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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

豊家滅亡その13

午前11時ごろ。
関ヶ原の戦場は霧も晴れ渡り、一時は東軍に押されていた西軍四隊もどうにか体勢を立て直し、再度東軍に対して攻勢に転じておりました。
ここに至り、三成は勝機をものにするべく合図ののろしを上げさせます。
こののろしこそ、西軍には勝利を、東軍には壊滅をもたらすものになるはずでした。

西軍は石田隊などの四隊ががっちりと東軍の勢いを食い止めており、その状況を打開するべく家康自身が戦場付近に陣を移しております。
つまり、関ヶ原の盆地内に東軍諸隊ほとんどが入り込んでいるのです。
ここで南宮山の毛利隊や吉川隊などが長曾我部隊などとともに東軍の背後をふさぎ、小早川隊が側面を突くことになれば、東軍は支えきれずに瓦解するでしょう。
そう、こののろしの合図に諸隊が動き出せば、まさに勝利は西軍にとって疑いなしでした。

しかし、こののろしに呼応する動きはありませんでした。

西軍の安国寺恵瓊は首謀者の一人であり、三成とともに立ち上がったのであるから、当然すぐにも軍勢を動かそうとしました。
五奉行の一人、長束正家も当然軍勢を動かそうとします。
しかし、彼らとともに動くはずの南宮山頂上付近に陣取る毛利秀元の毛利本隊が動きません。
安国寺恵瓊はあわてて毛利本隊に使者を派遣し、軍勢を動かすように進言します。
ですが、毛利本隊は動きません。

毛利本隊は動きたくても動けなかったのでした。
毛利秀元自身は西軍の一員として家康と戦うつもりであったようです。
しかし、毛利本隊の前衛に布陣する吉川広家隊が邪魔しておりました。
吉川広家は、この戦いが西軍にとってつらいものであることを承知しており、三成によって担ぎ出されてしまった毛利家総帥毛利輝元の無罪と領国の安堵とを条件にして、家康との間に不戦を約束していたのです。
ここで毛利本隊に動かれては約束がふいになってしまいます。
毛利家のためにも本隊を動かすわけには行きません。
吉川隊は本隊の前に陣取って動かさないようにしていたのでした。

頂上付近の毛利本隊が動かなければ、南宮山ふもとの諸隊は動くに動けません。
安国寺隊や長束隊の背後の長曾我部隊も無為に時を過ごすことになり、このままでは勝機を逸することになります。
安国寺恵瓊は何度も使者を送って毛利秀元に軍勢を動かすように進言します。
秀元は自らも動きたいのはやまやまでしたが、吉川隊が動かないので動けません。
恵瓊の使者への返答に窮した秀元は、ついにこう答えます。
「我が隊は少々早いが今兵に弁当を食べさせている最中だ。弁当を食べ終わればすぐにも軍勢を動かそう」
これがのちに有名になる「毛利家の空弁当(からべんとう)」でした。

こうして南宮山の諸隊は吉川広家のために動けませんでした。
では、松尾山の小早川秀秋はどうであったのでしょうか。

小早川秀秋は迷っておりました。
目の前の戦いはいまや伯仲しております。
彼の率いる軍勢一万五千が戦いの局面を左右することになったのです。
彼自身これほど大きなキャスティングボートを握ることになるとは思いもしなかったかもしれません。
それがゆえに迷っていたのです。

小早川秀秋は東西両軍より味方につくように誘われておりました。
秀秋は太閤秀吉の妻おねの兄木下家定(きのした いえさだ)の五男として生まれ、子が無かった秀吉の養子として一時は後継者と目されたものの、豊臣秀頼誕生のために小早川家に養子に出された経緯がありました。
そのため家康寄りとも考えられましたが、三成は秀秋に関白職をちらつかせます。
関白となれば、秀吉の後継者としての栄光が再び彼の元に戻ります。
秀秋は大いに迷ったのではないでしょうか。
彼にはその決断が着きませんでした。
のろしが上がっても、小早川隊は動かなかったのです。

家康にとっても小早川隊の動きの無さは不気味なものでした。
黒田長政を通じて小早川秀秋に内応を約束させてはいたものの、ことここにいたっては秀秋の動きに勝利をゆだねるしかなくなっていたのです。
秀秋が西に着くか東に着くか。
不安になった家康は、確認のために黒田長政に使者を派遣しました。
激戦の只中にそのようなことを訊かれた黒田長政は、そんなこともはやわからんと答えたといいます。
こんな状態となれば、どっちに転んでも不思議はありません。
長政にもわからないとしか言いようが無かったでしょう。

家康はいらだちました。
いらだった挙句についに行動を起こします。
彼は鉄砲隊を派遣して、松尾山の小早川の陣めがけて威嚇射撃を行うように命じたのです。
鉄砲の一斉射撃の銃声が、松尾山のふもとで響きました。

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  1. 2008/01/11(金) 19:47:25|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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