しませていただいているの。
そろそろ警察も動き始めるころだわ。
私は絶命した男を少しだけ切り刻み、遊んでからその場をあとにする。
命を救うなんてバカらしい。
命は切り刻んでこそ。
私は口元に笑みが浮かぶのを止められなかった。

以上です。
ついついこういった蛇足を書いちゃいました。
反響があるとやっちゃうんですよねー。(笑)

よろしければ拍手やコメントをいただけるとうれしいです。
すごく励みになります。
よろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2008/05/24(土) 20:12:49|
  2. 犯罪教授響子様
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歴史群像2008年6月号

昨日一昨日と投下しました「ある主婦のパート」ですが、まあまあ皆様に楽しんでいただけたようでほっとしています。
自分としては異常なことを異常と思わなくなっていく心のゆがみが好きなもので、そこを書いていったつもりなんですが、皆様にはうまく伝わりましたでしょうか。

今日は雑誌の紹介です。
いつも購入して読んでいる学研の「歴史群像」2008年6月号、先日読了いたしました。
今回もいろいろと楽しめる記事が多く、大変勉強になりました。

第一特集は第二次世界大戦時にドイツの空を席巻したアメリカ第八航空軍で、主要装備となったB-17とともに第八空軍の成立からドイツ降伏までの道のりが記事になってます。
あらためてB-17の生残性の高さと、護衛戦闘機無しの時期のつらさなどがわかりました。
また、私の好きなTRPGに防具として登場したフラックジャケット(防弾着の一種)のネーミングの由来が、ドイツの高射砲の略号Flakから来ているというのも、恥ずかしながら始めて知りました。

そのほかの記事では日本航空機銃史がやはり勉強になりました。
日本独自の技術と考えられがちな日本の陸海軍機ですが、大本は欧米の技術の模倣であり、搭載機銃(砲)に関してもエリコン社のものやブローニングM2のコピーなどほとんどすべて欧米の模倣だったんですねぇ。

対戦車銃や呂号潜水艦、アメリカのグレートホワイトフリートの世界一周などの記事も楽しく読めました。
歴史に興味のある向きの方は、一読されてもいいと思いますよ。

それではまた。
  1. 2008/05/23(金) 19:41:23|
  2. 本&マンガなど
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ある主婦のパート(2)

「ある主婦のパート」二回目です。
この作品はこれで終了です。
本当は三回ぐらいに分けようかとも思ったんですが、切りのいいところがなくて結局二回で投下しました。
読んでくださる方にはこの方がよかったかな?

それではどうぞ。


う・・・
頭ががんがんする・・・
私・・・どうしたんだったっけ?
私はゆっくりと上半身を起こす。
どうも更衣室でそのまま倒れてしまったらしい。
ソファに寝かされていたようだわ。
「目が覚めたようね」
「あ、はい」
指導担当の先輩が私に水を差し出してくれる。
私は一息に水を飲み干すと、ようやく頭もすっきりする。
「私・・・どうしたんでしょう?」
どうして倒れていたのかいまいち思い出せないわ。
「気にしなくていいわ。ブラッキー薬の一種の副作用だから。もう大丈夫なら付いて来なさい」
「あ、はい」
私は躰を起こすと先輩のあとに続く。

先輩についていく途中、ここでのいろいろなしきたりを教わった。
組織員同士の挨拶は右手を斜め前に上げてヒーッと声を出す。
朝、鎌桐さんに見せたあれは挨拶だったんだわ。
それとワールドブラックの活動は秘密。
絶対に他人には漏らしてはいけない。
たとえそれがどんなに親しい間柄の人でもだ。
雄太さん、ごめんね。
あなたにも絶対言えない秘密なんですって。
先輩のナンバーはγ(がんま)63号って言うらしい。
やっぱり最初はパート採用だったそうなんだけど、今では身の回りを始末して正構成員の実働部隊員に昇格したそう。
だからあんなにきびきびしているのね。
今では工場長のカマキリ男様と言う方の下で監視員のチーフをやっていて、私の直属上司と言う形になるらしい。
まだ若いのにすごいよね。
先輩といっても私と同年代ぐらいだわ。
私もがんばらなくちゃ。

「「ヒーッ!」」
「「ヒーッ!」」
地下工場ブロックの入り口を警備する男性構成員と挨拶を交わす私たち。
黒の全身タイツは強化服だそうで、彼らは戦闘員と呼ばれているとのこと。
何でも私もパートとはいえ、女戦闘員δ167号と言うナンバーをもらったので、いざと言うときには戦闘もしなくてはならないらしい。
そのために出張があるんだとか。
うう・・・
私に勤まるかしら。

工場ブロックにはさまざまな機械があり、いろいろな部品が吐き出されている。
それをとなりの区画で組み立て、武器として完成させるのだ。
ワールドブラックは武器を世界中にばら撒いて、社会を混乱に落としいれ、裏から世界を操る組織と言う。
首領様の下、一丸となって目標達成に努力中なのだ。
私はその組立部門で働く奴隷たちの監視役。
単純だけど重要で気が抜けないと言うわ。
それにしても現代の日本で奴隷がいるとは思わなかったわ。
奴隷狩りで集めてくるって言ってたけど、どんな人たちなのかしら。

そこにいたのは若い高校生ぐらいから六十歳を過ぎたぐらいまでの老若取り混ぜた男性だった。
ただ、一ついえることは、いずれも覇気がなく無言で黙々と作業をしていると言うこと。
何かこうよどんだ空気みたいのすら感じるような・・・
こんな男たちだから奴隷になるんだわ。
自業自得よ。

「今日からここがあなたの担当よ」
「わかりましたγ63号。でも監視って何をすれば・・・」
そう言った私にムチが手渡される。
あの長いムチとはちょっと違う乗馬用の短い奴だ。
「こいつらはちょっと目を離すとすぐにサボるわ。どうしようもないくずどもなの。サボっているところを見つけたらこれで容赦なくぶちなさい。死んだって変わりはすぐ補充できるからかまわないわ」
え~っ?
死んでもかまわないなんてすごいわ。
奴隷の補充態勢が整っているのね。
でも、ムチで叩くってうまくできるかしら・・・
「戸惑っているようね。あそこの男を御覧なさい」
「はい」
指し示された位置には一人の奴隷が青い顔をしてハアハアと苦しそうにしながら銃のようなものを組み立てていた。
「手元を御覧なさい。部品がいくつも滞留しているわ。作業がぜんぜんはかどっていないのよ。一発背中を叩いてきて」
「あ、はい」
私は言われたとおりにその男のところへいく。
「す、すみません・・・今朝から具合が悪いんです」
私が来たことで男はおびえるようにして謝ってくる。
具合が悪いって言っても、作業を遅らせるわけには行かないわよね。
それに私は監視役なんだから、この奴隷を働かせなくちゃ。
「文句を言わないで働きなさい!」
私は手にした乗馬ムチで男の背中を叩きつける。
「うわあっ」
男は痛みに耐えかねて一度作業台に突っ伏するが、必死に起き上がって作業を始める。
うんうん、それでいいのよ。
それにしても気持ちいいものね。
奴隷をムチ打つって快感だわぁ。
うふふ・・・
癖になりそう。

「これでいいですか? γ63号」
「うふふ・・・ブラッキー薬のせいで状況を判断することができなくなってきたようね。言うことを素直に受け入れているわ」
「えっ? どういうことですか?」
今のはいったいどういうことかしら。
何かおかしなところがあったかしら・・・
「気にしなくていいわ。後は時間までこいつらをサボらせないこと。いいわね」
「はい、γ63号」
私は作業場のほかの監視役たちに今日から加わったことを告げ、いろいろと教わりながら奴隷たちをムチ打った。
先ほど私がムチ打った男は途中で心臓発作を起こしたようだったけど、すぐに補充が来たのでかえって作業ははかどった。
こうして私の初日は終わり、後は正構成員の人たちに引き継いで衣装を着替え、工場をあとにした。

「ただいま」
「お帰りなさい」
私は玄関に雄太さんを出迎える。
雄太さんが帰ってくるのはだいたい夜の七時半から八時ごろ。
私のほうが当然早い。
「疲れたー」
着替えを終えてテーブルに着く雄太さん。
ふふ・・・お疲れ様。
「仕事行ってきたのかい?」
「ええ、行ってきたわ」
私は夕食のおかずをテーブルに並べていく。
ごめんね。
今日はちょっとだけ手抜き。
スーパーで出来合いのとんかつを買ってきてキャベツを刻んで載せただけ。
なんだかやっぱり疲れちゃったのか、躰の調子がいまいちなのよ。
「どうだったい?」
「ええ、あなたの言ってた通り作業を見守るだけみたい。簡単だし結構面白いわ」
「そうか、そりゃよかったな。お、とんかつか」
私は冷蔵庫から缶ビールを出してあげる。
「サンキュ。ぷはー、うまい」
雄太さんたら本当においしそうに飲むわね。
でも、なんだかムカムカする。
食欲もないし・・・
やっぱり疲れたのかな?
今日は早く休もう。
私は早々に食事を切り上げると、雄太さんには悪いけど先に横にさせてもらった。

                     ******

「ヒーッ!」
私はいつものように入り口を抜け、更衣室で強化レオタードに着替える。
今日でもう二週間。
着慣れたレオタードにさっと着替え、ブーツと手袋などを身につけてアイシャドウなどのメイクをする。
終わったところで用意されているブラッキー薬を一本飲んで準備完了。
最初はいやだったけど、飲みなれるとブラッキー薬のほろ苦さがたまらない。
躰の方もずいぶん強化されてきたようで、今ではリンゴを握りつぶすぐらいは簡単なこと。
なんだか最近はメイクをしなくてもうっすらシャドウがかかっているかのような感じだし、唇も黒っぽくなった気がするわ。
そういえばδ148号はメイクしなくてもよくなったようなこと言ってたわね。
そのうち私もそうなるのかしら。
うふふふ・・・
そうなったら家でもこの姿でいようかな。
雄太さん驚くかしら。
ううん・・・
ただ驚くだけじゃ許さないわ。
今度からδ167号って呼んで欲しいな。
昨日もそうだったけど、美乃里って呼ばれてもぴんと来ないのよね。
ナンバーで呼ばれるのに慣れちゃったせいかしら。
でも、ナンバーのほうがシックリくるのよね。
さてと、奴隷どもをしっかり働かせないとね。
うふふふふ・・・

「聞け! 戦闘員ども」
「「ヒーッ!」」
いっせいに右手を上げて敬礼する私たち。
午後になって工場長のカマキリ男様が参られたのだ。
我がワールドブラックの誇る改造人間であるカマキリ男様は、鎌桐と言う名前で工作活動にも従事されている。
私もカマキリ男様によってこの工場に配属されたんだったわ。
素質のある人間にしか見えないという特殊インクで印刷されたチラシ。
そのチラシで私は選ばれたのよ。
ああ、なんていう幸運だったのかしら。
私はこれからもずっとワールドブラックに忠誠を捧げるわ。
「奴隷の補充が行われた。担当の戦闘員は直ちに奴隷を作業に当たらせろ」
「「ヒーッ!」」
逆三角形の頭部を持つカマキリ男様が、右手の鎌を振るって指示を下す。
私たちはすぐに牢獄に入れられた奴隷を受け取りに行かねばならない。
同僚たちとともに私も向かおうとしたとき、γ63号が私を呼んでいることに気がついた。

「お呼びですか、γ63号」
ふと見ると彼女のとなりにはぼうっとした表情の高校生ぐらいの女の子がいる。
ハイネックのレオタードもまだまだ着こなせていない様子で、新入りであるのは明らかだった。
「δ171号よ。まだブラッキー薬の副作用でぼうっとしているけど、今日から監視役の一人に回すわ。みんなで面倒を見てあげてちょうだい」
「ヒーッ! かしこまりました。さあ、δ171号いらっしゃい。奴隷たちをこき使う楽しさを教えてあげるわ」
私はγ63号から彼女を預かると、ついてくるように促した。
なんとなくおどおどした様子で後をついてくるδ171号。
うふふふ・・・
可愛いわ。
私も二週間前はこうだったのね。

δ171号をつれて作業場に向かうと、すでに補充の奴隷たちが配置につかされていた。
うふふふ・・・
結構生きのよさそうな感じね。
あの男は大学生ぐらいかしら。
逃げ出そうとして暴れてくれないかしらね。
そうしたらみんなでたっぷりといたぶってやるのにね。
奴隷たちは私たち監視役が女だということで舐めてかかってくるくせがある。
だからたいてい一度は反抗してくれるのだけど、私たちワールドブラックの女戦闘員がそんなにやわなわけないじゃない。
私だってもう単独で奴隷二人ぐらいならあしらえるわ。
δ133号あたりなら華麗なムチ捌きで奴隷が三人かかったって敵わないでしょう。
私はδ171号を紹介するべく、みんなが集まっているところに進み出た。

「えっ?」
私は思わず脚が止まる。
補充で入ってきた奴隷の一人の顔を見た瞬間、動けなくなったのだ。
「あなた・・・」
「ん? ま、まさか美乃里・・・」
作業台につかされていたのは雄太さんだった。
どうしてこんなところに雄太さんが・・・
「み、美乃里。お、お前どうしてこんなところに・・・」
「あなたこそどうして? ここは私の職場よ。私はワールドブラックの女戦闘員としてここで監視役を務めているの」
仲間たちが何事かと私の方を見る。
どうして雄太さんがこんなところに・・・
「か、監視役? お前、あの化け物の仲間なのか?」
「化け物って・・・あなた失礼よ。カマキリ男様はこの工場の工場長なんですから」
まったく・・・人を化け物呼ばわりなんてどうかしているわ。
そんなことだからここへ連れてこられるのよ。
「た、助けてくれ美乃里。俺は仕事で外出中に襲われて連れてこられただけなんだ。なんかの間違いだよ」
雄太さんはすがるように私の両肩に手を置いた。
私はちょっとムッとした。
間違いですって?
ワールドブラックに間違いなんてあるわけないわ。
それになれなれしく私の肩をつかむなんてどういうつもり?
ここに来たからにはお前は奴隷なのよ。
武器を作る奴隷なのよ。
わかっているの?
監視役に手を触れるなんて赦さないわ。

「手を離しなさい! ゲスが!」
私は彼の両手を払いのける。
「うわ、あ、み、美乃里」
しりもちをつき、驚いたように私の顔を見上げる男。
「美乃里美乃里ってうるさいわね。私はワールドブラックの女戦闘員δ167号よ。奴隷のくせに私を変な名前で呼ばないで!」
私は乗馬ムチを手に取ると、二度三度と叩きつける。
ああ・・・
そうよ・・・
何でこんな男と今まで一緒に暮らしてきたのかしら。
ここにいるってことは戦闘員にもなれぬくずじゃない。
あのチラシだって読めないはずよね。
こんな男だったなんて最低よ。
男は頭を抱えてうずくまる。
何をやっているのこの男は?
ぐずぐずとうずくまっていて。
私は男のわき腹に蹴りを入れると、苦しんでいる男に向かって言い放った。
「さっさと作業につきなさい。ぐずぐずしていると食事も睡眠も与えないからそのつもりでね」
「み・・・美乃里・・・」
私はもう一度蹴りを入れてやった。

「うふふふ・・・これでもうあなたは立派なワールドブラックの正構成員の仲間入りね」
私の背後から声がかかる。
振り向くとγ63号が腕組みをしながら私の様子を見ていたのだ。
「ヒーッ! 申し訳ありません。すぐにこの男も作業に当たらせます」
「うふふ・・・いいの? その男、あなたの夫なんでしょ?」
「違います。こんな男はもう夫などではありません。ただのくず奴隷です」
私は憎しみを込めて男を見る。
今までこんな男に愛情を持っていたなんてぞっとする。
「それでいいわ。これで身の回りを始末したあなたはどこへも戻る必要がなくなった。今日からはここの一室を使いなさい」
「ヒーッ! ありがとうございます」
そうだったんだ。
身の回りを始末することで正構成員になれるんだわ。
うふふふ・・・
こんなことならもっと早くこいつをここへ連れてくるんだったわね。
でもいいわ。
今日からはもうパート構成員じゃない。
ワールドブラックの正構成員よ。
いいところに就職してよかったわぁ・・・
これからが楽しみよ。
私は喜びに打ち震えて、まだ床に転がっているくずのわき腹を蹴飛ばした。

END

以上です。
よろしければ拍手や感想をくださいませ。
拍手や感想はとても励みになりますです。
よろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2008/05/22(木) 20:37:14|
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05月22日のココロ日記(BlogPet)

ココロって、惜しいですか……?

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/05/22(木) 08:15:11|
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ある主婦のパート(1)

え~と、性懲りもなくまた妙なものを書いてしまいました。
内容もまあ、いつものごとくのものでございます。

それでもいいよってお方はどうかこの下をお読みくださいませ。
今日明日で一本の短編を投下いたします。
楽しんでいただければ幸いです。


「ある主婦のパート」

ふう・・・
私は電卓を叩きながらため息をつく。
「今月もぎりぎりだわ・・・」
目の前の家計簿と銀行通帳の預金残高、レシートの山を前にして私はついもう一度ため息をつく。
世知辛い世の中だわ。
何でもかんでも値上げ値上げ。
贅沢品なんて物じゃなく生活必需品がこうして値上げになっているのに、夫の手取りは変わらない。
ううん・・・
雄太(ゆうた)さんは充分がんばってくれているわ。
でも、会社の業績が上がらなければ、いくらがんばってもお給料は上がらないものねぇ・・・
ハア・・・
雄太さんは嫌がるけど、やっぱり私もパートに出ようかしら・・・
専業主婦でただこうしてため息をついているのも芸がないものね。
子供ができたら働けなくなるんだし、今のうちに少しでも貯金できればいいしね。

私は早速何か手ごろなパートはないかとまずは新聞広告やチラシを覗いてみる。
うーん・・・
レジ係や新聞配達・・・ポスティング・・・
どれもパッとしないわね。
あら?
これは何かしら?
“求む人材”ですって?
なになに、このチラシを読んだあなたは選ばれた人材です?
すばらしい世界があなたを待っています。
当組織で能力を発揮し、あなたの世界を変えてみませんか?
高給優遇、詳しくは面接で・・・か・・・
なにこれ?
なんか変なの。
大体仕事の内容も会社名も書いてないじゃない。
でも・・・
どうしよう・・・
なんか気になるわぁ・・・

「ねえ、あなた」
夕食後にくつろいでいる夫に私は話しかける。
「うん、なんだい?」
テレビのほうを見たまま振り向きもしない雄太さん。
もう・・・
ナイターのあるときはいつもこうなんだから。
そんなに野球が好きなのかしらね?
「この間も話したけど、やっぱり私パートにでてみようと思うの。少しでも余裕があれば先々安心だし・・・」
「その話か」
テレビを消してこちらに向き直ってくれる雄太さん。
うれしいな。
こういうところがこの人のいいところなのよね。
「確かに僕の給料が安いせいで君には苦労かけているからなぁ・・・」
「あ、そんなことないのよ。ただ、少しでも貯金ができれば、子供ができたときとかにも安心だと思うの」
「うーん・・・」
腕組みをして渋い表情の雄太さん。
やっぱり私にうちにいて欲しいのかしら。
「とりあえず面接だけでも受けてこようと思うの。気になる求人があったのよ」
「ほう・・・どれだい?」
私は雄太さんに昼間見たチラシを見せる。
「ん? なるほど、ビル清掃か。美乃里(みのり)は綺麗好きだからいいかもな」
えっ?
ビル清掃?
そんなこと書いてあったかしら?
私は雄太さんからチラシを返してもらって再度見る。
変ねぇ・・・
どこにもそんなこと書いてないと思うけど・・・
「まあ、それなら面接に行っておいでよ。受かったらそのときは働けばいい。ホントは家にいて欲しいけどね」
きょとんとしていた私だったが、雄太さんが許可してくれたのには驚いた。
「いいの?」
「ああ、もっとも、この世の中だ。とってくれるとは限らないよ」
「それはそうよねぇ」
確かにそうよね。
私みたいに何のとりえも資格もない主婦じゃ、企業もとってくれないかも。
でも、まあ、面接に行ってみるわ。
私はそう決めて、再びナイターを見始めた雄太さんをあとに食事の後片付けをし始めた。

                      ******

「ここだわ」
翌日私はチラシに記されていた面接場所にやってきていた。
電話連絡をしたら、午後からでもすぐ来て欲しいとのことだったので、とりあえず身支度を整えてやってきたのだ。
面接場所は何てことない雑居ビルである。
いくつもの小さな事務所が入っているようなところであり、どうやらその三階が目的地のようだった。

「ワールドブラック? 聞いた事無い会社よね」
まあ、大規模求人誌じゃなく新聞折込チラシで求人するぐらいだから、小さい会社なんだろうけどね。
私はコンコンとドアをノックする。
『どうぞ』
すぐに中から返事があって、私はノブを回してドアを開けた。

「いやぁ、この地区は応募がほとんどなくてあきらめていたところだったんですよ。あのチラシを読めた人がいてよかった。」
私は応接セットに案内され、スーツを着た中年の男性が私に正面に座るよう手で示す。
チラシを読めた人ってどういうこと?
チラシなんて誰だって読めるじゃない。
私は変なことを言うなぁと思いつつも、言われた通りに腰を下ろす。
「私はワールドブラックの人事を担当しております鎌桐(かまぎり)と申します。さて、早速履歴書を拝見させてください」
「あ、はい」
私は履歴書を取り出し提出した。
うう・・・
緊張するわぁ・・・
「ふむふむ・・・主婦の方でしたか・・・特に目立ったところもなし・・・埋もれていた人材か?」
面接担当の鎌桐さんがうんうんとうなずきながら、私の履歴書に目を通す。
私はどきどきしながらその様子を見ているだけ。
ああ・・・
どきどきするよぉ・・・

「はい、OKです。明日からこられますか?」
えっ?
何の質問も無しなの?
どういうこと?
「えっ? えと、明日からって? 採用・・・なんですか?」
私は恐る恐る訊いてみる。
「はい、採用です。いやぁ、もともとあのチラシを読める方なら無条件なんですよ」
鎌桐さんがニコニコしてそう言った。
「チラシを読めるって・・・チラシぐらい誰でも読めるんじゃないですか?」
「ハッハッハ、いやまぁ、詳しいことは明日お教えしますよ。それよりも勤務条件を確認しますが、基本は当組織の施設での内勤です。時間は九時五時と言うところですが、場合によっては残業もありますし、出張もあることがあります」
「出張も?」
私は驚いた。
パート採用なのに残業はともかく出張もあるなんて・・・
雄太さんになんて言おうかしら・・・
「ハハハハ、ごくまれにと言うことです。奥さんはパート採用ですから、基本は施設での監視役と言うところでしょう」
「監視役?」
なにそれ?
何を監視するというのかしら・・・
「ええ、施設内での監視役と言うか見張り役のようなものです。当組織は実力主義ですから、奥さんのようなパート採用でも成績がよければ正構成員にもすぐなれますし、お給料も気にならなくなりますからがんばってくださいね」
「はい、がんばります」
なんか変なこと言われたような気もしたけど、採用されたからにはがんばろうと思って私はそう返事した。

「ワールドブラック? 清掃会社じゃなかったっけ?」
私は仕事から帰ってきた夫に今日面接に行ってきたことを伝え、採用になったことを報告したのだ。
「違うみたいよ。それでね、早速明日から来て欲しいんだって」
「そうか・・・採用されたんなら仕方ないよな。がんばっておいで」
冷蔵庫からビールを取り出して飲み始める雄太さん。
やっぱりちょっと複雑そう。
「ええ、でも家事はちゃんとやるから心配しないでね。基本五時までだし。あ、でもたまに残業入るかも」
「残業あるのか? いったいどんな仕事なんだ?」
私が用意したちくわにチーズを詰めたものをつまむ雄太さん。
「それがね。なんかの監視役なんだって。詳しくは明日教えてもらうんだけど、いったい何を監視するのかしら」
食事の用意ができた私は、テーブルにそれらを並べていく。
今日は採用が決まったから、一応はちょっとしたお祝いのつもりでお刺身を用意。
まあ、スーパーで特売をしていたってのもあるんだけどね。
「監視役? ああ、多分流れ作業で作られる製品がきちんと作られていくか見ている作業じゃないのか? パートで人募集するったらそんなものだろ」
あ、なるほど。
確かにそれは監視役よね。
うん、それなら私にもできそうだわ。
「お、おいしそうだ」
運ばれてきたお刺身に眼を輝かせている雄太さん。
うふふ・・・
お刺身大好きだもんね。
「でしょ、今日はひらめが結構安かったのよ。だから奮発しちゃった」
「うんうん、うまそうだよ。いただきます」
私は雄太さんにご飯をよそってあげ、おいしそうに食べ始める姿に温かいものを感じていた。

                      ******

翌朝、私は雄太さんを送り出すと、すぐに身支度をして出勤する。
昨日の面接場所にいくと、鎌桐さんが待っていて、組織の施設と言うところに車で連れて行ってもらう。
そこは町外れの山すそにある寂れたような工場で、周囲には林が広がる殺風景な場所だった。
「こちらへ来なさい」
「あ、はい」
私は鎌桐さんに促され、工場の敷地内に入っていく。
あちこち赤錆だらけの工場は、見たところ稼働しているようには見えないけど・・・
今にも崩れそうな建物はガラスもあちこち割れていて、とても人が手入れをしているようには見えない。
本当にここが仕事場なのかしら?
もしかして私だまされている?
何かいやな感じがしたけど、とりあえずついていくと、建物の中に入り込む。

建物の中も荒れ放題といった感じだけど、外見ほどじゃないわ。
今にも崩れそうって感じに見えるけど、中だとそうは感じないわね。
カツコツと足音が響く。
やがて廊下が壁に突き当たったと思うと、そこには驚いたことに髑髏の文様が浮き出ていた。
何なのこれは?
悪趣味だわ。
「カマキリ男だ。新入りをつれてきた。開けろ」
鎌桐さんがいきなり壁に向かって声をかける。
何なの、いったい?
すると、いきなり突き当たりの壁がするすると横にスライドし、下に通じる階段が現れる。
「来い」
「は、はい」
妙に高圧的になった鎌桐さんにそういわれ、私は仕方なくあとについていく。
うーーー
あんまり変なところならやめてやるんだから。

驚いたことに階段を下りると壁が綺麗なコンクリートで作られている通路に出た。
地下はきちんと整備されているみたい。
それにしても地上の建物はほったらかしで、地下で作業しているのかしら?
「ヒーッ!」
「ヒーッ!」
「ええっ?」
私は思わず声を上げてしまう。
だって、廊下の突き当たりに全身を黒いタイツで覆った二人の男性が立ってて、しかもいきなり右手を上げて奇声を発するんだもん。
びっくりしちゃうわよ。
しかもこの人たちったら、顔を赤や黒で塗りたくり、ベレー帽をかぶって腰には髑髏のバックルのベルトを付けている。
何かのコスプレ?
ここはいったいどういう会社なの?

「来い」
彼らの立っていた背後の壁がまたしてもスライドすると、鎌桐さんが私を促す。
左右によけて道を開けた黒タイツの人たちが私を見ている。
うう・・・
変な会社に入っちゃったわ。
どうしよう・・・

「ここが更衣室だ。ロッカーの中には制服が一式入っている。着替えろ」
通路をちょっと行ったところで、私は一つのドアを指し示された。
どうやらここが更衣室らしいけど、ドアに何も書いてないのでよくわからない。
スライド式ドアはボタンで開閉するようになっているらしく、鎌桐さんがドアの脇のスイッチを押すとスライドした。
「すぐに指導の者をよこす。それまでに着替えていろ」
私を突き飛ばすように部屋の中に押し込め、鎌桐さんはドアを閉めてしまう。
何なの?
朝とずいぶん態度が違うわ。
でも、とりあえず着替えなきゃ・・・
私はいくつもあるロッカーの一番手前のものを開けてみる。
別に言われなかったからどれでもいいとは思うんだけど・・・
って、ちょっと待って。
何なのこれ?
ハンガーにかかっているのは黒いハイネックのレオタード?
それにロングブーツに手袋に網タイツ?
これが制服なの?
あわわわ・・・
どうしよう・・・

私がロッカーの前で固まっていると、いきなりスライドドアが開く。
振り返った私の前には、すらっと長身でとても美人の女性が立っていた。
でもその格好は普通じゃない。
黒いハイネックのレオタードを身にまとい、網タイツの上に黒いロングブーツを履いて、手にはひじまでの手袋を嵌めている。
腰には赤いサッシュを巻き、目にはべっとりとアイシャドウを塗り、唇は黒の口紅で黒く染まっているのだ。
しかも手には長いムチまで持っている。
「あ、あの・・・」
私が挨拶したものかどうか迷っていると、彼女は私をにらみつける。
「まだ着替えていないのね? 戸惑うのはわかるけど、さっさと着替えなさい」
「着替えるって・・・これにですか?」
私は恐る恐ると言う感じでロッカーの中を指し示す。
すると彼女はゆっくりとうなずいた。
「そうよ。下着もすべて脱いで着替えなさい」
「どうしても・・・ですか?」
うう・・・恥ずかしい。
このところ運動をサボっているから躰の線も崩れているし、できれば着たくないわ。
「早く着替えなさい! δ(でるた)167号」
いきなり彼女の手にしたムチが床を打ち鳴らす。
「ひっ」
私の反抗心はあっという間に打ち砕かれた。
私はすぐに上着とタイトスカートを脱ぎ、ブラウスも脱いでストッキングも脱ぎ捨てる。
「下着もよ」
「は、はい」
急いで下着も脱ぎ捨てて、私は胸と股間を隠して立ち尽くす。
「続けて」
「は、はい」
私は網タイツに脚を通し、レオタードをハンガーからはずして身につける。
背中のファスナーをどうにか上げると、裸でなくなってホッとした。
「ふう・・・」
体操したりするためにレオタードを着たことはあるけど、こんなに密着する感じはしなかったわ。
これってとても着心地がいいのね。
なんだか好きになりそうだわ。
私はブーツを履いて手袋を嵌める。
最後に腰のところに赤のサッシュを巻くと、私の姿は目の前の女性とほぼ同じになった。
「これでいいですか?」
「そこの椅子に座って」
「あ、はい」
私は指し示された椅子に腰を下ろす。
そういえば彼女の名前も何も聞いてないけど、おそらく彼女が私の指導担当の人なんだわ。

「えっ?」
私が開けたロッカーからコンパクトのようなものを取り出す彼女。
そして彼女はいきなり私の目蓋にアイシャドウを引いていく。
「あ・・・」
「動かないで」
「はい」
私はじっとして彼女が化粧してくれるのを受け入れる。
アイシャドウの次は唇。
真っ黒な口紅を塗られ、私の唇も黒くなる。
「これでいいわ。明日からは自分でメイクするのよ」
「あ、はい・・・」
私は鏡を見せられた。
すごい・・・
私が私じゃないみたい・・・
アイシャドウと口紅がまったくの別人に私をしてくれるんだわ。

「あ、あの・・・今日から・・・」
私はハッと気が付くと、挨拶をしてなかったと思い彼女の方に向き直る。
「これを飲んで」
えっ?
いきなり差し出されたのはどす黒い液体の入ったビン。
「こ、これは?」
「いいから飲みなさい!」
「は、はい」
うう・・・何なのこれは?
こうなりゃ自棄よ。
どうなっても知らないわ。
私は思い切って一気にビンの中身を飲み干した。
ドロッとした苦い液体が喉の奥に流れ込む。
「うえぇぇ、苦い」
「うふふふ・・・そのうち慣れるわ。それにこれからはそれがないと生きられなくなるわ」
笑みを浮かべる彼女。
「ど、どういうことですか?」
「それはブラッキー薬といってね。あなたの躰を強化してくれるの。普通の人間なんか足元にも及ばないくらいにね。その代わり、それを一日一回飲まないと死んでしまうわ」
ええっ?
そ、そんな・・・
「ど、どうしてそんなものを飲ませるんですか?」
「あなたが選ばれたからよ。あなたは我がワールドブラックの女戦闘員δ167号。今日からはワールドブラックの一員よ」
「こんな薬を飲むなんて聞いてないわ。やめます。もう帰ります」
私は立ち上がった。
もういい。
変な薬まで飲まされてやってられないわ。
こんなとこやめてやる。
でも、私の躰は言うことを聞いてくれなかった。
いきなりめまいがして私は床に倒れこむ。
「ど、どうして・・・」
「ブラッキー薬が効いてきたようね。少し眠りなさい。目覚めたら多少は考えが変わるわ」
くすくすと笑っている彼女を見上げた私の意識は、やがて闇に飲み込まれた。
  1. 2008/05/21(水) 20:30:33|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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始まりましたねー

今日からプロ野球はセ・パ交流戦が始まりました。
もう四年目と言うことで新鮮味は薄れはしましたが、やはり普段対戦しないチームとの一ヶ月間の対戦は私たちにとっても楽しみの一つですよね。

今年はここまでセ・リーグでは阪神がかなり調子よく首位を走っていますが、どうも交流戦はあんまりよかった記憶がなく、昨年は借金を五つこしらえていますから、今年はとにかく五割で乗り切って欲しいですね。

日本ハムは日程的に武田勝のいない穴をそれほど苦にしなくていいと思うので、こちらは貯金の上乗せに期待したいところ。
とはいえ、油断していると日程の妙に足を掬われるので、注意して欲しいものです。
なんと言っても日本ハムは連敗するくせがあるからなぁ。

五割前後にいるチームにとっては、交流戦は浮上のチャンスですよね。
普段6人必要なピッチャーを5人ぐらいで回せますから、調子のいい者を優先的に使って行くことができますし、二連戦と言う日程からも連勝すると一気に貯金が増えて行きます。

また普段見られない顔合わせもやっぱり楽しみですよねー。
オリックスに移籍した濱中選手は、阪神藤川球児投手の球を打ちたいって言ってますし、ダルビッシュや涌井といったパ・リーグのすばらしい投手対セの打撃陣はやはり気になります。

今日から一ヶ月。
長いようで短い交流戦を楽しんで行きましょう。

それではまた。
  1. 2008/05/20(火) 20:12:10|
  2. スポーツ
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べ、別にあんたのために作ったんじゃないんだからね!

当ブログでも先日(2008年5月10日)紹介いたしましたが、イタリア軍はL3型軽戦車を持ってまずは軍の近代化を開始いたしました。

その後、37ミリ砲を車体に装備し機関銃を砲塔に装備したM11/39戦車や、北アフリカの戦いでのイタリア軍戦車部隊の主力となったM13/40とM14/41戦車(この二車種はほとんどエンジンの違いのみ)へと発展して行くことになります。

このM13/40(M14/41)は搭載した47ミリ主砲もそこそこの威力があり、当時としては悪い戦車ではなかったものの、側面に大きな脱出ハッチがあるなど防御力に難のある戦車でした。
北アフリカの主敵であった英軍の40ミリ砲(2ポンド砲)にわりと簡単に撃ち抜かれてしまい、砂漠の戦いで大きな損害を出してしまうことになるのです。

無論イタリア軍も第二次世界大戦に参加する以前から強力な戦車の必要性はわかっており、装甲防御力の高い重戦車をムッソリーニの肝いりで開発中でした。
この重戦車は計画重量が26トンであったためにP26と呼ばれ(1940年正式採用の予定だったこともありP40とも呼ばれることあり)、車体正面装甲厚も50ミリとイタリア戦車にしては厚いものでした。
主砲にも大型の75ミリ砲が選定され、当初は短砲身の予定でしたが、やはり対戦車戦闘に有効な長砲身砲を搭載することにもなっていたのです。

しかし、やはりイタリアの工業界にとっては初めての大型戦車であったため、試作までの道のりは険しく、特にエンジンが開発困難で高出力のエンジン開発の難しさをいやと言うほど思い知ることになります。
(高出力エンジンについては隣国ドイツあたりでもなかなか大変だったもの)
結局エンジンはソ連のT-34のエンジンを模倣したものとされ、試作車が完成したのは1941年の年末でした。

その後も戦局の推移などさまざまな要因が絡み、1942年の5月には500両の量産指示が出されるものの、量産が開始されたのはなんと1943年になってからと言うものでした。

結局イタリア陸軍期待の大型戦車(カタログスペックでは四号戦車長砲身型に若干劣る感じ)であったP26戦車ですが、肝心のイタリア政府が1943年9月8日に連合国側に降伏。
たった21両だけが完成し、イタリア陸軍の戦車としては活躍ができませんでした。

しかし、捨てる神あれば拾う神ではありませんが、イタリアの降伏によって連合軍がドイツの下腹から攻め上ってくるのを防ぐために、ドイツはイタリア半島を軍事占領してしまいます。
連合軍が確保した南イタリアのごく一部を除き占領したドイツ軍は、イタリア軍を武装解除してその兵器郡を手に入れると同時に北イタリアの工業施設をも手に入れます。

そこにはまさにこれから組み立てられようとしていたP26戦車の部品や資材が約200両分も手付かずで残っており、自軍の戦車不足から一両でも多くの戦車が欲しかったドイツ軍はこの資材を使ってP26戦車の生産を続行させました。
最終的には約100両ほどのP26戦車が完成し、PzKpfw P40 737(i)と言う形式番号でドイツ軍の戦車として使用されることになったのです。
もっとも、多くのPzKpfw P40 737(i)が、エンジンの不足などで簡易トーチカとして使われ、戦車として使用されたのは半数ほどだったとも言われます。

1943年の10月にはイタリアは連合軍の一員として、対独宣戦布告を行いドイツと戦闘状態に入ります。
ドイツ軍と戦ったイタリア軍を迎え撃った戦車の中には、もともとイタリアのために作られる予定だったP26があったのでしょうね。

それではまた。
  1. 2008/05/19(月) 20:22:23|
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ひやひやのポーランド戦

夕べは札幌歴史ゲーム友の会のMどりっひ様を迎えてワンイブニング対戦でした。

プレイしたのは「電撃戦1939」(コマンドマガジン別冊)です。
このゲームは第二次世界大戦の発端となった独軍のポーランド侵攻戦を扱ったゲームです。
私が侵攻する独軍を、Mどりっひ様がポーランド軍を担当です。
第二次世界大戦最初の独軍の一撃を見せ付けてやりますぞ。

ヒストリカルシナリオでは、最初のターンはポーランド領内に一ヘクスしか入れない上、ポーランド軍は一ヘクス後退しただけですべてのダメージを無効にできます。
独軍は、まずは順調にポーランド領内に侵入。
第二次世界大戦最初の戦闘が始まります。

ラインラントやチェコでの無血占領とも言うべき状況に慣れきっていたのか、独軍はいきなり装甲部隊が一ステップを失うという予想外の事態に見舞われます。
最初の一ターンで独軍はポーランド軍に5点ものポイントを与えてしまい、以後独軍は最大の戦闘比での戦闘を心がけるようになりました。

二ターン目は独軍が攻撃を手控えた面もありじわっとした進撃に終始、ポーランド軍も戦線を縮小します。

三ターン目、独軍はポーランド軍がずるずる後退するものと思い込み、装甲部隊の一部が突出します。
東プロイセンから出発した部隊がワルシャワ目指して進軍しておりましたが、その部隊が反撃を受けるとはよもやまったく想像もしておりませんでした。

Mどりっひ様の率いるポーランド軍が突如進撃する独軍に牙をむいたのです。
突進していた装甲師団を含む独軍部隊約六個師団が丸ごと包囲されるという状況に、私は愕然とします。
包囲下の部隊が消え去れば、あっという間に独軍の敗北です。
なんとしてでも救出しなくてはなりませんでした。

三ターン目、四ターン目と独軍救出部隊とポーランド軍の包囲部隊との激戦が繰り広げられます。
独軍はかろうじて危機を脱しますが、このときにはポーランド軍にかなりの得点を与えてしまっておりました。

しかし、独軍にとっての窮地が逆にポーランド軍に不利に働いてしまいます。
南方への脱出すべき部隊までもがワルシャワ北方での激戦に投入されてしまい、独軍に囲まれてしまいます。

ワルシャワも二ヘクスのうち一ヘクスを落とされ、ポーランド軍は逆に窮地に陥ります。
六ターン目にはソ連軍も侵攻を開始、ポーランド軍を蹴散らして西へ向かいます。

七ターン目、ワルシャワが包囲され万事休す。
ポーランド軍の投了で独軍の勝利となりました。

危ない勝利でした。
ポーランド軍の得た得点は13点。
15点を得ればポーランド軍の勝利でしたので、どこかのサイの目次第では負けていたところです。
うーん・・・ポーランド軍恐るべし。

オーソドックスな移動戦闘だけのシステムのやりやすいゲームでした。
でも、それなりに考えなくてはならないこともあり、楽しめるゲームでした。
あんまり人気無いようなのはどうしてなのかな。

次回は入れ替え戦を楽しもうと思います。
今度はポーランド軍の意地を見せることができるかな?

Mどりっひ様ありがとうございました。
楽しい時間でした。
またお相手お願いいたします。

それではまた。
  1. 2008/05/18(日) 19:30:42|
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バージョンアップ・ココロちゃん

私のブログにも住み着いて、いつも笑顔を振りまいてくれているブログ妖精のココロちゃんですが、このほどバージョンアップがされたそうですね。

何でも行動のバリエーションが増えたらしく、部屋をお掃除するココロちゃんや、寝そべって本を読むココロちゃん、買い食いをするココロちゃんやラジオDJのアルバイトをするココロちゃんなど今まで見られなかったココロちゃんを見られるようになったそうです。

掃除機ココロ
こちらがお掃除ココロちゃん。

読書ココロ
寝そべりココロちゃんもいます。

なんとなんと私はまだ見ておりませんが、スク水らしき水着姿のココロちゃんも見られるとのことですし、接し方次第では悪堕ちココロちゃんも見られるのか?
(悪堕ちココロちゃんはあるのかどうか不明です)

行く行く
それにしてもただ掃除かと思ったらこんなことを・・・
これは遊びに行くしかないよなぁ。

連絡するする
本に熱中しているのかと思ったら・・・
これはすぐに連絡でしょう。(笑)

まあ、こうしていつも可愛い表情を見せてくれるココロちゃん。
なんだかんだ言って気に入ってます。(笑)

さて、今日はMどりっひさんと「ポーランド1939」の対戦です。
わがドイツの電撃戦の真価を見せ付けてやりますぞー!!

それではまた。
  1. 2008/05/17(土) 19:30:57|
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実にさまざまな商売が・・・

先日読み終えた本なんですが、面白かったのでご紹介。

「江戸の商い~朝から晩まで」 歴史の謎を探る会編 河出書房新社

タイトルの通り江戸時代に江戸市中で行われていたさまざまな商行為を一堂に会した文庫本です。

「小商売」「料理屋」「大店」「物売り」「食べ物売り」「再生屋」「娯楽・風俗店」「職人」「経済システム」の各章に分かれ、それぞれにさまざまな商売が江戸時代には行われていたことを紹介しております。

もちろん現在まで連綿と続くような商売もあれば、江戸時代のごく一時期だけしか行われなかったような商売も紹介されており、読んでいて楽しい本となってます。

蛍や鈴虫、松虫などの虫を虫かごに入れて売り歩く虫売りなんてのもあれば、甘く味付けした水を売る水売りなど、こんなものを売り歩いていたのかってのもありますし、物を燃やしたあとの灰を買う灰買いや古釘とか壊れた煙管の雁首などの金属を買い集める商売など、実にさまざまなものの商取引が行われていたのがわかります。

時代劇に出てくる商売はこういうものだったのかってのもわかりますので、面白い本だと思いますよ。
文庫本で価格もそれほどではないので、興味がある方はぜひどうぞ。

それではまた。
  1. 2008/05/16(金) 19:56:14|
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オルフィーナSAGA(5)

天王寺きつね先生のマンガ「オルフィーナSAGA」の五巻を手に入れてきました。
これも長いこと続いているマンガですよねー。



私は一巻しか出なかったいわゆる「プレ・オルフィーナ」のときからのファンでして、アダルトな絵とファンタジックな世界観に魅せられ、ずっと買い続けてきた好きなマンガです。

今回でいよいよ終結まで秒読みとなり、この物語も結末が見えてきたのですが、ファンタジーと見せかけて実はSFと言うこの世界観とストーリーはツボなんですよね~。

しかし・・・
天王寺きつね先生も絵柄がずいぶん変わられたなぁ・・・
表紙絵なんてこれ誰って感じですしねぇ。

相変わらずエロイイラストでストッキングフェチっぽいところも健在なんでしょうけど、あのプレ・オルフィーナのころのエロっぽさが懐かしい。
あのアダルティな雰囲気が好きだったのになぁ。

でも、やっぱり鎧とか描くのって大変なんでしょうねぇ。
できれば線が少ないほうがいいよねぇ。
ただキャラクターまで平板に感じてしまうようなのがちょっと寂しい。

話は面白いと思います。
最終決戦が近づき、登場人物も一点に集中してきてます。
あと一巻で終わりだそうですので、来年には終了かな?
結末がどうつけられるのか楽しみです。

それではまた。
  1. 2008/05/15(木) 19:54:57|
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05月15日のココロ日記(BlogPet)

そろそろ、英国に旅行なんて行ってみたいですね。

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/05/15(木) 08:17:23|
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東部戦線はところにより激戦、しかし11月12月は晴天が続くでしょう

今日は札幌辺境伯様を自宅にお迎えしてのウォーゲーム対戦の日。
プレイしたのは「ロシアンキャンペーン2」(コマンドマガジン日本版33号付録)です。

このゲームは、あの有名なアバロンヒル社の「ロシアンキャンペーン」(邦題独ソ戦)の大本となったもので、簡単なルールですが、独ソ戦の雰囲気を味わえるとても面白いゲームです。

5月14日1
こちらは両軍の初期配置

ロシアンキャンペーンの名のごとく、このゲームは独ソ開戦のバルバロッサ作戦からベルリン陥落までの独ソ戦全体を扱ったゲームでして、独軍が一ユニット一個軍団規模、ソ連軍が一ユニット一個軍規模という規模の大きなゲームであり、マップも北はアルハンゲリスクから南はアストラハン、東はゴーリキーから西はベルリンまでと広大な地域が納められています。

ゲームはまず独軍のバルバロッサ作戦からスタートです。
今日は私が独軍を、札幌辺境伯様がソ連軍を担当いたしました。

独軍は序盤強力な装甲軍団でソ連軍の防御陣をこじ開けます。
スツーカの支援の下各所でソ連軍は撃破され、一見順調な滑り出しのように見えました。
しかし、すでに南方ではソ連軍の撃破に思うように成功せず、進撃はうまく行っておりませんでした。

このゲームはユニットがどんな強力な軍勢でも一ステップしかないため、わりと簡単に除去されます。
独軍の攻撃の前にソ連軍は次々とユニットを失って行きました。
ところがこのゲームのソ連軍は補充が非常に潤沢なのです。
労働者ユニットの戦闘力が、そのまま補充できる戦力数と言うシステムのため、撃破されたソ連軍ユニットはほとんどが補充されて戻ってきてしまいます。

これを防ぐにはソ連軍ユニットを除去ではなく降伏に追い詰める必要があるのですが、かなり戦闘比を高くしてもそう簡単には降伏しません。
それでも独軍は予想以上にソ連軍を降伏に追い込んで行き、ソ連軍は驚くべき数の降伏ユニットを出してしまいます。

これほど撃破されたソ連軍でしたが、札幌辺境伯様はきちんと戦線を張りなおしてきます。
独軍が思うように進撃できないうちに季節は冬。
冬将軍の到来です。

このゲームは二ヶ月が一ターンなのですが、11月&12月は二分の一で降雪、三分の一で泥濘、晴天はわずかにダイスで1を出したときのみです。
ソ連軍は雪が降るのを手ぐすね引いて待っていました。

私が振ったダイスは1。
なんと晴れたのです。
独軍はソ連軍を蹴散らして1月2月の防衛体制を整えることができました。

あけて1942年。
独軍の進撃もかげりが見え、全戦線が膠着状況に陥っておりました。
夏季攻勢で何とかリガもセバストポリも落としたものの、モスクワもレニングラードも手が届きませんでした。

そうこうしているうちにまたもや冬が近づきます。
ソ連軍は強力な親衛赤軍部隊を大挙集中させて、独軍に一撃を食らわせようと待ち構えておりました。

運命の11月&12月。
先ほどと同様に晴れるのは六分の一。
私の振ったダイス目は1。
なんと二年連続晴れたのです。

独軍は強力な装甲軍団がここぞとばかりに暴れまわり、なんと親衛赤軍四ユニットを降伏に追い込むと言う大戦果を上げました。
5月14日2
独軍に降伏したソ連軍ユニットの数々

しかし独軍の進撃もここまで。
南方ではソ連軍の反抗により三個装甲軍団が一挙に壊滅すると言う大惨事。
戦線を守るべき歩兵部隊も次々と撃破されました。

そして1943年。
攻守が逆転すると言うところで今日は時間切れとなりました。

とても楽しいプレイでした。
ソ連軍担当の札幌辺境伯様はほとんど攻撃できなかったので、これからと言うところでの時間切れは申し訳なかったのですが、今度は入れ替え戦を行いましょうと言うことになりました。
札幌辺境伯様、次回もまたよろしくお願いいたします。

やっぱり名作ゲームと言われるだけのことはありますね。
とても独ソ戦の雰囲気が感じられるいいゲームだと思いました。
手に入りづらくなってしまっているので、国際通信社様には何とか再販をお願いしたいものですね。

それではまた。
  1. 2008/05/14(水) 19:54:56|
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災害が続いてますね

先日はミャンマーでサイクロンによる大規模な被害がでて、数万人が死傷したと言うニュースが入ってきたばかりですが、昨日は中国の四川省で大きな地震が起きました。

こちらも死傷者がかなりでていると言うことで、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

それにしても、「災害は忘れたころにやってくる」と言うことわざの通り、いつ起こっても不思議ではないけれど、それに対する備えってのはなかなか難しいものがありますよね。
だからこそ、起きたときの災害被害をできるだけ局限することと、速やかなる救援活動が大きな意味を持ってくるのだと思います。

中国では人民解放軍も現地での救助活動に当たり始めたとのことですが、救援活動もこれから本格化するのでしょう。

中国はこれからどういう態度をとるのかわかりませんが、ミャンマーでは物資は受け入れるが人員は受け入れないと言う態度を表明しているため、サイクロン被害がどのくらいなのかもわかっていないと言うのがなんだかなぁと思いますよね。

中国はまだしも、ミャンマーのような国力の大きくない国ではどんな救援であれ受け入れたほうがいいのでは、とも思うのですが、国内事情が許さないんでしょうねぇ。
まあ、救援名目で乗り込んできた軍勢に日本が北と南に分断支配される「太陽の黙示録」(かわぐちかいじ氏のマンガ)みたいな事になったら困りますけどね。

両国の一刻も早い災害からの復旧をお祈りいたします。
それではまた。
  1. 2008/05/13(火) 19:31:54|
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豊家滅亡その27

徳川方との戦において、大坂方は戦評定で要害堅固の巨大な城大坂城にこもって戦う篭城戦を選びました。
数こそは十万になんなんとする人数をそろえたとはいえ、そのほとんどは寄せ集めの牢人衆。
これでは統一機動が求められる野戦は難しく、篭城はある意味必然だったと言えるでしょう。

ですが、こと篭城戦となれば、巨大な防御施設である城郭が機能してくれるため、その戦力を見かけ上二倍にも三倍にも膨れ上がらせてくれるのです。
徳川方が大坂城包囲に終結させた兵力はおよそ二十万だったと言われます。
であるならば、篭城する大坂方との兵力差は約二倍。
しかし、篭城することによってこの兵力差はほぼ五分五分といってもいいぐらいになるのです。

大坂城は城郭建築の名手であった太閤秀吉が、天下統一の拠点となるべく心血を注いで作り上げた城郭です。
全周に渡って堀がめぐらされ、さらには北と東には川とそれに伴う湿地帯が広がり、西には瀬戸内に通じる海が広がっていると言う天然の要害でもありました。
唯一つ、城の南側だけは平坦な地形が開け、軍勢の機動を容易にさせているため、そこだけが唯一の弱点と言える箇所でした。

10月10日に紀州九度山より大坂城に入城した真田信繁(幸村)でしたが、彼自身が直率してきた兵はわずかしかおらず、大坂入城後に約五千の兵を与えられたものの、いずれもが力量定かでない牢人衆であり、後藤又兵衛基次のようにかつての家臣を大勢引き連れ、新規の兵とバランスのよい戦力を整えるなどと言うことは望むべくもないことでした。

もとより真田のお家芸は篭城戦であり、二度にわたって徳川の軍勢を追い払ったのも篭城戦によるものでした。
しかし、大坂方も篭城における真田の手腕に期待はしていたものの、本来いて欲しかったのは真田信繁(幸村)ではなく、父親の真田昌幸でした。
父の昌幸ならともかく、子の信繁(幸村)ではどれほどの力量があるかわからない上に、はたして本当に大坂方として戦ってくれるのかとさえ疑う者もいたといいます。

こういった城内からの不審の目と、大坂城南側の弱点強化、さらにはそこでの奮戦振りを見せ付けることでの戦後の恩賞の期待などから、信繁(幸村)は大坂城南側に出城を築くことを進言します。
出城で城内の思惑にとらわれずに思い切り戦いたいと思ったのに違いないでしょう。

一説によると、真田信繁(幸村)は大坂城入城時に名前を幸村と改名したとも言われ、本稿では今までずっと信憑性の高い資料に基づく真田信繁の名で通してきましたが、ここからはなじみの深い幸村で統一することにいたします。

大坂城南側に出城を築くと言う幸村からの進言は、大坂城首脳部を悩ませました。
はたして幸村は本当に出城で徳川勢を防いでくれるのか。
そのまま徳川勢に寝返るのではないか。
そういう疑念が捨てきれなかったといわれます。
そこで大野治長は参集武将のうちでも名高い後藤又兵衛基次にどうしたらいいかを相談しました。
又兵衛は笑って真田殿の申す通りにさせてやられよと言い、ここに幸村の大坂城南側出城、通称「真田丸」が築かれることになったのです。

一方徳川方のほうにも軍勢が続々と終結しつつありました。
徳川家康率いる本隊三万をはじめとして、秀忠隊二万、前田利常隊一万二千、伊達政宗隊一万、松平忠直隊一万など、総勢二十万にも及ぶ軍勢が、アリの這い出る隙間もないほどに大坂城を取り囲みつつあったのです。
しかし、この大軍勢の中には、福島正則、黒田長政、加藤嘉明らの姿はありませんでした。
豊臣恩顧の大名として家康に警戒された彼らは、江戸に留め置かれたのでした。
胸中はいかばかりだったでしょうか。
福島正則あたりは無念やるかた無しの思いだったかもしれません。

そして、慶長19年(1614年)11月19日。
大阪冬の陣の最初の戦いの火蓋が切って落とされました。

その28へ
  1. 2008/05/12(月) 19:55:04|
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まだやっていたんですね

先日のニュースで、学研(学習研究社)が子供向け雑誌「科学」「学習」の廃刊と訪問販売のいわゆる「学研のおばちゃん」の廃止を視野に含めた見直しを行うと発表されましたね。

いやー、実のところ「学研のおばちゃん」による訪問販売がまだ行われていたとは思いませんでした。
私がお世話になっていたのはもう三十年以上前の話ですから、てっきりもうやっていないものとばかり思い込んでおりました。

思い起こせば、私も「○年の科学」「○年の学習」にはお世話になりましたねぇ。
すごく楽しく読んでいたことを思い出しちゃいました。
今でもそういう本はあると思うんですが、マンガで日本の歴史をわかりやすく見せる付録とかがついていたり、アリの巣観察装置なんてのがついていたりしましたよね。
アリを捕まえてきて入れろといわれても、そうはうまくいかずに結局使えなかったりしたものです。

私はやっぱり理科系が好きでしたので、「○年の科学」がやっぱり楽しみでして、「○年の学習」のほうはそれほど楽しみではなかったのですが、それでも毎月届けられるのがうれしいものでした。

今は少子化とか子供向けの学習雑誌も多様化したりと販売実績が振るわなくなってしまったようですね。
時代の流れなんでしょうけども、あらためて廃刊を視野に入れているといわれると寂しいものです。
いい思い出と言うことなんでしょう。
ふと少年時代を思い出してしまいました。

それではまた。
  1. 2008/05/11(日) 19:34:02|
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小さな小さな戦車

昨日ASL-SK3に登場する戦車のことについて触れましたが、その中で装甲の薄い機関銃だけの戦車イタリア軍のL3軽戦車が入っているよと言うことを書きました。

では、そのイタリア軍のL3軽戦車と言うのはどんな戦車だったのでしょうか。

第一次世界大戦で誕生した戦車は、その存在価値を知らしめることに成功しました。
しかし、第一次世界大戦が終結すると、各国は軍備を縮小して経済の建て直しに努めるようになります。
折りしもアメリカで始まった世界恐慌が悪影響を与えたために、戦車のような金のかかる兵器の装備にはどの国も積極的ではありませんでした。

そんな中、英国で小型の履帯式トラクターに機関銃を装備しただけといっていいような超小型の戦車が作られました。
戦車といっても、履帯(キャタピラ)で走る車体に機関銃を前方固定でくっつけて、装甲板で囲んだだけの代物であり、とても戦車と呼べるものではないかもしれませんでした。

しかし、このわずか二人乗りの超小型戦車は、各国がこれから軍を機械化しようとしていた時期に、とりあえず導入して編成や使用法を試行錯誤するにはもってこいと考えられました。
何より安くて数がそろえられるため、部隊としての運用法を学ぶことができるのです。

この超小型戦車は英国のカーデン・ロイド社が製作したので、カーデン・ロイド軽戦車と呼ばれ、第二次世界大戦前は世界各国が購入したりライセンス生産するほどのベストセラー戦車となりました。
日本でも参考的に輸入しております。

このカーデン・ロイドマークⅣをイタリアでライセンス生産した戦車が、このL3軽戦車の前身となりました。
CV29(CVは快速戦車の頭文字)と名付けられたこの軽戦車は、6.5ミリのフィアット機関銃を搭載し、幅広の履帯を装備するなどのイタリア独自の改修がなされたものでしたが、装甲が薄くてドイツ軍の小銃弾にも撃ち抜かれる可能性があることが判明。
全面的な装甲板の厚さの変更を求められてしまいます。

この装甲厚を増したこととエンジンをイタリア製に換装したことでCV29はCV33として生まれ変わり、イタリア陸軍に採用されました。
CV33は初期には6.5ミリの機関銃一丁を前方固定装備でしたが、のちには8ミリ機関銃に強化。
さらには二連装に強化されたタイプが主となりました。

CV33は1935年には車体を若干改良したCV35に変更され、さらには量産性を高めたCV38へと発展します。
これら一連のシリーズが、形式番号の変更によってL3と呼称変更がなされ、L3/33、L3/35、L3/38と呼ばれるようになったのです。

L3軽戦車は小型で扱いやすい車両だったため、イタリア陸軍でもかなりの数が量産されました。
2000両以上も作られたといい、第二次世界大戦にイタリア軍が参戦した時点では、なんとイタリア軍の戦車の75%がこのL3軽戦車で占められていたといいます。

しかし、所詮は機関銃搭載トラクターとでも言うべき存在でしたので、その後の戦争の様相の変化にはついていくことができず、第二次世界大戦中期にはもう戦力とは呼べなくなる代物でした。
「アビシニアで現地人を追い回すのがせいぜい」とロンメルにも皮肉られたとか。

それでも生身の歩兵には充分脅威であり、貧弱な武装しか持たないパルチザン相手には何とか使えるということで、イタリアの降伏後もドイツ軍が接収して警備任務に使ったりしたそうです。

東部戦線でこんな戦車でT-34に出会ったらどうしようもなかっただろうなぁ。

それではまた。
  1. 2008/05/10(土) 19:30:26|
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大砲の次は戦車

ここしばらく、VASLと言う通信対戦ソフトでASL-SK(アドバンスドスコードリーダー-スターターキット)のシナリオを楽しんでいる私ですが、ようやくSK2の対戦に入ってまいりました。

このASL-SKはSK1、SK2、SK3とありまして、いずれも単独で始めることができるものなのですが、それぞれの内容が違います。

SK1は歩兵のまさに基本戦闘で、せいぜいが機関銃や爆薬、火炎放射器といった支援火器しか出てきません。

SK2では、これに大砲やバズーカなどの携帯対戦車兵器などが加わり、扱う範囲が広がっております。
中でも大砲の参入は大きく、81ミリ迫撃砲や88ミリ高射砲などが歩兵めがけて放たれることになります。
私は今ようやくこの位置に入ってきたというところですね。
大砲が入るとまた展開も変わってくるものでしょう。

そしてSK3にはさらに装甲戦闘車両、いわゆる戦車や装甲車が加わります。
まさに鋼鉄の巨獣が参入してくるわけですね。
生身の兵隊では立ち向かうのは容易ではありませんが、それに伴って追加されるルールもまた巨獣の名にふさわしいほどのボリュームを持っています。
まずはこのルールと言う名の巨獣に私も立ち向かわなくてはならないでしょう。
それでもスタンダードのASLに比べれば三分の一四分の一程度なんですけどねー。

SK3には、米英独ソ伊の五ヶ国の装甲戦闘車両が出てきます。
大は独のケーニッヒ・ティーガー、ソ連のJSⅡをはじめ、米英の主力M4系列やM3軽戦車、独の三号四号も当然含まれ、小は機関銃しか搭載してない英国のマークⅣやイタリアのL3軽戦車まで入ってます。

戦車の装甲の厚さもこのゲームには盛り込まれており、実際の装甲厚をゲーム上の数値で表しているのですが、一番厚いのがやはりケーニッヒ・ティーガーとJSⅡの正面装甲で26と言う数値を与えられております。
ドイツの四号戦車はH型で8、M4やT-34は11と言う数字であり、一番薄いイタリアのL3軽戦車にいたっては正面装甲がわずかに1、側面では0と言う薄さです。

しかし、この装甲値0と言う数字でも、歩兵の通常の小火器攻撃(ライフルやサブマシンガン程度の攻撃)ではダメージを与えることはできません。
機関銃や対戦車銃を使ったり、白兵戦でハッチをこじ開けて手榴弾を投げ込んだりしなくてはならないのです。
小さくて装甲が薄い戦車でも、戦車はそれだけ歩兵にとっては脅威なんですね。

さあ、いずれは戦車を使うぞー。
大好きなパンターを使うぞー。

それではまた。
  1. 2008/05/09(金) 19:54:43|
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DOOMS DAYS

今日はマンガの紹介を一つ。

「DOOMS DAYS」 冬和こたつ氏著 キルタイムコミニュケーション社

先日、いつもお世話になっている方から送っていただきました。
触手に絡まれて汁まみれになっている巫女さんが表紙でいい感じです。

早速拝見させていただきました。
中身は「闘姫陵辱」などのキルタイムコミニュケーション社のアンソロジー各誌に掲載されたこたつ氏の作品集です。

この冬和こたつ氏は学生さんだったんですね。
在学中に作品集を出せたとあとがきにあって驚きでした。
絵は初期のころと最近のものとの違いなんでしょうか?
一冊の本ではありますが、各誌に掲載された時期の違いと思われますが微妙に違いを感じます。
でも素敵な感じで個人的には好みの絵柄でした。

内容は・・・
もうね、惜しいなって思うわけですよ。
アンソロジー各誌の色の違いがあるので仕方ないのですが、ここまできたら悪堕ちだろーと言いたいものがちらほらと寸止め状態なんですよねー。

一応悪堕ちしてくれたのが10作品中2作品。
魔法少女が呪いによる悪堕ちと精霊が絶望による悪堕ちの二つがあり、魔法少女のほうは結構なかなかいけますです。

ところがこの二つのほかに惜しいなぁーってのが四つもあるんですよ。
敵の手に落ちて腹ボテ落ち、魔物に陵辱されてエロ落ち、悪魔化した妹(これを見せて欲しかった気も)と悪魔に陵辱されて腹ボテ落ち、悪魔化した先輩天使(これもこっちを見せて欲しい)に陵辱される陵辱落ちと、実に惜しいなぁって作品のオンパレードなんですよ。
あと一歩踏み込んで悪堕ちしてくれていたら・・・

そういう惜しい面はありますが、抜き目的では充分だと思いますので、お手に取られてみてもいいと思います。
これからが楽しみな作家さんだと思いますよ。

それではまた。
  1. 2008/05/08(木) 19:23:44|
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05月08日のココロ日記(BlogPet)

舞方雅人さんと旅行するなら、ぜったいヨーロッパには行きたいんですよね

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  1. 2008/05/08(木) 07:22:36|
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ほぼ一世紀

今日、祖母の葬儀より帰ってまいりました。

五月五日。
私の母方の祖母が、永眠いたしました。
ごく最近体調を崩されて入院していたそうなのですが、この日の午後に容態が急変、帰らぬ人となりました。
享年97歳。
最後は特に苦しまなかったそうで、まさに大往生だったのではないでしょうか。

死に顔も拝見させていただきましたが、眠っているように安らかで、私も安堵いたしたものでした。
長いことお疲れ様でしたと言葉をかけさせていただき、お送りいたしました。

97歳ですよ。
今年の夏には98歳になるということで、もうちょっとで100歳だねと言っていたものでした。
とはいえ、きっとご本人には長いようで短い時間だったのでしょうね。
その間いろいろなことがあったと思います。
本当にお疲れ様でした。

今年からさかのぼって98年前といったら1910年。
いったいどんな年だったのかと思いまして調べてみました。

1910年は明治43年でした。
明治、大正、昭和、平成の四つの時代を祖母は生きてこられたんですね。
すごいなぁ。

ハレー彗星がやってきた年でもあったようで、ヨーロッパでは多少のパニックも起きているみたい。
日本では航空機による日本初飛行が行われた年でもありました。
また、白瀬中尉率いる南極探検隊が出発した年でもあったようですね。
(南極上陸自体は紆余曲折の末1912年になります)

有名な海難事故であるタイタニックの沈没が1912年ですから、祖母が生まれた年にはまだタイタニックは完成もしていないのか。
第一次世界大戦の勃発はさらに遅くて1914年。
祖母は第一次第二次の両方の世界大戦を肌で感じた方だったんですね。

ほぼ一世紀。
私のとっては歴史上の出来事が、祖母にとっては身近な出来事だったのでしょう。
長い間本当にお疲れ様でした。
安らかにお眠りくださいませ。
  1. 2008/05/07(水) 19:49:18|
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天国と地獄

全国一億二千万のASLファンの皆様こんばんは。
舞方雅人です。

先日VASLと言う通信対戦ソフトでHiro様と二日間にわたってASL-SKのシナリオ2をプレイする機会に恵まれました。
その二日目。
私はピンゾロがいかに恐ろしいかを身を持って味わった日となりました。
皆さん、盤上が苦境だからといって決してあきらめてはいけません。
私のように諦めが早くすぐ投了するような人はだめだめです。

S2シナリオはスターリングラードでの市街戦がテーマで、爆薬や火炎放射器を持った独軍のエリート部隊に対し、数も少なくさらには練度も低い徴集兵を含むソ連軍が必死に建物で防御するシナリオです。
私が攻撃側の独軍、Hiro様が防御側のソ連軍を担当しました。

Hiro様はどちらかと言うと引いて守る形で初期配置を行います。
右翼は牽制になればと言う感じでわずか二個分隊しか置きません。
独軍は最初の射撃で右翼の一個分隊を混乱せしめ、左翼では煙幕も順当に張れてソ連軍に近接します。

左翼での白兵戦で一個分隊を失うという予想外の結末に驚いたものの、進撃自体はわりと順調に行きました。
中央の建物にもうまく取り付き、ソ連軍を圧迫します。

ソ連軍の防御射撃にいったんは押し返されるものの、右翼と左翼の建物は占拠したうえに、回復もうまくいって再度中央の建物に圧力をかけることができました。

ここまでが一日目の段階。
楽観的な私は、早ければ次のターンにもソ連軍は崩壊するだろうと踏んでおりました。

そして二日目。
つきが変わったとはまさにこのことでしょうか。
五月にはとっくに変わっているんですけどねぇ。

ソ連軍の射撃は見違えるようなLowRollが連発。
このゲームはサイコロ二個の合計がとにかく低いほうが有利なのです。
私がうかつにも中央の支援に差し向けた左翼の建物を確保していた部隊はなんとピンゾロの射撃を受けて混乱。
これが後々まで大きく響きました。

さらには白兵戦で一個分隊が単独の指揮官と相打ちになる始末。
こちらの部隊は士気チェックがHighRollで次々と失敗。
混乱しまったく手も足もでなくなりました。

ソ連軍はいいタイミングで増援も得ることができ、せっかく確保した左翼の建物を独軍は失います。
残りターンとの兼ね合いから、無茶な動きで左翼の建物に向かわざるを得なくなった独軍。
しかし、無謀な行動は防御射撃で射すくめられるのがオチでした。

最後はかすかな可能性にかけて突入した9-2指揮官のスタックがまたしてもピンゾロの防御射撃で除去の結果が出て消え去り万事休す。
最終ターンで独軍の投了となりました。

もうね、何度ピンゾロ出たか覚えてないぐらい。
もちろんこちらにもいい目が出たりはするんですが、決定的な場面ででなかった。
何と言うか、一日目の進撃が調子いいなぁと思っていただけにショックでした。
あの状態から負けるなんて信じられなかったですもん。
皆さん、くれぐれも最後まであきらめちゃだめですよ。

うう・・・今度は負けないぞー!!

それではまた。
  1. 2008/05/06(火) 19:58:31|
  2. ウォーゲーム
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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