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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

120分の2

大西洋での猛威を振るったドイツ海軍潜水艦隊は、アメリカの参戦と英国の対潜水艦作戦が軌道に乗り始めたことが相まって、1943年には立場が逆転しておりました。

優秀な潜水艦であるⅦC型(2007年7月23日当ブログ参照)も、蓄電池により水中に潜っていられる時間は35時間程度であり、しかも水中では7.6ノットが精一杯です。

当然、出航後に敵商船団を発見するまでの航海は水上航行であり、そこを哨戒機や攻撃機に発見されて撃沈されるものが相次ぐようになります。
レーダーや逆探装置(哨戒機のレーダー波を捉えて警告する)を備え、水中を航行しながらディーゼルエンジンを動かすことのできるシュノーケルも装備しましたが、アメリカの護衛空母と駆逐艦による潜水艦狩り専門のハンターキラー部隊にやはり多数が沈められていきました。

ドイツ海軍のデーニッツ提督は、もはやⅦ型やⅨ型のような従来型の潜水艦では、損害ばかり多くなり作戦行動はできないと悟ります。
そのため、ドイツ海軍は建造中の従来型潜水艦の大部分を破棄してまで、新型潜水艦の建造に力を入れることにしました。
XXI(21)型潜水艦です。

このXXI型潜水艦は、実験段階だった無給気動力であるワルタータービン動力を搭載する水中高速型潜水艦として考えられた船体を元にしており、輪切りにしたときの断面が8の字のような上下二段の内部船体を流線型の外部船体が包み込む形をとっています。
そして、この内部船体の下側ほとんどを蓄電池が占め、その数は372個。
ⅦC型の蓄電池が127個であったのと比べると雲泥の差であり、エレクトロボートとさえ呼ばれます。

さらに、XXI型は、建造のしやすいブロック工法を従来型潜水艦同様に取り入れており、ⅦC型でさえ300日に一隻の割合で建造されていたものを、150日に一隻の割合にまで高めるほどの量産性を示しました。

こうして出来上がった新型潜水艦XXI型は、今までの潜水艦とはまったく違う画期的な潜水艦となります。
今までの潜水艦は、水上航行の方が最高速力が速かったのですが、XXI型はついに水上航行の最高速力15.6ノットに対して、水中での最高速力が17.5ノットと上回ったのです。
しかも、蓄電池の数が増大したために電池だけでも80時間以上の水中航行ができ、シュノーケルと併用することで相当な長時間を水中で過ごすことができるようになったのです。

魚雷発射管も六門を備え、搭載魚雷も23本に増えました。
安全潜航深度もⅦC型の100メートルから、一挙に倍以上の230メートルまで潜れるようになります。
まさにドイツ潜水艦の究極の姿でした。

デーニッツをはじめ、ドイツ海軍の期待を一身に受けたXXI型潜水艦は、1944年5月に一番艦が竣工。
それからドイツ敗戦の1945年5月までのほぼ一年間に120隻もの大量生産がなされました。
まさにその量産性のよさを見せ付ける数字といえるでしょう。
大戦終盤のドイツ海軍の主力潜水艦はXXI型が担うはずでした。

しかし、XXI型は実戦にはほとんど参加できませんでした。
一説によれば、作戦行動を行えたものはわずかに2隻のみだったというのです。
戦局にはまったく寄与できなかったのでした。

これはXXI型を早期に実戦配備するための急激な建造が原因でした。
試作も試験もしていない潜水艦をいきなり大量建造し始めたのですから、どこかに不具合があるのが当たり前なのです。
できあがったXXI型は、出撃=不具合発生しての帰港が相次ぎ、ドックでの修理を繰り返すばかりでした。
結局120隻も作りながら、そのほとんどは港から外へ出られなかったのです。

技術の国、職人の国ドイツではありましたが、新技術というものは一朝一夕にものになるものではありません。
パンターしかり、Me262しかり、そしてこのXXI型潜水艦しかりです。
熟成させる暇もなく戦場に駆り立てられ、多くが失われることになりました。

ですが、パンターもMe262も戦後の米ソに多大なる影響を与えたように、このXXI型潜水艦も、戦後の米ソ原子力潜水艦に多大なる影響を与えたのは間違いありません。
真の潜水艦の始まりはこのXXI型潜水艦からでした。

それではまた。
  1. 2008/01/15(火) 19:23:37|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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