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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

「Unrein(ウンライン)」 

90万ヒット到達のお祝いコメントありがとうございました。
今日から100万ヒット目指してがんばります。

ということで、今日はマンガの紹介を。

「Unrein(ウンライン)」 inoino著 キルタイムコミュニケーション二次元ドリームコミックス

あの「二次元エンド」という言葉まで生み出した、キルタイムコミュニケーション社の二次元ドリームコミックスのひとつですが、2chのスレなどで高評価を得ていたので、読んでみようと思っていました。

ありがたいことに友人からプレゼントしていただきまして、早速読んでみたのですが、とってもいいですねぇ。
アダルトマンガですので、どうしても陵辱からのエロ堕ちになるんですが、それでもシチュ的にそそられるものがいっぱいです。

魔蟲に母乳を与えるのが喜びとなったり、魔物の母体となったりするのもいいんですが、何より悪堕ちっぽいのがそこそこあるのがうれしいですね。
くノ一が快楽に負けて敵の手駒になってしまったり、巫女がサキュバスにされてしまったりと、なかなか楽しませてくれました。

キルタイムコミュニケーションもこの類をもっと出してくれるといいんですけどね。
どうしても二次元エンドが多いのが気になります。
でも、この「Unrein(ウンライン)」はお勧めできますよ。
楽しめると思います。

それではまた。
  1. 2007/11/30(金) 19:40:39|
  2. 本&マンガなど
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デスマドー少女隊復活(3)

本日日付の変わった直後の午前0時10分ごろ、ありがたいことに90万ヒットを迎えることができました。

いつも申していることではありますが、これもひとえに皆様のご支援の賜物。
決して自分の力のみで達成できるものではありません。
訪れて下さっている皆様に心よりお礼申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。

思えば夢のような数字ですね。
私の住んでいる北海道では、この数字を超える人口の都市は札幌しかないんですよね。
100万ヒットという数字もわずかに見えてきたような気もします。

これからもできるだけ突っ走るつもりでおりますので、これからもご声援のほどよろしくお願いいたします。
今日の日の記念にと書いてきたSSだったわけではありませんが、期せずして90万ヒット記念になりました「デスマドー少女隊復活」、今日はその締めの日です。
どうか楽しんでいただければ幸いです。
そして願わくば、何らかのコメントがいただければ嬉しいです。
作者にとって作品に何らかの反応があるということほど嬉しいものはありませんのですから。

それでは「デスマドー少女隊復活」の3回目をどうぞ。


放課後、真奈美は一心に仕事に打ち込んだ。
小テストの採点や教科の確認事項などを済ませ、退勤時間を待ちわびる。
帰りにデパート寄らなくちゃ・・・
もう真奈美の心を占めているのは赤紫色のレオタードを探すことだけ。
お昼に千尋に会ってわかったわ・・・私たちには赤紫のレオタードが必要なのよ・・・
ああ・・・早く赤紫のレオタードを身に付けたいわ・・・
自分でも異様な気持ちだなとも感じるが、それを不思議とは感じない。
とにかく赤紫色のレオタードが着たいのだ。
他の事などどうでもいい。
真奈美は先ほどからもう何度目を落としたか知れない腕時計に、再度また目を落とした。

「先生さよーならー」
委員会などを終えた生徒たちが校門で真奈美に手を振ってくる。
挨拶もそこそこに真奈美は繁華街に向かって歩を進めた。
十数分後、真奈美は繁華街の一画にあるデパートに入って行く。
脇目も振らずに歩いていくその姿は、傍から見れば一種異様だったかもしれない。

そのまま真奈美は五階にあるダンス用品の専門店に入って行く。
カラフルでとりどりのレオタードがディスプレイを飾っているお店だ。
七階にはスポーツ用品店もあり、レオタードはそちらでも売っているが、カラフルなレオタードならダンス洋品店の方があるだろう。
そう思って真奈美はここを選んだのだ。
まあ、無ければ七階に行ってみればいいわね。
そう思いながらレオタードの棚を見ていく真奈美。
丸首やVネック、ハイネックなどの襟の形や、長袖半袖袖無しにハイレグや下にカラータイツを穿くこと前提のTバックなど、さまざまな形のレオタードが揃っている。
これなら形を選ぶのも楽しいかもしれない。
色もカラフルなものがたくさんだ。
黒白はもとより、ピンクやグリーンやネイヴィーブルー。
蛍光系の派手な色もいくつかある。
今まで気にもしていなかったけど、レオタードっていろんな種類があるんだわ・・・
真奈美は棚やマネキンを目で追いながら、目的のレオタードを探して行く。
これだわ・・・
やがて真奈美は一着のレオタードを手に取った。
それはVネックのレオタードで、長袖のそれほどハイレグではないものだった。
何よりも鮮やかな赤紫色が真奈美の目を捕らえて離さなかったのだ。
真奈美はすぐに同じものをもう一着手に取ると、小物類のところへ行く。
夢の中の真奈美は両手に手袋をしていた。
紫の手袋があればいいのだけど・・・

駆け込むように自宅の玄関に入り込む真奈美。
もう、どこをどう歩いてきたのかも覚えていない。
確かなのは抱えた紙袋の感触だけ。
他にはもう何もいらない。
真奈美は靴を脱ぐと、早速部屋に行って紙袋を置く。
ドキドキが止まらない。
服を買ってこんなにドキドキするのは初めてかもしれない。
真奈美は少し落ち着こうとコートを脱いでハンガーにかける。
だが、心はちっとも落ち着いてくれない。
早く紙袋の中身を取り出したくて仕方ないのだ。
真奈美は結局、グレーのスーツを脱いでハンガーにかけると、下着とパンティストッキング姿のままで紙袋の前に腰を下ろした。

広げられる赤紫色のレオタード。
同じものが二着ある。
なぜそんなことをしたのだろうとも思ったが、今となってみるとわかりきったことだ。
着せる。
そのために同じものを買ったのだ。
夢と同じように・・・
一緒にこのレオタードを着るのが当然なことなのだ。
そう・・・
これを着て行かなくては・・・
真奈美はレオタードを着るためにストッキングと下着を脱ぐ。
その上であらためて出したばかりのナチュラルベージュのパンストを穿いていく。
もちろん下着などは付けずに直穿きだ。
普段の真奈美なら絶対にやらなかっただろうが、今の彼女にはそれが当然のように思う。
本当はレオタードの下には何も付けたくなかったが、素足ではいけない。
激しい戦闘に備えるためにはむき出しの部分があってはならないのだ。
パンティストッキングならば、充分に彼女の脚を守ってくれるだろう。
なぜだかわからないが、真奈美はそう思っていた。

パンティストッキングを穿いたら、次はいよいよレオタードだ。
脚を交互に入れて腰までたくし上げ、そこから徐々に胸まで上げて行く。
その上で両腕を通し、肩まで上げてフィットさせる。
はふう・・・
ただレオタードを身につけただけなのに、強烈な快感が全身を走る。
まるで全身を愛撫されているかのようだわ・・・
真奈美は熱い息を漏らしながら両腕で自分の躰を抱きしめる。
赤紫のレオタードが心地よかった。

姿身の前に立つ真奈美。
おもむろに買ってきた紫色の手袋を両手に嵌めて行く。
残念ながら紫のブーツは見つからなかったので、足先が定まらない。
でも、レオタードを着て手袋を嵌めただけでも、気持ちが引き締まる。
手袋を嵌め終えた真奈美は、おもむろに紫色の口紅を塗り始める。
唇が紫色に染まって行くのは本当に気持ちがいい。
何か自分が新しく生まれ変わって行くかのよう。

口紅を塗り終えた真奈美は、姿見の前で自分の姿を確認する。
口紅をわざわざ目蓋にも塗って即席のアイシャドウとし、紫の唇とあわせてコーディネートしてある。
赤紫色のレオタードを着て紫色の手袋も嵌めている。
ブーツこそないものの、ナチュラルベージュのパンティストッキングも穿いている。
だが、真奈美は何か物足りなさを感じていた。
何か、何かが足りないのだ。
いったい何が足りないのか・・・
改めて姿見の中の自分を見つめる真奈美。
あ・・・
何が足りないのかがわかったような気がする。
両手で目の周りを覆ってみる。
もう間違いない。
真奈美は材料を探し始めた。

ボール紙を切り抜いてこしらえたアイマスク。
サインペンで黒く塗って目のところに当ててみる。
ゾクゾクッという快感が背筋を駆け抜けていく。
真奈美は再び姿見の前に立つ。
アイマスクで目の周りが覆われて目元だけが覗く形になり、いっそう紫色が引き立っている。
ああ・・・
これよ・・・
これこそが私の姿・・・
これこそが本当の私の姿なんだわ。
真奈美はうれしくて姿見の前でくるくると回って見せる。
内からあふれてくる悦びに叫びだしたくなる。
「・・・ドー・・・」
思わず口をついて出てくる言葉。
昼間頭の中をぐるぐる回っていたあの意味不明な言葉が今はっきりと意味を成す。
「マドー・・・」
おずおずと小さな声で口にしてみる。
その瞬間に全身がまるで性感帯にでもなったかのような快感が走る。
真奈美はもう少しで床にへたり込んでしまいそうになるほどだった。
「マドー!」
もうためらわない。
「マドー!!」
真奈美は大声でそう叫んでいた。

突然湧き起こる黒い渦。
足元から立ち昇る黒い霧の渦に真奈美は巻き込まれる。
「えっ? ええっ?」
いきなりのことに何がなんだかわからない。
だが、足元がグニャリと歪んで感触がなくなり、真奈美は漆黒の中空に浮いたような感じを受ける。
「い、いやぁっ! だ、誰か助けてぇっ!」
手足をばたつかせてもがいたものの、どこにも手がかりはなく、まるで濃い闇の中を泳いでいるかのようだった。
「いやぁっ! 怖い、怖いよぉ!!」
本能的な恐怖に襲われ、真奈美は必死にどこかにすがれるものはないかと手を伸ばす。
やがて、真奈美が着ているものに変化が訪れた。
赤紫色のレオタードが、ナチュラルベージュのパンティストッキングが、そのほか身に着けていたものすべてが細かい塵のようになってぼろぼろと崩れていくのだ。
「ええっ?」
闇の中で白い裸身をさらけ出すことになった真奈美は、思わず躰を丸めて隠そうとした。
だが、このふわふわした闇の中に漂うことが、とても気持ちがよいことが次第に感じられてくる。
誰も見ているものなどない闇の中で、躰を隠すなんて馬鹿らしいことだ。
真奈美は恐る恐る両手両足を広げて、闇の中に身を任せる。
先ほどまで感じていた恐怖はすでに綺麗になくなり、心地よさだけが広がっている。
それどころか、この状態に恐怖を感じていた自分が馬鹿みたいに思え、思わず真奈美の口元には苦笑が浮かんでいた。
ああ・・・気持ちいい・・・
裸のまま大の字になって闇にたゆたう真奈美。
やがて最後の変化が真奈美を包み込む。
周りの闇が真奈美の躰に染み込んで、真奈美の体表に衣装を形作り始めたのだ。
すらっとした白く長いすべすべの脚は、薄い皮膜のナイロンストッキングを穿いたように包まれていき、くるぶしから下は紫色のショートブーツを履いたようにつま先がとがって高いヒールが作られる。
股間から胴体、そして首周りまでは赤紫色のハイネックレオタードを着たようにすべすべのナイロン状の皮膜が覆い、手首から先は紫色の手袋を穿いたように染められていく。
唇は口紅ではなくその色自体が紫色となり、目蓋のアイシャドウも目蓋自身の色となる。
額には金色に染め抜かれたデスマドーの紋章が輝き、そして目の周りと鼻の頭にかけて、黒いアイマスクが仮面舞踏会の仮面のように載せられ、真奈美の顔を妖しく美しく彩った。
それは、以前エロジームの手により作り出され、ユリジームによって強化されたデスマドー少女隊、そのリーダーソルジャーだったマナミの姿に他ならなかった。

闇が晴れ、先ほどと同じく姿見の前に真奈美は立っていた。
しかし、その姿は以前とは微妙に異なっていた。
すべての衣装が暗黒魔界の力によって作られ、その姿を誇らしげにさらしている真奈美は、もはや生徒に親しまれた日本史教師の大河内真奈美ではなく、デスマドー少女隊のリーダーソルジャーマナミへと生まれ変わっていた。
「うふふふ・・・ようやく本当の姿を思い出したわ。ジャスリオンによって封じ込められていた本当の私。今まで忘れさせられていたんだわ」
姿見の前でくるっと回って自分の姿を確認する。
「うふふふ・・・素敵。これこそが私の姿。私はデスマドー少女隊、リーダーソルジャーマナミ。あははははは・・・」
気持ちが高ぶり思わず笑いが出る。
「ふふふ・・・さあ、千尋に会いに行きましょう。私の可愛い大事なパートナー、リーダーソルジャーチヒロにね・・・」

                            ******

「買っちゃった・・・」
手に持っている口紅のスティックを見つめながら、千尋はポツリとつぶやいた。
どうしてかわからない。
でも、紫色の口紅がどうしてもほしくなったのだ。
「真奈美・・・先生・・・」
今日の昼、千尋は真奈美先生に紫色の口紅を塗ってもらった。
すぐに拭ってもらったものの、それがあまりにも気持ちよくて、しばらくはぼうっとして授業に集中もできなかった。
どうしてこんなにも紫色に心惹かれるのだろう・・・
考えてもわからない。
ただ言えることは、つい先日まではそんなに惹かれる色ではなかったということだけ。
でも・・・
千尋はそっとキャップをはずし、下部をひねって口紅を出す。
鮮やかな紫色が千尋の目を釘付けにする。
綺麗・・・
千尋はゆっくりと口紅を唇に塗りつける。
しっとりとした口紅の冷たさが唇に染みとおるような感じがする。
「ん・・・」
唇を前後に滑らせ、口紅がきちんと載るように整える。
机の引き出しから手鏡を取り出して見ると、千尋の唇は鮮やかな美しい紫色に染め上げられていた。
「はあ・・・なんだろう・・・なんだか躰が熱いよぉ」
じんわりと躰が火照るような気がする。
内から何かがあふれ出してくるような、何か閉じ込められていたものが出てくるようなそんな感じ。
「なんだろう・・・これ・・・」
思わず胸に手を当てる。
千尋はその得体の知れない感覚をいつの間にか楽しんでいた。

『チヒロ・・・チヒロ・・・』
誰かが呼んでいる。
『チヒロ・・・私の可愛いチヒロ・・・』
誰だろう・・・
千尋は少し考える。
だが、その声はすごく優しく、そして聞き覚えがあるような感じがする。
「誰? 誰なの?」
千尋はあたりを振り返る。
だが、ここは自分の部屋。
ベッドと机、本棚や洋服ダンスがあるだけの自分の部屋。
誰もいるはずがない。
『チヒロ・・・私のチヒロ・・・迎えに来たわ』
ドクン
千尋の心臓が跳ね上がる。
ああ・・・
来てくれたんだ・・・
私の・・・
私のパートナーが・・・

千尋はふらふらと窓を開ける。
外は夜。
住宅街の静けさに包まれて、街灯の明かりが寒々と輝いている。
そこに真奈美がいた。
赤紫のハイネックのレオタードと紫のショートブーツに手袋、漆黒のアイマスクといういでたちをして、二階の千尋の部屋の窓の外に浮いている。
「真奈美先生・・・」
千尋はその真奈美の姿と状況が異様とも感じないどころかとても素敵に思えた。
できることなら自分もその姿になりたいとそう思う。
真奈美はちょっと身をかがめるようにして窓をくぐり、千尋の部屋に入り込む。
「今晩はチヒロ。迎えに来たわ」
「真奈美先生・・・」
千尋はうっとりと真奈美を見つめる。
すらりとしたスタイルのよい真奈美にはレオタードがよく似合っていた。
「さあ、これを・・・」
真奈美が差し出すものを千尋は黙って受け取る。
それは赤紫色のレオタード。
千尋が求めてやまない赤紫色のレオタードだった。

「ああ・・・」
まるで失ったものを取り返したかのように、千尋はレオタードを抱きしめる。
「ありがとうございます、先生」
「礼はいいわ、着て御覧なさい」
「はい」
千尋はためらいもなく着ているものを脱ぎ捨てていく。
室内着はおろか下着までも脱ぎ捨てると、美しい裸身が姿を見せた。
自慢の胸は巨大すぎてバランスが悪いなどということはなく、腰のくびれは極端すぎず、お尻の丸みはみずみずしい果実のよう。
まさに天が与えたバランスのよさと千尋自身のたゆまぬ努力の結晶だ。
「綺麗だわ、チヒロ」
「ありがとうございます」
少し頬を赤らめる千尋。
「これも使うといいわ」
手渡されたのは紫色の手袋とベージュのストッキング。
無くてはならないものばかりだ。
「はい、それじゃ着ますね」
千尋はゆっくりと渡されたものを身に着けていった。

「いかがですか? 先生」
真奈美の前でくるっと回転してみせる千尋。
赤紫色のレオタードがぴったりと吸い付くように躰のラインをさらけ出している。
「うふふ・・・素敵よチヒロ。気持ちいいでしょ?」
「はい、とっても・・・」
うっとりと自らの躰を抱きしめる千尋。
「うふふ・・・さあ、目覚めるのよチヒロ。マドーって叫んで御覧なさい」
「えっ? マドー・・・ですか?」
一瞬意味がわからない千尋だったが、その言葉がすごく心に響いてくる。
「そう、内なる力を呼び覚ましなさい。目覚めるのよチヒロ!」
千尋ではなくチヒロと呼ばれるうれしさが千尋の躰を駆け抜ける。
音は同じでも意味がまったく違うことがすぐにわかる。
「ああ・・・はい、先生。マドー!!」
その悦びに包まれて力いっぱい千尋は叫ぶ。
その瞬間、千尋の周囲に闇が湧き起こり、彼女の姿を飲み込んだ。

闇の中から姿を現す千尋。
その姿は先ほどとそんなには変わらない。
だが、漆黒のアイマスクが鼻梁から目の周囲を覆っており、きている赤紫のレオタードもハイネックに変化している。
足元にはショーツブーツが形成され、額には金色のデスマドーの紋章が、目元には紫色のアイシャドウが入っていた。
「ふふふ・・・おめでとうチヒロ。これであなたも・・・」
「ええ、ありがとうマナミ。私はデスマドー少女隊リーダーソルジャーチヒロ。デスマダー様復活のためにこの身をささげるわ」
デスマドー少女隊の姿に変化した千尋は、口元に冷たい笑みを浮かべて妖しくチロリと舌先を覗かせた。

                           ******

「今晩は、卯月さん。あなたを迎えに来たわ」
「あ、あなたたちは? いったいどこから?」
突然自室に現れた二人の異様な姿の女性に卯月麻美(うづき あさみ)は恐怖する。
「すっかり忘れさせられてしまったのね。でも心配は要らないわ。すぐに思い出させてあげる」
赤紫のレオタードに身を包んだ二人の女性は、アイマスクの奥の瞳を輝かせながらそっと麻美に手を差し伸べる。
「い、いや、こないで」
逃げようとした麻美だったが、すぐに二人の女性に前後を挟まれてしまう。
「ひいっ」
「怖がらないで。すぐにあなたも思い出すわ」
二人は前後から麻美を挟み込んで抱きしめると、意味不明の叫び声を発した。
「「マドー!」」
「きゃあーっ」
足元から黒い霧が湧き上がって麻美もろとも全員を包み込んでいく。
やがて闇が晴れていくと、挟み込まれていた麻美の姿も赤紫色のレオタードを身にまとったデスマドー少女隊の姿へと変化していた。
「うふふふ・・・どうかしら、ソルジャーアサミ」
前後を挟んでいたマナミとチヒロがアサミを離す。
「ありがとうございますマナミ様、チヒロ様。私はデスマドー少女隊、ソルジャーアサミ。デスマドーに忠誠を誓います」
すっとひざまずき忠誠を誓うアサミ。
だが、その瞳からは意思の輝きは失せ、アイマスクの奥の瞳はガラス作りのように透き通っていた。

川霧女学園。
深夜だというのに、教室の一つに灯りがついている。

「私はデスマドー少女隊、ソルジャーミノリ。リーダーソルジャーチヒロ様、何なりとご命令を」
赤紫のレオタードを身にまとって生まれ変わった少女がひざまずく。
その背後には十数人の同じ姿をした少女たちが控えていた。
「うふふ・・・これでデスマドー少女隊は完全復活ね。お疲れ様リーダーソルジャーチヒロ」
マナミはそっとチヒロのあごを持ち上げて口付けをする。
「ああ・・・ありがとうマナミ。デスマドー少女隊は滅びないわ。何度でも蘇るの。エロジーム様やユリジーム様の力に頼らなくてもこうして蘇ったんだもの」
「ええ・・・そのとおりよチヒロ」
マナミもうなずいた。
明日からは忙しくなる。
デスマダー様を復活させ、暗黒魔界を地上に広げるのだ
「ねえ、チヒロ。デスマダー様の復活にちょうどいい生贄がいるんだけど」
「うふふふ・・・雷純玲のことね」
「そうよ、チヒロは賢いわね」
「うふ、マナミに褒められちゃった。あの娘こそが憎むべき敵、魔法機動ジャスリオンだものね」
ペロッといたずらっぽく舌を出すチヒロ。
その仕草がすごく愛らしい。
「ええ、でも油断は禁物。まずは力を蓄えないとね。美並原先生あたりは魔力が豊富そうだし・・・」
「幾人かの生徒も魔力を持っているわ。まずは新たな少女隊メンバーを補充しましょうか」
「ええ、二人で楽しみましょう」
お互いに見つめあい、求め合うように抱き合う二人。
新たな闇が学園に広がろうとしているのだった。

END
  1. 2007/11/29(木) 19:09:02|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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デスマドー少女隊復活(2)

二回目です。
それではドゾー。

「おはようございます」
職員室にはまだ人影はまばら。
真奈美は割りと早めの出勤を心がけているために、まだ来ていない教師たちも多いのだ。
とりあえず自分の席に着き、通勤途中で買ってきた無糖の缶コーヒーと眠気覚まし用のガムをカバンの中から取り出す。
えっ?
真奈美の表情から血の気が引く。
ど、どうしてこれが?
真奈美はすぐさまカバンの中にあった“それ”を取り出してポケットに入れる。
そして周囲を窺うようにして、誰も今の行為を見ていないことにホッとした。
真奈美はすぐさま立ち上がると、職員用のトイレに向かう。
その間、彼女の右手はポケットの中に押し込まれたままだった。

ど、どうして・・・
私・・・
どうして?
トイレの個室に入り込んで鍵をかける。
心臓がドキドキと早鐘のように打っている。
右手に感じる硬質な気配。
あってはならないものがそこにある。
どうして?
確かに見惚れて手に取ったけど・・・
ちゃんと置いてきたはずよ。
恐る恐る取り出される真奈美の右手。
握られたこぶしの中にその感触は確かに存在している。
でも・・・
これは何かの間違いだわ・・・
私はこんなのもっているはずが無い。
目を閉じておずおずと手を開く。
目を開ければそこには何も無いはず。
そう信じて真奈美は目を開け・・・そして唇を噛み締めた。

真奈美の右手の上にあるのは一本の口紅のスティック。
朝、いつものコンビニで見かけたものだ。
今までならまるで気にもしなかったはずの色の口紅。
鮮やかな赤紫色の口紅が真奈美の手の平に乗っていた。
「持って・・・来ちゃったんだ・・・わ」
そんなことは信じたくない。
口紅を持ってくるなんてありえない。
しかもこんな毒々しい赤紫色の口紅なんて・・・
確かに朝これに目を惹かれたのは事実。
でも・・・
置いてきた記憶が・・・
どうして・・・
どうしてこんな色の・・・
こんな赤紫色の・・・
綺麗な赤紫色の・・・
綺麗・・・

「うふふっ・・・」
真奈美の口元に笑みが浮かぶ。
ぎゅっと握り締められる右手。
そのまま個室を出ると、手洗い場の鏡に向かい合う。
右手に持ったスティックのキャップが抜き取られる。
下部をねじって中身を露出させる。
赤紫色の口紅が姿を現し、真奈美はそれを少しの間うっとりと眺めていた。
やがて、真奈美の右手はおもむろに口紅を口元に運んで塗っていく。
綺麗なナチュラルピンクの唇が、見る間に赤紫色に染まっていく。
「ん・・・」
唇を重ね合わせ、前後にずらして口紅の載りを確かめる。
赤紫色の唇をした真奈美が、鏡の向こうで微笑んでいた。

「あ、大河内センセ、おはようございます」
職員用トイレに入ってくる白衣の女性。
養護教諭の美並原紀江だ。
いつものように優しい笑顔に真奈美もつられて笑みが浮かぶ。
「おはようございます美並原先生」
にこやかに微笑んだ真奈美の顔に一瞬怪訝な顔をする紀江。
だが、その違和感の元が真奈美の唇にあることに気がつくと、その表情から笑顔が消える。
「大河内センセ、とても素敵な色の口紅ですけど、そのまま授業を行うつもりですか?」
「えっ?」
慌てて鏡を見直す真奈美。
妖しい赤紫色の唇がその目に飛び込んでくる。
「ええっ? わ、私・・・どうして・・・」
愕然としながらもティッシュを取り出して口紅を拭い落とす。
「気がついていなかったんですか?」
「あ・・・それは・・・あの・・・」
唇を拭いながら言葉を捜す真奈美。
どうしてこんな口紅をつけてしまったのだろう・・・
わからない・・・
わからない・・・
「どうしたんですか? 大河内センセ」
様子のおかしさに紀江はちょっと戸惑うが、真奈美は何も言わずにトイレから飛び出して行ってしまう。
残された紀江は首をかしげるしかなかった。

どうかしてる・・・
私どうかしてるよ・・・
いったいどうしちゃったんだろう・・・
何かの病気かしら・・・
トイレを飛び出した真奈美は、廊下の壁によりかかって呼吸を整える。
気がつくとポケットに入れていたはずの口紅を握り締めていた。
こんな口紅を盗んじゃったから?
こんな口紅を・・・
一瞬口紅を放り投げてしまおうかとも思ったが、そうも行かない。
使ってしまったけれど、ちゃんと帰りにでもあのコンビニで代金を支払わなければ・・・
そう思いなおして、真奈美は再びポケットに口紅を入れなおした。

シンと静まりかえっている教室内。
筆記具が紙に擦れる音しかしてこない。
期末試験を目前に控えた段階での小テスト。
みんなが必死に取り組むのも無理は無い。
この問題の中から期末試験に出ることもありえるのだ。
日本史と言う個々人の興味の差がはっきりする分野の授業では、こういう小テストで繰り返しポイントを教えて行くのが有効だと真奈美は思う。
残り10分・・・
腕時計から目を上げると、早くもあきらめムードを漂わせた娘と、仕上げてしまって用紙の裏にイラストを書いている娘とが見受けられる。
窓際の席にいるあきらめムードの少女は、もはやテストには何の興味も無いように窓の外に目を向けていた。
真奈美は苦笑した。
頴原(のぎはら)さんたら・・・マドの外に何かあるとでもいうのかしらね・・・
マド・・・?
マド・・・
マドー・・・
マドー・・・
マドーマドーマドーマドー・・・
マドーマドーマドーマドーマドーマドーマドーマドーマドーマドーマドーマドーマドー・・・
頭の中で渦を巻く意味不明な言葉。
「うわあぁぁぁぁぁ」
自分が悲鳴を上げたことに気がつき、真奈美は我にかえる。
生徒たちがいっせいに彼女の方を見て、困惑の表情を浮かべていた。
「あ・・・ご、ごめんなさい。ついうとうとしちゃったみたい」
とっさにごまかす真奈美。
爆笑に包み込まれる教室内。
親しみやすい教師と評判の大河内真奈美は、さらにその評判を高めるのだった。

面白くない・・・
教室でうたた寝をしたとして、真奈美は教頭に説教を食らったのだ。
事実はそうではなかったが、何が起こったのか自分でもわかっていないだけに腹立たしい。
それに今日はいつもよりも教頭のことが憎らしく感じる。
くだらない人間のくせに偉そうに説教するなんて赦せない。
ボキリ
握っていたプラスチックのボールペンが二つに折れる。
いらいらするわ・・・
こんなもの折ったぐらいじゃ落ち着かない。
いっそ一人ぐらい殺してしまおうかしら・・・
どうせ役に立たない人間たちばかりだもの・・・
「大河内先生、ボールペンが・・・」
隣の席の男性教師が驚いて彼女の方を見ている。
この男もくだらない人間の代表格。
つまらない授業で彼女の可愛い教え子たちの成績を下げている。
生きている資格など無い人間だわ・・・
始末してやりたいぐらい・・・
真奈美は男性教師をにらみつけると席を立つ。
少しこの場から離れないと息が詰まってしまいそうだ。
真奈美はポケットの中に手を入れ、そこにあるスティックを取り出して、職員トイレに向かっていった。

紫色の口紅。
とても美しくて見ているだけで吸い込まれそう。
自分の唇が紫色に染まったら・・・
どんなに気持ちがいいだろう・・・
赤い口紅なんて気持ち悪い。
紫色こそが私には相応しいわ。
でも・・・
でも今はダメ。
今はまだその時ではない・・・
今はまだ・・・
真奈美は口紅をネジって先端を出すと、手洗い場の鏡に映る自分の姿の唇にそっと塗りつける。
鏡の中で真奈美の唇は紫に染まり、とても妖しく微笑んでいる。
真奈美はしばらくうっとりとそれを眺め、やがて職員トイレを後にした。

「スミスミー! アヤアヤー! 待ってよぉ」
廊下を走っていく一人の少女。
先に行く二人の少女を追っているのだろう。
でも、だからといって廊下を走っていいことにはならない。
ましてや常日頃から個人的付き合いも無いではないとは言え、教師の前で走るなど論外なことだ。
「山咲さん!」
真奈美の制止の声に思わず足を止める少女。
恐る恐る振り返り、声の主を確認する。
「ま、真奈美先生」
あちゃーと言う感じで思わず天を仰ぐ。
「廊下を走ってはいけないことぐらい知っているでしょ? ダメじゃない」
いつもならこの程度で終わらせるのだが、真奈美はふと少女の向こうではらはらしながら待っている二人の少女が目に止まった。
綾・・・それに雷純玲・・・
どす黒い感情が沸き起こる。
目の前の少女、山咲千尋はあの二人の元に行こうとしていたのだ。
よりにもよってあの純玲のところに・・・
「ちょっと来なさい」
真奈美は思わず千尋の手を取っていた。
「えっ? あ・・・その・・・真奈美先生?」
千尋は何がなんだかわからない。
確かに廊下を走ったのはまずかったけど、説教を食らうほどじゃないはずだ。
だが、千尋の手はがっちりと握られて、とても離せる状況じゃない。
あうー・・・お昼ご飯がぁ・・・
千尋は大人しく着いていくしかなかった。

階段の影になるあたり、人目につかない場所に千尋を連れ込む真奈美。
勢い込んでつれてきてみたものの、真奈美にはもう千尋に説教しようという気などはない。
ただ・・・
ただあの純玲に千尋を近づけたくなかった。
どうしてかわからないけど、純玲に千尋を近づけたくはなかったのだ。
「あ、あの・・・真奈美先生?」
不安そうに真奈美を見上げている千尋。
いったいどうしたのだろうと思っているに違いない。
真奈美はどうしたものかとあらためて千尋を見る。
長めにした黒髪がつややかで美しい。
ピンク色の唇もつやつやしている。
ピンク色?
違う・・・
この娘にピンクは似合わないわ・・・
それに・・・セーラー服・・・
どうしてこんなものを着ているのかしら・・・
この娘にはもっと違うもの・・・そう・・・レオタードだわ・・・紫色のレオタードこそ相応しいのに・・・
ああ・・・どうしてこの学校は制服が紫色のレオタードじゃないの?
変よ。
おかしいわ。
紫色のレオタードを着るべきよ。
赤紫色のレオタードを・・・

「真奈美先生?」
「千尋、動かないで」
「えっ?」
千尋は戸惑った。
親友の綾の従姉妹である真奈美先生は、純玲や千尋とも個人的に親しい関係を持っている。
日曜日に綾の家に遊びに行くと、真奈美先生も遊びに来たりすることが多いのだ。
だから、担任教師というよりも友達のお姉さんと言うイメージのほうが近く、真奈美先生自身も綾の家などでは千尋ちゃんと呼んでくる。
それでも、公私混同を避けるということで、学校ではきちんと苗字で呼んでいるのが普通だったのに。
千尋なんて呼び捨てにされるなんて・・・
だが、それがちっともいやじゃない。
それどころか今までよりももっと真奈美に近い存在であることを感じるようで嬉しかった・・・

真奈美がポケットから口紅のスティックを取り出す。
キャップを開けて下部をネジって先端を覗かせる。
その瞬間、千尋はその素敵な紫色に目を奪われた。
綺麗な紫色・・・
とても素敵だわ・・・
そう思っていると、真奈美の手が千尋に向かって伸びてくる。
あ・・・
真奈美の持つ紫色の口紅が、千尋の唇を染めて行く。
紫色が千尋の唇に広がると同時に、千尋はえも言われぬ幸福感を感じていた。

目の前で紫色に染まって行く千尋の唇。
見ているだけでゾクゾクする快感が背筋を抜けて行く。
これだわと真奈美は確信する。
これこそがこの娘には相応しい色。
彼女とともに歩むのに相応しい色なのだ。
後はレオタード。
赤紫色のレオタードを着る。
二人でおそろいの赤紫色のレオタードを着て、紫色の口紅を塗る。
それこそが二人の絆をより強固にすることになるのだ。
ああ・・・
なんて素敵なの・・・
真奈美は叫びだしたいくらいの悦びに包まれる。
千尋・・・
あなたは私のものよ・・・
一緒に・・・
一緒にお仕えしましょうね・・・

「はあ・・・真奈美先生・・・」
うっとりと夢心地でつぶやく千尋。
どうしたんだろう・・・
躰がふわふわする・・・
まるで雲の上にでもいるみたい・・・
嬉しい・・・
気持ちいいよぉ・・・
口紅を塗られることがこんなにも気持ちいいなんて・・・
先ほどまでは紫色の口紅なんてって思っていた千尋だったが、今では口紅は紫以外考えられなくなっている。
はあん・・・
先生にキスしたくなっちゃう・・・
一緒に抱き合いたいよぅ・・・
真奈美先生・・・
ま・・・な・・・み・・・

どちらからともなく抱きしめ合う真奈美と千尋。
お互いの唇が重なり合い、濃厚なキスが交わされる。
うっとりとした表情を浮かべ、目を閉じて唇の感触だけで心を通わせる二人。
やがて離される唇の間に唾液が一筋糸を引いた。
「先生・・・」
「千尋、あなたは私のものよ。これからも一緒に・・・」
真奈美は優しく語りかける。
「はい・・・」
先ほどまでのいぶかしげな表情とはまったく違う表情を浮かべ、千尋はゆっくりとうなずいた。

「先生と千尋、どこに行っちゃったのかなぁ。早くしないとお昼終わっちゃうのに・・・」
「廊下を走ったぐらいでお小言とは真奈美先生らしくないですわ」
「真奈美先生もお腹空いていたんじゃない? だから怒りっぽくなっていたとか。真奈美先生ってあれで結構食べる人だし」
「まあ、純玲ちゃんたら。うふふふ・・・」
「とりあえず教室へ戻ろうよ。千尋も戻っているかもしれないしさ」
廊下の方から声が聞こえてくる。
きっと純玲と綾の二人が千尋を探しに来たのだろう。
真奈美はハッと我にかえると、そそくさと千尋から手を離す。
「千尋、またあとにしましょう。気をつけるのよ」
何に気をつけなくてはいけないのかさっぱりわからなかったが、真奈美がそう言うと千尋もこくんとうなずく。
先ほどのキスで口紅が乱れていたので、ティッシュを取り出してそっと拭う。
紫色が落ちてしまうのは悲しいが、今はまだつけていないほうがいいだろう。
「それじゃね、千尋」
「はい、先生」
真奈美は自分の唇もティッシュで拭いながら、千尋のそばを後にした。
  1. 2007/11/28(水) 19:39:40|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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デスマドー少女隊復活(1)

期せずして90万ヒット記念作品になっちゃいましたけど、今日から三日間連続でSSを一本投下いたします。

今回の作品は、またしてもと思われるかもしれませんが、「魔法機動ジャスリオン」の二次創作(という扱い)です。
(架空の)本編終了後の後日談として作られていますが、独立した作品として読んでいただいても大丈夫だと思います。

以前xsylphyx様にいただきました「魔法機動ジャスリオン」の本編第八話に出てきたデスマドー少女隊が、あまりに魅力的なので使わせていただきました。
xsylphyx様ありがとうございました。

「デスマドー少女隊復活」

「あ・・・痛っ」
思わず額に手を当てる。
どうしたのかしら・・・
最近頭痛が時たま起こるわ。
特にあの日とは関係ないみたいだけど・・・

やがて少しずつ引いていく痛みに、額から手を離してふうと一つため息をつく。
作成中の試験問題から目を離し、いすにもたれ掛かるようにして背筋を伸ばす。
それほど根を詰めているわけではないはずだが、やはり試験問題作成は疲労を増幅させているのかもしれない。
やだな・・・まだ若いのに・・・
そりゃあ担当している女子生徒たちに比べれば、すでにおばさんと言われたってしかたがない。
でもでも、二十代半ばのみずみずしい肉体は疲労など無縁のはずだと思いたかった。

「どうかしましたか? 大河内センセ」
白衣を着た若い女性が声をかけてくる。
こげ茶色の長い髪が柔らかそうに波打ち、優しそうな眼差しが心配そうに彼女の方を向いていた。
養護教諭の美並原紀江(みなみはら のりえ)だ。
きっと、彼女が頭痛に顔をしかめていたことに気がついたのだろう。
よく気がつく美並原のおねーさんと言われ、女子生徒の間でも“お嫁さん”にしたい女性の上位に来る常連だ。
「あ、ちょっとここのところ頭痛が時たまね」
思わず大丈夫と言うふうに両手を振る。
ちょっとした頭痛だし、いつもすぐに治まるのだ。
きっと疲れがたまっているのだろう。
認めたくは無いが、いつまでも若いままではいられないと言うことか・・・
ハア・・・
彼女は心の中でため息をついた。
「風邪じゃ無さそう・・・ですけど・・・それでは頭痛薬を上げましょうか? それと、しょっちゅう起こるようでしたら、一度診ていただいた方がいいですわよ」
にこやかに微笑み、一応の忠告をする紀江。
養護教諭として、教職員の健康にも留意しなくてはならないのだ。
「ええ、そうします。ありがとう美並原先生」
「どういたしまして」
そう言ってなにやら教頭に話しかけにいく紀江。
保健室の備品などの件で何か話があるのだろう。
白衣に包まれた小柄な躰だが、結構胸が大きいと噂では言われている。
大きさではともかく形では・・・って、何を考えているのか・・・
彼女は思わず苦笑した。

大河内真奈美は、この川霧(かわぎり)女学園で日本史を教える女性教師である。
二年C組の担任も担当しており、生徒の気持ちを汲んでくれる若手女性教師として生徒の人気も高い。
そんな真奈美だったが、彼女はここ数日、頭痛とともにある出来事に心を悩ませていた。

「思い出せないなぁ・・・なんかあったはずなんだけど・・・」
学校からの帰途、真奈美はそうつぶやく。
ここ数日真奈美の心を悩ませているのは、ここ数ヶ月の間に時々記憶が定かでない時期があることだった。
特に学園の行事である演奏会や学園祭の頃の記憶があやふやで、しかもそれが彼女だけのことではないと言うことだった。
従姉妹の綾も同時期の記憶が定かでないらしく、どうもその頃に学園で何かあったらしいのだけど、それが思い出せないと言うもどかしさが、真奈美の心を悩ませていたのだ。
「まあ・・・学園祭の時の事故が原因なのかもしれないんだけど・・・お医者さんは何でもないって言ってたのよね・・・」
今年の学園祭では、ある事故がおきてしまい、学園の生徒の半数近くが昏倒すると言う事態があったのだ。
調理室からのガス漏れと科学部の実験の相互作用らしいのだが、その後の検査とかでも特に異常は見られず、生徒たちも問題は無かった。
ただ、若干の学園のイメージ低下になったのは間違いなく、しばらく理事長のぴりぴりしたムードに職員室は暗くなったものだったわね・・・
でも・・・
真奈美は思う。
それだけではなかったはず・・・
私は・・・
私は誰かと・・・
生徒たちとともに誰かと・・・
そこらへんがもやもやする。
忘れてはいけないものを忘れてしまったような・・・
いや、無理やり忘れさせられたような・・・

ハア・・・
悩んでも仕方ないわね。
それよりも今晩は何を食べようかしら。
そろそろ街は冬支度。
来月ともなればクリスマス一色だろう。
今年は綾に何を買ってあげようかしら・・・
叔母さんにも何か買ってあげないとヤバいわよね。
いつもいつもただでご飯食べさせてもらっているし・・・
ボーナス入ったら何か考えなくちゃ・・・
そんなことを考えながら家路を急ぐ真奈美。
街は平和に包まれていた。

ふと何かが真奈美の目に止まる。
それは通りに面した大型電気店のディスプレイ。
幾つものハイビジョンや薄型のデジタルテレビが、昆虫の複眼のごとくに同じ映像を映し出している。
「フィギュアスケートかぁ・・・もうそんな季節なのね」
画面には氷上を軽やかに舞うフィギュアスケートの選手が映し出されていた。
紫色のレオタードを身に纏い、表情豊かに滑っている選手の姿は、見る者に美を感じさせるには相応しい。
「紫色のレオタードかぁ。紫って着こなすのが難しい色なのよね」
ドクン・・・
えっ?
ドクン・・・ドクン・・・
真奈美の心臓が跳ね上がる。
な、何?
何なの?
画面から目が離せない。
紫色のレオタードが真奈美の目に焼きついてくる。
あ・・・
ああ・・・
紫色・・・
赤紫と青紫・・・
な、何なの・・・一体?
ハア・・・ハア・・・
息が苦しい・・・
誰か・・・
たす・・・け・・・て・・・

「真奈美先生!」
「真奈美先生!」
いつの間にか大型電気店の前の通りにうずくまってしまっていた真奈美に声がかけられる。
えっ?
気がつくと、そこには心配そうな顔をして彼女を覗き込んでいる従姉妹とその親友の少女の姿があった。
「先生大丈夫? 顔真っ青だよ」
そう言って手を差し伸べてきたのは、その親友の方である雷純玲。
朝は苦手としているが、いつも元気で活発な少女だ。
だが、真奈美はその手を受け取ることができなかった。
な、何?
黙って今まで見ていたとでも言うの?
こんな時間まで綾を連れまわしていたの?
綾が大人しいのをいいことに好きほうだいしているんじゃない?
それに今だって私が苦しんでいたのをあざ笑っていたんだわ。
わざとらしく手を出して恩を売ろうとするなんて・・・
やっぱりこの女・・・なんだわ・・・

「結構よ」
真奈美は手を借りずに立ち上がる。
「今何時だと思っているの? 生徒がうろついていていい時間?」
「えっ、あ、その・・・」
差し出した手を拒否されてしまい、純玲はちょっと困惑する。
「ご、ごめんなさい真奈ちゃん、あっ、真奈美先生。私が純玲ちゃんを引き止めちゃったんです」
突然の真奈美の叱責に驚いた綾だが、正直に謝り非を認める。
確かに時間的にはもうすぐ7時過ぎ。
母がそろそろ心配する時間だ。
でも、いつもなら教師とは言えこんなふうに頭ごなしに怒鳴りつける真奈美ではないはずなのに・・・
綾はそう思う。
「綾は黙っていなさい。どうせ雷さんが連れまわしたのをかばっているんでしょ」
ああ・・・私はどうしちゃったんだろ・・・
真奈美はぼんやりとそう思う。
このぐらいの時間なら、外出している事だってあるだろう。
でも、純玲の顔を見たとたんに、真奈美の中でどす黒いものが沸いてくるのを止められなかったのだ。
「とにかくさっさと家へお帰りなさい!」
そう言い捨てて二人に背を向ける真奈美。
一刻も早くこの場から立ち去りたかった。
そうしないと純玲にさらに何か言ってしまいそうな自分が怖かったのだ。

いったいどうしてしまったというのだろう・・・
繰り返されるその疑問。
だが、答えなどでるはずも無い。
従姉妹の綾の一番の親友。
綾が一番信頼している純玲ちゃんに対して、無性に憎しみを感じてしまったのだ。
まさか嫉妬とも思えないが、どす黒い感情は止めようが無かった。
明日・・・謝らなくちゃ・・・
そう思う反面、なぜ教師である自分が謝らなくてはならないのかとも思う。
私はあの娘たちに注意をしただけ。
謝るような事は何もしていないわ・・・
でも・・・
傷つけてしまったかもしれない・・・
そう思うとまた謝らなくてはとも思う。
先ほどから同道巡りで考えが先へ進まない。
今は考えるのはよそう・・・
真奈美は結局考えるのをやめる。
結論がでない以上しかたがない。
なるようにしかならないわ。

帰宅して、食事の後にお風呂に入ってさっぱりすると、どうにか気分も落ち着いてくる。
そうすると、少し心に余裕も出てくるのか、やはり先ほどのことは大人げなかったと思い、明日には謝ろうという結論に達する。
いったんそう決めると、やはり心が少し軽くなり、真奈美はホッとした気分に包まれていた。
やっぱり今日の私はどうかしていたんだわ・・・
頭痛のせいもあったのかも・・・余計なことを考えすぎていたのかな・・・
そんなことを思いながら、明日の仕度を整えてパジャマに着替えベッドに乗る。
これから一時間ほどはゆったりした時間だ。
いつものように寝ながらでも見られる位置のテレビをつけ、読みかけの本のページを開く。
一人暮らしだと何となく音が無いと寂しくて、見ていると言えないまでもテレビをつけてしまうのだ。
それにニュースを聞いておくのも悪くは無い。
もっとも、本に集中してしまえば、テレビの音声など耳に入らなくなるのだけど。

あ・・・
だが、真奈美の視線は手元の本には下りなかった。
テレビでは今日行なわれたフィギュアスケートのダイジェストがニュースの中で流れている。
大型電気店で見た紫色のレオタードが、今また画面の中で舞っていた。
紫のレオタード・・・だわ・・・
ドクン・・・
あ・・・
真奈美の心臓が再び大きな音を立てて鼓動する。
紫のレオタード・・・
紫のレオタード・・・
紫のレオタード・・・
ドクンドクン・・・
心臓が高鳴り、他には何も聞こえない。
もっと・・・
もっと赤い・・・
もっと赤い色・・・
この紫じゃない・・・
でも紫色のレオタード・・・
赤い紫のレオタード・・・
赤紫のレオタード・・・
あああああ・・・
何なの?
これは何なの?
赤紫のレオタードがどうして頭から離れないの?
いやぁ・・・
いやぁっ!!
真奈美の目の前が暗くなる・・・
そのまま真奈美の意識は闇の中に飲み込まれていった。


「・・・ドー!」
闇の中を駆け抜けていく。
背後には同じように赤紫色のレオタードを着た少女たち。
みな口元に冷たい笑みを浮かべ、彼女の後をしっかりと付いてくる。
闇の中では身に纏っている赤紫のレオタードは、暗闇の中に溶け込んで相手の目をごまかしやすいのだ。
さらに彼女も少女たちも身に魔力を帯びており、人間ども程度には見つけられないだろう。
破壊と殺戮を楽しむには相応しい衣装なのだ。
両手には一見皮でできているような手袋。
両脚はハイヒール状のくるぶしよりちょっと上ぐらいまでのショートブーツ。
いずれもレオタードよりは青みが強く、普通の紫色と言っていい色をしている。
ともに魔力を帯びているのは当然で、ブーツはハイヒールだというのに走るにも戦うにもまったく不自由は感じないし、手袋のほうも両手をカバーして指先の動きも阻害しない上に、車のドアぐらいはパンチで撃ちぬけるほどの威力をもたらしてくれている。
赤紫のレオタードはまさに彼女たちの象徴であり、このレオタードを着ているということが部隊の一員であることを示している。
少々のことでは傷付かないようカバーしてくれ、ブーツとレオタードのカバーの無いように見える両脚もナチュラルベージュのストッキングが覆っているので、ダメージの心配はほとんど無い。
この魔法の衣装を着て戦うことこそが彼女に与えられた使命であり、この魔法の衣装に身も心も捧げ支配されることに彼女は誇りと悦びを感じていた。
そして彼女の傍らにはもう一人。
彼女の背後にいる少女たちとは異なり、彼女と同じ悦びに身を震わせている少女がいる。
疾走の中、ふとその少女と目が合って、二人はひそかに微笑んだ。
気持ちいい・・・
闇の中を駆け抜ける彼女は心からそう思っていた。

う・・・
朝の陽射しがカーテンの隙間から入ってきている。
朝・・・?
ズキン
痛っ・・・
思わず両手で頭を抱える真奈美。
痛みは徐々に引いていき、霞がかかったような頭の中も次第にはっきりし始める。
つきっぱなしの蛍光灯と、つきっぱなしのテレビが夕べそのまま寝てしまったことを物語る。
知らない間に寝ちゃったんだわ・・・
するとさっきのは夢?
なんだか奇妙な夢を見たような気がする。
何人かの生徒たちを引き連れて闇の中を駆け巡っていたような・・・
ズキン
痛っ・・・
病院で診てもらったほうがいいかしら・・・
とりあえず仕事に行かなきゃ・・・
今日は小テストをしなくては・・・
もうすぐ期末試験だし、少しでもいい点をとって欲しいわ・・・
そんなことを考えながら、真奈美は支度を始めるのだった。
  1. 2007/11/27(火) 19:47:45|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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トレードが決まっちゃいました。

阪神タイガースの濱中治外野手と吉野誠投手の二人と、オリックスバファローズの平野恵一内野手と阿部健太投手の二人の二対二のトレードが決まっちゃいました。

以前より濱中選手がトレード要員という噂は聞いておりましたが、このような二対二のトレードとは思いませんでした。

オリックスの平野選手と阿部選手がどういう選手なのかは正直言って知りません。
ですが、このトレードが双方にとってよかったと思えるトレードであってほしいものですね。

個人的には濱中選手をもう一年様子見てほしかったです。
新井選手が広島からFAで入ってこられたとはいえ、まだまだ濱中選手は必要だったのではと思うのですがどうでしょう。

新外国人獲得の噂もありますし、阪神が強化に奔走しているのはわかるんですが、どうも向いているベクトルが違うような気がします。

ともあれ、決まったことは決まったことです。
平野選手、阿部選手、これからよろしくお願いします。
濱中選手、吉野選手、今までありがとうございました。
オリックスへ行ってもがんばってください。

それではまた。
  1. 2007/11/26(月) 19:42:10|
  2. スポーツ
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豊家滅亡その6

慶長5年(1600年)7月26日。
東軍諸隊は大坂へ向かいました。

ですが、徳川家康自身は小山で対上杉陣容を整えたあと、8月5日に江戸に入り、そのまま動きを見せなくなります。
対大坂包囲のため、各地の諸大名に書状をしたためていたのだと言います。
家康は、江戸で大坂の動きをにらんでいたのでした。

伏見城攻略を開始した西軍は、8月1日にようやく伏見城を陥落せしめます。
その間石田三成は、東軍諸隊に対する作戦案を考えておりました。
それは、三段階に渡って東軍を迎撃する作戦案でした。

第一段階として、東海道を攻め上ってくるであろう東軍諸隊を尾張・三河国境線で迎え撃ち、そこが突破されたとしても、第二段階として美濃・尾張国境の岐阜城及び大垣城のラインで迎撃。
さらに野戦上手の家康が第二段階も突破した場合には、松尾山の新城と佐和山城により家康を関ヶ原方面に引きずり込んでこれを討つというものでした。

しかし、この計画は早くも破綻します。
山内一豊の申し出のごとく、東海道筋の諸大名は揃って城と領地を明け渡したため、東軍諸隊は8月の14日には福島正則の居城尾張清洲城に集結してしまったのです。

清洲城は尾張領内です。
つまり、三河・尾張国境を東軍は越えてしまったのでした。
作戦の第一段階が無意味になってしまったのです。
やむを得ず、三成は第二段階の策を中心として東軍迎撃をすることになり、岐阜城と大垣城の守りを固めつつ、伊勢(三重県)の安濃津(あのつ)城と松坂城の攻略を進めて行くことになりました。

この頃より、日本各地で三成を中心とする西軍側に組する大名と、家康方東軍に組する大名とのお家存続ならびに自領拡張の戦いが繰り広がられることになります。

東北では上杉景勝が、家康への警戒を怠りなきよう手配したのちに、直江兼続に山形の最上義光(もがみ よしあき)を攻めさせ、のちに最上への援軍として伊達政宗(だて まさむね)が動いていますし、北陸では家康暗殺の首謀者として家康ににらまれた前田利長が、嫌疑を晴らすべく東軍側として自ら二万五千の兵力を率い、西軍側に付いた丹羽長重(にわ ながしげ)や山口宗永(やまぐち むねなが)、青木一矩(あおき かずのり)らを攻めています。

この北陸方面の戦いでは、あの大谷吉継の知略の冴えが前田軍を翻弄しました。
丹羽長重の篭もる要害小松城を避け、直接山口宗永の篭もる大聖寺城を圧倒的戦力で陥落させた前田軍は、その余勢を駆って越前北ノ庄城の青木一矩を攻めます。

そこへ大谷吉継が救援の兵を引き連れて越前に向かったと言う報告が前田軍に届き、戦上手と言う評判の大谷吉継の登場に前田軍の将兵は動揺します。
さらにその大谷軍は、海路直接前田家の居城金沢城へ向かったと言う報告を聞き、前田軍は戦力を二分して半分を金沢に戻してしまいます。

実際は大谷吉継は軍勢を動かしてなどおらず、これは全て彼自身が流した虚報でした。
その虚報に踊らされた前田利長は、二万五千をもってしても迂回した丹羽長重の小松城を二分した兵力で攻めると言う事をしてしまい、結局大きな損害を出して撃ち破られる羽目になります。

その後丹羽長重と前田利長は和睦し、再び前田軍は家康と合流すべく関ヶ原へ向かいますが、出発したのは9月12日。
関ヶ原の戦いには間に合いませんでした。
大谷吉継の知略が、前田軍を立派に足止めしたといっていいでしょう。

伊勢方面でも戦いが繰り広げられます。
上でも述べたように、西軍は安濃津城と松坂城を落とすべく攻撃を仕掛けてきました。
安濃津は天然の良港を持ち、西軍としても海路確保のために必要だったと思われます。
安濃津城の城主は富田信高(とみた のぶたか)と言う人物でしたが、わずか五万石ほどの領主であり、向かってくる西軍の三万になろうかと言う軍勢にはとても太刀打ちできません。
富田は、近隣の東軍側城主分部光嘉(わけべ みつよし)、古田重勝(ふるた しげかつ)に援軍を求め、分部、古田からの援軍と合わせて約二千ほどの城兵とともに篭城します。

ですが、やはり衆寡敵せず、自ら槍をもって奮戦する富田も周りを敵に囲まれ、万事休すと思われました。
その時、一人の鑓を持った若武者が富田のところにやってきて、彼とともに戦います。
若武者は槍を手足のごとく操り、あっという間に五、六人をなぎ倒したと言います。
どうにか囲みを抜けて本丸に二人で戻ってきたとき、富田はその若武者こそ自らの妻であると知り、大いに驚くとともに感激したとのことでした。

富田信高とその妻らの奮戦にもかかわらず、安濃津城の命運は風前の灯でした。
結局富田は高野山の上人の仲介で西軍と和睦。
安濃津城は開城します。
しかし、彼の奮戦は西軍の動きを封じ、時間稼ぎに充分な役割を果たしたとして、のちに家康より富田は加増されたのでした。

九州でも東軍主力の一端を担う黒田長政の父黒田如水(くろだ じょすい)が九州北部の切り取りを図るべく蠢動。
あわよくば東西共倒れの後に一旗あげようという考えだったようでしたが、関が原の戦いが一日で終わってしまうという誤算に泣くことになります。

このように、関が原の戦いは日本全国での戦いでした。
関が原だけで勝敗が競われたわけではなかったのです。

その7へ
  1. 2007/11/25(日) 20:52:38|
  2. 豊家滅亡
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どうにもツキが・・・

今日は北海道日本ハムファイターズの、パ・リーグ優勝記念パレードが札幌で行われておりましたね。

紙ふぶきがもうすごい量で、後片付けが大変だろうなぁと思いました。
ダルビッシュや稲葉など全日本メンバーがいなかったのは残念ですが、今年もまたパレードが見られたのはよかったですね。
ヒルマン監督もほぼ見納めで、来年はいないんだなぁとしみじみ思ってしまいました。
来年は梨田新監督の下、また優勝パレードができるようにがんばってほしいものです。

さて、昨日今日と先輩においでいただき、連続ゲームの日。

今日はかつて翔企画より出ていたSSシリーズ「バルジの戦い」(CMJ46号付録)をプレイ。
これはシミュレーションウォーゲームには珍しく、明確なターンで攻防が切り替わるゲームではなく、将棋のように一手ずつ交互に行うゲームというのが特徴です。

つまり、先に囮的な攻撃を行って相手の反撃を行わせ、こちらの主力を突入させると言う形をとることができるのです。

このゲームは私も先輩も始めてのプレイですので、ちょっと勝手がわからない面もあるのですが、とりあえず先輩が独軍、私が米軍を中心とした連合軍を担当しました。

独軍はやはりパイパーのSS装甲師団を中核に米軍に圧力をかけてきます。
しかし、このゲームの肝である、接敵されているユニットはZOCを失うというルールをうまく利用しきれません。
私は第二線の防御ラインを張りつつじわじわと後退。
森を中心とした防御陣を組むことに成功します。

そこからは双方が援軍を交えての消耗戦ぽい展開に。
結局独軍が押し切れずに勝利得点的に米軍の勝利となりました。

やはりこのゲームは、接敵しているユニットの脇をすり抜けるのがテクニックのようですね。

その後はASL-SK1のシナリオをプレイ。
先輩の独軍が守る都市をわが米軍が責めきれずに敗北。
今日は一勝一敗でした。
なかなか連勝というわけにも行かないか。

それではまた。
  1. 2007/11/24(土) 21:11:55|
  2. ウォーゲーム
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ウガー!!

今日はまったくいいところなし。orz

今日は休日でしたので、先輩に来ていただいてのウォーゲーム。
いつもどおりの楽しい時間なんですが・・・

一回戦目、「第一次世界大戦」(CMJ72号付録)
今回は先輩が協商国(米英仏露など)で私が同盟国(独墺など)を担当。
いざ勝負。

独軍は西部戦線に全力を投入して、東部戦線では持久戦を展開、フランスを脱落させることを目論見ます。
どうせ東部のロシア軍はほうっておけば革命勃発で脱落するはず・・・

そうはなりませんでしたよ・・・orz
なんと、先輩は西部戦線で持久し、東部のロシア軍に攻勢をかけさせてきました。
持久するべく要塞に立てこもっていた独軍一個軍団を、ほぼ全力の四個軍団で攻撃を仕掛けてきます。
結果は防御側全滅・・・
ドイツ国内の動員都市ダンツィヒを失ってしまい、独軍の敗北で三ターンであっけなく終了。

二回戦目、「第一次世界大戦」
あまりにもあっけなかったので、再度最初からの対戦です。
陣営も同じでやり直し。
先ほどのようなことはもうしません。
今度こそ独軍の強さを見せてやる。

西部戦線にはやはりある程度の力を入れないとならないので、独軍の攻撃でフランス軍を蹴散らします。
今度は東部でもオーストリア・ハンガリー軍とともにロシア軍を攻撃。
こちらも順調にロシア軍を除去していきます。

先ほどとは一転した盤面に先輩の顔が曇り、こちらとしてはにんまり。
まあ、やり直させてもらっているので、えらそうなものではないですが・・・

三ターン目、独軍は西部での戦いよりも、東部での戦いに重点を置き、早期にロシア軍を叩き潰す作戦を取ります。
次の四ターン目からは、ロシア革命などの判定も入るため、ロシアが攻勢に出られるのはこのターンまでぐらいだからです。
ここでロシアをたたけば、その後はロシアはあまり怖くありません。
私は東部戦線の各所で攻撃を命じました。

しかし、ついていないときはついていないもので、ダンツィヒ近くで行われた戦いに私はサイコロで6を出してしまい、攻撃側が部隊を失うという羽目に陥ります。
戦線に大穴が開いてしまいました。

先輩はすかさずロシア軍で攻勢に出ます。
ダンツィヒへのロシア軍の攻撃はD。
死守判定が必要でした。
こちらがサイコロで6さえ出さなければ死守して大丈夫。
でも・・・
出た目は6。
ダンツィヒが陥落して、一回戦目と同じく三ターンで同盟軍の敗北となりました。(T_T)
一回戦目と同じ状況とはどないなっとるねん!!

三回戦目、「スモレンスク攻防戦」(CMJ74号付録)
これはお手軽ゲームなんですが奥が深いゲーム。
各所のブログとかではドイツ軍が勝っていることもあるようですが、私がやるとどうにもドイツが勝てません。
すでに二連敗なので、やめたほうがいいのかもしれませんでしたが、何とか最後に独軍で勝ちたいと思い、独軍を担当。

第一ターンから順調にスモレンスクを落とし、幸先がいいスタートでしたが、すぐに暗雲が立ち込めます。
二ターンから開始したクリチェフ攻撃が何度やっても失敗続き。
南方での進撃がストップします。

スモレンスク周辺での攻防戦も一進一退。
こちらの増援が出ても、ソ連軍にはそれ以上の増援が・・・
そうこうしているうちにソ連軍は数の有利さでこちらの装甲師団を包囲して除去していきます。

北方では手詰まり、中央では進出を封じられ、南方では攻撃が頓挫。
結局第七ターン終了時にドイツ軍の勝ち目はなくなり投了しました。

ウガー!!
三連敗じゃん!!
久しぶりに完膚なきまでに叩きのめされてしまいました。
へこむなぁ・・・

明日、また先輩が来てくださいますのでリベンジです。
明日は勝つぞー!!

それではまた。
  1. 2007/11/23(金) 20:12:51|
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どこか妙だよなぁ・・・

昨日はイタリア軍の軽機関銃について書きました。
それではASL(アドバンスドスコードリーダー)でいうところのMMG(中機関銃)とHMG(重機関銃)はどうでしょうか?

参考までに、ASLでの独軍のMMGは5-12(火力-射程)で、故障数値が12。
HMGは7-16で同じく故障数値が12です。

独軍ばかりではとも思いますので、ほかの国も。
ソ連軍はMMGが4-10で故障数値が11、故障しやすいですね。
米軍はMMGが4-10で故障数値が12、HMG(.50cal)8-16で故障数値が12。
英軍はMMGが4-12で故障数値が12でした。
(ASL-SK1&2のユニットの数値です)

ではイタリア軍のMMGはどうか?
イタリア軍のMMGは4-10です。
おっ?
悪くないじゃないですか?
でもやっぱり故障数値は11。
故障しやすく見られてますね。
HMGはどうかというと、6-12でこれもまあまあ。
でもやっぱり故障数値は11。
故障しやすい。

では実物はどうだったのでしょう。

第二次世界大戦前半から中盤にかけてのイタリア軍の重機関銃(ゲーム上では弾薬などの支援部品その他の多寡で中機関銃に分類される場合がある)はフィアット・レベリM1914という6.5ミリ銃弾を使用する水冷重機関銃が主力でした。

この重機関銃、M1914という名称からもわかるとおり、第一次世界大戦勃発の年1914年に採用されたもので、第二次世界大戦の時点で骨董品でした。
イタリアとしても新型に更新したかったようですが、なかなか進まずに第二次大戦をこのフィアット・レベリM1914で迎えることになってしまいます。

M1914は全長約181センチ、銃身長約65センチ、重量約40キロで、水冷だけに重い機関銃でした。
発射速度は一分間に約450発とそこそこの性能だったようです。

さて、イタリア軍の機関銃だけあって、この機関銃もやはり機関銃としてはどうなの? と首をかしげる仕様がありました。
それは弾倉が50発入りのボックス弾倉で、陣地に布陣して撃ちまくるのが役目の重機関銃の癖にベルト給弾ではないのです。
しかも、この50発弾倉が曲者で、内部で5発ずつ区切られていて5発撃つと次の5発が引き出されるというものでした。
これは日本軍の機関銃などにもありましたが、歩兵から6.5ミリライフルの弾を受け取ってでも撃ち続けようという発想によるものでありましたが、機構の複雑さと故障しやすさを高めてしまった上に、発射速度も遅くなるという悪い面を出してしまいます。
しかも、軽機関銃と同様の油壺を持つために、弾詰まりも起こしやすいという代物でした。
うーん・・・やはり故障数値11なだけあります。

後にフィアット・レベリでは、このM1914を改良してM1914/35重機関銃を作ります。
これは水冷であったM1914を空冷にし、弾倉を変えて300発のベルト給弾に変え、口径も8ミリにアップしたもので、M1914よりは格段にましにはなったのですが、やはり油壺などを残しちゃったり、うまく空冷で銃身が冷えなかったりと、故障数値を少なくするまでにはいたらなかったようです。

で、それならばと1937年にブレダ社が8ミリ重機関銃ブレダM1937を開発。
多分、これあたりがイタリア軍のHMGになるのかも。

M1937は他国の機関銃と同じようにガス圧作動を採用し、信頼性を高めることに成功しております。
今までのM1914やM1914/35とは違い、故障が少なくなったのです。
ですが、故障数値は相変わらずの11。
これはASLにおける故障が、機械的故障と弾切れの双方をあらわしているからでしょう。
M1937は弾切れを起こしやすかったのです。

M1937はせっかくM1914/35で採用されたベルト給弾を採用しなかったのです。
つまり連続射撃がしづらいのです。
M1937は給弾をわずか20発入りの保弾板で行っており、あっという間に撃ちつくします。
撃ち尽くせば保弾板を交換しなくてはならず、これでは連続射撃はおぼつきません。
しかもまた細かいことに、この保弾板に射撃した後の空薬莢が並べられて戻されるということまで行うため、またしても複雑な機構が使われました。
結局やはり故障数値を12まで上げることはできません。

日本軍もあまりいい機関銃を持たなかった気もしますが、イタリア軍の機関銃もなかなか戦争向きなものではないですね。
ASLの評価は納得です。

それではまた。
  1. 2007/11/22(木) 20:23:57|
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信頼性が・・・なぁ

先日の記事で学研の「歴史群像」にドイツのMG-34&MG-42の機関銃の記事が出ていて、やはりその優秀さを感じて、ASL(アドバンスドスコードリーダー)などでのドイツ軍機関銃の火力の優越の理由が納得できたような気がすると書きました。

それじゃ、ASLではどちらかというといい評価をされていないイタリア軍の機関銃はどうなのかと思い、資料を当たってみました。

結論から言うと、やはりイタリアの機関銃に対するASLの評価は納得できるもの、つまり、いい評価ができないものであると感じました。

ASLではイタリア軍のLMG(軽機関銃)は2-5(火力-射程)で、故障数値が11(サイコロ二個の合計が11以上で故障:つまり確率1/12)なのに対して、ドイツ軍のLMGは3-8で故障数値も12(確率1/36)です。
この差はいったい何なのか?

イタリア軍の第二次世界大戦中の主力軽機関銃は、ブレダM1930軽機関銃でした。
この機関銃は、イタリア軍の正式小銃弾の6.5ミリ銃弾を撃ち出す機関銃で、銃弾の口径からしてドイツ軍のMG-34&42の7.92ミリとは大違いでした。

全長は約120センチで銃身の長さが約52センチ。
重量は約10キロで、毎分の発射速度が450発から500発と割と当時の軽機関銃としては平凡なものでした。
(それだけMG-34&42が突出していたわけですが)

しかし、どうもイタリア製兵器というのは妙なところがあるようです。
銃身交換はできるのですが、射撃戦が終わったあとで銃身交換をしようにも、焼けた銃身を取り出す取っ手がないので、石綿の手袋を無くすとそれだけで使えなくなってしまったり、20発入りの弾倉はなんと固定式で、こちらは無くす心配がない替わりにぶつけたり落としたりして壊れると射撃不能に陥ります。

さらに銃弾のすべりをよくするために、銃弾に油を塗る油壺が付いているのですが、この油がまた埃や塵を吸着しやすく、弾詰まりなどの作動不良が続出したとか。
なるほど、故障数値が11なわけですね。

まあ、しかしほかに使えるものはなかったので、イタリア軍としてはこれを使うしかなかったようですし、アフリカでは独軍もやむを得ず使っていたようで、leMG099(i)という形式番号まで与えられていたようです。

重機関銃についてはまた今度。
それではまた。
  1. 2007/11/21(水) 19:36:51|
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豊家滅亡その5

伏見城の守将鳥居元忠は、通称を彦右衛門と言い、徳川家康の少年時代からの家臣の一人でした。
家康が今川家の人質時代に近侍したと言いますので、家康の一番信頼厚い家臣の一人でありました。

家康は、もし石田三成が兵を上げた場合には、この伏見城は時間稼ぎの捨て駒になるであろうことを予期していました。
それは鳥居元忠も充分承知しておりましたし、それだからこそわずかな兵力しか手元においておかなかったとも言います。
兵力は家康の手元にいくらでも必要です。
死ぬものには最小限で充分。
そう言って家康と別れの杯を交わしたとも言います。

慶長5年(1600年)7月19日。
千八百の守備兵力が立て篭もる伏見城に対し、西軍の攻撃が始まりました。
攻めるは宇喜田秀家、小早川秀秋(こばやかわ ひであき:豊臣秀吉の妻おねの甥であり、秀吉の養子を経て小早川家の養子となる)、島津義弘、毛利秀元(もうり ひでもと:毛利輝元の養子、毛利軍の代理司令官)ら総勢約四万。
圧倒的な戦力差でした。

しかし、伏見城は秀吉が築いた堅固な城でしたし、鳥居元忠以下の守備兵力は城を枕に討ち死にするつもりで死兵となって抵抗するため、四万の軍勢と言えども容易には落とせませんでした。
業を煮やした三成が督戦に駆けつけるまでの始末で、伏見城攻防戦は翌月8月1日まで続きます。
鳥居元忠以下の将兵は、その任務を十二分に果たしたのでした。

それより前の7月24日。
ついに家康の下に三成挙兵の知らせが届きました。
所は下野の国小山(おやま:現在の栃木県小山市)。
家康はここで急遽軍議を開きます。
世に言う「小山評定」です。

家康に付き従ってきた諸大名たちは、もともとが天下を統一した豊臣家に従っている者たちが大半でした。
家康に従順に従っているものの、それは家康が豊臣家の五大老であり、豊臣家に逆らう上杉家を征伐するからと言う理由があるから従っているに過ぎません。
家康に豊臣家擁護の大義名分が無くなれば、いつでもそっぽを向く可能性があるのです。

しかも今回は三成方西軍には大坂城に豊臣秀頼を確保した毛利輝元が総大将として鎮座しています。
豊臣家の名で家康を討伐すると言う名目が出来上がっているのです。

家康は悩みます。
この会議如何では豊臣家恩顧の武将たちが揃って西軍に走る可能性がまだあるのです。
家康にとっての救いは、西軍の事実上の指揮官が石田三成であったことです。
三成に悪感情を持っている諸将は、そうそう三成の指揮下に加わることはできないでしょう。

ですが、大坂には秀吉が集めていた諸大名の人質がいます。
動向は不明でしたが、おそらく三成方西軍に確保されていると考えなくてはならないでしょう。
その人質を前面に出されては戦えないと考える諸大名もいないとは限りません。

家康のさまざまな悩みを飲み込んで、慶長5年7月25日の夜は明けました。

評定開始早々家康は大坂で石田三成を中心とする西軍が挙兵したという事実を告げました。
淡々と事実を列挙したあとで、家康はこう結びます。
「諸将の妻子は大坂で西軍の人質となっておる。そのためこの家康にはお味方しづらいと考える者もおるであろう。判断は諸将にお任せするゆえ、大坂に戻って三成に味方したいと思う者は遠慮なく立ち去られよ。家康は邪魔立てはいたし申さん」

しばしの間があったと言います。
沈黙を破ったのは豊臣秀吉の子飼い中の子飼いの将、福島正則でした。
「あいや、余人はいざ知らず、拙者は妻子を捨てても内府殿にお味方いたしますぞ。三成は秀頼公の御ためと申しておるそうだが、幼き秀頼公を背後で操る奸臣こそ三成である。三成を排除することこそが秀頼公の御ためになるというものだ」

福島正則は幼名を市松(いちまつ)と言い、尾張の桶屋のせがれだったと言われます。
幼くして養子に出された先が福島新左衛門(ふくしま しんざえもん)という人物であり、秀吉の腹違いの兄だったことから、市松少年は秀吉の近習に取り立てられました。
農民出身と言われる秀吉には子飼いの家臣と言うものは無く、子供のいなかったおねは同じく縁続きから秀吉の近習となった虎之助(とらのすけ:加藤清正の幼名)ともども非常に愛しんで家族同様に育てました。
福島正則も加藤清正も秀吉を親父殿、おねをお袋殿と呼んで心酔していたのです。

その福島正則の言葉が満座の大勢を決しました。
内心妻子が心配だった者も席を立つことができなくなりました。
これは一説には家康が福島正則に事前に根回しをしていたものとも言われます。

福島正則に続いて、池田輝政や黒田長政ら諸将も家康への与力を表明。
会議は西軍石田三成を打つべしでまとまります。
そして、ここであの有名な発言が飛び出しました。

かつて秀吉に実直さを認められ、豊臣家への忠節に感じ入った秀吉が、万が一にも裏切ることの無いであろうと考えて大坂と江戸との間の防波堤、いわゆる徳川家康に対する大坂防御陣の一角として遠江掛川城6万石を与えていた山内一豊(やまうち かずとよ:やまのうちとも言われるが、基本はやまうち)が、こともあろうにこう言ったのです。
「我が所領遠江掛川は東海道の要所。この掛川城を含めた所領と我が手勢、それに城に蓄えてある兵糧米、全て家康殿に献上いたす。我は城の外にて家康殿をお迎え申しますぞ」

この発言もまた大きな影響を与えました。
我も我もと兵力と兵糧を含めた城明け渡しが申し出られ、尾張清洲城までの道のりは妨害するものが何もなくなってしまったのです。

翌7月26日。
池田輝政と福島正則を先鋒として、東軍諸将は次々と小山を進発。
大坂へ向かって進撃の途につきました。

その6へ
  1. 2007/11/20(火) 19:32:08|
  2. 豊家滅亡
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大学・社会人ドラフト

今日の札幌は真冬日でした。
最高気温でも氷点下0.8度。
寒かったよー。

今日はプロ野球の大学・社会人ドラフトが行なわれましたね。
前途有望な若い人たちが各球団に指名されました。

注目の東洋大大場投手は北海道日本ハムや阪神など六球団が一位指名。
抽選の結果、福岡ソフトバンクが交渉権を獲得。
日本ハムも阪神も外しちゃいました。
残念。

愛工大長谷部投手は五球団競合の上東北楽天が、慶大加藤投手は東京ヤクルトが単独指名で交渉権を獲得しました。

阪神は福岡大の白仁田投手、北海道日本ハムは3Aサクラメントの多田野投手の交渉権を獲得。
白仁田投手は外れ一位とは言えなかなかの逸材のようですし、多田野投手は隠しだま的扱いでしたが、やむを得ず一位指名といったところでしょうか。

もっとも、落合監督の言葉の通り、とって入ってからが仕事。
球団の育て方の良し悪しが彼らの将来を微妙に変えて行ってしまうのでしょうねぇ。

それぞれが各球団を背負っていって下さいませー。

それではまた。
  1. 2007/11/19(月) 19:28:34|
  2. スポーツ
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いつも楽しませてもらってます

散髪に行ってきました。

いやー、混んでたー。
一時間半も待たされましたよ。
でも、おかげで持って行った「歴史群像№86」全部読み終わっちゃいました。

学研の「歴史群像」は毎号読ませていただいているんですが、今回も楽しませていただきました。

巻頭にはいきなり鎧武者と三間鑓。
信長が兵士たちに使わせたと言う長柄の鑓(槍)のことが出てました。
知識としては知っておりましたものの、ここまで長いとは視覚で見るまで感じませんでした。
確かにこの長さですと、突くよりも叩き打つ使い方になるのがわかりますね。

零戦の練習機型が計画されていたと言うのも、この本で初めて知りました。
あと、米軍のドーントレスが、艦上機でありながらコンパクトだったために、翼の折りたたみ機構を持たないというのも知りませんでした。
空母艦載機は翼が折りたためるものとばかり思っていましたので驚きです。

メイン記事はミッドウェー海戦を米軍側から見たもの。
米軍の情報重視はやはり徹底してますね。

後藤又兵衛の記事も面白かったです。
今掲載中の豊家滅亡にもつながるので参考になりますです。

また、今回の航空機用照準器の記事もそうですが、エンジン、脚など、部分部分それぞれをクローズアップしての日本軍用航空機の技術的問題点を示してくれる記事は、なかなか興味深いですね。

ウォーゲーマーとして興味を惹いたのは、独軍機関銃MG-34&MG-42についての記事ですね。
わざわざ三脚が散布界を形成するように銃口を上下させるとは驚きでした。
ASLで独軍機関銃の火力が大きいのもうなずける気がします。

そのほか日本戦艦の爆沈事件史や、日本海軍が目指した戦艦のロングレンジ砲撃戦の問題などそれぞれ興味深い記事ばかり。
楽しませてもらいました。

歴史について興味のある方は、一度手に取られて見られてはいかがでしょう。
それではまた。
  1. 2007/11/18(日) 20:56:12|
  2. 本&マンガなど
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やっぱりブラッディ

いつものごとく先輩とウォーゲームです。
毎週土曜日が楽しみです。

今日は「オンスロート」(CMJ64号付録)をプレイ。
先週インストプレイをやってみたので、今回はある程度プレイをしてみようと言うことに。

先週お預かりした「東部戦線」(エポック)もやってみようかなとも思ったんですが、先輩も私もルールをきちんと把握していないと言うことで先送りです。

先輩が今日は連合軍を、私が独軍を担当でプレイ開始。
第一ターンにあっけなくカーンが陥落するも、独軍はなすすべなし。
やはり連合軍は強力です。

しかし、独軍にはSS装甲師団がいます。
8戦力とゲーム中最強を誇るSS装甲師団を集中して、独軍は第二ターン以後積極的に反撃開始。
連合軍の突出してきた機甲師団スタックをたこなぐりにして壊滅させます。

連合軍は豊富な増援と潤沢な補給ポイントで、じわじわ独軍を押してきます。
装甲師団も損害を受け除去され始めます。

第六ターン頃には、独軍の戦線にも大穴が開き、連合軍の突破も目の前と思われました。

ですが、ノルマンディー海岸ヘクスはがら空きです。
米軍歩兵の薄い戦線を突破すれば、ノルマンディーに逆撃をかけることも可能かも。
そう思った私は、SS装甲師団のスタックと、国防軍装甲師団のスタックに突破戦闘を命じます。

米軍歩兵をあっという間に屠り、独軍はついにノルマンディー海岸の補給点を奪取。
連合軍が青ざめました。

しかし、独軍の攻撃もここまで。
補給路を確保するべき歩兵が付いていくことができず、ノルマンディー海岸の装甲師団は孤立状態に。

最後は脱出のための攻撃をしたところ、よりにもよってダイスの目は1! orz
AE(攻撃側全滅)で五個装甲師団が一瞬にして除去されました。

もはや独軍に戦線を保持する力は無く、第八ターン終了時に投了。
乾坤一擲の反撃を行い、連合軍の心胆を寒からしめたものの、結局は自らの首を絞める結果となってしまいました。

このゲームは評価が高いのもうなずけますね。
なんというか戦闘結果表が1でAE、6でDE(防御側壊滅)みたいにブラッディなんですけど、雰囲気がいい感じです。
連合軍も独軍も戦線を張りづらいので、運動戦になるような気がします。
また今度やりたいものです。

早く終わったので、その後はASL-SK1のシナリオ5をプレイ。
村を守る独軍担当の先輩を、わが米軍が兵力と火力で圧倒し、勝利を収めさせていただきました。

今日は一勝一敗。
それではまた。
  1. 2007/11/17(土) 20:17:40|
  2. ウォーゲーム
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球団への愛ってのは過去のものか?

今日はちょこっとプロ野球の話を。

今年もストーブリーグが花盛りですね。
FA宣言の人数もずいぶん多いようです。

中日の福留選手はどこへ行くのでしょうねぇ。
阪神も一応(どころか全力で)アプローチはしているようですが、やはりお金が一番と公言されている方ですので、難しいかもしれませんね。

広島の新井選手は、報道ですと阪神ほぼ確定と言うことらしいです。
黒田投手にはまだメジャーからの接触が無いとか。

西武の和田選手には中日が、ヤクルトの石井投手には西武がアプローチをかけているようですね。
今年はFAでも国内での移籍が多そうです。

阪神の下柳投手もFA宣言をしたようですが、今のところ阪神以外のアプローチは無いようで、宣言残留と言うことになるのかな?

外国人選手の動向も気になるところですね。

ヤクルトはついにラミレス選手との交渉を打ち切り。
ラミレス選手の退団が決まり、続いて横浜のクルーン投手も交渉打ち切りで退団が確定したようです。

今年は各チームの主力(確かにFAはそういう選手が多く移籍しますが)がかなりFAやトレード、交渉打ち切りによる退団などでチームを去っていく人が多いですね。
特にセ・リーグ下位球団に顕著のように感じます。

球団の運営と言うものの捉えかたや事情もあるのでしょうが、戦力のある程度の均衡策が何か必要なのかもしれませんね。

さて、来期の阪神及び日本ハムはどうなることやら。
12球団がみんな頑張って、熱戦になることを期待したいものです。

それではまた。
  1. 2007/11/16(金) 19:38:16|
  2. スポーツ
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史上最初の犠牲

第二次世界大戦前、各国で行なわれていた建艦競争は、地中海でも繰り広げられておりました。

大西洋での英独仏露米の軍事バランスとは別に、地中海では主にイタリアと英国、そしてフランスが海軍の軍事力バランスを取るために汲々としていたのです。

そんな中、フランスは旧式戦艦の代替として「ダンケルク」級戦艦の建造を1931年に開始。
33センチ四連装砲塔を艦首に二基搭載して、30ノットもの高速を出すダンケルク級戦艦は、どちらかと言うと巡洋戦艦と言うほうがピッタリ来る艦ではありましたが、確かに当時の地中海においては対抗しがたい艦でありました。

地中海を「我らの海」と呼んではばからないイタリアとしては、フランス海軍が地中海でのさばるのは許しがたいものです。
当然のごとく、ダンケルク級戦艦に対抗するべく、イタリアも新型戦艦の建造に着手しました。

基準排水量35000トン。
38センチ三連装砲塔を三基備え、30ノットの高速を出せる戦艦として建造されたのが、「ヴィットリオ・ヴェネト」級戦艦でした。

建造の途中で、どうしても40000トンを超えることがわかりましたが、それでも公称は35000トンで通し、1940年に完成したヴィットリオ・ヴェネト以下三隻が戦艦として完成。
残る一隻は未完成のまま戦争終結により建造放棄されました。

ヴィットリオ・ヴェネト級はイタリア海軍の主力戦艦として、主に英国海軍と戦いましたが、イタリア海軍の組織上の問題や燃料事情などからさほど活躍したものではありませんでした。

ヴィットリオ・ヴェネト級の戦艦の中で、一番名を残したのは、最後に完成したローマでしょう。

ローマは1942年6月に就役します。
しかし、その頃にはアフリカでの戦いも末期であり、イタリア海軍の戦艦隊が地中海で暴れるような状況ではありませんでした。

ローマはイタリア艦隊の旗艦として使われましたが、ラ・スペチアの港に係留されたままで日を送るうちに、なんとイタリア自体が連合軍に降伏してしまいました。
イタリアの艦艇は連合軍の港に向かうよう命令が出され、ローマもその命令に従うべく1943年の9月9日、ラ・スペチアを出港します。

すでに戦艦の時代ではなくなりつつあったとは言え、有力な戦艦を中心とするイタリア艦隊は、連合軍にとってはありがたい追加兵力となる可能性がありますし、ドイツ軍にとっては厄介な敵になる可能性がありました。
(事実、のちにイタリアは連合軍としてドイツに宣戦布告します)

そこでドイツ軍は航空機によってこの戦艦ローマを中心とした艦隊に対し攻撃をくわえることにします。
そして、その攻撃には新兵器を使うことにしました。
フリッツXです。

フリッツXとは、ドイツが開発した新型の航空機投下用爆弾でした。
しかも、この爆弾には誘導装置がつき、ある程度滑空することができる誘導爆弾だったのです。

9月9日15時ごろ、フリッツXを搭載した航空機群がイタリア艦隊上空に現れます。
投下されたフリッツXは、やはり通常の爆弾より格段に命中率がよく、ローマの船体に二発とも三発とも言われる数が命中しました。
一説によれば、そのうちの一発が火薬庫に引火せしめ、ローマは轟音とともに爆沈。
史上初めて誘導兵器によって沈められた戦艦となりました。

日本の「大和」型戦艦と同じく、ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦もまた、遅すぎた戦艦だったのかもしれません。
航空機の前には、いかなる戦艦も無力だったのです。

それではまた。
  1. 2007/11/15(木) 19:49:32|
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SU-76i

ソ連軍が捕獲した三号戦車や三号突撃砲を元に、SG-122(A)という自走榴弾砲をある程度作ったということは先日の記事に紹介させていただきました。

しかし、結局T-34をベースにしたSU-122という自走榴弾砲が完成したことで、鹵獲兵器をベースにしたSG-122(A)はわずかな数が作られただけで、あまり日の目を見ないうちに生産は中止されてしまいます。

これはSU-122の完成とその優秀性というのももちろん大きな理由の一つですが、鹵獲した三号戦車や三号突撃砲がベースであるだけに、常に望むだけの車体が手に入るとは限らないということも問題の一つであったのではないでしょうか。

こうして生産されなくなってしまったSG-122(A)でしたが、皮肉なことに、1942年から1943年にかけてのスターリングラード近郊における一大包囲戦で、ソ連軍は大量の捕虜とともに大量の鹵獲車両を手に入れることになりました。
その中には当然のごとくドイツ軍の主力戦車であった三号戦車や、主力自走砲であった三号突撃砲も大量に含まれていたのです。

無論完全な形で鹵獲された車両に関しては、そのまま各部隊が使用したであろうと思われますが、ちょっと修理したりすれば使用に耐えるであろう破損車両もまた数多くが鹵獲されたのです。

数百両単位で手に入ったドイツ軍車両を再利用しようと考えることは、一両でも戦闘車両が欲しいソ連軍にとっては当然の成り行きでした。
そこでソ連国家防衛閣僚会議は、再び三号戦車の車体を利用した自走砲開発を命じました。

1943年1月、決定を元に技師たちは三号戦車の車体に今度は榴弾砲ではなく、T-34などの主砲に利用されていた76ミリ戦車砲S-1を搭載することに決定。
この砲であれば量産されていることで単価も安く、維持補修用の部品も豊富であり、破壊されたT-34あたりから取り外して使うこともできました。

三号戦車の砲塔を取り外して76ミリ砲を取り付け、単純な装甲板で密閉型戦闘室をこしらえたソ連版三号突撃砲は設計終了からわずか五日間で試作車が完成。
運用試験が行なわれます。

増加試作車も含めた試作車による運用試験は、この改造自走砲が充分に役に立つことを実証し、この改造自走砲にはSU-76iと名付けられました。

1943年中盤頃からこのSU-76iはソ連軍実戦部隊にも配備され始め、戦局の変わり目に大量の戦闘車両を必要としたソ連軍の一画を占めたのでした。

最終的には200両ほどのSU-76iが三号戦車から改造され、元の持ち主であるドイツ軍に向かって威力を発揮しました。
前線でSU-76iを見たドイツ軍兵士たちは、きっとそれが先日まで友軍車両として一緒に戦っていたとは思わなかったでしょうね。
やっぱりなんか鹵獲兵器って、洗脳されて敵側に寝返った味方のようですね。

それではまた。
  1. 2007/11/14(水) 19:48:33|
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豊家滅亡その4

慶長5年7月2日。
徳川家康は江戸城に入ります。
のんびりとした行軍で、かなりの時間をかけての大坂から江戸までの道中でした。

ちょうどその頃、佐和山でも動きが起こり始めます。
石田三成が家康打倒の兵を挙げる動きを見せ始めたのです。

三成はまず、嫡男隼人正重家【石田隼人正重家(いしだはやとのしょう しげいえ)】をともなって家康の下上杉討伐に参加し、もって三成へのとりなしを行なおうとしていた親友大谷吉継(おおたに よしつぐ)に家康打倒の計画を打ち明けます。

驚いた吉継は、計画は無謀であり、勝算が薄いことをとくとくと説きますが、三成の決意は固く翻意させることはできませんでした。
かつて豊臣秀吉より「大谷吉継に100万の兵を与えて采配を振るわせてみたい」とまで言わしめた大谷吉継です。
三成の挙兵に潜むもろさを敏感に感じ取っていたのでしょう。

説得をあきらめた吉継は、一度佐和山城を後にします。
家康の元へ向かうつもりだったのかもしれません。
大谷吉継自身は、家康とも懇意にしていた武将でした。
しかし、彼は軍勢を引き返させます。
今で言うハンセン氏病をわずらっていたと言われる(異説あり)吉継は、すでに目が見えぬほどに病状が悪化しておりました。
死期が近いことを悟っていた彼は、死に花を咲かせるためと親友を見捨てることはできないという思いから、三成の挙兵に加わることを決めたのです。
三成にとってはこれ以上は無いという味方となりました。

三成は五奉行の一人増田長盛や、毛利家の外交を束ねる怪僧安国寺恵瓊(あんこくじ えけい)にも計画を打ち明け、賛同を求めます。
安国寺恵瓊が参加することにより、三成は毛利家の後ろ盾を得られることができるのです。
120万石の大大名毛利家が三成につけば、西国諸大名も組してくれるに違いない。
そういう計算も成り立つのでした。

ですが、大谷吉継の見るとおり、三成の挙兵行動はいかにも準備不足でした。
これは近年7月1日に早くも宇喜田秀家が家康打倒の出陣式を行なってしまっており、三成がそれに引き摺られて計画を早めたという説が有力になっているそうです。

ともあれ、計画は動き出しました。
7月12日、石田三成、大谷吉継、増田長盛、安国寺恵瓊の会談が実現。
家康討伐軍(以後西軍)の総大将には毛利家より毛利輝元にお願いすること。
三成の兄石田正澄(いしだ まさずみ)を派遣して、家康軍に参加しようとする諸将を引き止めること。
岐阜の織田秀信(おだ ひでのぶ:織田信長の嫡孫)に秀頼の後援を依頼すること。
大坂にいる上杉討伐軍(以後東軍)参加の諸将の妻子を人質に取ること。
以上の四点を決定し、早くも前田玄以、長束正家、増田長盛三奉行連名による毛利輝元への出馬要請が広島に向けて出発しました。

石田正澄による諸将引止めは早くも功を奏し、長曾我部盛親(ちょうそかべ もりちか)や鍋島勝茂(なべしま かつしげ)らが足止めを食らい、結局西軍に参加せざるを得なくなります。
さらに7月16日には、広島より毛利輝元が大坂に入ります。
西軍総大将は石田三成と誤解されやすいのですが、以後、西軍総大将は毛利輝元となります。
人質掌握こそ、黒田長政の妻や加藤清正の妻などに逃げられた上に、細川忠興の妻ガラシャには死なれた挙句に屋敷に火を放たれる有様で散々な結果に終わったものの、それ以外の点ではおおむね三成の考え通りに運びつつありました。
(余談ですが、かつて私がテレビで「アメリカ横断ウルトラクイズ」というものを見ていたとき、その中の問題で「関ヶ原の戦いの西軍の総大将は石田三成である。○か×か?」という問題の答えが○と表示された時には憤慨したものでした)

7月17日。
三成は諸大名に檄文を公布。
「内府ちかいの条々」を含む書状をもって宣戦布告文となしました。
これにより、毛利輝元を総大将とした西軍に続々と諸大名が参集。
その兵力は一説によれば九万から十万に達するものだったと言います。

ですが、安国寺恵瓊の策にうかうかと載せられてしまった毛利輝元とは違い、毛利家中には重臣吉川広家(きっかわ ひろいえ)がおりました。
広家は、以後の政局は徳川が中心であろうと考えており、今回の三成を中心とした挙兵にも反対でした。
ましてやその企ての中心に毛利輝元が担ぎ出されることなど断固として阻止したかったのでした。
しかし、タイミングなどの問題で毛利輝元が出馬することを止めることはできませんでした。
そのため、黒田長政らを通じて、家康に毛利輝元は心ならずも担ぎ出されたことや毛利家は家康と敵対しないことなどを知らせていたと言います。
このことがのちに家康には有利に働きました。

7月18日。
西軍総大将毛利輝元の名において、家康配下の老将鳥居元忠(とりい もとただ)が立て篭もる伏見城に対し、開城勧告(降伏勧告)がなされました。
鳥居元忠は即座にこれを拒否。
家康に急使を走らせます。
翌19日、俗に「関ヶ原の戦い」といわれる一連の戦いの最初の火蓋が伏見城で切られました。
西軍の伏見城攻撃が始まったのです。

7月21日。
まだ三成の挙兵を知らされていない家康は、江戸を出発して上杉討伐に向かいます。
ですが、いつでも引き返せるようにしての進軍だったと言います。
大坂に火の手が上がったことを知るまでには、もうあと三日必要でした。

その5へ
  1. 2007/11/13(火) 20:42:25|
  2. 豊家滅亡
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設定画をちょうだいいたしました。

いつもお世話になっております「Kiss in the Dark」のg-than様より、架空の深夜アニメ「魔法機動ジャスリオン」の設定画(ぽく仕上げたもの)をいただきました。

d0490d3c.jpg

元気で凛々しい純玲嬢。
かっこいいオルダー王子。
いやらしそうなエロジームなど、今にもアニメーションで動きそうなイラストです。
何より、「スタジオきっしん」のハンコが設定画っぽく見せますよね。

g-than様、素晴らしいイラストをありがとうございました。

皆様に愛されてここまで広がりを見せました「魔法機動ジャスリオン」
あらためて皆様にお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。
  1. 2007/11/12(月) 21:04:51|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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魔法機動ジャスリオン第三話(xsylphyx様作)

皆様に大変ご好評をいただいております、架空の深夜アニメ「魔法機動ジャスリオン」

その熱心な大ファンでおられますxsylphyx様より、なんとまたSSをいただいてしまいました。

すでにxsylphyx様のサイト「X only」では公開されておりますが、「魔法機動ジャスリオン」の第三話でございます。

いつも変わらぬxsylphyx様の筆の冴えで、純玲や綾ばかりか、千尋、真奈美センセ、エロジームなどの脇キャラも生き生きと動き回っております。

xsylphyx様の素晴らしい出来栄えの「魔法機動ジャスリオン」第三話。
どうぞ、存分にお楽しみいただければと思います。


第三話『綾が失踪? 卑劣なエロジーム!』


「やっほ!! 海だぁ!! 海と言えば海の家~ やきそば食べ行くぞぉ!!」
「千尋ったら、着いたばかりなのにもう食べるの?
  やきそばか… でもその言葉を聞くと食べたくなってきたような…」

雷純玲(いかずち すみれ)と山咲千尋(やまさき ちひろ)は一足先に浜辺に出ていた。
そしてなぜか、腰に手をやり海に向かって話をしている奇妙な2人。

「でも、軽く小腹を空かせてから食べるやきそば、いいと思わない?」
「おっ! スミスミいいこと言うねェ~ んじゃ、かる~く」
「コラァ~少女たち! 海に入る前には準備体操するんだぞ」

惚れ惚れするような美乳、羨ましいほどくびれたウエスト
キュッと締まったヒップの持ち主が、その抜群のスタイルを自慢するかのような
黒のビキニで2人と海の間に割り込み、意味無く髪をかきあげセクシーなポーズを決めている。

「ま、真奈美先生… その体にビキニ…ですか……
  それにポーズまで… 引率だから目立たないようにするって言ってたのに…」
「ホントあんまりですよ、真奈美先生~ 視線を独占するなんて…許せません!!」

千尋が真奈美の横に並び、同じように黒髪をかきあげて
唯一真奈美に対抗できるであろう胸を強調したポーズを決めていた。

「ちょっと、先生はやめてよ 今日はお友達ってことで真奈美さんでどう?」

純玲、綾、千尋、そして3人の担任教師である
大河内真奈美(おおこうち まなみ)は夏の海に来ていた。
なぜ担任の真奈美が3人と一緒に海に来ているのか?
それは綾と真奈美が従姉妹で、一人暮らしの真奈美は週末になると
叔母である綾の母親の手料理を食べに綾の家を訪れていた。
そのとき3人が海水浴に行くことを耳にした真奈美は
引率とかこつけて無理やり同行して来たのだった。

「ち、千尋まで…
  もう! 2人ともやめてよォ、注目のマトになってるって!!
   …あれ? そう言えば、真奈美先生 綾は一緒じゃないんですか?」
「えっ? 綾なら純玲ちゃんの後ろに居るじゃない」

音も無く純玲の背後に現れた綾は
もじもじと周囲の目を気にしながらTシャツに短パン姿で立っていた。

「あれ? アヤアヤどうして水着じゃないの? もしかして、水着忘れた?」

千尋の質問に綾は紅くなり小さく首を振る。

「ま、まさか、綾 恥ずかしいの?」

純玲の言葉に綾は小さく頷いた。

「ハハッ アヤアヤ みんな水着なんだから、恥ずかしくないって」
「そうよ わたしほどじゃないけど、綾もスタイルいいんだし」
「真奈美先生… それ、説得になってないと思いますけど…
  でも、綾が脱げないって言うなら仕方ないよね…」

目配せした3人の目が怪しい輝きを見せる。

「山咲さん、雷さん 巻雲さんが着ている邪魔な物をひっぺがしなさい!!」
「ハイ! 先生!!」
「エッ!? 止めて…止めてったら…」

綾の抵抗空しく、Tシャツと短パンが千尋と純玲によって奪い取られた。
そして露になった綾の姿に3人は凍りつく。

「こ、これ……ちょっと危ないよね…」
「アヤアヤ…そ、それは……ス…ス…スク…」
「あ、綾、その水着は危険すぎるわ
  どうしてわたしが買ってきてあげた水着を着ないのよ!」
「だ、だって、真奈ちゃんがくれた水着……恥ずかしくて…」

綾の視線は真奈美の黒いビキニに向けられていた。

「ま、まさか、これと同じ黒のビキニ?」

綾の目線の先を見やった純玲が恐る恐る言葉を口にすると
目線を逸らした綾は小さく頷いた。

「い、いや、アヤアヤ… 確かに真奈美さんのビキニ、羨ましいくらい凄いけど
  その水着の方が、ある意味… それに真奈美さん以上に視線を独占してるし…」

通り過ぎる子連れの父親、カップルの彼氏などがチラチラと横目で綾を見やり
それに気付いたパートナーと言い争う声が多くなり始めていた。

「確かに…スク水はダメね 代わりの水着を何とかしないと…」

考えを巡らせる真奈美の視線が剥ぎ取ったシャツを綾に着せている千尋で止まった。

「千尋ちゃん スタイルいいよね  きっと黒のビキニが似合うと思うなぁ」

真奈美の邪悪な言葉が千尋の心を手繰り寄せる。

「エッ! そうですかw」
「その綺麗な黒髪に白い肌 貴女にピンクの花柄は似合わない」

真奈美は千尋に近づき、耳元で悪魔のように囁く。

「3人の中で、わたしのパートナーを任せられるのは千尋ちゃんだけ…
  どう? 一緒に素敵な出会いをゲットしてみない?」

日ごろから彼氏が欲しいとぶっちゃいている千尋には効果的な一言だった。

「で、出会い…とは……か、彼氏が…………………
  ア、アヤアヤさ、持ってきた黒のビキニ、わたしに貸してくれないかナ
   で、スク水やめて、わたしの水着に着替えた方がよくなぁい?」

悪魔に魅入られた千尋が虚ろな眼で綾に言い寄る。

「うんうん それがいいわ 綾、千尋ちゃんの水着を貸して貰いなさい
  スク水を学校以外で着用するのは危険すぎる行為だから」
「う、うん… 千尋ちゃんがいいなら…」
「もちろん問題ないですよォ!」
「ひ、ひどい…ひどすぎるよ……この人…悪魔だ…
  背中に黒い羽根が…お尻に尖った尻尾が見える……」
「ん? 純玲ちゃん 何か言った?」

自分を見やり微笑む真奈美に恐怖を覚えた純玲は無意識に半歩退いていた。

「い、いえ、何も… いい考えだと…思います…」


そんな4人のやりとりを見つめる目があった。

「ヒヒッ… ヒィヒッヒッヒッヒッ… あの4人、手ごろじゃわい」

岬の崖の上に立っている廃墟としか思えない洋館。
その一室から白衣を着た老人が無機質な黒い筒を通して浜辺の4人を眺め見ていた。


「アヤアヤ サイズどう?」
「う、うん 大丈夫みたい… 千尋ちゃん先に行ってて」
「わかった ドリンクはホントに冷やしあめでいいの? 注文しとくよ」
「うん ありがとう」

黒いビキニに着替えを終えた千尋が更衣室を去り
しばらくすると綾が個室から出て来た。

「千尋ちゃんの水着でも……恥ずかしいな…」

大人しい感じのワンピースだったが足回りのカットは深く、綾には十分抵抗があった。

「やっぱりさっきの水着で…  キャッ!」

個室に戻ってスク水に着替えようとした綾は
白いパーカーにサングラスを掛けた女性とぶつかり、尻餅をついて転んだ。

「あっ すみません…わたしがよそ見してたから…」
「クス… わたしは大丈夫よ それより貴女の方が怪我しなかった?」
「…………は、はい 大丈夫ですっ」

心に響く美しい声。
なぜか綾は、直ぐに返事を返せなかった。

「あら?」
「えっ? なん…ですか…」

女性はサングラスをとり、じっと綾の瞳を覗き込んだ。

「これの所為かしら 貴女の瞳に受難が見える」
「エェ… 受難?」
「何かよくない事が起こる? 起きた?
  どっちにしても気をつけたほうがいいかも…
   あっ、ゴメンなさい 初対面でいきなりなりこんな事を」
「い、いえ、あのぉ…占いか何かを…」
「ちょっと趣味程度に…ね  貴女、占いに興味あるの?」
「はい!」
「だったら今度、わたしのお店に寄ってみて
  お友達になれた貴女… クスッ…お名前聞いてもいいかしら?」
「えっ、お友達?  は、はい 綾です 巻雲綾です」
「綾ちゃんか… わたしはユリよ お店に来てくれたら、ただで何でも占ってあげる」

床に座ったままの綾は手を差し伸べてくれたユリの手を掴んで立ち上がる。

「綺麗なブレスレットですね」

ユリの手首で優しく輝いている水晶の珠で出来たブレスレットのことを綾は何気なしに口にした。

「あぁこれ? これは… あ、そうだ このお守りを持っているといいわ」
「そ、そんな、ダメですよ」
「気にしなくていいわよ 今度お店に来たときに、返してくれたらいいから」

ユリは一方の手からブレスレットを外すと、綾の手首に嵌めた。

「綺麗… ホントにお借りしていいんですか?」
「クスクス… どうしてかなぁ、綾ちゃんといると楽しい気分になれるのよ
  だから、気にしないで持ってて」

優しく微笑みかけるユリに綾も不思議な安心感を抱いた。

「はい それじゃ 少しの間、お借りします ユリさん」
「どうぞどうぞ それとこれ、わたしのお店の住所と電話番号、携帯のメアドね」
「あぁ、ここなら学校の帰りに寄れます  あとでわたしの携帯からメール送ります」
「ありがとう、それじゃ綾ちゃん 気をつけてね」
「はい ユリさんもお気をつけて」

手を振ってユリを見送った綾は
ユリから借りたブレスレットを光にかざして眺め見ていた。

「綺麗な水晶… 通り抜けてくる光…なんだか温かくて気持ちが安らいでくる」

しばらくじっと、光を眺め見て佇んでいた綾の耳に、怪しく不気味な笑い声が聞こえてきた。

「ヒィヒッヒッヒッヒッ…」
「エッ?」
「ヒィヒッヒッヒッヒッ… ワシの館に招待してやろうかの」
「エェ…だ、だれ…ですか……   キャアァァ!」

キョロキョロと周りを見渡していると足元が紅く輝き
丸い魔方陣が描かれて、綾の体はその中に吸い込まれてしまった。




「うぅん…」
「ヒィヒッヒ… 目が覚めたようじゃな」
「キャアッ!」

自分の体を撫で回している白衣を着た老博士に驚きの声を上げた。

「や、やめて下さい… お、お爺さんはどちら様ですか… わたしをどうしようと…」

薄い翠に輝いている方陣の上に寝かされている綾は水着を脱がされ
大の字にされた状態で宙に浮かんでいる。

「ヒィヒッヒ… この綺麗な体でワシを悦ばせてくれんかのぉ」
「ヒッ!! や、やめて下さい…そんなところ…イヤッ…」

体を動かして抗おうとするが、綾の体はピクリとも動かず
目を瞑り、顔をそむける程度のことしか出来なかった。

「ヒィヒ…ヒィヒッヒ… まだ汚れを知らぬ いい匂いじゃ」
「イッ…やめ、やめて…」

自分の唾液で濡らした指を綾の秘唇に挿入するとイヤらしい笑いを浮かべた。

「イャッ……や…やめて……」
「中もいい感じじゃ…
  いずれはここに、ワシのモノを挿れてやるからの ヒィヒ…ヒィヒッヒ…」
「わた…わたしを…どうする…おつもりですか…」

恐怖で目を開くことも出来ない綾の目から涙が零れ落ちる。

「ヒヒッ…ヒィィヒィヒィ…
  お前はこれからワシを悦ばせる玩具になるんじゃ
   暗黒魔界デスマドーにこの人ありと謳われたエロジーム博士の玩具にじゃ
    ヒヒ…ヒィィヒッヒ…」

笑いながらエロジームが方陣の外に移動する。

「か…帰して下さい… わたしを友達のところに帰して下さい」
「ヒィィヒッヒ… もちろん帰してやるとも
  ワシの言うことなら何でも聞く玩具にしてからじゃがな」
「イヤッ… なりません…
  お爺さんの言うことを聞く… 玩具になったりしません…イヤです!」
「ヒヒッ… 魔法手術が終わったあとで、同じことが言えるかの ヒィィヒッヒ…」

聞き取れない言葉を唱えだしたエロジームの手が黒く輝き
綾の下の方陣も黒く輝きだした。

「ヒグゥッ!」

ビクンと体を痙攣させた綾が大きく目を見開く。

「ヒッヒッヒッ… お前の心を暗い闇の底に堕とし、魔に従う悦びを教えてやるわい」
「ハァア……アッ…アァァ……」





「ヒッヒッヒッ… これくらいで十分じゃろうて」

何人もの女を同じように堕として来たエロジームが余裕の笑みを浮かべ綾に近づく。

「娘、お前の名は何という」
「ィャ……お爺さんの………なったり…しません…」
「な、なんじゃと!! 此奴まだ堕ちておらんのか!
  人間を魔に従わせるには十分すぎる魔力を送り…
   ヒッ…ヒヒッヒィィヒッ…そうか、そうじゃったか」

天井の一点を見つめたまま涙を流している
綾の瞳を覗き込んだエロジームの顔が好色と歓喜に歪む。

「ヒヒ…ヒィィッヒッヒッ… これは面白い物を手に入れたかもしれんわい
  水晶のように澄んだ瞳… もしや水晶眼  試してみる価値はありそうじゃな」

方陣の外に出たエロジームの顔から笑顔が消え、声に出さず呪文を唱える。
すると方陣にかざした手が赤紫色に輝き、方陣も同じ色に染まる。

「ハヒィ…ヒャアァァァ……アッ…アァァァァァァ…」

背中を反らせ、見開かれた綾の瞳が方陣と同じ赤紫に染まる。

「ヒヒッ…ヒッヒッヒィッ…やはりそうじゃったか
  水晶眼、魔力に適応する能力を備え持つと言う話じゃが
   ヒヒッ…これは面白い玩具になりそうじゃわい」

エロジームが魔力を高め、呪文を唱える。

「ヒャィィィィィ……」

綾の下腹部に赤紫色の魔方陣が浮かびあがると
そこから複雑な文字や模様が全身に拡がってゆく。

「ヒッ…ヒッヒッヒィッ…
  全身に支配印紋が刻まれれば、手術は完了じゃ
   お前はワシの忠実なシモベに生まれ変わるわい……ムゥゥ…」

額に汗を滲ませ、エロジームは更に魔力を高める。

「ハァァァァァァァァァ…」

眉をしかめている綾の全身は赤紫色の印紋で埋め尽くされ
四肢の爪までもが、赤紫のマニキュアを塗ったように染まる。

「ヒッ…ヒ……ヒ… そろそろ仕上げの印紋じゃな
  これで…お前は……お前はワシのシモベじゃて…」

魔力を消耗したエロジームはフラフラしながら綾に近づき
人差し指に集中させた赤紫の輝きで、息を荒げ、苦悶の表情を浮かべている
綾の瞼と唇に仕上げの印紋を施した。
すると綾の全身に浮かび上がっていた支配印紋は薄れてなくなり
仕上げに施された印紋だけが、アイシャドーとルージューをひいたように残っていた。

「ヒヒッ…… 完成じゃ…絶対服従のシモベの完成じゃ…
  ヒッ…ただの人形ではないぞ… 意志を持った人形じゃぞ!」

力尽きたようにその場に座り込んだエロジームが宙に浮いたままの綾を見上げる。

「いつまで寝ておるのじゃ! はやくワシを助け起こさんか!!」

エロジームの喝に綾の体がピクリと反応し、体が垂直に起き上がるとゆっくりと床に着地した。
そしてエロジームの傍らに歩みよるとしおらしく両膝をついて、エロジームを膝の上に座らせた。

「申し訳ございません…エロジームさま…… 頂いた魔力…少しお返し致します…」

濡れた赤紫色の唇をエロジームの唇に重ね、自ら舌を絡ませた。

「ンフゥ…如何ですか…エロジームさま…」

陶酔し潤んだ瞳は赤紫色に輝いていた。




「ウホォォ…いい具合じゃ……出すぞ…全部飲み干すのじゃ」
「ふぁい…えりょじぃぃむしゃまぁ…」

綾はベッドの上で大の字で寝転んでいる老人の傍らに跪き
老人の股間のモノを口に咥え、激しく口を窄めていた。

「ヌホォォ……ンホォ…」
「ン!…ンン…ジュル…ングゥ…」
「ヒッヒッ…舌の使い方が上手くなったわい もう一度…いや、今度は胸じゃ、胸を使え」
「お褒めの言葉ありがとうございます エロジームさま」

口のまわりに付いた白濁を舌で舐め取りながらエロジームを起こし
ベッドに腰掛けさせると、老人のモノとは思えない代物を白い乳房で挟み込み
ゆっくりと上下に動かしはじめた。

「ニヒィ…ヌホホホッ… これはいい…柔らくていい具合じゃわい」
「エロジームさまに悦んで頂けて光栄です」

綾は嬉しそうに微笑むと精一杯、奉仕を続ける。

「ヌホォゥ…そういえば…まだ…お前の名前を…聞いておらなんだ…」

「ン…ンンフン……綾です…巻雲綾でございます…ハグゥ」
「ウホォゥ……アヤか…」

綾はエロジームの股間のモノを口に咥え舌先で刺激する。

「ムヒョゥ……ヌホォォ…ンホォ…ンホォ…」
「ン!…ケホッ…ケホケホッ…… も、申し訳ございません…エロジームさま…」

前触れも無く喉の奥に白濁を放たれた綾は、咽て全てを吐き出した。

「ヒッヒッヒッ…今回だけは許してやるわい」
「はい…ありがとうございます…エロジームさま…」
「お前の奉仕のお陰で魔力もずいぶん回復したわい」

綾は床に降り立ったエロジームに衣服を着せると両膝をついたまま
しおらしく俯き、眼を伏せてエロジームの命令を待っていた。

「水晶眼 玩具だけにしておくにはちと…」

考えを巡らせながらも胸やお尻を弄ってくるエロジームに綾は笑顔で答える。

「そうじゃ! お前ならばワシの傑作を使いこなせるじゃろう」

エロジームが資料に埋もれた机の中から
暗黒魔界デスマドーの紋様を模ったブローチを取り上げた。

「いつかはと考えておった魔法戦士の試作品じゃ」

綾は両手でブローチを受け取るとエロジームを見やった。

「ヒッヒッ… ブローチを胸に近づけて魔力を注ぎ込むのじゃ」
「はい ブローチを胸に近づけて…魔力を…」

綾の瞳が赤紫色に輝き、全身に魔力を纏うと
ブローチは白とピンクの輝きを放ち、綾の体を輝きで包み込む。
そして弱まった輝きの中から現れた綾の姿は
暗黒魔界という言葉とは不釣合いなコスチュームを纏っていた。
ピンクのハイレグレオタードとアームカバーに
白とピンクの2枚重ねのレーススカート。
腰にはピンクの大きなリボンが羽根のようについており
膝から下が白いブーツで覆われている。
だがその愛らしい姿の綾が暗黒魔界デスマドーの戦士であることは
胸のリボンの真ん中で禍々しいオーラを放っているデスマドーの紋様が証明していた。

「魔法戦士ダークウィッチアヤ ここに降臨!」

変身するまでは少し垂れ気味だった綾の目尻がつり上がり
キリっとしてクールな感じに変わった。
ダークウィッチアヤとなった綾の顔は
エロジームやデスマドーの者たちには巻雲綾として映っていたが
他の者が見れば、全く別人の顔に映り
ダークウィッチアヤが巻雲綾だと気付かれることはなかった。





「どこの家にも、アヤアヤいなかったけど」
「おっかしいなぁ どこ行ったんだろう 綾」

注文したドリンクを飲み干した3人が
30分経っても姿を見せない綾を探しはじめて2時間が経過していた。

「これは本格的に捜索して貰わないとダメかなぁ…」

学校や周囲にバレると不味いことが多い真奈美の顔が一気に憂鬱になる。

「マズいよなぁ…従姉妹とは言え、毎週生徒の家にご飯食べに行ってる事がばれたら…
  マズいよなぁ…一部の生徒と親密な関係になって、海に遊びに来てるのバレたら…
   マズいよなぁ…」
「ま、真奈美先生 もうちょっとだけ、わたしたちで探してみましょうよ!」
「そ、そうですよ、ああ見えてもアヤアヤしっかりして… あれ、アヤアヤだ」

フラフラと浜辺の人込みに揉まれながら歩いて来る綾を見つけた千尋が指を差す。

「どこ行ってたのよ、綾! 心配してたのよ!」
「ホントだよ、綾どこ行ってたの?」
「うん 水着着替えて出て来たら、困ってるお爺さんが居たの
  それでお家まで送り届けてあげたら お茶と食事をご馳走してくれて…
   連絡しようと思ったけど…携帯は荷物の中だったし…ゴメン…なさい…」
「そうなんだ、綾らしいね」
「どこまで行ってたの?  随分疲れてるみたいだけど」
「あの岬の洋館まで…」
「うわぁ あんなところまで… アヤアヤ歩いて往復したの?」
「うん そう…だけど」
「とりあえず綾も無事だったんだし、もういいじゃない ねっ真奈美先生」
「ホント、何もなくてよかったぁ…」
「で、アヤアヤどうする?」
「えっ? なにが?」
「ご飯! ご飯だよぉ!!  わたしたちはまだ食べてないからさぁ」
「あっ、ごめん…なさい… わたしだけご馳走になってきて…」
「気にしなくていいから、綾はわたしたちが食べてる間、休んでなよ」
「そうね、ご飯食べたらみんな… わたしと千尋ちゃんはちょっとだけ、浜辺を散歩するわ」
「……じゃあさ 綾とわたしはちょっとだけ海に入ろうよ」
「う、うん… いいよ、純玲ちゃん」

普段と変わらない綾。
千尋、真奈美は当然のこと、暗黒魔界デスマドーと戦っている純玲でさえ
綾の身に起きた異変に気付くことはなかった。




そして…

「待てッ逃がさない!! リード、マジックワード『ソニックブーム!!』」
「フフ…  ウィッチマジック『デスエアーウォール!!』」

ジャスリオンブレードから放たれる空気の刃で
逃げるモンスターを仕留めようとしたジャスリオンだったが
見えない空気の壁で囲まれ、放たれたソニックブームも無力化された。

「エッ!? 防御魔法!!  まさかオルダー… でも今の声は」

ジャスリオンのヘルメットに別のデスマドー反応が表示され、距離と方角が示されると
その方向を見やったジャスリオンはビルの屋上で月を背にして立っている人影を見た。

「やっぱり… あれはオルダーじゃない、新しいデスマドー!!」
「フフフフ…」

人影はフワリとジャンプするとビルの影に溶け込み姿を消した。

「待て!! 逃げるなァ!!」

だが全てのデスマドー反応が消え、夜の町は静けさを取り戻した。

「新しいモンスター? 違う、人みたいだった…魔法を使ってた…
  オルダーとは違う強い魔力を感じた いったい何者なんだろう…」


<< 次週予告 >>
「純玲だよっ、みんな、朝ごはんはちゃんとたべてるかな?
 食べないと元気が出ないよ?
 わたしなんか、今朝もしっかり食べてるから元気だよ。
 しっかり食べたら学校まで走っていかないと遅刻…
 うきゃ~また遅刻だっ

 あ、次回第四話:ダークウィッチ? 忍び寄る黒い影!

  来週もこのチャンネルで リードジャスリオン!

    遅刻だよ~~っ!」



いかがでしたでしょうか。
次週予告はEnneさんの別バージョンを掲載させていただきました。
xsylphyx様、Enne様、どうもありがとうございました。
  1. 2007/11/12(月) 20:56:20|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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ブダペスト解囲

今日は「札幌歴史ゲーム友の会」にお邪魔してきました。

私が到着したのは午前10時ごろでしたが、すでに会場では「ASL」が二卓と、「マッカーサーリターンズ」がプレイされており、私もMどりっひ様と打ち合わせどおり「ブダペスト45」(CMJ13号付録)をプレイ。

Mどりっひ様が独軍、私がソ連軍を担当させていただきました。

Mどりっひ様は重点を南方に向ける布陣で、重支援ユニットも南方に配置されました。
私は積極的にブタペスト防衛部隊をすり減らすべく、包囲部隊にて毎ターン攻撃をかけ続けます。

独軍救出部隊は各所でわが軍を集中攻撃してきますが、ダイスが振るわなかったこともあり思うように進出できません。
そうこうしているうちに、7ターンにはブダペストの部隊をペスト市からほぼ排除することに成功し、このまま行けばと淡い期待も生まれます。

しかし、中央部を突破してきた独軍装甲師団がソ連軍の防御網をすり抜けるようにしてブダ市外郭に取り付きます。
うっかりしていたことに、ブダ市外郭に布陣していたソ連軍は、ブダ市内の独軍相手に磨り減ってしまっておりまして、独軍装甲師団の相手になれるものではありません。

8ターンの独軍の攻撃についに独軍装甲師団がブダ市外郭のソ連軍ユニットを除去。
戦闘後前進でブダ市内に突入したため、ゲーム終了を待たずに独軍の勝利となりました。

ちゃんとした戦線を張り損ねてしまい、ブダ市に到達されてしまったのは不覚でしたが、その戦線の穴を的確に突破してきたMどりっひ様の腕前はやはりたいしたものです。
今度は攻守所を変えて再戦をしたいものです。

その後は途中でやってこられた柿崎様を含めてMどりっひ様と三人で「シンガポール陥落」(CMJ77号付録)をプレイ。
Mどりっひ様と私が日本軍を、柿崎様が英連邦軍を担当されてプレイしましたが、柿崎様の英連邦軍の遅滞戦術と私の日本軍の進撃ペースがあまりはかばかしくなかったことで、最終ターン終了時には150点以上もの得点を英連邦軍に献上。
英連邦軍の圧勝で終了しました。

二回とも負けたとは言え非常に楽しいプレイでした。
やはりゲームをプレイするのは楽しいものです。
Mどりっひ様、柿崎様、拙い相手ですみませんでした。
次回もまたよろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2007/11/11(日) 19:00:57|
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脱出不能

いつもの先輩とウォーゲームの日です。
今日は「ウクライナ44」(CMJ70号付録)をプレイしました。

前回は、ソ連軍が部隊運用のまずさもあって歩兵部隊を大量に失い敗北しましたが、はたして今回はどうなるでしょうか。
陣営は前回と同じく先輩がソ連軍、私が独軍を担当します。

ソ連軍は、なんと地図版北側に位置する戦車軍団を、わずか一個を残すだけで全て南下させてきました。
コーチンにかかるポントーン橋を押さえ、南方からの独軍の補給を切断しようというのです。
テルノポリは完全に無視されました。

独軍は対応のためにやむなく8-8二個装甲師団をポントーン橋方面に南下させます。
この二個装甲師団派遣は、独軍にとってはかなり手痛いものでした。

ソ連軍の戦車軍団は17戦力から20戦力ぐらいあり、8戦力の装甲師団でも攻撃をしのぎきることは容易ではありません。
でも、派遣しなくては補給線が切られてしまいます。
独軍は逆にソ連軍の補給線を切るべく、残った装甲師団をもってソ連軍歩兵に攻撃を仕掛けました。

確かにこのゲームのソ連軍歩兵師団は防御に回ると弱いものです。
しかし、数が多く、一個や二個が吹き飛んだぐらいではびくともしません。

それでもテルノポリ周辺の道路と、ポスクロフ~コプチンツィ間の道路を押さえることでソ連軍の補給を切ることができました。

ですが、ソ連軍は歩兵師団をテルノポリ周辺の道路に並べることで補給を通してしまいます。
逆に独軍は0925ヘクスをついに押さえられ、補給が断たれてしまいました。

何とか増援が来るまで粘りたかったのですが、ソ連軍はサドンデス勝利都市には攻撃を仕掛けてきません。
テルノポリもシェルノブツィも健在な以上増援は早まってくれないのです。

そうこうしている内に地図版東側ではソ連軍の圧力に耐えかねて歩兵部隊が次々と壊滅。
頼みの装甲師団もいくつも除去されていきました。

結局航空補給マーカーが置ける二つの飛行場のある都市が陥落することが確実になった7ターン目で独軍の投了。
第一装甲軍は壊滅しました。

前回とはまったく逆の展開になり、結構つらかったです。
独軍としては装甲師団が集中できなかったのが敗因かもしれません。

その後は多少時間があったので、「オンスロート」(CMJ64号付録)を練習がてら最初の数ターンをプレイ。
ノルマンディー上陸直後から独軍の西部戦線が崩壊するまでを扱ったゲームですが、シンプルなルールと派手な戦闘結果表で楽しめそうなゲームであることがわかりました。
今度はこれを最後までやってみたいものです。
しかし、連合軍側をやって機甲師団三個に歩兵師団三個(計六個師団)を投入した独軍装甲師団スタックへの攻撃が、結局1:1にしかならずにAEで全て吹き飛んでしまった時には、もう笑うしかなかったですけどね。

明日は札幌歴史ゲーム友の会へ出陣です。
「ブダペスト45」を楽しんできまーす。

それではまた。
  1. 2007/11/10(土) 20:33:08|
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ダークヴォイス(闇月様作)

すごく嬉しいことに、またまた「魔法機動ジャスリオン」に関連するSSをいただいちゃいました。

今回は私のブログとも相互リンクしていただいておりますブログ系サイト「闇月の創作メモ」管理人の闇月様よりいただいたものです。

闇月様も創作ネタを多数発表されている上に、ご自身でもSSを書かれる方で、悪堕ち大好きな方でもおられます。

今回のSSは、「魔法機動ジャスリオン」そのもののストーリーではなく、「魔法機動ジャスリオン」というアニメが存在し、さらにその世界で暗躍する悪の組織があるという設定でのお話です。
ちょっとややこしく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、「魔法機動ジャスリオン」というものの世界に新たなる広がりを与えてくださったと思います。

何より、作品そのものがすごく楽しい作品となっておりますので、ぜひぜひ皆様もお楽しみ下さいませ。

なお、このSSは「闇月の創作メモ」様でも同時公開となっております。
覗かれてみてはいかがでしょうか。

あと、今回のSS公開を機に、「魔法機動ジャスリオン」を一カテゴリーとしてまとめました。
見やすくなったかと思います。


「ダークヴォイス」(闇月様作)

「え、私が『魔法機動ジャスリオン』のオーディションに!?」

安住瀬怜奈(あずみ せれな)は同じウエストエイトプロダクションの先輩、志賀波津爾(しが はつじ)からの誘いにびっくりした。

瀬怜奈は声優養成所を卒業して半年の新人で、今までチョイ役しか声をあてたことがなかった。
そんな自分に、志賀は新番組のヒロインオーディションに出ろというのだ。

「安住なら大丈夫だよ。養成所時代から君を見てきて、『コイツは将来大物になる』って思ってたんだ。どうやら監督は経験の浅い若手を主役にしたいみたいだし…」
「でも志賀さん、戸佐又・縁根コンビの作品でしょ? 難しくないかなぁ?」
「心配しなさんな。ま、とにかくやってみなよ。ダメモトでさ…」
「志賀さんがそこまで言うなら…受けてみようかな?」
こうして、瀬怜奈は覚悟を決めたのだった。

オーディション当日。
会場のスタジオに到着した瀬怜奈は唖然とした。
主役オーディションだというのに参加者が数人しかいないのだ。
(もっと大勢いるかと思ったのに…深夜アニメだからかなぁ?)
最近は深夜帯のアニメでもそこそこの視聴率を稼いでいたり、DVD化したところでブレイクする作品もある。
「ま、いっか。ライバルが少ないことはありがたいもんね」

控室に入り、選考方法を聞いた瀬怜奈はさらに驚いた。
なんと、実際のアフレコと同じ方法でやるというのだ。
(これってもしかして即戦力になる人を選ぶわけ?)
現場経験の浅い瀬怜奈は一気に自信をなくしたのだった。

「安住、どうしたんだよ? 元気ないな」
廊下の長椅子で沈んでいる瀬怜奈を見つけた志賀が声をかける。
「志賀さん…私、駄目です。受かりっこありません」
「何言ってるんだよ! 受からない話に俺が君を誘うかよ!? それに俺は、君とこの作品をやりたいんだよ!」
「えっ…志賀さん、それ、ほんとですか?」
「君が俺に憧れてこの世界に入ったのは知っている。だから、君の夢をかなえてやりたいんだよ…」
「志賀さん…ありがとうございます。私、頑張ります」
志賀の励ましを受け、瀬怜奈はいつもの笑顔を志賀に見せたのだった。


『魔法機動ジャスリオン』のオーディション風景は、別の場所でも見られていた。
しかし、それを知るスタッフは誰もいない。

「いかがでございますか、キング・ノワール? 新たな“洗礼対象”は見つかりまして?」
傍らに寄り添う女性に『キング・ノワール』と呼ばれた青年は微笑みながら答えた。
「ええ。今演じていた方の声は素晴らしいですね。おそらく彼女が主役になるでしょう…我が『ノワール・キングダム』にぜひ迎え入れたいですね」
「わかりました。“彼女”にもそう伝えます。ターゲットは“安住瀬怜奈”だと」
女性は青年に恭しく礼をすると、部屋から去っていった。

「この『黒水晶』を身に着けた彼女は、きっとすばらしいプリンセスになるでしょうね…」
部屋に一人残ったキング・ノワールは500円硬貨ほどの大きさの黒真珠のようなものを指で転がしながらつぶやいた。


オーディション翌日、瀬怜奈が主役に決まったという連絡が志賀から入った。
(やった…志賀さんと一緒に仕事ができる!)
瀬怜奈は天にも上るような気持ちだった。

渡された台本を見て瀬怜奈は驚いた。
(きょ、共演者がすごい人ばかりだよぉ…)
瀬怜奈演ずる「雷 純玲」の親友「巻雲 綾」役は戸佐又監督の前作『正義の女戦士クリスタルローズ』で「片場聡美」役だった速水真李亜(はやみ まりあ)、「魔法技術主任エロジーム博士」はベテラン声優 水城真樹夫(みずき まきお)、「魔法参謀ユリジーム」は『クリスタルローズ』で主役の「君嶋麻里子」を演じた鈴村香須美(すずむら かすみ)、そして「地上侵略司令官オルダー王子」は志賀波津爾。皆声優界では名の知れた声優ばかりだ。
(でも…せっかくつかんだ主役なんだ。頑張るもんね!)

そしてキャスト・スタッフ顔合わせの日となったアフレコ初日。
「い、雷 純玲役の安住瀬怜奈です。よ、よろしくお願いしますっ!」
緊張した面持ちで挨拶をした瀬怜奈に皆が温かい拍手を送った。
「君なら大丈夫だと期待しているよ。頑張ってくれよ」
戸佐又監督が瀬怜奈に声をかけた。

いよいよアフレコが始まった。
しかし、緊張のせいかなかなか調子が出ず、NGを連発してしまう。
結局収録予定の7割ほどしか進まず、初日のアフレコは終了した。

(はぁ…やっぱ主役は大変だなぁ)
失敗続きで落ち込む瀬怜奈がスタジオを出ようとした時、速水真李亜が声をかけてきた。
「安住さん、そんなに落ち込まないで。あたしだって、最初はぜんぜん駄目だったんだから」
「速水さんは若いのにすごいですよね。『クリスタルローズ』の『片場聡美』の声なんか特に…」
「あぁ、あれはね。ちょっとした“トレーニング”のおかげなのよ」
「トレーニング…ですか?」
「そう。じつはそのトレーニングに安住さんを誘おうと思って。ね、今から行ってみない?」
そう言って真李亜は半ば無理やり瀬怜奈をを外へ連れ出していった。


瀬怜奈と真李亜のやり取りを陰から見ていた鈴村香須美は、バックから携帯電話を取り出し、どこかへ電話をかけていた。
「……様、マリアと“ターゲット”が例の場所に。はい、よろしくお願いします」
香須美は電話を切ると、ニヤリとほくそ笑んだ。


「…『スタジオ・ノワール』、ここがトレーニング場所なんですか?」
都心のビルの地下に連れてこられた瀬怜奈が真李亜に尋ねる。
「そうは見えないでしょうけど、一応れっきとしたスタジオよ。一通りの設備は整っているわ」
(こんなところで、ほんとに上達するのかなぁ?)
瀬怜奈はまだ半信半疑だった。
「ここはね、『クリスタルローズ』の時に鈴村さんに連れてきてもらったのが最初なんだけど、1回のトレーニングで全然違うの。安住さんもきっと気に入るはずよ」
(鈴村さんもここに来てるのか…なら、いいかな。1回くらい)
「でも…トレーニングとかってお金かかりませんか?」
「大丈夫大丈夫。ここは声優なら無料で利用できるから」
真李亜に手を引かれ、瀬怜奈は中に入った。

「こんにちは速水さん、そちらの方は初めてのご利用ですね?」
二人が『スタジオ・ノワール』に入ると、そこのスタッフらしい青年に声をかけられた。
「ええ、“今度の作品の主役”なの。“例のプログラム”、お願いできるかしら?」
「わかりました。ではこちらのブースへ…」
青年が瀬怜奈をいくつかあるブースの一つに案内した。

機器の使い方などひととおりの説明をして、青年はブースから出て行った。
「さて、と…」とつぶやきながら瀬怜奈はブースの中を見回す。
ブースの中には壁掛けの20型液晶テレビとヘッドホン、スタンドマイクが1つずつあるだけだった。
瀬怜奈は最初とまどったが、意を決してヘッドホンを装着し、テレビのスイッチを入れた。

(あれ、おかしいなぁ…何も映らないじゃない…え、この音は…)
ヘッドホンから流れる奇妙な音を聞いたのを最後に、瀬怜奈の意識は闇に沈んだ。


翌日のアフレコは順調に進んだ。
主役の瀬怜奈が昨日とは全く別人のようだったからだ。
監督の指示どおりに修正し、完全に「雷 純玲」になりきっていた。

毎回アフレコが終わると、瀬怜奈は『スタジオ・ノワール』に通い“トレーニング”を受けていた。
瀬怜奈は“トレーニング”の内容はよく覚えていないのだが、“トレーニング”の後は気分がすっきりしているし、ぐんぐん上達しているのがわかっていたのでそんなに気にはしていなかった。

収録が半分ほど終了した頃、『魔法機動ジャスリオン』の放映が始まった。
スタッフ・キャストの豪華さが売りの『ジャスリオン』ではあったが、ストーリーやキャラも評判となり、深夜帯アニメとしては異例の視聴率10%を記録していた。

「安住さん、最近調子いいわね。だいぶ現場にも慣れたでしょう?」
アフレコがひととおり済んだところで鈴村香須美が瀬怜奈に声をかけた。
「はい。鈴村さんと速水さんのおかげです。あの“トレーニング”にすっかりはまっちゃって…」
「そう。じゃあ“もうすぐ”なのね」
「え? 何がもうすぐなんですか?」
香須美の不可解な言葉に瀬怜奈がいぶかしむ。
「…もうすぐ『ジャスリオン』も終わってしまうわね、って話よ」
「そうですね。今日がもう23話ですから、今日を入れてあと2話ですね。最後まで頑張ります」
「お互い頑張りましょうね」
香須美はそう言うと、廊下の向こうからやってきた志賀のほうに歩いていった。

瀬怜奈が二人のほうを見ると、香須美が志賀の耳元に何やら囁いているようだった。
少し遠かったので志賀の表情が良くわからなかったが、気にせずアフレコブースに戻っていった。


23話のアフレコが終わり、瀬怜奈が帰り支度をしていると、香須美がやってきた。
「安住さん、志賀さんからの伝言よ。『大事な話があるから、自宅に来てほしい』ですって」
「あ、はい、わかりました。ありがとうございます。お疲れ様でした」

(志賀さん、なんで直接言ってくれなかったんだろう?)
不思議に思いながらも瀬怜奈は志賀の住むアパートまでやって来た。
2階に上がり、志賀の部屋の戸をノックする。
「待っていたよ、さぁ入って」
志賀は瀬怜奈を中に入れると、そっと鍵をかけた。

「志賀さん、大事な話ってなんですか?」
「……」
瀬怜奈の問いに対し、志賀は黙ったままうつむいている。
(志賀さん…なんか様子がおかしい?)
次の瞬間、いきなり志賀が瀬怜奈の両腕をつかみ、そのままベッドに押し倒した。
「志賀さん、どうしたんですか!? はなしてくださいっ!」
「…瀬怜奈…俺はこの日をずっと待ってたんだ。俺はお前を抱きたくてしょうがなかったんだよ」
志賀はうつろな目でうわ言のようにつぶやく。
「志賀さん、やめてください。私、志賀さんのこと尊敬してたのに…こんなのってないですっ…」
瀬怜奈はショックのあまり後の言葉が続かない。
志賀が自分の腕にこめた力が緩んだ隙に、志賀の手を払いのけると、一目散に玄関の扉に駆け寄り、鍵を開けて逃げ出した。

「瀬怜奈…せれな……あずみ…安住!?」
勢いよく閉まった玄関の扉の音を聞き、志賀はハッと我にかえる。
(俺は今、安住に何をしようとしていた?)


志賀の自宅を飛び出した瀬怜奈はなぜか『スタジオ・ノワール』に来ていた。
入口の戸を開けると、そこには青年と、真李亜、香須美がいた。

「うふふ…志賀さんに襲われたのが相当ショックだったみたいね」
香須美は妖艶な笑みを浮かべている。
「今の貴女の心は絶望で真っ黒く塗りつぶされているでしょうね」
真李亜が瀬怜奈の耳元で囁く。
「でも大丈夫よ。あの御方が貴女を目ざめさせてくれる」
「キング・ノワール様の“洗礼”が貴女を真の姿に生まれ変わらせてくれるわ」
「今までの“トレーニング”はそのための準備」
「そしてさっきの出来事はあなたを“こちら”へ迎えるためのきっかけ」
二人の言葉を、瀬怜奈は虚ろな目をして聞いていた。
今の瀬怜奈は何も考えることができず、ただ呆然とその場に立っているだけだった。

「さぁ、瀬怜奈。こちらへ…」
青年=キング・ノワールが瀬怜奈をスタジオの奥へと誘う。
キング・ノワールが差し出した手を、瀬怜奈は何も考えずにそっと握った。


瀬怜奈は全裸で台座の上に寝かされていた。
あたりは暗黒の闇。何も見えないが不思議と心地よかった。
(黒…闇は素晴らしい。『ジャスリオン』の「巻雲 綾」がダークウイッチになる時もきっとこんな感じだったのね…)

「瀬怜奈、私の声が聞こえますか?」
瀬怜奈の頭の中に声が直接流れてくる。
(はい…聞こえます…あなたは誰?)
「私はキング・ノワール。今から君に“洗礼”を施す」
(“洗礼”…素晴らしい響きだわ。お願いします。キング・ノワール…さま)
「ではそのまま全てを闇にゆだねなさい。次に目覚めたときには君はもう我らが『ノワール・キングダム』の一員だよ」

瀬怜奈が寝かされた台座の前にキング・ノワールが立つ。
キング・ノワールは手に持っていた黒真珠のような石、「黒水晶」を瀬怜奈の胸元に押し込む。
黒水晶はずぶりと胸元に埋まり、黒く輝き始める。
黒水晶から生じた黒い光の帯が瀬怜奈の体に纏わりつき、漆黒のロングドレスを形作る。
ドレスは肩から胸元までを露出させ、埋め込まれた黒水晶が見えるようになっている。
こげ茶色のセミロングだった瀬怜奈の髪は、漆黒に変わり腰の辺りまで伸びていった。

「さあ、目ざめよ。新たなる『ノワール・キングダム』の民よ」
キング・ノワールがそう唱えると、瀬怜奈の目が開いた。
「気分はどうだね、『プリンセス・シレーヌ』?」
瀬怜奈だった女性は台座から起き上がり、キング・ノワールに恭しく礼をする。
「はい。とてもいい気分です。私は『ノワール・キングダム』の『プリンセス・シレーヌ』、世界を暗黒の闇に染めるのが我が務め」
瀬怜奈=プリンセス・シレーヌの言葉を聞いたキング・ノワールは満足げにうなづいた。

「シレーヌ、まず最初は力慣らしにお前のやりたいことをやりなさい。そこにいる二人はお前のしもべ。好きに使ってよい」
「ありがとうございます。キング・ノワール様」
シレーヌは下座で深々と頭をたれる「共演者」に声をかける。
「カスミ、マリア、私を生まれ変わらせてくれてありがとう。これからもよろしくね」
「「はい、プリンセス・シレーヌ」」


『魔法機動ジャスリオン』最終話のアフレコも順調に進み、ついにオールアップを迎えた。
「皆さん、お疲れ様でした」
スタッフから出演者に花束が渡される。
「安住くん、頑張ったね。素晴らしかったよ」
戸佐又監督は瀬怜奈の演技にご満悦のようだ。
「ありがとうございます監督。次回作を楽しみにしてます」
瀬怜奈はにっこりと微笑んだ。

「…安住、ちょっと、いいかな?」
ブースから廊下に出たところで瀬怜奈は志賀に呼び止められた。
「志賀さん、お話でしたら手短にお願いします」
「安住、やっぱ怒ってるよな? ほんとすまなかった。あの時俺はどうかしてたんだ…」
「…志賀さん、もういいです。志賀さんのおかげで私は変われましたから」
「…えっ!?」
「志賀さんに御礼をしなくちゃいけませんね」
瀬怜奈はそういって志賀の耳元に口を近づける。
「志賀さん、『ありがとうございました さようなら』」
瀬怜奈の囁きを聞いた志賀から表情が失われた。
志賀はそのままふらふらとあるきだし、外へ出て行った。

瀬怜奈のもとに香須美と真李亜がやって来た。
「今そこで志賀とすれ違いましたが…早速“力”を使われたんですか?」
「ええ。志賀はもうすぐどこかのビルから飛び降り自殺をするでしょうね。そういう命令を“言葉の裏”にのせたから」
「カスミさん、シレーヌ様、さっきスタッフから聞いたんですけど…」
「こらマリア、ここでその名は駄目でしょ!」
「カスミ、誰もいないからいいわよ。で、マリア、話を続けて」
「はい。『魔法機動ジャスリオン』DVD化が決まったんですけど、全編加筆修正して再アフレコなんですって」
「あらら…オルダー王子はどうするのかしら?」
「そのまま使うことになるんじゃない? 志賀はいないんだから…」
クスクス笑いながら3人は会話に華を咲かせていた。

翌日、志賀が飛び降り自殺をしたという記事が新聞に小さく掲載された。
志賀の遺作となった『魔法機動ジャスリオン』の人気はますます上がり、DVDの予約も予想以上となった。

「…で、その『ジャスリオン』のDVDに我が『ノワール・キングダム』の理念を入れるというのだね、プリンセス・シレーヌ?」
「はい、キング・ノワール様。私の“力”でセリフの裏にのせますわ」
キング・ノワールの腕に抱かれ、プリンセス・シレーヌはカスミ、マリアとともに考えた策略の概要を説明する。
「それは面白そうですね。さすがは我がプリンセス。楽しみにしてますよ」
「ありがとうございます。キング・ノワール様」

深夜帯での放映でありながら人気となったアニメ『魔法機動ジャスリオン』
その裏で新たな悪が動き始めようとしていたのだった。

(注:「魔法機動ジャスリオン」は架空の深夜アニメです。)

いかがでしたでしょうか。
闇月様どうもありがとうございました。

それではまた。
  1. 2007/11/09(金) 19:39:43|
  2. 魔法機動ジャスリオン
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豊家滅亡その3

慶長4年(1599年)9月7日。
大坂に入った家康の下に衝撃的な知らせが舞い込みました。
前田利長が中心となり、五奉行の一人浅野長政(あさの ながまさ)や大野治長(おおの はるなが)、土方雄久(ひじかた かつひさ)らが大坂に入った家康を暗殺しようとしているというのです。

これは家康本人が流した流言でした。
この流言によって、家康は己の身を守るためと称して兵を引きつれ、その兵力をもって9月28日に大坂城に入ります。
そして10月2日、“暗殺計画”に携わった者たちの処分が行なわれました。
五奉行の一人浅野長政は蟄居。
大野治長と土方雄久はそれぞれ他家へお預けとなります。
石田三成と浅野長政がいなくなった五奉行制はほぼ崩壊することになりましたし、秀頼の側近も遠ざけられてしまったのです。

翌10月3日、前田家討伐の触れが発せられます。
家康暗殺の首謀者として、邪魔な前田家を討伐するのが家康の目論見でした。

まったく身に覚えの無い前田利長ではありましたが、こうなってはもはやどうしようもなく、家老を家康の下に派遣するとともに、母芳春院(利家の妻まつ)を人質に差し出して家康に従うことを約束します。
以後、前田家は家康に歯向かえるものではなくなりました。

慶長5年(1600年)に入ると、家康は五大老筆頭として専横を振るいます。
秀頼の直轄地を勝手に家康の名でいくつかの大名に加増してやり、多数派工作を進めます。

この家康の行動を見ているしかなかった三成は、反家康同盟の成立に向けて動き始めます。
のちの江戸時代であれば大大名とも言える十九万四千石の三成の所領ですが、この時代においては中規模大名にしか過ぎません。
二百二十五万石を数える家康には比べるべくもありませんでした。
三成の父や兄の所領その他を集めても約三十万石。
平均的な動員兵力一万石で約三百人という数字に当てはめれば、三成はどう頑張っても九千人内外の動員兵力に対して、家康は六万七千五百の兵力を動員できるのです。
勝負にはなりません。
三成は、何とかして同盟者を募り、結託して家康に当たらなければなりませんでした。

三成は、中国地方の大大名毛利輝元、五大老の一人宇喜田秀家、九州薩摩の島津義弘(しまず よしひろ)、関東の佐竹義宣(さたけ よしのぶ)といった有力大名の動静を伺い、さらに五奉行の残り前田玄以(まえだ げんい)、長束正家(なつか まさいえ)、増田長盛(ました ながもり)の三人にも同盟を呼びかけます。
さらに、事実で無いとの説もありますが、以前より懇意にしていた上杉家の家老であり重臣中の重臣の直江兼続(なおえ かねつぐ)に働きかけ、上杉家を動かしてもらうことを承諾させます。
反家康包囲網を三成はどうにか作り上げようとしておりました。

慶長5年(1600年)3月。
上杉家の家臣藤田信吉(ふじた のぶよし)が上杉家を出奔。
江戸の徳川秀忠(とくがわ ひでただ)のところへ上杉家に不穏の動きありと報告します。
以前より周辺諸大名から上杉家の軍備増強の知らせを受けていた家康は、これにより上杉家に謀反の考えありとして、八ヶ条の弾劾状を上杉家に突きつけました。

それに対し、上杉家家老直江兼続はその一つ一つに丁寧に反駁した上でこう結びます。
「近々、内府家康殿か中納言秀忠殿がこちらに(討伐のため)来られると聞いております。全てはその折に(戦場で)決着を付けようではございませんか」
無論括弧内は書いてはありませんが、そう読み取れるように仕向けたのです。
いわゆる直江書状でした。
(ただし、この直江書状の信憑性には問題ありとされています)

この直江書状を受け取った家康は激怒したと伝えられます。
激怒した振りをしたのかもしれませんが、これで上杉家討伐は決定されました。

6月2日、一切のとりなしや諌めも聞かず家康は関東の諸将に上杉家討伐の準備を下令。
6月6日には大坂城で上杉家攻めの各諸将の部署決定。
6月15日、上杉家討伐に対し、豊臣秀頼から家康に金一万枚と米二万石が下賜され、豊臣家のために上杉家を討伐するという名目が整います。
6月17日、家康は大坂城より伏見城に移動。
6月18日、ついに会津上杉家に向かい、家康は伏見城を出発。
事態は動き始めました。

その4へ
  1. 2007/11/08(木) 19:39:40|
  2. 豊家滅亡
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サイレーンが終わっちゃいました

ちょっと遅いのですが、コミックス買ったのが今日だったので。

旧ブログでも紹介した「超常機動サイレーン」(井原裕士作 メディアワークス)が四巻をもって終了しました。

もうね、楽しませてもらいましただけに終了は残念なんですが、それ以上にちょっと切ないエンドだったのでホロリと来ました。

美少女怪人(?)エータちゃんもめるなさんもドクターも、それぞれがある種納まるところに納まったんですが、エータちゃんが・・・ちょっと残念でした。

この作品に出てくる怪人ってすごく好きだったんですよね。
初期の着ぐるみっぽさも大好きですし、後半の人間体と着ぐるみ(スーツ)を着ての怪人体と言うのも好きでした。
何より、ドクターを始めとする連中が(上層部は別として)怪人たちを仲間として扱っているのがすごく好きでした。

やっぱり怪人って一体一体手作りの芸術品って言うのが私は好きです。
量産するのは戦闘員だけで充分。
怪人が量産されたら、それは怪人じゃない。(笑)

この作品もそういった手作り感のある怪人でよかったです。
井原先生お疲れ様でした。
また楽しい作品をお願いします。

さてさて、「ブダペスト45」のご指名を受けちゃったぞ。
会合までにソロプレイをしてルールの把握をちゃんとしておかねば。

それではまた。
  1. 2007/11/07(水) 19:48:02|
  2. 本&マンガなど
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金村投手阪神へトレード

昨日は一日で2400hitという最高記録を打ち立ててしまいました。
もうビックリです。

あらためてE=MC^2という巨大MCSSサイト様の威力を思い知らされたような気がしました。
新たに覗きに来られました方々もこれからよろしくお願いいたします。

ビックリといえば、先日来政治の世界でもビックリすることが相次いでおりますね。

福田首相と小沢民主党代表が密室で巨大連立を模索した挙句、民主党全体の拒否にあって、小沢代表が辞表を提出しました。

民主党自体は慰留する方向で、今日明日ぐらいには何らかの動きがあるのではないかということですね。

それにしても国民に二者択一を求めてきた感じの二大政党が、いきなり一つになるといわれても納得行きませんよね。
その方が国民の望む政治を行なえるということですが、自民党と一緒になるのなら、誰も民主党にわざわざ投票しなくなるのではないかと。
以後の政局がまた混乱しそうです。

プロ野球でも動きがありました。

北海道日本ハムファイターズの金村暁投手が、セ・リーグ阪神タイガースの中村泰広投手と交換トレードとなりました。

年俸面でも実績の面でも、これだけ格差のあるトレードは珍しいですよね。
金村投手は今年はあまり活躍できませんでしたが、日本ハム投手陣の柱を務めたこともある選手なのに対して、中村投手はあまり実績を残していない投手ですから。

阪神としてはそれなりに豊富な左投げの中継ぎ投手を、左の中継ぎが欲しい日本ハムが受け取り、ダルビッシュなど若手の成長と年俸面などで折り合いのつかなくなった金村投手を、先発投手を再編成したい阪神が受け取ったということでしょう。

金村投手も中村投手もまだまだこれからの選手ですので、環境が変わって活躍できることを期待ですね。
阪神にとっても日本ハムにとってもいいトレードだったと言えるトレードであって欲しいです。

中村投手には阪神から行った坪井選手がいますし、金村投手には日本ハムから行った下柳投手や正田投手がいますので、一日も早くチームに溶け込んで頑張って欲しいものです。

日本ハムは日本一の奪回、阪神はまずはセ・リーグ優勝とそれぞれがんばれー

それではまた。
  1. 2007/11/06(火) 20:25:53|
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SG-122(A)

バルバロッサ作戦開始以後、独軍の快進撃の裏でソ連軍は大量の兵士と大量の兵器を独軍によって失いました。

ソ連軍は国内から男子をかき集めて新兵を補充するとともに、工場に兵器の大量生産を命じました。
しかし、兵器の量産には時間が掛かる上、工場の疎開などもあって思うようには前線に投入することはできませんでした。

そこで前線では当然のように、独軍の兵器を鹵獲して使うことが行なわれました。
それらは銃器や砲兵器だけではなく、戦闘車両についても同様でした。

中には部隊丸ごとがドイツ製戦闘車両で装備されていた部隊もあったとのことです。

しかし、鹵獲したドイツ製戦闘車両は、ソ連軍の兵器体系とは異なるために弾丸の供給などの面で問題がありました。
そこで、ソ連軍としては車体をそのまま有効利用しながら、搭載砲をソ連製のものに交換することを考えます。

独軍の戦闘車両の中で、ソ連軍もその有効性を認めていたのが三号突撃砲でした。
三号戦車譲りの機動性を持ち、歩兵支援には充分な威力を持つ75ミリ砲を持つ三号突撃砲は、ソ連軍には同種の車両が無いだけにインパクトがあるものでした。
ソ連軍は鹵獲した三号突撃砲を自軍に編入して有効に利用していたのです。

しかし、上に書いたとおり、三号突撃砲の主砲はドイツ製の短砲身75ミリ砲でした。
鹵獲した砲弾を使いきってしまえば、三号突撃砲自体が無傷でも使うことができなくなります。
ソ連軍は主砲を換装する事にしました。

前線では、破壊されたT-34やKV-1の主砲である76ミリ砲を三号突撃砲に載せた改造車両も造られておりましたが、どうせ改造車両を作るなら主砲も強力な方がいいということで、122ミリ榴弾砲が装備されることが決定します。

こうして三号戦車及び三号突撃砲の車体を使って、122ミリ榴弾砲を搭載した自走砲SG-122(A)が作られました。
できあがったSG-122(A)は早速試験されましたが、搭載燃料の少なさや、大きな砲を積んだことによる重量増などが問題になり、その改善に時間が取られているうちにT-34の車体に122ミリ榴弾砲を搭載したSU-122の量産が軌道に乗り始めてしまいます。

結局SG-122(A)は何両かが改造され完成したものの、数両が実戦に参加したに過ぎず、何両が改造されたかも定かではありません。
ですが、ソ連軍の正式な自走砲としてSG-122(A)はのちのソ連軍自走砲の基礎となったのは間違いないことでした。

それではまた。
  1. 2007/11/05(月) 20:14:32|
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豊家滅亡その2

慶長4年(1599年)1月10日。
太閤豊臣秀吉の遺言に基づき、秀吉の遺児であり豊臣家の後継者である豊臣秀頼が伏見から大坂城に入ります。
この時、徳川家康は秀頼と引き離され、伏見に残されました。
大坂城には秀頼の後見として前田利家が入り、家康は伏見で孤立する状況に陥りそうになります。

これは五奉行の一人石田三成(いしだ みつなり)の画策とも言われますが、このあたりから石田三成と徳川家康の対決姿勢が明確になって行きます。

孤立化を憂慮しつつあった家康でしたが、大阪では前田利家の病状が急激に悪化。
閏3月3日、ついに前田利家も死去します。
家康にとっての野望を阻むものがまた一人消えました。

利家の死去は、豊臣政権にとっても痛手でしたが、何より豊臣政権の行く末を案じていた五奉行石田三成にとっては、まさに大きな痛手でした。
三成は、寺小姓から秀吉の近侍に取り立てられたという経歴の持ち主といわれ、三杯のお茶の逸話が伝わっております。
鷹狩りに出て汗をかいた秀吉が、寺に立ち寄って茶を飲ませてもらったとき、まずのどを渇きを癒すためにがぶがぶ飲めるぬるいお茶を茶碗いっぱいに、二杯目を頼まれた時には少し濃い目の熱い茶を茶碗に半分ほど、三杯目を頼まれたときには熱湯で入れた濃いお茶を少量と、その時の状況によって出し分けたのが石田佐吉、のちの三成だったというものでした。
三成の頭のよさと機転が利く点を強調したものといえますが、事実かどうかは定かではありません。

ですが、このことによって秀吉は佐吉少年を自分の近習として召抱え、以後、その才を重用して行くこととなります。
戦場での槍働きにはいささか乏しいところのあった石田三成でしたが、後方を取り仕切る官僚としての能力には目覚しいものがあったらしく、三成は豊臣政権にあっては重要な政策遂行者となって行きます。
文禄・慶長の役のような大規模の国外出兵に際しても、その後方支援に絶大なる能力を発揮して、出兵諸大名のバックアップを行ないました。

しかし、戦場での槍働きにおのれの価値を見出す武断派大名には、戦場での働きのみに目を奪われるために石田三成のそうした後方支援というものの力を軽視する者が多くおりました。
戦場でろくな働きもしないのに、満足な兵糧も兵力も送ってよこさず、さらに自己の手柄を矮小化して主君秀吉に報告する悪人。
出兵諸大名の中にはそう言って三成のことを悪し様に言うものが少なくありませんでした。
その筆頭が、同じ太閤秀吉に幼少の頃から召抱えられ現在では大名として一石一城の主となった加藤清正や福島正則たちでした。

戦場での働きはともすれば戦果の過大報告になりがちです。
誰だって強大な敵と戦って撃ち破ったと思いたいものです。
五十人の敵が百人になり、五千人の軍勢が一万人の大軍勢となって、それを打ち負かしたと威勢のいい話になるのです。
そう言った戦果の過大報告を、三成は現地に部下を派遣したりして慎重に見極めて、不公平が無いように秀吉に報告してきたつもりでした。
それが武断派大名にとっては面白くないことでした。
三成は我らの戦果を捻じ曲げて秀吉に報告している。
その思いが三成憎しに結びついていったといわれます。

はたして前田利家死去により、重石を失った豊臣政権内部において、秀頼様の御為にも悪人三成を殺すべしという動きが現実化し、武断派大名(加藤清正、福島正則、黒田長政(くろだ ながまさ)、細川忠興(ほそかわ ただおき)、加藤嘉明(かとう よしあきら)、浅野幸長(あさの よしなが)、池田輝政(いけだ てるまさ)の7人といわれるが諸説あり。7人とは限らない)による石田三成襲撃が行なわれました。

この時、石田三成は窮地を逃れるために武断派大名のバックにいると言われた徳川家康の屋敷に駆け込んだといわれますが、創作ともいわれております。

ともかく、襲撃自体は三成はどうにか切り抜けますが、騒乱の元となったということから奉行職を解任され、佐和山城(滋賀県)に蟄居を命じられました。
こうしてまた一人、家康の動きを掣肘するものが大坂よりいなくなりました。

前田利家死去後の五大老には利家の子前田利長(まえだ としなが)が就任しましたが、家康以外の四大老いずれも長く領国を空けていたことと、三成襲撃が三成の蟄居によって鎮静化したことなどからそれぞれ国許へ帰国。
大坂は秀頼だけが残される事態になりました。

家康はしばらくはおとなしくしていたものの、利家死去後半年ほどで頃よしと見たのか動き始めます。

慶長4年9月7日。家康は伏見より大坂に入ります。
9月9日の長陽の節句のお祝い(長陽の節句は菊花の節句ともいい、縁起のよい日だそうです)に秀頼に祝詞を述べるというのが表向きの理由でした。

その3へ


10/23の記事で発表したASL-SKのシナリオですが、バランスの調整を計り、独軍戦力を若干減らしたものに修整しました。
ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。
  1. 2007/11/04(日) 20:17:00|
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「魔法機動ジャスリオン」の二次創作

皆様もきっとご覧になっていたと思うんですが、先日の24話をもって最終回となりましたアニメ「魔法機動ジャスリオン」、私舞方も毎週楽しみに拝見しておりました。

毎週出てくるモンスターのデザインは、さすがスタジオきっしんというものでしたし、時々使われる洗脳ネタや百合ネタはあの脚本家の得意とする分野で楽しませてもらいました。

特に監督の意向が影響したのではないかと思われる綾のダークウィッチ化は、久々にアニメで悪堕ち洗脳が長期にわたって使われたのではないでしょうか。

残念なのは、深夜アニメとは言えやはり正義が勝って終結しなければならないところで、綾も元通りになりますし、デスマドーも崩壊して地上に平和が訪れるという最終回でしたが、個人的には23話でデスマドーの王デスマダーに捕らえられたジャスリオンが、そのまま洗脳悪堕ちしてデスマドーの一員になってエンドというのを見たかったです。

それでまあ、見たい物は作ってしまえということで、ちょっと悪堕ちエンドSSを作ってみました。
よろしければお読み下さいませ。


「リード、マジックワード 『シャイニングスラッシャー!!』」
ジャスリオンブレードを構えたジャスリオンが大きく飛び上がり、巨大な黒い影である魔王デスマダーに切りかかる。
今まで数々の敵を打ち破ってきたジャスリオンの切り札ともいえる必殺技だ。
これに耐えられるモンスターなどいはしない。
先ほどまでデスマダーの瘴気によって再生したモンスターどもを次々と切り伏せていたにもかかわらず、その太刀筋には少しの乱れも無かった。
だが・・・

『おろかな。実体を持たぬ我を切り伏せられると思うてか?』
魔王デスマダーのエコーがかった声が響く。
聞くものに恐怖とおのれの無力さを感じさせるような声だ。
おそらく並の人間であれば、その姿と声だけでその場にへたり込んでしまうに違いない。

シャイニングスラッシャーが巨大な影を引き裂いていく。
揺らめく巨大な影が真っ二つに分かれて行く。
「やった・・・」
純玲は自分の手に感じる手ごたえに勝利を確信した。
これでデスマダーは倒れる。
そう思ったのだ。

「えっ?」
しかし次の瞬間、デスマダーの揺らめく姿が再び元に戻って行く。
それどころか切り裂いていくジャスリオン自体を、デスマダーの揺らめく姿が取り囲んで中に封じ込めようとしているのだ。

「純玲ちゃん!」
近くのビルの屋上でジャスリオンとデスマダーの戦いを見守っていた綾が思わず声を上げた。
つい先日まではダークウィッチアヤとしてジャスリオンと死闘を繰り広げていた綾。
今はジャスリオンのおかげで元の巻雲綾に戻れたとは言え、何もできない自分が恨めしい。

「くそっ!」
何とか態勢を立て直してデスマダーから逃れようとするジャスリオン。
だが、デスマダーの躰はみるみる再生してジャスリオンを取り込んでしまう。
「しまったぁ・・・」
完全に闇の中に捕らわれてしまった中で、純玲はほぞを噛んだ。

『クククク・・・おろかな娘よ。このチャンスを待っていたとも知らずに切りつけてきおったわ』
純玲の頭にデスマダーの声が響いてくる。
「何ですって?」
『雷純玲よ。マジカルクロノブックを手にいれ、魔法機動ジャスリオンとして我に歯向かい、よくもオルダーやエロジーム、そして数々のモンスターを倒してくれたもの』
苦々しそうなデスマダーの声に怒りを感じる。
「黙れ! お兄ちゃんを利用して地上侵略をさせ、最後にはお前がお兄ちゃんを殺したんだ! お前だけは絶対に赦さない!」
純玲の脳裏にオルダーの最後が思い浮かぶ。
『あ奴は優秀な手駒であった。過去のことなど思い出さねば我が配下として生きながらえたものを』
「黙れー!」
ジャスリオンブレードを周囲に向かって振り回す。
だが、先ほどまであった手ごたえが今はまるで感じられない。
漆黒の闇の中で右も左もわからなくなり、今自分の頭が上にあるのか下にあるのかさえわからないのだ。
虚無の空間にただ浮かんでいる。
純玲はぞっとするものを感じていた。
『ククク・・・さすがはあ奴の妹よ。いい手駒になりそうだ』
「なっ」
純玲の頬を汗が伝う。
デスマダーは兄と同様に純玲をも手駒としようというのか?

「そんなことにはならない! 以前エロジームが暗黒魔力で私を操ろうとしたわ。それ以来マジカルクロノブックが私を守ってくれている。私には二度と暗黒魔力は効かないわ。お前の手駒になんて誰がなるものか!」
グッとこぶしを握り締める純玲。
そうだ。
暗黒魔力などに負けるはずが無い。
今の自分には兄や綾、それにクラスのみんなも応援してくれている。
負けるはずが無いのだ。

『ククク・・・確かにマジカルクロノブックによってお前は守られている。だが、そのマジカルクロノブックを作り変えればどうなるかな?』
「えっ?」
純玲は驚いた。
マジカルクロノブックを作り変える?
まさかそんな・・・
『マジカルクロノブックはもともと魔法世界のもの。魔法世界のものであれば我が影響を及ぼすことなど造作も無い。オルダーもユリジームもエロジームも知らなかったようだがな』
「じょ、冗談じゃ」
必死になってジャスリオンブレードを振るい、何とか脱出しようとするジャスリオン。
そのジャスリオンスーツの下で純玲は青ざめていた。
嘘でしょ・・・
冗談よね・・・
マジカルクロノブックは私を守ってくれるよね・・・

『クローズドクロノブック!』
いきなり純玲の纏っていたジャスリオンスーツが光の粒子となって散っていく。
手にしていたジャスリオンブレードも、純玲の頭部を守っていたヘルメットも、みんな光の粒子になって飛び散ってしまう。
残されたのはいつものセーラー服姿の雷純玲だけ。
そしてその目の前にマジカルクロノブックが浮かんでいた。
「ど、どうして・・・あ、マジカルクロノブック」
唖然としてセーラー服に戻ってしまった自分を見つめていた純玲だったが、ハッと気がつくとマジカルクロノブックに手を伸ばす。
だが、マジカルクロノブックは目の前からすうっと遠ざかってしまい、純玲の伸ばした手は空しく宙を掴んでしまった。
「マジカルクロノブック! 待って!」
追いかけようとしても脚が宙をかくだけで躰は前には進まない。
マジカルクロノブックには届かないのだ。
「返して! 私のマジカルクロノブックを返して!」
必死になって手を伸ばす純玲。
まるで自分の半分を失ったかのようだ。
『返してやるとも、今すぐにな』
デスマダーの声が闇の中に響き、マジカルクロノブックが闇の中に消えて行く。
いや、闇の中に消えて行くのではなかった。
マジカルクロノブックが黒く、そう、漆黒のごとく黒く染まって行っているのだ。
そのために傍目から見ると闇の中に消えてしまったように見えたのである。
「ああっ、マジカルクロノブックが・・・」
『クククク・・・これでこの本はマジカルクロノブックではなくデスマドークロノブックへと生まれ変わった。さあ、返してやろう』
表紙も留め金も全て漆黒に染まり、金で刻印されていた文字も銀色に変化したマジカルクロノブックが純玲の手元に戻される。
表題もマジカルクロノブックではなくデスマドークロノブックと書いてあった。
「そ、そんな・・・」
愕然としながらも純玲は思わずその本を手に取る。
ずっしりとした重さが懐かしいものの、すでにそれはかつてのマジカルクロノブックではなかった。
「そんな・・・」
純玲の頬を涙が伝う。
あれほど自分を助けてくれ、ともに戦ってきたマジカルクロノブックが失われてしまったのだ。
悲しくて涙があふれるのを止めることはできなかった。

『雷純玲よ、悲しむことは無い。お前もすぐにその本の素晴らしさを知ることになる』
「えっ?」
顔を上げる純玲。
『オープンクロノブック! リード、デスリオン!』
「きゃぁーっ」
本が開いて黒い粒子が噴き出すと、見る間に純玲のセーラー服に纏わり着いていく。
そしてすぐに黒い粒子はセーラー服を漆黒のバトルスーツに変化させ始めた。
それは光の粒子がセーラー服をジャスリオンスーツに変化させたのとまったく同じ作用であった。
違うのは銀と青を基調としたジャスリオンスーツではなく、黒と紫を基調としたまがまがしいバトルスーツであったということだ。
純玲の首から下を黒いバトルスーツで覆った黒い粒子は、次に純玲の頭部を漆黒に輝くヘルメットで覆って行く。
魔物が笑みを漏らしたかのような意匠のヘルメットが純玲の頭部を完全に覆い、純玲は全身を漆黒のバトルスーツに全て覆われてしまった。
「あ・・・あああ・・・」
自分に起こった変化に戸惑う純玲。
だが変化は外見だけにとどまらなかった。
デスマドークロノブックとなった魔法の書は、純玲の心までも侵食して行ったのだ。
今までもっていた純玲の暖かくやさしい心、それに正義を愛する芯の強さがデスマドークロノブックによって塗り替えられていく。
マジカルクロノブックを自分の半身と思い込むまでに同調してしまっていた純玲にとって、デスマドークロノブックの邪悪な意思が流れ込んでくることは止めるすべが無かったのだ。
「うあ・・・あああ・・・」
ヘルメットの上から頭を抱えて、何とか邪悪な意思に対抗しようとする純玲。
だが、悪の意思は容赦なく純玲の心を染めて行く。
「あああああああああ・・・」
やがて純玲は意識を失ったかのようにその場に崩れ落ちた。

ピクリと手の指が動く。
ゆっくりと姿勢を正して起き上がる漆黒のバトルスーツ姿の純玲。
上下もわからない空間だというのに、何の問題も無く立ち上がったのだ。
そしてその目の部分が妖しく輝いたかと思うと、純玲は闇の奥に対して跪いて一礼する。
『クククク・・・どうやら目が覚めたようだな。お前が何者なのか我に言ってみるがいい』
闇の中にデスマダーの重厚な声が響く。
漆黒のバトルスーツ姿の純玲はゆっくりうなずくと、おもむろに顔を上げた。
「はい、デスマダー様。私はデスマドーの戦士暗黒機動デスリオン。デスマダー様の忠実なしもべです」
よどみなく答える純玲。
変わってしまったマジカルクロノブックと同様に、純玲の心もデスマダーによってゆがめられてしまったのだ。
今の純玲は正義の魔法機動ジャスリオンではなく悪の暗黒機動デスリオン。
デスマダーのために暗黒魔界デスマドーの一員として働くことに喜びを感じるように変えられてしまったのだった。
『クククク・・・デスリオンよ、我を裏切りしユリジームを始末し、ダークウィッチアヤを再び取り戻すのだ。よいな』
「はい、デスマダー様。このデスリオンにお任せ下さいませ。裏切り者ユリジームの始末とダークウィッチアヤの復活は、必ず成し遂げてご覧に入れます」
『うむ、楽しみにしておるぞ』
「ハハッ」
再び一礼すると、デスリオンは立ち上がり闇の外へ向かって行く。
その手で世界を闇に染め、暗黒魔界デスマドーの支配する世界にするために。
純玲はこれから待っている破壊と殺戮に心を弾ませていた。


いかがでしたでしょうか?

ご存知の通り本編では、捕らえられたジャスリオンがマジカルクロノブックを奪われそうになる直前に、綾とユリジームのコンビによってデスマダーの体内からジャスリオンは救出されてしまいます。
あそこはぜひともそのまま洗脳まで行ってくれーって思ったものですよね。
その思いをちょっとぶつけてみました。
楽しんでいただければ幸いです。

それではまた。

(注:「魔法機動ジャスリオン」は架空の深夜アニメです。この記事はそのアニメがあったものとして書いた架空の作品の二次作品です。混乱させてしまい申し訳ございませんでした。「魔法機動ジャスリオン」の詳細は10/12の記事参照)
  1. 2007/11/03(土) 19:21:00|
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豊家滅亡その1

今日から何回かに分けて関ヶ原の戦いから大坂冬夏の陣を経ての豊臣家の滅亡に至るまでの経緯を書いて行きたいと思います。

皆様ご存知の通り、この経緯については諸説紛々としており、私の記述もあくまでその中の一説を参考文献などから拝借して書いたものであるということをご理解下さいませ。
多くの方々にとっては、もう知っているよという点も多いとは思いますが、しばしの間お付き合いくだされば幸いです。

慶長3年(けいちょう3ねん:1598年)8月18日。
わずか一代で天下を統一した太閤豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)が死去しました。
この瞬間より、豊家の滅亡は始まります。

ちなみに1598年という年は、フランスにおいて新教(プロテスタント)の信者に旧教(カトリック)信者と同等の権利を与えるものとするとして、初めて個人の信仰の自由を認めた「ナントの勅令」がアンリ4世によって発布された年でありました。
これによりフランス国内での宗教戦争(ユグノー戦争)は急速に終結へと向かい、フランスの国家統一ならびに以後におけるフランスの躍進の原動力となっていくのです。

秀吉の死去は、再び天下に波乱の空気を感じさせるには充分でした。
全国統一を成し遂げたとは言っても、秀吉の天下は諸大名の微妙なバランスによるところが大きいものなのです。
そのバランスがいったん崩れれば、天下は再び動乱し戦国時代の再来にもなりかねませんでした。

無論秀吉は自己の政権を維持するための方策は採っておりました。
しかし、なんと言っても後継者の豊臣秀頼(とよとみ ひでより)がまだ6歳という若年であるために、確固とした頂点を持った政権とはなれず、秀吉より政務を合議にて取り仕切るべく作られた五大老・五奉行制が政権を担当するという状況でした。

もともと五大老とは、256万石の徳川家康(とくがわ いえやす)、83万石の前田利家(まえだ としいえ)、57万石の宇喜田秀家(うきた ひでいえ)、120万石の毛利輝元(もうり てるもと)、33万石の小早川隆景(こばやかわ たかかげ)であり、いずれもが太閤秀吉にとっての重鎮で豊臣政権の安定には欠かせない人物でした。

しかし、そのうちの一人小早川隆景はその人物を惜しまれながらも慶長2年に亡くなっており、慶長3年時には120万石の上杉景勝(うえすぎ かげかつ)が五大老に加わっておりました。

折りしも太閤秀吉の死去は朝鮮半島における「文禄・慶長の役」(朝鮮出兵)の最中であり、その死を伏せる必要性もあったことから、太閤の葬儀はいつ行なわれるのかさえ不明な状況を作り出してしまいます。
結局、太閤秀吉は密葬だけが執り行われました。

すでに泥沼の長期戦に陥っていた慶長の役での朝鮮半島での戦いは、出兵諸大名に厭戦感をもたらし、現在の苦境に陥ったのは後方で政務を取り仕切る五奉行の対応のまずさゆえであると考えたものも多かったといわれます。

慶長3年10月。
五大老より朝鮮半島の出兵諸大名に太閤死去の報告と撤収命令が下ります。
苦難の中で出兵諸大名は次々と帰国。
慶長3年11月、最後の部隊が撤収し、ここに太閤の夢だった朝鮮半島制圧は潰えました。

そして、この頃より徳川家康の天下取りの謀略が着々と実行され始めます。
それが露骨に表れたのが政略結婚でした。

太閤秀吉は、大名同士が政略結婚により結びつきを深め、勢力を大きくするのを恐れていたために、大名同士の許可なき結婚を禁止しておりました。
当然そのことは五大老として豊臣政権を支える側だった家康が知らないはずはありません。
しかし、家康はこの法を敢然と無視します。

息子の一人松平忠輝(まつだいら ただてる)に伊達政宗(だて まさむね)の娘をもらったのを皮切りに、親類の娘たちを次々と自分の養女にして、福島正則(ふくしま まさのり)の子正之(まさゆき)に、蜂須賀家政(はちすか いえまさ)の子至鎮(よししげ)に、そして加藤清正(かとう きよまさ)本人にと嫁がせました。
当然これは伊達家、福島家、蜂須賀家、加藤家を自陣営に取り込もうとしたものであり、明らかな約定違反です。

この行為に家康以外の四大老と五奉行は激しく反発。
生駒親正(いこま ちかまさ)、中村一氏(なかむら かずうじ)、堀尾吉晴(ほりお よしはる)の三人の大名を家康の元に派遣して問い詰めます。

慶長4年1月。
やってきた三人の大名に問い詰められた家康は、なんともとぼけた返答を返しました。
「そんな約定があったことを忘れていた。歳は取りたくないものだ」
唖然とする三人の大名を前に、家康は最後まで約定を忘れて縁組を結んでしまった、結んでしまったものは仕方が無いだろうと突っぱねます。
五大老の実力者である家康にそう言いのけられては、三人の大名にはどうしようもありませんでした。

その2へ
  1. 2007/11/02(金) 19:30:19|
  2. 豊家滅亡
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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