1941年、アフリカでの戦いが熾烈を極めていた頃、英軍は自軍の戦車、特に巡航戦車が脆弱で独軍に歯が立たないものであることを思い知らされておりました。
そのために英軍は重巡航戦車を開発することになりますが、独軍も現行戦車の火力を強化すると同時に、より重装甲重武装の新型戦車をいずれ投入してくるであろうことは火を見るよりも明らかなことでした。
折りしも、高初速高威力の対戦車砲17ポンド砲(口径76ミリ)が実用化されたことで、当然この17ポンド砲を戦車の主砲にしようと言う考えが起こります。
この17ポンド砲は、砲身が長くて命中精度もよく、独軍の88ミリ高射砲に匹敵する装甲貫通力を持っておりましたので、まさに対戦車砲の切り札とも呼べるものでした。
英軍としてはこの17ポンド砲を何とか戦車に載せたかったのです。
そこで選ばれたのが、これから量産が始まろうとしていた重巡航戦車A27「クロムウェル」でした。
しかし、昨日記述したようにクロムウェル自体にも問題があった上、17ポンド砲を搭載するには砲塔が小さすぎることが判明します。
17ポンド砲は威力は大きいものの、大型の対戦車砲であったため、砲塔に納めるにはかなり大型の砲塔が必要だったのです。
17ポンド砲搭載の戦車を極力短時間で製造ラインに載せたい英軍は、A27の車体を小改修して、それに17ポンド砲を納めた砲塔を無理やり載せることにしました。
そうして造られたのが、重巡航戦車A30「チャレンジャー」でした。
チャレンジャーはA27クロムウェルの車体を極力利用する方向で作られ、部品なども大部分が流用されました。
ただし、大型の砲塔を載せるために車体は延長され、片側の転輪が一個ずつ増えて片側六個になっているのが外見上の特徴です。
さらに砲塔は背の高い円形のものが用いられ、かなり見た目のバランスのよくないものでした。
1942年8月に試作車が完成したチャレンジャーでしたが、テストしてみると不具合が多く、その改修にまた時間を取られることとなりました。
ティーガーなどの新型戦車や長砲身化した四号戦車などに対抗するため、前線では一日も早いチャレンジャーの量産が望まれておりましたが、結局量産が開始されたのは1944年に入ってからのこととなってしまいます。
ミーティアエンジンの信頼性、クロムウェル譲りの高速走行性、17ポンド砲の高威力とできあがったチャレンジャーは結構優秀な戦車となりましたが、クロムウェル同様に出来上がったのが遅すぎました。
チャレンジャーが占めるべき機甲師団の対戦車車両としての位置には、すでに米軍から供与されたM4に17ポンド砲を搭載したシャーマンファイアフライが確固たる地位を築いていたのです。
結局チャレンジャーは175両が生産されたにとどまり、クロムウェル同様偵察捜索連隊に配備されるだけとなります。
戦後も早いうちに退役し、17ポンド砲搭載車両としてはあまり日の目を見ることができずに終わりました。
しかし、こうした経験が積み重なり英国の17ポンド砲搭載の重巡航戦車は、のちにA41「センチュリオン」と言う戦車で花開くことになります。
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
現在一般の方々のご参加も受付中です。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。
それではまた。
- 2007/10/31(水) 20:13:43|
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パッとこの名前だけを見て、まず戦車の名前であると理解した人。
さらにどこの国の戦車で、どんな形をしているかまで脳裏に浮かんだ人は、かなりマニアックな英国戦車ファンではないでしょうか。
まさにこの三車種の戦車は、第二次大戦末期の英国軍におけるダンゴ三兄弟(古い)ならぬマイナー三兄弟と言えるのではないでしょうか。
第二次世界大戦当初において、英軍はのちに机上の空論となってしまう歩兵支援のための歩兵戦車と機動打撃戦力としての巡航戦車という二種類の戦車を軸とした機甲部隊編成を取りました。
歩兵戦車は確かに重武装重装甲でしたが、機動力に欠ける上、何より歩兵支援用の戦車でありながら榴弾(炸裂弾)を持たないため、満足な歩兵支援すらできないものでしたし、巡航戦車は確かに機動力はありましたが、信頼性の低いエンジンに悩まされた上、装甲の薄さは独軍対戦車砲のいい的にされてしまう有様でした。
そこで英軍は、新たに重武装重装甲でありながら機動性もあると言う重巡航戦車の開発にかかります。
この試作車は、1941年に開発が開始され、1942年1月には試験も終了。
「キャバリエ」と名付けられ正式採用されました。
しかし、このキャバリエは積んでいたエンジンが以前の巡航戦車と同じリバティーエンジンだったため、信頼性と出力の面で問題がありました。
結局採用はされたものの、訓練用戦車としてしか使い道が無く、一部のキャバリエは砲兵部隊の観測用車両として使われたりしたに過ぎません。
英軍は強力なエンジンを求め、航空機用のロールス・ロイスマーリンエンジンに目をつけます。
マーリンエンジンはスピットファイアやのちに米軍のムスタングなどのエンジンとして使われた優秀なエンジンであり、このマーリンエンジンを戦車用に転用しようと言うアイディアがでたのです。
このアイディアは実行に移され、マーリンエンジンの戦車搭載型“ミーティア”エンジンが完成しました。
ミーティアエンジンはさすがに優秀で、このエンジンを車両本体としては問題の無いキャバリエに搭載することで、英軍は一気に優秀な重巡航戦車が手に入るはずでした。
ミーティアエンジンを搭載したキャバリエは「クロムウェル」と名付けられることが決定し、まさに量産寸前となったとき、英国は航空機の増産に追いまくられて、マーリンエンジンの製造だけで手一杯と言う状況になってしまいます。
結局小規模の改装をしたキャバリエにまたリバティーエンジンを搭載することになってしまい、A27L「セントー」が造られることになりました。
(A27LのLはリバティーエンジンのL)
前線ではとにかく一両でもどんな戦車でもいいから欲しかったのです。
造るしかありませんでした。
セントーは1942年末から部隊に配備され始める予定でしたが、やはりリバティーエンジンの出力不足はいかんともしがたく、結局量産車の大半がまたもや訓練用に回されました。
1943年に入ると、戦局の転換により多少余裕が出てきたことで、ミーティアエンジンの量産も軌道に乗り始めます。
ここにいたり、ようやくミーティアエンジンを搭載した重巡航戦車A27M「クロムウェル」の量産が始まりました。
(A27MのMはミーティアエンジンのM)
クロムウェルは最大装甲厚76ミリ、重量約28トンの車体に6ポンド砲(口径57ミリ)を搭載し(以上はクロムウェル1型)最大速度は良路上で時速約60キロと高速の巡航戦車として完成します。
まさに英国の期待の星でした。
しかし、英国の工業力その他の要因により、部隊配備は1944年までずれ込みます。
クロムウェルが英国機甲師団の中核になろうとしたときには、すでにそこにはレンドリースによって英国に引き渡されたアメリカ製のM4が鎮座しておりました。
結局クロムウェルは、英国機甲師団の中核ではなく、その快速を生かせる偵察捜索連隊に配備されることになります。
セントーも量産されたうちのかなりの数がミーティアエンジンに換装され、新たにクロムウェルとして配備されました。
出来上がったときには遅すぎたクロムウェルでしたが、悲劇はそれだけにとどまりません。
ミハイル・ヴィットマンを一躍勇名にしたヴィレル・ボカージュの戦い(ノルマンディー地方での戦いの一局面)でティーガー一両になすすべもなくクロムウェル十両前後が撃破されるという引き立て役にもなってしまいます。
それでも、主砲を換装したり、装甲を増加したりして、英国軍の一翼をクロムウェルは担ったのでした。
チャレンジャーに関してはまた明日。
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- 2007/10/30(火) 19:56:11|
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札幌ドームでの日本シリーズ二戦は一勝一敗の五分でした。
緒戦はダルビッシュと川上憲伸の投げあいでした。
ヒット数はダルビッシュの方が多く打たれたものの、川上の一球をスタンドに運んだセギノールのホームランで日本ハムが勝利でした。
二戦目はグリンの制球が定まらないところを中日打線が捉え、投打に日本ハムを圧倒。
日本ハムは中田の前に打線が沈黙を強いられてセギノールのホームランによる一点のみでした。
明日からはナゴヤドームでの三連戦が始まります。
中日はなんとしても札幌に戻らずに決めたいところでしょう。
日本ハムは最低一勝、できれば二勝して札幌に戻りたいところです。
どちらにしても名古屋でどちらかが王手をかけるのは間違い無いことなので、そのチームが日ハムであることを祈るのみです。
しかし・・・
打線が湿っているのが気になりますねぇ。
セギノールのホームランだけしか点が入っていません。
打線の奮起が望まれます。
日ハム頑張れ。
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- 2007/10/29(月) 20:46:58|
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以前に「Yショッカーナース」という作品をお送りいただきましたショッカーゆう様より、新たな女戦闘員ものSSをお送りいただきました。
公開要望もいただきましたので、ここに公開させていただきます。
ショッカーゆう様ありがとうございました。
皆様もお楽しみいただければ幸いです。
「バスガイド制服女戦闘員」
ここは、地元の大手バス会社…今年も新人のバスガイドさんが20名入社した。
改造素体名:松本麻由美(18) 組織名:Yショッカー 理由:新人研修の帰りに誘拐され改造手術を施され、女戦闘員になる。
松本麻由美(18)この春に高校を卒業したばかりの新人バスガイド。
真新しい制服に身を包み新社会人となった。 麻由美が選んだ職業は…バスガイドさん。
彼女が、子供の頃から憧れていた職業だった。 それは小学生の頃、学校の遠足で観光バスに乗るといつも素晴らしい笑顔の優しいバスガイドさん。 麻由美はそんな姿を見て「私も、将来バスガイドさんになりたい。」そう考える様になった。
そして、此の春高校を卒業して地元の大手バス会社に入社したのだった。
しかし、現実は甘くない! 毎日が厳しい研修であった…。
彼女は今日も、講師の先生に怒られていた。 「あー、私には向いて無いのかな~?バスガイド。」麻由美は一人言を呟いて居た…。
すると「どうしたの?しょんぼりしちゃて!」声の方に振向くと、麻由美と同じ制服を着た女性が現れた、名札には『酒井』と書かれていた、麻由美はとっさに「お疲れ様です!」と挨拶した。 それが、先輩ガイドたちにするのが、礼儀なのだ!
「貴女、松本麻由美さんね?私は酒井仁美、宜しくね!」酒井仁美という、先輩バスガイドが声を掛けて来た! 顔には青いアイシャドーが引かれ、スカートの下には黒タイツが見えている。
麻由美は笑顔で「あっ!こちらこそ宜しくお願いします。すみません!今、新人研修の帰りで、今日も一日しごかれてしごかれて!本当厳しいですよね~あの先生!」
「あの先生はね~、結構有名な先生で、全国でも五本の指に入る程有名な先生だよ。なーに?それで、しょんぼりしていたのかい!しょうがないわね~!じゃあ私がこれから特訓してあげるからついてきなよ!私の車に乗って!」そう言って麻由美を乗せて走って行った…。
麻由美は…先輩の家でも行くのかな…? そう考えて居た…。
すると「喉が渇いて居るでしょう!此飲みなよ!」仁美は、スポーツドリンクを麻由美に手渡した。
「あっ!御馳走さまです。丁度、喉が渇いて居た所だったんですよ~!有難うございます。」麻由美は受取り「いただます!」そう言いながら、スポーツドリンクを飲み始めた。
仁美は、ジッとそれを見て居た…。
そのドリンクには、Yショッカーの薬が、入って居た…。
麻由美は、それを知らずに飲んでしまった。
しばらく経つと、麻由美は眠ってしまった…。
彼女が気が付くと、制服に身を包んだまま椅子に座らされていた。
「ここは何処!アッ、何するの?此じゃ身動き出来ない…。」
麻由美は叫んだ! 「助けて!酒井さん!」 それでも、酒井仁美の姿は、どこにも無く、周りに居るのは…、酒井仁美と同様に自分と同じ制服姿の女性たちだけであった…。顔には青いアイシャドーが引かれ、脚には黒タイツをはいていた。彼女たちは、無言のまま器械を操作していた。麻由美はその女性たちに聞いてみた。
「あの~すみません!酒井さんは?」
すると、全員が松本麻由美の方に目を向ける、何やら顎で指示していた…。 すると!
『松本麻由美!Yショッカーのアジトにようこそ!』首領の声が聞えて来た!
麻由美は「えっ、誰?誰なの?」そう叫んで居た。
『お前は我々のコンピュターが、一万人の中から選ばれた女性なのだ! これから我々が行う改造手術を受け女戦闘員になるのだ!』
「イャです!酒井さんは何処に居るの?」
『彼女は、ここにいる!酒井仁美』
すると、酒井仁美が笑ながら出て来た。
「酒井さんこれはどう言う事ですか?私を特訓するんじゃないんですか?」 麻由美は叫んだ…。 しかし…。
「そうよ!これから特訓をするわでも、その前にこの改造手術を受けてもらうわ!貴女は、これからYショッカーの一員になるのよ!そこで私の特訓が始まるの!さあ~!私のかわいい妹、さあ~!この改造手術を受けYショッカーのバスガイド女戦闘員になりなさい!」 酒井仁美は、冷たく言った。
「よくも騙しわね!この嘘つき!これを放して!」麻由美は叫び暴れた!
しかし、手足の拘束具はびくともしない…。
すると、酒井仁美が…、「最初は皆そう言うのよ!でも一度改造されると考えが変るよ!私を選んでくれて有難う!と感謝する様になるわ!」そう言いながら、麻由美の頭にヘッドギヤを載せた…。
「ヤダッ!ヤダッ!やめて!ヤダッ!助けて!ヤダッ!私は普通の女性がいいわ~!改造人間なんてヤダッ!女戦闘員なんてヤダッ!」麻由美は叫んだ…。しかし…。
『これから、松本麻由美の女戦闘員への改造手術を開始せよ!』 「「イーッ!」」 酒井仁美と同様のバスガイド女戦闘員たちは、一斉に奇声を挙げて、麻由美の改造手術を開始した。
酒井仁美が、スイッチを入れた…。すると、ヘッドギヤが稼働始めた…。
『グィ~ン』
「アーアー頭がおかしくなる~アーやだ~アーやだ~!女戦闘員なんてヤダッ~!」 麻由美は叫んだ…。 このヘッドギヤは、麻由美の考えを全て吸い上げて行った…。 麻由美は最後まで抵抗して居たが…、全て吸い上げられて、闇の中に消えてしまった。 そして、今度は…Yショッカーの思想を受け洗脳改造を施されていた。
気が付くと、松本麻由美は気を失って居た…。 その間も、脳改造が執り行われていた。 椅子の赤いランプが緑のランプに変ると、洗脳改造が終了し麻由美が目覚める瞳には輝きが無い、そして今度は目の瞼に青いアイシャドーが引かれ始めた…。瞳を左右に振りながら、左右に小刻みに動く器械を見つめてアイシャドーが引かれていた。
徐々に催眠術がかかり始めて居た…。 『さあ~、この機械をよーく見つめて~ほーら!瞼に青いアイシャドーが引かれいるよ~お前は選ばれた女性なのだ!Yショッカーの一員になる事を誇りに思うのだ!』すると、麻由美は最後の抵抗をしていた。
「イャだ!女は…バスガイドになるのが…夢だった…。私は普通の…、何が普通なの?貴女は、女戦闘員に向いているわ!…ヤダッヤダッヤダッ!女戦闘員なんてヤダッヤダッ!…何を言っているの?貴女は、すでにYショッカーのバスガイドよ!女戦闘員なの!えっ、Yショッカーのバスガイド女戦闘員?…そうよ!私はバスガイド女戦闘員なんだ!…イーッわ~イーッ!」 「イーッ!」
麻由美は最後に奇声を挙げた…。
そして、酒井仁美だった女戦闘員に直立不動の姿勢を取り、両腕を胸の前で交差させ、Yショッカーの敬礼をした。
「女戦闘員Ys003仁美、私は、Ys085麻由美と申します。宜しくお願いします。イーッ!」
「イーッ!こちらこそ宜しくね!私のかわいい妹!」そう言いながら、Ys085麻由美を別の部屋に連れて行った…。そこで、麻由美は着て居た制服を全部脱ぎ全裸になり、ベットに寝た…、そこには、改造ノズルがあり、そこで改造SEX手術の本改造手術を受けて、完全な女戦闘員になった…。
…三十分後…
黒いレオタードに黒タイツ姿の女戦闘員になった…。
そのレオタードの上に着て居たバスガイドの制服に身を包んだ。 そして、組織の首領の元に現れ忠誠を誓ったのだった!
「今日から、私はYショッカーのバスガイド女戦闘員として、この身も心も捧げ忠誠を誓います!イーッ!」 この後も、麻由美の同期のガイドたちが、Yショッカーの一員に選ばれて行った…。
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- 2007/10/28(日) 21:03:36|
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「海マツリ」チャットなどでお世話になっております闇月様が、このたびブログ形式の作品発表の場「闇月の創作メモ」を開設されました。
私のブログも相互リンクしていただけることになりましたので、ご報告させていただきます。
「闇月の創作メモ」は闇月様が、長年温めてきた創作用の設定などを公開されておりまして、ご自身のSSも掲載されております。
設定に関しては、どなたでもご使用可能ということですので、SSを書いてみたいけどネタが・・・という方には便利かもしれません。
ですが、この設定を元に闇月様ご自身のSSを私は読んでみたいものですね。
URLはこちらとなります。
http://angetsu.blog114.fc2.com/ぜひ一度足を運んでみられてはいかがでしょうか。
闇月様、リンクありがとうございました。
- 2007/10/28(日) 20:54:19|
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今日のゲーム報告です。
いつものように先輩においでいただき、シンガポール陥落(CMJ77号)と、ASL-SK1&2をプレイしました。
シンガポール陥落は双方ともに初プレイです。
初期配置やルールのインストを行ないつつ、なんとなーく雰囲気で先輩が英連邦軍、私が日本軍担当になりました。
先輩はとりあえずジットラ近辺の守りを重視。
さらにコタバルにも3ユニットをスタックさせての立て篭もりです。
私はその配置を見てコタバル強襲上陸を回避。
シンゴラ&パタニに部隊を上陸させて、陸路からの進軍を選択しました。
第2ターンにはジットラの英連邦軍インド兵に日本軍の攻撃が炸裂。
しかし、戦車の温存を図ったために、突破なりません。
一方コタバル方面には一個連隊を回して、ジャングルにZOCが及ばないのをいいことにすり抜け、コタバルの補給線を切断。
コタバルの英連邦軍は孤立します。
先輩は英連邦軍の中でも精強なオーストラリア人部隊をジットラ方面に鉄道輸送。
前線で時間を稼ぎ、勝利得点を手に入れる作戦だと見えました。
私はコタバルは包囲するにとどめ、鉄道線路沿いにジャングルを南下。
主攻軸を中央部縦断鉄道に定めます。
そしてジットラ方面では、一個連隊を迂回させ、オーストラリア兵たちの後方を遮断、補給を断つことに成功しました。
このゲームでは補給切れは非常に厳しく、1ターン補給切れだと部隊が消滅します。
先輩は補給切れの部隊を救おうと、オーストラリア兵をさらに後方から呼び寄せてしまいます。
5ターン目から6ターン目ごろには、日本軍の部隊は半島中央部のジャングルを走る鉄道沿いに進撃し、クワンタンも補給切れに。
舟艇機動ではポートセッテンバムからクアラルンプールまで確保。
クアラカングサールやイポー付近で粘っていたインド兵やオーストラリア兵たちはこれで補給切れになり万事休す。
7ターンには、ゲマス、マラッカの英連邦軍の最終防衛ラインも日本軍の温存しておいた戦車が突破。
最終ターンにジョホールバルに到達してサドンデス勝利となりました。
ちなみにVPでは初期にジットラあたりをすり抜けられなかったことが響いて118点と危ういものでした。
このゲーム、英連邦軍がどこで引いてどこで持久するかが分かれ目になるゲームだと思います。
日本軍はある意味突破するだけなので、考える部分としては少ないかも。
また次回もやりたいと感じさせてくれるゲームでした。
その後はASL-SKの私のオリジナルシナリオのバランス確認プレイにお付き合いいただきました。
(オリジナルシナリオは10/23のブログに掲載ですが、大変申し訳ありませんでした。両軍のELRが抜けておりました。双方ともELR:3です。ご迷惑をお掛けいたしました)
先輩が防御側のソ連軍。
私が攻撃側のドイツ軍を担当。
先輩は大砲を扱うのが初めてということもあり、数の優位を生かすことができた独軍が勝利しました。
ただ、ダイス目次第ではどう転ぶかわからない場面も多かったので、今度は攻守所を変えて試してみようと思います。
ソロプレイでは結構独軍も厳しかったので、ある程度バランスは取れているかなとは思いますが・・・
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
KEBO様の素敵な新作が加わりましたので、ぜひご覧下さいませ。
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- 2007/10/27(土) 20:03:40|
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長いこと連載してきましたこのノモンハンの記事も、今日で最終回です。
いろいろと至らぬことでご迷惑もお掛けしましたが、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
戦闘は終了しました。
ノモンハンの戦場は早くも初冬の趣きを見せ始め、寒さがつのって来ておりました。
戦場掃除の名目で逆襲を行なおうとした関東軍でしたが、それは受け入れてもらえませんでした。
関東軍司令官や参謀連中が泣いても喚いても頑として突っぱねられました。
戦闘停止となった9月6日以降、日本軍はノモンハン事件の後始末が始まります。
9月7日。
参謀本部の中島参謀次長、橋本作戦部長がともに予備役編入。
実質的クビの扱いです。
稲田作戦課長が習志野学校付きとして転出。
関東軍からは、植田司令官、磯谷参謀長が予備役編入。
矢野参謀副長が参謀本部付き、寺田高級参謀が千葉戦車学校付きとしてそれぞれ転出、閑職へ回されました。
辻参謀については、予備役編入させるべきであるという声も出ましたが、結局現役として残され第11軍司令部付きに回されます。
服部作戦班長も千葉歩兵学校付きとして転出するにとどまりました。
日本陸軍にとっては作戦の失敗は総司令官に帰するものであり、担当幕僚に多少の越権行為があっても、それは咎められるものではなかったのです。
しかし、現場の中堅指揮官たちには厳しい現実が突きつけられました。
ソ蒙軍の激しい攻撃により、包囲され孤立して麾下の兵士たちを次々と失って、最後には戦死した連隊長は五人。
戦死ではなく自決をしたのが歩兵第64連隊長山県大佐他四人。
そして・・・
自決を強要された人々もおりました。
フイ高地に布陣していた師団捜索隊の井置中佐は、何の支援もなく戦い続け、8月24日にはついに兵員も武器弾薬もなくなったためやむを得ず後退しましたが、これが無断撤退、命令違反として9月16日に自決させられます。
ノロ高地より撤退した第8国境守備隊長長谷部大佐も、同じく無断撤退、命令違反を問われて9月20日に自決。
歩兵第72連隊長酒井大佐は、負傷して戦場を離脱したにもかかわらず、連隊壊滅の責を問われて病院で自決。
そして、師団参謀長となった岡本大佐は、翌昭和15年5月、負傷療養中の入院先の病院において、精神錯乱で入院中のある将校に惨殺されるという目に遭ってます。
おそらくは軍の思惑が働いたのだろうといわれます。
第23師団長小松原中将は11月まで待ったのち関東軍司令部付きに回され、のち予備役編入。
翌年10月にガンで死去。
第6軍司令官荻洲中将も同じく予備役編入。
彼は自分には責任無しとして憤慨したようでしたが、翌15年1月に予備役にまわされました。
昭和14年(1939年)9月16日停戦発効。
翌9月17日、ヨーロッパではソ連軍が独ソ不可侵条約の密約によってポーランドへ侵攻。
まさにこの停戦を待ちかねていたような行動でした。
ドイツ軍によってさんざん打ちのめされたポーランドは、これによってとどめを刺されました。
ポーランドは第二次世界大戦終結まで地図上から姿を消すことになります。
9月18日から21日まで行なわれた戦場での交渉で、双方とも敵陣内に入り込んでの遺体回収などが行なわれることになりました。
作業に当たった兵士たちは、みな一様にこう思ったということです。
ああ・・・みんな・・・死んでしまったなぁ・・・
7月及び8月の第二次ノモンハン事件において、第6軍の資料は以下のようにその損害を記録しています。
出動人員:58925人。
戦死:7720人。
戦傷:8664人。
戦病:2363人。
生死不明:1021人。
合計の損害は19768人。
約33%の損害でした。
ほぼ部隊としての戦闘能力を失ったといっていいでしょう。
戦いの最初から最後まで関わった第23師団だけで言えば、出動人員15975人中、戦死傷他12230人。
実に76%の損害です。
全滅をはるかに超えた損害だったといえるでしょう。
一方ソ蒙軍側の損害も24492人に達し、甚大な損害を受けたことが明らかになっています。
ジューコフは、その回想の中で以下のように日本軍を評しました。
「日本軍の下士官や兵は実に頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的とも言えるほどの頑強さで戦うが、高級将校は無能である」
日本陸軍は「ノモンハン事件研究委員会」を設置して、ノモンハン事件の研究を行ないました。
しかし、この研究はこの事件が一局所における異常局面とみなされた研究のために、ほとんど意味を成さないものでした。
日本陸軍は何も学ばなかったのです。
辻参謀や服部参謀などは2年もせずに中央に復帰、太平洋戦争の中心的指導層の一翼を担います。
日本は太平洋戦争へと向かうのでした。
ノモンハン 終
参考文献
「ノモンハンの夏」 半藤一利 文春文庫
「満州帝国の誕生」 山川暁 学研M文庫
「関東軍」 島田俊彦 中公新書
「歴史群像1994年2月号 ノモンハン1939」 学研
「満州帝国」 学研歴史群像シリーズ84
「ポーランド電撃戦」 学研第二次大戦欧州戦史シリーズ1
参考サイト
Wikipedia ノモンハン事件 他
この場をお借りして参考とさせていただきました全ての資料の関係者の方々に感謝を捧げます。
誠にありがとうございました。
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- 2007/10/26(金) 19:44:20|
- ノモンハン事件
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「ブラック・ラグーン」の第七巻と、「ガンスミスキャッツ・バースト」の第四巻が出ましたね。
私も拝見しました。
「ガンスミスキャッツ・バースト」の方はなんとあのゴールディ様が復活ですよ!
薬物洗脳の大家のようなお方ですから、これからも彼女に薬で操られちゃう女の子とかが出てくれると嬉しいですね。
回想シーンの操られた少女もよかったですので、ミスティあたりが薬物洗脳されたりしないかな。
「ブラック・ラグーン」はファビオラがいい味出してますねー。
可愛いったらありゃしない。(笑)
いやいや、それよりも驚きはエダですよ。
彼女いつの間に(?)あんな美人に?
しかも○○○だったとは・・・
惚れ直しちゃいますよ。(笑)
まあ、それにしても両作品ともにドンパチのオンパレードですよねー。
マニアに描かせるとここまでになるという見本のような作品です。
無論それが私などは大好きです。
両作品で効果的に使われていたのがショットガンですね。
(もっとも、ファビオラのはグレネードランチャーかも)
ショートレンジでのショットガンは強力ですよね。
対抗できるのはSMGぐらいかも。
市街戦やジャングル戦では近接戦闘が多いので、強力な武器になりますよね。
米軍がベトナム戦でショットガンを使ったのもわかるなぁ。
私物で持ち込んだ兵士もいたとか聞きます。
M-16より頼りになったのかも。
私はどちらかと言うと大物派なので、艦船、航空機、戦闘車両に偏るんですが、こうした銃器も刀剣も結構好きです。
それらが映像や画像で使用されているところを見る、つまり、単なる道具として使われているのがすごく好きです。
所詮武器も道具の一つですからね。
と、いうことで両作品とも大好きな舞方でした。
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楽しい素敵な作品ですので、ぜひお読み下さいませ。
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- 2007/10/25(木) 21:01:59|
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1943年。
シシリー島に米英軍が上陸し、クルスクでは史上最大の戦車戦が行なわれ、ドイツ軍は戦局の転換点を迎えておりました。
折りしも、ルール工業地帯には米英軍の爆撃機が昼間夜間を問わずに爆撃にやってくるようになり、ドイツの生産力を低下させようと躍起でした。
その爆撃目標は、ルール工業地帯だけにとどまらず、ベルリン近傍の工場群にも爆撃が行われるようになり、ドイツ軍の戦闘車両を造っていたアルケット社の工場も11月26日の爆撃によって、工場施設の大半を破壊されてしまいます。
アルケット社では、幾種類もの戦闘車両を造ってはおりましたが、中でも重要だったのが、歩兵支援用から対戦車用に様変わりした自走砲である三号突撃砲でした。
前線では欠かすことのできない兵器となった三号突撃砲が、アルケット社の工場の壊滅で造れなくなってしまったということは、ドイツ軍にとってはまさに死活問題でした。
そのため、ヒトラーもこの問題を憂慮して、四号戦車の車台に三号突撃砲の戦闘室部分を乗っけるという、ある意味存在意味の不明瞭な四号突撃砲を作らざるを得なくなりました。
しかし、これだけでは三号突撃砲の穴埋めはできません。
それどころか四号戦車の生産を阻害しかねません。
そこでチェコのBMM社にも三号突撃砲の生産を依頼することにします。
BMM社は、マーダーⅢ対戦車自走砲を生産していましたが、防御力の貧弱な対戦車自走砲よりも突撃砲のほうが能力的にも上であったので、この決定は妥当なものと思われました。
しかし、BMM社は自社工場の能力から言って、三号突撃砲を生産する能力は無いと突っぱねました。
ですが、ただ突っぱねただけではなく、より小型で三号突撃砲と同程度の能力を持つ対戦車車両を代替提案します。
それは、傾斜装甲に囲まれた戦闘室に49口径の75ミリ対戦車砲を搭載した小型駆逐戦車で、BMM社で生産していた38(t)型戦車のコンポーネントなどを極力流用できるものでした。
兵器局はこの申し出を了承し、BMM社は1944年1月には設計を終了。
試作車は1944年3月に完成し、傾斜装甲に囲まれた精悍な形の駆逐戦車としてお披露目されました。
できあがった試作車は優秀な成績を収め、すぐに量産にまわされます。
BMM社だけではなく、スコダ社にも生産をさせることにして、大量産が命じられました。
駆逐戦車は「ヘッツァー」と前線兵士から呼ばれ、三号突撃砲同様対戦車兵器として欠くことのできない車両となりました。
そのスタイルのよさからファンも多いヘッツァーですが、わずか一年という期間で三千両という数が造られるほどの生産性のよさも特筆すべきものでしょう。
1944年中盤から1945年5月のドイツ敗戦の日まで、ヘッツァーはパンターや四号戦車、三号突撃砲とともにドイツ軍の一翼を担って戦い続けたのです。
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楽しい素敵な作品ですので、ぜひお読み下さいませ。
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- 2007/10/24(水) 21:30:39|
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コマンドマガジン日本版77号の付録、「シンガポール陥落」の初期配置などをやってみました。
A1フルマップですが、ユニットもヘクスも大きいので、実質的にはハーフマップの拡大版という感じですね。
ターン数も8ターンしかなく、日本軍英連邦軍ともに出てくるユニット数も多くないお手軽なゲームという感じです。
個人的にはこのぐらいの手ごろさがすごく好きなので、非常に好感が持てました。
英連邦軍は前面にインド兵主体の部隊、後方にオーストラリア兵主体の部隊が配置されており、増援部隊は6ターンにならないと来てくれません。
勝利得点を稼ぐには、できるだけ勝利得点ヘクスを保持しなくてはならない英連邦軍ですが、かといって前線に張り付きすぎて日本軍に排除されてしまうと、部隊が足りなくなってシンガポールまで一直線ということにもなりかねないところです。
このあたりのバランスが良さそうで、これは日本軍も英連邦軍も楽しめるゲームではないでしょうか。
私は手元に日本軍が活躍するゲームというのはあまり持っていないので、このゲームは付録に付いたことはすごく嬉しかったです。
今週末にでも先輩と対戦してみたいものですね。
この「シンガポール陥落」も楽しみなんですが、ASL-SKもちょっと対戦をお願いしたいところです。
先日のブログにも書きましたが、ASL-SKの1と2を組み合わせた形のシナリオを一本でっち上げてみたので、バランス的なものを試してみたいです。
以下にでっち上げシナリオを載せますね。
もしよければ、対戦に使ってくださればすごく嬉しいです。
ASL-SK1&2保持者用シナリオ
舞方シナリオ1【通称MS1(笑)】
1942年7月、ロシアのどこかの寒村
村の家々を拠点に抵抗するソ連軍と、村から追い払おうとする独軍の戦い。
使用ボードY
(A列からY列まで)
Yの文字がある側が北
ターン数 6ターン
勝利条件
独軍はゲーム終了時にヘクスM5から3ヘクス以内に統制状態のソ連軍MMCが存在しなければ勝利。
独軍の勝利を阻めばソ連軍の勝利。
バランス
ソ連軍:7-0指揮官を9-1指揮官と交換
ドイツ軍:MMGX1をX2に
セットアップはソ連軍から
ターン開始は独軍から
ソ連軍戦闘序列(先にY盤上のヘクスM5より5ヘクス以内に配置)(ELR:3)
4-4-7分隊 X5
2-2-8操作班 X1
8-1指揮官 X1
8-0指揮官 X1
7-0指揮官 X1
MMG X1
LMG X2
45L AT砲 X1
ドイツ軍戦闘序列(第一ターンにAからY列の盤西端より進入)(ELR:3)
4-4-7分隊 X10
9-1指揮官 X1
8-1指揮官 X1
8-0指揮官 X1
7-0指揮官 X1
MMG X1
LMG X3
SSR
無し
いかがでしょう。
でっち上げですので、バランスはまだ悪いかもしれません。
ソロプレイで数回試したところでは、双方それなりに勝つことができるかなとは思うのですが、対戦してみないとなんともいえませんよね。
お試しいただければ嬉しいです。
(11/4修整)
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- 2007/10/23(火) 19:43:14|
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ジューコフは麾下の部隊の進撃を停止させました。
すでにソ蒙側が主張する国境戦まで部隊は進出しており、それ以上の進撃は満州国への領土侵犯に他ならなかったからです。
スターリンは、このノモンハンでの戦いが日本との全面戦争までに発展することを望んではいなかったのです。
そう、スターリンは近々ドイツがポーランドに侵攻することがわかっていました。
そして、その時にはポーランドの半分をソ連が手に入れることにドイツとの間で密約が交わされていたのです。
スターリンの目はヨーロッパに向きました。
日本軍をある程度叩けたことで、ソ連の目的は達しました。
後は日本軍さえおとなしくしてくれれば、この戦いは終わりだとスターリンは考えておりました。
昭和14年(1939年)9月1日。
ソ蒙軍は各所で陣地構築に入ります。
日本軍の反撃に備え、国境線(ソ蒙側主張の)を保持するのが目的でした。
塹壕が掘られ、機関銃が据え付けられ、鉄条網が張られました。
長大な陣地線が構築されたのです。
まさにこの日、ドイツ軍はポーランドへの侵攻を開始いたしました。
歴史上、この日をもって第二次世界大戦が勃発した日とされています。
ヨーロッパでも戦争が始まりました。
第6軍は戦線を縮小し、ソ蒙側主張の国境線より兵を引きました。
しかし、関東軍はまだまだ負けたとは思っていませんでした。
8月後半に行なった参謀本部との交渉により、日本本土より第5、第14の二個師団が急遽満州に派遣されることが決まったのです。
これは、満州防衛に戦力不足を申し立てた関東軍の言い分を認めた措置で、参謀本部としては一応の注文としてノモンハンの戦場には投入しないという約束で送られるものでした。
満州全域でのソ連軍の攻撃におびえていた関東軍ですが、この二個師団の派遣により、国境守備における予備兵力を作ることができます。
ならば、確かにこの第5及び第14師団はノモンハンには使わないが、すでに満州駐屯である第2、第4、第7師団の三個師団をノモンハンに投入して、第23師団の敵討ちを取ろうと意気込んだのです。
一個師団を撃滅されておめおめと引き下がれるか!
関東軍参謀たちはそう言ってはばかりませんでした。
その撃滅されたのがどうしてなのかなど彼らの頭にはありません。
ヨーロッパでの戦争勃発で、ソ連の目はヨーロッパに向いた。
ならば今なら日ソの全面戦争はありえない。
だとしたら、ノモンハンの戦場に全力を投入できるではないか。
彼らはそう考え、9月2日には関東軍司令官の訓示でソ蒙軍撃滅を呼びかけます。
しかし、彼らの行動は直前で待ったをかけられました。
9月3日。
関東軍宛に参謀本部よりの電文が入ります。
そこには、事件の終結をはかり、関東軍司令官は攻勢作戦を中止すべしとあったのです。
これは大命(天皇陛下による命令)でした。
関東軍司令部は激昂しました。
本土からの二個師団は約束どおり使わない。
だから手持ちの三個師団は使ってもよいというのが参謀本部の考えではなかったのか?
そんな勝手なことを言い放ちます。
そこで彼らは考えました。
確かに参謀本部の命令は天皇陛下による大命である。
しかし、天皇陛下といえども間違いはあるし、命令の行間を読むことも大御心に沿うには必要であろう。
そう、またしても勝手な考えを抱くのです。
彼らは大命に基づき攻勢作戦は中止することにしました。
しかし、ノモンハンの戦場には、撃ち捨てられた友軍兵士の死体や、遺棄されて見捨てられた兵器があります。
それらは全て大事な陛下の赤子であり陛下より賜った兵器です。
そう言った大事なものを戦場に晒しておくのは忍びない、全て回収しなくてはならないので、ソ蒙軍陣地に小規模攻撃をかけて敵が混乱しているうちに回収するという名目を立てました。
つまり、戦場掃除にかこつけた攻勢作戦を取ろうというのです。
ですが、今度こそ参謀本部はこれを頑としてはねつけました。
全ての行動を禁じ、「大命」を繰り返して関東軍の行動を阻止します。
9月4日から5日にかけて、何度も関東軍司令部と参謀本部との間に侃々諤々の電文のやり取りや人員のやり取りなどがありましたが、結局関東軍の死体回収の名目での戦闘は行われることがありませんでした。
わずかに戦場南方のハンダガヤ付近では依然戦闘が続き、日本軍が確保したまま停戦を向かえることになります。
9月9日、モスクワで日本の大使東郷茂徳(とうごう しげのり)と、ソ連外務人民委員(外務大臣)ヴァチェスラフ・モロトフとの間で停戦及び国境線確定交渉が始まりました。
交渉は予想通り双方の思惑が絡む難しいものでしたが、ひとまず国境線確定を暫定的なものとして、正式な確定は後日回しにすることで、9月15日深夜に交渉がまとまります。
9月16日午前7時。
双方に一切の敵対行動の中止が命じられました。
ノモンハン事件は終わったのです。
その23へ
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- 2007/10/22(月) 19:56:05|
- ノモンハン事件
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昨日、日本シリーズ出場チームを決定するクライマックスシリーズのセ・リーグ編が終わりました。
私にとっては予想外の三連勝という結果で、中日ドラゴンズがクライマックスシリーズを制して日本シリーズ出場です。
理由はいろいろとあるのでしょうが、読売巨人はまったくいいところ無く連敗を重ねてしまいました。
原監督にとっては悪夢だったのではないでしょうか。
これで、昨年と同じ組み合わせでの日本シリーズとなりました。
頑張れ日本ハム。
さてさて、日本ハムを勝利に導いてくれた名指揮官トレイ・ヒルマン監督の大リーグロイヤルズの監督就任が決まったようですね。
私は、来年一年間は休養して、それから大リーグの監督になるのではないかと思っておりましたが、大リーグが放っておかなかったようです。
今年最下位に沈んだロイヤルズですが、ヒルマン監督の下で来期は浮上してくれることを楽しみにしましょう。
そして日本ハムの監督には近鉄バファローズの名捕手だった梨田昌孝さんが就任することになりました。
捕手出身ということで、守りの野球の継承となるのか、それとも近鉄いてまえ打線の攻撃型野球を日本ハムに浸透させるのでしょうか。
来年の日本ハムが今から楽しみです。
さらに、日本ハムからは、高田GMがヤクルトの監督として就任することが決まっているようです。
日本ハムの首脳陣が、こうしてた球団に招聘されるということは、とりもなおさず日本ハムの首脳陣の能力の高さを証明しているのではないでしょうか。
二年連続リーグ優勝も、この優秀な首脳陣の力が大きかったですね。
高田監督のヤクルトが、来季のセ・リーグの台風の目になるかもしれません。
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- 2007/10/21(日) 21:24:28|
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疲れました~。
先ほどまで、札幌歴史ゲーム友の会様にお邪魔させていただいておりました。
真剣にゲームをすると、結構疲れるものですね。
今日はHIRO様とASL-SK2のシナリオ9をまずプレイ。
シシリー島で米英軍にはさまれながらも頑張るイタリア軍のシナリオです。
私はイタリア軍、米英軍をHIRO様が担当しました。
米英軍の不用意な動きに対して、イタリア軍としては防御射撃で結構痛い目にあわせますが、中盤あたりでイタリア軍の重機関銃や中機関銃が故障して沈黙。
最終ターンまでもつれあったものの、生き残っていた全てのイタリア軍ユニットに対して白兵戦が仕掛けられメレー状態に。
統制状態のイタリア軍がいなくなって敗北しました。
午後になっていつもの先輩も顔を出され、人数の関係でASL-SK2の同じシナリオ9を三人プレイしてみます。
今度はHIRO様がイタリア軍を担当し、先輩が米軍、私が英軍を担当。
射撃を重視する先輩の米軍が、思うような射撃結果を得られず進撃がなかなかできません。
私の英軍が盤上に進入するも、盤上にはイタリア軍多数が健在な状態。
残りターン数の兼ね合いから、多少ムチャな前進を余儀なくされる英軍はやはりイタリア軍のいい的になってしまいます。
結局イタリア軍ユニットを排除できずに英米軍の敗北となりました。
二連続でシナリオ9をやりましたが、面白いシナリオです。
歩兵と機関銃しか出ないものの、いろいろと考えさせられます。
イタリア軍も結構粘られると手を焼くんですよね。
楽しませていただきました。
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- 2007/10/20(土) 19:46:11|
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コマンドマガジン日本版77号到着。
今回の付録ゲームがマレー半島における帝国陸軍の電撃戦ということで、以前から楽しみにしておりました。
本誌の方はいつものように付録ゲームのリプレイと、その他の連載記事など。
あんまり読みたいなぁという記事が無い。
以前のような翻訳記事はもう載らないのだろうか。
本家のコマンドマガジンがなくなったから、載せられるものも無いのかな。
いちねんせいさんはドイツ装甲軍団のマーケットガーデン作戦をプレイしていました。
ご本人はどう思っているのかわかりませんが、私なんかよりも上手そうですよね。
見習わなくては。
付録ゲーム「シンガポール陥落」は早速ユニットを切りました。
ただ、ユニットを切りながらもおやと思うことが多かったです。
ブダペスト45のシステムということでしたが、裏面に戦力未確認状態がありません。
通常のステップロスのような減少戦力になっています。
これはどういうこと?
ルールブックを見てみますと、基本システムは確かにブダペスト45ですが、結構細かく違いますね。
日本軍は戦力を失ったらそのままですが、英連邦軍には補充がありますし、戦力=ステップの代わりになる陣地もあります。
日本軍は分遣隊を派出できますが、その時に親ユニットを裏にして減少戦力面にするんですね。
なるほどー。
それにしてもちょっとつらいなー。
ルールブックがぺらぺらなわら半紙ぽい再生紙のようなんですが、本来メインの付録の「シンガポール陥落」がそういう用紙で、私のように「アジアンフリート」を持たないものにはほとんど意味が無い追加ルールを記載した追加ルールブックが上質な用紙で作られている。
これは逆でもいいだろうになぁ。
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- 2007/10/19(金) 19:41:46|
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6対2(最初6対1と書いてしまい大変失礼しました)
北海道日本ハムファイターズが千葉ロッテマリーンズを下して、日本シリーズへの進出を決めました。
二勝二敗で今日を迎えていたので、正直厳しいなと感じておりました。
勢いは千葉ロッテにあるかなと思っていたのです。
おそらく、第四戦の翌日に第五戦があったなら、千葉ロッテにもって行かれていたと思います。
しかし、第四戦の後に一日ありました。
ダルビッシュが投げれる態勢が整いました。
中四日でありましたが、これは非常に大きかったと思います。
今日の試合は一球の怖さが出てしまった試合ではないでしょうか。
セギノールのスリーランホームランが決定付けてしまったと思います。
千葉ロッテマリーンズは本当に強敵でした。
一つ違えば結果は逆になっていたと思います。
すごい選手、いい選手が多いですね。
いいチームです。
来年もきっといい勝負になるのではないでしょうか。
さて、セ・リーグは中日でしょうか巨人でしょうか?
パ・リーグの他のチームの思いを背負って、日本ハムには頑張って欲しいです。
日本シリーズ、楽しみです。
(23:08追記)
試合終了後の千葉ロッテ選手と日本ハム選手の健闘をたたえあう姿には、本当に感動しました。
すごくいいシーンを見せていただきました。
また、千葉ロッテのファンの方々も本当に素晴らしいファンの方々でした。
気持ちのよいシーンをありがとうございました。
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- 2007/10/18(木) 21:42:50|
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第6軍司令官荻洲中将はソ蒙軍への反撃を命じました。
各陣地からなけなしの兵力を抽出し、南側のソ蒙軍に対して攻撃を仕掛けたのです。
8月23日。
第6軍は関東軍司令部に対して電文を打ちました。
「敵はわが陣地全体に攻撃を仕掛けてきているため、その重点がなく迫力がありません。砲撃も激しいものではあるが今日の夕方には峠を越えました。各方面とも陣地は堅守しているのでご安心いただきたい。明日24日には予定通り敵に一撃を見舞ってやります。敵の後方撹乱もたいしたことはなく、砲撃でやや兵力を損なわれましたが、兵の士気は旺盛で問題ありません」
現状を知っての電文だったのでしょうか?
8月24日。
日本軍は確かに攻撃を開始しました。
しかし、攻勢に出るための準備すらない攻撃に何ができるのか。
兵を運んでくれるトラックが無いために攻勢発起点にすら向かえない部隊があったのです。
しかも各所の陣地からは兵力をむしりとられるように持って行かれてしまいました。
日本軍は攻撃することも守ることすらもできなくなってしまったのです。
日本軍の攻撃を受け止めたのはソ連軍第57狙撃兵師団でした。
確かに第57師団は日本軍の攻撃により多くの損害を出しますが、砲兵の支援も戦車の援護も無い歩兵だけの突撃はただただ日本軍兵士の命を失わせるばかりでした。
夕刻ごろにはソ連軍も立ち直り、戦車を中心として日本軍に反撃を開始。
日本軍の攻撃はわずか半日で頓挫したのでした。
21日にはすでに孤立していたフイ高地の井置中佐の部隊は弾も水も食料もなく4日間も戦っていました。
高地周辺の塹壕陣地ではソ連兵と日本兵が銃剣や手榴弾で白兵戦を行い、動くものが何も無いという状況まで戦っておりました。
無線も通じず、援軍の来る希望も無い。
井置中佐はついに部下たちを集めてフイ高地からの脱出を決断します。
24日夜、刀折れ矢尽きた状況の井置中佐率いる部隊はフイ高地を撤収。
味方陣地に向かって“前進”します。
759名中脱出できたのは269名でした。
8月25日から以後は日本軍はただただソ蒙軍の蹂躙に任せるだけとなりました。
攻撃のために兵力を抽出されたため、各所で陣地が撃ち破られ始めたのです。
26日には前線より後背にあるはずの重砲陣地にまでソ蒙軍が接近。
穆稜(ムーリン)重砲兵連隊の前面を守っていた歩兵部隊は須見大佐の部隊でしたが、すでに攻撃のために移動させられており、重砲兵部隊の前面はがら空きでした。
部隊長染谷中佐は最後の日時を絶筆に記入後観測所で自決。
砲兵たちは歩兵となってソ蒙軍に突入して行きました。
野戦重砲兵第一連隊も梅田少佐が自決し、砲兵たちはやはり歩兵となって突入して行きました。
ノロ高地付近でも長谷部大佐率いる守備隊が奮戦していたものの、すでに兵力の七割を失っておりました。
軍事上では三割の兵力を失えば、その部隊は“全滅”と言われます。
部隊としての戦力を失うからです。
長谷部部隊は“全滅”を二度やってもお釣りがくるほどの兵力を失っているのです。
長谷部大佐も後退を決断しなくてはなりませんでした。
26日夜、長谷部大佐は部隊を後退。
北東約4キロの749高地へ撤収しましたが、翌27日には749高地も撤収せざるを得なくなりました。
日本軍の両翼フイ高地とノロ高地は失われたのでした。
バルシャガル高地でも山県大佐の歩兵部隊と伊勢大佐の砲兵隊が頑張っておりましたが、28日夜、ついにこの二人も現在地を撤収して後退すると決断。
しかし、翌29日。
両部隊ともソ蒙軍に発見され、ついに散り散りになってしまい残った兵たちが最後の突撃を敢行。
山県大佐、伊勢大佐はともに自決という結果になってしまいました。
ここに至って第6軍はようやく各部隊をノモンハンに集結させるように命令を下します。
ようやく撤収命令が下ったのです。
日本軍の最後の部隊が撤収したのは8月31日でした。
山県隊、伊勢隊を救おうと、小松原師団長自らが部隊を率いて向かったのですが、ソ蒙軍に囲まれて孤立。
どうにか脱出したのが31日朝でした。
ソ蒙軍は追撃をしませんでした。
ジューコフはソ蒙側主張の国境線まで進出した後は部隊を停止させたのです。
日本軍はその線より東部に退いて再集結を計りました。
地獄の8月は終わりを告げました。
その22へ
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- 2007/10/17(水) 21:24:19|
- ノモンハン事件
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先日、NHK総合で三夜連続で「ニュルンベルク裁判」というBBSとディスカバリーが制作したドラマを放送してくれました。
以前BSで放送したものの再放送のようでしたが、私は初見でしたので、興味深く拝見させてもらいました。
ご存知のようにニュルンベルク裁判とは、東京裁判と同じく第二次欧州大戦での勝者である連合国が、敗戦国であるドイツのナチ党指導者たちを裁いた裁判でした。
ドラマは、アルベルト・シュペーア、ヘルマン・ゲーリング、ルドルフ・ヘスの三人に焦点を当て、それぞれがいかにして裁かれていったかを見せてくれたのですが、やはり定評のあるBBSとディスカバリーの共同制作ですね。
面白かったです。
ドラマを見て思ったことは、やはりこの裁判は勝者が自らの正当性を確かなものにし、敗者のナチスの正当性を無効化するというものだったのだろうなということでした。
ナチスを裁くという、そのためにはどんなことをしてもいいとまでは言いませんが、とにかくナチスの存続を許さないという一点を重視した裁判だったと思います。
勝てば官軍とはよく言ったもので、敗北すればどんな主張も通りません。
もちろん、ナチスの行った残虐行為は言語道断で、それを裁くことに私も異存はありません。
ただ、戦争に勝った連合軍側に残虐行為がなかったわけでもありません。
しかし、勝者の側の行いは通常やむを得なかったものとされます。
やっぱり戦争やるなら勝たないとダメですねー。
無論戦争をしないことに全力を傾けるのは言うまでもないですよ。
さてさて、私もどうにかこうにかアドバンスドスコードリーダーのスターターキット1の方はクリアしつつあるようです。
スターターキット2の砲兵器についてはまだまだこれからですが、歩兵と機関銃を使ってのシナリオは大体楽しめるようになりました。
そこでスターターキット1.2を使って自作シナリオでも作ってみたいのですが、何かいい方法はないでしょうかねぇ。
スコードリーダーですと、カードを使って独軍戦力を決定し、それに対抗する兵力を作るという手段とか、ポイントで部隊を購入するというシステムがあったんですが、スターターキットには無いようなので、対戦相手が納得できるような自作シナリオが作りづらそうです。
スタンダードルールではどうやっているのかなぁ。
今度聞いてみよう。
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- 2007/10/16(火) 22:16:45|
- 映画&TVなど
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当ブログと相互リンクさせていただいておりますサイト、X-onlyの管理人xsylphyx様より、なんとなんと「魔法機動ジャスリオン」のSSをいただきました。
しかも本編第八話という形です。
もう感謝感激です。
お遊びで作った企画書がこうして形になるなんて・・・
xsylphyx様ありがとうございました。
公開のご許可をいただきましたので、ここに掲載させていただきますね。
皆様もどうぞお楽しみ下さいませ。
(xsylphyx様よりの申し出により、一部文章を追加したバージョンに差し替えさせていただきました。10/15 22:07)
「ウムムム… こう失敗続きじゃと
オルダー様の怒りに触れるのは時間の問題…」
暗黒魔界デスマドー魔法技術主任エロジームは研究室で頭を抱えていた。
「オルダー様はジャスリオンは女子高生だと仰っていた。
ならば、ダークウィッチが通う学校を襲ってみるかの。
下手な鉄砲も数を撃てばなんとやら…
女子高生でモンスター軍団を作るのも悪くない
ヒヒッ… ヒィヒッヒッヒッヒッ…」
第八話『私がモンスターに? エロジームの最後!』
「遅刻だぁ!! 千尋、先生まだ来て…」
朝、教室に飛び込んだ雷純玲(イカズチ スミレ)はその異様な空気に足を止めた。
「み、みんな? ど、どうしたの…かな?」
大人しく席に着いたまま微動だにしない友人たち。
純玲の心に言い知れない不安が湧きあがる。
「おやおや まだ1人、残っておったか」
佇んでいる純玲に教壇の方向から訳の分からない言葉が飛んで来る。
そこに立っているのは担任教師大河内真奈美だったが
その声は真奈美の声ではなく、聞き覚えのある年老いたしわがれた声。
「真奈美先生? !? そ、それは!! そのペンダントは!!」
大河内真奈美の首に掛けられている
見慣れた紋様が刻まれた金のペンダントに純玲の声に力が入る。
「ホォ 『デスマドー』の紋様を知っているとは ただの小娘ではないようじゃな」
真奈美の背後から白衣を着た老人
暗黒魔界デスマドーの老博士エロジームが姿を現す。
「デ、デスマドー エロジー…ハッ!」
思わず老博士の名前を口にしてしまった純玲は慌てて口を押さえた。
「ホホォ ワシの名を知っているとは ヒィヒッヒッヒッ…
よもや いきなりカードを引き当てるとは思わなかったわい。
我らを知る小娘、お前がジャスリオンじゃな」
「な、なにを言ってるのかしら この」
「我がシモベたちよ その小娘を捕らえよ」
「エッ!? な、なに、止めて、どうしたのよ!
ウ、ウソ!! みんなにもペンダントが
みんなエロジームに操られて! 放して、みんな手を放して!!」
背後から首を、左右から両腕を女子高生とは思えない力で掴まれ
体を捩るくらいでは振り解けなかった。
「無駄じゃ その娘たちにはデスマドーの魔力を分け与えておる」
「ペンダント! ペンダントでみんなを操ってるのね!!」
「ヒッヒ 魔力を纏っている限り、我らデスマドーの忠実なシモベじゃて」
嫌らしい陰湿な笑いを浮かべ近づいてくるエロジームはポケットから
金のペンダントを取り出していた。
「変身されてはたまらんからの
ワシの研究室まで大人しくして貰おうかの ジャスリオン」
「や、止めろ!! 来るな、近づくな!! 止め あぁっ…ち、ちから…が」
デスマドーの紋様が刻まれた金のペンダントを首に掛けられた純玲の瞳から光が失せた。
「ヒッヒッヒ ゆっくりとジャスリオンの秘密を聞き出して
その後で、お前を魔界モンスターに改造してやるわい」
「うっ…う~ん… ここは…」
「やっと、お目覚めのようじゃな ジャスリオン」
「エ、エロジーム!!」
「お前が眠っている間にほれ お友達の改造は終わっておるわい」
エロジームの直ぐ後ろにいる2人と
薄暗い壁際に整列しているシルエットを目を細めて見やる純玲。
それがクラスメートに間違いないことが純玲には分かった。
醜いモンスターにされていない事に胸を撫で下ろした純玲だったが
彼女たちが身に着けている服、光沢を帯びた赤紫色のレオタード
蒼ざめた紫のショートブーツとグローブ、彼女たちの顔を飾る
目尻と鼻梁が尖り気味のアイマスク、その眉間には金色の
デスマドーのエムブレムが輝いている。
そしてエロジームの後ろに立っている2人だけは、マスクの隙間から
見えている目元と唇に赤紫のメイクが施されていた。
彼女たちのその姿が何を意味しているのか、純玲は十分過ぎるほど理解できた。
「みんな デスマドーに!」
「モンスターにするには、ちと勿体無い気がしたでな
『デスマドー少女隊』デスマドーの戦闘員にしてみたわい。
特に、この少女というにはちぃーと、年を食った女とこの娘はワシの好みでの ヒヒ…
特別に手を加えてやったわい。 ヒィヒッヒ… のぉ、お前たち」
「「ハイ エロジーム様 何なりとお申し付け下さいませ」」
淫靡に微笑んだ2人はエロジームに歩み寄ると両膝をついて傅いた。
「千尋、真奈美先生、どうしたの! 何をされたの!!」
真奈美は勿論だったが、もう1人が親友の山咲千尋(ヤマサキ チヒロ)で
あることは、千尋自慢の美しく長い黒髪を見れば一目で分かった。
「この2人はワシの奴隷じゃ ヒィヒッヒッ… 特にこっちの年を食った方の」
「あ…あぁん…… エロジームさまぁ」
「この熟れた体、そそられてたまらんわい ヒィヒッヒッヒッヒ…」
真奈美の頭を掴み、自分の股間に真奈美の胸を押し付けると
真奈美は甘く濡れた声を上げ、嬉しそうに両手で胸を持ち上げて
エロジームの股間に奉仕をはじめていた。
「こっちの小娘も、ワシが躾けてやれば… ん?靴が汚れてしまったわい」
「わたくしにお任せ下さいませ、エロジーム様 綺麗にぬぐわせて頂きます」
陶酔した眼でエロジームを見上げた千尋は、色っぽく髪をかき上げると
エロジームの足元に平伏して嬉しそうに靴を舐めた。
「千尋、先生、そんなことしないでェ!! このぉエロジジィー!!!
2人に酷いことして…許さない、絶対に許さないから!!!」
「エ、エロジジィ…… ヒィヒッヒッヒ 負け犬がよく吼えよるわい
安心せい、お前はワシの好みでないわい」
顔を引き攣らせたエロジームの手が黒く光り
純玲が磔られている台に刻まれたデスマドーの紋様が怪しく輝き出した。
「お前を魔界モンスターに改造するつもりじゃったが止めじゃ
他の者たちと同じように心だけをデスマドーに改造してやるわい
そうすれば、お前をデスマドーの戦士、悪のジャスリオンに出来るからのぉヒッヒ」
「うぐぅあ… だれがデスマドーに何か… うぅわぁぁぁ…頭が…頭が痛い…
頭が割れる…割れちゃう…止めてぇ……」
そして、この施術を垣間見る二つの影があった。
「この呪符をジジィに気づかれないように貼ってくるのよ」
「ハイ かしこまりました。
ですが、これは呪文破壊の呪符 本当に宜しいのですか?」
濃い紫のローブに身を包んだ人影に白い仮面を着けた少女が恭しく言葉を返す。
「構わないから 言われたとおりに…ね」
人影は少女と同じ紫色をした唇を重ね合わせる。
「ハ…ハイ… 全て仰せのままに…」
磔台から生み出された金色に輝くリングが純玲の頭に嵌まり
純玲の心をデスマドーの暗黒の心に塗り変える。
「ヒッヒッヒ 散々邪魔をしてくれたジャスリオンの情けない姿、これは愉快じゃて」
「エロジーム様 私も何かお手伝いを…」
白とピンクで統一されたヒダと飾り布が多くあしらわれた衣装を
纏った少女が施術を受ける純玲に近づき、何気に磔台に触れた。
「止めい! 触る出ない、ダークウイッチ!!」
「ハッ 申し訳ございません」
頭を垂れるダークウイッチの紫に塗られた口元が小さくつり上がる。
純玲の親友だった巻雲綾(マキグモ アヤ)はデスマドーに捕らえられ
エロジームに魔に対する適応能力の高さを見出されると
ジャスリオンと戦う悪の戦士ダークウィッチアヤとして洗脳された。
綾は清らかな心を闇に染められ、エロジームへの忠誠心と絶対服従のシモベとして
赤紫色の支配印紋のメイクを施され、エロジーム好みの衣装を着せられている。
ダークウィッチとメタルカラーのジャスリオンが戦うところは
何も知らない者が見れば、正義の魔法戦士を悪のロボットがいたぶる情景にしか
見えないくらい、清楚で華麗と言う言葉でしか表現できない姿だった。
だが、その愛らしい胸元を飾る邪悪なデスマドーの紋章こそが
彼女が暗黒魔界デスマドーのシモベ、ダークウィッチアヤであることを証していた。
そして綾に掛けられた正体隠蔽の魔法のせいで、純玲もまた
ダークウイッチの正体には気がついていないのだった。
「お前ごときが、どうこうできる施術ではない! ワシが命令するまで!?
ダークウイッチ、その仮面は何じゃ、何ゆえそのような物を着けておる」
「ハイ なぜか分かりませんが、この者に顔を見られてはいけないような…」
「何を訳の分からんことを言っておる もうよい、下がれっ!」
「ハッ 失礼致します」
立ち去るダークウイッチが口元に浮かべた妖しい微笑みと
自らが施した支配印紋の一部、唇の赤紫が書き換わっている事に
純玲の施術に気をとられていたエロジームは気づいていなかった。
「ただいま戻りました」
顔の半分を隠す真っ白なのっぺら仮面を着けたダークウイッチアヤが
足を組んで腰掛けている人物の前で片膝を折る。
「ご苦労様 ちゃんと私の言いつけどおり出来ましたね」
「ハイ 仰せのとおり、呪文破壊の呪符を…」
笑みを浮かべるアヤの唇が紫に輝く。
それはアヤが目の前の人物の支配を受けている証の色だった。
「ウフフフッ 後はこのマスクを調整して…
フフ… 今のこと、全て忘れるのよ ダークウイッチアヤ」
立ち上がった人物は自分を見上げ跪いているアヤの顔からマスクを外した。
「ハ…ィ……………ーム…さ…ま…」
アヤの唇が元の赤紫に戻り、虚ろな眼がゆっくりと閉じられる。
そしてアヤが覚醒したとき、紫のローブの人影は消えていた。
「やめ…て… あたまが…あたまがぁぁ……あぁ………あ…」
苦痛に顔を歪めていた純玲の顔が無表情になり瞳が闇色に濁る。
「わたしは…デスマドーの…シモベ……暗黒魔界が…地上を…支配する…お手伝いを…」
純玲が弱々しく漏らした言葉で純玲の心がデスマドーに変わり始めたことを
見取ったエロジームは嫌らしい笑いを浮かべた。
「ヒッヒッヒ そうじゃ、お前はデスマドーのシモベじゃ」
「ハイ…デスマドーのシモベです…」
「そして ワシの、このエロジームの奴隷じゃ」
「わたしは…エロジームさまの…奴隷です…」
「ワシはお前のあるじ 奴隷はあるじの、どのような命令にも服従するのじゃ」
「奴隷は…あるじの命令に…服従します…」
「ヒッヒッヒ 幾つか質問した後で
先ほどの、無礼な物言いの仕置きをしてやるわい」
「ハイ… ありがとうございます…」
エロジームは虚ろな笑みを浮かべて答える純玲に近づく。
「お前はどのようにして、ジャスリオンに変身するのじゃ」
「…それは……」
「どうした 奴隷はあるじの命令にどうするんじゃ」
「奴隷はあるじの命令に…服従します」
「ならば答えるのじゃ どのようにしてジャスリオンに変身するのじゃ」
「…ハイ…… ポケットの…マジカルクロノブックで…」
エロジームがベタベタと純玲の体にさわり
胸のポケットに収まっていたマジカルクロノブックを取り出した。
「これがジャスリオンの変身アイテム『マジカルクロノブック』じゃな
で、これをどうするのじゃ」
「ハイ……マジカルクロノブックを胸の前にかざして…」
安心し切ったエロジームが手の平に乗せたマジカルクロノブックを
純玲の胸の前に持って行く。
「こう唱えるのです…」
純玲の口角が邪悪につり上がり。
「オープンクロノブック… リード… ジャスリオン!!」
その言葉と同時にマジカルクロノブックが開かれ
光の粒子が溢れ出すと純玲のセーラー服に付着してゆく。
シルバーメタリックに輝くセーラー服は純玲の体に纏わり付くように
その姿を変え、首から下の全てをメタルスーツで覆い尽くすと
頭にはフルフェイスヘルメットが装着された。
ジャスリオンは磔台の拘束を引き千切り、エロジームの前に降り立つと
挨拶代わりのパンチを老博士エロジームの腹に打ち込んだ。
「時空の戦士 魔法機動ジャスリオン、ここに見参!!」
「グエェェェ… ど、どうしてじゃ…
心をデスマドーに作り変えたハズじゃ グエッ…」
「危なかったわ あと少し、あのまま暗黒魔力を送り込まれていたら
完全に心をデスマドーに作り変えられていたわよ!!」
自分が暗黒魔力に抗えた本当の理由に純玲が気づくハズも無く
ジャスリオンの怒りの拳はエロジームの顔面を捕らえ
老博士の小さい体は激しく壁に叩きつけられた。
「ゲフッ… お、おのれ小娘… ワシを騙しおったな…
お前たち! 何をしておる、ジャスリオンを取り押さえるじゃ!!」
「「「マドー!!」」」
エロジームの命令を受けて
壁際で並んで立っていたデスマドー少女隊がジャスリオンを取り囲む。
「みんな止めて!!」
「今度は魔界モンスターに改造してやるわい! やれ、デスマドー少女隊!!」
「「「マドー!!」」」
四方から一斉にパンチや蹴りがジャスリオンに向けて放たれる。
が、ジャスリオンは全ての攻撃を難なくかわす。
「ごめんね… ちょっと痛いけど我慢してね」
ジャスリオンは攻撃してきた少女隊の鳩尾に拳を当て気絶させると
1分もしない内にデスマドー少女隊は床の上で重なりあっていた。
「リード マジックワード『リセット』!!」
床の上に倒れているデスマドー少女隊が魔方陣で囲まれ、光の粒子に包まれると
着せられていた戦闘服が消えてなくなり、元のセーラー服姿の女子高生に戻った。
「やっぱり… デスマドーアイテムで操られていたのね」
「よくも、わしのデスマドー少女隊を!」
「うるさい! 千尋と真奈美先生も返して貰うから!!」
「それはどうかのぉ ヒッヒィ この2人は特別じゃからな、行け!」
「ふん! 負け惜しみ言っちゃって
リード マジックワード『リセット』!!」
エロジームの命令で身構える千尋と真奈美に
ジャスリオンはデスマドー少女隊を開放した魔法呪文を唱える。
がしかし、光に包まれた2人の姿に変化は現れなかった。
「エッ!? どうして!!」
「ヒッヒィ 言ったはずじゃ、2人は特別じゃと」
エロジームの両手が黒い光を放つと
千尋と真奈美の全身に赤紫の支配印紋が浮かび上がる。
「支配印紋!! エロジーム、千尋と真奈美先生にそんな高位魔法を…
そんな高位魔法に2人の体が耐えられるはずがないでしょう!!」
「ヒッヒッヒ ならば、お前が大人しく捕まればいいだけじゃ
奴隷として仕える程度の魔力ならば、この2人も壊れんわい。
じゃが、お前が抵抗すると言うなら ヒッヒ…」
「あぁ…」
エロジームの手の光が増し、大量の魔力が千尋と真奈美に送り込まれると
2人が苦悶の表情を浮かべた。
「ダメッ!! 止めて、エロジーム!
わ、分かったから… 大人しく捕まるから、千尋と真奈美先生にそれ以上…」
「ヒヒッ 他愛無いのぉ お前たち、ジャスリオンを捕らえるのじゃ」
「「ハイ エロジーム様」」
千尋と真奈美はジャスリオンに歩み寄り、両手をしっかり掴んだ。
「何をしておる、ジャスリオン お前は元の姿に戻らんか!!」
「千尋、真奈美先生 ちょっとだけ我慢してね
リード マジックワード『オーバーロード』!!」
「「キヒィ!」」
白い雷撃に包まれた千尋と真奈美の体がガクガクと震える。
「なっ! 何を考えておるのじゃ、ジャスリオン!!」
「一瞬で決めないと2人の体が危ないのに…
2人一緒にオーバーロードされるにはやっぱりパワーが足りない」
(リミッター解除… 2人を助けるにはこれしか でもこのワードは…)
「ヒヒッ ヒィヒッヒ 一度に大量の魔力を送り込んで
オーバーロードさせるつもりじゃったか…
じゃが、そうはいかなんだようじゃな ジャスリオン」
「ええい、迷ってる暇はない!!
リード シークレットワード『リミッターキャンセル』!!」
「なんじゃと!」
ジャスリオンの全身が白く輝き
千尋と真奈美を包み込んでいる雷撃が激しくなった。
「「ギャヒィィ」」
ビクンと大きく仰け反った千尋と真奈美が力なくその場に崩れ落ちると
全身の支配印紋が蒸発したように消え、纏っていた戦闘服が元の衣服に戻った。
「千尋! 真奈美先生!」
呼びかけに小さく声を漏らした2人に
胸を撫で下ろした純玲は腰のソードユニットを掴んだ。
「リード 『ジャスリオンブレード』!!」
ユニットに青白い光の刃が生まれ、纏っているジャスリオンスーツの
パワーがジャスリオンブレードに集束される。
そしてリミッター解除されたジャスリオンパワーが、ブレードの刃を青から紅蓮に変えた。
「絶対許さないからね、エロジジィィ!!」
壁の隅に逃げ込んで、両手を顔の前でクロスさせたエロジームが怯えて命乞いをする。
「や、止めるんじゃ! 取引じゃ、取引しようではないか」
「リード マジックワード『キャプチャー』!」
宙に浮かぶように現れた白い十字架にエロジームの体が固定される。
「ま、待て、やめろ! 命だけは、命だけは助けてくれ!!」
「問答無用!! 閃け、ジャスリオンブレード!!」
「やめろォォォウギャァァァ」
エロジームの体は瞬時にシャボン玉のように弾け、光の粒子となって消滅した。
「ふぅぅ… 千尋、真奈美先生、みんな!」
床で倒れているクラスメートに回復魔法を施そうと純玲が足を踏み出したとき
― マジカルパワーオーバーロード システムダウン ―
「エッ?」
ヘルメットの内部に音声が響き、目の前が真っ暗になると
いつもなら解除呪文で光の粒子となり解除されるジャスリオンスーツが
純玲の体の上で透明になり、消えてしまった。
「な、なに? どうして勝手に変身が…
マジカルパワーオーバーロードって システムダウンって何よ…」
手の上で辛うじて形を留めているが
マジカルクロノブックは燃え尽きた灰のようになっていた。
「まさか… うそでしょう…
オ、オープンクロノブック… オープンクロノブック!」
純玲の言葉にマジカルクロノブックは全く反応する気配はない。
「パワーを使い過ぎたってこと?
マジカルパワーもオーバーロードしちゃったの?」
床の上に崩れ落ちる純玲の頬を涙が伝う。
「そんな… どうすんのよ…
これからどうやってデスマドーと戦うのよォ!!」
次回予告
パワーを失ってしまったマジカルクロノブック。
それを見透かしたかのようにデスマドーの攻撃が!
純玲は再びジャスリオンに変身できるのか?
次回、魔法機動ジャスリオン第九話。
「再変身? 闇を切り裂く乙女の祈り!」にリード! ジャスリオン!
いかがでしたでしょう?
最後に予告だけ私の方で付けさせていただきましたが、まさにイメージどおりのジャスリオンを作っていただいたことに驚くとともに、あらためてxsylphyx様に感謝を述べさせていただきます。
本当にありがとうございました。
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
現在一般の方々のご参加も受付中です。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。
それではまた。
- 2007/10/15(月) 20:24:03|
- 魔法機動ジャスリオン
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現地上部組織である第6軍の創設と前後して、参謀本部は関東軍司令部に対し、今までさんざん拒否してきたモンゴル領内のタムスク航空基地への越境爆撃を許可しました。
これはうがった見方をすれば、第6軍創設で関東軍に手を引かせる以上、その面子を立てて、かねてより申し出のあった爆撃をやらせてやろうと言う配慮があったのではないかと思え、事実関東軍司令部側には、いまさら何を言っているのだという空気が流れたこともあったようです。
実際、ノモンハン戦場上空での航空撃滅戦でへとへとになっていた関東軍航空部隊には、タムスク爆撃をしたくてもできない状況であり、それでも許可が出た以上はタムスク爆撃を行なおうという意思のもと、機材をやりくりしてのタムスク爆撃が8月21日に実行という手はずになっておりました。
8月中旬。
ノモンハンの戦場の外で情勢が動きます。
独ソ不可侵条約調印のための下準備が整ったのです。
スターリンとヒトラーが手を結んだことで、ソ連は西の脅威を一時的にも考えずにすむようになりました。
まさに全力を東に向けることができるようになったのです。
スターリンはGOサインを出しました。
ソ蒙軍司令官ジューコフが攻撃命令を下したのは、昭和14年(1939年)8月20日午前5時45分だったと言われます。
まず、大編隊の航空機による空襲から始まり、続いて2時間にもわたる無数の火砲からの砲撃、そして戦車と歩兵による強襲とまさに教科書どおりの攻撃でした。
8月20日は日曜日でした。
ソ蒙軍の攻撃があることをまったく察知できていなかった日本軍は、司令部である第6軍の将官から、各部隊の士官に至るまで、その多くが休日を楽しむために戦場を離れて後方のハイラルなどへ向かっておりました。
ジューコフはそこまで考えていたのです。
ソ蒙軍は両翼から包み込むように左右74キロにわたって広く広がっておりました。
日本軍陣地の正面幅が約30キロと言いますから、相当な広範囲にわたって部隊を展開していたことになります。
ソ連軍の圧倒的な攻撃に、日本軍の各陣地は甚大な損害を出しました。
しかし、高級将校の不在もソ蒙軍の空襲も砲撃も直接攻撃さえも、日本軍陣地を壊滅させるには至りませんでした。
頑強な日本兵は、すぐさま各陣地で応戦を開始、ソ蒙軍にも大きな損害を与えて行くのです。
各陣地はソ蒙軍の攻撃を必死に跳ね返しておりました。
しかし、差し渡し30キロの防御ラインというのはいかにも広すぎました。
日本軍は一個師団強の兵力でこの長大な陣地線を守っていたのです。
本来一個師団で守れる正面幅は約10キロ。
その三倍の長さを守ろうというのですから、各陣地の間にはふさぎきれない隙間がいくつもできることになります。
各陣地は確かに頑強で粘り強く、ソ蒙軍の攻撃を跳ね返して行きますが、その間をすり抜けられてはどうしようもなく、各陣地はソ蒙軍が後ろにまで回ってしまうのをなすすべなく見ているしかありませんでした。
陣地の後ろに回られるということは、陣地が包囲されてしまうということです。
陣地は本来は正面の敵と戦いながら、後ろからは補充の兵員や武器弾薬食料が滞りなく届けられなくてはなりません。
後ろにまで回られてはその補給物資も補充要員も届かなくなるのです。
包囲というのは、敵の物資増援を断ち、その部隊の継戦能力を奪うことなのです。
継戦能力を失った部隊はあっという間に武器弾薬が尽き、降伏するほかなくなるのです。
日本軍の陣地も各地で包囲され孤立する事態になりました。
北のフイ高地では井置中佐の部隊が包囲され、南のノロ高地付近でも大隊ごとの各部隊が孤立戦闘を続けている状態でした。
中央でも各部隊があちこちで包囲され孤立しています。
何とか連絡をつけ、孤立状態から救わねばなりませんでした。
ことここに至っても、関東軍司令部は現状判断に希望的観測が混じるのを避けることができませんでした。
ソ蒙軍が大挙攻撃してきても、補給途絶に苦しんだ挙句の自殺的強襲ではないかと考えていたふしがあるのです。
関東軍司令部はジューコフの欺瞞電文により、ソ蒙軍も補給に苦しんでいると思い込んでいました。
また自分たちの常識からもそうでなくてはおかしいと思い込んでいました。
ですから、この猛攻撃は一過性のものであり、各陣地も攻勢中止の後強化されているはずだから大丈夫と思い込もうとしたのです。
そのため、このソ蒙軍の攻撃はかえってこちらにとってありがたいことであり、逆激をもって一気にソ蒙軍を追い返せると喜んだぐらいでした。
それよりもノモンハン以外の場所でソ連軍が攻めてくるかもしれないという恐怖が、彼らを支配していたのでした。
しかし、翌8月21日には、日本軍の各陣地は絶望的状況に追い込まれていることがはっきりしてました。
そんな中、同盟国というよりもまさにそのために戦っているはずの満州国軍の一部が、指導の名の元に派遣されている日本軍将校を射殺。
部隊約200名がそっくり逃亡してしまうという事件まで起きました。
それほどまでに状況は悪化していたと言えるのでしょう。
22日、関東軍航空部隊は、以前からの計画通りにタムスクへの再度の空襲を行ないます。
攻撃は成功し、日本側10数機の損失でソ連軍機約100機近くを撃破したと言います。
事実だとすると大戦果でありますが、事実誤認だったのかソ連軍の航空戦力の充実が上回っていたのか、ノモンハン上空のソ連軍機の跳梁は変わりませんでした。
日本兵は果敢に戦いました。
しかし、以前とは違って戦車や装甲車が単独で日本軍陣地へ迫ることはなく、必ずソ蒙軍の歩兵が付随していたため、以前は効果を発揮した歩兵による火炎瓶や爆薬を使っての肉薄攻撃ができなくなってしまいました。
文献では、これはソ連軍戦車がガソリンエンジン車ではなくディーゼルエンジン車に変えたため、火炎瓶による攻撃が効かなくなったと書かれたものも多いのですが、どうやら歩兵のバックアップが付いたために肉薄攻撃ができなくなったというのが大きいようです。
ですが、そのような中でも兵士たちは懸命に部署を守り、陣地を守って斃れて行きました。
まさに死闘だったのです。
各所で陣地が孤立しソ蒙軍が浸透してくる中、22日になって日本軍は気が狂ったとしか思えない命令を発します。
第6軍司令部が危機に陥っている第23師団に対して、「主力をもってホルステン河南方の敵を捕捉撃滅する準備をすべし。攻撃開始は24日払暁を予定」という命令を発したのです。
各所で寸断され、孤立した各部隊が死に物狂いで戦っている時に、どこをどうしたら攻撃に転じることができるのか。
命令を受領した歩兵第26連隊連隊長の須見大佐は愕然として、第6軍の命令を鸚鵡返しにするしかない小松原師団長にこう言ったと伝えられます。
「私の部隊は師団命令により各所にバラバラに配備されましてとても攻撃に転じることはできません。陣地を守るだけで精一杯であり、私と部隊はそこで最後を迎えるつもりです。軍旗の処置も決めております」
事態はもうそこまで悪化していたのでした。
その21へ
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
現在一般の方々のご参加も受付中です。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。
それではまた。
- 2007/10/14(日) 20:33:00|
- ノモンハン事件
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いつものごとく先輩とゲームの日。
今日のお題は「ウクライナ44」(コマンドマガジン日本版70号)。
ソ連軍に包囲されつつある戦場から、ドイツ軍は第一装甲軍を中心とした反撃で脱出路を確保するというゲームです。
ゲーム終了時に盤端の補給源に補給線がつながらないドニエストル河以北のドイツ軍ユニットは、そのステップ数がソ連軍の得点となり、一方つながっていればドイツ軍の得点になるという勝利条件のため、ソ連軍はドイツ軍の補給路を切って包囲を完成させようとするのに対し、ドイツ軍はどうにかして包囲されるのを防ごうという動きになります。
先輩はソ連軍を受け持ち、私はドイツ軍を受け持ちました。
史実では、包囲されないように南方へ向かったドイツ軍をソ連軍が追いかけ、充分に南方にソ連軍をひきつけたところでドイツ軍が西へ向かって進路を変え、薄くなっていた包囲網を食い破って脱出するという鮮やかな脱出戦をドイツ軍は戦います。
この史実を頭の片隅に置きながら、私は基本的に前線で粘りつつ南方ルートを確保して、上手く行けば西方から後半にやってくる増援と呼応しての西方突破も視野に入れるというよくわからない作戦を取ります。
まあ、言ってみれば行き当たりばったり作戦といえましょうか。(笑)
先輩のソ連軍は、序盤、数の圧倒的有利さを生かして東方に配置された歩兵師団が全面攻勢をかけてきます。
独軍はかなりの損害を出しますが、このゲームの恐ろしいところは、攻撃したほうも何らかの損害を受けること。
ソ連軍は攻撃力はあるものの、防御力に不安がある部隊ばかり。
それらが軒並み損害を食らってさらに防御力が落ち込みます。
ドイツ軍は強力なソ連軍の戦車部隊を無視して、装甲師団によりソ連軍歩兵師団を集中攻撃。
ドイツ軍の装甲師団の前にソ連軍歩兵は次々と蹴散らされて行きました。
ソ連軍はテルノポリに篭もるドイツ軍守備隊を、その強力な戦車部隊で包囲しますが、脇を固めるはずの歩兵師団が次々とドイツ軍の装甲師団に蹴散らされ、ついに後方に回られて補給線を切られます。
本来ソ連軍が切るべき補給線を、逆に切られて先輩の表情が曇ります。
結局テルノポリは失ったものの、ソ連軍は補給切れで後退。
南方を進撃する戦車部隊も、東方に突破したドイツ軍の装甲師団が補給線を断ち切り万事休す。
後退せざるを得なくなりました。
最後は盤上にあったソ連軍歩兵ユニットの大半が除去されるという大番狂わせの結末。
ドイツ軍が圧勝してしまいました。
いやぁ、初めてのプレイとは言え、ここまで一方的な展開になるとは想像もしませんでした。
ソ連軍歩兵は防御に回るとまったく役立たずという状態で、ドイツ軍の装甲師団に歯が立ちません。
ソ連軍は強力な戦車部隊を都市攻撃などに使わずに、ドイツ軍の装甲師団をすり潰すのに使ったほうがよかったのかもしれません。
それにしても一方的な展開に驚きました。
ルール間違ってないよね?
先輩もこんなはずは・・・ということで少し研究してみるとのこと。
また再戦を行なうつもりです。
今度も負けないぞ。
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
現在一般の方々のご参加も受付中です。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。
それではまた。
- 2007/10/13(土) 19:04:27|
- ウォーゲーム
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昨日まで行なっておりましたアンケートへの回答、皆様どうもありがとうございました。
今後の創作活動において参考にさせていただきます。
どうもありがとうございました。
先日投下した「ナイロンウーマン増殖編その3」におきまして、何の気なしに作中に登場させました深夜アニメ「魔法機動ジャスリオン」が、予想以上に皆さんの気を惹いたようで驚きました。
本当に何も考えずに、ただ麻里子の夜更かしの理由として出した深夜アニメでしたが、こうして皆様の気を惹いたということで、ちょっと企画書めいたものを作ってみました。
冗談企画ですが、楽しんでいただければ幸いです。
新番組 「魔法機動ジャスリオン」
魔界より飛来した謎の魔道書「マジカルクロノブック」により、突如正義のヒロイン魔法機動ジャスリオンにされてしまった女子高生のストーリー。
毎週魔界より現れる魔界モンスターを、持ち前の明るさとジャスリオンスーツのパワーで倒して行く。
ジャスリオンスーツは宇宙刑事のスーツっぽいもの。
マジカルクロノブックによりセーラー服(普段着も可)が変形する。
「オープンクロノブック!」
「リード、ジャスリオン!」
「時空の戦士、魔法機動ジャスリオンここに見参!」
ヒロイン
雷 純玲(いかずち すみれ)
高校二年の女子生徒。偶然マジカルクロノブックを手に入れたことから魔法機動ジャスリオンに変身する。
明るく元気な女の子。
巻雲 綾(まきぐも あや)
純玲の親友。優しい女の子。将来の夢は看護師。
第3話で捕らえられ洗脳されてしまい、以後はダークウィッチアヤとしてヒロインと戦うことに。
暗黒魔界デスマドー
地上を支配しようとする魔界よりの侵略者。
暗黒魔法を使い、人類に害をなす一味。
魔王デスマダーが率いている。
地上侵略司令官オルダー王子
デスマドーの侵略部隊司令官。
まだ若いものの冷酷な上に魔力のパワーは一級品。
ジャスリオンとも互角以上の勝負ができるが、王子という立場のため前線に出ることはまれ。
魔界モンスターを使い地上侵略を進めて行く。
実はヒロインとは・・・
魔法技術主任エロジーム博士
白衣を着た老博士。
魔法手術により魔界モンスターを作り出す。
オルダー王子とは以前からの知り合いであり、エロ爺と呼ばれている。
(無論本人は怒る)
魔法参謀ユリジーム
チャイナドレスの妖艶な美女。
エロジームの孫であり、その卓越した頭脳で侵略作戦のアイディアを練る。
ダークウィッチとなった綾が可愛くて仕方ない。
その名の通りのユリ嗜好。
魔界モンスター
魔界の生物をエロジーム博士の手術により強化したもの。
人間並みの知能を持ち、地上侵略の尖兵となる。
サブタイトル(仮)
第一話:私が戦士? 乙女パワーよ、ジャスリオン!
第二話:宿敵? オルダー王子の甘い罠!
第三話:綾が失踪? 卑劣なエロジーム!
第四話:ダークウィッチ? 忍び寄る黒い影!
第五話:私は綾? 私はダークウィッチ!
第六話:全員が遅刻? 時間魔法で逆転よ!
第七話:ばれちゃった? ジャスリオン対オルダー王子!
第八話:私がモンスターに? エロジームの最後!
第九話:再変身? 闇を切り裂く乙女の祈り!
第十話:ユリジーム? 綾を誘う(いざなう)悪の華!
第十一話:仮面が綾なの? 砕け散る友情!
第十二話:あの人は? 影の戦士ジャストカイザー!
第十三話:ほんとなの? オルダー王子がお兄ちゃん!
第十四話:どうして? 必殺技が跳ね返された!
第十五話:悪魔の旋律? 仕組まれた演奏会!
第十六話:これはチャンス? ユリジームとダークウィッチの仲たがい!
第十七話:三代目はクリスチャン? 伯爵の絶叫屋敷!
第十八話:嘘でしょう? ユリジームの洗脳エステ!
第十九話:見えないの? 学園はダークウィッチの花園!
第二十話:綾が死ぬ? ダークウィッチと決戦よ!
第二十一話:やはり兄? オルダー王子愛に死す!
第二十二話:時間切れ? 魔王デスマダーの目覚め!
第二十三話:倒せない? ジャスリオン絶体絶命!
第二十四話:祈りは天に? ジャスリオン最後の輝き!
以上全二十四話を予定。
監督は最近円熟味とお腹の出てきた戸佐又海馬(とさまた かいま)を起用し、脚本には定評のある縁根百合子(ふちね ゆりこ)を抜擢。
キャラクターデザイン及びモンスターデザインにはスタジオきっしんが携わるという豪華メンバーで、深夜帯という状況に関わらず視聴率を確保する。
なお、主役のジャスリオンのCVはオーディションで選定の予定だが
オルダー王子のCVには熱い演技で定評のあるウエストエイトプロダクション所属の志賀波津爾(しが はつじ)を起用。
オルダー王子に熱い魂を吹き込んでいただく。
スポンサーはS.S.B食品。
企画書作りに参加していただいたEnneさん、g-thanさんありがとうございました。
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
現在一般の方々のご参加も受付中です。
こがねむし様の素晴らしい作品も投下されました。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。
それではまた。
- 2007/10/12(金) 21:34:34|
- 魔法機動ジャスリオン
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三夜連続の「ナイロンウーマン増殖編」も今日で終わりです。
ホントにただ増殖するだけの話となってしまいましたが、楽しんでいただければと思います。
よろしければ、感想などいただけるとすごくすごく嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
「うーん・・・なんか今朝変じゃない?」
「あ~、なんかそうかもしれないですね~」
ぐでーっと机に突っ伏しながら、隣に立つ友人の朝霜早由里(あさしも さゆり)につぶやく。
深夜アニメを見るために深夜2時過ぎまで起きていたのが響いている。
眠くて眠くて仕方ないのだ。
さっさとHRを終わらせて、気持ちよく眠れる英語の時間になって欲しい。
涼月麻里子(すずつき まりこ)は心からそう思う。
あの石橋(いしばし)先生の奇妙な英語は聞いているだけで睡魔が忍び寄ってくる。
いけないいけないと思いつつも、気が付くと授業が終わっていることが多く、後で早由里にノートを見せてもらうのだ。
ふわふわの髪を後ろで束ねた早由里は、ほんわかとした雰囲気を漂わせた優しい女性で、人当たりもよいので将来は教師になったらいいと麻里子は思う。
何せ麻里子が落第点を取らずにすんでいるのは、ひとえにこの早由里のおかげである面が大きいのだ。
学園の先生の授業よりも、早由里に教えてもらった方がよくわかるのはどうしてなんだろう。
そう思う麻里子ではあるが、いつものごとく早由里に甘えることにして英語の授業は寝てしまうつもりだったのだ。
「早く先生来ないかなー。眠いよー」
意味不明なことを言いながらぐてーっとだらけている麻里子に早由里は苦笑する。
「また深夜アニメ?」
「うん、魔法機動ジャスリオンってのが新しく始まってさ~。まだ第一話なんだけど、敵の司令官オルダー王子ってのがもうかっこよくてー」
突っ伏しながらもにへにへと笑顔を浮かべる麻里子。
その様子に早由里はすごく癒される。
麻里子は早由里にいろいろ世話になっているというが、早由里こそ麻里子の存在がどんなにありがたいことか。
かけがえの無い親友というのはきっとこういうことを言うのだと早由里は思う。
『ピル・・・皆さんおはようございます。これより緊急の全校集会を行ないます。生徒の皆さんは全員体育館に集合してください。これより緊急の全校集会を行ないます』
スピーカーから声が流れる。
教室に待機していた生徒たちは一斉に不満の声を上げた。
朝から全校集会なんて出たくも無いのだ。
しかし、こればかりはしかたがない。
みなしぶしぶといった表情で席を立つ。
「マリちゃん、行きましょう」
「うえー、めんどいよぅ・・・」
「そんなこと言わないで。後でクッキーあげるから」
キュピーンと形容が付きそうな勢いで目を輝かせる麻里子。
「やたっ! 早由里のクッキーだ! 嬉しいな。早く行こ」
モノに釣られてというのは褒められたことではないが、麻里子がいつも早由里のクッキーを楽しみにしているのが早由里には嬉しかったし、こうして麻里子の喜ぶ顔を見るのは早由里にとっても幸せなことだった。
ぎゅっといきなり手を握られ、引き摺られるように麻里子に連れ出される早由里。
二人は仲良く体育館に向かっていった。
ざわめきが静まらない体育館。
集められた女子生徒たちはみな一様に、手近の友人たちと不安そうに小声でおしゃべりを交わしているのだ。
それもそのはず。
体育館にいるのは女子生徒たちだけ。
緊急の全校集会だと言って呼び集めた教師たちが、誰一人として体育館にはいないのだ。
「ねえ、早由里。やっぱり朝から変だよ。先生が一人も居ないし、あちこちに黒い水溜りみたいのがある」
麻里子も小声で早由里に話しかける。
本来出席番号順に並ぶことになっているのだが、教師たちが誰も居ない現状では女子生徒たちがちらほらと小グループを作っておしゃべりしている光景があちこちでみられたのだ。
「そうですわね。いったいあれは何なのでしょう? 雨漏りとも油漏れとも思えませんが・・・」
「うん、スタンドと壇上にだけあるなんて変だよね。でもどうでもいいから早くしてくれないかなぁ」
ふわぁと大きなあくびをする麻里子。
その様子に早由里はちょっと苦笑する。
「マリちゃん、あんまり夜更かしするとお肌が痛みますよ」
「う~・・・でも深夜アニメ見たいよう」
「録画してあとで見たらいいのではないですか?」
「う~・・・それだと何かあって時間がずれたりしたらお終いだしなぁ・・・」
麻里子は眠そうな顔をしながらも、深夜アニメを見ないという選択肢を選ぶことは無さそうだ。
マリちゃんらしいな。
早由里は眠そうな顔の麻里子に微笑んだ。
「「「ピルルルルー!」」」
突然体育館中に奇声が響き渡った。
女子生徒たちは驚いて、きょろきょろと声の出所を探る。
その女性生徒たちの目の前で、体育館の両脇に設えられたスタンドと、正面壇上の床に広がっていた黒い液状のものが、突然するすると立ち昇り、見る間に真っ黒なのっぺらぼうの女性の姿に変化する。
「「キャー!!」」
いく人もの女子生徒が悲鳴を上げてへたり込み、いく人かの女子生徒は体育館を逃げ出そうと入り口に向かう。
しかし、体育館から廊下に続く入り口も、グラウンドにつながる脇の扉のところにも真っ黒い女性たちが立ちはだかり、女子生徒たちの逃げ道をふさいでしまった。
「な、何なの、あれ?」
「わかりません。わかりませんわマリちゃん」
周囲に突然現れた真っ黒い全身タイツ姿の女性たちを見て青ざめる麻里子と早由里。
いったい何事が起こっているというのか。
二人はどちらからともなく手を握り合っていた。
「ピルルルルー! おとなしくしなさい生徒たち」
一人の漆黒の女性、ナイロンウーマンがマイクに向かって話しかける。
生徒たちはざわめきながらも、壇上の真っ黒い女性に眼を向けた。
「ピルルルルー。怖がる必要はありません。私たちはナイロンウーマン」
「ナイロンウーマン?」
壇上の黒い女性の言葉につぶやく麻里子。
「あれは学園長のお声ですわ。あの衣装を着ているのは学園長ではないでしょうか」
「学園長? そういえばそんな気もするね。だとすると学園長は何であんな格好しているのかな?」
「わかりませんわ。でも何か怖い」
麻里子の手をぎゅっと握り締める早由里。
麻里子はそれを見て、同じように握り返す。
少しでも早由里が怖くなくなればいい。
そう思う麻里子だった。
「今日からこの学園はナイロンクイーン様によるナイロン化の拠点となりました。あなたたちもナイロンセルの洗礼を受けナイロン化するのです。そしてナイロンクイーン様のご指示に従い、世界をナイロンに染める手助けをするのです」
「ナイロン化? ナイロンセル?」
麻里子には初めて聞く言葉だし、何がなんだかわからない。
わかっているのは、壇上の学園長をはじめ、周囲にいる女性教師全てが黒い全身タイツを着ていること。
目も鼻も耳も口も無い。
あるのはのっぺりとした頭部に何となく目鼻口の形が浮き上がっているぐらい。
よくあんな姿で息苦しくないものだ。
「こんなことなら教室で寝ていればよかった」
麻里子はそうつぶやき、早由里は思わず苦笑する。
それが麻里子は意図していなかったとしても、早由里の恐怖をずいぶんとやわらげてくれたのだった。
ナイロン化などと言われてもよくわからない女子生徒たちは、みな一様に顔を見合わせたり小声で何かを話したりざわついていた。
体育館の中央付近に身を寄せ合うようにしていた生徒たちの周囲に、いつの間にか黒いタールのような液体が忍び寄る。
それが充分に近づいた頃合いを見計らい、壇上のナイロンウーマンはこう言った。
「それではナイロン化を始めましょう」
「「「ピルルルルー!」」」
女子生徒たちの周囲で一斉に奇声が上がり、黒い液状の物体が見る間にナイロンウーマンへと変化する。
すぐに彼女たちは腕を触手状に伸ばし、生徒たちの中で比較的外側に位置していた女子生徒を捕らえると、抱き寄せてキスをするように顔を寄せてナイロンセルを流し込む。
「あぐっ、げほっ」
「イヤァァァァァッ、ぐぼっ」
「助け・・・あぐぅ・・・」
たちまち数人の女子生徒がナイロンウーマンに抱きかかえられてナイロンセルを口に入れられてしまった。
つかまった女子生徒たちは、みなのどを押さえて苦しそうに床に倒れる。
ピクピクと痙攣しながら苦しんでいるようだ。
「ヒッ・・・」
「いやぁっ、な、何なの」
他の生徒たちはおびえてただ固まることしかできない。
床に倒れたナイロンウーマンに捕まった生徒がどうなったのか、みな恐怖の思いでただ見守っていた。
やがて、床に倒れた少女たちにも変化が訪れる。
着ていたセーラー服も履いていた上靴も分解され、白い肌が黒いナイロンに覆われて行くのだ。
そして、そのナイロンが全身に広がると・・・
「ピルルルルー」
「ピルルルルー」
真っ黒いナイロンの少女たちが起き上がる。
全身を黒いナイロンの全身タイツで覆ったような姿になった少女たちが歓喜の奇声を上げるのだった。
「ピルルルルー。おめでとう新たに生まれたナイロンウーマンたち。いいえ、あなたがたはナイロンガールとでも呼びましょうか」
壇上で新たな仲間となったナイロンガールに祝福を与えるナイロンウーマン。
「「「ピルルルルー。ありがとうございます。私たちはナイロンガール。ナイロンクイーン様の忠実なしもべです」」」
一斉に唱和するナイロンガールたち。
もはや以前が何者であったかなど彼女たちには意味がなかった。
「さあ、ナイロンガールたち、仲間を増やしなさい」
「「「ピルルルルー。はい、仲間を増やします」」」
先ほどまでおびえる少女たちだったナイロンガールたちは、新たな仲間を増やすべくその腕を伸ばしていった。
「キャー!!」
「いやぁー!」
「来ないでー!」
たちまちのうちに阿鼻叫喚の渦に包まれる体育館。
幾人もの女子生徒がある者はナイロンウーマンと化した教師に、またある者はナイロンガールと化した友人に捕らえられ、ナイロンセルを流し込まれていく。
「ピルルルルー」
「ピルルルルー」
そのたびに体育館のあちこちで新たに生まれたナイロンガールの歓喜の奇声が上がり、一人また一人とナイロンガールに変えられていく。
「早由里、逃げるよ!」
「ええ、マリちゃん」
ぎゅっと握った早由里の手を引いて走り出す麻里子。
勉強は苦手だけど、躰を動かすことなら多少の自信はある。
とにかくこの体育館から逃げなければ。
入り口の周囲では、すでにナイロン化したナイロンガールたちとナイロンウーマンが阻止戦を張って、新たな女子生徒をてぐすね引いて待っている。
グラウンドに出ることができる脇の出入り口にも同様にナイロンガールたちが蠢いていた。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう・・・
麻里子は悲しくなる。
さっきまでおしゃべりしていた友人たちが得体の知れない化け物になっちゃった・・・
もし・・・
もし早由里までも化け物になっちゃったら・・・
そう考えて麻里子は首を振る。
そんなことにはさせるもんか。
麻里子の狙いはただ一つ。
体育館の両脇に設えられたコンクリート製のスタンドの上にあるガラス窓。
確かに高さはあるが、あの窓は開くはず。
そこからグラウンドに飛び降りるのだ。
下手をすると足首の捻挫ぐらいはするかもしれないが、それしか脱出の道は無い。
麻里子は早由里の手を握り締め、必死にスタンドに向かって走る。
幸いというか全身タイツの女たちは体育館の中央で右往左往している女子生徒たちを捕らえるのに夢中であり、麻里子と早由里に目をつけている者は無いように思えた。
まず、急いで窓を開け早由里を放り出す。
その後で自分も飛び降りて脱出する。
もし足を痛めたら、手近の叢に隠れてやり過ごし、携帯で助けを求めればいい。
麻里子はそこまでシミュレートし、スタンドを駆け上がった。
「あっ」
それは一瞬だった。
麻里子の手から早由里の手が離れていく。
がっちりと握っていたはずなのに、あまりにもあっけなく早由里の手は離れていってしまったのだ。
「早由里!」
振り向いた麻里子の目に、触手のように伸びた腕を早由里の胴に絡ませる真っ黒な女がいた。
「うふふふふ・・・逃がさないわよ。あなたもナイロンガールになりなさい」
「いやっ、いやぁぁぁぁぁぁ!」
「早由里!」
必死に手を伸ばして叫ぶ早由里に麻里子も懸命に手を伸ばす。
だが、ぐいぐいと早由里は黒い女に引き寄せられ、麻里子からどんどん遠ざかる。
「マリちゃーん!!」
「早由里ぃ!」
なすすべなく引き寄せられていく早由里に、麻里子はついにスタンドを駆け下りる。
早由里を助けなきゃ。
麻里子はその一心で、早由里を捕らえた黒い女に向かっていった。
「うあっ」
スタンドを駆け下りた麻里子に群がってくる黒い女たち。
すでに体育館の中では悲鳴よりもピルルルという奇声の方が勝り始めている。
新たな仲間を増やすべくナイロンガールたちが群がってくるのだ。
麻里子は必死に彼女たちを避けながら早由里に向かう。
「早由里ぃ!」
「マリちゃん、助けてー!」
必死に身をよじり、麻里子に向かって手を伸ばしてくる早由里。
だが、麻里子の目の前で、早由里を捕らえたナイロンウーマンが早由里の口に覆いかぶさる。
「早由里ぃ!!」
麻里子の方に向かって伸びていた早由里の手が力なく垂れ下がる。
麻里子は全てが終わったことを理解した。
「ピルルルルー」
やがてゆっくりと起き上がる早由里だったもの。
全身を真っ黒な全身タイツに包んだその姿は奇妙にもとても美しい。
麻里子は泣いていた。
早由里はいなくなってしまった。
目の前のあれは早由里じゃない。
早由里はいなくなってしまったのだ。
麻里子はあふれる涙を拭うこともできなかった。
「泣いているの? マリちゃん」
麻里子の前にやってくる真っ黒な女。
口が無いにもかかわらず、それは早由里の声で話しかけてくる。
麻里子がうつむいて何も答えずにいると、黒い女の指がそっと麻里子の涙を拭う。
「泣かなくていいのよマリちゃん。ちょっとだけ世界が変わるだけなの。ナイロンセルに同化するのはとても素晴らしいことなのよ」
「・・・嘘だ・・・」
麻里子はようやくそう言った。
周りではもうほとんど悲鳴は聞こえない。
黒い女たちが生まれ変わった喜びに奇声を上げている。
「嘘じゃないの。マリちゃん、私がマリちゃんに嘘言ったことある?」
麻里子は首を振る。
「無い、無いよ」
「マリちゃん、怖がらないで。あなたもナイロンガールになるの。それは素晴らしい世界なのよ」
「ホント?」
麻里子は顔を上げる。
「ええ」
「痛くない?」
「ちょっと苦しいかな。でも大丈夫。すぐに気持ちよくなれるわ」
「早由里が・・・してくれるの?」
「ええ、私がしてあげるわ」
黒い女がそう言ったあと、麻里子はしばらく黙っていた。
そして・・・
「ピルルルルー」
新たなナイロンガールの産声とも言うべき奇声が体育館に広がった。
******
静寂に包まれる体育館。
時刻は午前10時。
あれから一時間ほどしか経っていない。
ざわめきは消え、無言で整列する黒い少女たちの姿が広がっている。
壇上とスタンドにはこれも黒い女性たちが居並び、新たな学園の門出を祝うかのようだ。
やがて壇上に一人の黒い女性が現れる。
凛とした姿に周囲にぴんとした張り詰めた空気が流れ、壇上の女性が只者ではないことをうかがわせた。
「ピルルルルー。新たに生まれしナイロンガールたちよ。私はナイロンクイーン」
「「「ピルルルルー! ナイロンクイーン様。私たちはナイロンガール。ナイロンクイーン様の忠実なしもべです。どうぞ何なりとご命令を」」」
一斉に唱和する黒い少女たち。
目も鼻も口も無いその頭部からは表情をうかがうことはできないが、彼女たちはみな一様に誇らしく胸を張っている。
「この学園はナイロン化の拠点となりました。お前たちはこれより家に帰り、母親や姉妹たちをナイロン化しなさい。そして・・・ナイロン世界に男は不要。男どもは始末するのです。いいですね」
「「「ピルルルルー! かしこまりましたナイロンクイーン様。女はナイロン化し男は始末します」」」
「ナイロンウーマンたちも行きなさい。この町をナイロン化するのです」
「「ピルルルルー! かしこまりましたナイロンクイーン様」」
体育館の両脇に控えるナイロンウーマンたちも一斉にうなずいた。
「では行きなさい」
「「「ピルルルルー」」」
一斉に体育館を出て行くナイロンウーマンとナイロンガールたち。
世界のナイロン化が始まったのだった。
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
現在一般の方々のご参加も受付中です。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。
それでは次回作でまた。
- 2007/10/11(木) 19:12:35|
- ナイロンウーマン
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ナイロンウーマン増殖編の二回目です。
新たな犠牲者が次々と・・・
そろそろ日付も変わろうかという時間。
一台の車が学園の駐車スペースに止められる。
慌てたように車のドアを開けて出て来る一人の女性。
地味目のスーツを着てはいるものの、若くみずみずしい躰の張りは隠せない。
長い髪を後ろでまとめた彼女は、早足で職員用玄関に入ると、靴を履き替えるのもまどろっこしそうに一目散に学園長室へ向かっていった。
慌ただしくノックされる学園長室の扉。
「学園長、西丘です。誰に何があったんですか?」
返事を聞くのももどかしい。
いったい誰がどうしたというのだろう。
先ほどから西丘浅海はそればかり考えていた。
クラスの生徒には問題となるような娘はいないはず。
みんないい娘たちばかりだ。
そりゃあ、時々若気の至りでいさかいはあるにせよ、陰湿ないじめとは縁遠いクラスのはずだった。
だから、浅海がまず思い浮かんだのは事故。
事故か何かで生徒が大怪我でもしたのではないかということ。
たとえ事故だとしても聖リオン女学園にとってはイメージダウンになりかねない。
だから学園長は問題が起きたといったのではないのだろうか。
『ピル・・・どうぞお入りなさい』
「失礼します」
浅海はまったく無造作に扉を開ける。
「学園長、いったい何が・・・ えっ?」
学園長室に入った浅海の前に学園長はいなかった。
重厚な机が奥に鎮座し、そこに座っているはずの学園長はいなかったのだ。
「えっ?」
慌てて左右を見回す浅海。
だが、学園長室には誰もいない。
床に敷かれたふわふわの絨毯の上に、なぜかタールのようなどす黒くどろっとした液体が広がっているだけ。
いったい学園長はどうしたのか?
いったい誰がこんなものを床にぶちまけたのか?
浅海は何がなんだかわからなくなった。
「が、学園長、どこですか? ふざけてないで出てきてください」
浅海は徐々にいらだってくる。
こんな時間に呼び出しておいて、ふざけるなんてどうかしているわ。
『ピルルルルー。ふざけてなどいないわ。私はずっとあなたの前にいるわよ』
室内から聞こえてくる声に浅海はビックリした。
その声が足元から聞こえてきたような気がしたのだ。
「ど、どういうこと?」
浅海は恐る恐る床の黒い液体に目を落とす。
どろっとした感じの液体だ。
だが、別に異臭を放つでもないし・・・
これはいったい何なの?
『うふふふ・・・あなたの目の前にいるって言ったでしょ』
突然床のどろっとした液体の中心部が盛り上がる。
「えっ?」
浅海は一歩あとずさる。
液体からはみるみるうちに太い紐のようなものがひょろひょろと上に向かって伸び始め、やがて人の背丈ぐらいで止まったかと思うと、急速に人の形を取り始めた。
「ええっ、何これ?」
浅海が口元に手を当てて驚いているうちに、液体は完全に人の形、しかも胸が膨らみ腰がくびれた女性の形になったのだ。
それはまさに裸の女性に薄いナイロンの全身タイツを着せたような姿。
頭のてっぺんから脚のつま先まで真っ黒なナイロンに覆われた女の姿だった。
「ピルルルルー、いかがかしら西丘先生。生まれ変わった私の姿は?」
腰に手を当てて少しポーズを取る真っ黒な女。
目も鼻も口も耳もなく、かすかに凹凸がそれらがあったであろうことを伺わせるに過ぎない頭部。
すべすべで滑らかなナイロンによって、余計に艶めかしく感じる胸の膨らみと腰のくびれ。
ある意味それは美しかった。
だが、同時に不気味でもあったのだ。
「が、学園長なんですか?」
浅海は何がなんだかわからなかった。
こんな時間に呼ばれて学園に来てみれば、学園長が得体の知れない存在になってしまっていた。
こんなことが信じられるはずが無い。
冗談はやめてと一蹴してしまいたいぐらいだった。
だが、何かが・・・
人間の動物としての危機意識のようなものが、目の前の真っ黒い女がただの全身タイツを着た学園長ではないことを教えてくれていた。
「ええ、つい先ほどまではそうでしたわ。でも、今の私はナイロンウーマン。偉大なるナイロンクイーン様の忠実なしもべ」
「ナイロン・・・ウーマン・・・」
胸に手を当てて誇らしげに語る黒い女に浅海は底知れぬ恐怖を感じる。
これはまずい。
ここにいてはいけない。
感覚が必死に警報を発している。
浅海はそろそろと背後のドアのノブに手を伸ばした。
ヒュッと空気を切る音がする。
浅海は一瞬何の音かと思ったが、気が付くとドアノブにまわそうとしていた右の手首に黒いロープのようなものが巻きついたことを知った。
「えっ?」
「ピルルルルー。ダメよ西丘センセ。逃がしはしないわ」
そのロープのようなものが、目の前に立っている黒い女の左手が伸びたものだとわかったとき、浅海の恐怖は限界を超えた。
「キャァァァァァァァァ!」
悲鳴を上げて逃げ出そうとする浅海。
だが、彼女の右手は黒い女の伸びた手に捕らえられ、逃げ出すことができない。
必死に右手に巻きついた“触手”とも言うべきひも状のものを引き剥がそうとする浅海。
しかし、その間に目の前の真っ黒い女は肩や胸の先、背中の肩甲骨の辺りからも同じような“触手”を伸ばし、浅海を絡め取って行く。
「いやぁっ! やめてぇっ! 助けてぇっ!」
必死に逃れようとする浅海。
だが、その躰には次々と“触手”が巻きつき、身動きが取れなくなってしまう。
「いやぁっ、お願い助けてぇ・・・」
恐怖と逃げられないという絶望で泣き始める浅海。
気丈で芯の強い女性だが、さすがに耐え切れなくなったのだ。
「ピルルルルー。バカね、泣くことなんてないわ。あなたもこれから生まれ変わるのよ。素晴らしいナイロンセルによってね」
浅海の躰をじわじわと引き寄せ、優しく言い聞かせるナイロンウーマン。
そして、引き寄せた浅海を抱き寄せ、その唇に自らの口のあったあたりをそっと押し当てた。
「むぐっ・・・」
静かになる学園長室。
やがて・・・
「ピルルルルー!」
生まれ変わった浅海の歓喜の声が響いてきた。
******
「はわわー、ヤバいヤバい、遅れちゃう」
ラッシュにはいま少し早い駅前を駆け抜け、聖リオン女学園に向かう一人の女性。
紺のスーツのタイトスカートからはナチュラルベージュのストッキングに包まれた若々しい脚が覗いている。
黒のローヒールのパンプスがせかせかと動き、少しでも早く学園に着こうと焦っているようだ。
肩口までの髪を風に嬲らせ、腕時計に目を落とす。
「何とか間に合いそう。新しい学園長になったばかりで教頭のハゲも張り切っているからなぁ・・・ 遅刻なんてしたら・・・」
風は充分に暖かいはずなのに、なぜか彼女の躰はぶるっと震える。
新人教師である源本美帆(みなもと みほ)にとっては、それだけ恐怖の相手であるのだ。
朝早い生徒たちのまばらな登校と重なりながら、急ぎ足の美帆は聖リオン女学園の校門をくぐっていった。
「おはようございます」
挨拶の言葉を口にしながら、女性職員用更衣室のドアを開く美帆。
いつもなら先輩教師たちがにこやかに返事を返してくれるのだが、驚いたことに更衣室には誰もいない。
「えっ?」
あまりに遅くに来たので、もうみんな職員室に行ってしまったのか?
そんな疑問が浮かんだが、実際はそれほど遅くなったわけではない。
朝の定例職員会議だってまだ時間はある。
一人も更衣室にいないというのは驚きだった。
「みんなもう職員室に行っちゃったのかな」
ちょっと寂しく感じた美帆だが、とりあえず準備をするために自分のロッカーのところへ向かおうとする。
「ん?」
すると、彼女のロッカーの前の床にどす黒い水溜りのようなものがあることに気が付いた。
「な、何これ?」
見たところ光沢があり、黒い水というよりもタールかなんかのように見える。
「だ、誰? こんなことしたの・・・」
まさか誰かのいじめとも思われないが、朝から気分が殺がれることはおびただしい。
とにかく何とかしちゃわなきゃ・・・
美帆は雑巾かなんかを持ってこようと入り口の方を向く。
すると、先ほどまではまったく気が付かなかった黒い水溜りが入り口の床にも広がっているではないか。
「え、ええっ? いつの間に?」
慌てて自分の上履きを確認する美帆。
知らずに踏んでしまっていたら、液体がこびりついているかもしれないのだ。
だが、どうやらその様子は無い。
ホッとして顔を上げた美帆は、目の前の床に広がる液体がヒュルヒュルとひものように上に伸びて人間の形を作るのを見た。
「ひぃっ!」
驚いてあとずさる美帆。
しかし無駄だった。
ロッカーの足元からも人影が立ち上がり、背後から美帆の体を羽交い絞めにする。
「ヒッ、もごご・・・」
悲鳴を上げようとしたものの、黒い腕が素早く美帆の口を押さえてしまい、声をあげることができなくなる。
「ピルルルルー。源本センセ、あなたもナイロンウーマンに生まれ変わりなさい」
ゆっくりと近づく真っ黒な人影。
「むぐ・・・むぐぐ・・・」
恐怖におののく美帆の口にどろっとしたものが流れ込んできた。
「ピルルルルー」
やがて更衣室からは歓喜の声が聞こえてきた。
「おかしいですなぁ。教頭先生、何か聞いておりませんか? もうすぐ朝の職員会議だというのに女の先生が誰も来ないなんて・・・」
白衣を着た科学担当の中年男性教師が首をかしげる。
職員室の机は半数以上が無人のままだ。
しかもいずれもが女性教師ばかり。
職員室で顔を合わせているのは男性教師たちだけなのだ。
これはどう考えても妙すぎる。
「いや、私も何も聞いておりませんよ。しかし、女性だけいないというのは変ですなぁ。ちょっと探してみましょうか」
ハゲ頭の教頭も首をかしげつつ立ち上がる。
「そうですね。このままじゃ授業もできませんし」
それを見て他の男性教師たちも立ち上がった。
「ん?」
「どうしました、山音(やまね)先生?」
立ち上がった後足元に目を落としている初老の国語教師に教頭が声をかける。
いったい何を見ているのか?
「あちこちに黒い液体が・・・」
「えっ? あ、本当だ。いつの間に?」
「こちらも」
「ここにも」
山音先生の言葉に次々と足元を見る男性教師たち。
確かに職員室の床のあちこちに真っ黒いタールのようなものが広がっている。
「な、なんだこれは? いったいなぜこんなものが?」
教頭が恐る恐る床に顔を近づけて、この液状のものが何かを確かめようとした時だった。
「「「ピルルルルー」」」
職員室中に一斉に声が響き、液状の物体からひも状のものがヒュルヒュルと立ち昇る。
「な、なんだ?」
驚きあっけに取られる男性教師たちの前で、立ち昇ったひも状の黒い液体は見る間に人間の形を取り始めた。
「な、何なんだ、これは?」
教頭も唖然としてその様子を見ているしかない。
やがて黒い液体は全て真っ黒な女性たちへと変化し、滑らかなボディラインを晒していた。
「ピルルルルー。この学園はたった今よりナイロンクイーン様によるナイロン化の拠点となりました。私たちはナイロンセルにより生まれ変わったナイロンウーマン。ナイロンクイーン様の忠実なしもべですわ」
教頭の隣に現れたナイロンウーマンが誇らしげに宣言する。
すでに職員室には十数体のナイロンウーマンが出現していた。
夕べのうちにナイロンウーマンへと生まれ変わった瑠美と浅海によって、朝からほぼ全ての女性教師がナイロンウーマンへと変化させられていたのである。
中にはナイロンセルに拒否反応を起こして細胞が崩壊してしまった女性もいたが、それらはほぼ例外なく加齢により細胞活動が低下している者たちであり、40代を境にナイロンウーマンになれずに崩壊していったのだ。
「そ、その声は学園長? わ、悪ふざけはやめていただきたい!」
得体の知れない恐怖を感じた教頭だったが、目の前の黒い女性の声が学園長らしいとわかると怒りがこみ上げる。
朝の忙しい時に女性教師たちとこんな格好で男性教師をおちょくっていると思ったのだ。
「この朝の忙しい時に! ばかばかしい!」
いらだったように荒々しく席に着こうとする教頭。
こんなバカな話は無い。
「ピルルルルー。ナイロンセルと同化もできぬ無意味な存在たち。男などナイロン世界には不要」
「「「ピルルルルー。男など不要!」」」
ナイロンウーマンたちが一斉に唱和する。
「な、何!」
教頭が何を言うかと怒鳴りつけようとしたその瞬間だった。
「死ね!」
十数体のナイロンウーマンの全ての全身から無数の先の鋭くとがった触手が一斉に広がった。
「はぐぁっ」
「ひぐっ」
「げほっ」
職員室の窓に血しぶきが飛び散る。
一瞬にして職員室は無数の槍と化した触手によって覆われ、男性教師はそのすべてが数秒の間に全身をズタズタに貫かれ、あっという間に絶命した。
カタン・・・
初老の国語教師山音のかけていたメガネが床に落ちる音がした。
続いてナイロンウーマンたちから伸びていた槍状の触手がするすると彼女たちの躰に戻って行き、貫かれていた男たちの躰がどさどさと床に転がって行く。
「ピルルルルー。これでいいわ。さあ、さっさと片付けちゃいましょう」
「「「はい」」」
ナイロンウーマンたちは一斉に頷き、自らの躰を液状化し始める。
やがて液状となったナイロンウーマンたちは、男性教師たちの死体に覆いかぶさるように動いていき、覆った死体を分解して行く。
衣服も肉体も骨や髪の毛すらも残さずに分解し、ナイロンセルに取り込むのだ。
わずか数分で職員室の床は磨き上げられたようにぴかぴかになっていた。
「窓や机の上に飛び散った血は放って置きなさい。これから特別の学生集会を開きます。生徒たちを体育館に集合させなさい」
「ピルルルルー。かしこまりました」
ナイロンウーマンの一人がすぐさま放送機器を操作する。
最後の仕上げが始まるのだ。
現在「海」祭り開催中です。
会場はリンク先から行けますので、どうぞ足を運んで下さいませ。
現在一般の方々のご参加も受付中です。
ぜひぜひ皆様の作品をお寄せ下さい。
お待ちしております。
それではまた。
- 2007/10/10(水) 19:25:09|
- ナイロンウーマン
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今日から三日連続でSSを一本投下します。
先月9月19日に掲載した「ナイロンクイーン」の蛇足です。
蛇足という割りには長くなってしまったので、三日連続の投下となりますが、楽しんでいただければと思います。
「ナイロンウーマン増殖編」
静まりかえった郊外の街並み。
ひときわ広い一画を占めている建物群。
フェンスに覆われたグラウンドが月明かりに照らされている。
この時間、誰の出入りもなくなった校門には「聖リオン女学園」と記されていた。
「ふう・・・ こうしてみると学園長という立場も結構楽じゃないんだわ・・・ 伯父様がぼやいていたのもよくわかるわ」
重厚なデスクについていろいろな書類と格闘している古玉瑠美(こだま るみ)。
まだ三十代前半で、つい先日までは外資系企業で係長をしていたのだが、伯父の急病にともないこの私立聖リオン女学園の学園長に無理やりさせられたといっていい。
「まったく・・・伯父様も強引なんだから・・・」
苦笑いしながら書類にサインを入れていく。
学園長としての引継ぎにともなう雑処理がたくさんあるのだ。
ほとんどはサインを入れるだけの物なのだが、量が半端ではない。
結局、今日もすでに20時を過ぎていた。
うねうねと蠢く漆黒の水溜り。
アメーバのようにうねうねと動き、それがただの水溜りではないことを示している。
その不気味な液状の物体が二つ。
じわじわと流れるようにある建物に向かっていた。
その建物は・・・聖リオン女学園。
入り口のドアと床の隙間から難なく侵入し、ずるずると廊下を流れて行く黒いアメーバ。
やがてそれは、夜の暗闇の中、一つの部屋の前で動きを止める。
そして、ゆっくりとドアの隙間から染み込むように室内に入っていった。
「うん・・・っと、もうこんな時間か・・・残りは明日にしてもう帰ろうかしら」
瑠美は伸びをして首を左右に傾ける。
見れば時計はもう21時近く。
夕方に軽くお菓子を口にしただけなのでお腹も減っている。
「やれやれ・・・でも明日ぐらいには目処が立ちそうね」
だいぶ減った書類の山を前にして苦笑する瑠美。
これが終われば一息つけるだろう。
学園の教師たちともゆっくり面談できるかもしれない。
まだまだ学園内のことはわからないことが多いのだ。
いろいろと話したいことはいっぱいある。
『うふふふ・・・ それはよかったわね』
いきなり室内に声がして瑠美は驚いた。
この学園長室には誰もいないはずなのに・・・
事実室内を見渡しても、自分のほかには誰もいない。
「だ、誰? 誰なの?」
瑠美はきょろきょろしながら声の主を探す。
「えっ? あれは?」
見ると学園長室の応接セットの置かれた床、そのふかふかの絨毯の上にどす黒いタールのようなものが広がっていた。
「何? 何なの?」
いったいいつの間にあんな液体が広がったのだろう。
ここにはタールなんてあるはず無いのに・・・
瑠美が不思議に思う間もなく、そのどす黒い液状の物体の中心がせり上がり始めた。
「ヒッ!」
小さく悲鳴を上げ、思わず立ち上がる瑠美。
黒い液体は見る間に形を整えて行き、真っ黒ですべすべとしたナイロンの人型になっていく。
「な、何なの?」
瑠美は口元に手を当てて一歩二歩とあとずさる。
『ピルルルルルー』
やがて完全に人の形となった黒い液体は、奇妙な声を発声する。
そこには全身をナイロンの全身タイツですっぽりと覆われた女性が立っていた。
両の胸は丸みを帯びて膨らみ、腰は適度にくびれ、腰から両脚にかけて流れるようなラインを形作るこの人影はまさしく女性。
だが、それはあまりにも異形。
髪の毛はまったくなく、すべすべのナイロンマスクが頭の全てを覆っている。
目も鼻も口もなく、あるのはそれらがあったであろうことを示す凹凸だけ。
指先も真っ黒に覆われ手袋に包まれたかのよう。
つま先も真っ黒なタイツを穿いたように指先が無くなっていた。
「あ、あなたはいったい・・・」
いきなり液状から人型になった真っ黒な女性に瑠美は唖然としていた。
あまりのことにどうしていいのかわからない。
「私はナイロンクイーン」
漆黒の全身タイツの女性はそう言った。
「ナイロン・・・クイーン?」
瑠美は小さく繰り返す。
いったい何者なの?
どうやって入ってきたの?
さっきのは何かのトリックなの?
誰かが私を驚かそうとしているとでも言うのかしら?
幾つもの疑問がわきあがる。
「ナイロンクイーンだかなんだか知りませんけど、ここは聖リオン女学園の学園長室です。悪ふざけはやめて出て行ってください」
得体の知れない不気味さはあったものの、相手が人間の形を取ったことで、少しほっとしたのも事実である。
だから、瑠美は相手に対して立ち去るように言ったのだ。
「うふふ・・・ この学園はナイロンセルを広めるにはうってつけだわ。まずはあなたからね」
まったく表情が見えないにもかかわらず、瑠美は目の前の全身タイツの女が笑みを浮かべたように感じた。
そしてその笑みがぞっとするものであることも。
「もしもし、すぐに学園長室に来ていただけますか? 侵入者です」
机の上の電話を取り、内線で警備室にかける瑠美。
だが、警備員の返事は無い。
「もしもし、もしもし!」
血の気が引く瑠美。
まさか・・・
「くすくす・・・ 警備にあたっている男どもはみーんな殺しましたわよ」
いきなり背後から抱きすくめられる瑠美。
いつの間に近寄ったのか、全身タイツの女がもう一人背後にいたのだ。
瑠美が驚いたことに、背後の女の腕はまるでホースか触手のように長く伸び、瑠美の躰にぐるぐると巻きついてくる。
「い、いやぁぁぁぁぁぁ」
悲鳴をあげ受話器を取り落とす瑠美。
両腕もグルグルと巻かれてしまって身動きが取れなくなる。
「うふふふ・・・ よくやったわ」
悠然とその様子を見ているナイロンクイーン。
すらっとした姿勢で立っているその姿はまさに女王。
「ありがとうございます、ナイロンクイーン様」
嬉しそうに瑠美の耳元で答える全身タイツの女。
クイーンによってナイロンウーマンと化した織江だ。
「うふふ・・・ さあ、彼女にもナイロンセルを注入してあげて」
「はい、ナイロンクイーン様」
「い、いやぁっ! たすけてぇっ!」
必死に身をよじる瑠美。
だがぎっちりと絡みついたナイロン触手はまったく身動きを許さない。
すべすべしている肌触りは気色悪くは無いものの、瑠美にとってはそれどころではなかった。
「くすくす・・・ あなたもナイロンウーマンになるのよ」
黒い全身タイツの女が顔を近づけたかと思うと、瑠美の唇にマスクの口が押し付けられ、そこからどろっとしたものが流れ込む。
「ん・・・んぐっ」
必死で飲み込まないようにしたものの、液体はまるで意思があるかのようにのどの奥に入り込んで行く。
のどを滑り降りて行く液体の感覚に、瑠美は恐怖を感じたが、どうすることもできなかった。
******
「うふふふふ・・・」
先ほどまで瑠美が座っていた革張りのいすに腰掛けたナイロンクイーンが小さく笑う。
その足元には真っ黒な全身タイツに包まれた姿になってしまった瑠美が、ナイロンクイーンの組んだ脚に頬擦りをしていた。
「ピルルルルー。ああ、ナイロンクイーン様。とっても気持ちいいです。ナイロンセルによって私はナイロンウーマンに生まれ変わりました。これからは身も心もナイロンクイーン様にお捧げいたしますわ」
「ピルルルルー。よかったですねぇ。これであなたもナイロンウーマン。一緒にナイロンクイーン様にお仕えいたしましょ」
同じように床に座ってナイロンクイーンの左手に頬擦りするもう一人のナイロンウーマン。
それがかつて織江と呼ばれていたことなど、本人はもはや忘れているかもしれない。
「ええ、もちろんですわ。私はナイロンクイーン様の忠実なしもべです」
ナイロンクイーンの右足の甲の部分に頬擦りをしながら、うっとりとも感じられる口調で答えるナイロンウーマンとなった瑠美。
先ほどまでの学園長であった姿はまったくうかがえない。
「ピルルルルー。すべすべでとても気持ちがいいです、ナイロンクイーン様」
「うふふ・・・ それはよかったわ。ナイロンの感触は最高ですものね。でも、いつまでそうしているつもりかしら?」
ギクッと弾かれたように立ち上がるナイロンウーマン瑠美。
「申し訳ありません。直ちに始めます」
ナイロンクイーンに一礼すると、彼女はすぐに机の上の電話の受話器を取る。
「もしもし・・・西丘先生ですか? 古玉です。ええ、学園長の」
学園の教師西丘浅海(にしおか あさみ)に電話をかけ呼び出すのだ。
「ええ・・・緊急です。先生のクラスの生徒がちょっと問題を起こしてしまいまして・・・ ええ・・・ ええ・・・ 大至急学園に来て頂けますか? ええ・・・ お待ちしています」
受話器を置くナイロンウーマン。
「ピルルルルー。すぐに西丘先生が参りますわ。彼女は優秀な教師です。きっとナイロンクイーン様のお気に召すものと思われますわ」
「そう。それは楽しみね。ではあなたが彼女をナイロン化しなさい」
「ピルルルルー。よろしいのですか?」
思ってもいなかった言葉に喜びを感じるナイロンウーマン瑠美。
優秀な女性教師をナイロン化できるなんて素晴らしいことだ。
「ええ、この学園はこれからナイロン化の拠点になるわ。その指揮をあなたが取るのよ」
「ピルルルルー。光栄ですナイロンクイーン様。この学園は私が全てナイロン化し、ナイロンクイーン様に捧げますわ。ピルルルルー」
歓喜の声を上げてナイロンクイーンに跪く。
ナイロンの世界を広める喜びに打ち震えるナイロンウーマン瑠美だった。
現在「海」祭り開催中です。
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現在一般の方々のご参加も受付中です。
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- 2007/10/09(火) 19:36:54|
- ナイロンウーマン
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本日は札幌歴史ゲーム友の会にお邪魔させていただきました。
全部で六人が参加。
私もゲームを堪能させていただきました。
柿崎さんはゲストの炎の魂コレクターさんと「Hells Highway」VGをプレイなさっていたようで、第30軍団の劇的な突破にあった柿崎さんの独軍がアーンエムまでの道路をふさぐことができなかったようです。
カッパさんとMどりっひさんは「エスコートフリート」アドテクノスと「項羽と劉邦」GJをプレイなさっていたようです。
私は札幌辺境伯さんと「西部戦線1914:栄光の終焉」CMJをプレイしました。
札幌辺境伯さんが協商国軍、私が独軍を担当。
札幌辺境伯さんは仏軍のプラン17を1ターン目で全て行なってしまい、独軍左翼に圧力をかけてきました。
私はその攻撃に幻惑された・・・わけじゃないんですが、シュリーフェンプランを無に帰してしまうような動きをしてしまいます。
独軍はベルギーへは最低限だけをまわし、アルデンヌの森を突破するべく部隊を移動させます。
これが大失敗だったと言っていいでしょう。
第二次世界大戦とは違い、アルデンヌの森はうっそうとして独軍の動きを阻んでしまいます。
アントワープを落とし、アルデンヌの森を抜けた頃には仏軍は英軍とともにしっかりと防衛線を張ってしまいます。
仏軍はプラン17を終えた後、戦線を縮小して後退しました。
その動きに呼応して独軍は前進、史実とは逆に独軍左翼による仏軍攻撃が始まりました。
その後は双方ともに消耗戦。
10ターン目からは塹壕を掘り始め、補充と消耗の繰り返しになりました。
結局13ターンで時間切れ。
戦線が膠着して終わりました。
10ターンまでの機動戦と、それ以後の塹壕での膠着戦はまさに第一次世界大戦の雰囲気。
楽しい時間を過ごさせていただきました。
札幌辺境伯さんありがとうございました。
現在「海」祭り開催中です。
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- 2007/10/08(月) 19:59:06|
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こちら北海道では、昨日高校野球を題材にしたアニメ「おおきく振りかぶって」が終了しました。
投手がやりたくて仕方ないのに自分に自信の持てない投手三橋君と、その三橋君をリードして彼の持つ抜群のコントロールを利用し打者を翻弄して行く捕手阿部君を中心とした、西浦高校野球部員たちの野球を通じた青春ドラマといえるでしょうか。
いやー、久々にスポーツアニメに嵌まりました。
原作は読んだこと無いんですが、現在も連載中のひぐちアサ氏のマンガなんですよね。
最初はなんてことなく、ただ新番組がはじまったから見てみようかって程度の気持ちで見たんですけど、いきなりいじめを受けているような三橋君のシーンから始まり、逃げるように中学の仲間を振り切って西浦高校に入ってくるんですが、結局野球を忘れられなく、グラウンドを見ているうちにパワフルな女性監督百枝さんに引っ張られちゃうんですが、この百枝監督がインパクトありました。
細身で美人で巨乳なのに、すざまじい握力の持ち主で甘夏みかんを握りつぶしてジュースにしちゃうほど。
このシーンにやられちゃいましたね。
へなちょこでおどおどして自分の投球に自信がまったく持てないくせに、マウンドは誰にも譲りたくないという気持ちだけは人一倍の三橋君。
その三橋君とバッテリーを組み、彼を一所懸命に理解しようとしてリードする阿部君。
天才的な打者で引く手数多だったにもかかわらず、自宅から自転車で通えるというだけで西浦を選んだ田島君。
女性監督と聞いて最初はやる気無さそうだったにもかかわらず、いったんチームに入ると主将としてチームを引っ張る花井君。
チームのみんなが生き生きしていました。
また、このアニメは何よりリアリティがありました。
甲子園予選が始まると、スタンドには応援団が詰め掛けるんですが、ブラスバンドや応援団がまさに高校野球の雰囲気そのままに盛り上げてくれました。
権利関係とか大丈夫だったのかとこちらが心配するぐらい、「ルパン行きまーす」とか「次ヤマトでお願いします」とかのセリフと甲子園の高校野球中継でおなじみのブラスバンドアレンジされたアニメソングがしっかり作中に流れます。
まさに気分は高校野球を生で見ている気分です。
全25話ということで、半年間楽しませていただきました。
正直なところもっと見せて欲しかったです。
原作がまだ連載中ですので、第二期があればなぁと思いますね。
終わるものあれば始まるものもあります。
昨日から「機動戦士ガンダム00(ダブルオー)」が始まりました。
ガンダムは不滅だなぁ。
全ての戦争を終わらせるために武力行使ですか。
うーん・・・まあアメリカがやろうとしていることと同じですかねぇ。
力での押さえつけには反発が絶対あると思うんですけどねぇ。
まあ、これからのストーリー展開に期待しましょう。
個人的には大塚周夫さんが出ていたので嬉しかったです。
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- 2007/10/07(日) 19:45:48|
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土曜日はゲームの日。
今日も先輩においでいただいてウォーゲームとしゃれ込みました。
これがまた楽しいんだ。
今日はちょっと古いですがコマンドマガジン日本版30号付録の「西部戦線1914:栄光の終焉」をプレイしました。
このゲームは第一次世界大戦最初のドイツ軍によるフランス及びベルギーへの侵攻作戦を描いたゲームです。
いわゆるシュリーフェンプランという奴ですね。
A1フルマップの三分の二ぐらいに独仏国境やベルギー、それにパリまで含まれたフランスが描かれています。
このゲームはヒストリカル配置シナリオと自由配置シナリオがあるのですが、今日は初めてのプレイということでヒストリカル配置を採用。
選択ルールに関してはさほど難しいルールもないようなので、全て取り入れるということにします。
私がフランス・ベルギー・イギリスの協商国軍。
先輩がドイツ軍を担当することにしてプレイ開始です。
初期配置を終えてみて感じることは、なんと言ってもお互いの主攻軸がまったく別物だということです。
わがフランス軍は、(フランス南部から見て)左翼に重点を置き、17号計画に基づいてヴォージュ山脈のある高地方面に進出、ストラスブール(第一次大戦開始前はドイツ領となっていた)やザールブリュッケンを目指します。
普仏戦争で奪われた領土の奪還ですね。
一方ドイツ軍はフランス軍の重点が置かれた(独軍から見て)右翼の高地地帯では守勢を貫き、(独軍から見て)左翼のベルギーへ侵攻。
さらに大西洋岸の平野部を蹂躙して一大前進を行い、高地地帯のフランス軍を大包囲するというシュリーフェンプランが基本です。
つまり、どちらも自軍左翼が重点となるということなのです。
ターンは協商国軍側からとなるので、フランス軍が進撃開始。
このゲーム、選択ルールを取り入れると、移動後は戦闘ができません。(行軍戦闘は別)
最初から接敵しているユニットのみが準備攻撃を行なえるのです。
フランス軍は左翼全線で前進を開始し、独軍前線に接触しますが、そこまで。
戦闘は次のターンまで待たなくてはなりません。
独軍もベルギーへの侵攻が開始されます。
こちらも最初のターンは慎重に接敵のみ。
本格的な戦闘は2ターン目からとなりました。
2ターン目以降はフランス軍がストラスブールやザールブリュッケンに迫りつつ、ベルギー方面で独軍にベルギー軍が蹴散らされるという状況となりました。
お互いの軍団が次々と疲弊してステップロスして行きます。
フランス軍はベルギー方面の危機を感じてはおりましたが、遮二無二ストラスブールへの突進を行ないます。
しかし、高地に陣取る独軍は防御効果が高く、こちらがいくら攻撃しても痛み分けの状態が続きます。
そうこうしているうちに6ターンにはベルギー軍がほぼ壊滅。
広い平野部にわずかの英軍と仏軍しかいないという状況になり、パリががら空きになってしまいます。
ここにいたり仏軍司令部は攻勢を放棄。
一転守勢に入るべく、軍勢を左翼方面より引き上げます。
これから戦略移動で左翼の部隊を右翼に回さねば・・・という7ターン終了時で時間切れ。
今日はここまでとなりました。
このゲーム、あまりプレイされていると言う話を聞きません。
今日のプレイは、お互いにルールを読みながらの手探り状態でしたので、一概には言えないのですが、双方とも攻めると苦しいという第一次戦っぽい雰囲気は感じられたと思います。
特にフランスは、当時のドクトリンが攻撃一辺倒であったせいもあり、防御に回るともろいです。
あちこちで独軍の攻撃を受け、部隊が磨り減って行きました。
どうにか限界を迎える前に塹壕を掘れるようになるターンまで粘るというのがフランス軍の基本かもしれませんね。
一方の独軍はとにかくベルギーを早期に突破して、平野部を行軍戦闘を駆使してパリを目指すというのが基本のようです。
なかなか大変でしょうけどね。
お互いに苦しい苦しいと言いながらのプレイはまさに第一次世界大戦かなと思いました。
30ターンという長いゲームですが、それなりに楽しめそうです。
苦しいと言いながら楽しんでいるんですからね。
また再戦してもらおうかな。
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- 2007/10/06(土) 20:14:33|
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参考文献にさせていただいています半藤一利様の「ノモンハンの夏」には、現地ノモンハンの戦場の様子が細かに描写されております。
それを見ると、現地では大きな蚊が飛び回り、露出している皮膚を見るとたちまち群がってきて血を吸うといいます。
排便の時など、ヨモギをいぶしておかないと、お尻がまっくろになるほどたかられるそうです。
砂漠のような乾燥地帯ですので、昼間と夜間の気温の差が大きく、昼は真夏の太陽が炎暑をもたらし、夜は冷気が0度近くにまで気温を下げるといいます。
加えて現地の日本軍は、短期決戦を考えていましたので、充分な後方支援を受けられていません。
弾薬はもとより食料なども充分とはいえない有様でした。
何より給水の手立てを講じていなかったため、兵士たちは水の不足に悩まされたといいます。
水、食料、弾薬、炎暑、冷気、さらには蚊。
日本軍兵士の苦労は察するに余りあります。
そんな中で日本軍は7月を終えました。
関東軍司令部はソ満国境全線でのソ連軍の攻撃を予想し、攻勢を中止。
陣地での防御持久に切り替えて、冬越しをしてでもこの場に残る考えでした。
7月の日本軍の攻勢中、現地ソ蒙軍司令官ジューコフは、最終的な反撃に備えて部隊の増援と武器弾薬の集積を行なっておりました。
その手配が整うのは8月中旬。
ジューコフは8月中旬から一大攻勢をかける腹積もりでした。
ですが、ただ漫然と物資の集積に当たっていたわけではありません。
局所的な反撃が時々行なわれ、そのたびに双方に損害も出ます。
8月1日、2日。
ソ連軍の攻撃が行なわれ、日本軍の各陣地が圧迫されますが、日本軍は兵士たちの応戦で何とか食い止めます。
ソ連側もある程度の被害が出たことで攻撃を中止。
戦いは小康状態に移りました。
この一時的小康状態を利用し、関東軍は第23師団などの損耗兵力をやや補充します。
そして、ここに関東軍司令部の独走を食い止めるべき手段として、参謀本部は現地に第6軍という中間司令部を設置します。
これは表向きは、現地が第23師団だけではなく砲兵団や工兵隊など多岐に渡る部隊が派遣されているため、その指揮を関東軍司令部の直接指導の下、第23師団長小松原中将が行なうのでは不都合も多かろうということで、一段上級の司令部を設置して、指揮系統をすっきりさせようというものでした。
しかし、内実はそうではなく、無論指揮系統の整理は重要ですが、それ以上に現地部隊と関東軍司令部とを切り離すのが目的でした。
第6軍司令部を設置して関東軍の影響力を弱め、参謀本部主導でノモンハンの戦いを導こうとしたのです。
8月4日。
司令官荻洲立兵(おぎす りゅうへい)中将以下第6軍設置。
ただし、現地着任は先のことで、8月12日にようやくハイラルに到着しています。
関東軍司令部はこの第6軍設置を冷ややかに見ていたようで、大変なところをご苦労さん、後は任せましたよといった感じであったようです。
もはやノモンハンよりも満州全土で起こるかもしれないソ連との戦いに目が向いていたのかも知れません。
ジューコフは細心の注意を払って日本軍に部隊の増強と集結を知られないように図りました。
絶えず砲撃をして戦車や歩兵たちの移動する音をごまかし、おおっぴらに防御陣地構築の振りをして見せたり、戦車を走り回らせてその音に日本軍兵士を慣れさせ、移動をいつものことだと思わせたり、とにかく考えられることは全て行なっていました。
日本軍に対する欺瞞無線も発し続けました。
補給困難で攻勢は不可能、援軍を請うといったような無線を大いに発し、日本軍の傍受班がそれを受信するよう仕向けていたのです。
関東軍司令部ではそれ見たことかと思ったでしょう。
自分たちでさえ補給困難なのだ。
鉄道からあれだけ離れているソ蒙軍が補給困難なのは当然ではないか。
これはこのまま持久すれば、遠からずソ蒙軍は引き上げるに違いない。
そう思ったかもしれません。
関東軍はこの欺瞞行動にまんまとしてやられました。
油断が油断を呼び、実際の戦場上空を飛んで偵察するべき航空機も、8月12日から19日の間、つまり、ジューコフが必死になって攻撃位置に部隊を展開していたまさにその時、「悪天候のため捜索しえず」と、偵察行動をしていなかったのです。
こうしてソ蒙軍は、日本軍に対する攻撃準備を整えました。
一説によれば、その兵力は約5万7千。
狙撃兵(歩兵のこと)3個師団、戦車2個旅団、機甲(装甲車が主)3個旅団、機関銃1個旅団、火砲542門、航空機515機を用意したといいます。
まさに大兵力でした。
ソ蒙軍は全てにおいて敵に倍する兵力を整えたのです。
敵より多数の兵力を整える。
戦闘においてのもっとも基本的な条件をジューコフは満たしたのでした。
その20へ
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- 2007/10/05(金) 19:46:48|
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今日は久し振りにマンガの紹介です。
「鋼の乙女」 faith氏著 ムーグコミックス
アダルトコミックスの例に漏れず、この作品もいくつかの作品を集めた作品集となっているのですが、メインとなっている作品は「Battle Maiden」という作品です。
某国の軍事政権とそれに反抗するレジスタンスとの戦いなのですが、軍事政権側は生物兵器として触手生物と人間が融合したものを、一方のレジスタンス側は女性をサイバー化したものを使っての戦いとなり、ヒロインはその戦いに巻き込まれ、姉を救うために自らもサイバーになって・・・というお話です。
結構いいです。
いいんですが、むちゃくちゃ惜しい。
エロ中心なので、触手にヒロインたちが犯される。
それはいいのですが、触手と融合した野郎がただ犯すだけなんですよねー。
ヒロインがサイバーである描写がほとんどなく、触手に腕や脚をもがれたりして機械部品が覗くなんてことも無い。
生身の女性が犯されるシーンとほとんど変わりません。
しかも、ヒロイン以外の脇キャラたちはただ犯され殺される。
それがホントもったいなくて。
個人的には寄生型とされている触手生物が、女性を犯して取り付いて仲間を増やしていくというのが望みなんですが、どうも犯すだけがとりえのようでした。
ただ、レオタード少女やストッキング少女が犯されるシーンは結構いいですよ。
他にはシスターが魔物に犯される話や、ある屋敷のメイドさんが地下室に現れた魔物に犯される話など、結構好みのシチュが多かったです。
ただ、やっぱり惜しいんですよねー。
シスターが魔物に取り付かれて笑みを浮かべるようなこともなければ、メイドさんが魔物の召し使いになってしまうようなシーンもなくて・・・
そこらへんが非常に残念でした。
惜しいなぁ・・・
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- 2007/10/04(木) 20:29:36|
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今日は週末に向けてたくさんユニットを切りました。
切ったと言っても、私の場合は枠から外したあとは折り曲げ千切りなので、角落しなどをなさる方に比べれば時間はまったくかかりません。
ですので、一気に三つものゲームのユニットを切りました。
コマンドマガジン日本版29号付録の「ゲティスバーグの戦い・リー最大の賭け」&「モスクワオプション」
コマンドマガジン日本版30号付録の「栄光の終焉・西部戦線1914」
シミュレーションデザインインコーポレーティドの「1862」の三つです。
やっぱりゲームはユニットを切ってプレイしてなんぼですからねー。
コレクターにならないためにもプレイはしていきたいものです。
「ゲティスバーグの戦い・リー最大の賭け」は、先日先輩と行なったシックスアングルス付録の「ゲティスバーグ1863」が面白かったので、南北戦争ファンとしてはプレイしなくちゃと思ったのです。
何となく難しそうなので敬遠していたんですが、やはり南軍の英雄的突撃をやりたいですねぇ。
「モスクワオプション」はハーフマップの手ごろな大きさ。
フルマップ一枚のゲームもいいですが、最近はこのハーフマップぐらいのゲームがいいなと思ってしまいます。
やはり年かなぁ。
コマンドマガジン日本版もハーフマップのゲームを2in1で出して欲しいですね。
このゲームは独軍が協力な装甲師団を駆使してモスクワへ迫るものですが、独軍の非機械化師団が攻撃ができず防御しかできないという特異なシステムを使っています。
ソ連軍は独軍の装甲師団の攻撃を受け流しながら、側面の非機械化師団を撃破して後方を遮断するという形になるのでしょうか。
いちいち戦力をチェックしなくてはならないのが大変そうですが、今度やってみようかな。
「栄光の終焉・西部戦線1914」は第一次世界大戦ゲームのデザイナーとして定評のあるテッド・レイサー氏の作品です。
シュリーフェンプランに基づきフランスに大挙侵攻する独軍と、それに対応して防衛線を戦って行くフランスイギリスなどの協商軍の戦いです。
双方自然発生的に塹壕を掘り始め、戦線が定着するまでのどこまで独軍が進出できるかが見物でしょう。
「1862」は先日ご紹介した南北戦争の真っ只中の1862年に起こった四つの戦いの4in1ゲームです。
ちょっとルールがわかりづらい点があるので、一度ソロプレイで把握したいところ。
南北戦争ファンとしてこれもやりたいゲームです。
米国のネットでの評価がかなり低いのが気になるところ。orz
ソロプレイといえば、早速ユニット切った「栄光の終焉・西部戦線1914」の初期配置を確かめてみましたところ、フランス軍の増援として出てくるであろうユニットの中に増援ターン数が「35」と記されているものが四つありました。
このゲームは最終ターンが“30”ターンなので、35ターンに出て来る増援などありえません。
これは何か特別ルールがあるのかと思いルールブックを見ましたが、どうもそういう記述が見当たりません。
その代わり、「フランス軍増援ユニットで“S”の印の付いているものは盤の南端より進入する」というルールがあり、Sの印の付いたユニットを探しましたがこれが無いのです。
ですので、もしかしてこれはユニットに書かれている「35」というのは「3S」の間違いではないのでしょうか。
この件に関してはコマンドマガジン日本版のサイトを見ても記載がなかったので、質問メールを送って見ました。
たぶんそうじゃないかなと思うんですけどね。
さて、週末もゲームするぞー。
現在「海」祭り開催中です。
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芹沢軍鶏様の作品が掲載されました。
とても素敵なお話ですのでぜひご覧下さいませ。
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- 2007/10/03(水) 21:08:44|
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g-than様のkiss in the darkなどにコメントを寄せられているショッカーゆう様より、女性が拉致されて女戦闘員に改造されるというSSをお送りいただきました。
ありがとうございました。
早速拝見させていただきましたところ、なかなか面白い作品でございました。
ご本人のご許可もいただきましたので、そのSSをご紹介させていただきます。
まだまだ文章には荒削りなところもお見受けしますけど、妄想を形にして送ってくださるというのは大変嬉しくありがたいものです。
ショッカーゆう様、これからもよろしくお願いいたします。
それでは皆様もお楽しみいただければと思います。
「Yショッカーナース」
ここは、Yショッカーのアジト…
今、新な女戦闘員の候補が、選ばれようとしていた。
『今度は、どんな女戦闘員を作るか?新な候補を挙げてみろ!』
首領の声に側近の秘書たちは…、いろんな案を出して来た。
「イーッ!今度の制服女戦闘員には、女性警察官がいいと思います。」
とか
「いえ!看護婦がいいと思います。」
「いえいえ!もっと若い娘たち!女子中高生がいいと思います。」
様々な意見が出て居た…。
Yショッカー…悪の秘密結社!
世界`制服´を企む秘密結社!
多くの制服の女性たちを誘拐して、女戦闘員に改造する。
そして、いろんな職種の女達を操り、社会を混乱させること!
それが、Yショッカーの使命なのだ!
Yショッカーに選ばれた女性たちは、有無も言わず改造SEX手術を受け、Yショッカーの思想を洗脳され女戦闘員になるのだ!
その実績は、まだ浅いが今までバスガイドやキャビンアテンダントなどが、Yショッカーの女戦闘員になった。
そして、新な女戦闘員の候補が、今選ばれようとしていた。
『よし!看護婦にしよう! 最近、手術部が人手不足になって居る! その為に、今ナースを確保したい! その候補の女をはじき出せ!』
首領の命令に
「イーッ!この女はどうでしょう?安藤薫!なかなか優秀で背が高く美人で、今の病院では、主任で他の主任ナース達と婦長の座を狙って居る!この女を何とかおびき出して!誘拐する作戦は、どうでしょう?」
その意見は、元CAの河津麗子だった。
『よし!この女を誘拐して、女戦闘員に改造しろ!』
首領の命令に絶対服従する、女戦闘員たち!
「畏まりました!必ずや、この女を誘拐して見せます。イーッ!」
そう言いながら、首領の元を離れて行った!
そして、半夜勤を終えて、女子寮に帰る安藤薫、そこへある一人の女性が現れた。
元CAの河津麗子だった。
「失礼ですが、安藤薫さんですね!」
突然の言葉に驚く、薫
「はい、そうですが何か?」
「私は、河津と申しますが、貴女をスカウトしに、参りました。貴女を私共の病院の婦長として、お呼びしたいと思いまして、こちらに伺いました。」
その言葉に驚く薫!
「えっ、私が婦長に!本当ですか?」
「ええ、本当ですよ!今すぐ院長に逢って頂きたいのですが?」
「今直ぐですか?それは無理です!もう今夜は遅いですし、後日改めてというのはどうでしょう?」
薫が言うと、
「それは無理です!今直ぐ来て欲しいわ!それでは、この話しはありませんよ!」
「しかし、今直ぐとは無理でしょう!」
薫が声を荒げた!
すると、麗子が指を鳴らした。
すると、安藤薫の後ろから、彼女を押え付け口元に何かを、嗅がせて気を失わせた!
そして、闇の中に消えていった…。
目を覚ます薫
「ここは何処?」
何か寝台の上に寝かされ居た…。
彼女は、起上ろうとしたが、手足を拘束具で固定されていた。
「何するの、放して!これじゃ身動き出来ない…。」
すると首領の声が聞えて来た。
『安藤薫!Yショッカーのアジトにようこそ!』
「Yショッカー?何それ?私をどうする気?放しなさいよ!」
安藤薫が言うと…。
『お前は選ばれたのだ!Yショッカーのコンピュターの中から一万人の中から、選ばれた幸運な女だ!これから、我々が行う改造手術を受け、女戦闘員になってもらう!そして、Yショッカーナースに成るのだ!』
「Yショッカーナース?私に婦長の話って、そう言う事だったのね!そんなのお断りします!」
『それは無理だ!お前はすでにYショッカーの手術台の上に寝かされ拘束されて居るのだ!お前は選ばれた道は、ただ一つ女戦闘員に改造される事だ!お前は、今の病院では婦長にはなれない!そんな器では無いのだ!だから、我々の仲間になり、婦長の座を獲得するのだ!悪い話しでは無いであろう!』 「イャ!そんな事無いわ!私は、今の病院で婦長になりたいわ!それに、死んでも、貴方達の仲間にはならないわ!」
薫は言い放した!すると…
『最初は皆そう言う!しかし、この改造手術を受け洗脳されると、考えが変りYショッカーに感謝する様になるのだ!さあ、この女の改造手術を開始せよ!』
首領の命令がかかると「イーッ!」奇声を挙げ一斉に科学戦闘員たちが動き出した。
ナース薫の改造手術が開始された。
手術台の上で、手足をばたつかせ、抵抗する薫!
しかし、手足を拘束されている以上、なす素手も無く手術が開始された。
「ヤダ!ヤダ!やめて!ヤダ改造人間なんてヤダやめて下さい!」
左右に首を振りながら叫ぶ薫!
「性感帯に電極を取付けよ!」
その命令に、他の科学戦闘員たちが、薫の身体の性感帯に取付けて行った…。
首や脇の下や、胸の乳首そして、ソリット(クリトリス)など…、身体の感じる所に取付けられた…。
そして、科学戦闘員の一人がスイッチを入れた…
すると、薫は「アッアーッやめてアーッ」身体が感じ始めた…。
そして、少しつまみを回すと、身体の電気が流れ出した。
薫はさらに悲鳴を挙げた。
「アーアーッ」
性感帯から、身体に電気が流れ出し、薫は左右に首を振り抵抗した。
「イャ!やめて!やめて下さい。嫌だ…、女戦闘員なんてイャ!」
薫が抵抗する!
しかし、科学戦闘員が改造ノズルを手にしていた。
「今から、この改造ノズルをお前の肉壺に挿入する!」
『ズボ!ヅブヅブ…!』
「アッ!アー痛いやめてアー痛いアー痛いやめてアーッ」
改造ノズルは子宮まで達して居た。
そして、ノズルの突起部分が、クリトリスに触れると、科学戦闘員の一人がスイッチを入れた…
すると、改造ノズルが稼働始めた…。
『グオングオン~』
薫は左右に首を振りながら叫んだ!
「アーやだ!やめてアーアーやだ~!やめてアーイクアッアー」
最初は抵抗して居たが、段々と抵抗が出来なくなり始めた…。
押えて我慢していても、限界があった…。
薫は「アハ~ンイャ~ンイクアッアーイクもっとイクアッアーイクイクイクアッアーアーイク~」
薫は叫んで居た…。
筋肉強化ナノマシンは、改造ノズルから子宮を通り身体の隅々まで、運ばれた。
そして、薫は「チ○ポちょうだい~!」と口にしていた…。
科学戦闘員たちは、待って居たかの様にもう一つの改造ノズルを取出した。
「これをよく見るがいい!何に見える?」
「お〇んちん!」薫は答えた!
「よし!しゃぶれ!」
そう命令されると、薫は頷いてその改造ノズルを口に挿入した…。
薫がしゃぶると、ノズルから白い液が見えて来た…。
それを飲み始めた。
「さあ~!どんどん飲みなさい、これは、貴女への愛情の液ですよ~!」
女科学戦闘員の声だった!
薫は白い液を飲み続けた…
「あーおいしい!止められないわ~!どんどん飲みたい~!なんか…私、好きになりそう~!誰を?Yショッカー!なんか…私のこと好きみたい…、もっと欲しいわ…!」
薫がそう思ったとたん、目の瞼が青いアイシャドーが引かれ始めた…
そんな事知らずに薫は白い液を飲み続けた…
「私は…私は…Yショッカーが好き!今日から、私は…Yショッカーナース薫!になるわ!」
そう思い始めると!口の中の改造ノズルをしゃぶるのをやめて居た…
彼女の目付きも変り、化粧した顔は鋭い目になった。
口の中の改造ノズルが外されると
『イーッ!』
第一声の奇声を挙げた。
そして、ソリットの改造ノズルや性感帯の電極が外されると、最後に拘束具が外された。
そして、手術台から起上ると「イーッ!」と奇声を挙げ、胸の前で腕をクロスさせ敬礼をした。
全裸だった薫に黒いレオタードと黒い網タイツが手渡された。
彼女はそれらを身に着け、緑のベルトを腰に巻き、イニシャルは『YS』と組織名が掲げられて居た。
女戦闘員の姿になると、今度は、ブルーのナース服を着せられた。
これにも、胸とナースキャップにも『YS』とイニシャルが入って居た…
そして、薫は首領の元に現れた
『新なる、制服女戦闘員!Yショッカーナース薫!』
「イーッ!悪のナイチンゲール!Yショッカーナース薫!身も心も捧げ忠誠を誓います!イーッ!」
薫は、首領に忠誠を誓った…
そして、薫は科学戦闘員たちと共に、組織の一員として、働いて居る…!
END
現在「海」祭り開催中です。
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芹沢軍鶏様の作品が掲載されました。
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それではまた。
- 2007/10/02(火) 20:45:02|
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