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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

今年最後は二次創作

今年最後の更新は二次創作SSです。

皆様はゲッターロボGをご存知でしょうか?
古いアニメですが、ゲーム「スーパーロボット大戦」などでおなじみかもしれませんですね。
そのゲッターロボGの敵百鬼帝国は、とても魅力的な手段を持っておりましたので、ずっと悪堕ちSSにしてみたいと思っていたものでした。

ということで、ゲッターロボGの二次創作SSです。
当時のアニメの記憶がもう定かではないので、ヒドラーやグラーの雰囲気が違うかもしれませんがご了承くださいませ。

それではどうぞ。


「イザナミアロー!!」
私はレバーに付いたトリガーを押しながら、大声で必殺技の名を叫ぶ。
必然性はないんだけど、名を叫ぶことでその武器の威力が増したように感じられるから不思議よね。
コクピットに座る私の前にはスクリーンが広がっていて、そこには動きが止まった百鬼メカが映し出されている。
今、私がトリガーを押したことにより、このイザナミの左手に備えられた弓から必殺のイザナミアローが発射され、狙いたがわずに百鬼メカの腹部に突き刺さる。
『グオォォォォォォ』
唸りともうめきとも付かない声が百鬼メカから発せられ、どっと地面に倒れこむ。
やったわ!
イザナミの威力を見たでしょ!
百鬼帝国なんかに地上は好きにはさせないわ。
日本にはゲッターロボだけじゃないんだから。

そう・・・
恐竜帝国亡き後、忽然と現れた百鬼帝国。
彼らはその名の通り鬼の群れだった。
外見は人間に近いものもいるらしいけど、いずれもが角を持ち、やさしさのかけらもない残忍な連中だ。
早乙女研究所のゲッターチームが、ゲッターロボで立ち向かっているものの、彼らだけでは手に余ることは間違いない。
それに・・・
世界各国だって黙って手をこまねいているわけには行かないのだ。

日本も早乙女研究所だけではなく、富士工学研究所がかねてから開発中だった宇宙作業用ロボットをベースにしてこのイザナミを開発し、私がパイロットとして選ばれて戦っているというわけ。
ロボットの操縦はパイロットの感性的なものが大きく作用するという。
男性ではなく私が選ばれたのも、感性的な理由が大きいらしい。
もちろん百鬼などに負けたくはないし、ゲッターチームにも遅れはとりたくない。
私は必死に訓練に励み、イザナミを乗りこなして見せたのだ。

「こちらイザナミ。パイロットの桜橋美由紀(さくらはし みゆき)です。司令部どうぞ」
『こちら司令部対策本部です。今石ヶ関(いしがせき)博士と変わります』
「了解」
私はイザナミアローで撃破された百鬼メカに近づいていく。
腹の部分を撃ち抜かれた百鬼メカはぴくりとも動かない。
これで四機目の撃破だ。
少しはゲッターチームに貢献できたかしら。
『桜橋君、石ヶ関じゃ』
「博士、ご覧になりましたか? 百鬼メカをやっつけましたよ」
『うむ、ヘリコプターからの映像で見ておったよ。ご苦労じゃった。帰還して休んでくれたまえ』
「了解しました」
石ヶ関博士はこのイザナミの主任開発担当者だ。
イザナミのことは隅々まで知り尽くしているといっていい。
女性らしい柔らかなフォルムの人間型巨大ロボットイザナミが、その全力を発揮できるのも博士たちのおかげ。
その努力を私が無にするわけにはいかないわ。

私は研究所がまわしてくれる輸送機の到着を待つ。
ゲッターロボと違ってイザナミには飛行能力はない。
そのため、専用の輸送機がイザナミを運んでくれるのだ。
イザナミのセンサーが輸送機の到着を伝えたため、私はイザナミを移動させようと輸送機に近づこうとした。
その時だった。

ガクンとイザナミは前につんのめるように倒れこむ。
「!」
私は必死でバランスを保とうと思ったものの、イザナミは脚がもつれるようにして地面に倒れこんだ。
シートベルトやエアクッションのおかげで怪我はしなくてすんだものの、コクピットにも衝撃が走る。
「な、何が?」
私は足元のカメラに切り替え、何が起こったのかを確かめた。
「えっ? これは?」
驚いたことに、イザナミの左足首ががっちりと掴まれている。
しかもそれは、あの倒したはずの百鬼メカなのだ。
まだ破壊しきれていなかったというの?
私はすぐに百鬼メカに止めを刺そうと、イザナミを立ち上がらせるために操作する。

ガリガリガリ・・・
何かが引っかかるような音とともに、立ち上がろうと手を着いたイザナミの両手に振動が走る。
「えっ? こんどは何?」
スクリーンに映されたのは、地面から現れた巨大な手。
それがイザナミの両手をがっちりと掴んでいるのだ。
地面の下に別な百鬼メカがいるんだわ。
『イザナミ! どうした、イザナミ!』
輸送機の機長の声が伝わってくる。
「こちらイザナミ。別な百鬼メカが!」
『よし、援護するからその隙に脱出を!』
「了解」
両手が封じられては力比べしかできはしない。
どうにか離脱して距離をとらなくちゃ・・・

輸送機が両脇に抱えたミサイルを、地面から突き出た手に向かって発射するために舞い降りる。
だが、突然地面から、その両手の持ち主と思われる百鬼メカの頭部が突き出してきた。
そして、その額についた角からビームを発射すると、輸送機はそのビームによって火だるまになってしまう。
「ああっ」
私の目の前で輸送機は地面に激突し、積んでいたミサイルもろとも爆発した。
「生駒さん・・・桐倉さん・・・くっそぉ!」
私はいつも助けてもらっていたパイロットたちの顔を思い浮かべ、イザナミのフルパワーで百鬼メカを振り払おうとレバーを思い切り引き寄せる。
グオーンという音がコクピットに響き、イザナミの巨体がかすかに振動して、全エネルギーを振り絞ろうとした。

「フギャ」
私の躰にショックが走る。
目の前が急速に暗くなっていく。
な、何が起こったの?
私がその理由・・・コクピットの絶縁を打ち消すほどの電気ショックを浴びせられたということ・・・に気が付くころ、私の意識は闇に沈んでいた。

                           ******

『こ・・・が・・・ナミの・・・ロット・・・』
『女性・・・とは・・・』
かすかに聞こえてくる誰かの声。
私はいったい?
ここは・・・どこ?
徐々に意識が戻ってくる中で、私はゆっくりと目を開けた。

「おお、目を覚ましたようですぞ、ヒドラー元帥」
片メガネの禿げ上がった老人が私を見下ろしている。
その隣には、まさか・・・あの歴史に出てきたヒトラー?
「クククク・・・これはなかなか、人間にしておくには惜しい美女ではないか」
違うわ・・・こいつの頭には両側から角が生えている。
老人の方にも額に角があるわ。
こいつらは鬼。
百鬼帝国の連中なんだわ。
私はすぐさま腰の拳銃に手を伸ばそうとした。

だがそれはかなわなかった。
私の手は動かすことができなかったのだ。
「くっ」
私は歯噛みしたが、私の両手も両足もいわば大の字のように台座の上に張り付けられているようで、手首足首のところで固定されているらしい。
何とかしようともがいたものの、私の力ではどうにもできなさそうだった。

「無駄なことはやめたまえ。その枷は人間の力でははずせるものではない」
「くっ」
私は悔しさに唇を噛む。
百鬼帝国の鬼どもがいるというのに・・・
妹を奪った鬼どもがいるというのに・・・
「イザナミのパイロットが女だったとは。いや、驚いたよ。クックック・・・」
ヒトラーそっくりの鬼が下卑た笑いを漏らす。
まさに鬼となったヒトラーというべきか。
「女で悪かったわね。残念だわ、これ以上お前たち鬼どもをのさばらせたくなかったけど、これまでのようね」
悔しいけどこれは私の油断。
イザナミのパイロットである私がおろかだったのよ。
私はここで死ぬだろうけど、後は頼むわ、ゲッターチーム。

「いやいや、君の人生はこれから始まるのだよ。そうだな、グラー博士」
ヒトラーのような鬼が傍らの老鬼に声をかける。
この白髪の老鬼はどうやらグラー博士というらしいわね。
「ひっひっひ・・・なるほど、それがよかろうかな? ヒドラー元帥」
負けず劣らずのいやらしい笑いをする老鬼。
こいつらはいったい何を考えているの?
私をどうするつもりなの?
殺すならさっさと殺しなさいよ。

「ひっひっひ、これが何かわかるかの?」
グラー博士が取り出したのはねじくれた円錐形のもの。
先が尖っていて、何か鬼の角みたいな・・・
私はぞっとした。
まさか・・・まさか?
「ほう、気が付いたかね? これは人間を我が百鬼帝国の一員として迎え入れるための角なのだ。これを移植すれば、人間といえども栄えある百鬼帝国の一員となることができるのだよ」
ニヤニヤと笑っているヒドラー元帥。
私は血の気が引いた。
私を・・・
私を鬼にするというの?
「君は人間としてはなかなかの美女だ。それに勇気もある。我が百鬼一族に迎え入れてもよかろう」
「じょ、冗談じゃないわ! 鬼なんか、鬼なんかになるものですか! 亜希(あき)を奪った鬼になんか誰がなるものか!」
私は必死に手足をばたつかせて、何とか戒めを解こうとした。

「ほう、お前はあの娘の姉妹か? なるほど似ておるわい」
「えっ?」
私は思わずグラー博士の方を向く。
「亜鬼、来るがいい」
老鬼が手招きする先を見た私は、心臓が飛び跳ねるのを感じていた。

「お呼びですか? グラー博士」
手招きに応じてやってきたのは一人の女性だった。
額に角が生えているけど・・・
まさか・・・
まさか・・・
「どうだ? この娘はお前の身内か?」
「はい、グラー博士。私の姉、美由紀でございます」
にこやかに微笑む顔は忘れもしない。
「亜希・・・」
私は妹の名を呼んでいた。
「久しぶりね、お姉ちゃん。お姉ちゃんがイザナミのパイロットだったなんて知らなかったわ」
昔と変わらない笑顔。
唯一つ違うのは・・・
彼女の額に角があることだった。
「亜希・・・あなたいったい・・・」
「うふふ・・・百鬼メカに破壊されたビルの中にいたとき、私は奇跡的に助かったの。ほかにも数人の人が助かったわ。私は彼らとともに百鬼帝国に連れてこられ、角を埋め込んでいただいたの。今ではグラー博士のお手伝いなどもさせていただいているわ」
「亜希・・・」
「うふふふ・・・おねえちゃん、今の私は亜希じゃなくて亜鬼なのよ」
私の目から涙がこぼれる。
亜希は・・・
亜希は死んだのだ・・・
亜希はあそこで死んだのだ・・・
この娘は亜希なんかじゃないわ。
「お姉ちゃん。心配しなくても大丈夫。すぐにお姉ちゃんにも角が埋め込まれるわ。そうすればお姉ちゃんも百鬼帝国の一員になるの。偉大なるブライ大帝様のしもべになれるのよ」
私はいっそのこと気が狂ってしまえばいいのにと思った。

「さて、おしゃべりはこれぐらいじゃ。早速手術をはじめようかの」
グラー博士が手術の準備に入る。
私は覚悟を決めた。
鬼になんかならない。
たとえ死んでも鬼になんかなるものか。
私は舌を噛み切ろうと口を開けた。

「おっと、そうはいかないぞ」
「はぐっ」
ヒドラー元帥が私の口に枷を嵌める。
そんな・・・
なんてことなの。
これじゃ舌が噛み切れない。
「クククク・・・何人もの人間が鬼にしてやるというにもかかわらずに死を選びおったわ。自殺などさせんよ。お前には百鬼の一員として働いてもらわねばな」
「ムググ・・・」
私は必死に口枷をはずそうとしたが、手も足も動かせない以上どうしようもない。
ああ・・・
誰か・・・誰か助けて・・・

キュイーンという音がして、私の額に歯医者の使うドリルの巨大なものが近づいてくる。
麻酔も何もかけられないらしく、私はその光景を黙って見ているしかない。
「ミヤーー!!」
口枷がはまっているせいで、自分でも何を言っているのかわからない。
「痛いのは最初だけじゃ。角が埋め込まれればすぐに痛みは消えうせる。その後は鬼としての自覚が生まれ、百鬼の一員としての誇りを持つようになるじゃろう」
「ヒギーーー!!」
私は目をつぶる。
額に激痛が走り、ゴリゴリゴリという振動が骨に響く。
そして、グッと硬いものが押し込まれたとき、私は何も考えられなくなった。

                          ******

亜鬼の差し出したタオルを受け取り、角の周りの血と、だらしなくたらしてしまった唾液を拭く。
あれしきのことでうろたえてしまった自分が恥ずかしい。
百鬼一族にあるまじき失態だわ。
確かにあの瞬間は人間などという下等な存在であったものの、角を埋め込まれるという光栄な瞬間に怯えを感じていたなんて・・・
「クククク・・・気分はどうだ? 美由紀よ。いや、今は美由鬼であったな」
「はい、ヒドラー元帥。とてもすばらしい気分ですわ。すぐにでも偉大なるブライ大帝様にお目通りを願い出て、その足元にひれ伏したく思います」
私は偽りのない気持ちを申し上げる。
そう・・・
偉大なるブライ大帝様に早くお目にかかりたい。
そうして今までのことをお詫びし、百鬼帝国の一員となった喜びを申し上げるのだ。
「クククク・・・それでよい。すぐにでもブライ大帝がお会いなされるだろう。だが、美由鬼よ、その前にやらねばならぬことがあることを忘れるな」
「もちろんです。ブライ大帝様の邪魔をする地上の人間ども。ことにゲッターチームをこの手で葬り去ることです」
そう、ゲッターチームこそブライ大帝様の邪魔をする憎き存在。
私がこの手で必ず葬り去ってやるわ。
「すでにお前のイザナミは、メカ美由鬼として改造を終えておるわい。いつでも出撃可能じゃ」
さすがはグラー博士。
イザナミもきっと喜んでいるに違いないわ。
「わかりました。早速出撃いたします」
私は百鬼帝国の一員としての新たなる黒い躰にぴったりしたパイロットスーツに着替え、メカ美由鬼の待つ格納庫へと向かっていった。

END

以上です。
お楽しみいただければ幸いです。
名前などはちょっと遊びすぎたかも。

それではまた来年。
皆様よいお年を。
  1. 2007/12/31(月) 19:14:29|
  2. 女幹部・戦闘員化系SS
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今年も終わり

今年もあと数時間で終わりです。

今年もたくさんの方々に大変お世話になりました。
それよりまして、このブログにご訪問くださっているたくさんの方々にはどなたよりもお世話になりました。
一日平均1000以上のカウンターが回るようになったのも、ひとえに皆様のご訪問があればこそです。
本当に大変に勇気付けられ、また楽しみにさせていただきました。

来年もできる限りにおいて更新を続けて行こうと思います。
皆様の興味のある分野、ない分野さまざまだとは思いますが、これも舞方雅人の趣味の一部分を形成しているのだなぁと思って、笑ってみてくだされば幸いです。

来年が、私にとっても皆様にとってもよい年になりますように。
皆様よいお年をお迎えくださいませ。
来年もよろしくお願いいたします。
  1. 2007/12/31(月) 10:33:23|
  2. 日常
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今年の総括

一 月:8日
二 月:4日
三 月:2日
四 月:4日
五 月:1日
六 月:0日
七 月:7日
八 月:5日
九 月:2日
十 月:3日
十一月:4日
十二月:4日(本日の時点で)
合 計:44日

今年のSSの掲載回数です。
約8.27日に一回。
昨年よりがっくりと落ちちゃいましたですね。
六月の0日は自分でもショック。orz

連載モノ的に書き流すということをあまりしなくなって、集中的に短編を載せるという形になったことで減ったんでしょうね。
来年はもう少し数をこなしたいなぁ。
がんばりまーす。

こんなSSを書いてほしいというのがありましたら、どうぞどんどんリクエストくださいねー。
それではまた。
  1. 2007/12/30(日) 18:52:56|
  2. ネット関連
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両大戦に参加しました

第一次世界大戦は、大砲と機関銃の戦争でした。
中でも機関銃は、たった一丁でも連続射撃ができている間は歩兵の進撃を止めてしまうほどの威力を持つ兵器でした。

機関銃から放たれる毎分何十発という銃弾は、生身の人間である歩兵には致命的であり、効果的に配置された機関銃を突破するのは不可能に近かったのです。

そこで登場したのが戦車でした。
エンジンの力で動き、装甲板によって内部が護られた戦車は、機関銃弾を跳ね返しながら進撃することが可能だったのです。

英国で生み出された戦車でしたが、英国製の戦車は側面から見ると巨大なひし形の箱に機関銃が突き出ているという形のもので、右側の機関銃は右側にしか、左側の機関銃は左側にしか射撃ができないものでした。

これでは一台の戦車に最低二丁以上の機関銃が必要になります。
機関銃が二丁になれば、操作する人員も必要ですし、重量も重くなります。
重くなれば大きなエンジンが必要で、大きなエンジンはやはり重たくなります。
結局重く大きい車体となり、運用面でも不都合が出てきます。

そこで、戦車に関しては後発となりましたが、同じ協商国軍であったフランスは、機関銃が一丁でも前後左右に射撃ができるように、車体の上に砲塔(銃塔)を搭載することにします。
砲塔形式であれば、回転させることによって前後左右に射撃ができるからです。

この考えの下に作られた戦車が、史上初めて回転砲塔を搭載した戦車、「ルノーFT」として採用されました。

ルノーFTは、小型の箱型車体の後部にエンジンを搭載し、車体からはみ出す形で両側につけられた履帯式走行装置を起動させ、車体上部に搭載された砲塔の機関銃で射撃を行うという、近代戦車の構造を完成させた戦車でした。
車体が小型で、機関銃も一丁で済んだために軽量で収まったことから、重量が少ないという頭文字でFTと名づけられたのです。

ルノーFTは最大装甲厚16ミリ、時速が最高でも約8キロというものではありましたが、軽量でコストも割りと低価格だったために、大量に発注されました。
第一次世界大戦の終結までに、何と三千両以上のルノーFTが作られたのです。

ルノーFTは第一次世界大戦の最優秀戦車とされ、戦後は各国に輸出されたりライセンス生産がされたりしました。
日本でも戦車の研究のために輸入されたのです。

ルノーFTは確かに優秀でしたが、それは第一次世界大戦においてはという注意書きが付くものでした。
しかし、戦後の世界恐慌はフランスにおいても新型戦車の発達を阻害してしまいます。

無論新型戦車はいくつも作られましたが、陸軍大国フランスの全戦車を新型にすることはできませんでした。
結果として、ルノーFTは1940年の第二次世界大戦でも働かなくてはなりませんでした。
フランス国内には二千両近くのルノーFTがまだ警備隊などに使われていたのです。

ですが、やはりルノーFTでは独軍の電撃戦に対処することはできませんでした。
性能面もそうですが、運用面でもフランスは独軍にかなわなかったのです。
ルノーFTも各地で撃破され、また降伏して独軍の軍門に下りました。

フランスの降伏によって、ルノーFTにも安息の日々が訪れるかと思いましたが、そうは行きませんでした。
独軍の根本的な戦車不足は、フランス製戦車の独軍使用という状況を生み出します。
ルノーFTもまた、独軍の十字マークをつけてご奉公することになってしまいました。

フランス国内のレジスタンスや、飛行場の警備など、主力の戦車を使いたくはないが戦車があると助かるというような状況でルノーFTは使われます。
結局ノルマンディーに上陸した米英軍を迎え撃つことまでルノーFTはさせられました。

1918年から1944年まで、息の長い使用にどうにか耐えたルノーFT。
フランス戦車としてはまさに異例中の異例の戦車だったのです。
  1. 2007/12/29(土) 19:28:30|
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豊家滅亡その10

中仙道を進む徳川軍主力が、上田などという地点で足止めを食らっているということなど夢にも思っていなかった家康は、東海道を一路西へ向かっておりました。

9月7日、西軍の一大勢力である毛利秀元、吉川広家、安国寺恵瓊の毛利勢に加え、長束正家、長曾我部盛親らの軍勢が関ヶ原東南の南宮山周辺に布陣。

9月11日、家康は清洲城に到着します。
ここで家康は驚くべき知らせを受けました。
なんと、先発して西上していたはずの徳川秀忠率いる徳川軍主力がまだ到着していないというのです。
家康はすぐに秀忠に使いを発するとともに、すぐにでも大垣方面へ向かわなければならないはずのところを、病と称して一日伸ばします。

翌12日、家康はひそかに藤堂高虎を呼びつけて東軍諸将の動きを確認し、今後のことを相談したといいます。
つまり、秀忠隊を待つことができるのかどうか、ということを相談したと思われます。
そして、待つことはできないという結論に達したのでしょう。

9月13日、家康は清洲城を出発。
石田三成が布陣する大垣城を指呼の距離に見る赤坂の東軍本陣に向かいます。

9月14日、毛利一門であり、太閤秀吉に重視された小早川隆景の養子秀秋が、関ヶ原南西の松尾山に着陣。
その兵力は一万五千を数え、大軍勢といっていいものでした。

松尾山には本来毛利輝元が着陣する予定だったとも言われますが、秀吉の愛妾であり秀頼の母でもある淀君が出陣を取りやめてもらうよう働きかけたとされ、小早川秀秋を入れざるを得なかったとも言われます。
ともあれ、西軍は東軍のこれ以上の進出を防ぐために、関ヶ原近傍に着陣を終えました。

同14日、家康も東軍本陣である赤坂の陣に到着。
葵の紋の幟や金扇の馬印が掲げられると、家康の着陣は直ちに西軍諸将の知るところとなり、諸将の間には多少の動揺が広がったといわれます。

石田三成は即座に手を打ちました。
腹心の家臣である島清興(しま きよおき:俗に島左近勝猛と呼ばれます)に五百の兵力を預けて杭瀬川に進出させます。

島は当ブログ2007年7月9日にも紹介しましたが、「三成に過ぎたるもの」と言われた名だたる武将でした。
わずか五百とはいえ、島に縦横の指揮をされれば無視できぬ兵力となるでしょう。
三成は先制攻撃によって味方の士気を鼓舞する作戦に出たのです。

杭瀬川は赤坂と大垣城の中間に位置する川でした。
赤坂側の対岸には東軍の小部隊が陣取っていたのです。
島隊はひそかに杭瀬川を渡河、対岸に放火し東軍を挑発します。
東軍は中村一忠(なかむら かずただ)と有馬豊氏(ありま とようじ)の両隊でしたが、この挑発にあっさりと乗せられてしまいます。

島隊は挑発が功を奏したと見るやおびき寄せのために後退。
中村隊と有馬隊は我先にと飛び出して杭瀬川を越えました。
ですが、そこには島隊の一部が伏兵として待ち伏せており、また宇喜多秀家の家臣明石全登(あかし てるずみ)率いる八百の軍勢も応援に駆けつけて側背から銃撃を加えます。
中村隊と有馬隊はこの攻撃に混乱し潰走。
杭瀬川の戦いは西軍の勝利で西軍の士気を高めました。

杭瀬川で一敗地にまみれた東軍は、大垣城攻略を主張する一派と、大坂城を目指すべしと言う一派に分かれて軍議はもめ、結局家康の主張に沿って佐和山城から大坂へ向かうと言うものに決定。

一方西軍も軍議が紛糾します。
島津義弘や宇喜多秀家は長途行軍を終え、赤坂で休息を取っているであろう家康の直属軍勢に対して夜襲を仕掛けると主張。
それに対し、三成や小西行長は毛利輝元や秀頼ご自身の出馬を待って決戦を挑むと主張して譲りません。
現在の目から見れば、夜襲をするべきだったかもしれないと言われますが、家康も夜襲に対しては警戒していたであろうため、一概には夜襲がよかったとは言えません。

結局こちらは、東軍が佐和山城に向かうとの情報が入り、大垣城から出陣、関ヶ原へ向かいます。

この東軍佐和山城へ向かうの情報は、家康が得意の野戦に持ち込むために流したもので、三成はそれに引っかかったと一般には言われておりますが、最近では三成は関ヶ原での迎撃を基本としていたとも言われ、既定の方針だったとも言われます。

ともあれ、東西両軍は関ヶ原に向かいます。
運命の慶長5年(1600年)9月15日の朝がやってまいりました。

その11へ
  1. 2007/12/28(金) 19:28:20|
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サントリバルの酒場

こちらも久しぶりの更新の「グァスの嵐」です。
なんか久しぶりすぎて忘れられているかも・・・
楽しんでいただければうれしいです。


19、
サントリバル島は小柄な島であり、中央にそびえる山からの斜面が急角度で海岸線に到達するため、人の住める平地がほとんど存在しない。
にもかかわらず、南側のふもとが何かでえぐられたような湾になっているため、天然の良港として知られており、さらに位置関係も周囲に散らばる島々に連絡しやすい位置にあるために、貿易の中継港としての重要性が近年とみに増している島である。
そのため、湾の周囲に新興の集落が作られ、中小の船舶が常時出入りするにぎやかなところとなっている島だった。
今、エミリオのファヌー『エレーア』は、そのサントリバルに到着していた。

サントリバルの港は人でごった返していた。
もともと狭い土地に加え、中継港としての重要性から各地の商人が集まっていることもあり、その使用人たちや船乗りが多いのだ。
無論、そういった連中目当ての詐欺やスリ、娼婦なども大勢いいる。
油断がならない代わりに楽しい町でもあるのだった。

エミリオたちはとりあえず積荷をギルドに引き渡し、その上でラマイカ方面に向かう積荷を捜すことにする。
ミューに関してはミューの希望に任せることにして、この島に残るならそれでもよいということに決めていた。
そのため、ミューの希望を確認する意味でも、陸の美味いものを今夜はみんなで食べに行こうという話になっていた。
ミューはもちろん遠慮したものの、エミリオとフィオレンティーナの二人に詰め寄られ、結局食事に出ることを了承したのだった。

「美味しい」
スープを口に運んでは幸せそうに目を細めているフィオレンティーナ。
確かにこのヤシガニとチルクのスープは絶品だ。
食えるものならなんでもいいというゴルドアンも夢中になって食べている。
それにちょっと塩味の聞いたふわふわのパン。
エミリオたちが運んできた小麦もきっとこうしたパンになるのだろう。
「運び賃としては悪くなかったからね。遠慮なく食べてよ」
エミリオが給仕を呼んで追加の注文をする。
健啖振りを発揮する三人を前にして、やはりミューだけは食事が進まないようだった。
「ミュー、つらいのはわかるけど食べなきゃだめだ。そんな顔をしていたらマスターが悲しむよ、きっと」
エミリオがパンの皿をミューの前に差し出す。
少女にとってつらいことであるのはわかっているが、いつまでも落ち込んではいられないのだ。
これからのことを考えなくてはならないのだから。
「ミューは食事の必要が・・・」
そう言ってミューは首を振る。
「ミューちゃん、お願いだから食べて。ずっと食事してないじゃない。そんなんじゃいつか倒れちゃうよ。お願いだから・・・」
フィオレンティーナも心配そうな表情でミューを見つめている。
彼女自身きっとつい先日までつらい日々だったに違いない。
姉が消息不明と聞いて、矢もたてもたまらずに飛び出してきたのだ。
泣きたい気持ちは同じだろう。
「ミューは・・・わかりました。食べます」
何か言いたげだったミューだが、皿からパンを掴み取ると、半分に割って食べ始めた。
だが、パンを半分とスープを少し飲んだだけで、スプーンを置いてしまう。
「ごめんなさい。ミューは少ししか食べられないのです。もうお腹いっぱいです」
「そうか・・・でもうれしいよ。食べてくれてよかった」
エミリオがにこやかに微笑む。
その表情はミューのシナプス回路にも温かみをもたらしていた。
「あ・・・いいえ、ミューこそ心配をおかけしてしまいましてごめんなさいです」
ミューはとても素直にそう言うことができた。

そのとき、どかどかと靴音も荒々しく一団の男たちが入ってくる。
そのいずれもが青い空で目立つように黄色い色のシャツを着て、広い襟をつけていた。
海軍の水兵によくある服装であり、事実男たちはリューバ海軍の水兵たちだったのだ。
「リューバ海軍だ。あのギャレーの連中かな?」
「わからん。だがどうする? ミューの姿を見られないほうがいいんじゃないか?」
ゴルの提案にエミリオもうなずく。
「そのほうがいいかも。奴らが食事に夢中になったころに抜け出そう」
「そうね。そのほうがいいわね」
フィオレンティーナまでもが、テーブルの上でエミリオとゴルドアンに顔を近づけてひそひそ話をしていることに、エミリオは思わず苦笑する。
いつの間にかフィオレンティーナはエレーアのいっぱしの乗組員のつもりなのだ。
それはエミリオにとっては気持ちよいものであり、多少困惑することでもあった。

「ミュー、いいね。とりあえず今日は船に戻るんだ」
「すみません、静かにしてくれますか?」
エミリオはミューが静かに水兵たちを見つめていることに驚いた。
その表情はまったく無表情と言っていいもので、何を考えているのかをうかがい知ることはできない。
幼さの残る女の子なのに、その無表情さはまるで人形のような感じさえうかがわせ、エミリオは一瞬戸惑った。
「ミュー・・・」
「あの人たちの話が聞こえます」
そう言ってミューは耳を澄ましている。
なるほど、無表情だったのはそういうわけだったのだ。
エミリオは納得すると、あの水兵たちの会話に耳を済ませるのだった。

「やれやれ、たまらんなぁ・・・」
「ぼやくなぼやくな。命令じゃ仕方ないだろう」
水兵たちは運ばれてきたマグを片手に一杯やっている。
どうやらこれから任務に就くらしい。
「二言目にはやれ自航船がどうの、じじいがどうの、女の子がどうの・・・結局てめえの尻拭いじゃないか」
「まったくだ。結局追っていた船は焼けちまったそうじゃないか。お偉いエスキベル提督が聞いてあきれるぜ」
「シファリオンの連中も哀れだが、こっちも災難だぜ。こちとらただの伝令船で通信を届けに来ただけだってのに・・・」
「これからこのあたりの島巡りってか? やってられないぜ!」
文句や愚痴を言いながらマグを傾けている水兵たち。
柄の悪い連中で、海軍でもあまり日の目を見ていない連中だろう。

「自航船?・・・焼けた?・・・女の子?」
「女の子ってのは・・・ミューのことか?」
「島巡りってことは・・・ミューちゃんを探しているって事?」
エミリオ、ゴルドアン、フィオレンティーナの三人が顔を見合わせる。
どうやら海軍はミューのことをあきらめていないらしい。
それに自航船って・・・
「ミュー・・・もしかして君のマスターは自航船に関係があったんじゃ?」
「それは・・・それはミューに対する質問ですか?」
ミューはエミリオに向き直る。
エミリオは黙ってうなずいた。
「ミューは・・・ミューは質問されれば答えないわけには行きません。先ほどの質問は・・・その通りです」
「やっぱりそうなのか・・・」
エミリオは理解した。
海軍がわざわざ乗り出してくるのも無理はない。
帆もオールもなしで動く船があるとしたら、それを一番ほしがるのは海軍だろうだからだ。

「ねえねえエミリオ、自航船ってなに?」
「自航船ってのは船乗りの間ではちょっと知られた怪談話みたいなもんだ」
エミリオに向けられた質問だったが、ゴルドアンがあとを引き継ぐ。
「怪談?」
「ああ、怪談といってまずけりゃ御伽噺だな。フィオは船って何で動くか知っているか?」
「むぅ、バカにしないでよ。船は風で動くわ。風に帆を張ってそれで動くのよ。さもなきゃオールで漕ぐか」
フィオレンティーナが少しむっとした表情で、まさにその通りの答えを出す。
船は大体そうやって動くものなのだ。
中には、川をさかのぼったりする場合に動物に引いてもらったりすることもあるけれど、それは例外中の例外だろう。
「その通りだ。だがな、自航船ってのは帆もオールも使わずに航行できるのさ」
ゴルドアンが自分のマグを空にする。
「えっ? 帆もオールも使わずに? どうやって?」
フィオレンティーナが目を丸くする。
帆もオールも使わずに船が航行するなんてありえない。
「わからん・・・わからんから手に入れようとする。もっとも、そんなのはよくある噂だとばかり思っていたが・・・な」
ゴルドアンは苦笑した。
  1. 2007/12/27(木) 19:24:41|
  2. グァスの嵐
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これまた謎

日本帝国海軍の歴史において、何隻もの戦艦が建造されたことは皆様想像が付くと思います。
しかし、日露戦争の日本海海戦に参加した三笠や、太平洋戦争中の沖縄特攻の大和など、知名度が高い戦艦はごくわずかでしょう。

かく言う私自身も、船好き軍艦好きでなかったら知ろうとも思わなかったでしょうし、知らないままだったと思います。
そんな日本帝国海軍の知名度の低い戦艦の一つに河内があるでしょう。

今の大阪府の一部の旧国名から命名された戦艦河内は、明治40年度計画で建造されました。
明治38年に日露戦争が終結しておりますので、戦後の計画艦ということになります。

河内は日本戦艦として初めて常備排水量(水や燃料などを一定数積み込んだ重さであり、基準排水量よりは若干重くなることが多い)で二万トンを超えた当時としては大型の戦艦でした。

明治45年に完成した河内は、艦首と艦尾に砲身長50口径の30センチ連装砲塔を一基ずつ備え、船体両舷に砲身長45口径の30センチ連装砲塔を二基ずつの合計六砲塔を備えるという重武装を誇ります。
しかし、舷側の30センチ砲と艦首艦尾の30センチ砲とは砲身長が違うため、単一の主砲を備えて一斉射撃によって敵艦を包み込むことのできるドレッドノート級(ド級)戦艦とは言いがたいもので、前ド級戦艦というべきものでした。

河内は石炭のほかに重油を炊くこともできるボイラーを備え、20ノットの速力を出せる馬力を持っており、僚艦摂津とともに日本戦艦隊の一翼を担います。
大正前半期の主力艦でした。

ところが大正7年7月12日、前年の大正6年に巡洋戦艦筑波が乗組員の不始末と見られる弾薬庫の爆発で沈んで以来、火気の取り扱いには充分注意を払われていたはずであるにもかかわらず、河内の右舷前部主砲弾薬庫が突然爆発。
港内に停泊していたときではありましたが、艦内で任務についていた乗組員960名中618名を道連れにして沈没という大惨事が起こります。

殉職者の多さに海軍は愕然となりましたが、原因究明は思うように進まなかったようで、結局原因は不明のまま。
河内の残骸はそのまま解体処分となりました。

日本帝国海軍がその終焉までに建造した戦艦は29隻に及びますが、その一割の3隻が火薬庫の爆発によって戦闘になんら寄与することなく失われたそうです。
多量の国力を傾注して作り上げた戦艦が、何もできずに失われる。
これも軍備の愚かしさの一端なのかもしれませんですね。

それではまた。
  1. 2007/12/26(水) 19:35:13|
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不運な戦艦たち

かつて海戦の主役、花形は巨大主砲を搭載した戦艦でした。
航空機という三次元機動を行う兵器が海上にまで進出する前は、まさに戦艦が海上戦闘の主役であり、国力の象徴でもありました。
海を渡ってどこにでも行くことができる戦艦は、ある意味で大陸間弾道弾と同じくらいの国家間に与える影響の大きい兵器だったのです。

明治維新の後、列強の海軍力に追いつくべく必死で海軍戦力を増強してきた日本帝国海軍でしたが、日清戦争には中小型艦と速射砲で清国海軍に勝利したものの、列強の海軍力とはまだまだ大きな開きがありました。
特に、三国干渉以後、日本の仮想敵国となったロシアにおいては、当時はかなりの海軍力を有する国であり、太平洋とバルト海にそれぞれ有力な戦艦を多数配備しておりました。

そのロシア帝国が、最新最大最強の戦艦として日露戦争直前に完成させてきたのが、ボロディノ級戦艦でした。
ボロディノ級戦艦は、当時フランスで建造されたロシア戦艦チェザレウィチの図面を元に、ロシアが改正を加えたもので、いわば改チェザレウィチというべきものです。

排水量は一万三千トン。
全長は120メートル。
最大幅は23メートル。
速度17・5ノットの高速と、30センチ連装砲塔二基を前後に搭載する当時としては強力な戦艦だったのです。

ボロディノ級戦艦は、まさにロシア帝国海軍の主力であり象徴でありました。
ボロディノ、インペラトール・アレクサンドル三世、アリョール、クニャージ・スワロフ、スラヴァの五隻が同型艦として作られ、そのうちのスラヴァ以外の四隻が対日戦(日露戦争)に参加することになるのです。

ロシア帝国海軍最新最大最強の名をほしいままにしたボロディノ級戦艦は、皇帝と海軍首脳の期待を一身に受けて、ロジェストウェンスキー提督指揮の元、第二太平洋艦隊(いわゆるバルチック艦隊)の主力として遠く太平洋へ向かいます。

バルト海から大西洋、アフリカの南端喜望峰を回りインド洋へ、そして東シナ海から日本海へとやってきた第二太平洋艦隊は、途中旧式戦艦群からなる第三太平洋艦隊も加えて兵力的には優勢な状況で日本海軍と対戦します。
いわゆる日本海海戦です。

この日本海海戦において、ボロディノ級は主力として華々しい活躍を収め・・・られませんでした。
それどころか、日本海軍によって完膚なきまでに打ちのめされるのです。

ボロディノ・・・沈没。
インペラトール・アレクサンドル三世・・・沈没。
クニャージ・スワロフ・・・沈没。
アリョール・・・降伏後日本海軍に接収されて日本海軍戦艦石見となる。

参加した四隻すべてが失われたのです。
ロシア帝国海軍にとっては悪夢だったでしょう。
後のミッドウェー海戦での日本海軍以上の悪夢かもしれません。

後にボロディノ級ではたった一隻残ったスラヴァも、第一次世界大戦によって喪失。
同型艦のことごとくが戦争によって失われるという悲運の戦艦たちとなってしまいました。

日本海軍の主力たる三笠や敷島あたりと比べても、まったく遜色のない戦艦であり、まさにロシア帝国の誇る戦艦でありましたが、取り扱う人間その他の条件の差が、こういった不運を与えてしまったのでしょうね。

それではまた。
  1. 2007/12/25(火) 19:31:25|
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貨車の中身

本当に本当に久しぶりでボトムズ更新です。
お待ちしてくださった方々(いるのかな?)、お待たせいたしましたー。


7、
吹き付ける吹雪にぎしぎしと音を立てている貨車の扉。
電磁ロックをかけられた上にチェーンが巻かれて南京錠が掛かっている。
『へっ。えらく厳重じゃないか。こいつはやはりこっちが本命だな』
列車には貨車が三両目と五両目につながれていた。
大事なものを運んでいるとすれば、人間心理的にも真ん中に置きたいだろう。
おそらくラートルの言うとおりだわ。
「周囲の警戒を怠らないで。何があるかわからないわ」
『わかっているよ。大丈夫』
ユジンのファッティーが私とラートルの背後を固める。
おかしいわ・・・
ターロス大尉とシフォン、それにマ・フォンの姿が見えない。
敵との交戦はほぼ終わったはず。
列車の反対側から五両目の貨車に取り付いている?
『開けるぞ』
ガキンという音がして、ラートルのファッティーが貨車の扉にかかった南京錠をねじ切った。
だが、電磁ロックに関してはねじ切るわけには行かない。
どうする?
カタパルトランチャーじゃ・・・って、えっ?
私の目の前でラートルのファッティーの右手の拳が貨車の扉をぶち抜いた。
まったく・・・
乱暴なんだから。

ひしゃげた扉をこじ開ける。
外された扉は雪原に投げ捨てられて雪に沈む。
先ほどまでの喧騒は鳴りを潜め、風と雪の音だけが聞こえている。
ラートルがファッティーから出て貨車の中にもぐりこむ。
どうやらブービートラップは無いらしい。
『中身はどうだ?』
背後からゆっくりと姿を現す二機のファッティー。
ターロス大尉の機とシフォンの機だわ。
マ・フォンはどうしたのかしらね?
『聞こえないのか? 中身はどうなんだ?』
『焦りなさんなよ大尉殿』
ラートルのだみ声が中から聞こえてくる。
私も扉の陰から中を覗いてみた。
『見なよ。こいつはどうなっているんだい? がはははは。俺たちゃ大金持ちだぜ!』
ラートルが笑っている。
中はトランクケースの群れ?
そのうちの一つがラートルに持ち上げられている。
『見ろよ! 中身は金塊だ!』
さかさまにされたケースからガラガラとこぼれ落ちる金塊。
まさかこの貨車いっぱいのケースが全て?
これが全て金塊だというの?
『それと・・・』
ラートルがケースの奥を指差した。
『ガキが一人だ』

ガキ?
私はファッティーのハッチを開け、貨車の中に入り込む。
貨車にはスペースの半分ほどがトランクケースで覆われ、その奥に大型のケージのようなものがある。
その中には驚いた事に水色の髪の少女が一人入っていたのだ。
「こ、これは・・・」
こんなところに少女が?
防寒用のコートを着ているが、寒いのか恐ろしいのか震えている。
かわいそうに・・・
こんなところでいったいなぜ?
その時私は彼女の背中に広がるものに目が行った。
羽根?
羽根だわ。
この娘は羽根を持っている。
恐る恐るといった感じで顔を上げる少女。
その透明で青い瞳が私を見上げる。
なんて・・・
なんて澄んだ目だろう・・・
この少女はいったい?
「大尉殿、これはいったい?」
私は大尉の方を振り向いた。

『アイスブルー、キャリアが来た。早く金塊を運び出せ』
「金塊を?」
『そうだ。そんなガキなどどうでもいい。さっさと運び出すんだ』
見ると、ラートルと大尉はATキャリアにせっせとケースを積み込んでいる。
そういうことか・・・
ゲリラへの武器だなんて真っ赤な嘘。
金塊輸送列車の襲撃だったってわけか・・・
やってくれるわね・・・
「大尉殿、マ・フォンはどうしたんですか?」
『黙って手伝え。マ・フォンは死んだ』
「死んだ? なぜです?」
私はゾクッとした。
貨車の外から強烈な殺気を感じたのだ。
これは?
『直撃を食らった。即死だ。いいから手伝え』
ターロス大尉が苦々しげに私の方を見る。
どうやらここはおとなしくした方が良さそうだわね。

吹雪が収まってくる。
『そろそろ奴らも戻ってくるぞ。このあたりで引き上げる』
大半のケースを積み終え、ターロス大尉がファッティーに戻って行く。
「大尉殿、あの少女は?」
私はあの少女をケージから出して毛布をかけてやっていた。
ケースの運び出しで忙しかったので、まだ言葉を交わしてはいないが、少女は少しだけ微笑んでくれた。
『放って置け! 引き上げる!』
「大尉殿! こんなところに放って置いたら死んでしまうわ」
『そんなことは知らん。行くぞ!』
私は唇をかみ締めて少女のところへ駆け戻る。
『アイスブルー! そんなのは置いて行け!』
そんなことできるはずないじゃない。
この酷寒の地じゃヒーターが切れたら死んでしまうわ。
連れて行くしかないのよ。
私は少女の手をつかむと、有無を言わせず立ち上がらせる。
さらさらとした水色の髪の毛が流れるようにきらめいている。
「行くわよ。付いて来なさい」
私がそういうと、驚いたことに少女は少し微笑んだ。
そして小さくうなずくと、黙って私に付いてきた。

『アイスブルー! 何している!』
うるさいわね。
今行きますって。
私はファッティーの狭いコクピットに無理やり彼女と入り込む。
彼女が小柄な少女でよかったわ。
これが成人女性ならそうは行かないところ。
それにしても・・・
彼女はいったい何者なの?
背中に羽根って、そんな種族は聞いたこともない。
どっちにしても見過ごせないし、連れて行くしかないんだわ。
ターロス大尉はいやだろうけど、向こうも作戦目的をだましたんだからお互い様。
それに・・・
いや、よしておこう。
悪い予感は口にするものじゃないわ。
  1. 2007/12/24(月) 20:09:42|
  2. ボトムズSS
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今年のプレイ収め

数多くのシミュレーションウォーゲームを楽しめた今年の最後を象徴するかのような、三日連続のウォーゲームの最終日でした。

今日は札幌歴史ゲーム友の会にお邪魔してまいりました。
これで今年のウォーゲームのやり収めです。

私が到着したのは11時ごろでしたが、会場にはすでに皆さん集まっておりました。

SA3A0006.jpg


これはASLのスペイン内戦シナリオ。
なかなか白熱していたようです。

SA3A0004.jpg


冬の定番バルジ戦のIRON TIDO。
独軍の突破なるか?
チット引きに力が入りそうです。

SA3A0005.jpg


かっぱ様の力作、大判マレンゴです。
何とB0版の巨大マップに立体のユニットで、気分は作戦司令部の戦況図。
オーストリア軍が仏軍を圧倒していたようでした。

SA3A0003.jpg


私はウォーゲームのプレイはほぼ初めてとおっしゃるY氏とエチオピアのライオンをプレイ。
写真はエチオピア高地の各地に散らばるエチオピア軍の初期配置です。

私がエチオピア軍でY氏がイタリア軍を担当。
お互いにルールを確認しながらのプレイでしたが、やはり初心者と言うことでY氏のイタリア軍は部隊が突出気味。
多少気がとがめたものの、ここは包囲の怖さを知ってもらおうとエチオピア軍で包囲攻撃します。
ただ、包囲されたイタリア軍も結構強力なために、包囲に二度耐えておりましたが、やはり最終的には除去されてしまったため、イタリア軍は戦力ががた落ち。
イタリア軍側にほぼ勝利の可能性が費えたのでそこで投了いたしました。

初心者にはちょっとつらい展開だったかもしれませんが、多少はウォーゲームの楽しさを知っていただけていればよかったかな。

さて、今年はずいぶんとたくさんのウォーゲームの回数をこなすことができました。
来年このペースでできるとはとても思えませんが、また楽しくウォーゲームができればいいなと思っております。
いつもお相手をしていただくG先輩。
お邪魔させていただきました札幌歴史ゲーム友の会の皆様。
本当にありがとうございました。
来年もまたよろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2007/12/23(日) 19:28:37|
  2. ウォーゲーム
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ゲーム二連荘

昨日の夜と今日の午後とでゲーム二連荘やりました。
もちろん別々の方とですけども。

夕べはあの名バカゲー「バグ・アイド・モンスター」をM先輩とプレイ。
二時間ほどで終わるゲームですので、ビール片手に笑いながらのプレイでした。

フリーダムの村に現れたBEMどもはM先輩の指示のもと、ねーちゃんを目指して二手に分かれます。
早速忍び込んだホルムグレン家とジョンストン家。
ジョンストン家のベスおばさんは色気が3、ホルムグレン家のエミリア奥さんは色気が4とそこそこで、早速忍び込んだBEMどもは半数が肉欲の虜に。(笑)

ですが、残ったBEMががんばって、どうにか二軒とも旦那も奥さんも気絶させ、まずは順調な滑り出しかと思われました。
しかし、ホルムグレン家は隣がビューエル家。
隣接へクスで射撃や格闘戦があった場合、家人は自動的に目を覚ましてしまいます。
ビューエル家の三人の女性たちは、すぐさま車で逃走、夫は窓からBEMに向かってショットガンを撃ち放ちます。
逃走したビューエル家の女性は、一人が教会に駆け込んで鐘を鳴らそうとします。
BEMが追いかけたんですが、やはり肉欲チェックに失敗、動けなくなったところで村中に鐘が鳴り響き・・・

ここからは先日のプレイと同じように、BEMと村人の虐殺合戦。(笑)
BEMのレーザーに村人が焼かれ、村人のチェーンソーがBEMを切り裂きます。

結局BEMは女性を三人さらったまでで一体を残してみな死亡。
残り一体がどうにかこうにかUFOで逃げ去り、人類側の勝利となりました。
やっぱりこのゲーム、BEMはちょっとつらいみたいですね。

今日はいつものG先輩と「ブダペスト45」(CMJ13号付録)をプレイ。
先輩がソ連軍を担当し、私が独軍を担当しました。

私は重点をあまり形成せずに、全域で攻勢をかける作戦を取り、その上で手薄なところから突破を狙います。
ブダペスト市内の味方が健在なうちに何とかルートを開かねばなりません。

重点を形成しないと言う手段は、北部、中央、南部いずれも手詰まり状態と言うつらい状況に陥ります。
せっかく穴を開けても、そこを広げきることができません。
唯一突破した装甲師団も、後続が続けずに補給を切られて孤立します。

三回の奇襲を使ってソ連軍の前線をじわじわと押し上げることには成功したものの、肝心のブダペスト市街への到達がままなりません。
あと一手で到達と言う瞬間を三度迎えましたが、いずれも穴をふさがれました。
先輩いわく、そこまで考えていなかったというのですが、的確に穴をふさいでくるんだよなぁ。

結局、第八ターンのヒトラーの命令で二個装甲師団が引き抜かれた時点で突破の可能性が費えたと判断し投了となりました。
総統のばかぁ!!

でもこのゲームは面白いですねぇ。
途中すごくじりじりしながら相手の手を食い入るように見てしまいます。
そこにくるな・・・
そこにくるな・・・
ここをこう行ってここまで行けば・・・
ここさえ突破できれば・・・
独軍は前線指揮官の胃の痛くなるような苦悩が味わえると思います。
またプレイしなくては。

それではまた。
  1. 2007/12/22(土) 19:59:20|
  2. ウォーゲーム
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舞い降りたコウノトリ

プラモデラーの皆さんであれば、知らぬ者はないと思われる日本の代表的模型メーカー田宮模型。
この長い歴史を持ち、技術力でも世界に名を知られたタミヤのプラモデルのシリーズに、1/48傑作機シリーズがあります。

この1/48傑作機シリーズが、このたびついに100作目を迎えることになったとのことなんですが、その100作目のアイテムとして選ばれたのが、新鋭のジェット戦闘爆撃機でも、有名なレシプロ戦闘機でもなく、何と何と軽連絡偵察機であるフィーゼラーFi-156シュトルヒ(コウノトリ)でした。

もともとドイツ空軍の使用する軽連絡機としてフィーゼラー社が設計をした航空機がFi-156でしたが、このFi-156には目覚しい短距離離着陸(STOL)の能力がありました。
何と、少々の向かい風さえあれば、たった50メートルほどで離陸ができ、着陸にも20メートルほどの長さの場所しか必要ないというものだったのです。
現代の空港が軒並み2000メートル以上の滑走路を備えなくてはならないことと比べれば、Fi-156がどれだけ短い距離で離着陸できるかわかると思います。
ヘリコプターではなく航空機でこれだけの短い距離での離着陸が可能な機体というのは、現代でもちょっと見当たらないでしょう。(VTOL除く)

Fi-156は、その直線的で大きな翼を上部に持ち、ショックアブソーバー内蔵の長い主脚をぶら下げて飛ぶスタイルから「シュトルヒ(コウノトリ)」と名づけられ、その類まれなる短距離離着陸性能からすぐにドイツ軍の軽連絡偵察機の主力となりました。

頑丈な主脚は前線の荒れた地面の滑走路からでも飛び立つことができ、ちょっとした広場さえあれば着陸できる便利さから、前線でのちょっとした敵情偵察や部隊間の連絡、高級将校の移動などに多用されることになります。
あのロンメル将軍も、アフリカではFi-156に乗って英軍の様子を偵察したり、各部隊間を移動したりと便利に利用したようです。

Fi-156の一番の見せ場だったのが、イタリア降伏後にグラン・サッソ山の山頂の山荘に監禁されたムッソリーニを独軍が連れ去った事件でしょう。
山の頂上付近のごくわずかな平地にFi-156は着陸し、ムッソリーニを乗せて飛び立っていったのです。
まさにFi-156なくしてはこの作戦は成立しなかったと言っても過言ではないと思います。

後に日本帝国陸軍もこのFi-156を参考に購入。
これを元にして三式指揮連絡機が独自開発されることになるのです。
洋の東西を問わず、こういった便利な機体は需要があったんでしょうね。
戦後もFi-156は1960年代まで使われたとのことです。

それではまた。
  1. 2007/12/21(金) 21:19:21|
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いい意味でのバカゲー第二弾

「バグ・アイド・モンスター」に続くバカゲー(あくまでいい意味でですよ。誤解なきよう)の第二弾です。
これはかつて和訳つきでも輸入され、タクテクス誌の付録にも付いたことがあるので、ご存知の方は多いかも。

その名も「死霊の夜明け」(Dawn of the Dead)。
まさに映画「ゾンビ」のタイトルそのまんまです。

ゲーム自体も、あのゾンビの映画さながらに、ショッピングセンター全体をマップに納め、そこに立てこもる四人の人間が、ショッピングセンター内のゾンビゴマをすべて除去するというものなんです。

ショッピングセンターに立てこもる人間は、ロジャー、ペーター、スティーブ、フランの四人。
これは映画とまったく同じです。
彼らには、それぞれ射撃数や移動力などがあり、店内を移動してゾンビどもを撃ち倒して行きます。

ゾンビは一つのコマがゾンビの集団をあらわしており、コマの裏側の数値がそのコマに含まれるゾンビの数を示しています。
射撃戦では、サイコロ二個でその数以上を出すと、ゾンビコマの排除に成功となります。

排除しても安心はできません。
ゾンビはシャッターを閉めない限り、店外から店内へ入り込んできます。
シャッターを閉めない限り、いつまで経ってもいなくなることがないのです。

人間たちは力をあわせて店内から使える物を集め、シャッターを閉めて店内を安全なものにするのです。
うまくそれが達成できれば(ゲーム上は)勝利となります。

一方ゾンビ側は、人間側に排除されないうちに人間たちを殺すか、感染させてゾンビにするしかありません。
そうです。
このゲームでも、ゾンビに襲われて怪我をすると、感染してゾンビになってしまうことがあるのです。

ゾンビになってしまった人間コマは、スーパーゾンビ(笑)コマと取り替えられ、ゾンビ側が動かすようになります。
スーパーゾンビはかつて知り合いだったと言うことで、人間側が攻撃するときには必ず恐怖判定を行わなくてはならず、多少厄介な相手になっています。

果たして四人は無事にショッピングセンターを安全な場所にして生き延びることができるか?

うーん・・・これまた楽しそうなバカゲー(褒めてます)ですよね。
いつかはやりたいゲームです。
M先輩(いつもの先輩とは違う方)が結構乗り気なので、いずれプレイできればその様子をご報告します。

それではまた。
  1. 2007/12/20(木) 19:52:29|
  2. ウォーゲーム
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今日もクトネタ

昨日一昨日とTRPGも含めたクトゥルフネタで書いたんですが、今日も懲りずにクトゥルフネタで行こうと思います。
と言っても、今日は悪堕ちやMC好きな舞方の嗜好に合うクトネタを少々。

TRPG「コール・オブ・クトゥルフ」には、いくつものシナリオやサプリメント(プレイ用補助資料のこと)が出されておりますが、その中には結構私の好みに合うネタも出てきます。

たとえば、日本で訳出された小説になっているかどうかわかりませんが、ラムジー・キャンベル氏の「湖の住人」と言う小説に出てきたグラーキというモンスター。
これもルールブックのモンスター集の中に入っているんですが、このモンスターは人間の夢を操りおびき寄せることができるんですね。

夢を操られておびき寄せられた人間は、湖から姿を現した巨大なハリセンボンと言った感じのグラーキに出会います。
グラーキはそのおびき寄せた人間の胸に無数に生えているとげの一本を突き刺します。
突き刺された人間はとげの毒によって死んでしまうのですが、とげの先端は折れて犠牲者の体内に残ります。
そして、その先端は犠牲者の中で成長してやがて犠牲者の肉体をコントロールし、ゾンビのように操り始めるのです。
グラーキはこうして意のままになるしもべを増やし、テリトリーを広げて行くのです。

とげに刺された犠牲者が死んでしまうのがちょっと残念なんですが、刺されても死なずにただコントロールされるとか、普段は普通に暮らせるが、グラーキの指示を受けるとすぐに人形となってしまうようなのだと結構楽しいと思いません?
数多くクトゥルフのマスターやってきましたけど、グラーキは結局一回も出さなかった気がするなぁ。
なんかプレイヤーキャラが野郎ばっかりだったせいで、野郎を操っても面白くないと思ったからかも。

同じラムジー・キャンベル氏の「シャガイよりの昆虫」と言う小説に出てきたシャンと言う昆虫型モンスターも面白いですね。
これはもうまさに脳に寄生する寄生体でして、犠牲者の脳に入り込み、夜寝ているときになどシャンは犠牲者に恐怖の記憶を植え付けたり、行動に駆り立てられる衝動を植えつけたりしてシャンに奉仕させるのです。
やがて犠牲者はシャンの言いなりになり、そのうちに発狂してしまうのですが、寄生されて言いなりにというのはいいですよね。
ラムジー・キャンベル氏は犠牲者を言いなりにするのが好きだったのかな?

「ウェンディゴへの挑戦」と言うサプリメントは、サプリメントではなくゲームブックに当たるんですが、プレイヤーはミスカトニック大学の若き教授(男でも女でも可)として、学生たちと一緒にカナダの森林に先史文明の調査に出かけることになります。
そしてパラグラフの指示に従い読み進めて行く典型的なゲームブックなんですが、結構面白いシチュが入っておりました。

奥地に入り込んで行くと、原住民と接触したりするんですが、その中に老婆の魔術師がいたりして、学生の中の女性かプレイヤーが女性だった場合にはプレイヤー自身の肉体を狙ってきたりするんですね。
運悪く判定に失敗したりすると、女子学生もしくは自分自身が老婆の知識を受け継いで魔術師となってしまったりするんです。

さらに、この森にはウェンディゴと呼ばれるモンスターがいるのですが、パラグラフの進め方によっては、自分自身がウェンディゴとなってしまう結末もあったりするんですよ。
しかも、ウェンディゴとなってしまいました、おしまい、と言うのではなく、ちゃんとウェンディゴとして人間を襲うまでが書かれているんですね。
なかなか楽しめますが、まあ、生きて帰れる結末にはまずたどり着けないでしょう。(笑)

他にもTRPG「コール・オブ・クトゥルフ」には楽しいシナリオも素敵なモンスターもいっぱいです。
やってみるとハマると思いますよ。

それではまた。
  1. 2007/12/19(水) 21:05:41|
  2. TRPG系
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恐怖をロールプレイ

2006年7月29日付の当ブログでも一度取り上げているんですが、昨日チラッと書きましたので、しっかりとご紹介。

舞方はTRPGをもう20年以上やり続けています。
D&Dだったり、TRAVELLER(トラベラー)だったり、T&Tだったり、ルーンクエストだったりするわけですが、中でも恐怖と爆笑のロールプレイゲームとして、「コール・オブ・クトゥルフ」は好きなTRPGの上位に来るものでした。

TRPG(テーブルトークロールプレイイングゲーム)は知っている人も多いでしょうが、マスター(レフリーとかキーパーと呼ばれることも)と呼ばれるストーリーの提示役兼判定役がいて、マスターの提示するシナリオを各プレイヤーが演じるキャラクターが進めて行くというゲームです。
つまり「コール・オブ・クトゥルフ」は、マスターがクトゥルフ神話(とは限りませんが)の物語を提示して、プレイヤーたちが演じる探索者たちが、恐怖の謎を解き明かして行くのが基本となるTRPGとなるのです。

各プレイヤーは基本的に一人のキャラクターを作って、そのキャラクターを演じる(ロールプレイ)するわけですが、「コール・オブ・クトゥルフ」には、一般的なTRPGのキャラが持つ筋力や耐久力、知力などといったパラメータのほかに、“正気度”というものを持っています。

この正気度は、キャラクターの精神力(サイコロ3個の合計で3から18の間)を五倍したもので、最低が15から最高が90という幅の広いものになります。
当然この正気度が高いほうが、正気でいられる可能性が高く、人類社会において他者と問題なく交わっていけるわけですが、この正気度はゲーム中にさまざまなことで上下します。
この正気度こそが「コール・オブ・クトゥルフ」の最大の特徴といってもいいでしょう。

シナリオを進めて行く上で、探索者はいろいろな事件に巻き込まれたり、自ら事件に飛び込んでいったりすることになります。
たとえば、最近事故で両親を失ってしまった少女が、遺産を相続したものの、それ以来何かに狙われているような気配を感じて恐ろしく思っているため、プレイヤーの一人である私立探偵に身の安全と調査を依頼して来たというようなことをマスターが提示するわけですね。

そこで、探偵役のプレイヤーは自ら少女の周囲を調査するとともに、たとえば警察にコネのある新聞記者役のほかのプレイヤーや、オカルト的な事件に興味を示す大学教授役(ミスカトニック大学の教授かもww)のプレイヤーなどにも声をかけて、マスターの提示する謎は何なのかを調べようとするわけです。

で、その途中でさまざまな事柄が、キャラクターから正気度を奪って行くわけなんですね。
たとえば、何者かが少女に対して脅しの意味で猫の死体を送りつけたとしますと、その猫の死体を見たショックで1減ったとか、実は両親は事故ではなく邪神に対するいけにえとされたことを聞かされ、その凄惨な様子を知ってしまったので3減ったとか、さらにはゾンビとなって少女に会いに来た母親の姿を見てしまったので6面サイコロ一個分減ったとか、実に多様なことで正気度は減って行きます。

クトゥルフ神話系のモンスターを見てしまったりすると、正気度はもう劇的に減って行きます。
かのクトゥルフ御大を見てしまったりしたときには、%サイコロ(10面サイコロ二個振って、片方が十の位、もう片方が一の位で、00は100をあらわすとしたもの)で減るので、恐怖に鈍感な人はなんかいるなぁぐらいで1しか減らないのに、敏感な人は一瞬で正気を失う100減るということもあるんです。
まあ、そんなのが出た日にゃゲームは終局でしょうけどね。

まあ、正気度が0になってしまったキャラクターはマスターの手にゆだねられてNPC(ノンプレイヤーキャラクター)になるのですが、一定時間内に一定割合の正気度を失った場合に一時的狂気に陥る場合があります。

私がプレイヤーをやらせていただいていたときに、やはりその一時的狂気に陥ったことがありまして、そのときにマスターが「狂ったロールプレイができるならやってもいいよ」といってくれたので、一時的狂気のキャラクターをプレイさせてもらいました。

私はそのとき先ほどの探偵役だったんですが、もう極端な行動に走ることにしまして、少女を守るということにのめりこませたんです。
つまり、少女の周囲で何か恐ろしいことが起きつつある→少女を周囲から隔離して守らなければならない→少女に近寄るものはすべて敵であると極端な解釈をキャラクターにさせ、その結果、私のキャラはあろうことか少女を拉致監禁した挙句、心配してたずねてきた友人や少女の知り合いを射殺するという行動に出たのです。

まあ、結局そのあと他のプレイヤーキャラと銃撃戦になり、病院に担ぎ込まれたあと逮捕された気がしますが、それなりに狂ったキャラを演じられたかなと思いました。
狂ったキャラというのもなかなか楽しいものですよ。(笑)

それではまた。
  1. 2007/12/18(火) 20:33:38|
  2. TRPG系
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ミスカトニック大学

脇のほうに応援バナーも貼らせていただきましたが、来年春にブラックサイク様から「闇の声ZERO」が発売されますね。
「闇の声」シリーズは大好きなエロゲですので、発売が今から楽しみです。

その「闇の声ZERO」の公式サイトには、登場人物の項目がありまして、各登場人物のざっとしたプロフィールが載っているんですが、そのプロフィールに思わずにやりとさせられてしまいました。

登場人物に、なんとあの「ミスカトニック大学」の関係者がいるではありませんか。
もちろん、アーカムにある本校ではなく、日本校という設定ではありますが、「闇の声」シリーズもあの壮大な神話系の一端に連なることになったんですね。

で、何のことかわからないという方も多いと思うので、ちょっとご説明。

皆様は「クトゥルフ神話」(クスルフとかクトゥルーとかク・リトル・リトルとか呼び方はさまざま。私はクトゥルフと表記させていただきます)はご存知でしょうか?
もちろんこれは架空の神話体系でして、もともとは神話ですらなかったものでした。

1890年生まれのハワード・フィリップ・ラブクラフトという作家さんが、パルプ雑誌「ウィーアードテイルズ」に掲載していたいくつかのホラー小説。
そのホラー小説の作品群を系統立てて行くうちに形になってきたのが「クトゥルフ神話」と呼ばれるもので、宇宙には人類が知らないほうがよい(知ってはいけない)さまざまなことがあり、それを知ったものは恐怖に打ちひしがれてしまうというものです。

ラブクラフト自身がそこまで系統立てて考えていたとは思えませんが、後にオーガスト・ダーレスなどさまざまな作家さんが後付けの神々(と呼んでいいのか?)を付け加えていったりまとめたりして、神話体系と呼ばれるものに膨れ上がっていったんですね。

そのラブクラフトが作中に出した架空の街マサチューセッツ州アーカム。
ラブクラフトの作品の基本となる1920年代(彼が作品を発表していた時期)においては、ボストンには及びませんが、それでもなかなか大きな街だったようです。
近くには魚人が住むといわれ、異形な魚面をした住民のいる港町インスマス(インスマウスと書かれたりもしますけど、ポーツマスやウェイマスのように地名としてはインスマスの方がいいと思うなぁ)があり、街には近代的な大学ミスカトニック大学があるという設定です。

このミスカトニック大学というのが、クトゥルフ神話系列のさまざまな作品に登場し、神話に連なる宇宙の神秘を解き明かそうとする人々などが利用したり、この大学の教授や学生たちが話しの中心になったりすることもしばしばです。

アーカムの街とミスカトニック大学は架空の存在としてはかなり有名であり、この名前を出すだけで、なんかホラー系の話なのかなとさえ思わせますよね。

このミスカトニック大学には、クトゥルフ神話について書かれたとされる架空の魔術書「ネクロノミコン」が図書館に所蔵されているとされ、その魔術書をめぐってもさまざまな物語が書かれています。

このクトゥルフ神話を基にしたTRPG「コール・オブ・クトゥルフ」は私も大好きなTRPGであり、これについてはまた後日書かせていただきますね。

それではまた。
  1. 2007/12/17(月) 21:13:45|
  2. PCゲームその他
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豊家滅亡その9

徳川秀忠にとって重要なことは、中山道を無事に通り抜けて、軍勢を大坂方面へと進出させることでした。
できることなれば道中での戦などは避けたいものだったのです。

そのため秀忠は上田城に対し使者を送って、平和裏に開城してもらうよう努めました。
使者も真田家の長男と長男の義理の兄弟である真田信之と本多忠政を差し向けるという配慮もありました。

9月3日、真田昌幸と二人の使者との会見が上田城外の信濃国分寺で行われました。
席上二人の使者に対し、昌幸は終始穏やかな表情で接したといわれ、城明け渡しにも同意したといいます。
二人の使者は喜んで、その旨を秀忠に報告。
秀忠も胸をなでおろしました。

しかし、翌9月4日になっても上田城は明け渡される気配がなく、それどころか守りを固めているような気配さえ察せられました。
不審に思った秀忠が、再度城明け渡しを求めたところ、昌幸からはとんでもない返事が帰ってきたのです。

「当方太閤様(秀吉)のご恩忘れがたく、この城に篭って華々しく討ち死にし名を後世に残したいと思う。願わくば大坂へ行くついでに、この城を一攻めしてもらえないだろうか」
昌幸のこの返事は秀忠を完全にコケにしたものでした。
秀忠は籠城の時間稼ぎにまんまと乗せられたことになったのです。

当然のごとく秀忠は激怒します。
攻めろと言うからには攻めてやろう。
彼は麾下の諸将に上田城ならびに背後の砥石城の攻略を命じました。
先鋒は真田信之。
秀忠は真田同士で戦わせるつもりだったのです。

上田城の攻略には背後の砥石城の攻略が不可欠です。
砥石城はかつて武田信玄も攻略に手間取った要害です。
昌幸の父真田幸隆が、謀略を持って落とした後は真田家の居城となっており、第一次上田合戦の時には今回攻める真田信之自身が守将として防備に当たっていた城でもありました。
そして、今回砥石城には、信行の弟である真田信繁(幸村)が守備についていたのでした。

しかし、天下の要害砥石城でしたが、今回はあっけなく陥落します。
というよりも、守備する真田信繁(幸村)が攻撃側が兄信之だと知ったことで、自主的に退去したのです。
兄に手柄を立てさせて秀忠の覚えをめでたくさせるとともに、兄弟の戦いを回避したのです。

信繁(幸村)が退去した砥石城には、真田信之が再び守将として入るよう命ぜられました。
信繁(幸村)自体は上田城に撤収したため、秀忠は本格的に上田城の攻略にかかります。

9月6日、三万八千の軍勢で一揉みにするべく上田城攻撃が開始されます。
守る上田城の軍勢はわずかに二千五百ほど。
普通に考えればまず鎧袖一触の数の差です。
秀忠自身もそう思ったでしょう。

ですが、この戦闘も真田昌幸に名を成さしめる結果となります。
徳川の大軍勢は攻めればおびき寄せられて伏兵に遭い、引けば追撃を受けるという有様で、損害ばかりが増えて行きました。
攻めあぐねているうちに日にちだけは過ぎて行き、ついに7日間を上田城攻めに費やした挙句の9月11日、諸将の薦めもあって秀忠は上田城攻略を断念。
大坂へ向けて軍勢を西へ向けました。

わずかな兵力で徳川の大軍勢を向こうに回し、ついに陥落を防ぎきった真田昌幸の名はまたしても天下に鳴り響くことになりました。
この後秀忠は、真田に呼応するかもしれない周辺地域を警戒して中山道を通らずに難路越えの挙句、9月16日になってようやく木曽福島に入ることができました。

しかし時すでに遅く、天下分け目といわれた関ヶ原合戦はすでに終了。
大事な合戦に間に合わないという大失態を秀忠は犯してしまいます。
家康の怒りは尋常なものではなく、秀忠は大津城で家康に面会を許されなかったということでした。

その10へ
  1. 2007/12/16(日) 20:26:16|
  2. 豊家滅亡
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女たちは守られた?

今日はいつもの先輩が都合が悪く、ゲームは行わない予定だったのですが、ビデオのダビングに訪れた後輩Sが、シチュの面白さにやってみたいと言ってくれたので、なんとあの「バグ・アイド・モンスター」をプレイしてみることにいたしました。

このゲームは、以前当ブログでも紹介したことがあるゲーム(2007年3月22日)でして、雪の降り積もる(ゲームマップは林がグリーンなのでそうは思えないのですが・・・)フリーダムというアメリカの田舎町に突如現れたBEM(バグ・アイド・モンスター)たちが、地球人の女をさらって行こうとするのを、いかに地球人が防げるかというゲームです。

まさにB級ホラー(娯楽?)映画を地で行く馬鹿ゲーム。
プレイする相手には恵まれないだろうと思っていた(いつもの先輩とはちょっとできそうにない)ので、後輩Sの提案に思わず私のほうが尻込みする始末。

まあ、でも、こんなチャンスは二度と(?)ないかもしれないので、ここは素直に申し出に載せていただき、プレイすることに。
私が村人側で後輩SがBEM側を担当。
果たして美女たちは守れるのか?

ゲーム開始時、後輩Sは村の南東の林の中にUFOを着陸させ、そこから反重力スレッドに載ったBEMどもが村へ向かいます。

最初のターン、四体のBEMたちの反重力スレッドがジョンソン家に侵入します。
そこにはリック・ジョンソンとベス・ジョンソンの夫婦が暮らしておりました。
四体のBEMは、早速ベスを捕獲しようとしましたが、色気3のベスになんと二体が色欲チェックに失敗、行動不能になってしまいます。
日本版特有の速水さんのイラスト的には、田舎の気のいいおかみさんといった感じのベスさんなので、それほど色気が高いわけではありません。(ゲーム上色気3は低いほう)
ですが、BEMどもには充分な魅力があったのでしょう。(笑)

四体中二体が色欲に負けて行動不能となりましたものの、BEMは残り二体がスタンガンを構えてリックとベスを攻撃。
ここで気絶させてしまえば、ほかの住民に気取られる心配はありません。
しかし、リックを首尾よく気絶させたものの、ベスに対する攻撃は失敗。
ベスは気絶しませんでした。

続く人間側フェイズでベスは自動的に活性化して目を覚まします。
自宅にBEMがいることに驚いたベスは、やむを得ず夫を置いたまま家を脱出。
車で教会にまで駆け込んでしまいます。

次のターン、BEM側はデルバート家とフレデリック家に押し入って、何とか美女をさらおうとしますが、今日の後輩Sのダイスの目は奮いませんでした。
デルバート家では色気5もある美人妻のジェーンさんに、侵入した二体のBEMが二体とも色欲チェックに失敗。
フレデリック家では、なんとゲーム中最悪の色気1を誇る(?)サリー・フレデリック(イラストもまたひどいww)に四体中二体も色欲チェックに失敗するという体たらく。
そのうち一体のBEMは1ゾロを出さない限りは大丈夫だったにもかかわらず、ここで後輩Sは1ゾロを出したのでした。

さらに教会に逃げ込んだベスさんを追いかけた二体のBEMも、追いついた挙句に色欲チェックに失敗。(笑)
動けなくなっている目の前で教会の鐘を鳴らされてしまいます。

そうなると村人たちはあちこちで目を覚まします。
州兵上がりで自宅にバズーカを持っているやつや、農業用の干草を扱う大型フォーク、果てはショットガンやチェーンソーを持った男たちが集まり始め、女性は我先にと車やトラックでマップの反対側へ逃げて行きます。

そこから先は村人とBEMの殺し合いでした。(笑)
BEMはどうにか最初に狙ったベスさんと、最悪の色気のサリーおばさんをどうにか宇宙船に運び込みましたものの、ショットガンに一体、バズーカに一体、そしてチェーンソーで切り刻まれたのが一体と5ターン目でもうぼろぼろ状態。
マップの端に逃げてしまった女性たちを捕まえるには、残りターン数から見てほぼ不可能ということで、ここで終了となりました。

いやぁ、大笑いしながらのゲームでした。
まさに馬鹿ゲー。
忍び込んだはいいが、目の前の美女に「ムハー」となってしまうBEMを想像するとむちゃくちゃ笑えます。
しかも人間も凶悪。
チェーンソーなんてむちゃくちゃ強い武器ですよ。
切り刻まれたBEMは哀れだったなぁ。

まあ、ちょっとルール間違っていたりもしましたが、楽しいゲームでした。
また今度誰かとプレイしてみたいものですね。

それではまた。
  1. 2007/12/15(土) 20:07:33|
  2. ウォーゲーム
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金色の機体ではありません

軍事行動に限らず、すべての物事において情報というものの重要性は皆様もご存知の通りでしょう。
日本帝国陸軍においても、あらゆる角度からの情報入手にはそれなりの努力が払われておりました。
(入手した情報を生かせたかどうかは別問題)

その情報入手の手段の一つが、上空からの敵情偵察でした。
そして、そのために作られた専用の航空機が偵察機と呼ばれるものでした。

帝国陸軍も例外ではなく、専用の偵察機をいくつか開発して運用しております。
中でも結構有名なのが、今日ご紹介する「100式司令部偵察機」(ひゃくしきしれいぶていさつき:通称100式司偵)ではないでしょうか。

司令部偵察機とは、司令部が必要とする(つまり前線で必要な戦術偵察機ではなく)戦略情報(具体的には航空撃滅戦用の敵航空基地情報など)を手に入れるための高速偵察および連絡機であり、そのための長距離航続距離と高速度を求められる機体のことを言います。

帝国陸軍には九七式司令部偵察機というものが昭和12年に採用されておりましたが、その後継機としてより高速でより航続距離の長い偵察機が求められたため、試作が開始されることになります。

この時点で陸軍が要求していたのは、高度四千メートルから六千メートルの高度で通常使用されること、四千メートルの高度で時速600km.が出せること、高度四千メートル速度400km.で六時間以上飛べること、二人乗りの複座で操縦性能が安定しかつ容易であること、などどれもかなり高度な要求でした。

この要求に三菱はハ26型エンジン(発動機なのでハ)二基搭載の双発機として試作機を設計。
昭和14年に完成します。

試作機は試験においておおむね陸軍を満足させるものではありましたが、残念なことにハ26型エンジンでは高度四千メートルで最大速度が540km.ほどしか出せないものであったため、その点だけが陸軍にとって不満の種でした。

しかし、これは後に高出力のハ102型エンジンに換装することで、速度性能の向上が見込まれる目処が立っているとのことだったために、とりあえずこの機体を一型として採用し、エンジン換装型を二型として本命にすえるというやり方で採用が決定します。

採用された試作機は、昭和15年(日本独特の暦、皇紀では2600年)に採用されたことから、100式司令部偵察機と命名されることとなりました。
(それまでの兵器が八九式とか九五式とか、皇紀の下二桁を取って命名されていたので、皇紀2600年採用の兵器をどういう名称にするかは結構悩んだそうです。結局、海軍は零式と名づけ、陸軍は100式と名づけました。このあたりも陸海軍の確執が出ているんですよね)

採用された100式司偵はハ102エンジン装備の二型がすぐに生産され始め、最高速度が604km.にまで向上しました。
これは日本の軍用機で史上初めて時速600km.を超えた航空機となりました。

しかしこの高速も、第二次世界大戦の勃発に伴い、世界各国の戦闘機が高速になるにしたがって不足気味になってきます。
そこで昭和17年にはハ112Ⅱにエンジンを換装した三型が試作され、最高速度は630km.まで向上。
昭和19年には排気タービン搭載の四型まで試作され、なんと高度一万メートルで最高速度が630km.のままという日本の軍用機としては異例の高高度性能と高速性を発揮します。

おりしもB-29による本土空襲が激化し始めるころであり、陸軍は100式司偵を高高度迎撃用戦闘機として改造することを決定。
20ミリ機関砲や37ミリ斜め機関砲などを装備した改造100司偵がB-29と戦うことになるのでした。

高高度を飛ぶ高速偵察機として開発された100式司偵でしたが、戦局が悪化するにつれて改良に改良を加えられ、ついには戦闘に参加させられるようになってしまったのですね。
もともと偵察機ですので、高速性能と高高度性能はともかく、旋回性能などはあまりよくなく戦闘機として使うにはつらかったと聞いております。

航空機による偵察は、近年は偵察衛星によって行われたり、無人機によって行われたりするようになりましたが、重要性はまったく変わっておりません。
ガンダムでもしっかりルッグン偵察機が出てましたですね。(笑)

それではまた。
  1. 2007/12/14(金) 19:22:55|
  2. 趣味
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ダークミストレスその2

ダークミストレスの二回目です。
なんか以前の作品と同じようなものになっちゃいましたが、楽しんでいただければと思います。
よろしければ、感想などをお寄せくださいませ。
よろしくお願いいたします。


「さあ、行くわよ」
私は黙ってうなずいてミシェルさんのあとに続く。
ひんやりとした石造りの通路がトンネル状に続いている。
ダンジョンキーパーさんが精魂込めて作り上げたダンジョンね。
インプたちが丁寧に土を掘って石で固めた地下ダンジョン。
思いのほか快適だわ。
以前は息苦しく感じたのにね。
今はまったく気にならない。

「何か来るわ。気をつけて」
ミシェルさんが通路の奥を透かし見ている。
きっとダンジョンに巣くうモンスターだわ。
気をつけなくちゃ。
私はムチを取り出して右手に持ち、左手の刃でいつでも切りつけられるように身構える。
ミシェルさんも同様に身構えていて、まさに戦士の本領発揮。
邪魔にならないようにしなくちゃね。
あれ?
以前は違うことでミシェルさんを助けていたような・・・
どうだったっけ?
でも、私だってムチと刃を持っているんだから戦えばいいんだよね。

ブーンという羽音とともに現れたのはフライだった。
大型の犬ほどもある大きさの巨大なハエ。
雑魚モンスターだけど、偵察能力に優れていて、地下をくまなくパトロールするには最適なモンスターだ。
フライは一瞬私たちの方を巨大な複眼で見ると、すぐに通り過ぎて行ってしまった。
「ふう・・・どうやらこの格好しているから仲間だと思われたみたいね」
「同じダンジョンキーパー様にお仕えする仲間・・・ということでしょうか」
「そうね。そういうことになるかしらね」
ミシェルさんはそう言うとまた通路を歩き始めた。
仲間・・・
仲間かぁ・・・
うふふ・・・
そうやって考えると、あのフライもちょっと可愛いものだわね。

その後も私たちは巨大なゴキブリとクワガタの合いの子のようなビートルや、二つの首を持つ獰猛な大型犬ヘルハウンドらとすれ違ったものの、いずれも私たちには興味を示さなかった。
いくつかの部屋も通り過ぎたが、モンスターたちのねぐらだけじゃなく、トロルが働く工房や魔法開発のための図書館なんてのもあるのが驚きだった。

図書館を過ぎてしばらく行くと、クックックックッ・・・という声が聞こえてくる。
えっ?
まさか鶏の鳴き声?
「鶏だね。何でこんなところにいるのかな?」
ミシェルさんも振り向いて不思議そうな顔をしている。
私にもわからないわ。
私は黙って首を振る。
「ま、このダンジョンの中の様子がわからなければどうしようもないか・・・」
「そうですね」
結局私たちは先へ進んでみることにした。

「あらら・・・これはこれは」
ミシェルさんと入った部屋は床に土がむき出しになっている部屋だった。
その土の上にはあちこちに鶏の卵が転がっていて、何羽もの鶏がうろついている。
中には雛も何羽かいるようだわ。
ここはいったい何なのかしら?
私たちがなんだか立ち尽くしていると、巨大な蜘蛛が奥の入り口から入ってきて、あっという間に二三羽の鶏を捕らえて食べてしまう。
あ・・・
なるほど。
ここはダンジョンに巣くうモンスターたちの餌場なんだわ。
鶏はモンスターたちの食事なのね。
食事かぁ・・・
お腹すいたなぁ・・・
「ここは餌場なんだね。どう、お腹すかない? 私たちも食べようか」
「ええ、そうしましょう」
私はミシェルさんにうなずくと、すばやく鶏を捕まえて左手の刃で首を刎ねる。
滴り落ちる血を口で受けて飲み干すと、羽をむしってかぶりつく。
ああ・・・美味しい。
生の鶏も悪くないわ。
もっと食べちゃお。
私とミシェルさんはお互いに鶏を捕まえてたっぷり食べた。
これでお腹もいっぱい。
うふふ・・・

「はあ・・・食べた食べた。そういえばねぐら確保しなきゃね」
食事を終えた私たちは口の端に付いた血をぬぐって腰を下ろしていた。
「そうですね。どこか適当な場所を探しますか」
さっき通ってきたねぐらがいいかなぁ。
「そうだね・・・って、何か聞こえない?」
ミシェルさんが耳を澄ませる。
私も同様に耳を澄ませて聞いてみる。
「うあぁぁぁぁぁ」
かすかに聞こえてくる声。
「悲鳴だわ」
「悲鳴・・・ですね」
私はミシェルさんと顔を見合わせる。
このダンジョンの中で悲鳴を上げている。
ということは・・・
「人間がいるんだわ」
うれしそうに立ち上がるミシェルさん。
「ええ、行ってみましょう」
私も思わず立ち上がり、わくわくする気持ちを抱きながらミシェルさんと通路を走った。

ここは拷問室。
ダンジョンキーパー様のこしらえられたとても楽しい部屋。
円形の台座の上に獲物を載せ、不気味な黒尽くめの拷問吏が拷問をするところ。
拷問に耐え切れなくなった獲物は情報を吐いたりダンジョンキーパー様に忠誠を誓ったりもする。
その台座の一つに一人の人間の男が載せられていた。
それは私たちにとって見知った顔。
人間たちのリーダーだった男だわ。

「あは、あははははは・・・インザーギ、あなただったのね?」
ミシェルさんが大笑いしている。
私もぞくぞくする興奮に思わず笑いがこみ上げてくる。
「お久しぶりです、インザーギさん。こんなところで会えるなんてうれしいです」
「うぐぅ・・・君たち・・・そ、その姿はいったい?」
すでに何度かの拷問に耐え切ったのだろう。
彼の体のあちこちに蚯蚓腫れがあり、それがとても美しい。
「ああ、これ? うふふ・・・似合うでしょ」
「これ、とても着心地がいいんですよ。もう私これ以外の服なんて着たくないです」
これは本当のこと。
たとえどんなことがあったってこの服以外を着る気にはならないわ。
ううん・・・
むしろこの服はもう私の一部みたいなものだもの。
「ば、馬鹿な・・・そんなことが・・・」
なんかうだうだとうめいているわ。
どうして悲鳴を上げてくれないのかしら。
あのぞくぞくするような悲鳴を早く聞かせてほしいわ。

「ねえ、インザーギ。あなたの馬鹿な行動のおかげで私たちはこのダンジョンで迷っちゃったわ。その落とし前をつけてほしいわね」
すっとミシェルさんが腰のムチを取り外す。
私はすごくどきどきしながらミシェルさんがそれを振り下ろすのを待ち望む。
「ま、待て! お前たちはダンジョンキーパーに・・・」
ヒュッと空気を切る音がして、ムチが肉を打つパシーンという気持ちのいい音が部屋に響いたとき、私は軽くイってしまった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
ああ・・・気持ちいいよぉ・・・
人間の男の上げる悲鳴は格別だわぁ。
「あははははははは・・・気持ちいい!」
高笑いをしながらムチを振るうミシェルさん。
その姿はとても素敵。
男の上げる悲鳴とミシェルさんのムチの音が私を恍惚の極致へと導いていく。
ああ・・・
私は立っていられないほどの快感に打ち震えた。

「ハァハァ・・・さあ、次はセリーナちゃんの番よ」
ミシェルさんは振り向いて、私に場所を開けてくれる。
「えっ? いいんですか?」
私は思わず聞き返した。
だって、あんなに気持ちよさそうにムチを振るっていたのに・・・
私は悲鳴を聞いているだけでも充分なのに・・・
「いいに決まっているじゃない。私たちは同じ“仲間”でしょ」
ああ・・・
うれしい・・・
そうよ・・・
私たちは“仲間”。
このダンジョンでともに過ごす“仲間”なんだわ。
私はムチを取り出すと、ミシェルさんのところへ行く。
そして目の前に横たわる人間の男に向けて思い切り振り下ろした。

「あら・・・?」
気が付くと目の前の男はただ黙ってムチ打たれるだけになっていた。
たった十回ほどのムチ打ちしかしていないというのに。
先ほどまで上げていた気持ちを昂ぶらせてくれる悲鳴ももう聞こえない。
背中の肉は裂け、血がしぶいてすごく楽しかったのに・・・
「ミシェルさん、動かなくなっちゃいました」
「えーっ? あ~あ、つまらない男ねぇ。こんなにあっけなく死んじゃうなんて、ちっとも楽しめないじゃない。せめて私がイくまでぐらい悲鳴を上げてほしかったわ」
左手の刃の先でざくざくと切り刻んでみるミシェルさん。
でも男はぴくりともしない。
つまらないことこの上ない。
「ハア、死んじゃったんなら仕方ないわね。鶏でも食べに行こうか」
「そうですね。つまらない男」
私はこみ上げてくる怒りを刃に込めて男に振り下ろす。
肉の切れる気持ちよさが少しだけ私の怒りを静めてくれたけど、こんなんじゃちっともイケやしないわ。

『クククク・・・どうやらあまり楽しめなかったようだな、ダークミストレスたちよ』
私の頭の中に声が響いてくる。
このダンジョンの支配者、偉大なるダンジョンキーパー様のお声だわ。
「ええ、ダンジョンキーパー様。もう少し甚振り甲斐があると思ったんですけど・・・」
「あんまりあっけなく死んじゃったので拍子抜けですわ」
私は左手の刃に付いた血をペロッと舐める。
美味しい血の味が多少はあの男のだらしなさを慰めてくれるようだった。
『クククク・・・ではしばしの間ねぐらで休むがいい。訓練室で訓練に励んでもよいぞ。どちらにしてもそう遠くないうちにまた人間どもが来るはずじゃ』
「かしこまりましたわダンジョンキーパー様。人間どもを切り刻むのを楽しみにしております」
「私たちダークミストレスにお任せくださいませ。ダンジョンキーパー様の邪魔をする人間どもはすべて始末いたしますわ。うふふふ・・・」
私はこの先に待っている人間どもとのプレイを夢想しながら、口元に笑みが浮かぶのを止められないでいた。

END
  1. 2007/12/13(木) 19:12:37|
  2. 異形・魔物化系SS
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ダークミストレスその1

今日明日の二回でSSを一本投下します。

タイトルは「ダークミストレス」
PCソフト「ダンジョンキーパー」にインスピレーションをいただいた作品です。
お楽しみいただければ幸いです。


「う、うーん・・・」
ひんやりした空気に私は目を覚ます。
あれ?
私はいったい・・・
確か・・・
邪悪な意思を持つダンジョンキーパーの地下ダンジョンに乗り込んで・・・それから・・・
「目が覚めたようね」
私が身じろぎしたことでそっと声がかけられる。
女戦士のミシェルさんの声だ。
剣の腕は一級品。
駆け出しプリーストの私なんかとはレベルが違うわ。
「ミシェルさん」
私は彼女が無事だったことにホッとして顔を上げた。
「ひゃぁっ!」
ミシェルさんの姿を認めたとき、私は思わず驚きの声を上げてしまっていた。
凛々しい女戦士だったミシェルさんは、いつものブラストプレートやガントレットにレッグアーマーといういでたちではなく、真っ黒い革製のボンデージレオタードを身にまとっていたのだ。
しかも、胸のところは丸くくり抜かれていて、ミシェルさんの豊満な胸がつんと上向きにあらわになっている。
両手には長い黒革の手袋を嵌め、両足はひざまでの長さの黒革のブーツを履いている。
その姿は確かにスタイルのよいミシェルさんには似合うものではあったけど、およそこの場所にはふさわしい格好じゃない。
「ミ、ミシェルさん! その格好はいったい?」
私は思わず口元に手を当てる。
「えっ? あ、ああ、これ? どうもこうも私も気が付いたらこんな格好にさせられていたのよ。セリーナちゃんと同じくね」
笑みを浮かべて肩をすくめるミシェルさん。
えっ?
セリーナちゃんと同じ?
私はすぐさま自分の姿を見下ろしてみる。
「ひゃぁっ」
私は思わず両手で胸を隠していた。

「ど、ど、ど、どういうことなんですか? これは?」
「見ての通りよ。私たちはへまをやった。ダンジョンキーパーを甘く見たのよ。その結果仲間とははぐれ、私たちは捕らえられてこんな格好をさせられた上で牢屋に入っている。そういうことね」
苦笑しながらミシェルさんは現状をしっかりと突きつけてくれた。
そうだわ・・・
私たちはルキオ・インザーギをリーダーに8人のパーティを組んで、近隣にモンスターをはびこらせてくるダンジョンキーパーを退治するためにこの地下ダンジョンにもぐったのだ。
フライやスパイダー、ビートルなんかはまったく問題じゃなかった私たちは、いい気になって奥へ攻め込んできたけれど、きっとそれは私たちを油断させるためのダンジョンキーパーの罠だったんだわ。
ダンジョンが複雑になってきて、一度撤収すればよかったのに・・・気が付くと私たちはデーモンスポーンやヘルハウンドらに追い立てられる羽目になって・・・
「ミシェルさん、ほかの人たちは?」
私が訪ねると、ミシェルさんは静かに首を振った。
「わからないわ。生きているのか殺されてしまったのか・・・わかっているのは私とセリーナちゃんだけがこの牢獄で生きているってことだけ」
「そうですか・・・」
私は目をつぶって彼らの無事を神に祈る。
せめてそれぐらいしなくては会わせる顔がない。
「とりあえずここを出ないとね。こんな牢獄にいつまでもいられないわ。なんとしても抜け出して、ダンジョンキーパーに思い知らせてやらないと」
ミシェルさんはそういうと、長い髪の毛を留めている髪留めをはずし始めた。
「何をするんですか?」
私は牢獄の入り口に向かうミシェルさんが気になって、立ち上がってそちらに向かう。
「ん? ああ、何とか抜け出そうと思ってね。ちょっとシーフの真似事ぐらいはできるから鍵を開けようと思ってさ」
ミシェルさんがにこやかにそういって私の方を向く。
その瞬間、ミシェルさんの顔にちょっとした驚きが浮かんだのに私は気が付いた。
「どうかしたんですか?」
「えっ? いや、その、セリーナちゃんも結構きれいな胸してるなって・・・」
「ひゃぁっ!」
私は頭のてっぺんから湯気が吹き出たような気がして思わず悲鳴を上げてしまった。
うう・・・
そうなのだ。
今着ているのは胸のところがくり抜かれたボンデージレオタード。
ぴったりフィットしていて着心地は悪くないのだけど、胸がまるっきりさらけ出されているのをつい忘れてしまっていたのだ。
「ご、ごめんごめん。変な意味じゃないんだ。私なんてほら、でかいばかりでみっともなくてさ」
ミシェルさんも少し赤くなっている。
「そ、そんなことないです。ミシェルさんの胸、大きくてうらやましいです」
これはホント。
彼女の胸は大きいだけじゃなくて形もすごく素敵。
きっと自慢の胸なんだろうなって思っていたけど、ミシェルさんはそう思ってないのかな?
多分私に恥ずかしい思いをさせちゃったなってことなんだと思うけど・・・
「そ、そうかな? でも、大きいだけで変な男たちにからかわれたりでいいことってあまりないよ」
「そうなんですか? ミシェルさんの胸ってすごくやわらかそうだし・・・きれいだなって思いますけど」
「わわ、も、もう胸の話はやめよう。どっちにしたってこれ以外着るものないし、隠そうとすればするだけ不自然だから、お互いに気にしないってことで」
「わ、わかりました。それじゃ私も隠すのやめますね」
少し恥ずかしいけど、ミシェルさんの言うとおりだ。
胸を隠そうとしてもここじゃ意味がないし、牢獄にあるのはなんだか奇妙なガントレットのようなものと、ムチが転がっているぐらい。
ムチねぇ・・・
まさかこの格好でSMの女王様でもやれってことかしら・・・

「ところで・・・ちょっと気になっていることがあるんだ」
鍵穴に髪留めから取ったピンを差込み、カチャカチャと動かしているミシェルさん。
私はその様子を後ろで黙ってみているだけ。
こういうときは邪魔にならないようにしているのが一番だ。
「何ですか? 気になっていることって?」
「私たちの格好さ」
「えっ? このSMの女王様みたいな格好のことですか?」
私は再び自分の姿を見下ろした。
両手は黒革の長手袋がひじまで覆い、両足は同じく黒革のひざまであるハイヒールブーツ。
とても地下のダンジョンを歩き回る服装じゃない。
盛り場のSMクラブの女性がこんな格好をしていると噂で聞いてはいるけれど・・・
まさか自分がこんな格好するなんて・・・
「そう、まさにそのSMの女王様さ」
「ダンジョンキーパーさんの趣味なんでしょうか・・・」
そうとしか思えないわ。
僧服やアーマーを脱がせた上でこんなもの着せるなんて、趣味以外の何者でもないわよ。
「私はまだ遭ったことないんだけど、一部のダンジョンには“ダークミストレス”ってモンスターがいるらしいんだ」
「ダークミストレス?」
「うん。女性型のモンスターでね。まるでSMの女王様のような格好して獲物をいたぶる残忍なモンスターだって話。もしかしたら・・・この格好ってダークミストレスの格好なんじゃないかな」
ミシェルさんの手は動きをやめない。
でも、私は動きが止まってしまった。
そんな・・・
そんなモンスターがいるなんて・・・
「それにさ、セリーナちゃんには聞こえない? こうダンジョンキーパーを称えたくなるような声が」
「称えたくなる声?」
私はそっと耳を澄ます。
静かな牢獄にはミシェルさんの鍵をこじ開けるカチャカチャという音が聞こえるだけ・・・
いや・・・
違う・・・
確かに何か聞こえて・・・
これは何?
耳からじゃなく頭の中から聞こえるようなこの声は・・・
『地下のすべてはダンジョンキーパーの世界』
『われらはダンジョンキーパーのしもべ』
『ダンジョンキーパーに栄光を。われらのすべてをダンジョンキーパーに捧げる』
「な、何ですか、これ?」
私は耳を押さえて聞かないようにする。
「あ、やっぱり聞こえるんだ。無駄よ。頭の中に聞こえてくるからどうしようもないわ。きっとこのダンジョンには洗脳室があるんだわ」
ミシェルさんの言うとおりだ。
耳をふさいだって声は聞こえてくる。
これじゃどうしようもないわ。
「洗脳室?」
「そう。一部のダンジョンにあるって聞いたことあってね。探索に行ったやつらがダンジョンキーパーの手先になっちゃうことがあるって。開いたわ」
かちんと音がして牢獄の鍵が開く。
さすがミシェルさん。
シーフとしての腕も持っているんだわ。
でも・・・
「手先にって・・・それじゃ私たちもダンジョンキーパーさんの手先になっちゃうということなんですか?」
「わからない。そんなことにはなりたくないわね。だから早くここから脱出しましょ」
私はミシェルさんの言葉にうなずいた。

牢獄の扉を開けて外へ出ようとした私は、ミシェルさんが牢獄の奥へ引き返すのを見て不思議に思った。
いったい何をしているのだろう?
「ミシェルさん?」
私が呼びかけると、ミシェルさんは振り返って私に左腕を見せ、微笑んだ。
「やっぱり武器もない状態じゃ心細いでしょ。使えるものは使わないとね」
そう言ってかざして見せてくれた左腕には、金属の刃の鈍い輝きが光っている。
彼女の着けたガントレットには、手の甲の部分に鋭い刃が三枚、鉤爪のように指先の方に向かって伸びていた。
つまり、左手で一薙ぎすれば三筋の切り痕をつけることができるのだ。
その輝きはとても美しい。
黒革のボンデージレオタードといい、ロングブーツに長手袋といい、黒髪のミシェルさんにはとてもよく似合っている。
くり抜きから突き出された胸もとても素敵。
私は思わず見惚れちゃっていた。

「あとはムチね。セリーナちゃんの分もあるから着けなよ」
私はその言葉にふと我に返る。
ミシェルさんの言う通りだわ。
武器もない状態じゃこのダンジョンで生きて行くことはできないものね。
私もすぐにガントレットを取り上げて左手に装着する。
もちろん指の動きを阻害するものではないから、物をつかんだりすることに支障はない。
ただ、刃の部分が突き出ているのでそれにちょっと気をつけなくちゃね。
ああ・・・なんだかこれを着けるとすごく強くなったみたい。
これなら獲物を切り裂くには最適ね。
「セリーナちゃん、似合うじゃない」
ミシェルさんがそう言ってくれた。
うふふ・・・うれしいな。
私はいまさらながらに自分の衣装が気に入っていた。
黒革のボンデージレオタードはとても着心地がよくて動きも阻害しない。
今まで着ていたごついアーマーなんて問題外。
どうしてあんなもの着ていたのかしら・・・
私はミシェルさんに褒めてくれたお礼を言うと、ムチを拾って腰の金具に取り付けた。
  1. 2007/12/12(水) 20:22:21|
  2. 異形・魔物化系SS
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新しいリンク先です

巨大掲示板2chの「おにゃのこが改造されるシーン」スレなどで、最近精力的に活動されておりますmaledict様。

そのmaledict様の執筆作品を一堂に会した作品庫「maledicted ladies' archives」様と、このたび相互リンクをさせていただけることになりました。

maledict様は、海マツリにも魅力的な作品を投稿していただいており、改造人間作品を多数発表されていらっしゃるお方です。
ぜひぜひリンク先へ飛んでいただき、その作品の魅力を味わってくださいませ。
URLはこちらです:http://book.geocities.jp/maledictarum/index.html

maledict様、ありがとうございました。
  1. 2007/12/12(水) 19:37:46|
  2. ネット関連
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ちょっと予告

古いPCゲームになりますが、Bullfrogという海外メーカー製の「ダンジョンキーパー」というPCゲームがございます。

メーカー自体はもう解散してしまったそうで、続編の出る可能性は低そうなんですが、2まで出た人気ゲームでした。

私自身は廉価版としてデジキューブがコンビニで販売していた「ダンジョンキーパープレミアム」を購入したわけなんですが、ちょこちょこっとやったあとで放置しておりましたものを、久しぶりにまたやってみております。

このゲームは、ダンジョン(地下迷宮)を作成し、そこにモンスターのねぐらや工房、図書館などを配置してモンスターを呼び寄せ、そのモンスターによって地下世界を支配するという、いわば今までのRPGによくあったダンジョン攻略の逆パターンを行くゲームなんですね。

当然正義のヒーローたちが地下世界にはびころうとするプレイヤーを邪魔しようとやってきたり、他のダンジョンキーパーとの地下支配をめぐる争いがあったりと幾つもの面をクリアしていかなくてはなりません。

結局私自身は長いこと放置していたこともあり完全にはクリアしていないのですが、最初の數面をやっただけでも結構面白くかつ大変でした。

モンスターには食事や給料もあてがわなくてはならず、さらに好きな仕事や嫌いな仕事があったりとわがままです。
訓練するにも工房で何かを作るにも金がいるので、金脈を掘って金をためなくてはなりません。
往々にして金脈はクリアするには足りるか足りないかという程度ですので、一つ間違えると金が尽きてしまいます。

中盤から後半の面ではもっと厳しくなりそうなので、なかなかクリアできそうにないのですが、ダンジョンを掘ってモンスターの動きを見ているだけでも結構面白いです。

それになんといっても魅力的な要素もありまして、なんと施設の中に拷問室や洗脳室なんてのもあるんです。
捕らえた敵モンスター(ヒーロー含む)を拷問すると、悲鳴を上げてくれますし、うまく行けば情報を吐いてくれたり寝返ってくれたりしますし、死んでしまってもゴーストになって味方になってくれたりもします。
洗脳室はまだ見たことないんですが、取り説によれば洗脳室に入れたモンスターと同種の敵モンスターを寝返らせることができるとか。
う~・・・
早く使える面までたどり着きたいけど、その前に根性が尽きちゃいそう。

それと、モンスターもいろいろいて、一般的なスケルトン(動く骸骨ね)やヴァンパイア、ヘルハウンドなんてものの他に、ダークミストレスなんてのがいるんです。
これはもうその名の通り邪悪なSM女王様。(笑)
ボンデージ姿(らしい。2の箱絵ではそうなっていますが、私の持っているプレミアムは1の改良版なのでグラフィックがさほどではなく、どう見てもボンデージっぽくはない)にロングブーツとロンググローブの女性型モンスターで、鉤爪の付いたガントレットを武器として戦うようです。
戦士としては一流で、敵と戦うときには頼りになるのですが、拷問室で拷問を眺めていたり、自分が拷問してもらったりと怪しすぎます。

このあたりが結構ツボで、時々やったりするのですが、大体6面ぐらいでとまっちゃうんですよねぇ。
そこから先が面白いんでしょうけど、つらさも半端じゃなさそうな・・・

と、言うことで、このゲームをやっていたら妄想が浮かびましたので、明日と明後日の二日間で一本このゲームにまつわるSSを投下しますのでお楽しみに。

それではまた。
  1. 2007/12/11(火) 20:07:25|
  2. PCゲームその他
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豊家滅亡その8

徳川秀忠の率いる徳川家の主力軍勢約三万八千が宇都宮を出立したのを確認したうえで、家康自身が江戸を出立したのは慶長5年(1600年)9月1日でした。

一方石田三成は、大垣にて西軍諸将に参集を命令。
それに応えた西軍諸将が次々と大垣城に集まってくることになります。

9月2日には北陸方面で前田家を翻弄していた大谷吉継が関ヶ原西南の山中村に到着。
三成にとっては心強い友人の到着となります。
翌9月3日には伊勢方面を席巻していた宇喜多秀家が大垣に入城。
約一万七千もの軍勢を率いる宇喜多秀家の入城は、三成にとっては非常に頼もしかったことでしょう。

そのころ東軍徳川秀忠隊は、9月2日に信州小諸(長野県小諸市)に到着。
ここ小諸には、徳川家にとっては忘れられない人物がおりました。
その名を真田昌幸(さなだ まさゆき)といいます。

真田昌幸はもともと甲斐武田家武田信玄(たけだ しんげん)の家臣であった真田幸隆(さなだ ゆきたか)の息子です。
他家の養子となっておりましたが、織田信長(おだ のぶなが)との長篠の戦いにおいて上の兄が次々と戦死。
そのため養子先から真田家へと戻り、真田家の跡取りとなった人物でした。

武田家滅亡の後は北条家や徳川家の間をうまく立ち回り、秀吉に表裏比興(ひょうりひきょう:油断ならない風見鶏)の者とまで言わしめたもので、真田家の存亡のためには手段を選ばずに行動することのできる人物でした。

その真田昌幸に徳川家康はかつて一度煮え湯を飲まされたことがありました。

北条家と徳川家の取り決めにより、真田家の所領沼田(群馬県沼田市)は北条家のものとして引き渡されることになったのですが、武田家の後徳川家に従ったとはいえ、沼田は真田家が独力で手に入れた領地であり、昌幸にとっては取り上げられることに納得できるものではありませんでした。

そのため昌幸は上杉景勝を通じて、時の実力者豊臣秀吉に所領安堵をしてもらおうと図ります。
徳川家康はそんな真田の態度に業を煮やし、軍事力で一気に真田を攻め落とすべく兵を進めました。
第一次上田合戦です。

真田家の本領は上田城を中心とした一帯でした。
今で言う長野県上田市周辺です。
この上田城に徳川家は約八千の兵力を送り込みました。
守る真田家は約二千。
四倍の兵力差では上田城は陥落必至と見られました。
時に天正13年(1585年)閏8月2日のことでした。

しかし、徳川家の鳥居元忠(後に伏見城で討ち死にする)や大久保忠世(おおくぼ ただよ)などの名だたる武将が攻めても攻めても上田城は落ちませんでした。
かえって真田軍の神出鬼没な動きに翻弄されたり罠にはまったりなどで約三千もの兵力を失ってしまいます。
ついに徳川軍は兵を引き上げざるを得ませんでした。
たかが二千の真田が天下に名高い徳川軍を追い返したのです。
真田昌幸の名は一挙に世間に広まりました。

最終的には秀吉の仲介により、徳川も北条も沼田には手が出せなくなりました。
昌幸は沼田を守りきったのです。

その真田昌幸の居城上田城が、小諸から目と鼻の距離のところにありました。
関ヶ原に向かう徳川秀忠の軍勢は約三万八千の大部隊です。
秀忠としては、第一次上田合戦の屈辱を晴らすいい機会でしたが、戦うことになれば損害も出るでしょうし時間もとられます。
そこで彼は穏便に真田昌幸に城を明け渡すように使者を差し向けました。
その使者に選ばれたのは、本多忠政(ほんだ ただまさ)と真田昌幸の息子真田信之(さなだ のぶゆき:信幸とも表記されることあり)でした。

第一次上田合戦の後、真田家は再び徳川家に付き従うこととなりました。
そのため、真田家の強さを思い知らされた家康は、重臣の本多忠勝(ほんだ ただかつ)の娘小松姫を真田昌幸の長子信之に嫁がせて繋ぎ止めを図りました。
一方真田昌幸は上杉景勝に預けていた次男真田信繁(さなだ のぶしげ:世間的には幸村と呼ばれることが多い)を呼び戻し、改めて豊臣秀吉に人質として差し出しており、徳川家家臣というよりは独立した豊臣系大名として振舞っていたようです。

慶長5年(1600年)7月21日。
石田三成の指示により、長束正家、増田長盛、前田玄以の三名連署による西軍参加を促す書状が昌幸の元に届きます。
昌幸は早速二人の息子信之と信繁を呼び、三人で今後のことを相談しました。
このとき、どのような話になったのかは伝わっておりませんが、最終的に決まったのは、父昌幸と次男信繁が豊臣家の恩顧に報いるために西軍に、妻小松殿を通じて徳川家に縁を持つ長男信之は東軍に参加し、どちらに転んでも真田家が存続する道を取るというものでした。

東軍に付くことを決めた真田信之は、今回の上杉攻めにも参加。
徳川秀忠軍の一角を占めていたのです。
この信之と妻小松殿の父本多忠勝の長子忠政が使者として上田の城に出向くことになったのです。
親子の対面でした。

その9へ
  1. 2007/12/10(月) 20:08:57|
  2. 豊家滅亡
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目を離すなよー

東京都で、競技用ライフル銃の暴発による事故で、二歳の男の子が死亡しました。

ニュースによると、ライフル銃の手入れを父親が行っていたときに、道具を取りに隣の部屋に行ったところ、銃が暴発して二歳の次男に命中したらしいとのこと。
五歳になる長男がライフルを触っていたということなので、この長男が誤って引き金を引いてしまったのではないかといいます。

もうね、銃ですよ。
何でそんな危険なものを置いたまま部屋を出たのか。
子供にしてみればきっと興味があったんでしょう。
親がいなくなったので近くで見たくなったんでしょう。
父親が出て行った隙に部屋に入り込んだらしいですね。
ほんの数分とはいえ、子供からも銃からも目を離してしまったことが事故につながってしまったのではないでしょうか。

私はミリタリー好きです。
でも、本物の銃は見たことも持ったこともありません。
銃って弾丸を入れたまま保管するものなんですか?
手入れするときに銃弾は入っているものなんですか?
私にはそこら辺わかりませんけど、銃は引き金を引けば弾丸が出るものです。

銃は体格差を無視した兵器です。
棍棒を持った大男だって、銃を持った女の子が倒せるのです。
世界各地で貧困や思想的宗教的な問題などから少年兵が銃を持って戦ったりもしています。
少年だって銃を持っちゃえば戦えちゃうんです。

今回の事故はまさしく事故ではありますけど、危機認識の甘さが引き起こしたものだと思います。
人間って防げることが防げないんだよなぁ・・・
なんというか、やりきれなさを感じますね。

それではまた。
  1. 2007/12/09(日) 21:01:21|
  2. ニュース
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日本版電撃戦

今日は大東亜戦争の始まった日ですよー。
真珠湾に集結していた鬼畜米軍の太平洋艦隊に正義の鉄槌が振り下ろされた日です。

と、信じて戦争が始まったんですよね。
中国では日中戦争が泥沼化していたというのに・・・

しかし、始まってしまったからには仕方がない。
我が大日本帝国陸軍は、英国の東洋に置ける根拠地シンガポール目指して進軍を開始です。
海軍の華々しい戦果に負けてたまるか!!

というわけで、今日の先輩との対戦は「シンガポール陥落」(CMJ77号付録)です。
このゲーム、先輩との対戦は二度目。
前回と同様にこちらが帝国陸軍、先輩が英連邦軍を担当しました。

前回とは違い、先輩はコタバルを手薄にしていたので、第一ターンに強襲上陸をかけコタバルを占領。
ジットラの陣地郡も戦車を先頭に押し立てて突破します。

先輩は前回と同様に前線に部隊を集めての持久作戦を開始。
しかし、日本軍の巧みな進撃でいくつかの部隊が補給切れになります。

このゲームの補給切れは大変厳しく、自軍ターンの終了時に補給切れですと除去されちゃいます。
英連邦軍はこれに引っかかり、頼みのオーストラリア部隊までが補給切れで除去されます。

ただ、中央部とカンタン方面では遅滞戦術が効果を発揮。
日本軍はじわじわと戦力を失って行きました。

このゲームは失った日本軍の戦力がそのまま英連邦軍の得点になるので、極力損失は避けなくてはなりません。
損失を抑えつつも少ないターンでジョホールバル目指して進まなければならない日本軍は結構厳しいです。

中盤から終盤にかけて、舟艇機動や強行軍による突破などで、英連邦軍はどんどん部隊を失って行きます。
日本軍はまさに破竹の進撃といってもいいものだったと思います。

最終ターン終了時、地図上には英連邦軍の部隊はすべて補給を切られて孤立しておりました。
しかもその数もわずか6ユニットほどにまで打ち減らされておりました。

日本軍はもはやシンガポールまでさえぎるものはありません。
これは勝っただろう・・・
ジョホールバル突入こそなりませんでしたが、私は満足して勝利得点を数えました。

このゲームは英軍のみが得点を得ることができます。
日本軍は英軍の得点を120点以下に抑えなければなりません。
得点は・・・130点 ガ━━(゚Д゚;)━━ン!

126点以上:英連邦軍の勝利
ま、負けっすか?
英連邦軍は孤立してもう戦力ないんですよ?
ジョホールバルまで一直線なんですよ?
そうですか・・・
負けですか・・・
ウガー!!!

先輩いわく・・・勝った気がしない。
まあ、部隊はほぼ消え去りましたからねぇ。

でも、こちらも消耗しすぎました。
特にインド兵を追い払うために投入した戦車の損失が痛かった。
それが大きかったですねぇ。

うーん・・・
このゲームは日本軍が難しいかも。
英連邦軍をただ駆逐するだけじゃだめなんだよなぁ。
もう少し研究の必要がありそうでした。

それではまた。
  1. 2007/12/08(土) 20:39:35|
  2. ウォーゲーム
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あまりにも潔い逃げっぷり

再びテレビ番組ネタですみませんが、船好き舞方を震撼させるお話がありましたのでご紹介します。

ビートたけしさんが出ていらっしゃる番組、「奇跡体験! アンビリバボー」という番組は皆様ご存知でしょう。
さまざまな九死に一生の体験談や不思議な現象を紹介してくれる番組ですね。
心霊写真なども取り扱ったりして、ここ最近やらなくなったことが話題になったりもしてました。

実は北海道では日曜日の昼間に再放送をやったりしているのですが、先日たまたまその再放送を見る機会がありまして、何の気なしに見たのがその事件でした。

1991年に起こった、客船オセアノスの遭難事件です。

ギリシャ船籍の豪華客船オセアノスは、南アフリカからインド洋の短期クルーズに出航しました。
オセアノスは豪華客船でしたが、完成後40年が経過しており、老朽化は隠せない旧式船でした。

出航から三時間後、天候が急変。
海上は次第に荒れ模様になってきます。

この日は蒸し暑かったのか、一部の船員は船室の窓を開けておりました。

やがて船内が停電。
船員が発電室を見に行くと、そこはすでに浸水しておりました。
発電機の冷却用に海水を取り入れるパイプが腐食して、そこから浸水していたのです。

隔壁さえ閉めれば、浸水はこの区画で防げるはずでした。
しかし、船員は動揺したのか隔壁を閉めずに逃げ出します。

船長に報告が行ったときにはすでに浸水は広がっておりました。
船内の楽団員の一人ジェイソン・モスが長時間の停電を不審に思い、船体下部に向かってみると船員が逃げ出してくるところでした。
モスが状況を確認すると、機械室まで浸水は広がっておりました。

驚いたモスが船長に報告すると、船長はただ嘆きこの船はもうすぐ沈むというだけでした。
船長が何もしてくれないので、モスが乗客に状況を知らせます。
当然乗客に動揺が走りますが、モスはとりあえず船員の指示に従おうとパニックを抑えました。

ところが、なんとこの時、オセアノスの船員160名全員、船長以外の全員が救命ボートですでに船を離脱していたのです。

全員ですよ、全員。
なんということでしょうか。
テレビを見ていてあいた口がふさがりませんでした。

モスたちは、偶然つながった無線機によって、近隣のモーリシャスという船に助けを求め、モーリシャスの船長の的確な判断で位置が判明。
夜明けとともにヘリコプターによる救助活動がなされました。

幸いにも215名の乗客とどこかに隠れていた船長(これがまたヘリに我先にと乗っていった)は無事に全員が救出され、オセアノスは海底に沈みました。

オセアノスの沈没はわざとではないものの、ほとんど人災といってもいいかもしれません。
老朽化のために故障したパイプから逆流防止のバルブを取り去っていたり、窓を開け放していたのでそこから海水が入ったり、隔壁が閉められなかったりと散々です。

でも、それ以上に乗客を見捨てて自分たちだけ脱出する船員たちとは何事でしょうか?
彼らは法律上は罰せられなかったそうですが、会社自体は後に倒産したそうです。

もうね、なんと言っていいやら。
まさにアンビリバボーでした。

それではまた。
  1. 2007/12/07(金) 19:49:23|
  2. 映画&TVなど
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ダンケルクとストラスブール

海軍軍縮条約真っ只中の1931年、フランスで一隻の新型戦艦が起工されました。
そして、その後1934年には同型二番艦も起工され、この二隻はダンケルクおよびストラスブールと命名されることになります。

ダンケルク級は、まさにフランスの新型戦艦の第一陣とも言うべき存在であり、条約によって認められていた旧式戦艦の代艦として建造されたものでした。

その姿は英国のネルソン級と同じく、四門の33センチ主砲をひとつの砲塔にまとめ、それを二基前甲板に集中して配置するという形をとっておりました。
後甲板には13センチ副砲四連装砲塔を三基備え、観測用水上機の発進設備を設けてありました。
こうすることにより、二連装の主砲塔を四基備えるよりも、重量にして30%近くも軽減することが可能だったというのです。

もちろん誇り高きフランス人ですから、ネルソン級のマネをしたなどとは断じて言いません。
独自発想がたまたま似通ったということにしてあります。

ダンケルク級は全長が215メートル、最大幅31メートル、基準排水量26500トン。
速力が31ノットも出る高速艦であり、今までのフランス戦艦と同一行動をとることは難しい高速戦艦でした。

1936年にダンケルクが、1938年にストラスブールが竣工し、この二隻はフランスの最新鋭戦艦として第二次世界大戦を迎えます。

しかし、この二隻が活躍できるような状況をフランスは作り出すことができませんでした。
1939年から1940年の初めにかけて、ノルウェーや大西洋などでは英国海軍とドイツ海軍が死闘を繰り広げていたにもかかわらず、フランス海軍の行動はきわめて散漫なものでした。

そうこうしているうちに、1940年の6月にはフランスはドイツ軍の侵攻に遭い降伏してしまいます。
親ドイツの傀儡政権として樹立したペタン首相のヴィシー政権は、一応フランス海軍の艦艇はドイツには引き渡さないという約束を得たうえで休戦していたのですが、英国のチャーチル首相にしてみれば、そんな約束はいつ反故にされるかもわからない上、もしフランスの艦艇がドイツ海軍に編入される事態になれば、アメリカがまだ参戦していない時期においては英国海軍の深刻な脅威になると考えました。

フランス海軍の主だった艦艇は、休戦前にはドイツ軍による接収を恐れてフランス本土を離れており、ダンケルクとストラスブールはフランスが北アフリカに保持していたメルセルケビルという港に退避しておりました。

英国としてはフランスの艦艇が連合国側としてともに戦ってくれるのであれば言うことなしでしたが、入ってきた情報によれば、フランス艦艇は連合軍として行動する意思はないであろうというものでした。

味方にならないのであれば、敵の手に渡ることをなんとしても阻止しなくてはなりません。
英国はダンケルクとストラスブール(もちろんほかの艦艇も)を捕獲するか沈めるために動き出すことになりました。

ジブラルタルに集結していたサマーヴィル提督指揮下のH部隊(戦艦ヴァリアント、レゾリューション、高速戦艦フッド、航空母艦アークロイヤルを中核とした有力な艦隊)に出動命令が下ります。
行き先はメルセルケビルでした。

1940年7月3日、イギリス政府はメルセルケビルのフランス艦隊指揮官ゲンゾール提督に最後通牒を発します。
それは以下のうちからひとつを選べというものでした。

A:フランス艦隊は連合軍としてともに戦う。
B:英国の指示の下艦艇を英国に移送する。艦艇は戦後に返還、もしくは補償金を支払うものとする。
C:アメリカなど適地に回航し、武装解除して終戦まで停泊する。
D:6時間以内に自沈する。
以上、どの条件も飲めない場合には、英国は実力を持ってダンケルクとストラスブールを撃沈する。
というものでした。

ゲンゾール提督もフランス政府も提案を最初は拒否します。
しかし、英国が本気であることを知ると、やむなくアメリカへの回航に同意しようとしました。
ですが、時すでに遅かったのです。

6時間が過ぎてしまい、7月3日午後5時54分、英国艦隊はフランス艦隊に砲撃を開始しました。
この攻撃でダンケルクは擱座。
ストラスブールは駆逐艦に護られてメルセルケビルを脱出、フランス本土のツーロンに逃げ込みます。

擱座したダンケルクも、応急修理の後にツーロンに逃げ込んでいることから、英国の攻撃は徹底したものではなかったようですが、以後ストラスブールとダンケルクはツーロン軍港に閉じ込められてしまいます。

そして、1942年11月27日。
ドイツ軍によるフランス軍艦接収を防ぐため、ツーロン軍港にやってきたドイツ軍の目の前でフランス艦隊はいっせいに自沈。
ダンケルクとストラスブールもこのとき自沈してその生涯を終えました。

太平洋とは違い、地中海や大西洋ではまだまだ戦艦の価値があったので、ダンケルクもストラスブールも使いようによっては活躍できたかもしれません。
しかし、祖国フランスの運命がこの二隻の戦艦をも翻弄したといえるのかもしれません。

それではまた。
  1. 2007/12/06(木) 19:39:19|
  2. 趣味
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給食の思い出かぁ・・・

放送自体はもう数ヶ月前になるのですが、録画しておいた番組「所さんの目がテン」を先日まとめて拝見しました。

もう900回を越える長寿番組で、毎回いろいろな対象を科学的に考察するという番組ですよね。
とても面白くて、ここ二年ほどはずっと録画していたりします。

そんな「所さんの目がテン」で給食について取り扱った回がありました。
(2007年7月8日放送第890回)
中華料理のコックさんと、給食の調理師さんたちがそれぞれ50人前ずつ作って生徒に食べてもらったとき、やはり調理してすぐ食べてもらう前提のコックさんよりも給食の調理師さんのほうの料理のほうが、時間が経ってもおいしくできているというのはすごく納得。
やはりそれぞれで前提が違うから作り方にもちょっとした違いが出るんですね。

ソフト麺がなぜのびてしまわないのかというのもちゃんと工夫があるからなんですね。
私もソフト麺は好きな給食の献立のひとつでした。
当時はカレースープでカレー麺にして食べることが多かったなぁ。

舞方はもう中年も後半にさしかかろうかという親父ですので、学校給食は30年以上も前のことです。
当時の給食にはよく鯨肉のカツレツが・・・とは聞きますが、私はあんまり印象ないですね。
どちらかというと、おいしかった黒コッペパンや豆コッペパン、小分けされているのが珍しかったバターやジャム、牛乳がビンだった時代に牛乳に入れて溶かすココアなど(ミルメークというんですってね)が印象深いです。

そして、何より印象深いのが、運動会のときに給食に付いたカップのアイスクリーム。
当時はアイスクリームは日常的なおやつではなかったので、うれしかったものでした。

で、この話を友人とかにすると、決まって返ってくるのが、「運動会に給食があるはずないだろう」ってセリフ。
まあ、一般的にはそうですよね。
運動会の時には家族と一緒に海苔巻きやお稲荷さんでしょう。

でも、私の通っていた小学校は給食だったんですよ。
何でも、親がいないもしくは来られない生徒たちに配慮して、親との食事はさせずに給食を出すということだったらしいです。
なので、運動会は給食だったんですね。

今の給食は見違えるほどですよね。
ホリドルなんか書くときに参考にしたりしましたが、本当においしそうなおかずが目白押しです。
こんな素敵な給食を、子供に気兼ねなくおいしく食べてもらうためにも、ちゃんと給食費ぐらいは払って行きましょうね。

それではまた。
  1. 2007/12/05(水) 21:20:17|
  2. 日常
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出場決定!!

昨日の試合の勝利をもって、北京オリンピック野球種目に日本の参加が決定しましたですね。
日本代表の選手の皆様、おめでとうございます&お疲れ様でした。

緒戦のフィリピン戦こそは、レベルの差を見せることができてコールド勝ちでしたが、やはり鍵は第二戦だったと思います。

韓国に4対3という非常に競った試合をものにできたということは、日本代表の力の強さを出しきれたということではないでしょうか。

第二戦先発の成瀬投手は初回にホームランを打たれたものの、その後は丁寧なピッチングで日本の反撃を呼びましたし、第三戦もそうですが、点を取られたらすぐに取り返すという形が流れを持っていかせなかったのだと思います。
川上投手が中継ぎというのも驚きましたが、緒戦の涌井投手といい第三戦のダルビッシュ投手といい若くて勢いのある投手を先発にしていったのも、流れを呼び込むためだったのかもしれませんですね。

そして昨日の台湾戦。
もういろいろなところで語りつくされているとは思いますが、あの大村選手(サブロー)のスクイズは大きかったですね。
無死満塁という一番スクイズのしづらい場面で、良くぞ決めてくれました。
その前の宮本選手の三塁への滑り込みも見事の一言でしたし、あの回に日本代表のいい面がすべて出たんでしょうね。

来年より阪神に来ることになった新井選手も活躍してくれましたし、藤川投手のピッチングもよかったです。
日本代表の皆様が、来年の北京でまたがんばる姿を期待しましょうね。

星野監督、激務の監督業お疲れ様でした。
しばしの間、ゆっくり休んでくださいませ。

それではまた。
  1. 2007/12/04(火) 19:52:14|
  2. スポーツ
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豊家滅亡その7

慶長5年(1600年)8月5日に江戸に到着した家康は、それからの日々を足場固めに費やします。
諸大名に書状を発し、調略に余念が無かったのです。
それと同時にこの期間は豊臣恩顧の諸大名の動静をうかがう時期でもありました。
果たして人質を捨てても本当に家康に付き従ってくれるものかどうかを見極めようとしたのです。

そのため家康の江戸滞在は思いのほかの長期に及ぶことになりました。
せっかく疾風のごとき速度で清洲まで進出したにもかかわらず、家康が来ないために東軍諸将は清洲城で西軍に対してどう動くべきか考えあぐねていたのです。

家康が来て下知を下すものと考えていた東軍諸将は、家康が自分たちを捨て駒にするのではとも考え始めますが、その東軍諸将の焦りを感じた家康は使者に村越茂助(むらこし もすけ)という人物を向かわせたといいます。
この村越茂助、実直なというよりも愚直な人物で、任務を全うしようと一言一句間違いなく家康の言葉を伝えるであろうということで選ばれたとされ、そのときの口上はこうであったといわれます。
「皆様(東軍諸将)はこの家康の部下ではなくお味方である。部下ならいちいち指図しなくてはならないが、お味方には指図など差し出がましいことはいたしません。どうぞ存分なお働きを」
この口上に東軍諸将は気がつきます。
お前たちが味方かどうか疑っているからさっさと戦えというものであるということを。
東軍諸将は動き出しました。

もっとも、これは疑問があるとも言われ、村越茂助の派遣自体はあったものの、口上としては家康は風邪を引いて動けないのでもうしばらく待ってほしいというものであり、いまだ不気味な動きを見せている上杉景勝に対応するために江戸を動けない家康の時間稼ぎの使者であるというのが有力となっているようです。

8月19日にこの村越茂助を清洲に迎えた東軍諸将は、使者の口上がどうであれ翌20日には軍議を開いて岐阜城攻略に取り掛かることになりました。

8月21日。
池田輝政、浅野幸長、山内一豊ら一万八千が木曽川上流から、福島正則、黒田長政、藤堂高虎(とうどう たかとら)ら一万六千が木曽川下流から美濃(岐阜県)へ進入します。

8月22日に小競り合いの末木曾川を渡った東軍は、その勢いで木曽川近くの竹ヶ鼻城を攻め落とします。
そしてそのまま岐阜城攻略に取り掛かりました。

この時点で岐阜城には、織田秀信の手勢と援兵約七千が守備しておりました。
岐阜城はかつては稲葉山城と呼ばれ堅固な城として名高いものでした。
七千が篭城すれば、一月以上は落城しないはずでした。
そう、篭城していればです。

織田秀信は織田信長の血筋という自負心が強すぎたのかもしれません。
一戦もせずに篭城することは耐えがたかったようで、主力約四千を率いて城外へ討って出てしまいます。
しかし、東軍は約一万八千の軍勢でこれを迎え撃ち、織田勢は一蹴されてしまいます。
残った兵力では篭城もおぼつきません。
岐阜城はわずか一日、わずか一日で陥落いたしました。

岐阜城の次は大垣城です。
まさか一日で岐阜城が陥落するなど思いもよらなかった三成は、大垣から離れた沢渡に陣を敷き、守備隊を岐阜と大垣の中間合渡川に派遣して東軍の動きを探っておりました。

合渡川の守備隊は岐阜落城を見届けずに進出してきた黒田長政、藤堂高虎ら東軍に蹴散らされ、それを知った三成は沢渡の陣を捨てて大垣城に撤収。
東軍もそれ以上の進出はせず、大垣近辺でのにらみ合いとなりました。

岐阜城陥落は家康にとってひとつの転機でした。
東軍諸将の動向も確認できたうえ、西軍の拠点が陥落したことで今後の戦いを有利に展開させることが可能となったからでした。
家康はついに江戸を出立する準備を始めます。
時に慶長5年8月28日でした。

それより先、宇都宮に布陣していた徳川秀忠が徳川家の主力約三万八千を率いて美濃に向かったのが8月24日、この軍勢は中山道を進み、家康の東海道とは別ルートを通ることになります。
東軍の戦争準備は着々と進んでおりました。

一方、石田三成は前線での東軍の動きが無いことを見極めて一度佐和山城へ戻ります。
一説によれば、三成は佐和山城に秀頼を迎えることにしていたため、その最終確認のために戻ったとも言われます。
その後再度大垣城に戻った三成は、近隣の西軍諸将に大垣城への参集を命じます。
戦機は熟しつつありました。

その8へ
  1. 2007/12/03(月) 19:41:42|
  2. 豊家滅亡
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北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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