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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

名前は・・・

今月最後の更新は「帝都奇譚」です。
少しだけで申し訳ありませんが、楽しんでいただけると幸いです。

22、
『摩耶子さん・・・摩耶子さん・・・』
どこか遠くで名前を呼ばれている。
聞き覚えのある声。
どなただったかしら・・・
うっすらとそんなことを考える。
やがて徐々に意識がはっきりしてくる。
霞のかかったような頭が次第にはっきりしてきたのだ。
「う・・・」
ゆっくりと目を開ける摩耶子。
「あ・・・摩耶子さん。よかったぁ」
「気が付かれましたのね」
目を開けた摩耶子を覗き込んでいる二人の少女。
いずれもが心配そうな表情をしていた。
「桜さん、姉川さん・・・」
摩耶子はゆっくりと上半身を起こした。
「あ、まだ動かないほうがいいわよ」
脇のほうから声をかけられる。
気が付くと、室内にはもう一人白衣を着た女性が机に向かっている。
養護教諭の津積時子(つつみ ときこ)だ。
するとここは保健室なんだわ。
摩耶子はいまさらながらに自分のいる場所に思い至る。
玄関先で気が遠くなったのち、ここに運び込まれたものだろう。
「お騒がせをしてしまいました」
白い掛け布団をよけ、ぺこりと摩耶子は頭を下げる。
「貧血を起こしたようね。少し休んでいきなさい」
養護教諭の津積が微笑む。
さすが白鳳女学院の誇る白衣の天使。
もっとも、口さがない連中に言わせると白衣の堕天使ということになるらしい。
「驚いたわ。突然倒れるんですもの」
「真木野さんのことがショックでしたのね。ごめんなさい」
桜も久も摩耶子が気が付いたことでホッとしていた。
朝から休み時間のたびに保健室に顔を出していたのだ。
摩耶子は二人の友人に心配をかけたことを謝ると同時に温かいものを感じていた。

授業開始のベルが鳴る。
「いけない、行かなくちゃ」
「鷹司さんはこのまま午前中の授業はお休みしたほうがいいわ」
「でも・・・」
桜と久が摩耶子を押しとどめて教室に向かおうとする。
それを了承するかのように養護教諭の津積もうなずいた。
「無理しないほうがいいわ。あと一時間寝ていなさい。そしてお昼ご飯をしっかり食べて午後の授業に出ること。いいわね」
「わかりました」
摩耶子はその言葉にうなずき、桜と久を送り出す。
静けさの戻った保健室で、摩耶子はもう一度横になった。

そそり立つ肉棒。
先ほどまでおのれの肉体を貫いていた肉棒がとてもいとおしい。
「ぺちゃ・・・ぴちゃ・・・」
唾液をまぶすように舌を絡め、あごがはずれそうなほど太い肉棒を頬張りこむ。
「ふっ・・・うまいか?」
筋肉質の肉体を誇らしげに晒している体格のよい男。
「ああ・・・はい・・・」
肉棒をしゃぶるのをやめ、うっとりとした表情を男に向ける。
至福のひと時を過ごしているかのようなその表情。
少し前までは、こうして男の肉棒をしゃぶるなど考えもしなかったに違いない。
だが、今ではこの男に従いこの男のものとして過ごすことこそが彼女の存在意義のすべてだった。
「うふふふふ・・・よかったわね。これであなたもヴォルコフ様のしもべ」
ヴォルコフの隣で妖艶に微笑む女がいる。
蠱惑的な洋装に身を包み、魅力的なすらっとした脚をスカートのスリットから覗かせてワイングラスを持っている。
かつてのマネキンガールだった彼女は、紅葉という名を授かってヴォルコフのそばに仕えているのだ。
「ふふふ・・・女、名はなんと言ったかな?」
「あ・・・」
肉棒をしゃぶっていた女は一瞬考え込む。
名前・・・
自分の名前はなんと言っただろう・・・
「あ・・・あ・か・り・・・」
ようやくの思いで一つ一つ区切るように自分の名を告げる。
もっとも、こんな名前には意味がない。
目の前の男が自分を何と呼んでくれるのか。
それだけが重要なのだ。
「あかり? 灯火のことか? ふふふ・・・日本人というのは面白い名をつける」
紅葉が手渡したワイングラスを一気にあおるヴォルコフ。
そんなヴォルコフを灯は欲望に濡れた目で見上げていた。

「躰の方は大丈夫なのですか、鷹司さん?」
心配そうに摩耶子の顔色をうかがう姉川久。
授業も終わった今、早々に家に帰って安静にしたほうがいいのではないだろうか。
そう思うのだが、摩耶子は真木野小夜のお通夜に行くというのだ。
「大丈夫です。小夜さんに最後のお別れをしたいのですわ」
摩耶子はきっぱりと言う。
あの小夜のイメージ、夜に会ったイメージがどうしても気になったのだ。
お通夜に行ったからといって何がわかるわけではないかもしれない。
でも、もし小夜と最後に会ったのが学校ではなく夕べだったのだとしたら・・・
だとしたら、それは何を意味するのだろうか。
摩耶子は何か得体の知れないものを感じるのだった。
  1. 2008/02/29(金) 20:44:22|
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イージス艦あたご

すでに事故から10日になろうとしておりますが、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と、千葉県勝浦の漁船「清徳丸」が衝突いたしました。
いまだ救出されていない行方不明のお二人の安否が非常に気がかりです。
一刻も早い救出がなされることを望みます。

このイージス艦あたごですが、昨年の「世界の艦船」2007年8月号(海人社)で特集が組まれていたのを思い出しました。

あたごは、アメリカのイージス駆逐艦「アーレイ・バーク」級を元にして日本独自の改良を加えた海上自衛隊初のイージス艦「こんごう」級の拡大改良版として新たに建造された最新鋭イージス艦です。

イージスシステムというのは、1970年代にソ連がアメリカの空母機動部隊対策として考えていた対艦ミサイル大量集中発射による飽和攻撃に対抗するために、アメリカで開発されたものです。
つまり、イージスシステムは航空機が発射する対艦ミサイルと、その発射母機を複数同時にレーダーで探知処理し、撃墜することを目的として作られました。

皆様も写真でご覧になったと思いますが、あたごの大きな艦橋構造物の右前左前と右後左後に八角形の形のパネルが付いているのに気が付きませんでしたでしょうか?
あれがイージスシステムの対空レーダーです。
このパネル型レーダー(フェーズ・ド・アレイ・レーダーといいます)で接近する航空機やミサイルを探知し、瞬時にコンピュータで解析して危険度の高い順番を特定。
対空ミサイルやCIWSなどの対空装備で撃墜するのです。

その能力は機密のベールに包まれていますが、一説によれば百機の目標の同時処理が可能といいます。
他にも自分の艦のレーダーばかりでなく、衛星や他の艦の得た情報などもリンクによって手に入れることができ、戦場での艦隊の中核と成ることのできる能力を持っているといわれます。

しかし、イージスシステムは対空装備です。
水上艦艇の探知にはこのイージスシステムではなく、通常の対水上レーダーが使われます。
この対水上レーダーもいくつか種類があって、通常航海には航海用レーダーが使われます。
このレーダーがはたして清徳丸をきちんと認識していたのかどうか・・・

基準排水量7700トン。
満載排水量では1万トンを超えるといい、第二次世界大戦中の重巡洋艦の重量に匹敵します。
全長も165メートルの長さがあり、急停止や急旋回ができる代物ではありません。
清徳丸とは大きさが雲泥の差です。

だからこそ、航海には注意が必要だったと思います。
注意していなかったのではないとは思いますが、人間どんなことでも慣れが忍び寄ります。
昨年3月に就役したばかりのころは、艦長はじめ乗組員も緊張して艦を運行していたと思われます。
しかし、就役からほぼ一年。
乗組員も艦に慣れ、どうしても日常の航海時には緊張感が失われてしまったのではないでしょうか。

大海原だからぶつかりようが無いと思いがちですが、航路は意外と船同士が接近します。
衝突も一年間でかなりの数に上ります。
だからこそ、常の緊張感を失わないように気をつけないといけないのだと思います。

これは車のハンドルを握る私自身にも言えることだと思います。
皆様も日常に潜む危険には充分ご注意くださいませ。
それではまた。
  1. 2008/02/28(木) 19:56:06|
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鎮圧

岡田首相(実際は松尾秘書官)、高橋蔵相、斉藤内大臣、渡辺陸軍教育総監の計四人を殺害し、警視庁などの主要部を占拠した決起部隊は、この事実を同じく占拠した陸相官邸の陸軍大臣川島義之に報告。
おっとり刀で駆けつけた青年将校の敬愛する真崎陸軍大将もこの報告を聞いて、よくやったと褒めたといわれます。

青年将校たちの計画は実はここまでしか無かったといわれます。
彼らは「君側の奸」を取り除けば、後は天皇陛下が自然と日本をよい方向に導いてくださると思っていた節があり、兵力を持って次期政権を無理やり打ちたて、それによって日本を変えていくということまでは考えていなかったようでした。

あとはお任せいたしますといわんばかりに報告を受けた形となった陸軍大臣川島は、とりあえず決起部隊を刺激せぬためにも善後策を協議することにし、軍事参議官たちを参集します。
そして決起部隊をなだめるための懐柔策として陸軍大臣告知を発表。
彼らの行動は天皇陛下に伝わったと見せかけました。

この告知は青年将校たちを喜ばせます。
青年将校たちの理想としては、この決起の主意が天皇陛下に伝わり、よくやったとねぎらわれるとともに陸相主導で皇道派メンバーを中心とした新内閣が結成され日本をよい方向に導いていくというものでした。
しかし、この望みは叶わぬものでした。

一報を伝え聞いた木戸幸一内大臣秘書官長および湯浅倉平宮内大臣、広幡忠隆侍従次長らが直ぐに昭和天皇のいる宮城に入り、協議を行ってこの青年将校の行為を反乱として鎮圧することを決し、その旨を昭和天皇に伝えたのです。

昭和天皇は青年将校たちの行動に激怒したといわれます。
昭和天皇自らが任命した政府閣僚を、天皇の指揮下にある陸軍兵士を私的に利用して殺害したのですから、激怒するのも当然といえるかもしれません。
昭和天皇は内大臣秘書官長らの献策もあり、断固反乱鎮圧することを命じました。

翌2月27日には東京に戒厳令がしかれます。
海軍も東京湾に戦艦を入れ、主砲を市内に向けました。
甲府や宇都宮からは鎮圧のための部隊が東京に向かい、決起部隊は反乱軍とされました。

「君側の奸」を排除することのみを目的としていたといっていい青年将校たち決起部隊は、あまりにも行動が杜撰だったといえます。
報道管制も海軍に対する根回しもなかった彼らは、東京内で孤立します。

28日には香椎浩平戒厳司令官に、反乱部隊を原隊(もともとの所属部隊)に帰還させ、速やかに市内の状況を改善するように昭和天皇より勅命が下ります。
昭和天皇は自らが近衛師団を率いて鎮圧に当たるとまで言われたといいます。
ことここにいたっては、何とか穏便に済まそうと思っていた陸軍も反乱鎮圧の方向で固まります。

29日午前5時10分、討伐命令が下されます。
「軍旗に手向かうな」というアドバルーンやビラがまかれ、NHKは「勅命が下ったのである」で始まる中村茂アナウンサーの放送を流して、兵士に帰順を促しました。

兵士たちの動揺と、反乱軍としての烙印を押されてしまったこと、天皇陛下自らが鎮圧なされようとしていることなどから、青年将校たちは今回の決起が陛下の意に沿わなかったものであったと認めざるを得ませんでした。

29日午後2時ごろ、青年将校たちは兵を原隊に復帰させ降伏。
その際に野中大尉は拳銃で自決。
安藤大尉も自決を図りましたが一命を取り留めました。

四日間にわたった2・26事件はこうして終結します。
参加人員約1400名ほどの反乱事件でした。

昭和11年(1936年)7月5日。
事件から半年たたぬうちに決起部隊中心将校の軍法会議(軍の裁判)の判決が下ります。
この軍法会議は決起将校に対する弁護人無し、控訴上告無しの一審制でさらに非公開というものでした。
判決は17名が死刑。
一命を取り留めた安藤大尉も銃殺に処されました。

上官の命令に従って出動しただけの下士官兵がほとんどでしたが、この事件に決起部隊として参加してしまった兵たちは、やはりこの後の中国戦線や太平洋戦線の最前線に送られる者が多かったらしく、多くの方が戦死されたといいます。

この事件をきっかけに陸軍皇道派は力を失い、統制派が陸軍の中心となっていきました。
そして、徐々に日本は太平洋戦争への道を歩んで行くことになるのです。

それではまた。
  1. 2008/02/27(水) 21:19:32|
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今日は2月26日です

昭和11年(1936年)の本日2月26日、帝都東京を揺るがす大事件が勃発しました。
のちに2・26事件と呼称される、陸軍青年将校たちのクーデター事件が起きたのです。

このころの日本は長引く不況による農村の疲弊や、財閥と政党の癒着など状況のよくない時期でした。
軍上層部も長い間の薩摩長州両派閥の争いから、皇道派と呼ばれる天皇の直接親政による国家改造を目指すグループと、統制派と呼ばれる合法的改革で国家を総力戦体制に導こうとするグループが反目し合うようになっておりました。

そんな中、日本の現状を憂いた皇道派の青年将校たちは、この状況は天皇陛下がきちんと現状を見せてもらっていないからであり、政府要人たちが私利私欲のために天皇陛下に都合の悪いものを見せないようにしているのだと考えます。

そういった君側の奸を排除し、天皇陛下が直接政府を指導してくだされば、日本の現状は打破され将来は安泰であると考えた青年将校たちは、自分たちの指揮下の部隊を使い政府要人の暗殺を行うことに決します。

昭和11年2月26日。
配下の部隊を引き連れ、武器も手に入れた青年将校たちは、冷え込む中を政府要人宅に向かいます。

栗原中尉率いる部隊は岡田啓介総理宅を襲撃。
警備に当たっていた巡査を殺害したのち、岡田総理の義理の弟松尾伝蔵秘書官を総理に似ていたため誤認、これを射殺します。
岡田総理自身は押入れに隠れることで難を逃れました。

中橋中尉らは大蔵大臣高橋是清宅を襲撃。
高橋大蔵大臣は陸軍予算の縮小を図っていたために陸軍の恨みを買っておりました。
襲撃により高橋大蔵大臣は殺害されてしまいます。

坂井中尉らは斎藤実内大臣宅を襲撃。
斉藤内大臣は40発以上もの弾丸を打ち込まれ絶命します。

安藤大尉以下が襲撃したのは、鈴木貫太郎侍従長でした。
天皇陛下の側近としていながら陛下の大御心をないがしろにすると見られていたのです。
鈴木侍従長は瀕死の重傷を負いますが、奥方のかばう姿に安藤大尉は止めを刺さず、かろうじて死を免れます。

渡辺錠太郎陸軍教育総監は、同じ陸軍軍人しかも大将と言う階級でしたが、皇道派の重鎮であり青年将校らの心酔する真崎甚三郎大将の後釜として陸軍教育総監になった人物でした。
そのため、青年将校たちには真崎大将を追い出した人物としてうらまれていたのです。
渡辺大将は拳銃で応戦したものの、娘の前で射殺されました。

河野大尉らが神奈川県湯河原まで出向いて襲撃したのは、牧野伸顕元内大臣でした。
牧野元内大臣も天皇の側近だったために狙われたのです。
牧野元内大臣は宿泊していた旅館から命からがら逃れることに成功し、襲撃は失敗に終わりました。

そして、野中大尉率いる部隊は警視庁を占拠。
警視庁は現在の機動隊に当たる特別警備隊なども発足させてはおりましたが、やはり戦闘のプロが500名からで乗り込んできたのではどうにもならず、ほぼ抵抗できないままに占拠されました。

他に後藤内務大臣宅が襲撃を受けたものの後藤大臣は不在で難を逃れます。
青年将校ら決起部隊は、陸軍省や参謀本部などを含め、永田町、霞ヶ関、赤坂、三宅坂など東京の中枢を占拠することに成功し、26日の午前中は終わりを告げることになります。

明日へ
  1. 2008/02/26(火) 19:47:03|
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02月26日のココロ日記(BlogPet)

今度、ブログ妖精の世界に舞方雅人さんを連れていってあげますね!

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/02/26(火) 10:01:54|
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ウェルト オブ イストリア

ご心配をおかけいたしました。
風邪のほうはどうやら何とか回復したようです。
体調はほぼ元通りになりました。

表題はプレイステーション用のRPGです。
1999年2月25日の発売ですから、発売からまるまる9年経っている結構昔のゲームです。
発売元はハドソンで、自由度の高さが売りのRPGです。

キャラクターも髪の色や髪型あたりは自由にできる上、着ている鎧や持っている武器も画面上のキャラの姿に反映されるのです。
さらには鎧や衣装は色までも選べます。
私はもちろん黒い鎧を着たおにゃのこでプレイしてましたけどね。(笑)

ストーリーは大雑把に言って魔王復活を阻止するというもの。
最初は小さな依頼(どこそこにこれを届けろとかこれを買ってきて欲しいとか)が積み重なり、レベルが上がって依頼も徐々に大きなものになっていきます。
キャラの職業も自由に決められ、神殿に帰依して僧侶になったり盗賊ギルドに入って盗賊になったりとさまざまです。

レベルが上がって知名度が上がると、町の人々がキャラを呼ぶ呼び方も変わってきたり、仲良くなった町の人と結婚したりすることすらできます。
たくさんのシナリオピース(依頼や事件など)があるので、数回のプレイではすべてを見ることはできないでしょう。
すべてのシナリオピースをクリアするのは大変ですよ。

エンディングにはドラゴンスレイヤーになったり平穏な日常を過ごしたり魔王を倒したりというのがあるんですが、やはり個人的には新たなる魔王ENDか魔王のしもべENDがやはり好きですよねー。
魔王のしもべとなるために一緒に冒険してきたNPCを倒して行くのはなかなか気持ちいいですよ。(笑)

欠点はやはり当時のポリゴン技術ですのでキャラが荒いです。
それと世界の広大な広がりは無く、主要な町が三つほどでその周囲で起きる事件となります。

当時としてはかなり自由度が高いRPGだったのではないでしょうか。
私は結構楽しめました。
ま、それ以上に私の友人がこのゲームの開発に携わっていたので、シナリオピースのアイディアを私もいくつか出させていただいたことが印象に残っております。
採用されなかった気がしますけどね。(笑)

古いゲームですので、いまさらお勧めとはいえませんが、何かの折に見かけたら手にとってみてもいいかもしれません。
それではまた。
  1. 2008/02/25(月) 20:59:24|
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練習艦なのに

調子悪いです。
鼻がグスグスです。
なんか以前もこんなこと書いたような・・・
朝、家の前が雪で埋まっていたので除雪したんですけど、寒い中で汗かいたのがいけなかったかな?
なんとなく頭も痛いよー。

今日は船ネタ。
大日本帝国海軍が明治期に成立して以来、海軍の軍人を養成するために練習艦を必要としてきました。
しかし、日本は国家予算の大きな部分を軍事費に投入していたとはいえ、戦闘用艦艇の新造及び改修に海軍予算のほとんどが使われており、練習艦は長い間旧式となった巡洋艦などを使ってきておりました。

しかし昭和期に入ると、練習艦に使える旧式巡洋艦の老朽化や他への転用などにより、練習艦自体が足りなくなってきました。
そこで海軍は、新たに練習専用の練習艦を新造することに決定します。

こうして建造されたのが、日本海軍の香取型練習巡洋艦でした。

基準排水量5900トン。
全長123.5メートル。
最大速度18ノット。
14センチ連装砲塔を二基備え、水上機や魚雷発射管なども装備した本格的練習艦であり、候補生を375人乗せて諸外国を訪れることができるよう、内装などもそれなりに整えられた軍艦です。

ただ、やはり極力予算をかけないようにと商船に近い構造とし、速力も18ノットという巡洋艦としては低速に押さえられました。

香取型練習巡洋艦は、昭和15年に一番艦の香取、二番艦の鹿島が完成し、翌昭和16年に三番艦の香椎が完成しました。
しかし、完成年を見ても明らかな通り、日本は間もなく太平洋戦争に突入することになります。
そのため、一番艦香取と二番艦鹿島がたった一回だけ練習艦隊として航海しただけで、いずれも実戦に投入されることになってしまいました。

実戦使用を前提としていない香取型は、速力も低く実用にはつらいものがありましたが、一隻でも戦闘艦艇が欲しい日本海軍としては遊ばせておくことなどできなかったのです。

香取は一時期第六艦隊の旗艦として過ごしたのち、昭和19年2月17日トラック島で空襲を受け損傷。
その後米軍の艦砲射撃によって沈められました。
香椎も昭和20年1月12日に空襲で沈没。
終戦まで生き残ったのは鹿島のみでした。

目的と違った使われ方をする艦艇が日本海軍はやたら多いのですが、香取型練習巡洋艦も練習艦としての任務よりも、まったく違う任務に従事させられた軍艦だったんですね。
それではまた。
  1. 2008/02/24(日) 20:10:28|
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豊家滅亡その18

慶長8年(1603年)2月12日。
京都の伏見城に朝廷の使者が到着します。
天皇の勅使は勧修寺光豊(かしゅうじ みつとよ)。
勅使一行は最高の礼装である束帯を身にまとい、威儀を正して入城します。
勅使一行との対面のために、家康が対面所の伏見城南殿に入ったのはちょうど正午ごろと言われ、それから伝統と格式に乗っ取った儀式が行われました。
徳川家康に対し、天皇より征夷大将軍に任ずる旨がここに下されたのでした。

室町足利幕府最後の将軍となった足利義昭の任命以来30数年ぶりの将軍宣下であり、日本史上三番目の幕府がここに開闢することになったのです。

徳川家康はこの将軍職というものにこだわりました。
大坂の豊臣秀頼に対し上位に立つ必要があったからであり、同じ上位であっても、関白では朝廷の代理人でしかない上に秀頼より先に関白になったのでは諸大名の顰蹙を買う恐れもあったからです。

家康は清和源氏ではなかったと言われ、征夷大将軍の位に付くことがそのままではできませんでした。
そこで家康は、源氏新田家の子孫が“得川”と名乗ったことに眼をつけ、無理やりこじつけて得川が徳川となったと家系を捏造し源氏であると言い張ったのです。

こうして征夷大将軍となった家康は、征夷大将軍の慣例である武家の棟梁の地位も手に入れることができ、念願の幕府を開くことができました。

徳川家康が征夷大将軍になり幕府を開いたということは、とりもなおさず大坂の豊臣家とは違う政治機構が動き始めたということであり、豊臣家にとっては政権の根底を揺るがす大事件のはずでした。
しかし、大坂の豊臣家は静観の構えを崩しませんでした。
またしても、何が起こっているのか、何が起こりつつあるのかがわからなかったのかもしれません。

慶長8年3月21日。
徳川家康は、新たな京都支配の拠点である二条城に入城します。
豊臣政権の拠点である伏見城ではなく、徳川幕府の朝廷工作および支配のための拠点である二条城に入城したことで、家康ははっきりと豊臣政府からの離脱を表明したといっていいでしょう。

しかし、家康はまだ豊臣家との完全なる敵対にまではいたりません。
同年7月28日。
徳川秀忠の娘であり家康にとっては孫娘である千(せん)姫が大坂城に入城し、豊臣秀頼と結ばれます。
太閤秀吉の遺言による結婚が実を結んだのでした。

千姫の母お江与(えよ)の方(お江(ごう)とも呼ばれることあり)は近江の大名浅井長政(あざい ながまさ)と織田信長の妹お市(いち)の方との間に生まれた三人の娘の三女であり、豊臣秀頼を生んだ淀(よど)君は同じく三人の娘の長女であるため、秀頼と千姫はいとこ同士という間柄でした。

この二人を夫婦にすることで、豊臣家と徳川家の結びつきをより強固にし、もって秀頼の将来の安泰を計るつもりだったのが太閤秀吉だったのです。
豊臣家はその秀吉の約束を守った家康に対し、警戒心を薄めてしまったのでした。

さらに家康は豊臣家への懐柔工作を進めました。
翌慶長9年(1604年)8月12日。
京都東山にある秀吉を祭った豊国社で、秀吉の七回忌の臨時祭が盛大に行われます。
この七回忌臨時祭を家康は秀頼とともに主催したのです。

京都の町は華やかさに包まれ、太閤秀吉の人気の高さをうかがわせました。
人々は豊国大明神を熱狂的に祭ったのです。

この祭りに対し、家康が秀頼とともに主催したということは、大坂方にとっては家康はいまだ秀吉に対して恩と畏怖を忘れていないと見えました。
大坂方はまんまと家康の懐柔策に乗せられてしまったのでした。

このとき豊臣秀頼は十一歳。
淀君をはじめとする大坂方は、家康の幕府も秀頼の成人までの間のことと信じて疑わなかったのです。
その幻想が打ち砕かれるのは、わずか一年後でした。

その19へ
  1. 2008/02/23(土) 20:05:59|
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頼もしい戦友

今日は2月22日。
ニーニーニー転じてニャンニャンニャンで猫の日ですよー。
飼い主に美味しいものをねだりましょう。

さて、歩兵が戦場で頼りにする兵器の一つに、突撃時や防戦時に直接支援砲撃をしてくれる歩兵砲や迫撃砲があるわけなんですが、第二次世界大戦中のドイツ軍も当然歩兵砲は重視しておりました。

英軍や米軍は持ち運びが比較的容易で、曲射弾道であるため塹壕などに篭る敵には有効な迫撃砲を歩兵砲の代わりにしており、歩兵砲は事実上第二次世界大戦では使用していないのですが(鹵獲した場合などは除く)、ドイツ軍は迫撃砲とは違い目標に直射できる歩兵砲も多用したのです。

そのドイツ軍の歩兵砲の代表が、75ミリ歩兵砲leIG18でした。
18という数字は1918年製、つまり第一次世界大戦中に作ったものですよということをほのめかしているもので、実際は1920年代後半から1930年代前半の設計です。
第二次世界大戦中のドイツ軍の火砲には、こうしたごまかしの数字がつけられることが多く、第一次世界大戦後に軍備を制限されたドイツは新型火砲の開発も制限されたために、第一次世界大戦の時にはすでにあったんですよということにしてごまかしたのだそうです。

この75ミリ歩兵砲leIG18は、面白い砲尾構造をしているのが特徴で、レバーを引くと砲弾を入れる部分が上に持ち上がり、砲弾を入れるとその砲弾の重みで下に下がって発射準備完了となるのです。
そして発射後はその発射の反動でまた上に持ち上がって薬莢を排出するようになったいたようです。
こうすることで、かなりの速度での連射が可能だったのではないでしょうか。

砲弾は榴弾のほかに成型炸薬弾も用意され、あまり望ましくは無いのですが、一応は対戦車戦闘もできたようです。
本来はトーチカ攻撃などに使うのでしょう。

馬匹牽引用に車輪が木製のスポークでできているものが基本でしたが、牽引用車両が充実してくるにしたがってゴムタイヤを装着したものも増えていったようで、戦場写真などでは両者ともによく見ることができます。

終戦までに8600門あまりが生産され、東西両戦線ドイツ軍の行くところには必ずといっていいほど姿の見られる火砲でした。

それではまた。
  1. 2008/02/22(金) 19:48:00|
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READINESS

山文京伝先生のマンガ「READINESS」を手に入れました。

「SEIN(ザイン)」や「憂門の果て」と共通の世界観ということで、調香師と呼ばれる洗脳調教を専門に行う組織の女が出てきます。
私は「SEIN」しか読んだこと無いのですが、なかなか説得力のある洗脳調教のやり方ですね。

今回の「READINESS」も潜入捜査をしていた女性刑事が冒頭で、組織の洗脳のために上司を拉致し他の警察署員を射殺します。
さらわれた女性上司も、捜査を開始したヒロインにも組織の魔の手が伸びていき・・・

物語としての洗脳調教はいいですねー。
エロエロにされてしまった女性上司が子供のこともそっちのけになってしまったり、洗脳を受けたヒロインが同じように自分の上司を襲ったりと、意識変容のギャップを見せてくれるのがよかったです。

ただ、商業作品ですのでどうしても開放エンドというか救われてしまうのが残念と言ったところでしょうか。
あそこまで洗脳に抵抗したヒロインの女刑事を、完全に洗脳されて組織の手駒になってしまったあたりを見せてくれるともっとよかったんですが、それだと作品として発表できないかもしれないですしね。

山文先生はこれまでも寝取られや洗脳、悪堕ちといった作品を描いてくださっているので、これからもがんばって次々とヒロインを堕としていってほしいものです。
応援しておりますー。
「蒼月の季節」も早く単行本にならないかなぁ。

それではまた。
  1. 2008/02/21(木) 19:22:57|
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壊滅ですか?

今日は札幌辺境伯様をお迎えしてウォーゲームです。

プレイしたのは「リー最大の賭け」(コマンドマガジン日本版29号付録)。
アメリカ南北戦争三年目の1863年7月に起こったゲティスバーグの戦いのゲームです。

私はもちろん南北戦争ファンですし、札幌辺境伯様も19世紀以前の戦争に非常に興味をお持ちな方ですので、南北戦争ゲームはとても楽しみなテーマです。
今回は双方が初めてのプレイということで、いわば練習プレイです。
実戦の指揮官はとても練習プレイなんてできないものだけど、これもゲームであるがゆえのいいところかも知れませんね。

選択ルールは使わずに基本ルールだけでのプレイとし、ゲティスバーグの戦いの初日である7月1日だけをプレイするシナリオを行うということで合意。

札幌辺境伯様が北軍総司令官であるミード将軍を、私が南軍総司令官であるリー将軍を担当しました。
盤上の初期配置は双方わずかに2ユニットずつ。
ゲティスバーグ方面に向かう南軍歩兵を監視する北軍騎兵という配置でした。

このゲームはサイコロによる影響がかなり大きいゲームといえるでしょう。
サイコロの目によって、南軍北軍それぞれの戦場における部隊機動が大幅な制限を受けるのです。

大きな目を出せば攻撃態勢となって、麾下の各部隊が意気揚々と敵軍に向かって行くことができ、複数の部隊が敵に接触することができます。
さらに各部隊が共同で敵部隊に攻撃をすることも可能です。
しかし、サイコロの目が低ければ、各部隊は恐慌状態となってしまい、各部隊は敵に接触することも共同攻撃することも行えないのです。

南軍は最初順調に攻撃態勢を維持することができました。
北軍の前衛騎兵部隊を捕捉し、早々に1ユニットを撃破したのです。
幸先のいいスタートでした。

北軍は続々と現れる援軍をゲティスバーグ周辺に集めることに全力を尽くします。
勝利条件は地図版中央部にあるセメタリーヒルに南軍が取り付くのを阻止するというものです。
少々の兵力を撃破されても、取り付かれさえしなければいいのです。
北軍はその防衛ラインを着々と固めていきました。

南軍はゲティスバーグ前面まで部隊を進めていきます。
攻撃態勢を維持していた南軍は、北軍前衛に攻撃を仕掛けます。
北軍前衛は混乱して林に後退しました。
南軍はここぞとばかりに混乱した北軍を攻め立てます。
戦力比は最高の+4まで持って行くことができ、北軍の混乱した歩兵旅団の運命は風前の灯と思われました。

しかし、ここで出た目が何と1ゾロ。
ガ━━━━━━━∑(゚□゚*川━━━━━━━━ン!
攻撃側混乱の上後退ですか?
しかもサイコロの目が悪く、攻撃した南軍旅団は壊滅ですよ。
どういうことですか?

この瞬間、攻防が逆転します。
以後、南軍は攻撃状態を維持することができず、恐慌状態に陥ります。
一方の北軍はサイコロの目に恵まれ始め、攻撃態勢を維持して行くことになるのです。
ゲティスバーグ前面に布陣した南軍は、北軍に接触することもできず、後方の援軍はただただ遊兵と化すのみ。

ですが、好事魔多し。
今度は北軍を悲劇が襲います。
ゲティスバーグ前面の平地に展開する南軍歩兵旅団に攻撃を仕掛けた北軍歩兵旅団が、今度は攻撃側混乱の上後退を出してしまいます。
これもサイコロの目が悪く、この北軍旅団は壊滅。
以後北軍は慎重に南軍と距離を保つことに終始しました。

結局そのまま双方にらみ合いの状態で最終ターンを迎え、南軍はセメタリーヒルに取り付くことはできませんでした。

なるほどこのゲームはサイコロの目の影響が大きいですねぇ。
一度恐慌状態になると、なかなか攻勢状態に持って行くのが大変です。
今日は練習ということでルールをお互いに確認しながらのプレイでしたが、今度は7月3日までのフルキャンペーンをやってみたいですね。

その後は「ドライブ トゥ ザ バルティック」を3ターンまでプレイ。
これも楽しいゲームなので、また次回お相手願いたいものですね。
札幌辺境伯様、お相手ありがとうございました。
それではまた。
  1. 2008/02/20(水) 22:07:07|
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豊家滅亡その17

慶長5年(1600年)10月15日。
大坂城において徳川家康により「関ヶ原の戦い」における論功行賞が行われました。
東北や九州ではいまだ関ヶ原の戦いの余震とも言うべき戦いが行われておりましたが、この論功行賞により五十六の大名が加増を受け、その加増を受けた大名のほとんどが豊臣系大名でした。

主な加増を受けた大名を列記しますと、池田輝政が15万石から姫路52万石へ、黒田長政が18万石から福岡52万石、加藤清正19万石は熊本54万石、福島正則20万石が広島49万石、細川忠興18万石が小倉39万石、小早川秀秋35万石が岡山51万石へと加増を受けています。
徳川勢として大幅な加増を受けたのは、松平忠吉10万石が清洲52万石、結城秀康(ゆうき ひでやす:結城家に養子に入った家康次男)10万石が福井67万石ぐらいであり、他はさしたる加増を受けておりません。

加増された分の領地の約八割が豊臣系大名であり、徳川秀忠が関ヶ原の戦場に間に合わなかったこともあって、戦場で活躍した豊臣系大名に豊臣家の名代として家康は厚い恩賞を与えなくてはならないのでした。

一方、改易及び減封された大名家も多数に上り、慶長7年(1602年)に減封された佐竹家まで含めると、約600万石が改易及び減封されたのです。

主なだけでも以下の通り。
石田三成19万石、小西行長20万石、宇喜多秀家57万石、大谷吉継5万石などが改易され、改易された大名家は八十八家、約400万石に及びました。

さらに毛利輝元が120万石から36万石、上杉景勝が同じく120万石から30万石へと減封され、他にも佐竹、秋田などから計200万石あまりが減らされます。

こうして論功行賞を終えた家康でしたが、先ほども述べたとおり、豊臣家の名代として豊臣系大名に手厚い恩賞を与えなくてはなりませんでした。
できることであれば豊臣家の勢力を削りたい家康にとっては、必ずしも望む結果ではありませんでしたが、それでも家康は豊臣系大名と豊臣家を分離するために、豊臣系大名を加増にかこつけて遠地へと遠ざけることに成功します。

そして、東海から美濃近江近傍を徳川家臣団に領有させ、江戸から京・大坂までの障害をなくしました。
豊臣家は知らず知らずのうちに裸にされつつありました。

次に家康は、大坂堺の商業港を配下の者に治めさせ、但馬の生野銀山も配下の者に任せます。
今まで豊臣家が抑えていた貿易と銀山収入を奪い取り、豊臣家を経済的にも圧迫するのです。
毛利家から奪い取った石見銀山と合わせ、徳川家の経済力は飛躍的にアップしたのでした。

慶長6年(1601年)9月。
「関ヶ原の戦い」から一年後、家康の次の一手が前田家に向けられます。
豊臣家の一大忠臣であり五大老の実力者であった前田利家死後、家康暗殺の嫌疑をかけられたりした前田家でしたが、なおその100万石の実力は侮れません。
家康はその前田家を取り込む策に出たのです。

前田家当主前田利長の弟であり、子の無い利長の養子として前田家次期当主となるはずの前田利光(まえだ としみつ:のちの前田家当主前田利常)に徳川秀忠の次女珠姫が嫁いだのです。
徳川家ににらまれていた前田家にとっても、この婚儀は渡りに船でした。
徳川家と姻戚関係になることで、前田家の将来の安定を手に入れることができるのです。
前田家は家中上げて珠姫を金沢に迎えました。
時に前田利光7歳、珠姫3歳でした。

以後も家康は豊臣系有力大名との婚姻を進めます。
同慶長6年に中村一氏の嫡男一忠に姪を養女にしたうえで嫁がせ、翌慶長7年には浅野長政の三男長重(あさの ながしげ)にやはり血縁の娘を養女にしたうえで嫁がせます。

そして、慶長8年(1603年)。
豊臣家にとっては、本来驚天動地の出来事であるはずのことが起こります。
徳川家康が、朝廷から征夷大将軍に任命されたのでした。

その18へ
  1. 2008/02/19(火) 19:13:57|
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02月19日のココロ日記(BlogPet)

ココロ、最近ちょっと運動不足でちょっぴりおしりが垂れ下がってきちゃった……
舞方雅人さんももしかして気づいてたりしますか……

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/02/19(火) 08:12:22|
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源文センセの世界

16日の土曜日のことになりますが、いつものように先輩とウォーゲームをいたしました。
お題は「ドライブ トゥ ザ バルティック」(死闘! 北方軍集団:コマンドマガジン日本版34号付録)です。

このゲーム、以前からユニットは切ってあったんですが、なんとなく取り付きづらそうなシステムに感じていたので、やらず嫌いで今まで手を付けないできたゲームなんです。
でも、コマンドマガジンの別冊で再販されるほどですし、評価も高いようですので、ちょっと見直してみようかなと思ったのが先々週あたり。

あらためてルールブックを見直すと、何でしょう・・・あれほど取り付きづらそうに感じていたルールが、なんかそうでもないなぁって思えるではないですか。

要は、各ターンにもらえるC3Iポイント(結局言ってしまえば弾薬や燃料など部隊運用に必要な物資や情報などを表したもの)を三回あるセグメントに振り分け、その振り分けられたC3Iポイントに基づいてサイコロを振ることで、そのセグメントにいくつのスタックが移動でき、何箇所で戦闘ができるか決まるというもの。
最高の3ポイントのC3Iポイントをつぎ込んで6ゾロを出したとしても17スタックしか動けず、1ポイントのC3Iポイントで1ゾロなんか出した日にゃ3スタックしか動けませんぜ。
サイコロ運も結構局面を左右しそうなゲームです。

さらに特徴的なのが、戦闘それぞれでチットを引いて戦闘状況が修正されること。
各ユニットには戦術値なるものがあって、それの多寡と相手の戦術値との兼ね合いで使えるチット数が決まります。
チットは基本的には使う使わないは自分で決められるんですが、中には引いたら使わなくてはならないものもあり、このチットによって戦闘も大いに左右されることになるのです。

結構面白そうだなぁと思ったので、先輩とプレイしてみました。
お互い初めてのゲームなので、いわば練習プレイです。

ゲームの背景は1944年に独軍中央軍集団に対して行われたソ連軍の一大攻勢「バグラチオン作戦」に呼応して、1944年7月にリガ周辺で行われた独軍北方軍集団へのソ連軍の攻勢とそれに対する独軍の反撃を表したもの。
いつもならば先輩がソ連軍を担当することが多いのですが、今回はソ連軍の攻勢からということで私がソ連軍を担当。
薄い上に一部に穴の開いた独軍戦線を食い破り、リガに向かって突撃です。

実際にプレイしてみると、このC3Iポイントはなかなかいい味出しますねぇ。
ソ連軍といえども動かせるスタックが限られるので、どこで重点を形成して攻めるかに悩みます。

最初にソ連軍右翼北方で行われた親衛赤軍歩兵師団5つを投入した(合計36戦力)独軍9戦力歩兵師団への攻撃は、まさに小林源文センセの漫画のごとき展開でした。
こちらのチットはこともあろうに「スナフ」という戦力半減チット。
36戦力が18戦力になっちゃいました。
他にはダミーと使っても意味が無いチットだけ。
最悪です。
対する独軍は「柔軟な戦闘」チットで損害をマイナス1できるほか、「急降下爆撃機の支援」チットもあってサイコロがマイナス4されます。

結局独軍はまったく損害無く、ソ連側にのみ損害が集中。
「畜生! 魔女のバァサンの呪いか?」と源文センセのマンガのソ連兵のごときセリフを吐かねばならない羽目になりました。

その後もソ連軍の攻撃は各所であまりいいチットにもサイコロの目にも恵まれず損害ばかりがかさみます。
イベントで独軍に反撃をされてしまうは、C3Iポイントを献上するはと散々でした。

各ターンは3回のセグメントがあるので、実質三倍のターン数があるようなものなので、この日は2ターンで時間切れ。
ソ連軍の進撃はどうもうまくいきませんでした。

でも、これは結構面白いですね。
評価が高いのもうなずけます。
チットの引きも手に汗握り、サイコロ振る手も震えます。
移動をどこで行い、どこで戦闘するかも悩みます。
またやりたいと感じさせられました。
次回再戦をお願いしよう。

それではまた。
  1. 2008/02/18(月) 21:19:07|
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小夜の死

100万ヒット記念SS第三弾は、一年以上間を空けてしまいました「帝都奇譚」の続きです。
本当に本当に本当にお待たせしてしまい申し訳ありません。
ほんのちょっとですが、これから再開しますので楽しんでいただければと思います。

これまで掲載した部分についても、随時こちらのブログに移転させますので、読み返していただけるようにいたします。

それと、「魔法機動ジャスリオン2ndプロローグ・魔女生誕」に多くのコメントならびに拍手をいただきありがとうございました。
皆様にすごく支持していただけたんだなぁと、すごく感激しております。
これからも自分が楽しめ、皆様に楽しんでもらえるようなストーリーを書いていきたいと思います。
あらためまして、100万ヒット到達皆様本当にありがとうございました。

それではどうぞ。

21、
「う・・・あ・・・」
摩耶子はふと目を覚ます。
いつの間にか机に突っ伏して、うたた寝をしてしまっていたらしい。
時計を見ると午前三時、すでに深夜をかなり回ってしまっている。
「いけない、眠り込んでしまったのだわ・・・」
きちんと寝る支度をしようと思い顔を上げる摩耶子。
その口元からつと雫がたれる。
「あ、よだれ? はしたないわ」
思わず口元を手でぬぐう。
するとその手が赤茶色に染まった。
「えっ? これは・・・血?」
手の甲についたのは血と思わしきもの。
赤茶けて乾きかけている。
「寝ているときに口の中でも切ったかしら・・・」
摩耶子は机の脇の化粧台の中から手鏡を取り出して映してみる。
しかし、口の周りはおろか、口の中も切った様子は無い。
「どうしたのかしら・・・」
摩耶子は首をかしげた。

「今夜は来ない・・・か・・・」
鷹司家の一室で、感覚を研ぎ澄まし外部からの気配を探っている月子。
三倉との戦いを宮内省の退魔部門に報告していたために戻るのが遅くなってしまったのだが、幸いなことにヴォルコフの動きはなさそうだ。
「ふう・・・」
肩の力を抜き、首筋を少し揉む。
昼はヴォルコフの捜査、夜は鷹司家のお嬢様の護衛。
休む暇などありはしない。
「人使いがあらいんだから・・・」
苦笑する月子。
破妖家の一人として類稀なる力を持つがゆえに駆り出されるのだ。
「これも仕方なし・・・か・・・」
とりあえずは仮眠をとることにしよう。
そう決めて月子は布団を用意する。
ヴォルコフのようなものが現れれば、気配は尋常ではない。
眠っていても気が付かないはずは無いだろう。
「おやすみなさい」
灯りを消して眠りに就く月子。
一日が終わった。

「おはようございます」
「おはようございます」
いつものように白鳳女学院の朝が来る。
校門を次々とくぐっていくセーラー服の少女たち。
その中にいつものように摩耶子もいた。
今朝はとても気分がいい。
朝食はあまり食べる気がしなかったけど、お腹もすいていないし元気が湧いてくる気がする。
「おはようございます」
そう言って下駄箱で靴を履き替えようとした摩耶子は、玄関の片隅の異様な雰囲気に気が付いた。

「姉川さん?」
摩耶子は思わず声をかける。
玄関の片隅では姉川久がうつむいてすすり泣いていたのだ。
「何があったのですか?」
「鷹司さん・・・」
顔を上げる久。
大粒の涙が浮かんでいる。
「姉川さん・・・」
「鷹司さん・・・真木野さんが・・・真木野さんが・・・」
久がまたうつむいてしまう。
「真木野さん? 昨日お昼をご一緒した小夜さんですわね? 彼女がどうかしたのですか?」
摩耶子は昨日一緒だった後輩の顔を思い浮かべる。
栗色の髪をしたかわいらしい少女だったが、彼女がいったいどうしたというのだろう。
「今朝・・・亡くなられたと・・・」
「えっ? 亡くなられた?」
摩耶子は驚いた。
「昨日は・・・昨日はあんなに元気だったではありませんか? 何か悪い冗談ではないのですか?」
「私も最初はそう思いました。でも、先ほど真木野さんのお身内の方が学校へ見えられて・・・今朝・・・今朝・・・ああっ」
ひざから崩れ落ちる久。
無理もない。
茶道部の後輩として久は小夜を本当に可愛がっていたのだ。
「まさか・・・」
摩耶子も言葉を失った。

『摩耶子様・・・』
摩耶子の脳裏に小夜の柔らかそうな唇が浮かんでくる。
ドクン・・・
その瞬間、摩耶子の心臓が跳ね上がった。
「小夜さん・・・」
そうだった・・・
摩耶子は昨日の昼、小夜と給湯室で口付けを交わしていたのだ。
なぜそんなことをしたのかわからない。
でも、それは紛れも無い事実。
それに・・・
摩耶子の脳裏で微笑んでいる小夜。
うっとりと呆けたように摩耶子を見つめている。
電灯の灯りに照らされた小夜の栗色の髪が美しい。
電灯の灯り?
電灯の?
えっ?
私が小夜さんと会っていたのは昼間のはず・・・
いいえ、でもこの光景は夜・・・
私は・・・
私はその後で彼女に会っている?
夜に彼女に会っている?
摩耶子は何か意識がぼんやりとしてくるのを感じていた。
「鷹司さん!」
「摩耶子さん!」
あ・・・
躰が倒れて行くのがわかる。
そして桜が彼女を呼んでいることも・・・
  1. 2008/02/17(日) 20:47:39|
  2. 帝都奇譚
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プロローグ・魔女生誕(3)

魔法機動ジャスリオン2ndシーズン先行販売DVD、「プロローグ・魔女生誕」の三回目、これが最終回となります。
できましたらお読みになった感想をコメントでも拍手でもいいからお寄せくださいませ。
コメントや拍手はすごく励みになるんです。
よろしくお願いいたします。

それではお楽しみいただければと思います。


『吹雪摩子。そなたはそのような生命体にしては頭がよい。知識の活用の仕方も心得ていると見える。わが娘の中核、プロセッサとして生まれ変わるがよい』
その言葉と同時に摩子の躰が黄色い眼に引き寄せられる。
「えっ? ええっ?」
驚いてあわてて引き寄せられまいと必死にもがく摩子。
「ま、摩子! このやろう、摩子を放せっ!」
「摩子ちゃん!」
寿美は必死に手を伸ばして摩子の腕を掴み取ろうとした。
だが、先ほどですら届かなかった摩子の腕が届くはずも無い。
「い、いやっ! いやぁぁぁぁぁぁっ!」
悲鳴を上げてもがく摩子だったが、抵抗もむなしく黄色の眼の正面に位置する場所に移される。
そして・・・
黄色の眼が瞬きをすると、摩子のポケットに納まっていた携帯電話がするりと摩子の前に浮かび上がった。
『ふふふふ・・・この携帯電話とやらは非常に便利なものですね。妾の力を存分に受け止めてくれる』
「け、携帯電話が・・・」
恐怖におののきながら、自分の携帯電話を見つめてしまう摩子。
今まで日常の道具であった携帯電話が、今は恐怖の象徴のようにすら思えている。
『ふふふふ・・・そなたの携帯電話はもはやわがアクマシンの闇機械へと変貌しました。そして、そなたも妾の力を受け取るのです』
「い、いやぁっ!」
「摩子!」
「摩子ちゃん!」
寿美と珠恵の見ている前で宙に浮いた摩子の携帯電話が怪しく光り始める。
決してまぶしいものではなく、ぼうっと赤く輝いているのだ。
そして黄色の眼が再び瞬くと、摩子の着ていた制服や下着類がずたずたになってはじけ飛ぶ。
「ひぃっ!」
もはや摩子は恐怖で真っ青になっていた。
「やめてぇ! お願いだからやめてぇ!」
「チックショウ! やめてくれよぉ!」
寿美も珠恵もなすすべがない。
ただ親友が裸にされてしまうのを眺めているだけだ。
「いやっ、いやぁっ」
首を振っていやいやをする摩子。
躰が固定されてしまっているのか、裸を隠そうともせずに大の字に手足を広げている。
その適度な大きさの形のよい胸も、うっすらと陰毛に覆われた大事なところも黄色の眼にさらけ出されているのだ。
おそらく恐怖と恥ずかしさで気も狂わんばかりかもしれなかった。

やがて赤くぼうっと輝いていた携帯電話がすうっと摩子の胸の辺りに近づいていく。
そしてこの場にはまったくふさわしくない軽妙なドラマ主題歌の着メロが流れ、本体そのものがぶるぶるとバイブレーションし始める。
「電話が・・・鳴ってる」
もしかしたら誰かがこの状況を知ってかけてきてくれたのかも・・・
そんな寿美の思いは一瞬にして打ち砕かれた。
どうしてだか知らないが、寿美にはその着信があの黄色い眼、マザーからの着信に他ならないことに気が付いたからだ。
そして、ぶるぶると震え着メロを流している携帯電話は、そのまま裸の摩子の胸にすっと張り付いていく。
「ひいっ」
摩子の悲鳴が上がり、まるで二人に見せ付けるかのように摩子の躰が回転して正面が寿美たちに向いた。

「摩子!」
「摩子ちゃん!」
珠恵は先ほどから必死に走っていた。
足を動かして走っているのだ。
だが、位置が変わらない。
どんなことをしても摩子との距離は決して縮まらない。
だがそれでも珠恵は走り続けた。
涙を流しながら走り続けた。

摩子に張り付いた携帯電話はやがてずぶずぶと摩子の胸にめり込み始める。
二つの形よいふくらみの間に挟まるような形でめり込んでいくのだ。
「あ・・・あああ・・・」
自分の躰に携帯電話が入っていく恐怖。
摩子は知らずのうちに失禁してしまっていた。

めり込んでいく携帯電話はやがて完全に摩子の躰に飲み込まれてしまう。
「あああ・・・あああ・・・」
恐怖のあまり口を開けて呆けてしまっている摩子。
次の瞬間、摩子の胸から全身に黒い色が爆発的に広がっていく。
「えっ?」
「きゃぁー!」
珠恵と寿美の見ている前で摩子の躰は見る見る漆黒に染まっていく。
首から上を除く全身がまるで漆黒の全身タイツでも着たかのように真っ黒く染まるのだ。
ほんの数秒とも言う時間で、摩子の躰は完全に黒く染まってしまった。

だが、変化はそれだけにとどまらなかった。
全身を覆い尽くした漆黒の全身タイツに、まるで機械の回路図のような赤いラインが走り始めたのだ。
それは摩子の胸を中心に広がっていき、全身を一つの回路として組み込むかのように網の目のように張り巡らされる。
両手も指先まで漆黒に包まれ、手の甲に回路が刻まれる。
足の先は指が無くなってかかとが伸び、ハイヒールのような形を形成した上で回路が張り巡らされ、赤と黒の見事なコントラストを見せていた。
そして最後に摩子の可愛い顔はそのままに額に黄色の一つ眼が現れ、パチッと見開いた。

「摩子・・・」
「摩子ちゃん・・・」
珠恵も寿美もただ変わってしまった摩子を見つめていた。
回路図を描かれた黒い全身タイツを着ただけとも思える摩子はそのボディラインを余すところ無くさらけ出している。
いつしか眼をつぶってしまっていた摩子だったが、額の黄色い眼が代わりに二人を見つめていた。
やがてうっすらと眼を開ける摩子。
その眼にはぞっとするような冷たい光が満ちていることに珠恵も寿美も気が付いた。

「ふふ・・・うふふふふ・・・あははははは」
摩子が笑い始める。
それは狂気の笑いでも自己の状況を嘆くような笑いでもない。
心の底からの楽しそうな笑い。
新たに生まれ変わったことを心底喜んでいる笑いだ。
「なんてすばらしいの。最高だわぁ。私はもう不完全な生命体じゃない。マザーのお力によって生まれ変わったアクマシン軍団の一員。知の魔女プロセッサよ」
摩子は高らかにそう言い放つと、振り返って黄色い眼に向かいひざまずく。
「マザー。私にこのようなすばらしい躰を与えてくださりありがとうございます。今日からは知の魔女プロセッサとしてマザーに永遠の忠誠をお誓いいたします」
「摩子・・・」
「摩子ちゃん・・・」
親友の変わりぶりに言葉を失う二人。
その二人に振り返った摩子は冷たい笑みを浮かべてこう言った。
「うふふふ・・・次はあなたたちよ。二人ともマザーのお力で生まれ変わるのよ」

                          ******

絶望が寿美の心にのしかかる。
黄色い眼によって摩子だけではなく珠恵も変えられてしまった。
先ほどまで必死に抵抗していた珠恵は、摩子と同じような漆黒の全身タイツに回路図を張り巡らした全身タイツ状の皮膚を持つ動の魔女ドライブとなってしまっていた。
違うところといえば、知の魔女プロセッサの回路が赤いのに対して、動の魔女ドライブは青い回路図ということ。
二人は額に黄色い一つ眼を輝かせ、邪悪な笑みを浮かべて寿美が変えられてしまうのを待っている。
記の魔女メモリとしてマザーのしもべとなるのを望んでいるのだ。
いやだ・・・
いやだいやだいやだ・・・
そんなのはいやだぁ・・・
夢なら・・・夢なら早く覚めて・・・
寿美の躰が引き寄せられる。
黄色い眼の正面に磔にされるように両手両足を広げられ、制服も下着もすべて剥ぎ取られてしまう。
先ほどまで恐怖におびえていた友人たちはもはやその光景を楽しむかのように笑っている。
神様・・・
今まで悪いところがあったのなら直します。
だから・・・だから助けて・・・

『睦月寿美。そなたには礼を言います。そなたのおかげでこうしてプロセッサとドライブを手に入れることができたのですからね』
「私のおかげ?」
『そう。そなたの携帯電話のデータからこの二人を割り出すことができました。そして・・・妾に力をもたらす存在、魔法機動ジャスリオンが雷純玲という少女であることも』
「えっ?」
寿美は驚いた。
昨年流行った噂というよりも都市伝説に近いもの。
“魔法機動ジャスリオン”
パワードスーツに身を固めた少女が悪の存在を打ち倒していく。
特撮かアニメの世界の話が、にわかに現実味を帯びて語られた都市伝説魔法機動ジャスリオン。
それが雷先輩だというの?
「うそ・・・」
『ふふふ・・・そなたは雷純玲が好きなのですね?』
好・・・き?
私は雷先輩を・・・好き?
そうか・・・
私は・・・
雷先輩が好きだったんだ・・・
『かわいそうに・・・』
「えっ?」
寿美が顔を上げる。
どうして私がかわいそうなの?
『雷純玲をあなたは好き。ですが雷純玲はあなたのことなどなんとも思ってはいない』
あ・・・
ドクン・・・
寿美の心臓が跳ね上がる。
無意識に避けてきたその言葉。
遠くから見つめていられればよしと言い聞かせてきた自分が今までごまかしてきた言葉。
『そして・・・雷純玲には巻雲綾という存在がいる』
やめて・・・
その名前は出さないで・・・
寿美は首を振る。
わかっている。
雷先輩と巻雲先輩が仲がいいのはわかっているよ・・・
だから・・・
だから憧れだけでよかった。
好きだという自分の気持ちになど気が付きたくは無かった。
『苦しいでしょう? 悲しいでしょう? それは不完全な生命体だからなのよ』
「不完全?」
『そうです。人間を含め機械との融合を果たしていない生命体はすべて不完全。そのような不完全な生命体を救い支配して導くのが妾の役目』
「支配して導くのが・・・役目?」
黄色い目が瞬きをする。
『さあ・・・苦しみから解放してあげましょう。生まれ変わるのです。記の魔女メモリに』
寿美の前に浮かんだ携帯電話の着メロが鳴り響く。
そして寿美は胸に衝撃を受けて意識が遠くなった。

                        ******

何も無い虚無。
身を守るすべは何も無い。
凍てつくような闇にただ一人で放り出されている。
怖い・・・
怖い怖い・・・
助けて・・・
誰か助けて・・・
雷先輩・・・
雷先輩助けて・・・
怖いよぅ・・・
助けてぇ・・・
寿美は必死に呼びかける。
いつかと同じように・・・
柄の悪い男子学生に絡まれた時のように・・・
またあの時と同じように助けて欲しかった。
雷純玲に助けて欲しかった。

だが・・・
寿美にはわかってしまっていた。
ここは虚無の空間。
たとえ雷純玲でも来ることはできない。
ここへ来るには完全な生命体でなくてはならない。
雷純玲のような不完全な生命体ではここへ来ることはできないのだ。
そう・・・
寿美を助けてくれる者は誰もいない。
寿美は悲しくなって、ひざを抱えて丸くなってしまった。

『寿美』
えっ?
『寿美』
誰?
誰なの?
闇の中に二つの黄色い眼が現れる。
それは優しい母の眼。
闇の中から寿美を救ってくれるものの眼だった。
あ・・・
寿美は顔を上げてその眼を見つめる。
胸の中に温かいものが湧き、力が満ちてくる。
『恐れることはありません。そなたは完全な生命体になるのです』
完全な生命体?
そうだ・・・
完全な生命体になればいいんだ・・・
そうすればこんな闇なんか怖くない。
いや、むしろ闇を従えることだってできるんだ。
完全な生命体になれば・・・
『寿美・・・いえ、わが娘メモリよ。受け入れるのです』
はい、マザー。
寿美は立ち上がってそう答えていた。
次の瞬間、寿美は全身に力がみなぎってくるのを感じていた。

                       ******

ゆっくりと眼を開ける寿美。
いや、今の彼女はもはや寿美などという名前ではない。
闇軍団アクマシンの一員、記の魔女メモリだ。
彼女の全身は漆黒の全身タイツ状に変化しており、黄色の回路図がびっしりと張り巡らされている。
今までの脆弱な肉体とはまったく違う研ぎ澄まされた肉体だ。
完全な生命体となった自分。
メモリはそれがとてもうれしかった。

ゆっくりとマザーに対してひざまずくメモリ。
「マザー、このようなすばらしいアクマシン軍団の一員に加えていただきありがとうございます。私は記の魔女メモリ。マザーに永遠の忠誠を誓います」
「ふふふ・・・これでそろったな」
「ええ。これからは私たちがマザーのお手伝いをして地上支配をしなくては。ドライブもメモリもよろしくね」
メモリの背後にやってくるドライブとプロセッサ。
赤と青、それに黄色の回路図に光が走る。
「うふふふふ・・・もちろんよ。まずはマザーの望まれる“マジカルクロノブック”を手に入れなきゃね」
メモリがすっと立ち上がる。
マジカルクロノブックは魔法機動ジャスリオンの手の内にある魔道書だ。
それを手に入れればマザーのお力はより強大になるだろう。
それはメモリにとっても喜ばしいこと。
そのためには魔法機動ジャスリオンである雷純玲の動きを封じる必要がある。
「うふふふ・・・そういえばメモリは雷純玲のことが好きなんだったわね」
「そうなのか、メモリ?」
プロセッサが含み笑いを浮かべ、ドライブが驚きの表情を見せる。
「うふふ・・・ええ、そうよ」
メモリははっきりと言い放った。
以前の脆弱な人間だったとき、メモリは雷純玲の強さと凛々しさにあこがれていた。
だが、その雷純玲はマジカルクロノブックで魔法機動ジャスリオンという戦士に変身する。
それはあまりにも歪んだ存在だ。
今のメモリには魔道書の力を借りて肉体を強化する人間などいびつでおぞましく感じる。
不完全な生命体ゆえにそのようなことをしているのだろう。
ジャスリオンを倒しマジカルクロノブックを奪い取って雷純玲を救ってやらなくてはならない。
マザーのお力で彼女も完全な生命体へと変えてもらうのだ。
「雷純玲はジャスリオンなどといういびつな存在にされてしまっているわ。マジカルクロノブックを奪い取って完全なる生命体へと生まれ変わらせてあげないとね」
メモリの言葉にプロセッサもドライブもうなずいた。
『オホホホホホ・・・頼もしい娘たち。いいですか、三人が力をあわせてマジカルクロノブックを奪ってくるのです。決して侮ってはいけません。愚か者とは言えあのデスマダーを封じた相手であることを忘れないように』
マザーの重々しい声に三人はいっせいにひざまずく。
「どうかお任せくださいませ」
「私たちにかかればジャスリオンなど」
「必ずやマジカルクロノブックは私たちが」
深々と一礼し、三人は生まれ変わった喜びを胸にしてマジカルクロノブックの奪取を誓うのだった。

END
  1. 2008/02/16(土) 19:49:49|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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プロローグ・魔女生誕(2)

魔法機動ジャスリオン2ndシーズン先行販売DVD、「プロローグ・魔女生誕」の二回目です。
楽しんでいただければ幸いです。


「それじゃさようならー」
「気をつけてお帰りになってくださいね」
「また明日ね~」
何事も無く迎えた放課後。
陸上部の珠恵をいつも待っているために帰りは少し遅くなる。
その間、摩子と寿美は図書館で時間をつぶすのだ。
もっとも読む本は大いに違う。
意外と化学系の本をたしなむ摩子に対し、寿美は普通の小説やライトノベルを読むことが多かった。
待たなくていいと言う珠恵だったが、摩子も寿美もなんとなく待ってしまう。
どうせ早く帰ってもすることもないし、手伝いを言いつけられるのが関の山。
それなら好きな小説を静かに読んでいるのも悪くない。
寿美はそう思っているし、そういう時間が好きだった。
それに珠恵が戻れば三人でおしゃべりの時間になる。
ファーストフードのお店に寄って、軽く食事をしながらのおしゃべりはこの上なく楽しい。
このなんでもない日常が寿美はとても好きだった。
そして、いつもの交差点でそれぞれが帰路に就いたのだった。

突然寿美のポケットの中で携帯電話が振動する。
振動パターンを変えてあるので、メールではなく電話の着信だ。
寿美は急いで携帯電話を取り出して開いてみる。
「えっ?」
摩子か珠恵だろうと思っていた期待は見事に裏切られた。

着信:マザー

「だ、誰?」
寿美の手が震える。
通話ボタンに伸ばしかけていた指が止まる。
マザーなんて知らない。
そんな人知らない。
だが、振動は続いている。
やむ気配は無い。
寿美は昼間の得体の知れない恐怖を思い出した。
思わず携帯電話を投げ出したくなる。
だが・・・
手が動かなかった。

「えっ?」
見ると携帯電話のボディに機械の回路図のようなものが浮かび上がっている。
その回路図のようなものが携帯電話のボディから広がって、寿美の手に絡み付いてくるのだ。
「いやぁっ!」
寿美は辺りもかまわずに叫び声を上げる。
いく人かの通りがかりの人が彼女の方を見るが、やがて何事も無かったかのように通り過ぎていく。
「な、なんなのぉ」
寿美は周りの様子を気にする余裕など無かった。
必死で手を振って携帯電話を放り投げようとするが、彼女の右手はいうことを聞いてくれない。
ゆっくりと通話ボタンに伸びていく寿美の指。
「いやぁっ!」
通話ボタンが押され、携帯電話の振動が止まる。
画面が通話中の表示に変わり、そしてその表示画面が真っ黒になっていく。
そして、その漆黒の画面の中に黄色い眼が現れたとき、それを見た寿美の眼から意思の光が失われた。

ゆっくりと携帯電話を耳に当てる寿美。
彼女の眼はまっすぐ正面を見据えてはいたが、何も映し出してはいない。
「はい・・・かしこまりましたマザー」
寿美の唇がゆっくりと言葉をつむぎだし、携帯電話がパタンと閉じられる。
寿美はそのまま何事も無かったかのように家路を歩き始めるのだった。

                          ******

「あれ?」
寿美はふとわれに返る。
気が付くともう夜の九時。
「あれれ?」
ベッドに座ってぼんやりしていたらしい。
布団の上には携帯電話が置かれている。
メールチェックでもしているうちにうつらうつらしちゃったかな?
よくわからないけどそういうことなのかもしれない。
見るとメールを発信した跡がある。
摩子ちゃんと珠恵ちゃんにだ。
何を送ったっけ?
送った内容を確認しようと思ったところに母親の声が聞こえてくる。
『寿美ー、お風呂入っちゃいなさいよ』
「あ、ハーイ」
寿美はとりあえずお風呂を優先して入ることにした。
メールに関してはいずれ摩子や珠恵から返事が来るだろう。
多分明日のこととか他愛もないことを送ったから記憶に残っていないんだ。
寿美はそう結論付け、お風呂に入るために自室を後にした。

「ふう・・・いいお風呂だったよぅ」
新しいパジャマに着替えて自室に戻ってくる寿美。
短めの髪は乾かすのに手間がかからなくていい。
摩子ちゃんはきっと大変なんだろうなぁと思う。
つやつやの髪を手入れするのは大仕事だ。
でも、摩子ちゃんはお嬢様だから、もしかしてそういうのを手伝ってくれる人がいたりするのかも。
そんなことを考えてポフッとベッドに腰を下ろす。
その手が携帯電話に触れ、寿美は携帯電話に眼をやった。
そうだ・・・お声を聞かなくちゃ・・・
寿美はなぜかそんなことを思う。
なぜそんなことを思ったのかわからないが、声を聞かなくてはならない。
寿美はおもむろに携帯電話を手にとって開くと、ゆっくりと耳に当てる。
寿美の眼がすぐにとろんとうつろになり、まるで子守唄でも聞いているかのような心地よさを感じているようだった。
「はい・・・マザー。おやすみなさいませ」
パタンと携帯電話を閉じると寿美は布団にもぐりこむ。
そして携帯電話を握り締めたまま眠るのだった。

                            ******
「おはよう」
「おはようございます」
「おはよう」
いつもと変わらぬはずの登校時の出会い。
いつもと変わらぬはずの挨拶。
だが、何かが微妙に違っていた。
寿美も摩子も珠恵もどこかうつろな眼をしている。
そして三人とも一様に携帯電話を握り締めていた。

「あら?」
いつものように玄関付近で純玲の到着を待っている巻雲綾。
その眼がなんとなくふらふらと校門を通り過ぎていく三人の女子生徒に注がれる。
学校に入ってこないでどこに行くのかしら・・・
不思議に思ったが、知り合いでもないし声をかけるには遠すぎる。
どこかに寄ってからまた学校へ来るのかもしれない。
何せ朝礼まではまだ時間がある。
純玲ちゃんがその時間内に来てくれればいいのだけど・・・
くすっと笑みを漏らす綾。
今日はたぶんぎりぎりだろう。
何せ夕べは純玲の好きな深夜アニメの日。
間に合ってくれるといいのだけれど・・・
綾は息を切らせて走ってくるであろう純玲に思いを馳せていた。
先ほどの三人のことなど、綾にはもう思い出すことなどできなかったのだ。

                       ******

ふらふらと何かに導かれるかのように歩みを進めていく三人の少女たち。
いつしか彼女たちは無言でただ歩いていた。
学校を通り過ぎ、駅とも反対方向に歩いていく。
途中、いく人かの通りがかりの人々がいぶかしげにはしたものの、声などかけるはずも無い。
やがて三人は無言で人通りの少ない裏路地に入っていった。

寂れたビルディングの地下の廊下。
誰も周囲に人はいない。
廊下の左右には鍵のかかった部屋がある。
以前はアルコールを中心とした飲食店が数件入っていた地下店舗だが、今はいずれも空き店舗だ。
その廊下の突き当たりに三人は立っていた。
三人の少女たちは、無言で携帯電話を突き当たりの壁にかざす。
すると、彼女たちの持っていた携帯電話からまたしても機械の回路状のものが広がり、壁に向かって伸びていく。
回路状の筋は壁に到達するとそこで広がり始め、やがて漆黒の円形の回路図として形を形成する。
やがて、彼女たち三人は無言でその円形の回路図に向かって歩いていき、その躰がどうしたことか回路図の中に消えていった。
コンクリートの壁しかなかった地下の通路の突き当たり。
黒い回路図が消えた後には少女たち三人の姿はまったく消えうせていた。

                       ******

「ん・・・んあ・・・あれ?」
「ううーん・・・こ、ここは?」
漆黒の闇の中、少女たちがゆっくりと目を覚ます。
ふわふわして足元がおぼつかない。
何か宙に浮いているような感じがする。
「こ、ここはどこ?」
「わ、私たちは一体どこにいるの?」
「な、何なんですかここは?」
いきなりの事態に頭がパニックになる。
周りはまったく何も見えないし、手がかりも無ければ立つための床も無い。
ともすれば叫びだしたくなりそうな思いを寿美は必死に押さえつける。
「摩子ちゃん、珠恵ちゃん」
「寿美、摩子、ここは一体?」
きょろきょろと左右を見渡す珠恵にも、この状況は理解できないようだった。
「寿美さん、珠恵さん、とにかく落ち着きましょう。とりあえず三人とも無事なようですね」
摩子の言葉は二人に向けられたものであったが、彼女自身にも向けられている。
こんな上下左右の無い空間に突然放り出されれば、誰だってパニックになってしまうだろう。
それでも三人いるという心強さが、彼女たちを多少救っているのも確かであった。
寿美と珠恵は摩子の言葉にこくんとうなずくと、何とか三人の距離を縮めようと動いてみる。
だが、何か濃密な液体の中にでも漬けられているような感じがして、三人の距離は付かず離れずのままだった。
泳ぐようなマネまでして見せる珠恵だったが、それでもさっぱり近づかない。
会話もできるし、そう離れているわけではないのだが、お互いの手同士が微妙に届かないというもどかしい距離。
三角形の頂点のそれぞれで互いに手を伸ばしている光景は、普通街中でやっていればおかしな光景だったろう。
「無理だね」
「そのようですわ」
珠恵も摩子もため息をついて肩を落とす。
寿美も二人と触れ合えないことでまたしても恐怖感が募ってくるのを押さえ切れなかった。

『ふふふふふ・・・』
突然闇の中に不気味な笑い声が響いてくる。
一瞬顔を見合わせた三人は、その声が互いに発したものではないとわかり、周囲に眼を凝らした。
「誰? 誰なの?」
「誰なんですか? どこにいるんですか?」
寿美は恐怖に震えて声も出せないというのに、珠恵も摩子も不気味な笑い声に呼びかけている。
二人がいてくれて本当によかったと寿美は思った。

『ようこそ、可愛い娘たちよ』
闇の中から再び声がする。
そして、闇の中に巨大な黄色い切れ長の眼が二つ浮かび上がった。
「ひっ」
「きゃぁー」
寿美は思わず悲鳴を上げてしまう。
それは・・・その眼は紛れもなくあの携帯電話の液晶画面に映し出された眼に違いなかったからだ。
「あなたは一体誰なんですか? ここは一体どこなんですか? 私たちをどうするつもりなんですか!」
語尾を強くしてその眼に摩子が問いかける。
それは彼女たち三人の共通した思いだ。
こんなわけのわからない空間にはいたくない。
そもそもこれは現実なのかどうかもわからない。
『妾はマザー。ボードマザー。この暗黒の世を統べる闇機械軍団アクマシンの母』
「ボード・・・マザー?」
珠恵が思わず漏らした言葉に、それを肯定するかのように黄色の目が瞬きをした。
『妾はボードマザー。そして・・・そなたたちはこれよりそのような不完全な生命体であることを捨て、妾の可愛い娘として生まれ変わるのです』
「えっ?」
「生まれ変わる?」
互いの顔を見合わせる三人。
生まれ変わるとはどういうことなのだろう・・・
  1. 2008/02/15(金) 19:28:41|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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プロローグ・魔女生誕(1)

100万ヒット記念SS、本日もう一つは先日予告しましたとおり、「魔法機動ジャスリオン」2ndシーズンの先行販売DVDとなったストーリー、「プロローグ・魔女生誕」です。

今日明日明後日と三日連続で投下しますので、どうか楽しんでいただければと思います。
皆様、あらためまして100万ヒットありがとうございました。


「魔法機動ジャスリオン2ndシーズンプロローグ・魔女生誕」

いずことも知れぬ闇の中。
その一点にぼんやりとした明かりが現れる。
その数二つ。
薄く黄色く輝くその明かりは、周囲を照らすものではなく、まるで誰かが開けた眼のように切れ長で、闇の中に二つ淡く浮いていた。
『うふ・・・うふふふふ・・・』
どこからか笑い声が漏れてくる。
その笑いが闇の中からのものであることに気が付くのはたやすいこと。
まるで闇そのものが眼を開き、笑みを浮かべているかのようだった。
『おろかですねデスマダー・・・おのれの一部でありながら、それによっておのれを封じられてしまうとは・・・』
闇に篭る声が響く。
それは艶のある女の声。
何者かはわからぬものの、この声の持ち主は女性であるかのようだった。
『まあよい・・・おかげで妾(わらわ)はこうして目覚めることができました。礼を言わねばなりませんね・・・オホホホホホ・・・』
甲高い女の笑い声が周囲を圧する。
闇が震えたように感じたのはその笑いのせいだったかもしれなかった。

                         ******

「おはよー」
「おはよー」
いつもの朝が今日もやってくる。
学生カバンを手にした睦月寿美(むつき かずみ)もいつものように学校へと向かっているところだった。
川霧女学園の校門付近には、今日も女子生徒たちが登校してくる。
また新たなる一日がスタートするのだ。
春の温かい日差しと、ちょっぴり冷たい空気を胸に含んで、寿美は気持ちよい朝を迎えていたのだった。

「おはよう寿美」
「おはようございます、寿美さん」
背後から声をかけられて寿美は振り返る。
そこには温かな笑顔を浮かべた二人の女子高生が立っていた。
「おはよう、珠恵ちゃん、摩子ちゃん」
寿美はにこやかに二人の級友に挨拶を返す。
昨年一緒になったクラスメートだが、三人はとても馬が合うらしく、まるで生まれたときから親友であることを定められたかのようなつながりを感じることもある。

ちょっと背の高い涼風珠恵(すずかぜ たまえ)は運動神経抜群で、体育はいつも上位の成績を誇るが、反面学業がおろそかになりがちで、試験前には二人に勉強を教えてもらうこともしばしば。
長い黒髪をなびかせる吹雪摩子(ふぶき まこ)は正真正銘のお嬢様で、いつも丁寧な物腰を崩さない。
勉強も得意で試験では常に学年上位を保っていた。

そんな二人に囲まれる寿美にはこれと言ってとりえがない。
しいて言えば家事が得意ということになるのだが、そんなのは母の手伝いをしていれば自然とできてしまうものであると寿美は思う。
だから、体育では珠恵に教わり、勉強では摩子に教わりという形になってなんとなく肩身が狭いのだが、そのことを二人に言うと、二人はそろって驚いたような顔をしてこう言うのだ。
「「知ってる? 私たちはすごく寿美に助けられているんだよ。寿美がいるから私たちは私たちでいられるんだよ」」と。
それがどういうことを意味しているのか寿美にはいまいち飲み込めないことであったが、時々寿美が手作りのお菓子を作って持って行くと二人ともすごく喜んでくれるので、それで恩返しになっているのかなと勝手に思うことにしていた。

「英語の宿題やってきましたか?」
カバンを両手で持って歩く姿はまさにお嬢様という感じの摩子が言う。
「う~~~、やろうとは・・・やろうとはしたんだよ。でも・・・でもワィーが、ワィーが私を呼んでいたのさ」
こぶしを握り呼ばれたことを力説する珠恵。
ワィーというのはゲーム機だ。
要はゲームで遊んでしまったということなのだが。
「私も・・・やってはみたんだけど、半分ぐらいしかできなかった」
寿美も肩をすくめる。
英語は苦手だ。
どうして外国の言葉など学ばなくてはいけないのか?
どうせなら英語圏の国に生まれていれば英語に苦労しなくてもいいのに・・・
「摩子~~~。三時間目までによろしく」
珠恵が頭を下げる。
「くすっ、そんなことしなくてもいいですわ。みんなで一緒に休み時間にやりましょう」
「おおー、ありがとう摩子様。あなたは女神様のような人だ」
「あははは、大げさだよ珠恵ちゃん」
三人はいつものように笑いあい、楽しく校門をくぐるのだった。

「う~~~、遅刻遅刻ぅ」
校門に駆け込んでくる活発そうな女子生徒。
玄関のところでは、にこやかに微笑みながら彼女を待つもう一人の生徒が手を振っている。
「えっ、遅刻?」
珠恵が思わず腕時計を見た。
時刻はまだ八時半。
朝礼までにはまだ十分もある。
「あれは三年生の雷(いかづち)先輩ですわね。どうも口癖になっちゃっているのではないでしょうか」
「うんうん。私もそう思う。いっつも走るときに遅刻遅刻ぅって言っているもん」
寿美は先ほどから先輩の姿を眼で追っていた。
昨年、ふとしたことで知り合ってから、雷先輩は寿美の気になる人になっていたのだ。
親友の巻雲先輩や山咲先輩といつも楽しそうに過ごしている雷先輩。
雷なんていういかめしい苗字とは裏腹に、純玲(すみれ)という素敵な名前であることを寿美は知っている。
珠恵や摩子に感じるのとは違う思い。
それが憧れだけなのかどうかは寿美にもわからないが、玄関に入って行く純玲を寿美の眼は最後まで追っていた。

                           ******

「ふう・・・」
お腹すいたなぁ・・・
そう寿美は思う。
時刻は十二時少し前。
四時間目も半ば近くなったころだ。
ふと窓に眼をやると、下に広がるグラウンドでは体育の授業が行われているところだった。
どうやら走り幅跳びの時間らしい。
白い体操着に紺のスパッツ姿の女子生徒たちが次々とジャンプを繰り広げている。

窓際の席であることをいいことに、授業にも飽きてきていた寿美はその様子をなんとなく眺めていた。
その眼が一点に凝集する。
次にスタートに立ったのは、誰あろう雷純玲だったのだ。
教師に右手を上げて報告し、スタートを切る。
カモシカのような引き締まった脚が、ぐんぐんと純玲の体を加速する。
「ふわぁ・・・」
運動神経がいいとは知っていたが、こうしてみるとすごく素敵だ。
珠恵ちゃんとどっちが速いかななどとも考えてしまう。
純玲はその加速のピークで踏み切り板を踏むと、ぐんと高くジャンプしてそのまま前方に躰を投げ出して行く。
着地したのは踏み切り板からかなり離れたところ。
寿美には天地がひっくり返っても到達し得ない場所だ。
すごい・・・
寿美は心の底からそう思う。
だが・・・
踏み切り板のところにいた女生徒が旗を上げた。
ファールだ。
ガッツポーズをしていた純玲がその揚がった旗を見てへなへなと崩れ落ちる。
思わず寿美は笑みが漏れた。
かっこいいのに、素敵なのに、どこかドジな純玲先輩。
寿美はそんな純玲がとても好きだった。

プルプルとポケットの中で何かが震える。
えっ?
思わず寿美はポケットに手を入れるとともに、周囲に気を配る。
マナーモードになっているから着信音はないものの、突然のバイブレーションは寿美をドキッとさせるには充分だった。
きっとぼんやりしていた自分を見て、珠恵ちゃんがメールでも送ってきたのだろう。
振動で授業に集中させようと思ったのかもしれない。
寿美はそう思って珠恵の方を見たが、肝心の珠恵は空腹を紛らわせるには寝るのが一番とばかりに机に突っ伏している。
あれ?
それじゃ摩子ちゃんかな?
彼女たち三人は一年の時から一緒のクラスだ。
二年生へは持ち上がりなので、今年になっても一緒のクラスは変わりがない。
三年生になれば進学組みや就職組みなど進路によってクラスが変わるが、今年一年は一緒にいられるのだ。
寿美は摩子の方を見るが、授業が楽しい摩子は寿美には注意を払っていない。
おそらくメールも彼女ではないだろう。
じゃ、誰かしら・・・
もしかして迷惑メール?
授業が終わった後に確認すればいいだけなのだが、寿美はなんとなく着信したものが気になった。
先生が黒板に向かった時を利用して寿美は携帯電話を取り出してみる。
開いてみると着信が一件入っていた。

差出人:mother@akumasin.com
件名:見つけたわ

「?」
寿美は首をかしげた。
迷惑メールはフィルターがかかっているから着信しないはず。
もちろんそれをかいくぐっての迷惑メールだってありえるし、開いたらやばいものもあるのはわかっていた。
だけど・・・
寿美はこのメールが気になった。
中を見たくて仕方なかったのだ。
見つけたというのは何を見つけたのか。
こういう場合はたいていいやらしいサイトを見つけたとかいう迷惑メールだと思うのだけど、寿美は何か得体の知れないものを感じてもいた。
怖いからこそ見たくなる。
まさにそういう状況だったかもしれない。
寿美は授業中であることも忘れ、メールを開いてみた。

「ひゃぁっ!」
思わず声を上げてしまう寿美。
携帯電話の液晶画面いっぱいに黄色く輝く眼が映し出され、それが彼女をぎょろりとにらんできたのだ。
さらに、機械の回路図のようなものが画面から湧き出して、携帯電話の赤いボディに広がっていく。
寿美は授業中であるにもかかわらず、携帯電話を放り出してしまったのだった。

しんと静まり返った教室。
一瞬後教室に忍び笑いが広がっていく。
「睦月さん」
あきれたような表情で寿美を見ている日本史の教師。
親しみやすいという評判の真奈美先生でも、授業中に携帯電話をいじっていたら怒るに決まっている。
寿美は自分が何をしてしまったのかに気が付き、うなだれた。
「す、すみません」
「もうすぐお昼で授業に身が入らないのはわかるけど・・・携帯をいじるなんてだめじゃない」
真奈美先生は苦笑している。
寿美は何も言えなかった。
まさか携帯電話に眼が表示されたからだなんて言えるはずが無い。
「ふう・・・もうだめよ。携帯を拾ってしまっておきなさい」
「はい」
寿美は席を立ち、放り出してしまった携帯電話を取りに行く。
床に転がった携帯電話はいつもと変わった様子は見受けられない。
全体に広がった回路図のようなものもきれいさっぱりと消えていた。
なんとなくホッとして寿美は携帯電話に手を伸ばす。
「!」
携帯電話に触れた寿美の手にピリッと小さな痺れが走る。
一瞬顔をしかめた寿美だが、真奈美先生が見ている以上再度放り出すこともできず、すぐに携帯電話をポケットに放り込んだ。

                        ******

「それで? 今はどうなんですか?」
心配そうに摩子が寿美の顔をうかがう。
お昼休みの校舎の屋上。
寿美たちは春の温かい風が吹くこの屋上でお昼を食べていたのだ。
「うん、今はなんとも無いよ。待ち受け画面もお気に入りのやつだし」
寿美がわざわざ携帯電話の待ち受け画面を二人に見せる。
そこには以前三人で撮った写真が表示されていた。
本当はこっそり撮った純玲の写真を待ち受け画面にしたいのだけど、さすがに恥ずかしくてそれはできなかった。
「ふうん、でも妙だね。着信したメールって消えちゃったんだろ?」
「そうなの。着信したはずなんだけどなぁ」
それは寿美が一番不思議に思ったことだった。
確かにあの時メールは送られてきていたのに・・・
『見つけたわ』と件名も入っていたというのに・・・
「まあ、そういうこともあるってことじゃないの? 携帯会社の新企画とかさ」
「そういうことも考えられますわね。最初にドッキリさせておいて迷惑メール対処には月額何百円のセットをどうぞって」
摩子の言葉に珠恵がうんうんとうなずいている。
確かにそんなこともあるかもしれない。
でも、あれはそんなものじゃないと思う。
もっと・・・
もっと恐ろしい何かが・・・
寿美は表示されたあの眼を思い出しぞっとした。
  1. 2008/02/14(木) 20:05:43|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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サキとルリカ

今日はバレンタインデーですね。
私はココロのボウルを捜してあげたら、ココロがチョコくれましたよ。
ココロのチョコ

なんかうれしいですねー。

さて、100万ヒット記念第一弾として、本当に久しぶりですが「ホーリードール」をお送りします。
ほったらかしにしてすみません。
何とか結末まで持って行くつもりですので、応援よろしくお願いいたします。

25、
「とにかくこうしてはいられないわ」
麻美は明日美を病院に連れて行こうと決心する。
傷口は青あざのような感じだが、肉が盛り上がっていたり血がにじんでいたりするところもあり、このままにしておくことなどできはしない。
とにかく病院で診てもらわなくては・・・
麻美は戸棚から保険証を用意して身支度を整える。
そして車のキーを取り出して、明日美に病院に行くことを告げようとした。
「えっ?」
突然室内に光が走る。
「な、何?」
まばゆい光に麻美は手をかざして目を閉じる。
やがて、徐々に目蓋を通しても光を感じなくなるのがわかり、麻美はゆっくりと目を開く。
「ええっ?」
驚いたことに、そこに明日美の姿は無かった。
その代わりに赤いミニスカート型のコスチュームを身に着け、ブーツと手袋を嵌めた少女が立っていたのだ。
麻美にはその少女が明日美には思えなかった。
姿は同じでも、明日美とは違う。
麻美には違うとしか思えなかったのだ。
「あなたはいったい? 明日美は・・・明日美はどこなの?」
麻美は目の前の少女にゆっくりと近づいていく。
アニメに出てくるような少女のようだが、何か得体の知れないものを彼女は感じていたのだ。
「・・・・・・」
少女は無言で麻美を見上げている。
その目は冷たく、そしてガラス玉のように無機質だった。
まるで人形の目だわ・・・
麻美がそう思った瞬間、少女の手に細長い杖が現れ、その先端が向けられる。
「あっ!」
麻美の意識はそこで途切れた。

「ただいまぁ」
玄関を潜り抜ける一人の男性。
この家の主人である浅葉竜巳(あさば たつみ)だ
浅葉グループ傍流とはいえ、いくつかの企業群の会長をしているため、今日のように深夜帰宅ということも珍しくは無い。
「ふう・・・もうすぐ一時か・・・みんな寝ちゃったかな」
明日美の寝顔が見たいな・・・
そう思いながらリビングに向かう。
「おや?」
リビングからは明かりが漏れていた。
「麻美はまだ起きているのか?」
待っていてくれたのかなと、少しうれしい気分でリビングに入る竜巳。
だが、彼を出迎えたのは妻ばかりではなかった。

「明日美・・・まだ起きていたのか?」
リビングには赤いミニスカートの衣装に身を包み、室内だというのにブーツを履いて手袋をはめ、両手に余るような杖を持って立っている娘の姿があったのだ。
その後ろには彼の妻がぼうっとした表情で立っている。
「麻美、寝かせなきゃだめじゃないか。今何時だと・・・えっ?」
いきなり明日美の持つ杖の先端が竜巳に向けられる。
「明日美、何を? えっ?」
グニャリと世界が歪んで行く。
めまいがするような感覚に陥り、自分が立っているのか座っているのかさえわからなくなっていく。
「・・・はい、ゼーラ様。人間からの干渉を排除しました・・・」
意識を失う直前、竜巳は娘の抑揚の無い言葉を確かに聴いていた。

黒く塗られた柔らかそうな唇。
その唇にもう一つの漆黒の唇がそっと触れる。
抱きしめられた黒の少女ののどが動く。
口付けられた唇から流れ込む魔力が、少女ののどを潤し躰に力を与えていく。
苦しげだった表情に安らぎが浮かび、その様子にそばに立っていたレディアルファは胸をなでおろした。
「これでいいわ。後は少し休んでいれば大丈夫」
愛しい娘を抱きかかえるようにして、そっと寝かせるデスルリカ。
すでにレディベータは規則正しい寝息を立て、安らかな表情を浮かべて寝入っていた。
「ありがとうございます、デスルリカ様」
「気にすることは無いわ。あなたたち二人は私の可愛いしもべたち。助けるのは当然のことよ」
レディアルファの礼に微笑むデスルリカ。
そう・・・
可愛い二人を苦しめる者は赦さない。
闇の広がりを阻む者は赦さない。
光の手駒どもにはいずれ相応の報いを与えてやらなくてはね・・・
デスルリカはぎゅっとこぶしを握り締めた。

「さて・・・いつまでもここにはいられないわ。あなたはレディベータと一緒にここにいなさい。私はかりそめの世界に戻るとするわね」
「はい、デスルリカ様。お気をつけて」
レディアルファに微笑みで応え、デスルリカは闇の世界を後にする。
大いなる闇のしもべデスルリカである時間は終わった。
これからは退屈な荒蒔留理香に戻る時間。
本来ならこのような時間を過ごしたくは無い。
人間などに戻るのは耐え難いもの。
だが、留理香には一つの楽しみがある。
紗希とともに過ごすこと。
その楽しみがあるからこそ、人間の姿になることも耐えられるのだ。
今日はベータのことがあったので紗希をほったらかしにしてしまった。
もう夕食はとっくに食べ、お風呂も済ませて自室に行っちゃったころだろう。
宿題をやっているかどうか確かめて、やっているようならココアでも淹れてあげようかしら。
ココアに喜ぶ紗希の顔を思い浮かべ、留理香は闇の世界から自宅の玄関に姿を現した。

リビングには紗希の姿は無い。
留理香は階段を上り、紗希の部屋をノックする。
「紗希、入ってもいいかしら?」
娘の反応を待つ留理香。
だが、紗希の返事が無い。
「紗希? いるんでしょ? 遅くなって悪かったわ。ちょっとどうしても抜けられない用事があったのよ」
ノックを繰り返す留理香。
だが、紗希の返事は無い。
「紗希、開けるわよ」
何か心配になった留理香は紗希の返事を待たずにドアを開ける。
「紗希!」
紗希は部屋にいた。
風呂上りに着替えたのであろうパジャマ姿で机に向かっている。
だが、机の上には何も広げられてはいない。
それどころか、紗希は奇妙なものをかぶっていたのだ。
青く輝く光のレースで編まれたヘルメットのようなもの。
そんな奇妙なものを紗希はかぶって笑みを浮かべていたのだった。

青く淡い光。
ヘルメットが放つ温かみのある光。
だが、それは留理香に吐き気を催させるほどの嫌悪感を覚えさせる。
「光の・・・光のアイテム? 紗希、あなたいったい?」
留理香の中に驚愕と怒りとが綯い混ざる。
娘が光に犯されてしまったのだ。
「紗希! それを脱ぎなさい!」
紗希に駆け寄ろうとする留理香。
だが、一瞬早く紗希の躰が光に包まれる。
「くぅっ」
まばゆい光を手をかざして遮る留理香。
次の瞬間、留理香の目の前には、青いミニスカート型のコスチュームに身を包み、青い手袋とブーツを嵌めサークレットを飾った姿に変身した紗希の姿があった。
「光の・・・手駒・・・」
留理香は唇をかみ締める。
可愛いレディベータを傷つけた光の手駒が今目の前にいるのだ。
しかもそれは娘の紗希を光で犯して作り上げた代物だったのだ。
「人間の干渉を排除します」
すっと留理香に向けられる青い少女のレイピア。
そこから魔力を放出してくるのは明白だ。
「赦さない」
留理香は自らの姿を変貌させる。
闇の女デスルリカに変わるのだ。
留理香の周囲に闇が広がり、その闇の中から鋭い槍斧が突き出された。

「えっ?」
一瞬戸惑いを見せるホーリードールサキ。
留理香という人間の記憶を封じ、干渉をしないように仕向けるだけのはずだったのだ。
それがいきなり闇の手駒との戦いとなるとは予測していない。
このような狭い場所では戦闘にも不向き。
ホーリードールサキはそう判断すると、槍斧を避けるように後ろへジャンプし、背中で窓を破って外へ飛び出す。
「待ちなさい! 光の手駒!」
闇の中から姿を現したデスルリカが、その手に漆黒の槍斧デスハルバードを携えてホーリードールサキを追う。
近くの住宅の屋根に飛び移ったホーリードールサキは、デスルリカを迎え撃つためにレイピアを構えた。

「よくも紗希を光に染めてくれたわね。赦さない。紗希は闇こそがふさわしいのよ!」
ホーリードールサキと対峙するように屋根に降り立つデスルリカ。
その手のデスハルバードがかすかに震えている。
デスルリカの怒りによって震えているのだ。
「闇の広がりを食い止め浄化するのが私たちの使命。あなたも浄化する」
冷たい眼でデスルリカをにらみつけるホーリードールサキ。
それは母と娘の交わす視線ではない。
「黙れ! 紗希を返しなさい!」
踏み込みざまにデスハルバードが一閃する。
それをぎりぎりでかわし、後ろに跳び退るホーリードールサキ。
そして下がったところにあるビルの壁をとんと蹴り、レイピアをかざしてデスルリカに飛び掛る。
「くっ」
レイピアの切っ先を払いのけるデスルリカ。
だが、レイピアはおとりに過ぎず、ホーリードールサキの左手が魔力に輝く。
「させるか!」
すぐさまデスルリカも左手を翻し、闇を広げる。
ホーリードールサキの光の魔力とデスルリカの闇の魔力が交差してはじきあった。

はじかれた二人はお互いに再度距離をとって対峙する。
だが、ホーリードールサキの姿を青い光が包み込んだ。
「何?」
デスルリカが見ている前で光は収縮し、やがて消えてなくなった。
「逃げた・・・か・・・」
そう思ったデスルリカから力が抜ける。
手にしたデスハルバードが足元に落ちる。
「紗希・・・どうして・・・どうして光なんかに・・・」
デスルリカの胸には悲しみだけが残った。
  1. 2008/02/14(木) 19:59:14|
  2. ホーリードール
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100万ヒット到達

本日2008年2月13日(水)23時49分。
ついに通算延べ訪問数100万ヒットに到達いたしました。

2005年7月16日のブログ開始以来943日。
1000日経たずしての到達は、ひとえに皆様のご訪問のおかげです。
本当に本当にありがとうございました。

そこで、皆様に感謝の意を込めて、三日間連続で一本SSを投下させていただきます。
タイトルは「プロローグ・魔女生誕」
そう、魔法機動ジャスリオン2ndシーズンの先行販売DVDです。
魔法機動ジャスリオン2ndシーズンの開幕をどうぞお楽しみいただければと思います。

そのほかにも記念企画を考えておりますので、そちらもお楽しみに。

あらためまして、皆様本当にありがとうございました。
  1. 2008/02/13(水) 23:54:12|
  2. 記念日
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魔法機動ジャスリオン2nd企画原案

いよいよ100万ヒット到達まであと少しとなりました。
到達の暁には皆様と一緒に喜びをかみしめたいと思います。
記念SSも準備しております。
楽しみにしていただければと思います。

その記念SSの前段階として、ジャスリオン2ndシーズンの企画書をでっち上げてみました。
妄想の一助にしていただければ幸いです。


魔法機動ジャスリオン2nd企画原案

あの高視聴率を稼ぎ出した深夜アニメが帰ってくる。
魔法機動ジャスリオン2nd。
これがその企画原案だ。

新たな敵
闇機械軍団アクマシン
機械科学を信仰する闇の機械軍団
ボードマザーを頂点にしたピラミッド型社会を形成し、地上の人間を機械によって支配しようとたくらむ。
そのためにデスマドーの魔動力及びマジカルクロノブックの奪取を図る。

三幹部たち
アクマシン軍団三人の女幹部。
知の魔女・プロセッサ
記の魔女・メモリ
動の魔女・ドライブ
いずれ劣らぬ美少女たちが全身に回路図を書き込んだ全身タイツを着たような姿をしている。
プロセッサが作戦立案を、メモリが情報収集を、ドライブが実戦指揮を執り行うことが多い。

雷 純玲
マジカルクロノブックにより魔法機動ジャスリオンに変身する正義のヒロイン。
高校三年生に進学し、デスマドー無き後の平和を楽しんでいる。

巻雲 綾
デスマドーによりダークウィッチアヤとされてしまった純玲の親友。
ダークウィッチとしての力は封じられているものの、いつその力が表面化するかわからない不安定な存在となっている。

ユリジーム
今のところ消息不明。
だが、綾は行方を知っている?

真奈美センセ&千尋
真奈美は変わらずに川霧女学園の教師であり、千尋も三年生に進級。
しかし、その内部にはデスマドー少女隊としての人格が眠っている。

サブタイトル(仮)
先行販売DVD:プロローグ・魔女生誕
第一話:奪われたページ
第二話:新たなる敵
第三話:アヤ覚醒
第四話:機械と人と
第五話:眠り姫
第六話:魔王帰還
第七話:信号機に気をつけろ
第八話:メモリの思い
第九話:デスマドー少女隊復活
第十話:マナミとチヒロ
第十一話:暗黒の日
第十二話:悪夢
第十三話:帰って来たオルダー
第十四話:機械の兄
第十五話:魔女たちの宴
第十六話:制御不能
第十七話:信じる力
第十八話:闇の学園
第十九話:純玲とアヤ
第二十話:ユリジーム
第二十一話:漆黒の聖母
第二十二話:メモリの最後
第二十三話:デスマダーとボードマザー
第二十四話:マジカルクロノブック

以上、全二十四話+一話を予定

監督は前回に引き続き戸佐又海馬。
脚本は縁根百合子に加え、これまた新進気鋭の若手脚本家である風精(ふうせい)氏を抜擢。
縁根ワールドに新たな視点での展開を付け加え、ジャスリオンがさらに面白くなるだろう。

キャストは前回に引き続き雷純玲は安住瀬怜奈、巻雲綾は速水真李亜が担当。
そのほかの役も「ノワールプロダクション」の実力派声優が担当の予定。

スポンサーはS・S・B食品に加え今回新たに総合通信産業の魔道通信(株)が参入。
インターネットにてdeathmado.comを展開する同社の参入により、魔法機動ジャスリオンも更なる飛躍に挑戦する。
さらに玩具メーカーより、ロボットアニメプラモデルで有名なサンザイ(株)も参入が決定。
ジャスリオンキャラフィギュアで消費者の購買意欲をそそる予定。

以上です。
こんなサブタイトルはどう? とか、こんなキャラはどう? というのがありましたら、ぜひぜひお寄せくださいませ。

それではまた。
  1. 2008/02/13(水) 20:09:39|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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史上初の戦果

第二次世界大戦後、世界は米ソの冷戦に巻き込まれていくことになりました。
そんな中で開発され現在も主要戦闘兵器としての地位にある兵器にミサイルがあります。
ミサイルには用途によってさまざまなものがあり、地対空、空対空、地対地、空対地、空対艦、艦対空、艦対艦などあらゆる攻撃用途に使われる兵器であるといえるでしょう。

その中の一つ、かつてのソ連製の(艦)対艦ミサイルにSSN-2スティックス(西側のコードネーム:ソ連名はP-15)というのがあります。
全長約六メートルにもなるわりと大柄のミサイルで、射程は約四十六から八十キロ(後期バージョンは射程が長い)。
弾頭には約四百五十から五百キロの炸薬が詰まっており、さながら空を飛ぶ魚雷といってもいいようなものでした。

ソ連においては当時このスティックスはわりと一般的な対艦ミサイルでしたので、スティックスを搭載したソ連艦艇は多種ありましたが、中でも小型だったのがコマール級ミサイル艇(これも西側コードネームです:ソ連名は183R型ミサイル艇)でした。

コマール級ミサイル艇は木造船体の魚雷艇P-6型の船体をベースに開発されたもので、いうなれば魚雷艇の魚雷の代わりにこのスティックスを搭載したものです。
三十メートルにも満たない長さの船体にスティックスを左右に一発ずつ計二発搭載し、四十ノットの速力で接近して発射するというまさに魚雷艇そのままのコマール級ミサイル艇は、その生産の容易さから1960年代から70年代にかけて多数の国々に輸出され、またライセンス生産が行われました。

1960年代は、アメリカを中心とする西側諸国にとっては、水上艦艇の発射する対艦ミサイルにあまり注意が払われていない時期でした。
大きな威力を持つ空母艦載機の攻撃力に意識が向けられ、スティックスなどたいしたものではないと思われていたのです。

コマール級ミサイル艇を装備した国の中にはアラブ諸国もありました。
中東戦争でイスラエルをアメリカが支援していることもあり、アラブ側はソ連が支援していたのです。

第三次中東戦争の一応の停戦からわずか四ヵ月後の1967年10月21日。
エジプトポートサイド沖の地中海で、エジプト領海ぎりぎりの辺りをイスラエル海軍の駆逐艦エイラートが遊弋(ゆうよく:艦船が水上を行き来して敵に備えて動き回っていること)しておりました。

エイラートのいた海域は確かに公海上でありイスラエルの軍艦が遊弋していても問題はないものでしたが、エジプトはこれを示威行動と解したのか攻撃を仕掛けました。

エイラートは元英国の駆逐艦で約千七百トンの排水量であり、11.7センチ砲四門や四連装魚雷発射管二基など搭載した当時の有力な駆逐艦でした。
それに対し、エジプト軍はわずか排水量七十トンのコマール級ミサイル艇で勝負を挑んだのです。

駆逐艦の主砲の射程外であるポートサイド港内のコマール級からまず一隻が二発のスティックスを発射。
遊弋を終えてイスラエルに帰還しようとしていたエイラートの艦尾付近に二発とも命中します。
その後二隻目がまたしても二発のスティックスを発射。
これは時間を置いて行われたために、二発の命中で艦を救えないと判断したエイラートの艦長によりエイラート乗組員が退艦中を直撃します。
さらに海面に退避していた乗組員付近に四発目が着弾。
乗組員が多数殺傷されるという状況になりました。

結局エイラートは四十七名の戦死者とともに沈没。
史上初めて対艦ミサイルによって撃沈された軍艦となりました。

西側諸国はこのエイラート沈没にかなりのショックを受けました。
魚雷艇と同じように、小型の艦艇でも対艦ミサイルを搭載していれば、大型艦を沈められることが判明したのです。
以後、大型艦を保有できない中小国にとって、ミサイル艇は瞬く間に海軍戦力の中心となっていきました。

ただ、現在では航空機に対して脆弱なことと、あまり小型過ぎては海上行動に支障があったり乗組員の居住性が悪かったりということで、中規模クラス以上のミサイル艇が主となっているようです。

それではまた。
  1. 2008/02/12(火) 19:30:28|
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ピュロスの勝利

皆さんは「ピュロスの勝利」という言葉をご存知でしょうか?
おそらく知らない方が大半だと思います。
かく言う私もまったく知りませんでした。

「ピュロスの勝利」とは、まったく割に合わない勝利のことをさす言葉なのだそうです。

紀元前285年。
イタリア半島で着々と実力をつけ版図を広げつつあった共和制ローマは、イタリア半島の南端、ブーツの土踏まずの辺りに位置する都市国家タレントゥムを支配下に置くべく戦争を仕掛けました。

タレントゥムはギリシアのスパルタ人の建てた都市国家であり、優勢な共和制ローマとの戦いで窮地に陥ったタレントゥムは、ギリシア本土に救援を求めます。
この救援の呼びかけに応えたのが、現在のギリシアとアルバニアの国境付近にあった強国エペイロスでした。

エペイロスは、軍事的才能の誉れ高いピュロス王に統治された軍事強国であり、かのアレクサンドロス大王にも匹敵すると噂されるほどピュロス王の才能は評価されていたそうです。

ピュロス王は紀元前280年、約二万五千の兵と二十頭の象を持ってタレントゥムに到着。
直ちにローマ軍との戦闘に参加しました。

ピュロス王はその実力を発揮し、ローマ軍はヘラクレイアの戦いで惨敗。
一時後退を余儀なくされます。
しかし、ピュロス王の率いるエペイロス軍も結構な損害を受け、エペイロス本国から兵を補充しなくてはなりませんでした。

翌紀元前279年、ローマは再びタレントゥムを攻撃。
今回もピュロス王のエペイロス軍は活躍し、ローマは指揮官たる執政官を含む約六千もの兵を失う大敗北を喫します。
しかし、またしてもエペイロス軍はピュロス王自身が怪我を負った上、約三千以上もの兵を失いました。

兵力の損耗と軍事費による経済的圧迫などがエペイロスに重くのしかかり、それを嘆いたピュロス王はこう言ったといいます。
「もう一度ローマに勝利したら、われわれは壊滅してしまうだろう」

このことから、勝ったとしても採算が取れない勝利のことを「ピュロスの勝利」と呼ぶようになったのです。

二度の敗戦にもローマは和睦に応じませんでした。
結局ピュロスは対ローマ戦に嫌気がさし、カルタゴの圧迫を受けていたシキリア(シシリア)諸都市よりの救援要請を渡りに船とばかりに引き受けます。
ピュロス王の支援を失ったタレントゥムが陥落して、イタリア半島南部がローマの支配下に入ったのは、紀元前270年のことでした。

言葉の語源というのも面白いですね。
それではまた。
  1. 2008/02/11(月) 20:51:33|
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02月11日のココロ日記(BlogPet)

今度いいカレーをつくります!ぜったいつくります!

*このエントリは、ブログペットのココロが書いてます♪
  1. 2008/02/11(月) 07:57:35|
  2. ココロの日記
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ハート型に開くんです

1939年の開戦以来、英国は常にUボートの脅威にさらされてきました。
そこで英国は必死で対潜水艦戦闘を戦い続けることになります。

開戦時の対潜水艦用兵器の主力は爆雷でした。
爆雷とは、映画などでも見ることがあると思いますが、ドラム缶のような形をしたものが水上艦の艦尾から投下されて水中で爆発する兵器です。

決められた水圧になると爆発するように信管がセットされ、ソナーが探知した潜水艦の深度付近で爆発することで、潜水艦に損害を与えるというものなんですが、弱点がありました。

艦首に備えたソナーが敵潜水艦を探知しても、艦尾から爆雷を投射するときには潜水艦の位置が変わってしまっている上に、爆雷はどんな状況でも決められた水深になると爆発してしまうので、その爆発による影響が静まるまではソナーが探知不能になってしまうため、手馴れた潜水艦乗りならばその間に逃走を行うことも不可能ではなかったのです。

そこで英国はこの爆雷の弱点をなくすために、艦首のソナーが捕らえた敵潜水艦に対してすぐに攻撃できる艦首から投射できる対潜水艦攻撃兵器を作りました。

この新型対潜水艦投射兵器は、二十四発の小型対潜弾がワンセットになったもので、二十四発がいっせいに発射されると、まるで投網が広がるようにハートの形に広がって着水します。
そして着水した弾頭は急速に沈んでいき、どれか一発でも潜水艦に接触すると、全二十四発がいっせいに爆発するように仕掛けられているために、潜水艦に対する破壊力が非常に大きなものでした。

さらに、一発も接触しなければただ海底に沈んでいくだけだったので、無駄な爆発でソナーを使えなくするようなことも無かったため、使いやすい対潜兵器だったのです。

この新型対潜兵器は“ヘッジホッグ”と名付けられ、1941年から英軍によって運用され始めました。
そして翌年には米軍でも量産され、連合軍の対潜兵器の主力として活躍することになるのです。

それではまた。
  1. 2008/02/10(日) 19:48:33|
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悪堕ちマンガ2タイトル

いつも大変お世話になっている方から、何と当ブログにリンクしていただいている「煉獄歯車」の霧鎖姫ジャック様とそのご友人様のサークル「DEDEDEってYOU☆」様の同人誌「エビルコレクターハルナ」と、キルタイムコミニュケーション様より出版されている戦うヒロイン陵辱コミック「闘姫陵辱」の36号のご提供を賜りました。
いつもいつも本当にありがとうございます。
私は幸せ者でございます。

早速拝見させていただきました。
そこで感じたことを書かせていただこうと思いますが、以下の感想は、あくまで舞方雅人本人の感想であり、それをご理解いただきたいと思います。
(以下、ネタばれありなので注意)
[悪堕ちマンガ2タイトル]の続きを読む
  1. 2008/02/09(土) 19:51:13|
  2. 同人系
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使い捨て

1940年の西方戦役において、ナチスドイツはオランダ、ベルギー、フランス、ノルウェーをその支配下におさめることに成功しました。
これによって欧州の大西洋岸はほぼドイツの支配下となり、沿岸航空基地の設置によって英国へ向かう船団に対する航空攻撃が行えるようになったのです。

このことは英国にとって非常に厄介な問題をもたらしました。
1939年以来英国商船団の足元を脅かし続けてきたUボートに加え、今度は頭上を飛び交う敵機にも気を配らねばならなくなってしまったのです。

さらに航空機は自らが攻撃するのみならず、近隣のUボートに通信を送り、英国商船団の位置を知らせることでUボートが攻撃をしやすくするという役目も果たすのです。
船団上空を敵機が飛ぶということは、それだけで船団にとっては脅威でした。

この脅威に対抗するすべとしては、船団に航空機の護衛をつけるのが一番です。
しかし、英国の航空機部隊は英国上空を防備するので手一杯であり、とても海上の船団までは手が回りません。
それに航続距離も問題で、いつ来るかわからないドイツの航空機を待ち受けるために船団上空に張り付いているわけにも行きません。

そういった問題を解消できるのは航空母艦を船団に護衛としてつけることでしたが、護衛空母を建造する余裕など当時の英国には望むべくもありませんでした。
商船を作り続けるだけで手一杯で、しかも造った端から沈められているのです。

そこで英国は窮余の策として、何隻かの商船にカタパルトを取り付け、戦闘機を搭載して敵機が来たら強引に射出しようということに決めました。
こうしていくつかの商船が船体にカタパルトを無理やり取り付けられ、そのカタパルトの上に戦闘機としては充分な実力があるもののいささか旧式なハリケーンやフルマーが一機搭載されました。

このカタパルトを搭載した商船はCAMシップ(カタパルト アームド マーチャントシップ)と呼ばれ、戦闘機パイロットとカタパルト操作などの航空関係要員のみが軍人であり、あとの部分はあくまで商船として民間人が運行しておりました。
もちろん船倉には英国が必要とする貨物を積んで航海するのです。

CAMシップは、商船団の一員として船団とともに行動します。
そして、いざドイツ軍機が船団を発見して近づいてくると、カタパルトに搭載された戦闘機にパイロットが飛び乗って射出されるのです。

戦闘機はドイツ軍機と戦闘を行い、敵機を撃退することに専念します。
首尾よく敵機を撃退した戦闘機は、残る燃料が陸上の飛行場まで充分なときはそのまま陸へ向かいます。
しかし、陸地まで充分な燃料がないときは・・・

CAMシップは着艦用の設備などありません。
カタパルトで打ち出したらそれっきりです。
ですので、戦闘機パイロットは覚悟を決めねばなりません。
船団の近くに上手に戦闘機を不時着水させるか、戦闘機を放棄してパラシュートで脱出するのです。
うまく不時着水ができたか、パラシュートで脱出したパイロットは、今度は船団の救助を待たねばなりません。
救助が間に合わず、溺死してしまったパイロットや、不時着水がうまくいかずに亡くなってしまったパイロットも多かったでしょう。

しかし英国としては、たとえ戦闘機を使い捨てても、船団が無事に英国に到着するなら良しとしたのです。
それほど1940年から1941年ごろの英国は厳しい状況だったのです。
この状況が改善するのは、米国が参戦して護衛空母が多数就役した1943年を待たなくてはなりませんでした。

それではまた。
  1. 2008/02/08(金) 19:56:49|
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氷点下の北アフリカ戦パート2

今日は札幌辺境伯様をお迎えしての平日ウォーゲームプレイ。
先日もプレイした「アフリカンキャンペーン」(コマンドマガジン日本版31号付録)を、陣営入れ替えでプレイしました。
札幌辺境伯様が枢軸軍。
私が英連邦軍です。

序盤、わが英連邦軍の「コンパス作戦」が炸裂。
初期配置のイタリア軍は雪崩をうって壊走し、六個師団が壊滅します。

トブルクも英連邦軍に包囲され、すりつぶされて陥落。
枢軸軍にとって厳しい状況となりました。

ここで「砂漠の狐ロンメル」登場。
札幌辺境伯様の巧みなプレイは、まさに砂漠の狐の本領発揮です。

チャーチルの干渉による部隊の引き抜きも手伝って、英連邦軍はみるみるうちにトブルク近辺から追いやられ、エジプト国境まで下がらざるを得ませんでした。

第15と第21の装甲師団がそろうころには枢軸軍の戦力はピークを迎えます。
燃料もそこそこの量を確保した枢軸軍は、各所で英連邦軍の防御ラインに圧力をかけてきました。

損害を許容しきれなくなった英連邦軍は、ついにエルアラメイン近傍まで防御ラインを後退。
ここを最終防衛ラインと位置づけて、枢軸軍を迎え撃ちました。

すりつぶされては補充し、すりつぶされては補充しを繰り返すこと数度。
英連邦軍も枢軸軍もこの防御ラインにすべてをかけての攻防戦が繰り広げられます。

この攻防戦は英連邦軍に勝利の女神が微笑みます。
後方からの補充が追いつかない枢軸軍は、ついに攻勢限界を迎えてしまい、英連邦軍の防御陣地を抜くことができなくなりました。

攻め疲れぼろぼろに磨り減った枢軸軍はついに後退を開始します。
英連邦軍の反撃が始まりました。

最後はロンメルユニットも失われ枢軸軍が勝利条件を達成できなくなったのと、時間切れで投了となりました。

本当に息詰まる攻防戦をエルアラメイン前面で繰り広げることになるとは思いもしませんでしたが、自然とそうなってしまうというのがこのゲームのすばらしいところかもしれません。
サイコロの一投一投が本当に緊迫しました。
その出目次第では、枢軸軍側に勝利が転がったかもしれません。

すごく楽しい時間を過ごすことができました。
札幌辺境伯様、ありがとうございました。
今度はまた違うゲームでお相手をお願いいたしますね。

今年の通算成績、3勝5敗
それではまた。
  1. 2008/02/07(木) 21:46:55|
  2. ウォーゲーム
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野砲一千門

昭和17年(1942年)8月7日。
中部太平洋ソロモン諸島の島のひとつ、ガダルカナル島にアメリカ軍の海兵隊を中心とした部隊が上陸を開始しました。

6月のミッドウェー海戦によって空母を一気に四隻も喪失した日本海軍は、1943年以降と判断される米軍の反撃に対抗するため、このガダルカナル島に滑走路を新設して、航空機部隊を展開させようとしていた矢先のことでした。

7月にやってきた設営隊と守備隊合わせても三千名足らずの日本軍(そのうち戦闘要員は約六百名ほど)が、ようやくジャングルを切り開いて作り上げた滑走路がほぼ完成間近のときでした。
そこに一万名以上の米軍が上陸し、瞬く間にガダルカナル島の日本軍は飛行場を奪われてしまいます。
この飛行場はヘンダーソン飛行場と名付けられ、ガダルカナル島の米軍にとって貴重な上空支援をもたらすことになりました。

日本軍は一木支隊や川口支隊などを逐次投入し、そのつど撃破されるという悪循環に陥ります。
さらに航続距離の関係からラバウルの日本軍航空隊もガダルカナル島の制空権を奪い取れません。
ガダルカナル島に陸軍部隊を送り込むにも、その補給物資を届けるのにも、制空権がなくては不可能でした。

そこで日本海軍は、飛行場を一時的にも使えなくするべく、戦艦の巨大な主砲で陸上の飛行場を砲撃しようという計画を立てました。
陸軍部隊でも航空機でもだめなら、海上からの砲撃で破壊しようというのです。

山本五十六長官は大乗り気で、戦艦大和で自分が陣頭に立つとまで言いましたが、もろもろの条件を考慮した結果、米軍機の飛ばない夜間に砲撃をして帰ってくるには高速戦艦じゃないと難しいということで、日本海軍きっての高速戦艦金剛級を使用することにしたのでした。

金剛級戦艦「金剛」及び「榛名」の二隻でヘンダーソン飛行場を砲撃し、飛行場が使用不能になった隙を突いて陸軍の第二師団をガダルカナルに上陸させるのです。
うまくいけばガダルカナル島の奪回が可能となるだろうと思われました。

昭和17年(1942年)10月13日。
栗田健男中将(昨日の記事に出てきた人です)率いる砲撃艦隊はガダルカナル島沖に侵入。
23時31分、水上機が照明弾を投下したのを合図に、金剛と榛名はいっせいに砲撃を開始。
35.6センチ砲から撃ち出される陸上砲撃用の三式弾や零式弾、対艦攻撃用の一式徹甲弾は、次々とヘンダーソン飛行場に炸裂していきました。

米軍も陸上の大砲で応戦しましたが、とても沖合いの戦艦までは届かず、かえって金剛榛名の副砲で攻撃される始末。
ヘンダーソン飛行場周囲の居住ブロックや防御陣地にいた米軍兵士たちは、降り注ぐ戦艦の砲弾になすすべなく祈るしかありませんでした。

砲撃艦隊は往復二回の砲撃をヘンダーソン飛行場に行い、金剛は三式弾百四発、一式撤甲弾三百三十一発を、榛名は零式弾百八十九発、一式撤甲弾二百九十四発をそれぞれ叩き込みました。
ヘンダーソン飛行場は猛火に包まれ、その様子を見ていた陸軍部隊から「野砲一千門に匹敵する」と大いに喜んだ電文が送られました。

結局ヘンダーソン飛行場は砲撃により使用不能。
備蓄した燃料もほぼ消失。
待機していたB-17は八機中二機が、戦闘機や攻撃機などの小型機は九十機中四十八機が破壊され、ガダルカナル島の米軍航空部隊は半身不随となったのです。
また、砲撃のあまりの恐怖にショック症状を起こした米軍兵士も数多く、これ以後米軍は戦艦による陸上砲撃の有効性を身をもって知ることになりました。

砲撃そのものは大成功ともいえるものでしたが、残念なことに、米軍はすでにヘンダーソン飛行場に第二滑走路を完成させており、そのことを知らなかった日本艦隊は第二滑走路を砲撃目標とはしておりませんでした。
そのため第二師団の上陸時には、飛んでこられないはずの米軍機が上空を飛び回り、日本軍の上陸部隊が大きな損害を受けることになってしまいます。

また、再び戦艦による飛行場砲撃という柳の下の二匹目のドジョウを狙った第三次ソロモン海戦では、待ち構えていた米軍水上艦隊によって、比叡と霧島の二隻の戦艦を日本は失うことになるのでした。

それではまた。
  1. 2008/02/06(水) 19:21:39|
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当時史上最大

久しぶりに軍艦ネタを一つ。

日露戦争前後に装甲巡洋艦として計画された「金剛」級は、その後高速の巡洋戦艦として英国で建造されました。
そしてのちに高速戦艦として太平洋戦争に参加するのですが、それはまた別の話。

この巡洋戦艦金剛が日本にもたらした英国の造船技術は、当時の日本にはやはり驚異的なものでした。
この金剛がもたらした英国技術を日本が消化し、日本独力で建造した日本最初の超ド(弩)級戦艦(英語で言えばスーパードレッドノート:ドレッドノートを超える戦艦ということです)が戦艦「扶桑」(二代目:初代は明治期に装甲フリゲートとして就役)でした。

扶桑とは日本の別名であり、海軍が多大な期待をかけていたことがうかがえますが、その期待にたがわぬ重厚強力な戦艦として扶桑は建造されました。

大正四年(1915年)十一月に竣工した戦艦扶桑は、当時世界最強クラスだった巡洋戦艦金剛の35.6センチ主砲を二連装砲塔六基計十二門も備え(金剛は二連装四砲塔計八門)砲力を増大させた上、水線では300ミリを超える装甲を張り巡らし、四万馬力にも達する機関で速力も仮想敵国であるアメリカの戦艦よりも優速な22.5ノットを発揮することができました。

重武装重防御を施した扶桑は、その結果常備排水量(戦闘時を想定した排水量で、弾薬四分の三、燃料四分の一、水二分の一を搭載した状態での重量)で三万六百トンにも達し(基準排水量では二万九千三百トン)、世界の軍艦史上初めて三万トンを突破した軍艦となりました。
完成当時の扶桑は、紛れもなく世界最大最重武装の戦艦だったのです。

しかし、時代の流れは容赦なく扶桑にも降りかかります。
戦艦も高速化重武装重防御化が瞬く間に進み、22.5ノットの最高速力ではもはや低速艦の烙印を押されてしまう時代となっていきます。

そこで海軍は扶桑の戦艦としての価値を高め、寿命を延ばすために近代化改装を行います。
第一次、第二次の二つの近代化改装を行った扶桑は、艦容も一新し、主砲の仰角も最大30度から最大43度にまで上を向くように変更され射程が三万メートルを超えるまでになりました。
しかし、六基もの砲塔を搭載した弊害で、機関部の増設が思うに任せず、七万五千馬力にまでアップされたものの最大速力は24.5ノットにとどまってしまい、結局太平洋戦争に参加した日本戦艦の中では最低速になってしまいました。

太平洋戦争に参加した扶桑は、今述べたように日本戦艦群の中では最低速だったために、同型艦山城とともにあまり出番に恵まれませんでした。

昭和十九年(1944年)十月二十二日。
フィリピンに来襲する米軍を迎え撃つために、レイテ湾の米軍艦隊を撃滅するべく同型艦山城とともに西村祥治中将指揮の下レイテ湾に向かいます。
本来なら栗田健男中将率いる戦艦隊と合同で行動したかったのですが、やはり低速ゆえに艦隊行動に支障をきたすため別行動となったのです。

十月二十三、二十四の両日、栗田艦隊は米軍潜水艦や航空機の攻撃で戦艦武蔵以下巡洋艦四隻などの大損害を受けますが、扶桑のいる西村艦隊は別ルートを通っていたので無事でした。

そして、日付が変わった昭和十九年十月二十五日午前二時ごろ。
栗田艦隊とは別のスリガオ海峡からレイテ湾に突入しようとした西村艦隊は、待ち構えていた米軍の魚雷艇及び駆逐艦部隊に相次いで襲撃を受けます。
かつては夜戦は日本海軍のお手の物でしたが、この時点ではレーダーなどの装備技術の差が歴然としてきておりました。
扶桑は駆逐艦や魚雷艇の攻撃に翻弄され、なすすべもなく魚雷四発の命中を受けます。

魚雷の爆発は扶桑の艦内の弾火薬庫の誘爆をもたらしました。
一瞬後、大音響とともに船体が真っ二つに割れた扶桑は、瞬く間に轟沈したそうです。
生存者は誰一人いませんでした。

日本の別名を付けられるほど期待されて建造された扶桑は、確かに完成当時は世界最大の戦艦でしたが、機関配置や主砲一斉発射時の爆風問題などまた問題の多い戦艦でもあったようです。
老朽で一時期は候補生実習艦にもなっていた扶桑が、このような突入作戦で轟沈という最後を迎えたことは、扶桑にとっていい死に場所を得たとみるべきなのか、それとも哀れな最後とみるべきかは意見が分かれるところかもしれませんね。

それではまた。
  1. 2008/02/05(火) 19:48:08|
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