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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

一人退場

「魔のかけら」に本当に多くの拍手をいただきましてありがとうございました。
拍手の数が50を超えるなんてほんとにうれしいです。
ありがとうございました。

さて、1000日連続更新記念SS第四弾・・・といっていいのかなぁ。
SS連続更新六日目は「帝都奇譚」の26回目です。
うー・・・明日も何とかSS投下したいよー。
がんばらねば。
それではどうぞ。


26、
ヴォルコフが動き、月子が対応する。
この構図を幾度か繰り返し、ヴォルコフは確実に月子の体力を奪っていく。
重い分銅鎖は威力は大きいものの、何度も繰り返し投じるには不向きな武器でもあり、月子の息が徐々に上がってくるのが見て取れた。
もとより月子も長引かせるつもりはない。
幾度となくヴォルコフの急所を狙って分銅鎖や棒手裏剣を打ち込んでいるのだが、そのことごとくをかわされているのだ。
理由の一つはヴォルコフの能力そのものの高さ。
そしてそれ以外の理由として、二人のしもべたちの存在があった。
紅葉も灯もダメージを負ってはいるものの、ある瞬間にはおとりとして、またある瞬間には盾としてヴォルコフをサポートしてくる。
三対一ではいくら月子といえども苦戦はまぬがれない。
むしろ、“新たな世界に生きる者”を三体も相手にして引けを取らない月子の戦闘能力の高さこそ特筆すべきものだった。

「ハア・・・ハア・・・」
何度目かの攻撃が失敗に終わり、月子は屋敷の屋根に降り立った。
パキッと音を立てて瓦が割れ、着地の衝撃を月子が消せなくなっていることを物語る。
「おやおや、足元がふらついたかね? だいぶお疲れのようだが」
ヴォルコフが正面に立ってにやりと笑う。
赤く輝く眼が獲物を前に細められる。
「くすっ・・・ご心配には及びませんわ。ようやく躰がほぐれてきたところですから」
じゃらっと音が鳴り、分銅鎖が月子の手に巻き取られる。
「強がりはよせ。もう立っているのもやっとだろう。早く我にひざまずいて許しを請うがいい。すばらしい世界に導いてやるぞ」
一歩二歩と前に出るヴォルコフ。
月子の背後左右からは、二人のしもべもじりじりと迫る。
月子の額に一筋の汗が光った。

躰が熱い・・・
喉が渇く・・・
それに何かが駆け回る気配・・・
寝苦しさにうっすらと目を覚ます摩耶子。
夜着のまま布団を跳ね除け、上半身を起こす。
障子を開けて外を見る。
なんだか無性に夜の空を見たくなったのだ。
夜空には月が輝いている。
白くて大きな月。
それは摩耶子に安らぎをもたらしてくれた。
喉が渇く・・・
・・・を飲まなきゃ・・・
・・・を飲みにいかなくちゃ・・・
何を飲むのだろう。
何を飲みに行かなくてはならないのだろう。
ふと湧き起こった衝動に背筋がぞくっとする。
首を振る摩耶子。
このところ体調が優れない。
きっと寝が浅いせい。
喉の渇きをこらえて摩耶子は布団にもぐりこむ。
その頭上で何が行われているのかを知らぬまま・・・

「ハア・・・ハア・・・」
月子の前でどさっとひざから崩れ落ちるしもべの一人。
「ぎゃぁぁぁぁぁ・・・」
すぐに貼り付けた札が彼女の躰を炎で包み込む。
「むう・・・まだそのような力を・・・」
ヴォルコフは歯噛みした。
あまりにも目の前の女が予想以上だったのだ。
左右のしもべに命じ、取り押さえたところで精気を吸い取る。
その考えはあっけなく吹き飛んだ。
ヴォルコフが一瞬動きを止めた瞬間を逃さず、一体のしもべを屠ることに全力をかけてきたのだ。
牽制の棒手裏剣も分銅鎖も使わず、もう一体のしもべには目もくれずに一体だけをつぶす。
まさに各個撃破の見本だ。
すっぱりと切り裂かれた洋服の下からは白い肌が覗き、一筋の傷から血が流れている。
しもべの爪に切り裂かれた傷だが深手ではない。
紅葉を失った代償としては、あまりにも軽すぎる傷だった。

赤い目が怒りに燃える。
戯れに作ったしもべだが、こうも簡単に失うのは面白いことではない。
この女をしもべに加え、思い切り嬲ってやれば少しは気も晴れるだろう。
ヴォルコフはこぶしを握り締め、月子に一歩近づいた。

しもべの一体は倒した。
元は人間だったものだがやむをえない。
破魔札の炎によって浄化され、開放された魂は安らぎを得ているはず。
そう思わなければやっていられるものではない。
月子は分銅鎖を巻き取り、ヴォルコフの動きに集中する。
もう一体のしもべはさほど気にしない。
二体でのコンビネーションにすら難のあったしもべごとき、ヴォルコフさえ倒せばどうとでもなる。

跳躍したヴォルコフのマントが翻り月を隠す。
月明かりが明るければ明るいほど一瞬の闇は人間の目をくらませる。
繰り出された手刀を寸でのところでかわした月子は、そのまま後ろに跳躍して距離をとる。
すかさず棒手裏剣を牽制に繰り出すと、分銅鎖を叩き込む。
ずしんという手ごたえが鎖を通じて伝わり、ヴォルコフの胴に分銅がめり込んだことを知らせてきた。
「くっ」
一瞬の喜びはすぐに失われ、ぐんと引き込まれる力の強さに月子は驚愕する。
なんてこと。
ヴォルコフは叩き込まれた分銅の衝撃をものともせずに、それを掴み取って引っ張っているのだ。
「ちっ」
月子は舌打ちすると分銅鎖をあきらめる。
強力な武器だが、こうなると力勝負になってしまう。
月子はあらためて距離をとり、長い髪をまとめていた髪留めのリボンをはずし、右手に巻きつけた。

じゃらっという音がして地面に落ちる分銅鎖。
普通の人間であればあの一瞬で勝負はついていた。
掴み取った鎖を引っ張り、相手を懐に引き入れる。
手を離すのが一瞬遅れただけで、相手はこの手に掴み取られていたはずなのだ。
それをこうも簡単に逃れられるとはな・・・
ヴォルコフは苦笑した。
ここまで本気を試される相手というのは初めてだ。
この女・・・
ただでは済まさん。

巻きつけたリボンに気を込める。
白い布切れだったリボンがぼうっと輝き、表面に文様が浮かび上がる。
棒手裏剣、短剣、分銅鎖、そしてこの呪符リボン。
これらが月子の武器なのだ。
月子はリボンの両端を両手で持ち、ぴしんと張り鳴らした。
  1. 2008/04/15(火) 20:03:33|
  2. 帝都奇譚
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04月15日のココロ日記(BlogPet)

舞方雅人さんと、なんとなく心が通じたかも……そんな気がしました。

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/04/15(火) 09:01:23|
  2. ココロの日記
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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