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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

グレイバー蛇足(4)最終回

グレイバー蛇足の最終回です。
盛逸司令の生まれ変わった姿を楽しんでいただければと思います。

読み終えましたらぜひぜひ感想を下さいませ。
面白かった、つまらなかった、どんな一言でも結構です。
よろしくお願いいたします。
それではどうぞ。

4、
ふふふ・・・
皮肉なものね。
さっきまではこの衣装のもたらす気持ちよさにぼうっとなったけど、被せられたヘルメットの痛みが私の頭をすっきりさせてくれたわ。
こんな衣装に負けるものですか。
私はヘルメットの後ろにたれたサソリの尾が、背中に張り付いていくのを感じながらグレイバーたちをにらみつける。
バイザーにさえぎられていることをまったく感じさせない私の視界。
背中に張り付いた尾は、そのままシュルシュルと伸びてお尻を超え、私の足元ぐらいまでの長さになる。
その先端からは強力な毒液が滴っていた。
うふふ・・・
この毒液なら象でも一刺しで死ぬわね。
私は何となく嬉しくなる。
ああ・・・早く躰の自由が利くようにならないかしら・・・

「ふふふ・・・なかなか似合っているじゃない。素敵よ」
インビーナが私を見下ろして笑っている。
それはどうも。
でもね・・・
躰の自由さえ利けば、こんな衣装はすぐに脱いで・・・
脱いで・・・
ああ・・・
これを・・・脱ぐ・・・?
こんなに私にピッタリなのに?
こんなに私を力強い存在にしてくれるのに?
脱いでしまうの?
ああ・・・
ど、どうして・・・

「ふふふ・・・しばらくおとなしくしているのね。お前たち、もういいわ。部屋で待機しなさい」
「「ルーィ!」」
グレイバーを下がらせるインビーナ。
二人のグレイバーはインビーナに敬礼をすると、部屋から出て行ってしまう。
本当にあの二人は秋奈ちゃんと美智代ちゃんなのか?
それを確かめることすらできなかった。
「こんな格好をさせてもあなたの思い通りにはならないわ。ヘルメットを被せられたときに感じた痛みで、あなたの洗脳は解けちゃったわよ」
そうだ・・・
確かにあのままでは危なかったかもしれない。
この衣装の気持ちよさに取り込まれていたかもしれないわ。
でも、今は違う。
頭もはっきりしているわ。
私はセーバーチームの・・・
セーバー・・・チームの・・・?
セーバー・・・チーム・・・の・・・
私は・・・?
私は?

「ふふふ・・・それはどうかしらね。言い忘れていたけど、あなたの躰に打ち込んだ薬はもうすぐ切れるわ。そうなれば躰の自由も利くはず」
インビーナの言葉に私は顔を上げた。
躰の自由が利く?
そうなればここを脱出してセーバーチームに連絡を・・・
その前に・・・
「そうなればその衣装を脱ぐのも、ここから出て行くのも自由よ。私たちは邪魔はしないわ。この部屋の鍵も開けておいてあげる」
「な、何をたくらんでいる?」
「何も・・・お前がどうなるのか、見ものだわ」
インビーナが出て行こうと背を向ける。
「待って!」
私は呼び止めてしまった。
「なんだ?」
インビーナが振り向く。
私は唇を噛み締めてこう聞くしかなかった。
「教えて・・・私の・・・私の名前は、なんと言うの?」
「ふっ」
酷薄そうなインビーナの笑み。
「それをじっくり思い出すのね。そのうちわかるわ」
「ま、待って! 待って!」
私の目の前で扉は閉じられた。

一人になった部屋で私は考え込む。
どうして?
どうして名前が思い出せないの?
私がどうしてここにいるのか、私がセーバーチームのどういう位置にいるのか、それはちゃんと思い出せるのに・・・
私には妹がいたのも覚えている。
名前はインビーナ。
今では暗黒結社ルインの女幹部となっているわ。
私は彼女に従って・・・
従って?
ああ・・・
頭が混乱している。
何がなんだかわからない。

カリカリカリ・・・
小さな音がする。
「ん?」
私はあれ以来床に寝かされたままだったが、首を動かして音の方を見てみた。
首が、動く・・・
躰が動き始めたんだわ。
私は手足を動かしてみようと力を込める。
きりきりきり・・・
また音?
私はすぐにそれが何かを悟った。
私の左手の爪が床を引っかいたのだ。
鋭い私の爪が床を削った音だったのだ。
私は左手を持ち上げて握ってみる。
握れた。
動かせるようになったんだわ。
次は右手。
大きなハサミを私は開く。
すぐに私の思い通りにハサミは開き、そして閉じられる。
カシッという硬質な音がハサミの硬さを教えてくれる。
どんなものでもへし折れそうで気持ちがいい。

ふう・・・
考えても仕方がないわ・・・
インビーナはいずれ思い出すって言っていたわ。
ならば、思い出すまで待つだけよ。
私はあらためて上半身を起こして室内を確認する。
よく見ると部屋の一角にはベッドやソファーもある。
これならゆったりくつろぐこともできそうだわ。
私は躰が動くことを確認するために立ち上がる。
外皮がつややかに輝いて美しい。
「ん」
両手を上に上げて伸びをする。
動かなかった筋肉がほぐれてとても気持ちいい。
「ふあぁ」
思わず声も出てしまう。
しばらく躰を動かしていなかったからね。
少し躰を動かさないと。
私は少し屈伸をしたあと、右手のハサミを振り上げ、すぐに左手の爪で獲物の喉をかき切るまねをする。
さらに見えない相手に蹴りを入れ、尖ったヒールが肉に食い込むさまを想像する。
ふふ・・・
気持ちいい・・・
これならいつでも戦えるわね。
すぐにでもセーバーチームに・・・

えっ?
私は思わず立ち尽くす。
セーバーチームに?
私は・・・
私は何をするつもりなの?
私は・・・いったい・・・
私はよろめくようにソファーに腰を下ろす。
ふかふかのソファーは私のお尻の尻尾もちゃんと優しく受け止めてくれる。
とりあえず落ち着くのよ。
今の私は混乱している。
OK、それははっきりしているわ。
きっと躰を動かなくしていた薬だかフィールドだかのせい。
それ以外におかしなところはない。
私の躰だって滑らかな硬い外皮が守ってくれているから傷一つない。
えーと・・・
躰が動いたら何をするつもりだったか思い出すのよ。
そう、脱がなくちゃ・・・
脱ぐ?
何を?
何を脱ぐというの?
脱ぐものなんてありはしないわ。
私の躰を覆うのは硬い外皮だけ。
人間どものようなくだらない衣服など身につけないもの。
私はいったい何を脱ぐつもりだったのかしら・・・

私は尻尾の先を器用に引っ掛け、クーラーボックスを開ける。
一般のサソリは尻尾の先が膨らんでいるけど、私の尻尾はどちらかというとムチに似ている。
先端の膨らみはごくわずかで、先端には鋭い針がついているのだ。
その先端部分を引っ掛けるようにすれば、クーラーボックスの扉を開くぐらいはわけはない。
クーラーボックスの中には見慣れた赤い缶。
私はそれを取り寄せると、プルを開けて中身を飲む。
コーラ特有の炭酸が喉を焼いて気持ちいい。
きっと頭もすっきりするはず。

OK。
もう一度考えて見ましょう。
まず始めに重要なこと。
私は何者?
私は・・・
私はスコーピオンルイン。
ルインビーストの一員。
ルインのしもべ。
うふふ・・・
そうよ、私はルインのしもべ。
ルインビーストの一員だわ。
どうして今まで気付かなかったのかしら。
あははは・・・
バカみたい。
私はスコーピオンルイン。
スコーピオンルインよ。

うふふ・・・
そうだわ。
私ったら何を考えていたのかしらね。
私の使命は決まっているじゃない。
セーバーチームを倒すこと。
セーバーチームの司令という記憶を生かして、奴らを抹殺する。
それこそが私の使命であり存在意義でもあるのよ。
ふふふ・・・
おろかなセーバーチーム。
ルインに歯向かった代償を身を持って知るがいいわ。

******

「がはぁっ!」
私のハサミの一振りで柱に叩きつけられるセーバーグリーン。
ここはセーバーベースの司令室。
いいえ、もはやその残骸といった方が相応しい。
「う・・・あ・・・ど、どうして・・・」
壊れた機器類の間に倒れたセーバーブルーが、壊れたヘルメットに包まれた顔を上げる。
「ルーィ・・・可哀想なお兄ちゃん。ルインに歯向かったりするからいけないんだよ」
哀れむようにそう言いながらも口元には笑みが浮かんでいるグレイバー320号。
かつてあの男の妹だったらしいが、そんなことは意味が無い。
それどころか、ルインに歯向かった者の末路を楽しんでいるに違いないわ。
そう、それは私も同じこと。
ここがかつて私のいた場所だなんて思えない。
こんな連中はさっさと始末してしまわないと。
「秋奈ちゃん・・・目を覚まして・・・司令も・・・」
私の足元に転がったセーバーレッドが手を伸ばしてくる。
いまいましい蛆虫め。
まだくたばっていなかったのか。
肉体的に痛めつけるのが楽しかったから毒を使わなかったけど、もういいわよね。
「ルーィ・・・私はもう秋奈じゃないって言ってるじゃないですか。私はグレイバー320号。あっちにいるのがグレイバー387号。そして、こちらのお方がスコーピオンルイン様。最強のルインビーストなんですよ」
「320号、説明は不要よ。このようなクズどもに理解できるはずがないわ」
私はそう言うと、セーバーレッドのスーツの裂け目に尻尾を滑り込ませ、先端の針を差し込んで毒を注入する。
「ふぁがっ!」
意味不明の叫び声をあげ、一瞬で絶命するセーバーレッド。
ああ・・・
なんて気持ちがいいのかしら。

「ふふふふ・・・セーバーチームもお終いのようね」
カツコツと足音を響かせてインビーナ様が姿を現される。
「これはインビーナ様。このようなところへようこそ。残り二体の始末ももうすぐですわ」
私はセーバーレッドの死体から尻尾を引き抜くと、柱を背に倒れているセーバーグリーンに向かう。
ブルーの始末は320号に任せてもいいだろう。
「うふふふ・・・これほどとは思わなかったぞスコーピオンルイン。お前を選んだのはやはり正解だったな」
「ああ・・・お褒めのお言葉ありがとうございます。とても嬉しいですわ、インビーナ様」
私はゾクゾクするほどの心地よさに打ち震え、セーバーグリーンの首を柱ごと右手のハサミで挟みこむ。
「この者の首、インビーナ様にお捧げいたしますわ」
私は右手に力を込める。
バキッという音とともに柱が砕け、床一面が赤く染まる。
「あははは・・・この司令室がセーバーチームの墓場となるとはな。こいつらも本望だろう」
インビーナ様の高笑いが破壊された司令室に響く。
私はそれを聞きながら、足元に転がって来たものを踏み潰す。
グチャッという音がインビーナ様の笑いをさらに高め、私は満足感とともにその笑いに聞き惚れていた。
  1. 2007/08/05(日) 19:26:29|
  2. グレイバー
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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