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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

クルスクの大戦車戦を夢見て

今日もブログペットのココロが記事を書いてくれていたので、本人はこそーりサボっちゃおうかなんて邪な考えがチラリ。(笑)
まあ、そうも行かないので記事を書きます。

今日は先ほどまでチョキチョキとユニットを切っておりました。
ゲームは「クルスク大戦車戦(Bloodbath at KURSK)」(コマンドマガジン日本版11号付録)です。
011.jpg

もう80号を迎えたコマンドマガジン日本版の11号の付録ですから、ずいぶんとほったらかしにしてあったといえるのですが、もしかしたら近いうちにでも対戦できるかなぁと思い、この機会にユニットを切ろうと思い立ったのです。

このゲームは戦術色の強いゲームのようで、一ユニットが一個小隊規模のようです。
当然そうなると、個人的には各ユニットのキャラクター性(登場戦車の性能差)が気になるのですが、このゲームもしっかりと各キャラクター(戦車)の特色を出してきているようですね。

独軍はもう主役中の主役ティーガーが登場します。
機動性には難があるものの、やはり攻撃力と装甲はゲーム中でも随一といっていいでしょう。
しかも他のユニットが2ステップしかないのに、ティーガーだけが4ステップを持つという強力さ。
独軍はこのティーガーを中心にした攻撃となるのでしょう。

他にも四号戦車や三号突撃砲などおなじみの車両に加え、マーダーなどの対戦車自走砲も登場し、マップ上をにぎわしてくれそうです。
なんとなんと、鹵獲したT-34も一個小隊参加しており、ユニットのイラストには独軍の十字マークが書き入れられているという芸の細かさ。
見ているだけで楽しくなります。

一方のソ連軍も多彩なユニットが登場します。
T-34が当然中核となりますが、そのT-34にも二種類あり、車体に戦車乗車歩兵を載せたタイプは近接戦闘にも威力を発揮します。
また、装甲の厚いKV-1に加え、レンドリースでやってきたチャーチル戦車やM3リー戦車などがこちらも盤上をにぎわしてくれそうです。

わずか全四ターンとターン数的には短いですが、戦術級は一ターンが結構長いのでどのぐらい時間がかかるものかはやってみなくてはわかりません。
ソロプレイを今度してみなくては。
Mどりっひ様、今度対戦しましょうね。

それではまた。
  1. 2008/04/30(水) 20:00:13|
  2. ウォーゲーム
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04月30日のココロ日記(BlogPet)

宅急便で地形が届きました!わくわく、わくわく。

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/04/30(水) 07:50:07|
  2. ココロの日記
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豊家滅亡その26

太閤秀吉が亡くなり、それから十六年もの月日が流れておりました。
しかし、その間に領地を削られ、寺社修築などに多額の財力を消費してきた豊臣家であったにもかかわらず、大坂方はこの危機に際して大量の金銀を放出し、各地の牢人を呼び集めました。
その数は約十万人にものぼったといわれ、戦力としてはともかく数だけは徳川幕府軍に対抗することができるほどの数をそろえることができたのです。

この膨大な数の牢人衆を、大坂方は食わせなくてはなりません。
そのため大坂方は膨大な量の兵糧米の確保に奔走することになります。
このときに大坂方に渡った米の一部に、福島正則の約八万石といわれる大量の米がありました。

福島正則は大坂に蔵を持ち、そこには所領より徴収した米を備蓄しておりました。
この米を大坂方は接収したのです。
無論そこには、この豊臣家の危機に際して何もできない福島正則の思惑もあり、八万石もの米は無抵抗で大坂方に引き渡されたと伝えられます。

さらには徳川家自体が大坂の蔵に保管してあった三万石から五万石ほどの米を接収。
諸大名の蔵からも接収した上に町人衆からも買い上げて、大坂にある米という米は根こそぎ大坂城に運び込まれたといっても過言ではない状況となります。
その量、およそ十六万石ほどだったといわれ、篭城しても食料にはまったく困らないといってもいい状況を作り出しておりました。

また、牢人衆は数こそ多かったものの、槍も刀も生活のために手放してしまっていた者も多く、彼らを戦闘に使うためには武具を与えなければなりませんでした。
そのため、大坂では大量の武器や弾薬が買い集められ、牢人衆に手渡されるに足るだけの物がそろえられます。
これも大坂方の財力によるものであり、太閤秀吉の残した財力はそれこそ天文学的なものだったのがうかがい知れます。

兵、兵糧、武具、すべてにおいて大坂方は財力でそろえることができました。
そのそろえた兵力をどう使うのか。
今度は大坂方はそのことに頭を悩ますことになるのです。

残念なことに、淀殿や秀頼の期待した太閤恩顧の諸大名の応援というのはまったくありませんでした。
それどころか大坂方の使者を切り捨てたり、捕らえて幕府に差し出したりすることで徳川家への忠誠の証としようとするものも多く、昔日の豊臣家の勢威は完全に失われておりました。

大名家の参陣がない以上、武名に優れた牢人に注目が集まるのは当然でした。
大坂方は参集してきた牢人衆の中でも武名に優れた真田や毛利のほか、黒田長政との確執により出奔した後藤基次(ごとう もとつぐ:又兵衛とも)や宇喜多秀家の重臣だった明石全登らが中核となり、牢人衆を取りまとめて行くことになります。

慶長19年(1614年)10月。
大坂方は以後の徳川方との戦いにおいての基本方針を定めるべく、戦評定を開いたといわれます。
ただし、これは良質な一次資料には明記されたものがないらしく、行われたであろうというのが正しいようです。
この戦評定において、大坂方は早くも寄せ集めの弊害を露呈してしまったというのが通説であります。
豊臣家宿老の大野治長らが篭城を主張し、それに対して真田信繁(幸村)ら牢人衆が迎撃での城外決戦を主張。
物別れに終わるも結局篭城案になったというのです。

ただし、大野治長は城外での戦いを本人も主張したが、徳川方に内通していた小幡景憲(おばた かげのり:のちに甲陽軍鑑を記す軍学者)が、徳川方が不利になる城外決戦を避けるよう巧みに会議を誘導したために篭城策に決まったとも言われます。

実際現在の眼から見れば、城外決戦は望み薄であったといわれ、篭城策はとりえる策としては上策だったとされています。
実際大坂方としては、兵糧や武器弾薬の確保に奔走するので手一杯であり、京まで出向いて宇治・勢田を確保するのは困難だったといえるでしょう。
大坂方は、堅固な大坂城に頼るしかなかったのです。

一方徳川家康は、片桐且元が追放され、大坂方との一戦を避け得なくなったとき、大変に喜んだといわれます。
いっぺんに若返ったようだとか、病気が全快したなどといわれ、相当に気分が高揚したと思われます。
真田の入城は多少気がかりだったかもしれませんが、所詮は昌幸本人ではない子供の信繁(幸村)であることから、それほど気にもしなくなったでしょう。

慶長19年10月11日。
家康は意気揚々と駿府を出発します。
わずかな供回りだけを連れたまるで物見遊山のような出陣だったといわれ、あちこち寄り道しながらの大坂への道のりだったといわれます。
途中途中で軍勢が合流し、大坂に近づくにつれて兵力は増しました。
10月23日、京都二条城に到着。
翌々日の25日、家康は藤堂高虎と片桐且元を二条城に呼び出します。
築城の名手藤堂高虎と大坂城内を熟知する片桐且元。
家康はこの二人に大坂城包囲の先鋒を命じました。

その27へ
  1. 2008/04/29(火) 20:13:57|
  2. 豊家滅亡
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こちらもひと月経ちました

プロ野球セントラルリーグも開幕から一ヶ月経ちました。
こちらもちょっと振り返ってみますね。

セ・リーグは一位と六位の差が11.5ゲームとひと月にしては結構開いてしまいました。
スタートダッシュに成功したチームと失敗したチームの差が大きく出てしまったようです。

まず一位は阪神で貯金十二。
ここは開幕カードの横浜に三連勝のあと五連勝まで伸ばし、さらに昨日までカードの負け越しと連敗が一度もないという、驚異的なスタートダッシュを切りました。
先発投手が昨年と比べて大幅に安定性が増し、打線があまり得点できない状況でも最少失点で勝つことができているのが大きいですね。
福原投手の骨折と五番今岡選手の大不振がありますが、現在のところそれもカバーできているようです。
今後は各球団のマークがきびしくなるでしょうが、がんばって欲しいです。

二位は中日で貯金七。
この上位二球団でセ・リーグの貯金を独占してしまってます。
ここも開幕二カードを四勝一敗一引き分けとスタートダッシュに成功し、その後も着実にカードの勝ち越しを決めてきております。
阪神との差は直接対決が一勝三敗一引き分けと負け越しているのが大きいと思われ、今後は阪神との直接対決が注目の的になりそうです。
阪神ファンとしてはひたひたとしっかりあとについてきているところが不気味で怖いですね。
川上憲伸投手の復調が鍵を握るかな。

三位は東京ヤクルトで借金一。
先日ついに借金となってしまいましたが、開幕の巨人戦三連勝に始まり好調なスタートを切ることができたことで、チームの実力以上に力を発揮できていたのだと思います。
この流れをこれからも維持して行くのは大変かもしれませんが、好調な若手がチームを引っ張って行くことでAクラスに食い込んで行くことは可能だと思いますので、台風の目になりそうですね。
打撃が低調になってきたときに、投手陣ががんばれるかが鍵でしょう。

四位は読売巨人で借金三。
誰もが認める巨大補強を行った巨人でしたが、現在のところ歯車がなかなかかみ合っていません。
投手陣のかなめとなる上原投手が大不振でいまだ勝ち星無しで二軍落ち。
打撃もイ選手が四番を務められずに降格など最悪といってもいい状態で線としての流れがつながりません。
ただ、潜在能力は高いので、五月六月には上がってきそうですので、要注意は間違いないところです。

五位は広島東洋で借金四。
新四番の栗原選手がやはりプレッシャーゆえかここまで活躍できてこなかったのですが、ここに来てエンジンがかかり始めてきたようです。
あとは投手陣がもう少し安定度を増すことでいい戦いができてくるのではないでしょうか。
ブラウン監督の手腕にはいろいろといわれてますが、退場したときの勝率十割というのがすごいというかなんと言うか。(笑)

六位は横浜で借金十一。
ここはやはり投手陣のかなめ三浦投手がまだ一勝しかできていないように、投手陣全体がよくありません。
チーム防御率もセ・リーグ最悪で、どうしても相手に多くの点を奪われてしまいます。
五割を目指してまずは投手陣の再編が必要ではないでしょうか。
打線も四番の村田選手がなかなか調子が上がってこないのもつらいですね。
一日も早い復調が望まれます。

開幕ひと月を経て各球団とも今年の戦力の見極めがついてきました。
六月いっぱいはトレード可能ですので、今後各球団の戦力補強も楽しみですね。
最後に笑うのはどこの球団か。
秋が楽しみです。

それではまた。
  1. 2008/04/28(月) 20:24:01|
  2. スポーツ
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まだまだ続くよ

まだ読んではいないんですが、「超人ロック」の最新刊「超人ロック エピタフ①」を手に入れてきました。

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超人ロックはもう皆様もご存知でしょうが、聖悠紀先生のライフワークともいえるマンガで、もう四十年以上もの長きに渡って描かれ続けている作品です。

私ももう三十年ぐらいのお付き合いになるでしょうか。
少年画報社版のコミックスを今でも持ってます。
ロードレオンとか好きでしたねー。

しかしまぁ、なんだかんだ言ってコミックス出たら買っちゃうんですよね~。
いつまで続くのやらわかりませんが、聖先生にはこれからも書き続けていって欲しいものです。

聖先生、きっとTRPGの「トラベラー:TRAVELLER」やったことあるんだろうなぁ・・・
装甲車のこととか一時期いきなりATVって呼び始めたもんな。(笑)

それではまた。
  1. 2008/04/27(日) 20:03:32|
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短期間で空母に改造する

今日は軍艦の紹介。
なんとなく日本の軍艦が多くなってしまうのは、手元の資料がそっち(日本帝国海軍)関係が多いので、どうしてもそうなっちゃうんですよねー。

さて、主要戦闘艦艇だけでは戦争はできないのは洋の東西を問わないもので、日本帝国海軍も主要戦闘艦艇の整備に汲々としながらも、縁の下の力持ちである補助艦艇の整備にも最低限の努力を行っておりました。

補助艦艇と一口に言っても、その種類は千差万別で、輸送艦や敷設艦、練習艦や標的艦などさまざまなものがあります。
その補助艦艇の中で、潜水艦の支援を行うための船が「潜水母艦」です。

潜水艦は現在の原子力潜水艦ならいざ知らず、当時の日本帝国海軍の潜水艦は諸外国の潜水艦に比べて大型であったとはいえ搭載する物資燃料などには制限がありました。
さらに狭い艦内での任務は乗員の負担を強いるため、定期的にリフレッシュさせてあげる必要がありました。
潜水母艦は、そういった外洋で行動する潜水艦に物資などの補給をすると同時に、艦内で潜水艦乗員を休養させリフレッシュさせることを目的とした特務艦船なのです。

この潜水母艦の一隻として昭和八年度計画で建造されたのが「大鯨」でした。
大鯨は大型化する潜水艦に対応するために建造されることになったのですが、日本帝国海軍はこの大鯨に実にさまざまなことを求めてしまいます。

当然のごとく潜水母艦としての任務に加え、緊迫化していた国際情勢にあわせ、戦時には短期間で航空母艦に改造できるようにすること、建造期間を短くするために電気溶接を多用すること、さらに新型のディーゼル機関を搭載し、その実用実験を行うことなど目いっぱいの要求がなされたのです。

そのため、電気溶接の多用により確かに七ヶ月という短期間で建造された大鯨は、将来的に空母にするために上部が異様に平らな船として完成します。
艦橋も日本海軍の小型空母がそうであったように、飛行甲板を設置したときには下側先端になるように配置され、取ってつけたかのような小型の艦橋がそのうえに載せられました。

また、空母になったときには格納庫として使えるように大型の倉庫が設けられ、その上にはダミーの煙突を立てて空母に改造できることを諸外国に悟られないように配慮しました。

こうして完成した大鯨でしたが、やはり当時の電気溶接技術は未熟で、船体のあちこちに不具合が生じます。
そのため、すぐにドック入りして船体強化を行う嵌めになりました。

ようやく完成して潜水母艦任務に就いたのは昭和十三年になってからで、その後昭和十六年には計画通りに航空母艦への改造が始まります。
結局わずか三年ほどしか潜水母艦としては任務に就かず、短時間で空母に改造する予定もディーゼル機関を交換したりなんだりで一年以上かかるという体たらくで、空母としても満足に働くことができないうちに終戦を迎えてしまいました。

新技術や海軍の思惑に翻弄されてしまった不運な艦だったのかもしれません。

それではまた。
  1. 2008/04/26(土) 19:32:00|
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久しぶりの改造SS

久しぶりに二次創作改造短編SSを書いてみました。
楽しんでいただけるとうれしいです。


「先生! 急患お願いします」
「先生、ICUの患者さんが・・・」
次々と看護婦たちが彼女の元にやってくる。
「わかったわ、すぐ行きます」
「そちらは大前先生に頼んでちょうだい、彼なら大丈夫よ」
てきぱきと指示を下し、自らも急患を診察するために救命センターの方へ走って行く。
いつものようにあわただしい総合病院の激務が彼女を襲っていた。

「ふう・・・どうやら今日も無事終わったようね」
夜になり、ホッと一息つく。
当直の場合はこれからまた夜間診療に当たらなければならないが、今日は当直勤務ではない。
冷たいジュースを自販機で買い、ゆっくりと喉を潤した。
「瑞希先生、お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
看護婦たちがにこやかに挨拶してナースステーションに向かって行く。
これからの夜勤につくのだろう。
「ご苦労様」
彼女は看護婦たちに何か違和感を感じたものの、それが何かわからない。
結局ジュースの空き缶を空き缶入れに放り込むと、尾久坂瑞希(おくざか みずき)は帰り支度のために更衣室に向かうのだった。

自宅への帰路、瑞希は先ほど感じた違和感がなぜだったのかに思い至る。
彼女たちは看護婦だというのに毒々しいアイシャドウと黒っぽい口紅をつけていたのだ。
寒々とした病院の廊下では一瞬気がつかなかったのだろう。
それにしても、看護婦のする化粧ではない。
きっと昼間にどこかで遊び歩いて、そのままの化粧で来てしまったのだろう。
今頃は婦長にしっかりとお説教を食らったのではないだろうか。
遊びかぁ・・・
最近カラオケにも行ってないなぁ・・・
瑞希はそんなことを思い苦笑する。
総合病院の救命医になったのだから激務は覚悟していたものの、これじゃ恋する暇もありはしない。
友人たちは次々と結婚式の招待状を送ってよこすが、お祝いの電話をかけるのが精一杯。
披露宴で新郎の友人をゲットしようと誘われても、行く暇もありはしないのだ。
あ~~あ・・・
お酒でも少し飲もうかな・・・
瑞希はコンビニの明かりが見えてきたことで、ワインでも買って帰ろうかと思うのだった。

携帯の着メロがなる。
ポケットの中で携帯が振動する。
やれやれ・・・
自宅まであと十数メートルだというのに・・・
ワインとチーズの入ったコンビニの袋を片手に瑞希は携帯を取り出す。
着信先は思ったとおり総合病院。
きっと急患だわ・・・
瑞希はそう思いながら携帯に出る。
「もしもし」
『あ、瑞希先生ですか? すみません、大至急戻っていただけませんでしょうか』
切羽詰ったような看護婦の声。
やはり急患が入ったのだろう。
「何かあったの?」
それでも瑞希も人間だ。
戻らずにすむものなら戻らずに済ませたい。
「交通事故が重なったようで重傷者が数名運ばれてきたんです。当直だけでは正直手が足りなくて・・・」
ハア・・・
内心でため息をつく瑞希。
「わかったわ、すぐに戻ります」
瑞希は携帯を閉じると、すぐに通りに向かいタクシーを拾うのだった。

「変ね・・・」
病院に戻った瑞希だったが、意外に病院内が静かなことに気がついた。
重傷患者が数名運び込まれたのであれば、もう少し騒然としていてもいいはずなのだ。
しかもどことなく薄暗い。
明かりはついているというのに寒々としているのだ。
どうしたんだろ・・・
いつも見慣れている病院内のはずなのに、今は見慣れない別の場所にいるみたい。
「とりあえずこうしてはいられないわね」
瑞希は更衣室で白衣を身に纏うと、コンビニの袋を押し込んで救命センターの方へ向かった。

救命センターの方へ向かっても、静けさはそのままだった。
いったい重傷者が運び込まれたというのは本当なのだろうか?
なんとなく不気味さすら瑞希は感じてしまう。
「瑞希先生、お待ちしておりました」
突然背後から声をかけられ、飛び上がるほど驚く瑞希。
どこかの部屋からでも出てきたのだろうか。
一人の看護婦が瑞希の後ろに立っていたのだ。
「仁木原さん、驚かさないでよ。びっくりしたわ」
瑞希はその看護婦がいつもにこやかで茶目っ気のある知り合いの若い看護婦だということで胸をなでおろす。
だが、次の瞬間、瑞希の表情が険しくなった。
看護婦の目の周りには毒々しい黒のアイシャドウが引かれ、唇は黒っぽい口紅で染められていたのだ。
「仁木原さん、あなたそんな化粧をして、どういうつもり?」
「うふふふ・・・さあ、瑞希先生、患者がお待ちです。第一手術室へどうぞ」
瑞希の指摘をまったく意に介した様子もなく、看護婦はくるりと背を向けて歩き出す。
「ちょ、ちょっと、第一手術室って手術が必要なの? いったい何がどうなっているの?」
「来ればわかります。さあ、瑞希先生、ついて来てください」
にやりと口元に笑みを浮かべ、瑞希を促す看護婦。
「な、何なのよ、もう・・・」
瑞希はやむを得ず彼女のあとについていくのだった。

第一手術室の扉が開く。
中には数名の看護婦たちが手術台を取り囲んでいた。
おかしい・・・
瑞希はとっさにそう思う。
医師の姿が誰一人としていないのだ。
他の手術にかかりきりとも考えられるが、それにしてもおかしすぎる。
しかも看護婦たちは手術着ではなく普通の白衣のままではないか。
「瑞希先生。お待ちしておりました」
「こちらへどうぞ」
看護婦たちがいっせいに瑞希の方を向く。
「ひっ」
瑞希は息を呑んだ。
看護婦たちはみな一様にアイシャドウをし、唇を黒く染めているのだ。
あまりの不気味さに瑞希は言葉を失った。
「な、何なの、あなたたち」
思わず後ずさりする瑞希。
だが、入り口はすでに二人の看護婦が固めていた。
「瑞希先生、怖がることは何もありません。先生は栄光あるデストロンによって選ばれたのですわ」
瑞希をここへ案内した仁木原看護婦がそっと背後から腕を取る。
反対からももう一人の看護婦が腕を取り、瑞希を手術台に連れて行く。
「ちょ、は、離して」
「これから手術が始まります。瑞希先生が必要なんです」
瑞希は抵抗しようとしたものの、両腕をがっちりと押さえつけられ、逃げ出すことはできなかった。

「な、何よこれ?」
瑞希は思わず声を上げる。
手術台の上に載せられていたのは重傷を負った患者ではなかったのだ。
そこには一台のテレビが置かれ、まるで瑞希の方を見上げるかのように画面が瑞希を向いていた。
「て、テレビじゃない? いい加減にふざけるのはやめてよ! あんたたち、いたずらも度が過ぎているわ!」
瑞希は怒りが湧き起こった。
こんな時間に呼び出しておいて、急患だと思うから来てみれば、手術台にテレビを載せて手術させようというのか?
ふざけているにもほどがある。
瑞希は必死で両腕を振りほどこうとしたが、まるで人間とは思えないほどの力が看護婦たちにはあるようで、まったく振りほどくことはできなかった。
「「これより手術を行います」」
看護婦たちが唱和する。
「ふざけないで! テレビの手術なんかできるものですか!」
「いいえ、手術を受けるのは瑞希先生。あなたです」
にやりと笑う看護婦たち。
彼女たちはいっせいに白衣を脱ぎ捨てると、驚いたことに全員が黒いレオタードを着込み、網タイツを穿いていた。
そしてその黒いレオタードには、白くサソリをモチーフにしたであろう文様が記されているのだ。
「あ、あなたたちはいったい・・・」
「「私たちは栄光あるデストロンの女戦闘員。この病院の看護婦の中より選ばれ、改造を受けたのだ。イーッ!!」」
右手を高く上げ、奇妙な声を上げる看護婦たち。
瑞希はもうあまりのことに何がなんだかわからなかった。

「い、いやぁーっ!!」
無理やり両肩を押さえつけられて手術台に近づけさせられる瑞希。
目の前には一台のテレビのブラウン管が瑞希の恐怖に満ちた表情をうっすらと反射している。
突然そのブラウン管が明るくなったと思うと、ザーッという何も写さない荒れた画面が表示された。
えっ?
な、何なの?
見たところ手術台に置かれたテレビには電源コードがついていない。
電池で作動するとも思えないが、いきなり電源が入ったのだ。
しかも、何も映し出していなかった画面はすぐに切り替わり、彼女の顔を映し出す。
「ええっ?」
驚きの声を上げる瑞希をよそに、黒いレオタード姿になった女戦闘員たちは瑞希の両腕と両肩を押さえつけ、瑞希は正面から画面を見る羽目になってしまう。
やがてテレビ画面には奇妙なうずまき模様が表示され、それはぐるぐると回転して瑞希の目を惑わせる。
いけない・・・これを見てはいけない・・・
瑞希はとっさにそう思ったものの、彼女の目は意思に反して画面を見続けてしまう。
やがてうずまきを見入っていた瑞希は、意識が朦朧となり、躰の力が抜けていく。
「あ・・・ああ・・・」
ガクンと首をうなだれ、ぐったりとなってしまう瑞希。
それを見た女戦闘員たちの口元に笑みが浮かんだ。

ぐったりとなった瑞希は手術台に乗せられると、テレビと一緒に白いシーツをかけられる。
そしてデストロンが誇る改造手術が、彼女の肉体の改造を始める。
手術台の脇に設置されたボックスには、さらに彼女の躰に融合させるべく用意されたアフリカ産のヒトクイバエが入っており、液体によって溶かされたヒトクイバエのエキスが瑞希の躰に流し込まれる。
いつの間にか病院の手術台は、デストロンの自動改造手術台となっており、女戦闘員と化した看護婦たちの目の前で、瑞希の躰は異形の存在に変えられていくのだった。

やがて手術台は静かになり、ゆっくりと白いシーツが取り払われる。
ゆっくりと起き上がる異形化した瑞希。
その姿はまさにテレビとハエを取り込んだ女の姿。
両目の位置にはハエの巨大な複眼の代わりにテレビモニターが左右に置かれ、触角の代わりにはアンテナが額のあたりから伸びている。
喉元にはスイッチが並び、形のよかった瑞希の胸はハエの腹部を思わせる節に覆われたものへと変化していた。
背中にはハエの翅が広がり、躰全体を黒い毛が覆うその姿はまさに異形。
だが、かつての瑞希はその姿を見せつけるように誇らしげに立ち上がる。
「うふふふふ・・・なんてすばらしいのかしら。私は栄光あるデストロンの改造人間テレビバエ。今日からこの病院の院長は私が務めます。邪魔者はすべて始末するのよ。いいわね」
冷酷に言い放つ改造人間テレビバエ。
「「イーッ!!」」
誕生したテレビバエの前に勢ぞろいし、女戦闘員たちは右手を上げて敬礼した。

「テレビバエ」END
  1. 2008/04/25(金) 19:47:54|
  2. 改造・機械化系SS
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華麗なる転身

明治30年、日本海軍は第二期拡張計画を開始。
将来の日露の衝突に備えて英国に戦艦を発注いたしました。
このとき建造された戦艦の一隻が、今日ご紹介する戦艦「朝日」です。

明治33年就役。
常備排水量一万五千トン、全長約130メートル、30センチ連装砲塔を二基装備した朝日は、準同型艦の敷島、初瀬とともに日本海軍の虎の子の主力戦艦として、日露戦争に参加。
日本海海戦でも大活躍をしました。

その後第一次世界大戦にも日本海軍の戦艦として参加。
大正10年に長い間の戦艦としての任務を終了し、海防艦という艦種に変更されました。

普通であれば、この海防艦という艦種でしばらく最後の奉公をしたのち、解役されるのが多いのですが、朝日には更なる仕事が待ってました。

大正12年、ワシントン海軍軍縮条約に基づき、朝日は武装と装甲を取り払った上で練習特務艦として新たな任務に就きました。
さらに、昭和に入ると、潜水艦の救難装置を備えて潜水艦救難艦に任務変更。
そして、日本と中国との戦争が始まると、今度は海軍艦艇の修理などを行う工作艦という艦種に変更されました。

朝日はもともと戦艦として建造されたため、元から工作艦として建造された明石などに比べれば能力不足は否めませんでした。
しかし、中国方面において日本海軍の活動を縁の下から支える重要な役割を果たし、工作艦としての使命をきちんと果たしました。

太平洋戦争ではシンガポールにまで出向いて、現地で艦艇の修理などを行ったのち、日本に向けて帰還する途中にアメリカ潜水艦の攻撃を受けて沈没。
その長く数奇な一生を終えました。

海軍の軍艦はえてして一つの任務だけではなく複数の任務を行うことも多いのですが、戦艦として建造された軍艦が、ここまで多種多彩な任務についたというのも例がないのではないでしょうか。
日露戦争に参加した戦艦が、太平洋戦争にも参加したというのは驚きを禁じえません。
長生きの軍艦だったんですねぇ。

それではまた。
  1. 2008/04/24(木) 21:21:30|
  2. 趣味
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40年ですか~

さすがに2200円はちょっときつかったので立ち読みで済ませてしまったのですが、先日本屋に立ち寄ったところ、タミヤ模型の1/35ミリタリーミニチュアシリーズ40周年記念の記念誌が出てました。

一作目の「ドイツ戦車兵セット」から最新はドイツの「3トン 4×2 カーゴトラック 」までシリーズ総種類291種全部が紹介されてました。
いやー、もう懐かしいなんてものじゃないですね。
青春そのものだったですよ。
私プラモ好きでしたから。

思えばもう20年以上も前になるのかー・・・
歳食うはずだよね。

それにしても第一作の「ドイツ戦車兵セット」こそ絶版なものの、第二作の「ドイツ歩兵セット」は今でも現役セットで販売されているんですねー。
驚きです。

九作目の二号戦車、十一作目の三号戦車、十七作目の88ミリ高射砲なんてよく作ったものでした。
ただ、私ぶきっちょで塗装がまったくだめで、プラモは組み立てるだけでしたねー。

最近は1/35よりも1/48のシリーズのほうが重点を置かれているようですけど、アイテム数の多さは半端じゃないですからね。
これからも1/35ミリタリーミニチュアシリーズは続いていくんじゃないでしょうかね。

思えばプラモから始まってミリタリーマニアになり、ウォーゲームに足を踏み入れることになったんですよね。
このタミヤの1/35ミリタリーミニチュアこそ、私の原点なのかもしれないですねぇ。

記念誌2200円・・・高いなぁ・・・

それではまた。
  1. 2008/04/23(水) 20:15:00|
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04月23日のココロ日記(BlogPet)

舞方雅人さんにこの前「ココロの声が聞きたいな」って言われました!うれしい!でもおしえてあげませんよっ!

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/04/23(水) 07:28:40|
  2. ココロの日記
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豊家滅亡その25

慶長19年9月20日。
おそらく悲痛な表情をして片桐且元は大坂城に戻ってきたのではないでしょうか。

京都東山方広寺大仏殿の開眼供養に端を発した、いわゆる「方広寺鍾銘事件」の申し開きをするために駿府の家康の元へ出向いた且元でしたが、家康には会えなかったばかりか、豊臣家の今後の安泰は三つの条件のどれかを呑む以外にはないと伝えるための使者となってしまったのです。
心中はいかばかりだったでしょう。

秀頼自身の参勤、淀殿が人質、大坂の国替え、どれも豊臣家にしてみれば呑める条件ではなかったのかもしれません。
且元よりこの報告を聞いた大坂城内は騒然となりました。
しかも、淀殿のところには大蔵卿の局より家康が心配することはないと述べていたとの報告が入っています。
どちらの報告を信じるのか。
大坂方にしてみれば、家康自らが会い、しかも耳障りのよい大蔵卿の局の言を信じるのが当然とも言えたでしょう。

大坂方は片桐且元が裏切ったに相違ないと考えました。
家康に丸め込まれた且元を切腹に処すべし。
そう決定がなされます。
且元は自分の身が危険になったことを知り、病気と称して屋敷に閉じこもりました。
そしてついに慶長19年10月1日、片桐且元は大坂城を退去します。

この且元の退去により豊臣家は徳川幕府との交渉を拒絶したと家康はみなしました。
ついに江戸の将軍秀忠の下へ家康からの出撃準備が命じられます。
一方大坂城の秀頼も、かつての豊臣家恩顧の大名武将に書を発し、大坂参集を命じます。
本格的戦闘の準備が双方で始められたのでした。

10月2日に豊臣秀頼は豊臣家の名を持ってかつての恩顧大名武将に大坂参集を命じました。
しかし、大坂方に参加した大名家はついに一家もありませんでした。
秀頼の求めに応じて参集したのは、徳川幕府の下では前途に希望の持てない牢人衆でした。
この牢人衆たちが、大坂方の主力戦力となったのです。
そしてこの牢人衆の中には、かつては城持ち大名だったものの、徳川家によってつぶされ、牢人となっている有力者も多かったのです。

豊前小倉15万石の大名毛利勝信(もうり かつのぶ)は太閤秀吉がまだ無名だったころからの家臣でした。
そのころは森勝信という名前でしたが、秀吉の出世に伴い彼自身も城持ち大名になったことから、中国地方の大大名毛利家に秀吉が願い出て、森を毛利と改めました。
勝信には勝永(かつなが)という息子がおり、彼も有能な武将として知られ、関ヶ原の戦いの折には西軍の一員として九州で獅子奮迅の働きをしますが、関ヶ原の戦いが東軍の勝利に終わったために領地没収され、親子は土佐の山内一豊に預けられることになりました。

土佐では山内家の厚遇もあり、二人とも暮らしに不自由はしなかったようですが、勝信はお家再興を果たせぬまま土佐で亡くなります。
残された勝永もむなしく日を送っていたところ、大坂からの書が届き、勝永はこの戦にすべてをかけて望もうと決めました。
徳川方の一員として参陣する山内家の大将忠義(ただよし)の後見を願い出て許された勝永は、そのまま土佐を脱出。
かつての小倉時代の家臣たちと連絡を取り、約四千もの兵力を集めて大坂に入城した毛利勝永は、以後大坂方の重要な将として活躍することになるのです。

その土佐の大名だったのが、長曾我部盛親でした。
彼も関ヶ原の戦いには西軍として参戦し、南宮山のふもとに陣取って好機をうかがっていたのですが、頂上付近の毛利家が動かなかったために、一戦も交えずに後退する羽目になったのです。
その後領地は没収、盛親は京都で寺子屋の師匠として細々と暮らしておりましたが、秀頼からの書状にこれまたお家再興の好機として参陣することに決めました。

元土佐22万石の大名であり、名を知られた長曾我部家でしたので、京都所司代の板倉勝重に常に監視されていた盛親は、逆に勝重に徳川方として働き少しでも領土を手に入れたいと訴えます。
親交のある浅野長晟とは約束があるので、彼の元へ行き少しでも徳川家の役に立ちたいと切々と訴える長曾我部守親の態度に板倉勝重もついに折れ、京都を離れることを許可しました。
長曾我部守親はすぐに京大坂の旧家臣たちと連絡を取り、大坂へ向かいます。
最初二、三十ほどだった彼の周りには、いつしか三百五百と兵が増えて行き、大坂城に入城するときには千を超えるほどにまで膨れ上がっておりました。
最終的には彼の元には一万近い兵力が集まったといわれます。
こうして長曾我部守親もまた、お家再興をこの戦にかけ大坂方に加わったのでした。

紀州九度山。
かつて信州上田城で二度も徳川勢を撃退した真田家の昌幸、信繁(幸村)親子が幽閉された場所です。
関ヶ原の戦いの折、徳川秀忠率いる徳川本隊を上田城にひきつけ、ついには戦場に遅参せしめるといった大殊勲を上げた真田親子でしたが、関ヶ原の戦い自体が東軍の勝利に終わったため、領地を没収された上で死を命じられるほどのものでした。
しかし、徳川方についた息子信之のおかげで死を免じられ、幽閉の身としてこの紀州の山間に閉じ込められた真田親子は、信之からの仕送りでわびしい暮らしを送っておりました。
やがて昌幸は息を引き取り、老いに焦りを感じるという書を信之に送っていた信繁(幸村)の元に、秀頼からの書状が届いたのです。

信繁(幸村)は最後の一花を咲かせる好機と思ったことでしょう。
彼は策略をめぐらして九度山を抜け出します。
監視役を酒に酔いつぶしたとも、碁を打ちに行って小用に立つ振りをして抜け出したとも伝えられますが、定かではありません。
わずかな兵を率いて彼が大坂城に入城したのは慶長19年10月10日だったと伝えられます。

こうしてのちに大坂方三人衆と呼ばれることになる武将たちが大坂に入りました。
特に真田信繁(幸村)の大坂入城は、かつての上田城での戦いを家康に思い起こさせたのか、昌幸がすでに亡くなっていたことも忘れてしまったようでした。
「入城した真田は親か子か?」
と側近に問うた家康は、ふすまをつかむ手が震えていたといいます。

こうして世に言う「大坂冬の陣」が始まりました。

その26へ
  1. 2008/04/22(火) 20:27:08|
  2. 豊家滅亡
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ひと月経ちました

パ・リーグが先月20日に開幕して今日で約ひと月経ちました。
その間予想通りの展開をしている球団はごく一部じゃないでしょうか?
このひと月をちょっとだけ振り返ります。

パ・リーグ
昨日の時点でパ・リーグは一位から六位まで綺麗に対照的な形となっています。
一位が西武の貯金五。
西武は開幕直後こそあまりよくなかった気がしますが、2日から8日まで六連勝をするなどで貯金をためましたね。
やはり連勝は大きいです。
ブラゼルもHRが多いですね。
投打がかみ合っているのではないでしょうか。

二位は日本ハムで貯金二。
ここは連勝もするけど連敗もするというのがよく表れてます。
五連勝のあと三連敗は楽天ほどではないにせよ派手。
打線がなかなか得点できないのが苦戦の原因というのははっきりしているので、打線の奮起に期待です。

三位はロッテとソフトバンクが貯金無しの五割で同率。
両チームともいまいち乗り切れないところがあるようですね。
ソフトバンクは開幕五連勝でスタートダッシュ成功かと思われましたが、その後三連敗二連敗三連敗と貯金を吐き出しちゃいました。
ロッテも三月を五割で乗り切ったものの四月に入って黒星先行、ようやく12日から16日の四連勝で五割復帰と言ったところです。
勝ったり負けたりがしばらく続きそうです。

五位は楽天で借金二。
ここはもういきなり派手な展開で目を引きました。
開幕から連敗街道まっしぐら。
四連敗もしてしまったと思えば、今度は破竹の七連勝。
さらには連勝を帳消しにする六連敗とすさまじい状況です。
これもチームの若さなんでしょうかね?
野村監督の苦悩の日々が続きます。

六位はオリックスで借金五。
ここは投手力の弱さが出てしまっているというところでしょうか?
三月の四連敗、四月の五連敗が響いています。
打撃陣もけが人などで万全とは言いがたく、これからも苦しい戦いを強いられそう。

しかしまあ、六位のオリックスでも五ゲーム差。
阪神とヤクルトのゲーム差よりも少ないです。
混戦状態から抜け出すチームは出てくるのか?
パ・リーグは今年も交流戦が鍵を握るのではないでしょうかね。
セ・リーグはまた後日。

それではまた。
  1. 2008/04/21(月) 19:59:10|
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まさにサルのごとくプレイしまくり

以前も書きましたが、今月に入ってから対戦相手のGoma様のご好意に預かって、ASL-SKのVASLでの通信対戦にはまり込んでおります。

二日で一シナリオのペースでお相手をしていただいており、場合によっては一週間で二シナリオをこなすようなハイペースで楽しませていただいております。

前回から昨日までにもすでに三シナリオがプレイされました。

S6シナリオ「RELEASED FROM THE EAST」
このシナリオはドイツ軍が守る三つの建物のうち二つ以上を確保しようとするソ連軍との戦いです。
私が守るドイツ軍、Goma様がソ連軍を担当しました。

序盤ドイツ軍の防御陣をソ連軍が攻めきれず、時間を稼いだドイツ軍の前にソ連軍は最後の白兵戦に望みをかけましたものの、ついにドイツ軍を追い出しきれずにソ連軍が敗退。
ドイツ軍の勝利となりました。

次に行われたのがS3シナリオ「SIMPLE EQUATION」
このシナリオは村に立てこもるドイツ軍を米軍が追い出すというもので、ドイツ軍が確保する建物のうち25ヘクスを米軍が奪取しなくてはなりません。
Goma様がドイツ軍を、私が米軍を担当しました。

これはもう目も当てられないほどの惨敗に近いものでした。
最高の指揮官が指揮する機関銃分隊を移動させ忘れて後方に取り残してしまうわ、射線を読み違えて撃たれないだろうと思って平地を走ったら、しっかり射撃されて除去されてしまうわとさんざんです。
Goma様の丹念に考えられた防御陣の前にミスを連発しては勝てるはずもありません。
早々に投了となり敗北しました。

そして一昨日昨日と行われたのが、シナリオS4「WELCOME BACK」
ゲーム盤の東から西側に向けて突破しようとするドイツ軍を、わずかな戦力と重機関銃で迎撃する米軍との戦いです。
Goma様がドイツ軍を、私が米軍を担当しました。

平地が広がる北側からの突破は難しく、ドイツ軍は林の広がる南側に来ると読んだ私は南側を重点に米軍を配置。
しかし、Goma様率いるドイツ軍は平地をものともせずに北側に布陣してきました。
この状況にわずかしか配置されていなかった北側の米軍防御陣はあっという間に撃破され、応援に差し向けた分隊もドイツ軍の射撃に除去されてしまいます。
こうなると、少ない米軍はさらに苦しく、機関銃で多少の損害を与えたものの、ドイツ軍の突破を許してしまいました。

前回の二連勝とあわせてこれで五戦やって三勝二敗です。
Goma様との対戦は本当に面白くてハマります。
次回はS5シナリオ「CLEARING COLLEVILLE」です。
また楽しい時間が過ごせそう。
Goma様よろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2008/04/20(日) 19:28:02|
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勉強ちゃんとしておけばなぁ・・・

注文してあったMMP社のウォーゲーム雑誌「OPERATIONS 52号」が先日到着しました。


(こちらがその表紙)

前号、前々号から手に入れているのだが、目的はただ一つ。
ASL-SKのシナリオが付録についてくるからです。

本当はちゃんと英語が読めれば、リプレイ記事やゲーム記事など有用な記事がいっぱいあるのでしょうけど、辞書片手に記事を読むほど根性なくて・・・orz
今さらですけど、若いうちにちゃんと英語の勉強しておかないとだめですよ、皆さん。

なので、記事の大半は意味不明。
お目当てのASL-SKのシナリオにだけ目を通す。
もったいないけど、VASLでシナリオを数回遊ぶことができれば元は取れるかなって気もします。

今回のシナリオはS29「NO MONUMENTAL ACCLAIM」
1944年のフランスにおける米軍空挺部隊と独軍歩兵守備隊との戦いです。
SK2だけあればプレイ可能になっているみたいですね。

バズーカや爆薬を持った米軍降下兵をHMGMMG各1丁ずつで迎え撃つ独軍部隊。
丘に囲まれたマップWでの激戦が予想されます。
特別ルールもないのでやりやすいシナリオではないでしょうか。
早く対戦してみたいものですね。

さて、今晩もVASLでの通信対戦。
がんばるぞー!
それではまた。
  1. 2008/04/19(土) 19:39:16|
  2. ウォーゲーム
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空母に載せるはずが・・・

第二次世界大戦中、ドイツ空軍の主力戦闘機として終戦まで使用された戦闘機がメッサーシュミットBf109でした。
機種番号についてはメッサーシュミットであるためにMe109とかかれることもありますが、メッサーシュミット社が吸収する前のバイエルン航空機製だったためにBf109と表記されることが多いようです。
液冷エンジンを搭載したスマートな外観は日本でもファンが多いと思われ、零戦のプラモデルと造り比べてみた人も多いのではないでしょうか。

このメッサーシュミットBf109は初期量産型のE型に始まり、F型、最多量産数のG型、最終量産型のK型へと進化して行くのですが、その進化の過程において、一風変わった形式の機体も作られることになりました。
ドイツ海軍航空母艦グラーフ・ツェッペリンに搭載する艦載機型Bf109です。

ドイツ海軍はドイツ再軍備開始にあたり、戦艦や空母を建造する計画を立てました。
戦艦はあの有名なビスマルク。
そして空母がこのグラーフ・ツェッペリンでした。

しかし、当時のドイツには航空母艦のノウハウはありません。
結局グラーフ・ツェッペリンは進水までしたものの未完成に終わります。

航空母艦は船体だけできればいいというものではありません。
搭載する艦載機がセットになって初めて有効な戦力となります。
その艦載機のうち、艦上戦闘機に選ばれたのが当時の新鋭戦闘機Bf109-E型でした。

もちろん陸上での運用を前提としたBf109をそのまま空母で運用することはできません。
どこぞのできの悪い仮想戦記のようには行かないのです。
(以前読んだ小説でニミッツ級空母からF-15が発進したときは、その場で本を叩きつけたくなりました)

そこでメッサーシュミット社では、基本的な部分はBf109-E3型を踏襲し、カタパルト発進用の装備や着艦フック、狭い艦内に多数を収容するための翼の折りたたみ機構などを増設。
さらに空母への離着艦がしやすいよう短距離離着陸性能をアップするための主翼の延長やフラップの拡大などの改修が行われました。

こうして完成したBf109の艦上戦闘機型はBf109-T型として採用されるに充分な性能を示したのです。
しかし、すでに述べましたように、ドイツ海軍期待の航空母艦グラーフ・ツェッペリンは完成の目処がなくなっておりました。
せっかく完成した艦上戦闘機型Bf109-Tも試作機として埋もれてしまう運命かと思われました。

ですが、ドイツ空軍はBf109-T型を見捨てませんでした。
離着艦が容易なようにと施された短距離離着陸性能は、長大な滑走路を地形制約上作れない場所での防空戦闘機として使用するにはもってこいと踏んだのです。

フィヨルドの国ノルウェーやヘルゴランド諸島のような島などの短い滑走路では通常のBf109は使用困難でした。
そのため、そういった地域に配備するためにBf109-T型はわずかですが量産されることになりました。
約50機ほど生産されたBf109-T型は、短い滑走路をものともせずに、ノルウェーやヘルゴランド諸島で活躍。
1944年まで防空の任務についていたそうです。
きちんと作られたものは、多少目的が違っても運用ができるということなのかもしれませんね。
それではまた。
  1. 2008/04/18(金) 20:18:05|
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危なかったー

今日は札幌辺境伯様をお迎えしてのウォーゲーム対戦。
プレイしたのは「ゲティスバーグの戦い(リー最大の賭け)」(CMJ29号)。
前回とは陣営を入れ替えての入れ替え戦です。
札幌辺境伯様が南軍を、私が北軍を担当しました。

ゲームの展開は史実同様南軍が北軍を圧迫する展開が繰り広げられました。
私は戦力が整うまでの時間を稼ぐことを基本としてひたすら南軍の攻撃をしのぎきることに専念します。
札幌辺境伯様の南軍はゲティスバーグの町を視野に入れ、司令部を盤外突破させるために通り道を作りにかかります。

以前私が南軍を担当したとき、私はあわよくば最も得点の高いFからの盤外脱出を視野に入れ、少なくともEから脱出を図ろうとしました。
Fが無理でもEから。
ゲティスバーグを支配すればそのどちらかが見えてきます。
ですから当然札幌辺境伯様もそちらに司令部を向けてくるものと考えておりました。

ところが札幌辺境伯様は司令部をGから盤外脱出させるべく南下させてきたのです。
私は焦りました。
セメタリーヒル方面に向けられた北軍部隊は南下する南軍には対応できません。
対応する部隊は自然と援軍に頼ることになります。

ですがこのゲームは隠匿移動にさまざまな制限があり、移動させられないこともしばしば。
援軍を隠匿移動させていた北軍は南軍の南下に間に合うかどうかぎりぎりのタイミングを強いられました。

小競り合いにより南軍司令部を足止めし、ようやく北軍が南下する南軍の前に戦線をしくことができた時には、本当にホッとしました。
結局お互いに戦線を張ってにらみ合いという状況で二日目を終了。
時間切れとなったので終了といたしました。

いやいや、ホントひやひやでした。
史実で勝った北軍が南軍に負けるわけには行きません。
どうにかこうにか突破を防ぐことができてホッとしました。

それにしても札幌辺境伯様は手堅い攻めをしてきます。
部隊数の多さが余裕をもたらしてくれなければ、翻弄されっぱなしになるところでした。
楽しい対戦をお相手してくださった札幌辺境伯様に改めて御礼をいたします。
ありがとうございました。

次回はロシアンキャンペーン2の予定。
また白熱しそうですー。
それではまた。

PS:今日もWEB拍手の質問に対してお返事を。
うーん・・・異形化の作品ってパッと思いつくものがないんですけど、やっぱり楳図かずお先生の作品ですとか、古賀新一先生の作品ですとかが私の原点になっていると思います。
もうご存知でしょうけどこれぐらいかなぁ。
  1. 2008/04/17(木) 21:05:41|
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いつもと違う朝

え~と、ごめんなさい。
すみません。
ほんのちょっとしか書けませんでした。
楽しみにしてくださった方には申し訳ありません。

1000日連続更新記念SS第五弾、SS連続更新七日目は「ホーリードール」です。
ほんの少しですけどもご賞味くださいませ。


26、
「デスルリカ様、今のは一体?」
光の波動を感じ急いで姿を現したレディアルファが駆け寄ってくる。
がっくりとひざをついたデスルリカの姿が痛々しい。
一体何があったのか?
消えた光の波動はなんだったのか?
レディアルファは周囲を確認し、デスルリカを連れ戻すことしかできなかった。

「ベータの様子はどう?」
紗希がいなくなった家に入り、リビングのソファに腰を下ろす。
「はい、安定しています。問題はありません」
「そう・・・良かった・・・」
ふうと息をつくデスルリカ。
その目がどこかうつろだった。
「デスルリカ様・・・一体何が?」
「紗希を奪われたわ」
苦々しげに吐き捨てるデスルリカ。
その表情が苦痛に満ちている。
「紗希? デスルリカ様のかりそめの世界での娘さんですね?」
「ええ、いずれはあなたたちと同じように闇の世界の一員となってもらうつもりだった。でも・・・」
「でも?」
「紗希は光に支配されていたわ。光の手駒となっていた」
レディアルファが息を呑む。
では、ベータを傷つけたのはデスルリカ様の娘?
なんてこと・・・
「取り戻すわ・・・」
デスルリカの目に輝きが戻る。
「なんとしても取り戻すわ。光などに紗希を奪われたままになどしておくものですか」
レディアルファはその様子に多少の戸惑いを禁じえなかった。

「あれ?」
いつものベッドでないことに紗希は戸惑う。
朝の日差しが今日はいい天気であることを告げている。
「明日美ちゃんのうちだ・・・」
いつも泊まりに来る明日美の家で目が覚めたのだ。
「夕べ明日美ちゃんのうちに泊まったっけ?」
記憶にない。
自宅で宿題をするあたりから・・・
ううん違う・・・
もっと前・・・
昨日の記憶があまりにも残っていないのだ。
「あれ?・・・えーと・・・えーい!」
とりあえず起き出す。
時間は朝の7時。
いつもと同じ時間。
学校へ行かなくちゃ。
あとは学校で考えよう。
紗希はいつも明日美ちゃんのところに置かせてもらっている服を取り出し、パジャマから着替えて行く。
「う~っ! カバンがないってことは学校帰りに寄ったんじゃないと思うけど・・・」
いつの間にお邪魔したのかわからないけど、とにかく一度うちへ帰らなきゃ・・・

「おはようございますサキちゃん」
ドアが開いて明日美が入ってくる。
いつものようににこやかな笑顔。
「おはよう、明日美ちゃん」
紗希も思わず笑顔になる。
「食事の用意ができてますわ。着替えたらお部屋に来てくださいね」
「あ、うん。あ、あのね、明日美ちゃん」
紗希は出て行こうとした明日美を呼び止めた。
「何ですか? サキちゃん」
「え~と、私今日学校の準備してきてない様子なんだよね。だからいったんうちへ帰らなきゃ・・・」
紗希がそういった途端に明日美の表情が変わる。
「無駄ですわサキちゃん」
「えっ?」
紗希は一瞬何がなんだかわからない。
「無駄ですわサキちゃん」
「ど、どういうこと。明日美ちゃん?」
「サキちゃんはまだ引きずられているのですね」
紗希は明日美に恐怖を感じた。
違う。
この明日美ちゃんは明日美ちゃんじゃない。
「サキちゃんの家は闇に支配されました。もう戻ることはできません」
「な、何なのさそれ。闇に支配って何なの? 明日美ちゃん一体どうしちゃったの?」
紗希は明日美の肩に手をかける。
温かい。
この温かさは明日美ちゃんに間違いない。
でも・・・
でも中身は違うよ。
「明日美ちゃん! 明日美ちゃん!!」
がくがくと明日美を揺さぶる紗希。
明日美の顔はその間もまったく表情を変えなかった。


PS:WEB拍手にお寄せいただいた質問にお答えします。
え~と、残念ながら私は同人誌関係はまったくといって疎いので、お勧めのものをご紹介することができないんですよー。
ごめんなさいです。

それではまた。
  1. 2008/04/16(水) 20:11:21|
  2. ホーリードール
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一人退場

「魔のかけら」に本当に多くの拍手をいただきましてありがとうございました。
拍手の数が50を超えるなんてほんとにうれしいです。
ありがとうございました。

さて、1000日連続更新記念SS第四弾・・・といっていいのかなぁ。
SS連続更新六日目は「帝都奇譚」の26回目です。
うー・・・明日も何とかSS投下したいよー。
がんばらねば。
それではどうぞ。


26、
ヴォルコフが動き、月子が対応する。
この構図を幾度か繰り返し、ヴォルコフは確実に月子の体力を奪っていく。
重い分銅鎖は威力は大きいものの、何度も繰り返し投じるには不向きな武器でもあり、月子の息が徐々に上がってくるのが見て取れた。
もとより月子も長引かせるつもりはない。
幾度となくヴォルコフの急所を狙って分銅鎖や棒手裏剣を打ち込んでいるのだが、そのことごとくをかわされているのだ。
理由の一つはヴォルコフの能力そのものの高さ。
そしてそれ以外の理由として、二人のしもべたちの存在があった。
紅葉も灯もダメージを負ってはいるものの、ある瞬間にはおとりとして、またある瞬間には盾としてヴォルコフをサポートしてくる。
三対一ではいくら月子といえども苦戦はまぬがれない。
むしろ、“新たな世界に生きる者”を三体も相手にして引けを取らない月子の戦闘能力の高さこそ特筆すべきものだった。

「ハア・・・ハア・・・」
何度目かの攻撃が失敗に終わり、月子は屋敷の屋根に降り立った。
パキッと音を立てて瓦が割れ、着地の衝撃を月子が消せなくなっていることを物語る。
「おやおや、足元がふらついたかね? だいぶお疲れのようだが」
ヴォルコフが正面に立ってにやりと笑う。
赤く輝く眼が獲物を前に細められる。
「くすっ・・・ご心配には及びませんわ。ようやく躰がほぐれてきたところですから」
じゃらっと音が鳴り、分銅鎖が月子の手に巻き取られる。
「強がりはよせ。もう立っているのもやっとだろう。早く我にひざまずいて許しを請うがいい。すばらしい世界に導いてやるぞ」
一歩二歩と前に出るヴォルコフ。
月子の背後左右からは、二人のしもべもじりじりと迫る。
月子の額に一筋の汗が光った。

躰が熱い・・・
喉が渇く・・・
それに何かが駆け回る気配・・・
寝苦しさにうっすらと目を覚ます摩耶子。
夜着のまま布団を跳ね除け、上半身を起こす。
障子を開けて外を見る。
なんだか無性に夜の空を見たくなったのだ。
夜空には月が輝いている。
白くて大きな月。
それは摩耶子に安らぎをもたらしてくれた。
喉が渇く・・・
・・・を飲まなきゃ・・・
・・・を飲みにいかなくちゃ・・・
何を飲むのだろう。
何を飲みに行かなくてはならないのだろう。
ふと湧き起こった衝動に背筋がぞくっとする。
首を振る摩耶子。
このところ体調が優れない。
きっと寝が浅いせい。
喉の渇きをこらえて摩耶子は布団にもぐりこむ。
その頭上で何が行われているのかを知らぬまま・・・

「ハア・・・ハア・・・」
月子の前でどさっとひざから崩れ落ちるしもべの一人。
「ぎゃぁぁぁぁぁ・・・」
すぐに貼り付けた札が彼女の躰を炎で包み込む。
「むう・・・まだそのような力を・・・」
ヴォルコフは歯噛みした。
あまりにも目の前の女が予想以上だったのだ。
左右のしもべに命じ、取り押さえたところで精気を吸い取る。
その考えはあっけなく吹き飛んだ。
ヴォルコフが一瞬動きを止めた瞬間を逃さず、一体のしもべを屠ることに全力をかけてきたのだ。
牽制の棒手裏剣も分銅鎖も使わず、もう一体のしもべには目もくれずに一体だけをつぶす。
まさに各個撃破の見本だ。
すっぱりと切り裂かれた洋服の下からは白い肌が覗き、一筋の傷から血が流れている。
しもべの爪に切り裂かれた傷だが深手ではない。
紅葉を失った代償としては、あまりにも軽すぎる傷だった。

赤い目が怒りに燃える。
戯れに作ったしもべだが、こうも簡単に失うのは面白いことではない。
この女をしもべに加え、思い切り嬲ってやれば少しは気も晴れるだろう。
ヴォルコフはこぶしを握り締め、月子に一歩近づいた。

しもべの一体は倒した。
元は人間だったものだがやむをえない。
破魔札の炎によって浄化され、開放された魂は安らぎを得ているはず。
そう思わなければやっていられるものではない。
月子は分銅鎖を巻き取り、ヴォルコフの動きに集中する。
もう一体のしもべはさほど気にしない。
二体でのコンビネーションにすら難のあったしもべごとき、ヴォルコフさえ倒せばどうとでもなる。

跳躍したヴォルコフのマントが翻り月を隠す。
月明かりが明るければ明るいほど一瞬の闇は人間の目をくらませる。
繰り出された手刀を寸でのところでかわした月子は、そのまま後ろに跳躍して距離をとる。
すかさず棒手裏剣を牽制に繰り出すと、分銅鎖を叩き込む。
ずしんという手ごたえが鎖を通じて伝わり、ヴォルコフの胴に分銅がめり込んだことを知らせてきた。
「くっ」
一瞬の喜びはすぐに失われ、ぐんと引き込まれる力の強さに月子は驚愕する。
なんてこと。
ヴォルコフは叩き込まれた分銅の衝撃をものともせずに、それを掴み取って引っ張っているのだ。
「ちっ」
月子は舌打ちすると分銅鎖をあきらめる。
強力な武器だが、こうなると力勝負になってしまう。
月子はあらためて距離をとり、長い髪をまとめていた髪留めのリボンをはずし、右手に巻きつけた。

じゃらっという音がして地面に落ちる分銅鎖。
普通の人間であればあの一瞬で勝負はついていた。
掴み取った鎖を引っ張り、相手を懐に引き入れる。
手を離すのが一瞬遅れただけで、相手はこの手に掴み取られていたはずなのだ。
それをこうも簡単に逃れられるとはな・・・
ヴォルコフは苦笑した。
ここまで本気を試される相手というのは初めてだ。
この女・・・
ただでは済まさん。

巻きつけたリボンに気を込める。
白い布切れだったリボンがぼうっと輝き、表面に文様が浮かび上がる。
棒手裏剣、短剣、分銅鎖、そしてこの呪符リボン。
これらが月子の武器なのだ。
月子はリボンの両端を両手で持ち、ぴしんと張り鳴らした。
  1. 2008/04/15(火) 20:03:33|
  2. 帝都奇譚
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04月15日のココロ日記(BlogPet)

舞方雅人さんと、なんとなく心が通じたかも……そんな気がしました。

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/04/15(火) 09:01:23|
  2. ココロの日記
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一匹のメス

1000日連続更新記念SS第三弾「グァスの嵐」です。
久しぶりですが、楽しんでいただければと思います。

今日で五日連続のSS更新となりますが、何とか一週間連続更新をやりたいと思いますので、ここに宣言いたします。
明日は帝都の続きの予定です。


20、
「オルランディ様」
ミューがじっとエミリオを見つめてくる。
「うわ、ミュー、そのオルランディ様はやめようってば。エミリオでいいよ」
エミリオは思わず首を振った。
様なんて付けられては照れくさい。
「ですが、ミューにとってはオルランディ様はオルランディ様です」
困ったような顔をするミュー。
こういった表情というものが、コミュニケーション手段として非常に重要なものであるということは、ミューにはすでにプログラムされている。
「いやぁ、それが恥ずかしいんだってば。エミリオでいいから」
「それではエミリオ様。お願いがあるのですが」
エミリオ様も気にはなったが、とりあえずミューのお願いというのがエミリオは気になった。
この二日というもの、ミューは自ら何かを求めるということがなく、いわばなされるままになっていたと言っていいのだ。
「お願い?」
「はい。ミューのメモリによれば、このサントリバル島からアルバ島はそれほど遠くないところに位置すると思いますが、そのアルバ島へミューを連れて行ってくれませんか?」
ミューはまっすぐにエミリオの目を見つめてくる。
そのまっすぐな眼差しには、エミリオも少し面食らうところがあった。
「アルバ島へ? そりゃあ、アルバ島はここからなら三日もあればつくけど・・・」
そう言ってエミリオはフィオレンティーナの方を向く。
エミリオがここまで来たのはフィオレンティーナがラマイカまで行きたいと言ったからだ。
ラマイカで姉の消息を知りたいというフィオレンティーナにしてみれば、ここで寄り道はしたくないだろう。
「私のことなら気にしないでいいわ。ミューちゃんの好きにさせてあげて欲しいの」
フィオレンティーナの言葉にエミリオはうなずいた。
「わかったよミュー。アルバ島へ行こう」
「ありがとうございます、エミリオ様」
ミューの顔がぱぁっと明るくなった。

空荷というのが心残りではあったものの、ミューを探していると思わしきリューバ海軍の連中がうろつくサントリバルに長居するわけには行かない。
エミリオはギルドに積荷を探してもらうのを断り、早々に出航することにする。
空を見上げれば快晴の夜空には星が瞬き、夜の虹がアーチを描いている。
翌朝の出航には問題ない。
ミューのことがばれたりはしてないだろうし、容姿だって知られてはいないと思うけど念のためだ。
エミリオは宿に泊まるのを止め、ファヌーで夜をすごすのだった。

はたして町では、このサントリバルへ来る途中に少女を拾い上げた船がないか兵士たちが聞きまわっているという話しだった。
エミリオのファヌーがもう一度調べられるというのも充分に考えられること。
エミリオは怪しまれないように、ここを出航するファヌーならいつもやるような新鮮な水と食料の樽を積み込み、静かにファヌーを出航させた。
行き先はアルバ島だったが、しばらくはラマイカ方向へ舵を取り、サントリバルがかなり遠ざかってから進路を変える。
ここまでするのもどうかとは思うものの、自航船に関係あると言う少女を軍に知られないように連れて行く以上、用心に越したことはないのだった。

天気のよい青空の下を滑るように進むファヌー。
船体の前方に張られた帆はいっぱいに広がり、小さな船体をぐんぐんと引っ張っている。
これだけ風を捕らえていると、帆を操るゴルドアンの動きも楽しそうだ。
何もなければアルバ島へは順調に着けるだろう。
「ミュー、一つ訊いてもいいかな?」
エミリオは船首で行き先を眺めているミューに声をかける。
振り向いたミューはこくんとうなずき了承する。
「アルバ島に行ってどうするんだい? いや、ただ気になっただけなんだ。言いたくなければ言わなくていい」
エミリオの問いかけにうつむくミュー。
だが、すぐに顔を上げてこう言った。
「自航船にかかわるものがあるのです。チアーノ様のご友人に危険をお知らせしなくては・・・」
「やっぱり自航船にかかわるものだったのか・・・言いにくい事を聞いてごめん。よし、目いっぱい急ごう」
エミリオは風を一番効率よく受けられるように舵を切る。
ファヌーは四人を乗せて青空の下走り続けた。

「ん・・・んう・・・ん・・・」
そそり立つ肉棒。
たくましいオスの肉棒。
唾液をまぶし、舌を這わせてその肉棒をたっぷりと味わって行く。
口の中にオスの味が広がり、あそこがじゅんと濡れて行く。
「んあ・・・んちゅ・・・ちゅぶ・・・」
袋とさおに指を這わせ、舌先でちろちろと先端を刺激する。
にじみ出てくる先走りが、思わずうれしく感じてしまう。
「ふふふふ・・・うまそうにしゃぶるじゃないか」
頭の上から声をかけられ、クラリッサは顔を上げた。
そこにあるのは愛しい人の顔。
以前は違う男の顔だった気もするが、そんなことはどうでもいい。
今の彼女にとって愛しいのはこの男。
彼に命じられればどんなことだってしたい。
「ああ・・・ダリエンツォ様・・・」
クラリッサはうっとりとその男を見上げている。
太くたくましい肉棒を抱きしめ、官能に打ち震えているのだ。
「続けろ」
お預けを食らっていた犬のように、クラリッサはダリエンツォの肉棒をくわえ込む。
肉欲におぼれた一匹のメスに、ダリエンツォは笑みを浮かべるのだった。
  1. 2008/04/14(月) 19:54:40|
  2. グァスの嵐
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魔のかけら(4)

1000日連続更新達成記念SS第二弾「魔のかけら」
今日は最終回です。
最後まで楽しんでいただければ幸いです。

読み終わったあと、よろしければ拍手なりコメントなりをいただけるとすごくうれしいです。
皆様の反応が一番の励みになりますので、よろしくお願いいたします。m(__)m


ハア・・・ハア・・・
カラダが熱い・・・
ゾクゾクスル・・・
テアシガうまくウゴカナイ・・・
ワタシハどうなるの?
腕がシビレル・・・
アタマガイタイ・・・
ウアアア・・・
カラダガヘンダヨォ・・・

めりめりと音がする。
私の両腕が二つに裂けて行く。
それぞれが二本の腕となり、指も五本ずつそろってる。
ざわざわと全身から太い毛が生え始め、見る間に私の躰を覆って行く。
お尻の上側がぷくりと盛り上がり、腰が少し浮いてくる。
ああ・・・
そうなんだ・・・
私は蜘蛛になるんだ・・・
大蜘蛛様にメスにふさわしい躰になるんだわ・・・
私は二本になった右手を上に伸ばしてみる。
それぞれがまったく意識せずに動いてくれる。
うれしい・・・
腕が二本しかなかったなんて信じられない・・・
自由に動く四本の腕。
そのそれぞれに黄色の毛が縞状に輪になって生えている。
綺麗。
黄色と黒の体毛。
両脚も同じように縞模様に覆われ、腰の両側には小さな蜘蛛脚が生えてくる。
くふふ・・・
小さいけど、這い回るには便利そう。
人間の形が色濃く残っている私の躰。
でも悪くない。
私は蜘蛛人間。
大蜘蛛様のメス蜘蛛なのよ。

私のあごが左右に割れる。
それぞれが触肢と鋏角に形を変え、歯は牙へと姿を変える。
額には黒く丸い単眼が生まれ、私は愛する大蜘蛛様の姿を何重にも見ることができた。
お尻は巨大なふくらみとなり、黒と黄色の毛が覆う。
私は蜘蛛。
大蜘蛛様のメス蜘蛛。
私は糸を伝って地面に降りると、割れたガラスに自分の姿を映してみた。
綺麗・・・
全身は女のラインを保持したまま黒と黄色の毛が縞模様を作っている。
なんて素敵なのだろう。
私は蜘蛛に生まれ変わったんだわ。
私はうれしくて、いつまでも自分の姿を眺めていた。

                       ******

日が昇る。
私は満腹になった躰を大蜘蛛様のそばに横たえる。
なんて幸せなんだろう・・・
大蜘蛛様と一緒にいる喜び。
そして、初めて獲物を狩った喜び。
私は満足して舌なめずりをする。

人間がこんなに美味しいものとは知らなかった。
私は生まれ変わった姿で自分の家に戻ると、寝ていたお母さんを食べてきた。
驚いて暴れるお母さんを糸でがんじがらめにして噛み付いた。
血肉がとても甘くて美味しい。
私はお腹いっぱいになるまでお母さんを貪り食ったのだった。

ピク・・・
何かが近くにいる・・・
私は気配を感じて目を覚ます。
今は昼間。
私たちにとってはつらい時間。
大蜘蛛様の躰はまだ完全ではない。
今この場を悟られるのはまずい。
私はゆっくりと起き上がり、糸の感触を確かめる。
あちこちに張り巡らした糸が、侵入者の存在を教えてくれる。
わざわざこんなところに来るなんて・・・
でもいいわ・・・
私は思わず笑みが浮かぶ。
大蜘蛛様の栄養にはちょうどいい。

私は糸壷から糸を出し、天井に絡めて這い登る。
工場の屋根に上がって這い回り、侵入者を探る。
くふふふ・・・
四本の腕と両脚、それに腰の蜘蛛脚が私の躰をすばやく這い回らせてくれる。
なんて素敵なのかしら。
蜘蛛って最高だわ。

いた。
工場の入り口からこちらを覗いている人間。
中の様子をうかがっている。
白い着物に緋色の袴。
長い黒髪を後ろで束ね、きりっと引き締まった表情で緊張しているよう。
くふふふ・・・
朱音さんだ。
うれしいな。
朱音さんがやって来たんだ。
きっと、魔のかけらを探しに来たんだ。
前回私に任せて大蜘蛛様と戦う羽目になっちゃったから・・・
今回は自分でかけらを取り込んだ大蜘蛛様の存在を確認しに来たってところよね。
大蜘蛛様がここにいることがわかれば、きっと郁美ちゃんを呼ぶんだろうな。
くふふふ・・・
そうはさせない。
朱音さんをここから帰すわけには行かない。
そうだ・・・
朱音さんも大蜘蛛様のメスになればいいんだ。
朱音さんならきっと素敵なメス蜘蛛になる。
くふふふふ・・・
それがいい・・・

恐る恐ると敷地内に入ってくる朱音さん。
かけらの魔の気配を感じたんだろうけど、大蜘蛛様が極力気配を殺しているので確信がもてなかったに違いない。
だから郁美ちゃんや私に連絡を取る前に確認しに来たのだろう。
朱音さんらしい。
知ってた?
私はそんな朱音さんが大好きだよ。
郁美ちゃんにはもったいないよ。
朱音さんはきっとすごく素敵な蜘蛛になれるよ。
一緒に大蜘蛛様のメスになろうよ。
きっとすごく気に入ってもらえると思う。

私は気配を殺して朱音さんの背後に回る。
糸を梁に絡めて両脚に引っ掛ける。
するすると糸を出しながらゆっくりと地面に向かって降りて行く。
くふふふふ・・・
朱音さん。
蜘蛛ってとっても素敵だよ。
私は地面に降り立つと、糸壷の糸を引き出して網を作る。
そして、一気に投げつけた。

                       ******

朱音さんを捕らえるのは簡単だった。
私の蜘蛛糸で作った網はそう簡単には抜けられない。
朱音さんは何が起こったかもわからずに、躰の自由を奪われたのだ。
必死で逃れようともがく朱音さん。
でも、ちょっとだけ麻痺毒を注入したらすぐにおとなしくなった。
くふふふふ・・・
可愛いものね。
私はぐったりとなった朱音さんを抱きかかえ、大蜘蛛様のところへ連れて行く。
くふふふふ・・・
四本の腕はとっても便利。
私は器用に糸を伝い、巣の中心に向かっていった。

糸にくるまれた朱音さん。
私はそっと糸をはずし、巫女服を脱がして行く。
わぁ・・・
肌の色がとても白い。
美しい・・・
人間にしておくのはもったいないよ。
早く蜘蛛になってもらわなきゃ・・・
私は朱音さんを裸にすると、逃げられないように両手首と両足首に糸を巻きつけて巣に固定する。
大蜘蛛様がのそりと起き上がり、ゆっくりと近づいてくる。
くふふふふ・・・
だめですよ大蜘蛛様。
この女は獲物じゃないんです。
この女は大蜘蛛様のメスになる女なんですよ。
だから食べずに可愛がってあげてくださいね。

「う・・・あ・・・」
朱音さんが目を覚ましたようね。
くふふふ・・・
可愛い。
食べちゃいたいぐらい。
「こ、ここは・・・えっ?」
朱音さんの目が見開かれる。
裸で両手両脚が固定されていることに気がついたんだ。
くふふふふ・・・
「コンニチハ」
私は人間の言葉で話しかける。
「ひっ? あ、あなたは・・・」
視界に入ってきた私の姿を見て驚いているわ。
くふふふふ・・・
こんな素敵な姿なのにね。
「コンニチハ、アカネサン」
「そ、そんな・・・狭霧ちゃん? あなたは狭霧ちゃんなの? その姿はいったい?」
身をよじって自由になろうともがく朱音さん。
だめだよ。
私の糸は人間の力ぐらいじゃ絶対に切れないんだから。
「クフフフ・・・エエ、ワタシハサギリ。ドウデスカ、コノスガタ? ステキデショウ?」
私はその場で一回転して、蜘蛛になった姿を見てもらう。
黒と黄色の毛で覆われた躰はとても素敵でしょ?
すぐに朱音さんもこうなるわ。
「そんな・・・どうし・・・て・・・」
あまりのことに声も出ないのかな?
そんなに驚くことないのにね。
「クフフフ・・・ワタシハオオグモサマノトリコンダマノカケラノオチカラデ、メスグモニシテイタダイタノ。トッテモキモチイインデスヨ」
私は朱音さんに説明する。
そうすれば朱音さんも納得するはずだわ。

「ああ・・・なんてこと・・・私があの時一人で行かせたばかりに・・・」
唇をかみ締めている朱音さん。
くふふふ・・・
何も悔やむことないのにね。
私はメス蜘蛛になれてとても幸せ。
生まれ変われたことを感謝しているのに。
「狭霧ちゃん・・・郁美が来たら元に戻れるよう何とかしてみるわ。だからお願い。これを解いて」
朱音さんは何とかして逃げ出そうとしているみたい。
でもだめ。
それに郁美ちゃんなんかに来て欲しくない。
郁美ちゃんなんか大嫌い。
「ダメデスヨ、アカネサン。ニガシマセン」
「狭霧ちゃん・・・あなたはもう身も心も・・・」
「クフフフ・・・スグニアカネサンモソウナリマス。イッショニオオグモサマノメスニナリマショウ」
私は朱音さんの上にかがみこむと、つんと突き出た胸に舌を這わせる。
「ひゃあっ」
くふふふ・・・
可愛い声。
素敵なメス蜘蛛になりそう。
一緒に大蜘蛛様に可愛がってもらいましょうね。

私は朱音さんが舌を噛んだりしないように糸を結って猿轡をする。
こうしちゃえば舌を噛むなんてできないよ。
そして朱音さんの胸に鋏角を突き刺し、傷をつける。
赤い血が一筋たれて、私は思わず舐めとった。
「クフフフ・・・アカネサンノチハオイシイ」
「ムグッ・・・ムググッ・・・」
身をよじる朱音さん。
でも逃れるすべはない。
私は自分の腕に噛み付くと、私の体液を朱音さんの胸に注ぐ。
傷口から私の体液が朱音さんの躰に混じり、魔への変化を促すのだ。
「ステキデスヨ、アカネサン」
私は体液を朱音さんの胸になすりつけながら、耳元でそっとささやきかける。
「ムグー・・・ムググ・・・」
恐怖に染まった朱音さんの表情は美しかった。

私は再び朱音さんの胸に舌を這わす。
胸の先端を舌で転がし、おへその周りをそっと愛撫し、密生する叢を指でそっとかき分ける。
くふふふふ・・・
朱音さん可愛い。
そっと両手で朱音さんの頭を押さえ、私はやさしくキスをする。
猿轡の隙間から唾液を奥に流し込む。
くふふふ・・・
私の体液がじわじわ効いてくると思うわ。
大蜘蛛様と同じく、私の体液も朱音さんを切なくしてくれるはず。
今にあそこがジンジンしてくるよ。

私は躰をずらすと、朱音さんの股間に顔を近づける。
濃厚なメスのにおいがあふれてくる。
私は叢をそっとかき分け、湿ったところに舌を這わせた。
「ムグゥー!」
朱音さんの躰がビクンと跳ねる。
とろりとした蜜が流れ出す。
私は蜜を味わうように、朱音さんの奥まで舌を伸ばして行く。
「ムグッ、ムググゥー!」
躰をびくびくさせて快楽を感じている朱音さん。
くふふふ・・・
うれしいな。
私の舌で朱音さんが喜んでくれているんだ。
本当は私も産卵管で朱音さんとつながってみたいけど、それはまだ先の話。
だからその前にたっぷりと朱音さんの体をほぐしてあげるね。
私は舌と触肢をやさしく使って、朱音さんのあそこを愛撫する。
それだけで朱音さんの躰は軽く絶頂を迎えていた。
これで準備は整った。

私は最後に朱音さんにキスをして、たっぷりと唾液を注ぐと脇へどける。
あとは大蜘蛛様にお願いしなくちゃ。
大蜘蛛様に朱音さんを犯してもらうの。
精液と一緒にかけらの魔を注ぎ込んでもらい、朱音さんをメス蜘蛛にしてもらうのよ。
くふふふふ・・・

                      ******

「アア・・・アアア・・・キモチイイ・・・キモチイイノォ」
ぬちゃぬちゃと音を響かせて大蜘蛛様を受け入れている朱音さん。
両脚を絡め、四本の腕で大蜘蛛様の頭部を抱きかかえている。
黒と黄色の毛が全身を覆い、お尻は大きく膨らんでいる。
あごは二つに割れて触肢と鋏角を形成し、額には黒い単眼が輝いていた。
「クフフフフ・・・ドウデスカアカネサン。オオグモサマノメスニナッタキブンハ?」
「アア・・・サイコウ。サイコウナノォ。メスグモニナレテシアワセヨォ」
全身を貫く快楽に歓喜の表情を浮かべている朱音さん。
くふふふ・・・
もうすっかり朱音さんも一匹のメス蜘蛛ね。
私は大蜘蛛様の背中から回り込み、朱音さんにキスをする。
ドロッとした唾液が絡まり、二人の間に糸を引く。
素敵・・・
私たちはメス蜘蛛。
大蜘蛛様の忠実なメス蜘蛛なの。
これからは二人でたくさん巣を張らなくちゃね。
人間どもは美味しいよ。
朱音さんもきっと気に入るはず。
たくさん食べようね。
でもその前に・・・
「ネエ、アカネサン。ヤラナクチャナラナイコトガアルンダケド」
「クフフフフ・・・エエ、イクミヲシマツスルコトネ」
「エエ、オオグモサマノジャマニナルタイマシヲホウッテハオケナイワ」
「クフフフ・・・ワカッテルワ。アノコハフタリデタベチャイマショ。キットオイシイワヨ。クフフフフ・・・」
朱音さんが素敵な笑みを浮かべる。
これから食べる郁美ちゃんの味を想像し、私も笑みがこぼれるのだった。

END
  1. 2008/04/13(日) 19:06:13|
  2. 魔のかけら
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魔のかけら(3)

今日めでたく阪神金本選手が2000本安打を達成、同時に新井選手も1000本安打を達成しました。
阪神も快勝し気分もいいです。
金本選手、新井選手、おめでとうございました。

さて、1000日連続更新達成記念SS第二弾「魔のかけら」
今日は三夜目です。
楽しんでいただければ幸いです。


ふ・・・くっ・・・
ハアハア・・・
だめ・・・
授業に集中できない・・・
ハア・・・
躰が・・・
躰がうずくよぉ・・・
私はもう我慢できずにスカートの上から秘部をなぞる。
ショーツはもうさっきからぐしょぐしょに濡れている。
どうしちゃったんだろう・・・
躰が熱い。
エッチな気分が止まらない。
一人エッチしたい・・・
一人エッチしたい・・・
したいよぉ・・・
ペン先で擦ったりつついたりしたけどぜんぜんだめ。
それどころかますますしたくてしたくてたまらなくなっちゃう。
ハア・・・ハア・・・くうぅ・・・
指がもう止まらない。
私は周りを確認して、みんなが授業を聞いている中でおもむろにスカートを捲り上げる。
濡れてべちゃべちゃになったショーツの上から指を差し入れ、叢の中に忍ばせる。
ハア・・・気持ちいい・・・
指先がひだを擦り、膨らんだお豆をつんつんと刺激する。
私はもうそれだけで天にも昇るような快感が背中を駆け抜けていく。
はあ・・・ん・・・
指が秘部の奥の敏感なところに触れたとき、私は授業中にもかかわらずにイッちゃっていた。

「大丈夫、狭霧ちゃん? なんだか顔が赤いわ」
お昼休み、ふらふらと歩いていた私に郁美ちゃんが声をかけてくる。
「あ、大丈夫だよ」
私はそう答えたけど、郁美ちゃんはあんまり信じてないみたい。
あれから午前中だけで五回はイッちゃったの。
だから顔が赤いのはそのせいだと思う。
風邪とかじゃないから心配は要らないのになぁ。
「本当? 具合悪いなら保健室に行ったほうがいいよ」
「大丈夫だってば!」
私は思わず声を荒げてしまう。
郁美ちゃんは具合が悪くなったら朱音さんが看病してくれるんでしょ?
私が具合悪くなったって保健室に行けばいいって言うだけで・・・
朱音さんを独り占めするなんて許せないよ。
どうして朱音さんは郁美ちゃんのお姉さんなのよ。
どうして朱音さんが私のお姉さんじゃないのよ。
そんなのってずるいよ。
朱音さんを独り占めするなんてずるいよ。
「狭霧ちゃん・・・」
「もういいよ。私は大丈夫だからほっといて」
私は郁美ちゃんに背を向けると、自分の教室に向かって走り去った。

止まらない・・・
私の躰はどうなっちゃったんだろう・・・
午後の授業の間もずっと私のあそこは疼き続ける。
ふらふらしながら家に帰ってきて、早々にベッドにもぐりこみ一人エッチをしてしまう。
止まらない・・・
何度もイき果てる私の躰。
止まらない・・・
どうしちゃったんだろう・・・
怖い・・・
恐ろしい・・・
自分の躰がどうしようもなくなっている。
怖い・・・
恐ろしい・・・
でも・・・
でも・・・気持ちいい・・・
気持ちいいよぉ・・・

何も食べたくない。
お母さんには躰の具合がちょっと変だと言って食事を断った。
心配して部屋に覗きに来てくれたけど、私は布団をかぶったまま生返事をしていた。
ううん・・・
私の手はずっとあそこをいじりっぱなしだったのだ。
何度も何度もイき果てているのに・・・
躰がまだまだ快楽を欲している。
指の動きが止まらない。
ううん・・・
止まらないんじゃないわ。
止めたくないの・・・

誰もが寝静まった真夜中。
躰の火照りは止まらない。
私はゆっくりとベッドから起き出した。
躰の火照りを止めなくちゃ・・・
躰の疼きを癒さなきゃ・・・
私はそっと窓を開ける。
ひんやりした夜の空気が気持ちいい。
私はパジャマのままで外に出る。
裸足のままで飛び降りる。
行かなくちゃ・・・
素敵な場所に行かなくちゃ・・・
私はしんと静まり返った街中を、その場所目指して走っていった。

これは夢?
これは現実?
わからない。
あそこがジンジンする。
躰が疼いて切ない。
癒して欲しい。
私のあそこを犯して欲しい。
大きなあれで犯して欲しい。

私は一軒の廃工場にやってくる。
以前資金繰りが悪化して倒産したとか言っていた。
そんなことはどうでもいい。
ここにいる。
ここにいらっしゃる。
私を癒してくださる存在がここにいらっしゃるの。

私はまったくためらわない。
だって、ここにいらっしゃるのだもの。
ためらう理由など何もない。
私は入り口からは見えづらい奥のほうへ歩いていく。
ひんやりとした空気が気持ちいい。
所々に割れたガラスが落ちている。
踏むとじゃりっと音がする。
ちょっとだけ血が出るけど気にしない。
奥へ行かなくちゃ・・・
そばへ行かなくちゃ・・・

ひしゃげた大きな鉄の扉。
無理やり捻じ曲げられたに違いない。
この奥。
この奥に行けばいい。
私は広げられた入り口を通り、工場の建物に入って行った。

ふわ・・・
私は驚いた。
そこは宮殿。
白と黒に染め上げられた宮殿とも言うべきものだった。
黒々とそびえる廃工場の機械類。
そこに放射された白く輝く糸の群れ。
獲物を捕らえ、そして邪魔者を排除する巨大な巣。
幾何学的な模様が闇に映え、幻想的な美しさをかもし出していた。
そして・・・
その中央に大きな大きな蜘蛛の姿が見て取れた。

あ・・・
私はふらりと前に出る。
巨大な巣の美しさに心奪われていたのはほんの一瞬。
行かなくちゃ・・・
行って疼きを沈めてもらわなきゃ・・・
行ってこの身を犯してもらわなきゃ・・・
大きな蜘蛛は動かない。
じっと耐えて傷を癒しているのだろう。
おろかにも私が傷つけた腹部の傷。
かなりの深手だったはず。
謝らなくちゃ・・・
おろかな私を赦してくださいって謝らなくちゃ・・・
私は手近な糸に手をかけると、四つんばいの格好でのぼっていく。
どこに手や足を乗せればいいか、私はすでに知っていた。
両手と両足で躰を支え、巨大蜘蛛のところへのぼっていく。
ああ・・・
なんて素敵なんだろう・・・

私は巨大蜘蛛の前にたどり着くと、大きく両手を広げてアピールする。
巣の中心は糸が密生していて、立ち膝になっても大丈夫。
私はゆっくりとパジャマを脱ぎ、下着もすべて脱ぎ捨てる。
いくつもの単眼が私の躰を眺めている。
はあ・・・ん・・・
躰が熱いよ・・・
お願いです・・・
私を・・・私を犯して・・・
私はうっとりと大きな蜘蛛の毛むくじゃらの躰を眺め、両手でそっと頭部に触れた。
蜘蛛も前の二本の脚を延ばして私の躰を抱き寄せる。
私は蜘蛛の頭にそっと口付け、下にもぐりこむように寝そべった。

蜘蛛の頭が私の胸に迫ってくる。
鎌のような鋏角がそっと私に触れてくる。
あ・・・
気持ちいいよ・・・
全身に走る甘い快感。
抱いて・・・
私を抱いて好きにして・・・
触肢から液体がにじみ出てる。
あごのところの触肢がメスの性器を探している。
私は触肢を手繰り寄せ、優しく導いた。
ここ・・・
ここが私の性器なの。
あなたの触肢を入れて欲しいの。
私をあなたのものにして。

ずぶりという感触が伝わってくる。
初めての痛みが全身を貫いた。
私は必死で声を押し殺し、痛みに耐えて我慢する。
でも・・・
でもうれしい・・・
これで私はメスになった。
これで私はこの蜘蛛のメスになったんだ・・・
私は痛みと喜びの中で意識が遠くなるのを感じていた。

                        ******

ん・・・あ・・・
ゆっくりと目を開ける。
窓から朝の光が差し込んでくる。
あ・・・れ?
私はベッドで上半身を起こす。
ここは・・・
私の部屋だ。
あ・・・れ?
夢?
あれは夢だったの?
私は布団を跳ね除ける。
ちゃんとパジャマを着ているし、下着だって穿いている。
でも・・・
私は思わず笑みを浮かべた。
夢じゃない。
あれは夢じゃないわ。
下腹部に感じる挿入感。
じんわりと鈍い痛みが残っている。
それに足元のシーツは汚れ、泥と乾いた血がついていた。
夢じゃない。
私は夕べ抱かれたんだ。
じわっとあそこが濡れてくる。
私は思わずショーツの中に指を差し入れ、叢の奥をまさぐった。
ニチャ・・・
粘りつく愛液。
かき混ぜて指を抜くと、とろりと糸を引いてくる。
キラキラ輝く私の糸。
空気に触れて固まったしなやかな細い糸が指に絡まってのびている。
素敵・・・
これが私の糸・・・
うふふふふ・・・
私は思わずうれしくなる。
お母さんに呼ばれるまで、私はねちゃねちゃと粘つく糸を股間から引き出して遊んでいた。

「おはよう、狭霧ちゃん」
にこやかに手を振ってくる郁美ちゃん。
私はおとなしく手を振り返す。
いやな感じ・・・
破魔札を隠し持って、いつでも魔を払おうと身構えている。
にこやかな笑顔は優越感の表れだとでも言うのかな。
いやな感じ・・・
朝のいい気分が台無しだよ。
「おはよう、郁美ちゃん」
私は仕方なく笑顔を向ける。
「狭霧ちゃんのとこは英語の宿題出た?」
「え? ううん、私のところは特に・・・」
当たり障りのない会話。
つまらない女。
どうしてこんな女が朱音さんの妹なのだろう。
朱音さんにはもっとふさわしい・・・
うふふふ・・・
そうよ・・・
朱音さんにはもっとふさわしい・・・
私は思わず笑みが浮かんだ。

つまらない学校。
くだらない日常。
なくなってしまえばいい・・・
こんな世界はなくなってしまえばいい・・・
壊したい・・・
めちゃくちゃにしてやりたい・・・
思い切り暴れまわりたい・・・

いらいらする自分をなだめ、私は学校が終わったらすぐに家に帰る。
郁美ちゃんがどこかに寄って行こうかって誘ってきたけど、そんなのつまらない。
それよりも我慢していた一人エッチをしたいよ。
昨日よりはずっといいけど、やっぱり授業中一人エッチを我慢するのは大変だったんだから。
うーん・・・
しちゃえばよかったかなぁ。
我慢するなんて躰によくないよね。
でも・・・
でも見つかったら先生に怒られるだろうしなぁ・・・
でも・・・そうなったら先生なんかぶち殺しちゃうんだから。

「ただいまぁ」
私は靴を脱ぐのももどかしく、急いで二階に駆け上がる。
お母さんがなんか言ってたけどそんなの知ったこっちゃない。
一人エッチ・・・
一人エッチ・・・
一人エッチするんだ。
私は部屋に鍵をかけ、すぐにベッドに身を投げ出す。
スカートを脱ぎ捨て、すでにぐちょぐちょに濡れたショーツも脱ぎ捨てる。
ハア・・・ん・・・
くちゅ・・・
すでにしっとりと粘ついた私の秘所。
愛液が指に絡み付いて糸になる。
指を引き出せばすぐに一筋のきらめく糸が伸びてくる。
うふふふ・・・
綺麗・・・
ねばねばする私の糸。
獲物に絡めたらどんなに気持ちがいいだろう・・・
糸で絡めて血肉をすする・・・
ああ・・・
考えただけでイッちゃうよぉ・・・
私は全身を駆け抜ける快感に、あっという間に上り詰めていた。

                       ******

「ハア・・・」
カラダガホテル・・・
ゼンシンガアツイ・・・
イコウ・・・
アソコニイコウ・・・
アノカタノモトニ・・・
アノカタノメスニナルタメニ・・・
サア・・・
イコウ・・・

「ハア・・・ン・・・」
股間が熱くなる。
躰が欲している。
黒々とそびえる工場の白く広がる幾何学模様。
綺麗・・・
とても綺麗・・・
私はすぐに登って行く。
手足を使ってよじ登って行く。
巣の中央に鎮座している大蜘蛛様。
私の愛する大蜘蛛様。
今行きます。
今晩も・・・
今晩も私を犯して・・・
私を汚してください。

白くふかふかな糸の褥(しとね)。
私は生まれたままの姿で横たわる。
躰のあちこちがむずむずする。
大蜘蛛様が私を見つめ、私は全身が熱くなる。
ゆっくりとやってきて、毛むくじゃらの脚が私の躰をさわさわと愛撫してくれる。
ああ・・・
なんて気持ちがいいんだろう・・・
うれしいよぉ・・・
大蜘蛛様のメスである喜び。
それはどんなことよりもすばらしい・・・

ぬぷっと音を立て、大蜘蛛様の触肢が入ってくる。
躰を突き抜ける快感。
まるで全身が震えるよう。
ぬぷぬぷと私の中がかき混ぜられる。
私は両足を大蜘蛛様の頭部に絡め、両手で大蜘蛛様の前脚を抱きかかえる。
昨日とは比べ物にならない快感。
私の躰が喜んでいるんだ。
私が大蜘蛛様のメスになったことを喜んでいるんだ。
気持ちいいよぉ・・・
大蜘蛛様・・・大蜘蛛様ぁ・・・
私は全身を震わせて絶頂を迎えるのだった。
  1. 2008/04/12(土) 20:05:12|
  2. 魔のかけら
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魔のかけら(2)

1000日連続更新達成記念SS第二弾「魔のかけら」の二日目です。
楽しんでいただければと思います。


どさっと言う音とともに尻餅をついてしまう。
足元に飛び散った巨大蜘蛛の体液が、私の足を滑らせたのだ。
急いで態勢を立て直そうとした私の周りに白い粘ついた糸が降ってくる。
「あ、し、しまった」
私はすぐに逃れようと躰をよじったが、周囲に散らされた糸がすぐに絡んでくる。
「うあっ・・・」
床について立ち上がろうと思っていた手首にも糸が巻きつき、それが引っ張られて腕をさらう。
「いやぁっ」
両足にも糸が絡みつき、それがすぐに引っ張られる。
私は両手両足に糸を絡みつかせたまま、巨大蜘蛛に引き寄せられていた。

「くっ、くそっ」
右手に握っていた短刀は尻餅をついたときに手から離れていた。
懐の棒手裏剣を取り出そうにも、両手が引っ張られるのでうまく行かない。
「そんなぁ・・・」
私はきっと青ざめていただろう。
まさかこんなドジを踏んじゃうなんて。
私は必死に手足をばたつかせて逃れようと試みるが、もがけばもがくほど糸が絡み付いてくる。
巨大蜘蛛は張り巡らした糸の上に陣取り、お尻から糸を繰り出してさらに私に絡めてくる。
「ああ・・・いやぁっ! 誰か、誰かきてぇ!」
私の躰はじょじょに身動きが取れなくなり、バンザイをしたまま巻き取られていく。
巨大蜘蛛のあごが不気味にカシカシとうなり、どんどん引き寄せられていく。
「いやだぁっ! 誰か助けてぇ!」
声を限りに叫んでみても、誰も助けには来てくれない。

「ううっ・・・くっ」
躰をよじろうにもよじることさえできなくなってくる。
巨大な蜘蛛の巨大な頭部が眼前に迫ってくる。
なんて奇怪・・・
なんて醜悪・・・
蜘蛛なんてまじまじと見たことなかったけど、こんな状態では否が応でも見せられる。
正面にある四つの単眼が私を見つめ、あごに付随する触肢と鋏角が鎌のように振り上げられ、獲物に突き刺そうと待ち構えている。
食べられる・・・
食べられちゃう・・・
いやだ・・・
いやだ・・・
そんなのはいやだぁ・・・
「いやだぁっ!」
私は無理やりに上半身を引き起こすと、唯一自由になっていた口を開け、迫ってきた鋏角に噛み付いた。
グチャリ・・・
さほど頑丈ではない鋏角は私のあごの力の前に屈し、一部が噛み千切られてドロッとした液体が口の中に流れ込む。
『ギェェェェェ』
蜘蛛が悲鳴にならない悲鳴を上げる。
私はあごに力を込め、必死に噛み付いていた。
体液がのどに流れ込んで行くが、そんなことはかまっていられない。
食うか食われるかよ。
私は無我夢中で蜘蛛に噛み付き、じたばたともがいていた。

「狭霧ちゃん!」
あ・・・れ?
郁美ちゃんの声が聞こえるよ。
私はもう巨大蜘蛛の撒き散らした体液をあちこちにかぶっていたので、目を閉じていたのだ。
粘つく苦い液体がそこらじゅうに飛び散っている。
「郁美・・・ちゃん」
私はうっすらと目を開け、流れ込んでくる蜘蛛の体液に目をしばたたかせながら、声の方向を見定めた。
「狭霧ちゃんを放しなさい!」
白い着物と緋色の袴を身につけた郁美ちゃんが、破魔札を片手にこちらを見据えている。
「あ・・・」
私は一瞬ドジを踏んだ自分をにらんでいるのかと思ったけど、郁美ちゃんは私を捕らえた巨大蜘蛛をにらんでいたのだ。
『キシャァァァァ』
巨大蜘蛛は郁美ちゃんの登場に恐れをなしたのか、少し距離を取ろうとしているかのよう。
郁美ちゃんの退魔師としての鋭い視線にたじろいでいるのだろう。
『キシャァァァァ』
巨大蜘蛛は私ごと絡めた糸を切り捨てると、突然八本の脚を使って跳躍する。
郁美ちゃんが突進を予期してかわすのを想定していたのだろう。
巨大蜘蛛は郁美ちゃんの脇をすり抜け、窓ガラスを突き破って外へ出る。
「あっ、待ちなさい!」
「あ、郁美ちゃん・・・待って・・・」
郁美ちゃんは私をおいてすぐに巨大蜘蛛のあとを追う。
巨大蜘蛛を逃がすわけには行かないから・・・
だから私を放っておいても追わなくちゃならない・・・
それは・・・わかるけど・・・
私は郁美ちゃんが出て行ったドアをじっと見つめるしかできなかった。

                          ******

「とにかく二人とも無事でよかったわ。ごめんなさい狭霧ちゃん。私が単独で行かせたばかりに・・・」
申し訳なさそうに私に頭を下げる朱音さん。
私と郁美ちゃんは伊嵜神社に戻ってきていた。
結局郁美ちゃんも巨大蜘蛛は追いきれなかった。
いずことも無く姿を消した巨大蜘蛛。
私たちは殺されてしまった人の後始末をゆだねると、神社に戻るしかなかった。
「いえ・・・私が悪いんです・・・油断したばかりに」
なんだろう・・・
胸がむかむかする。
躰が熱い・・・
「それにしても大変だったわね。どろどろだからシャワーを浴びなさい。詳しくはあとで聞くわ」
「あ、はい。シャワーお借りします」
私は朱音さんに一礼して、こびりついた巨大蜘蛛の体液を洗い流すためにシャワーに向かう。
「ごめんね、狭霧ちゃん。委員会が終わってすぐに向かったんだけど」
郁美ちゃんもさっきから謝ってくれている。
でも、私は素直に受け入れる気にはならなかった。
「もういいよ。私自身が悪いんだし。シャワー浴びるから一人にしてくれる?」
「あ、そうね。ゆっくり洗い流すといいわ。それじゃまたあとで」
郁美ちゃんは朱音さんと同じように申し訳なさそうにして私のそばから離れていった。
「ふう・・・」
どうしちゃったんだろう・・・
心がささくれ立っている。
なんだかとてもいらいらする。
思いっきり叫んで何もかも手当たり次第に壊したくなる。
そうしたらどんなに気持ちいいだろう・・・
あれ・・・?
何を考えているんだろう・・・
シャワー・・・浴びなきゃ・・・

熱いお湯が汚れた躰を洗い流してくれる。
あの化け物蜘蛛の体液でどろどろになった躰がきれいになるのは気持ちがいい。
あ・・・ん・・・
躰が火照る。
どうしたんだろう・・・
躰の中がジンジンする・・・
シャワーの刺激がなんだかたまらない。
くちゅ・・・
ん・・・
右手が股間にのびて行く。
指が叢を分け入って、ひだの奥を刺激する。
あ・・・
濡れて・・・いる・・・
お湯のせいじゃない・・・
あん・・・
気持ちいい・・・
私はいつしか指で秘所を擦っていた。
ああ・・・ん・・・
気持ちいいよぉ・・・
指が止まらない。
腰が浮く。
私はシャワーを浴びながらすぐに果てていた。

はあ・・・
バスタオルで髪の毛を拭きながら、私はため息をついていた。
はあ・・・
一人エッチしちゃった・・・
しかも秋津洲家のシャワー室で・・・
うー・・・
恥ずかしいよぉ・・・
どうしちゃったんだろう・・・
「狭霧ちゃん、気持ちよかった?」
「ひゃーーーー」
私は心臓が止まるほどびっくりして飛び上がる。
「ご、ごめんなさい。驚かしちゃったみたいね」
気がつくと脱衣所の入り口から朱音さんがこちらを覗いていた。
「だ、大丈夫です。ちょっと驚いただけで」
私はどきどきする胸を抑えて呼吸を整える。
朱音さんは長い黒髪の清楚な美人。
見た目だけじゃなく、とても優しいお姉さん。
郁美ちゃんがうらやましいぐらい。
あーあ、私にもこんなお姉さんがいたらなぁ・・・
「ごめんなさい。そんなに驚くとは思わなかったわ。お風呂気持ちよかった?」
「あ、はい。とても気持ちよか・・・って、朱音さん見てたんですか?」
「えっ? 見てたって何を?」
私は頭から湯気が出た。
朱音さんはお風呂が気持ちよかったか尋ねたんであって、ひ、一人エッチのことじゃないんだよ。
「あ、あわわわ・・・な、何でもないです。何でも」
私はぶんぶんと首を振る。
「くすくす・・・おかしな狭霧ちゃんね。リビングにアイスがあるから食べてね。郁美、シャワー空いたわよ」
「はーい」
奥の方から郁美ちゃんの声がする。
きっと今まで郁美ちゃんは朱音さんに先ほどのことを話していたんだろう。
私がドジをして捕まっていたことも食べられそうになっていたことも包み隠さず・・・
ドクン・・・
郁美ちゃんにはわかるもんか・・・
いつも後ろで破魔札を扱う郁美ちゃんには、魔物と戦う恐ろしさなんてわかるはずが・・・
わかるはずが・・・
「どうしたの狭霧ちゃん? アイス食べないの?」
「あ、はい。いただきます」
私は朱音さんに頭を下げると、入れ替わりに入ってきた郁美ちゃんの脇をすり抜けてリビングへ向かう。
郁美ちゃんが何か言おうとしたようだったけど、今は郁美ちゃんの顔は見たくなかった。

「ただいま・・・」
伊嵜神社をあとにした私は自分の家に戻ってきた。
「お帰りなさい。今日もバイトだったの?」
奥からエプロンで手を拭きながらお母さんが顔を出してくれる。
「うん・・・」
私は気のない返事をしてすぐに二階に上がっていく。
お母さんには退魔のことはナイショにしているのだ。
私が夜出歩くのは、伊嵜神社での郁美ちゃんのお手伝いのアルバイトということになっている。
お父さんもお母さんも自分が甲賀忍者の末裔だなんて知りもしない。
私だって朱音さんの知り合いの深斎(しんさい)老人に説明されなきゃわからなかったと思う。
でも、おかげで手裏剣やクナイなんかはすぐに使いこなすことができた。
化け物に対してだって引けは・・・
今日は運が悪かったのよ・・・
あそこで足さえ滑らせなかったら、郁美ちゃんがいなくたってあいつの動きを封じるぐらい・・・
ドクン・・・
はん・・・
な、なんだろ・・・
あいつの・・・あの巨大蜘蛛のことを思うと・・・
あ・・・
躰が・・・
躰が火照る・・・

私は自分の部屋に入ると、すぐにベッドに倒れこむ。
伊嵜神社で着替えてきた制服のスカートを脱ぎ捨て、ショーツの上からなぞっていく。
ふああ・・・
どうしたんだろ・・・
今日はすごくエッチな気分になるよ・・・
どうしちゃったんだろ・・・
ショーツの上から指を当てているだけなのに、すぐにじんわりと染みてくる。
ふあ・・・
指の動きがだんだん激しくなり、私はもどかしくショーツを脱ぎ捨てる。
白いソックスを履いた足にショーツがまとわりつくのを蹴飛ばすようにして放り捨て、制服の下半身をむき出しにして叢を掻き分ける。
ぷっくりと膨らんだお豆を中心に強く弱くこすり付け、背中を駆け上る快感に打ち震えていく。
ああ・・・気持ちいいよぉ・・・
腰が浮いてつま先がキューと丸まっていく。
いつもよりも数倍激しく感じる快感に、私は真っ白になっていく。
ああ・・・あああ・・・

『狭霧、狭霧、晩御飯食べないの?』
お母さんの声に私はハッとなる。
絶頂を迎えたあとで少しぼうっとしていたらしい。
でも、すごかった。
あんなに気持ちよかったのは初めて。
どうしたんだろ・・・
まさか・・・蜘蛛のせい?
まさか・・・ね・・・
『狭霧ー?』
「あ、ハーイ、今行きます」
私は濡れたショーツの代わりを箪笥から出して穿き替え、部屋着に着替えて下に下りた。

                          ******

「おはよう狭霧ちゃん」
「おはよう郁美ちゃん」
いつものように学校へ行く途中で郁美ちゃんと合流する。
なんだろ・・・
一瞬背筋がぞくっとしたよ?
なんだろ?
「狭霧ちゃん眠そうね。もしかして寝不足?」
「う、うん・・・なんとなくね」
私は苦笑してごまかす。
夕べはどうにもエッチな気分が抜けなかったのだ。
布団に入ってからも何度もしちゃって・・・
気がつくと明るくなっていたのだった。
「もしかして昨日のことを気にしている? 大丈夫よ。お姉ちゃんが気配を探ってくれているわ。それにあいつはかなりの深手だったから当分身動き取れないはずよ」
ドクン・・・
そうか・・・そうだよね・・・
かなり深手・・・だったよね・・・
ふあ・・・
ま、まただ・・・
あそこが・・・
あそこが感じて・・・
ショーツがじんわりと濡れてくるのを感じる。
ああん・・・
またしたくなっちゃった・・・
はあん・・・
「狭霧ちゃん? 狭霧ちゃん、どうしたの?」
「え、あ、な、なんでもないよ。さ、早く学校へ行こう」
私は気持ちを落ち着けて平静を装うようにする。
一人エッチしたいなんて気づかれちゃ大変だもんね。
私は笑顔でごまかしながら、郁美ちゃんと学校へ向かった。
  1. 2008/04/11(金) 20:03:36|
  2. 魔のかけら
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魔のかけら(1)

1000日連続更新達成記念SS第二弾は新作短編SS「魔のかけら」を四夜連続でお送りいたします。
四日間楽しんでいただければ幸いです。


「魔のかけら」

「ハッ!」
棒手裏剣が狙い過たずに巨大ガエルの腹部に突き刺さる。
「ゲゲゲッ」
苦悶の声なのか単なる泣き声なのかわからないような声を上げる化けガエル。
牛ほどもある巨大ガエルは、舌を振り回してムチのごとく当てようとするが、そんなものに当たる私じゃない。
「郁美(いくみ)ちゃん、気をつけて!」
私は身軽くジャンプで舌をよけながら、後方で札を構えているもう一人の退魔師に声をかけた。
「心配無用よ。そっちこそ気をつけて!」
視線を化けガエルから逸らさずに、私に注意する郁美ちゃん。
もう・・・
わかってるってば・・・
でも、さすがに場慣れしている郁美ちゃんは動じてない。
いつでも札を投げられる準備をして、化けガエルをにらみつけている。
月明かりに白い着物と緋色の袴が映えてとてもきれい。

私はいつもどおりに化けガエルの注意をひきつけて、郁美ちゃんのとどめが確実に刺さるように相手の戦闘力を奪うのだ。
私と郁美ちゃんはこのコンビネーションで、何体もの妖魔を封じてきたのだった。
「そこっ!」
再び私は棒手裏剣を投げ込む。
化けガエルの手足に突き刺さるそれらが動きを封じるのだ。
「破っ!」
瞬間、郁美ちゃんの手が動いて、数枚の破魔札が飛んでいく。
「グギエェェェェェ」
化けガエルに張り付いた破魔札が、化けガエルの魔を封じていくのだ。
見る間に化けガエルは小さくなっていき、普通のアマガエルに戻ってしまう。
うう・・・
小さくなってもカエルはちょっと苦手だよ。

「退魔終了。お疲れ様」
郁美ちゃんが黒く染まった破魔札に火をつける。
めらめらと燃える破魔札が魔を浄化していく。
これで一件落着。
退魔成功ってわけ。
「お疲れ様、郁美ちゃん」
私も袴のすそを直しながら、使った棒手裏剣を回収する。
白衣の内側にしまってホッと一息。
「被害もたいしたこと無くてよかったわね」
「うんうん。こいつってばただ鳴いて暴れるだけだったもんね」
今日の相手はさほど凶悪な奴じゃなかった。
これぐらいなら私だけでも充分なのに、今でも私は半人前。
そりゃあ、郁美ちゃんは正規の退魔師だけど、私だって甲賀忍者の末裔なんだし、少しは任せてくれてもいいのになぁ。
「さあ、戻って報告しましょ。冷たいアイスがあるわよ」
「やたっ、抹茶アイスあるよね?」
「ええ、たまには甘い物いいよね」
私はぶんぶんとうなずく。
抹茶アイスは大好き。
早く戻って報告しよう。
私は郁美ちゃんの手を引っ張るようにして、伊嵜(いさき)神社に向かって駆け出した。

                        ******

こつんと頭に衝撃が走る。
「ふえ?」
私はぼんやりとした頭で何事が起こったのか周囲を見渡す。
くすくすという忍び笑いと、腰に手を当てて怒っている先生の顔が目に入る。
「あっ」
私は一瞬で目が覚めた。
今は授業中だったんだっけ・・・
「チョークをぶつけられてやっと起きたか瑞雲(みずくも)。顔でも洗ってきたらどうだ?」
「す、すみません。だ、大丈夫です。目は覚めました」
私は頭を下げる。
う~・・・
仕方ないよね・・・
夕べだって遅かったんだし。
化けガエルの被害が無かったのは私たちのおかげなのに・・・
「遅くまで起きているからだぞ。夜更かしもほどほどにな」
あう~・・・
私は肩をすくめるしかなかった。

「もう、散々だよー」
放課後、私は郁美ちゃんに午前中のことを話した。
郁美ちゃんは笑っている。
そりゃあ郁美ちゃんは居眠りなんかしないだろうけどさ・・・
私はちょっと口を尖らせて、帰りにハンバーガーでも食べて行こうって郁美ちゃんを誘った。
「ごめんね狭霧(さぎり)ちゃん。委員会の会合があるの。今日は一緒に帰れないわ」
郁美ちゃんが両手を合わせて拝むマネをする。
「そっかー」
私はちょっと残念に思ったけど、委員会じゃ仕方がない。
頭もよくて頼りがいのある郁美ちゃんは、いつもクラスで何らかの委員を頼まれるのだ。
それをいやな顔一つしないで引き受けるんだから、郁美ちゃんはすごいよね。
私だったら頼まれたってやだよ。
まあ、頼む人もいないけどね。

というわけで今日は一人で学校から帰る。
ハンバーガーショップに寄ろうかとも思ったけど、一人で寄ってもつまらないしね。
まあ、どうせ夜になればパトロールだ何だって呼び出されることになるとは思うんだけど・・・

プルプルプル・・・
あれ?
着信だ。
誰からだろう。
私はポケットから携帯を取り出して開いて見る。
着信:伊嵜神社
へ?
神社からだ。
なんだろ。
私はすぐに通話ボタンを押して電話に出た。
「もしもし」
『ああ、よかったわ。狭霧ちゃん大至急来てくれない? ちょっと困ったことになったのよ』
「朱音(あかね)さんですか? 何があったんですか?」
電話をかけてきたのは伊嵜神社の宮司の秋津洲(あきつしま)朱音さんだ。
郁美ちゃんのお姉さんであり、神社本庁を通じて退魔を依頼してくる元締めのような人でもある。
朱音さん自体には退魔の力が無いらしく、退魔自体は郁美ちゃんの仕事だけど、私も甲賀忍者の末裔の力を見込まれて、いつの間にか手伝いをするようになっている。
それにしても、妖魔なんてものがこの世界にいるなんてこと、郁美ちゃんと親友じゃなきゃ知らなかったよね。
『魔のかけらが出現したらしいの。郁美には連絡取れなくて・・・』
そうか、今日は委員会だから・・・
郁美ちゃんは学校じゃ携帯の電源切っているし、まさか退魔の仕事があるからって呼び出してもらうわけにも・・・
それに夕方とはいえ、こんな時間から妖魔が活動するなんて思いもしないよ。
「わかりました。すぐに行きます」
私はすぐに伊嵜神社に向かって駆け出していた。

神社に駆け込んだ私を待っていたのは、朱音さんの険しい表情だった。
「はあはあ・・・お待たせ、朱音さん」
「狭霧ちゃん、来てくれてよかったわ。早速だけど様子を見てきて欲しいの」
「様子?」
朱音さんがこくりとうなずく。
「一瞬強い魔の気配を感じたの。たぶん魔のかけらが出現したんだと思う」
「魔のかけらが?」
魔のかけらというのは、どこからか突然現れる邪悪な魔力の塊で、周囲に影響を及ぼして妖魔にしてしまうことがあるものだ。
先日の化けガエルもそうやってできたものかもしれない。
「魔のかけらなら放っては置けないわ。周囲の生き物が取り込んだりしたら・・・」
「うん。妖魔に変化しちゃう」
「だから急いで封じなくちゃいけないわ。かけらの封じ方は知っているわね? もし手に負えないようなら連絡して。郁美を向かわせるわ」
「大丈夫です。かけらだったらいただいた破魔札で私でも封じられます」
私は朱音さんの言葉に力強く答えると、すぐに巫女服に着替えて出動する。
魔のかけらが妖魔を生み出す前に封じちゃわなくてはならない。
でも、魔のかけらは特定の形を持つわけではないので、どれがかけら本体なのか見極めないとならない。
何度か見たことはあるけど私に見つけられるかな・・・
ううん、こんなときこそ私の力を見せてやろう。
郁美ちゃんがいなくたって私一人でも大丈夫。
もう半人前じゃないって事を見せなくちゃ。

夕暮れの街中を巫女服で駆けて行く。
緋色の袴が夕日に照り映えている。
幾人かの好奇の目がこちらを見ているけど、気にしてはいられない。
一刻も早くかけらを確認するべく、私は朱音さんの感じた場所へ向かっていく。
朱音さんは魔を感じることにかけては一級の腕前だ。
朱音さんのおかげでこの街の妖魔被害はよそに比べて少ないぐらい。
その朱音さんが強く感じるのだから、魔のかけらも強力なのかもしれない。
だったら、私でも見つけるのは容易だろう。
最近は私だって魔を感じることぐらいできる。
そんな強力な魔のかけらなら、私にだって感じ取れるよね。

「このあたりのはずだけど・・・」
私はゆっくりと脚を止める。
閑静な住宅街。
こんなところに魔のかけらが現れたなんて・・・
早く見つけなきゃ・・・
私はゆっくりと深呼吸して周囲を見渡した。
買い物帰りのご婦人たちが、何事だろうと私を見ている。
夕食の支度をしているいい匂いがあちこちの家から漏れている。
そんな中で私は精神を集中し、魔の気配を探ってみた。

ドロッとしたいやな気配が漂ってくる。
これだ!
私は気配を感じられたことにうれしくなる。
もしかしたら一軒一軒探さなくちゃならないかもと覚悟していたのだ。
気配を捕まえればこっちのもの。
私は漏れ出てきた魔の気配がどこからなのか確認する。
あそこだわ・・・
その気配は一軒の住宅から漏れているのだった。

私は意を決して呼び鈴を鳴らす。
いきなり巫女服の女子高生が尋ねてきたら不審に思われるだろうけど、魔のかけらを放っては置けない。
出てこない?
呼び鈴を押してしばらく待ったが反応がない。
二度三度と押してみても、家人が出てくる様子がない。
留守かも?
私は確認の意味でドアノブを回す。
カチャリ
ドアノブはあっけなく回り、ドアが開く。
あらら、鍵がかかってないよ。
う~・・・
仕方ない。
私は意を決した。

「ごめんください」
ドアを開けて玄関に入る。
途端にムッとするような魔の気配が強くなる。
間違いない。
この家のどこかに魔のかけらが出現したんだ。
何がきっかけで現れたのかはわからないけど、一刻も早く封じなきゃ。
私は草履を脱いで奥へ向かう。
空き巣みたいだけど仕方ないよ。
とにかく魔のかけらを確認して、早く伊嵜神社に報告しなきゃ。

「失礼します・・・」
リビングに通じるドアを開けたとき、私は思わず固まった。
リビングには巨大な毛むくじゃらのものがうごめいていたのだ。
私は必死で悲鳴を上げないように口を押さえる。
ああ・・・そんな・・・

室内にいたのは巨大な・・・それはそれは巨大な蜘蛛だった。
腕ぐらいもある太さの脚を八本うごめかせ、白い糸で室内に巣を張っている姿を見たとき、私は悲鳴を必死で抑えるのが精一杯だった。
「そんな・・・もう取り込んじゃって・・・」
蜘蛛が魔のかけらを取り込んだんだ。
「くっ・・・」
これじゃ私の手には負えない。
郁美ちゃんを呼ばなきゃ・・・
私は一歩あとずさる。
巨大蜘蛛は何かに糸を巻きつけ、抱え込むように脚を動かしている。
糸に絡まれた細長い物体から、すらりと伸びた女性の脚が見えたとき、私にはその物体が何なのか理解できた。
この家の人だ。
この家の人が巨大蜘蛛に捕らわれたんだ。
今しも巨大蜘蛛はその人に牙を突き立てている最中だったのだ。

「うわぁぁぁぁぁ・・・」
私は叫びだしていた。
「その人から離れろぉ!」
私は懐から棒手裏剣を取り出し、思いっきり投げつける。
二本、三本と続けざまに投げつけ、いずれもが巨大蜘蛛に突き刺さる。
『グエェェェェ』
声にならないような声を上げ、巨大蜘蛛は暴れ狂う。
大きく膨らんだ腹部から、どす黒い体液が流れ出る。
「うげっ」
私は思わず吐き気をもよおすが、そんなことをしているときじゃない。
巨大蜘蛛は腹部に三本の棒手裏剣を受けたものの、まったく動きを止めはしない。
むしろ怒りに燃えて食事の邪魔をした私をにらみつけてくる。
私は短刀を抜き、左手には再び棒手裏剣を構えて巨大蜘蛛に対峙した。

『ギシャァァァ』
巨大蜘蛛が私の方に向かって飛び掛ってくる。
私はそれを避けつつ、相手の動きに合わせて短刀を突き立てる。
こうすれば、相手の重量自体がダメージを大きくしてくれるのだ。
『ギェェェェ』
うなり声を上げる巨大蜘蛛。
切り裂かれた腹部からドロッとした体液がほとばしり、私の頭から降りかかる。
「うえぇ」
吐き気をこらえながらすかさず棒手裏剣を叩き込む。
すばやくかわそうとした巨大蜘蛛だが、棒手裏剣の一本が一つの脚に深々と刺さりこむ。
「どうやら妖魔化したとはいえ図体が大きいだけの蜘蛛のようね。これなら・・・」
棒手裏剣と短刀の一撃は巨大蜘蛛の動きを鈍らせている。
このまま行けば動きを封じるくらいわけはない。
あとは郁美ちゃんが来るのを待つだけ・・・
「えっ?」
足袋を履いた足が滑る。
私は一瞬何が起こったのかわからなかった。
  1. 2008/04/10(木) 21:00:08|
  2. 魔のかけら
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月子の戦い

1000日連続更新達成記念SS第一弾は「帝都奇譚」です。
いよいよヴォルコフと月子の戦いが始まります。
楽しんでいただければ幸いです。

25、
カチャリ・・・
飲み干したコーヒーカップをソーサーに置く。
口元が引き締まる。
「来た・・・ようですね」
ゆっくりと玄関に向かう月子。
全身に緊張感がみなぎっている。
夜は奴らの時間。
本来なら昼間の動きの鈍い時に相手をできれば一番なのだけど・・・
やむをえない。
摩耶子さんを渡すわけにはいかない。
彼女はヴォルコフには渡さない。

日本庭園。
鷹司家の庭。
月明かりがあたりを照らしている。
立っている三人の影。
やわらかいラインからは、そのいずれもが女性であることがわかる。
「なるほど・・・今日はご本人ではなくしもべに私の相手をさせようというわけですか?」
動きやすい洋靴を履いた足が一歩前に出る。
どこの誰かは知らないが、目の前にいる二人の女性はすでに人ではない。
赤い目を輝かせ、鋭い爪と牙を月子のほうへ向けてくる。
「可哀想に・・・」
月子は手裏剣を取り出す。
退魔用の特殊手裏剣だ。
普通の武器では魔物を傷つけることは叶わない。
だが、退魔師の力を与えられた武器は魔物をもものともしないのだ。
「それでは・・・お相手いたしましょうか」
月子がそうつぶやいた瞬間、三人の躰がはじけるように動き出した。

「ハッ!」
月子が手裏剣を撒き散らす。
もとより命中を期待したものではなく、それを相手が避けることによって動きを直線化させるのが狙いだ。
二人のしもべたちは、左右から月子を囲むつもりでいる。
変ね・・・
月子は手裏剣をかいくぐる二人の動きを分析する。
一体の動きが鈍い。
もう一体がかなりのすばやさを見せているのに、その一体は自分のすばやさに戸惑っているかのよう。
変化したて?
もしかしたらそうなのかもしれない。
なるほど・・・
月子はまるで宙に浮いているかのように、庭木や屋根を跳び伝う。
そしてすばやく追いすがる一体に棒手裏剣を打ち込んだ。
「ハグッ!」
左肩をえぐられる一体のしもべ。
月子は知る由もなかったが、それはヴォルコフによって紅葉と名付けられたしもべだった。

「くっ!」
紅葉は思わず左肩を押さえてしまう。
ヴォルコフ様の新たなるしもべ灯の動きの鈍さを逆手に取り、おとりにしようとしていたのに、退魔師は逆に彼女を狙ってきた。
これではおとりの意味がないどころか、灯にはこの隙をつくこともできはしない。
しかも肩口につけられた傷は回復してくれないではないか。
「おのれ!」
再度仕掛けなおさなくてはならない。
今度はおとりなどという考えをなくし、二人で時間差攻撃をかけるのだ。
あんな女退魔師ごときに・・・

心臓を狙ったのだが左肩への一撃で動きは止まった。
意図してそうなのかはわからないが、おとり役は牽制だけで動きが止まる。
二対一と不利には違いないが、しもべごときに遅れは取らない。
それに・・・
どこかにヴォルコフがいるはず。
彼女たちはどうせ二人ともがおとりなのだろうから・・・

屋根の上に降り立つ月子。
彼女を挟むように二人のしもべも屋根に立つ。
屋敷の中では天井裏をネズミが這っているとでも思っているかもしれない。
そう思うとこんな時なのに笑みがこぼれる。
やれやれ・・・
命のやり取りをしているというのにね。

左右から同時に仕掛けるしもべたち。
月子は一瞬左右を見ると、今度は右手側の灯に対して手裏剣を見舞う。
そしてジャンプすると同時に上空から分銅鎖の分銅を紅葉に対して打ちつけた。
人間とは思えない月子の動きに二人のしもべは翻弄される。
一瞬のうちに灯は右足の甲に手裏剣を受け、紅葉は分銅で額を打ち据えられる。
「ぐがぁっ」
「ぎゃっ」
二人の悲鳴が夜空に響き、寝静まった町を一瞬ざわつかせた。

「さすがにやってくれるではないか」
月明かりを背にして黒服の男が姿を現す。
「ようやく姿を現しましたね、魔物さん」
「ニコライ・ペトローヴィッチ・ヴォルコフだ。覚えが悪い雌犬にはしつけが必要だな」
「ごめんこうむりますわ。こちらこそ、あなたのような魔物は退治して差し上げます」
月子とヴォルコフの視線がぶつかる。
二人の間に緊張が走った。

先に動いたのはヴォルコフだった。
欧州人の巨体とは思えぬほどの跳躍で、月子との距離を一気に縮める。
月子は一瞬後ろに下がるように見せかけ、そのまま前へと躰を倒す。
右手に巻きつけた分銅鎖を伸ばし、ヴォルコフの足下を掬いにいく。
着地の瞬間を狙われたヴォルコフだが、逆にタイミングをずらすと、分銅をかわして月子の懐に滑り込む。
月子は左手に握った棒手裏剣を牽制に投げつけ、後ろに下がって距離をとった。

「ヌウ・・・なかなかやる。わが手駒にふさわしい」
「くすっ・・・私は仕える相手は自分で選びますので」
月子は笑みを浮かべながら分銅鎖を握りなおした。
  1. 2008/04/10(木) 20:00:32|
  2. 帝都奇譚
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1000日

甲子園での対中日戦が雨で順延となってしまいました。
もしかしたら・・・と淡い期待も持ったのですが、金本選手の2000本安打及び新井選手の1000本安打達成と同日達成はなりませんでした。

何が同日達成の期待をしたかといいますと、私が2005年7月16日に旧ブログ(MSN)で書き始めて以来、今日で通算1000日連続更新を達成いたしました。
丸二年と八ヶ月ちょっと。
延々と書き続けてきたんですねぇ。

なんと言いますか自分でもびっくりです。
ここまで続けてこられるとは正直想像もしてませんでした。
せめて一年ぐらいは続けたいなぁとは思っていたのですが、幸いにも皆様にご支持いただき、私も書くのが楽しくなりました。

1000日達成は本当に皆様のおかげです。
ありがとうございました。

いつものことですが、感謝の意を込めまして記念作品を用意しております。
まずは「帝都奇譚」の25回目。
そして、四日連続で新作短編を一本投下いたします。
どうか皆様に楽しんでいただければ幸いでございます。

あらためまして、皆様本当にありがとうございました。
それではSSを楽しんでくださいませ。
  1. 2008/04/10(木) 19:50:47|
  2. 記念日
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豊家滅亡その24

今日も金本選手の二千本安打はお預け。
残念ですが、仕方ありません。

ということで「豊家滅亡」の24回目です。

家康の進言によって、豊臣家は太閤秀吉ゆかりの寺社をいくつも修築してきておりました。
その一つが京都東山の方広寺でした。

地震と火災という二重の災害によって大仏も大仏殿も失った方広寺は、豊臣家の修築作業によってようやくその姿をお披露目できるまでになっておりました。
重さ六十四トンもある梵鐘が備えられ、大仏も大仏殿も滞りなく修築なり、あとは魂を入れるべきそれぞれの儀式(開眼供養など)を執り行うまでになっておりました。

すでに慶長19年(1614年)6月28日には、梵鐘を楼に据え付けて鐘供養の撞き初め(つきぞめ)が行われており、豊臣家家老である片桐且元より8月3日に大仏の開眼供養と大仏殿の堂供養を執り行う旨が、駿府の家康の元に届けられておりました。

慶長19年7月18日。
駿府の家康より片桐且元のもとに開眼供養と堂供養を別々の日に行うべしという指示が届きます。
古来開眼供養と堂供養が同じ日に執り行われたためしがないというものでしたが、すでに準備に入っている且元はいろいろと都合もあるゆえに何とか同日に執り行いたいと駿府に伺いを立てました。

ところが、慶長19年7月29日に且元のところに届けられた家康からの文は驚くべきものでありました。
同日に執り行うことはおろか、先日鐘供養を終えた梵鐘の銘文に問題があるので、すべての供養を延期せよとあったのです。
いわゆる「方広寺鍾銘事件」の勃発でした。

お寺の梵鐘には銘文が刻まれているものが多いのですが、方広寺の梵鐘も当時の高僧の南禅寺の清韓という人物に作らせた銘文が刻まれておりました。
清韓は加藤清正とつながりが深く、そのため豊臣家にとっても縁のある当時の高名な学僧でした。
その彼が作り上げた銘文の何がどう問題なのか、且元にとってはさっぱりわけのわからないことでした。

鐘自体は4月には完成しておりました。
その時点でどういった銘文が刻まれるかも家康には伝わっていたはずでした。
それが開眼供養や堂供養が近づいたこの時期にいきなりそんなことを言い出すとは、家康の難癖付けといわれても仕方ないでしょう。

しかし、家康ももはや73歳。
このまま座して時を過ごせば、死が近いのは明白です。
慶長16年に豊臣秀頼と対面し、以後も豊臣家の勢力をそぐことに全力を尽くしてきた徳川家ですが、やはり最後には滅ぼしてしまわなければ気がすまなかったのかもしれません。
開戦のきっかけを探していた家康にとって、たとえ難癖であっても、もはや手段を選んで入られなかったのです。

家康は京都の五山の僧侶たちに、方広寺の鍾銘の解釈を命じます。
大坂方との開戦の契機を作ろうとしている家康の思惑は彼らにも充分に伝わっておりました。
僧侶たちは家康の望む解釈を提示するしかありませんでした。
すなわち、鍾銘文は大御所(家康)にとって不吉かつ無礼なものであると。

「国家安康」
銘文の一文です。
国が平和で安心できるものであって欲しい。
そういう意味があるのだと思います。
しかし、これは家康の名を二つに割り死を願う呪いの文だとされました。

「君臣豊楽 子孫殷昌」
天皇も臣民も豊かで楽しい暮らしをし、子孫繁栄を願おうという意味だと思います。
しかし、これは豊臣を君(王というべきか)として、子孫殷昌を楽しもうとする政権転覆の呪いがこめられているとされました。
方広寺の鍾銘文は、豊臣家が徳川家を呪詛調伏するものだと決め付けられたのです。

愕然とした且元は、急ぎ秀頼にその旨を報告。
秀頼の名代として銘文作者の清韓とともに駿府へ弁明に向かいます。
しかし、結果は惨憺たるものでした。
清韓は蟄居を命じられ、且元は家康への面会が叶わぬまま無為に時を過ごすことになります。

且元ではものの役に立たぬと判断した淀殿は、自分の手で事態打開を図ります。
淀殿の乳母であり、大坂方の武将の一人大野治長の母である大蔵卿の局を駿府に派遣し、且元に代わって弁明させようとしたのでした。

慶長19年8月29日。
且元には一向に会おうとしない家康でしたが、大蔵卿の局に対しては到着早々に面会を許可します。
駿府への道中必死に慣れぬ漢文の意味をそらんじてきた大蔵卿の局は、家康の態度が意外と柔らかいのにホッとしました。
しかも、家康はこのたびのことはちょっとした行き違いで、千姫の夫秀頼はわが孫も同然であるから何も案ずることはないといいます。
ただ、気がかりなのが、このところ大坂方がこの家康を誤解して浪人を集め戦備を整えようとしているので、そのことに対し釘をさすつもりだったので、そのことを大蔵卿の局からも伝えて欲しい。
且元にも同じことを言い含めて近々大坂に帰すゆえ、じっくりと相談して欲しいと告げられたのです。

大蔵卿の局は胸をなでおろし、大坂に伝える旨を約束して駿府を辞去します。
一方片桐且元には、家康ではなく本多正純(ほんだ まさずみ)より家康からの命として、大坂に帰って今後の大坂方(豊臣家)の身の振り方をよく相談し、結論を江戸に持ってくるようにと告げられます。

世に言われる三つの条件がこのとき本多正純から出たものか、大坂へ帰る途中に片桐且元が考えたものなのかは定かではありません。
ですが、且元はもはや江戸との戦を防ぐには、三つの条件のうちいずれかを受諾しなければならないであろうと考えておりました。
1)、秀頼を江戸に参勤させ、秀頼自身が人質となる。
2)、淀殿が江戸へ行き人質となる。
3)、大坂城を退去し、幕府の命じるままに国替えに応じる。
このいずれかを受諾していれば、豊臣家はまだ存続の道があったのかもしれません。
しかし、大蔵卿の局と片桐且元が大坂に持ち帰った報告は、あまりにもかけ離れたものだったのです。

その25へ
  1. 2008/04/09(水) 20:38:03|
  2. 豊家滅亡
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ドイツ空軍のフランス機

どうやら今日は金本選手の二千本安打はお預けのようですね。
と、いうことで今日は航空機の話題を一つ。

第二次世界大戦が始まったとき、フランス空軍の最新鋭機だったのが、ドヴォアチンD.520戦闘機でした。
ドヴォアチンD.520は、モランソルニエ社のMS406の後継機として採用され、ドイツ空軍の誇るメッサーシュミットBf109に匹敵する高性能機として、フランス空軍期待の新鋭戦闘機でした。

しかし、1940年にドイツ軍がフランスに侵攻してきたとき、フランス空軍ではまだこのドヴォアチンD.520は旧式機との更新途中でした。
そのため、パイロットの養成も途上であり、この新鋭機を乗りこなすことのできるパイロットはわずかしかいませんでした。

フランス空軍はドイツ空軍の前に歯が立たず、地上ではドイツ軍の電撃戦がフランスを崩壊させていきました。
結局この優秀な新鋭機も、力を発揮することなくフランスは降伏してしまいます。
ドヴォアチンD.520は、戦うべき相手を失ってしまいました。

降伏したフランスは、国土の半分をドイツに占領され、残りはヴィシー政府が親ドイツの政権としてヴィシーフランスを樹立。
ドヴォアチンD.520はヴィシーフランス空軍の主力戦闘機として使用されます。

ドイツはこの新型戦闘機に興味を示しました。
英国上空の戦いで戦闘機を多数失ったドイツは、メッサーシュミットBf109に匹敵するドヴォアチンD.520は魅力的だったのです。

ドヴォアチンD.520はドイツ空軍に接収され、さらに150機ほどが追加生産されることになります。
約300機ほどのドヴォアチンD.520はドイツ空軍の一員として東部戦線で使用されたり、イタリア戦線で使用されたりして活躍します。
さらにドイツ経由でルーマニア空軍やブルガリア空軍に供与され、ソ連軍相手に戦ったのでした。

フランスの空では戦えませんでしたが、性能のよさでそれなりの活躍の場を得ることができたんですね。
ドヴォアチンD.520にとってはよかったのでしょうか悪かったのでしょうか。

それではまた。
  1. 2008/04/08(火) 21:28:55|
  2. 趣味
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04月08日のココロ日記(BlogPet)

最近、パリによろしいありのお店ができたらしいですよ

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/04/08(火) 11:00:07|
  2. ココロの日記
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楽しー

ここ数日、VASLという通信対戦ソフトでアドバンスドスコードリーダーのスターターキット(ASL-SK)のシナリオを対戦させていただきました。

お相手はGoma様。
ASLを大変楽しんでいらっしゃる方で、ASLに関するサイトもお持ちの方でいらっしゃいます。
胸をお借りするつもりでお相手していただきました。

一戦目はシナリオS2「War of the Rats」
このシナリオはスターリングラードにおける独軍戦闘工兵を含む部隊と、ソ連軍の徴集兵と一般兵部隊との市街戦がテーマです。
半分ほどのボードしか使わない非常に狭い戦場ですが、市街地ゆえに建物が密集し、その間の街路が戦闘の焦点になります。
Goma様が守るソ連軍を、私が攻める独軍を担当してプレイ開始。

独軍は煙幕をうまく展張できなかったものの、戦闘工兵の士気の高さでソ連軍の射撃をしのぎきり、何とかソ連軍の篭る建物に取り付きます。
Goma様のソ連軍は的確な配置を極めており、独軍がどのように街路を通ろうとしても射線に入る形を取っていて、私は相応の出血を覚悟したのですが、幸いこちらのモラルチェックがかなりうまく行き、それほど部隊を失わずにすみました。

火炎放射器の射撃やソ連軍増援への防御射撃なども低い目でソ連軍を痛打。
防御する部隊を次々に屠られてしまったソ連軍が防御しきれなくなってしまいました。

二戦目はシナリオS19「Purple Heart Lane」
このシナリオはドラマ「バンドオブブラザーズ」の一エピソードがベースとなっており、米軍降下兵が独軍の守備するカランタン郊外の村を攻撃するシナリオです。
これもまた使う盤は半分ほどで、しかも麦畑が湿地となって侵入不可のため、攻める米軍はルートが限られてしまいます。
今度はGoma様が米軍を、私が立てこもる独軍を担当。

米軍は煙幕を張りつつ徐々に村に近づいてきます。
私は村の北側半分は最初から放棄するつもりで足止め部隊すら後退。
この後退が後々米軍に重くのしかかったのではないかと思います。

米軍は村の北半分を制圧するも、南側との間に広がる道路と開豁地に進撃を阻まれます。
後退して待ち受ける機関銃と、増援で入ってきた機関銃がにらみを効かせ、膠着状態に陥ります。
攻撃するしかない米軍は、どうにか村の南側に取り付こうとしますが、射撃のサイの目が振るいません。
結局南側の独軍を排除しきれずに終了となってしまいました。

結果的にはサイの目にも恵まれて二連勝となりましたが、Goma様の攻撃をかわせたのは紙一重の運でした。
はらはらどきどきの緊張感の中、二つのシナリオを大変に楽しむことができました。
Goma様、本当にありがとうございました。
次回はシナリオS6「Released From The East」でお会いいたしましょう。

それではまた。
  1. 2008/04/07(月) 20:04:58|
  2. ウォーゲーム
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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